マイクロ波除去可能な被覆物
装置から構成部材を除去することを補助するためのポリマーと、同ポリマー中に分散されたマイクロ波吸収性の物質とを含有する被覆物を開示する。該被覆物は装置の表面上に設けられ、該被覆物上に構成部材が載置される。その後マイクロ波に暴露されると、マイクロ波吸収性の物質はマイクロ波を吸収し、該構成部材は装置から分離され得る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はポリマーからなる被覆物に関する。より具体的には、本発明は、再生可能な装置に対して構成部材を着脱するために使用される、マイクロ波吸収性のポリマーおよびポリマー被覆物用のマイクロ波吸収性の添加物に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータ、周辺機器、および小型携帯無線呼出し機や携帯電話のような無線装置の急増は、電化製品廃棄物(e−waste)と称する新たな形の廃棄物を生成してきた。これらの装置は、市場性のために外観を向上させるような材料により、塗装されたり、被覆されたりされ得る。さらに、これらの装置には、識別するための部材、または機能性を付加するための部材が付着されてもよい。電化製品廃棄物の一部は、再生することにより再利用されるべきであるとする規制を有する国もある。塗料または付着された構成部材は、それが付着した材料の再生に適合しないので、再生の前に除去されねばならない。このような装置から塗料、および任意の他の再生不可能な材料を除去するための簡易な方法を発見することは、重要である。
【0003】
従来技術においては溶剤を使用しているが、これは環境対応上は好ましくない。溶剤を用いてそのような材料を膨潤させた後、塗料を剥離されることもある。ブラスト法は塗料を除去する一法であるが、ブラスト法では、角部およびヒンジ部から塗料を除去するのは容易ではない。特許文献1には、異なる速度にて回転するローラーを有し、これらのローラーの間の間隙を介して塗料が施された装置を通過させ、塗料を押圧して剥離する装置が説明されている。
【特許文献1】米国特許第6051168号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
小型携帯無線呼出し機、携帯電話、および他のこのような装置から塗料を除去し、装置の再生を可能とする簡易でかつ迅速な技術を発見することが望まれている。さらに、装置の内部構成部材の修理、交換、または除去を行うために、プラスチックの装置を開封するための簡易かつ迅速な技術を発見することもまた望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の1つの態様は、ポリマーからなる装置から構成部材を除去することを補助する
ための被覆物を提供する。その被覆物は、ポリマー中に分散されたマイクロ波吸収性の物質を含む。被覆物は装置の表面に施される。表面に施された被覆物の上に構成部材が重ねて配設され、それにより、被覆物がマイクロ波に暴露されると、マイクロ波吸収性物質はマイクロ波を吸収し、構成部材が装置から分離され得る。
【0006】
本発明の他の態様は、被覆材料を形成するようにマイクロ波吸収性の物質をポリマー中に分散させ、同被覆材料を装置に対して付与することにより、構成部材の除去のために装置を処理する方法を提供する。
【0007】
本発明の第3の態様は、装置の表面上に施されるとともに構成部材の下側に存在し、その後マイクロ波を照射すると、その照射されたマイクロ波を内部に吸収するマイクロ波吸収性被覆物を有する装置を提供することにより、装置から構成部材を除去する方法を提供する。
【0008】
本発明の第4の態様は、マイクロ波吸収性物質をポリマー中に分散して被覆材料を形成し、装置をその構造部品に分離するために処理する工程と、装置の構造部品の接触界面に被覆材料を付与する工程と、装置を形成するべく構造部品を互いに接着する工程とからなる方法を提供する。本発明の第5の態様は、装置の構造部品を相互に接着したマイクロ波吸収性被覆物を有する装置を提供し、その後マイクロ波を照射し、マイクロ波吸収性被覆物中に照射されたマイクロ波を吸収することにより、装置を構造部品に分離する方法を提供する。
【0009】
上記の装置および方法、ならびに他の装置および方法は、本発明の特徴および利点と同様に、付随の図面とともに読まれれば、以下の好ましい実施態様の詳細な説明から一層明瞭となるであろう。詳細な説明および図面は、本発明を限定するものではなく本発明を例示するものであり、本発明の範囲は付随の特許請求項およびそれと等価のものにより定義されるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明は例示により示されるが、付随する図面により限定するものではない。図面中においては類似の参照番号は類似の要素を示す。
図1は、本発明の第1の実施態様である装置20を図示する。装置20は、マイクロ波吸収性被覆物40が被覆された再生可能な装置30を備える。マイクロ波吸収性被覆物40は塗料層50により被覆されている。例えばプラスチックなどの装置の構成部材料を考えると、再生可能な装置30を再生する前に、再生可能な装置30から塗料層50を除去することが望ましい。
【0011】
図2は、本発明の第2の実施態様である装置21を図示するが、マイクロ波吸収性被覆物40により部分的に被覆された再生可能な装置30を備える。構成部材56はマイクロ波吸収性被覆物40の上に位置する。構成部材56は、ラベル、または、例えば発泡ゴム片などの軟質なポリマーであり得る。一例としては、例えばその構成材料がプラスチックなどである場合、装置30を再生する前に、再生可能な装置30からラベルまたは軟質ポリマーを除去することが望ましい。複数の構成部材56が、マイクロ波吸収性被覆物40により、再生可能な装置30に対して接着され得る。
【0012】
図3は、マイクロ波吸収性被覆物40の一実施態様の微視的な概略図である。その層はポリマー41からなり、ポリマー41はポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリシロキサン、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリカーボネート(PC)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)、PC/ABS、ナイロン、ポリフェニレンオキサイド(PPO)、およびハイインパクトポリスチレン(HIPS)などを含むが、これらに限定されるものではない。ポリマー41の中にはマイクロ波吸収性物質42が分散されている。図3において、マイクロ波吸収性物質42は、ポリマー41中に懸濁状態にされた粒子として図示されている。マイクロ波吸収性物質42は、金属、アルミナ、チタン酸塩、セラミック、または任意の他の1GHz〜10GHzのマイクロ波周波数を吸収する材料の微細粒子であり得る。上記の周波数は好ましいマイクロ波周波数の領域であり、上記に限定はされるものではない。代替の実施態様は、図示されてはいないが、マイクロ波吸収性ポリマーをポリマー41中に溶解(図示せず)することにより形成される。マイクロ波吸収性ポリマーには、内因性の伝導性ポリマーおよび外因性の伝導性ポリマーを含む任意の伝導性ポリマーが含まれる。それらの一部を列挙すると、ポリフェニンレン、ポリアセチレン、ポリチオフェン、ポリ(エチレンジオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジフェニルピロール)、ポリ(3−オクチルチオフェン)、ポリアニリン、ポリ(フッ化ビニリデン)、およびポリピロールがある。
【0013】
図4は、マイクロ波吸収性物質42の代替の実施態様を図示する。マイクロ波吸収性の
官能基44は、ポリマー主鎖43に対してグラフト化され得る。代替案としては、1つ以上の付加的なマイクロ波吸収性の官能基45が、ポリマー主鎖に組み込まれ得る。ポリマー主鎖43は、例えば、炭素鎖、または珪素鎖である。官能基44はヒドロキシル基であり、付加官能基45はカルボニル基である。現行の好ましい実施態様において、ヒドロキシル基は好ましい10GHzのマイクロ波周波数で吸収する適正な分極率を有しているので、ヒドロキシル基は好ましい官能基である。
【0014】
図5は水の誘電率ε'、および誘電損失ε”の周波数スペクトルである。物質の誘電損
失ε”は物質の吸収スペクトルと相関関係がある。ヒドロキシル基は、上記のマイクロ波領域における水の吸収スペクトルと類似の吸収スペクトルを有している。マイクロ波吸収性物質42がヒドロキシル基である場合、マイクロ波吸収性被覆物40は、10GHzにおいて最も強く吸収するであろう。
【0015】
主鎖43に対してグラフト化し得るとともに、マイクロ波を吸収する他の官能基には、ハロゲン基、メルカプチル基、硫酸基、リン酸基、カルボン酸基、エステル基、アミノ基、アミド基、およびニトロ基がある。例としては、例えば図4の参照番号44または参照番号45のような種類の官能基のみが、ポリマー主鎖に組み込まれている。
【0016】
装置20は、ポリマー41中にマイクロ波吸収性物質42を分散し、それを層40(図1)として再生可能な装置30に付与することにより、形成される。その後、塗料層50または少なくとも1つの構成部材56(図2)が、マイクロ波吸収性被覆物40の接着性によって、再生可能な装置30に対して付着される。塗料層50は、ポリマー41に対するマイクロ波吸収性物質42と同様に、マイクロ波吸収性被覆物40に顔料および他の添加剤を添加することにより形成され得る。発明者らは本発明を例示するために塗料層を説明しているが、塗料層は装飾用エナメル層、腐食防止層、および耐擦過被覆物層を含む任意の他の機能層であり得る。代替案としては、塗料層50は輝く物、光る物、または転写絵などの装飾材料を含み得る。
【0017】
マイクロ波吸収性物質42(図3)が、再生可能な装置30に対して接着された塗料層50の剥離を生じさせ得るには幾つかの方法がある。
一つの方法が成り立つのは、マイクロ波吸収性物質42(図3)によりマイクロ波のエネルギーが吸収されることにより、マイクロ波吸収性被覆物40と塗料層50とが異なって加熱をされる場合である。この部材間における異なる加熱により、塗料層50に対してマイクロ波吸収性被覆物40が異なる膨張を生じるため、接着の喪失が生じる。
【0018】
この効果は、図6,7,8に図示されている。図6は、マイクロ波源(図示せず)から放射されたマイクロ波60に暴露された当初の装置20を図示する。装置20を照射しているマイクロ波60の周波数は、マイクロ波吸収性被覆物40中に含まれたマイクロ波吸収性物質42(図3)の吸収域内であるように選択されるか、または、マイクロ波吸収性物質42(図3)が存在しない場合には、マイクロ波吸収性被覆物40の吸収域内であるように選択される。図7は、その後、マイクロ波吸収性被覆物40がマイクロ波60を吸収し、それにより、塗料層50に対して大きさが増大した後の、図6の装置20を図示する。全く膨張していないかまたはほとんど膨張していない塗料層50は、膨張したマイクロ波吸収性被覆物40と相互に作用して、多数の箇所において亀裂51を有する。塗料層50がマイクロ波吸収性被覆物40から離脱するほど充分な亀裂51を有すると、装置20はマイクロ波60の照射範囲から除去され得る。マイクロ波吸収性被覆物40は、塗料層50とともに装置30から除去されることが好ましい。一例において、塗料層50の接着性を低減させるマイクロ波吸収性被覆物40の上記の膨張は、再生可能な装置30に対するマイクロ波吸収性被覆物40の接着性をも低減し、図8に示すように、再生可能な装置30のみを残留させる。塗料層50およびマイクロ波吸収性層40をほぼ完全に除去す
るには、空気の吹き付け、ブラシがけ、振盪、または、例えば超音波ベルトまたは超音波プレートを用いた装置20の振動を含み得るその後の清掃を行い得る。同様にして、この部材間での異なる加熱は、マイクロ波吸収性被覆物40により再生可能な装置30に対して接着された構成部材56(図2)を除去するために使用され得る。
【0019】
塗料層50の除去のための代替の方法において、マイクロ波吸収性被覆物40は、接着された塗料層50の第2の熱膨張係数とは異なる第1の熱膨張係数を有するように設計されている。マイクロ波吸収性被覆物40、および接着された塗料層50のほぼ均一な加熱により、接着された塗料層50に対してマイクロ波吸収性被覆物40は異なる膨張を呈し、これにより接着力の喪失が生じる。マイクロ波吸収性被覆物40が、接着された塗料層50よりも大きい熱膨張係数を有する場合に関するこの工程も、図6,7,8に図示されている。さらに、部材間での異なる熱膨張係数は、マイクロ波吸収性被覆物40により再生可能な装置30に対して接着された構成部材56を除去するために利用され得る。幾つかの材料システムに関しては、部材間での異なる加熱と部材間での異なる熱膨張係数との双方は同時に起こり得る。
【0020】
凝集力および接着力の低下はまた、マイクロ波吸収性被覆物40の熱起因の劣化、または化学的な起因の劣化により生じるが、そのいずれもマイクロ波吸収性物質42によるマイクロ波のエネルギーの吸収、またはマイクロ波吸収性被覆物40そのものによって引き起こされる。
【0021】
接着力が低下する機構は、マイクロ波吸収性物質42がメタルフレークおよび伝導性ポリマーなどの伝導性材料であるとき、または、マイクロ波吸収性被覆物40とマイクロ波吸収性物質42とが同一であり、例えばヨウ素をドープしたポリアセチレンまたはポリフッ化ビニリデンなどであるときに生じる。その場合、マイクロ波吸収性被覆物40は自身の接着性を喪失し、再生可能な装置30から剥離する。図9に示されるように、装置20がマイクロ波60に暴露されると、マイクロ波吸収性被覆物40と再生可能な装置30との間に層間剥離間隙70が生じる。これらの間隙70は、塗料層50およびマイクロ波吸収性被覆物40を再生可能な装置30から脱落させる。塗料層50およびマイクロ波吸収性被覆物40の最終的な除去は、空気の吹き付け、ブラシがけ、振盪、または、例えば超音波ベルトまたは超音波プレートを用いた装置20の振動により達成され得る。それにより、図8に図示されるように、再生可能な装置のみが残る。同様の方法により、マイクロ波吸収性被覆物40の接着特性の喪失は、マイクロ波吸収性被覆物40により、再生可能な装置30に対して接着された構成部材56を除去するのに使用され得る。
【0022】
一実施態様において、例えばメタルフレークおよび伝導性ポリマーのようなマイクロ波吸収性物質42は、分解を促進する他の反応性添加物(例えば、アジピン酸)、または媒体材料の1つにグラフト化されたペンダント基(例えば、遊離したカルボン酸基)と結合される。そのような材料の組み合わせを含むマイクロ波吸収性被覆物40は、マイクロ波60に暴露されると凝集性を失うであろう。さらに、例えば、低融点ポリマーの媒体、および加熱されたときに粘度が低下する接着剤の場合のように、粘度の低下は凝集力の低下の機構であり得る。これらの場合には、マイクロ波吸収性被覆物40は凝集度合いを低下させ、それにより、図9に図示されるように、マイクロ波吸収性被覆物40内であって、かつマイクロ波吸収性被覆物40と再生可能な装置30との間に間隙を生じるであろう。その後、マイクロ波吸収性被覆物40、およびその上に存在する塗料層50は、マイクロ波60に暴露されると、再生可能な装置30から脱落するであろう。装置30に対する空気の吹き付け、ブラシがけ、振盪、または、例えば超音波ベルトまたは超音波プレートを用いた振動により、装置30を直ちに清掃したり、引き続いて清掃したりすることが望ましい。同様にして、マイクロ波吸収性被覆物40の凝集性の喪失は、マイクロ波吸収性被覆物40により再生可能な装置30に対して接着された構成部材56を除去するために利
用され得る。
【0023】
現行の好ましい実施態様において、塗料層50を脱落させるのに要するマイクロ波60の暴露時間および/または出力レベルを低減させるため、マイクロ波60の周波数は、マイクロ波吸収性物質42(図3)、および図1のマイクロ波吸収性被覆物40のピーク吸収周波数と等しい。
【0024】
これらの効果の一部または全部は同時に生じ、接着特性および/または凝集特性を喪失させる一方、マイクロ波吸収性被覆物40に熱膨張を生じさせる。
同様に、図2に示されるような、マイクロ波吸収性被覆物40により再生可能な装置30に対して接着された構成部材56を有する装置21は、マイクロ波を暴露されて構成部材56を除去することが可能である。構成部材56が再生不可能である場合には、再生する前に再生可能な装置から構成部材56を除去することが望ましい。例えば、携帯電話は衝撃吸収材として作用する緩衝材すなわち発泡ゴム片を備えている。プラスチック製のケースを共に緩衝材を再生することは不可能なので、プラスチック製のケースの再生に先立って緩衝材を除去しなければならない。装置にはラベルが貼付されており、したがって、ラベルは再生の前に除去されねばならない。マイクロ波吸収性被覆物40を用いて、再生可能な装置30にラベルを貼付することができる。塗料層50および構成部材56が装置上に位置する場合には、1層以上のマイクロ波吸収性被覆物40が用いられ得る。
【0025】
これもまた、装置から塗料および他の材料を除去するための簡単な技術である。マイクロ波吸収性材料に顔料および他の添加物が付加されていても、付加的な工程は必要ではない。塗料を除去するためのアセンブルラインを使用することができ、そのようなアセンブルラインでは、装飾された装置20、または塗料を施された装置20をマイクロ波照射域を通過させ、その後塗料層50および他の構成部材56を再生可能な装置30から分離するために、エアナイフを通過させたり、振動ベルト上を搬送したり、または同様な装置を通過させたりする。
【0026】
図10は、部品を接着するための接着剤としてマイクロ波吸収性被覆物40を使用することを図示する。図10は、第1の構造部品31と第2の構造部品32とを備える装置30を示す。構成部材56は、装置30に対して機能を提供するべく、マイクロ波吸収性被覆物40により第2の構造部品32に対して接着されている。この図において、端面33,34は夫々構造部品31,32が接触する界面を形成する。マイクロ波吸収性被覆物40は第2の構造部品の端面34上に載置される。マイクロ波吸収性被覆物40はまた、端面34上のマイクロ波吸収性被覆物40に加えて、または端面34上のマイクロ波吸収性被覆物40の代わりに、第1の構造部品の端面33に載置されてもよい、。
【0027】
図11は、夫々の端面33,34に沿って接触している第1の構造部品31および第2の構造部品32を図示する。マイクロ波吸収性被覆物40はマイクロ波除去可能な接着剤であり、第1の構造部品31と第2の構造部品32とを共に保持し、装置30を形成する。所望により、この装置は上記のように塗料を施されてもよい。後に構成部材56をさらに進歩した機能性構成部材56と交換するように望まれる場合、図6および図9に示されるように、装置30はマイクロ波60に暴露され、上記のように第1の構造部品31を第2の構造部品32から分離する。
【0028】
しかるべく設計をされていれば、同時にまたは別途に、装置56は第2の構造部品32から分離され、容易に除去されるであろう。このような選択性は、構成部材56を装着するためと、第1の構造構成部材31を第2の構造構成部材32に接着するためとに、異なるマイクロ波の周波数を吸収するマイクロ波吸収性被覆物40を使用することにより得ることができる。あるマイクロ波の周波数が、構成部材56を第1の構造部品31に対して
接着しているマイクロ波吸収性被覆物40により吸収されずに、第1の構造部品31を第2の構造部品32に対して固定しているマイクロ波吸収性被覆物40により吸収されれば、第1の構造部品31および第2の構造部品32は分離をし、構成部材56は第1の構造部品31に対して接着され続けるであろう。この技術は構成部材56を修理したり、置換したりするために使用されてもよく、装置30を再生するのに先立って装置30の内部にある構成部材56を除去するために使用されてもよい。
【0029】
上記の説明から、マイクロ波吸収性被覆物40はマイクロ波吸収性媒体として機能するとともに、接着剤として機能することが明白である。これは構成部材を互いに分離するための簡単な技術である。部品のこのような分離は、テレビジョン、コンパクトディスクプレーヤーなどのようなプラスチック製の装置が、装置30の任意の内部構成部材56の修理、置換、または再利用のために開封される必要があるときに、所望される。
【0030】
装置20,21(図1,2)の概略図は、再生可能な装置30を再生する前に、再生可能な装置30から再生不可能な材料50,56を後に簡単に除去するために、再生不可能な材料50,56を再生可能な装置30に対して接着する方法を図示するものである。装置20,21をマイクロ波照射領域(図6および図9)中に配置することにより、再生不可能な材料、すなわち適合性のない材料50,56は再生可能な装置30から離脱される。第1の構造部品および第2の構造部品31,32、および装置30(図10,11)は、装置30を備える構造部品31,32と装置30とを容易に分離するために、構造部品31,32と構成部材56とを接着する方法を図示するものである。これらの概略図は、あらゆる可能性を網羅したり、前述の目的のために設計され得ることを限定したりすることを意図したものではない。本願中に図示されたり、説明されたりしているものを用いることにより、再生可能な装置から再生不可能な材料を除去することが簡易化される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】マイクロ波除去可能な被覆物を有する装置の第1の実施態様の概略断面図。
【図2】マイクロ波除去可能な被覆物を有する装置の第2の実施態様の概略断面図。
【図3】マイクロ波除去可能な被覆物の微視的構成図。
【図4】ポリマー主鎖にグラフト化された官能基の概略図。
【図5】水の誘電率および誘電損失の周波数スペクトル図。
【図6】図1の第1の実施態様の、マイクロ波に対する暴露の初期の状態の概略断面図。
【図7】図6の第1の実施態様の、マイクロ波に対する付加的な暴露時の概略断面図。
【図8】図7の第1の実施態様、および図9の第3の実施態様のマイクロ波暴露後の概略断面図。
【図9】マイクロ波に対する暴露中の装置の第3の実施態様の概略断面図。
【図10】装置の構造部品の概略断面図。
【図11】装置の接着された構造部品の概略断面図。
【技術分野】
【0001】
本発明はポリマーからなる被覆物に関する。より具体的には、本発明は、再生可能な装置に対して構成部材を着脱するために使用される、マイクロ波吸収性のポリマーおよびポリマー被覆物用のマイクロ波吸収性の添加物に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータ、周辺機器、および小型携帯無線呼出し機や携帯電話のような無線装置の急増は、電化製品廃棄物(e−waste)と称する新たな形の廃棄物を生成してきた。これらの装置は、市場性のために外観を向上させるような材料により、塗装されたり、被覆されたりされ得る。さらに、これらの装置には、識別するための部材、または機能性を付加するための部材が付着されてもよい。電化製品廃棄物の一部は、再生することにより再利用されるべきであるとする規制を有する国もある。塗料または付着された構成部材は、それが付着した材料の再生に適合しないので、再生の前に除去されねばならない。このような装置から塗料、および任意の他の再生不可能な材料を除去するための簡易な方法を発見することは、重要である。
【0003】
従来技術においては溶剤を使用しているが、これは環境対応上は好ましくない。溶剤を用いてそのような材料を膨潤させた後、塗料を剥離されることもある。ブラスト法は塗料を除去する一法であるが、ブラスト法では、角部およびヒンジ部から塗料を除去するのは容易ではない。特許文献1には、異なる速度にて回転するローラーを有し、これらのローラーの間の間隙を介して塗料が施された装置を通過させ、塗料を押圧して剥離する装置が説明されている。
【特許文献1】米国特許第6051168号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
小型携帯無線呼出し機、携帯電話、および他のこのような装置から塗料を除去し、装置の再生を可能とする簡易でかつ迅速な技術を発見することが望まれている。さらに、装置の内部構成部材の修理、交換、または除去を行うために、プラスチックの装置を開封するための簡易かつ迅速な技術を発見することもまた望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の1つの態様は、ポリマーからなる装置から構成部材を除去することを補助する
ための被覆物を提供する。その被覆物は、ポリマー中に分散されたマイクロ波吸収性の物質を含む。被覆物は装置の表面に施される。表面に施された被覆物の上に構成部材が重ねて配設され、それにより、被覆物がマイクロ波に暴露されると、マイクロ波吸収性物質はマイクロ波を吸収し、構成部材が装置から分離され得る。
【0006】
本発明の他の態様は、被覆材料を形成するようにマイクロ波吸収性の物質をポリマー中に分散させ、同被覆材料を装置に対して付与することにより、構成部材の除去のために装置を処理する方法を提供する。
【0007】
本発明の第3の態様は、装置の表面上に施されるとともに構成部材の下側に存在し、その後マイクロ波を照射すると、その照射されたマイクロ波を内部に吸収するマイクロ波吸収性被覆物を有する装置を提供することにより、装置から構成部材を除去する方法を提供する。
【0008】
本発明の第4の態様は、マイクロ波吸収性物質をポリマー中に分散して被覆材料を形成し、装置をその構造部品に分離するために処理する工程と、装置の構造部品の接触界面に被覆材料を付与する工程と、装置を形成するべく構造部品を互いに接着する工程とからなる方法を提供する。本発明の第5の態様は、装置の構造部品を相互に接着したマイクロ波吸収性被覆物を有する装置を提供し、その後マイクロ波を照射し、マイクロ波吸収性被覆物中に照射されたマイクロ波を吸収することにより、装置を構造部品に分離する方法を提供する。
【0009】
上記の装置および方法、ならびに他の装置および方法は、本発明の特徴および利点と同様に、付随の図面とともに読まれれば、以下の好ましい実施態様の詳細な説明から一層明瞭となるであろう。詳細な説明および図面は、本発明を限定するものではなく本発明を例示するものであり、本発明の範囲は付随の特許請求項およびそれと等価のものにより定義されるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明は例示により示されるが、付随する図面により限定するものではない。図面中においては類似の参照番号は類似の要素を示す。
図1は、本発明の第1の実施態様である装置20を図示する。装置20は、マイクロ波吸収性被覆物40が被覆された再生可能な装置30を備える。マイクロ波吸収性被覆物40は塗料層50により被覆されている。例えばプラスチックなどの装置の構成部材料を考えると、再生可能な装置30を再生する前に、再生可能な装置30から塗料層50を除去することが望ましい。
【0011】
図2は、本発明の第2の実施態様である装置21を図示するが、マイクロ波吸収性被覆物40により部分的に被覆された再生可能な装置30を備える。構成部材56はマイクロ波吸収性被覆物40の上に位置する。構成部材56は、ラベル、または、例えば発泡ゴム片などの軟質なポリマーであり得る。一例としては、例えばその構成材料がプラスチックなどである場合、装置30を再生する前に、再生可能な装置30からラベルまたは軟質ポリマーを除去することが望ましい。複数の構成部材56が、マイクロ波吸収性被覆物40により、再生可能な装置30に対して接着され得る。
【0012】
図3は、マイクロ波吸収性被覆物40の一実施態様の微視的な概略図である。その層はポリマー41からなり、ポリマー41はポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリシロキサン、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリカーボネート(PC)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)、PC/ABS、ナイロン、ポリフェニレンオキサイド(PPO)、およびハイインパクトポリスチレン(HIPS)などを含むが、これらに限定されるものではない。ポリマー41の中にはマイクロ波吸収性物質42が分散されている。図3において、マイクロ波吸収性物質42は、ポリマー41中に懸濁状態にされた粒子として図示されている。マイクロ波吸収性物質42は、金属、アルミナ、チタン酸塩、セラミック、または任意の他の1GHz〜10GHzのマイクロ波周波数を吸収する材料の微細粒子であり得る。上記の周波数は好ましいマイクロ波周波数の領域であり、上記に限定はされるものではない。代替の実施態様は、図示されてはいないが、マイクロ波吸収性ポリマーをポリマー41中に溶解(図示せず)することにより形成される。マイクロ波吸収性ポリマーには、内因性の伝導性ポリマーおよび外因性の伝導性ポリマーを含む任意の伝導性ポリマーが含まれる。それらの一部を列挙すると、ポリフェニンレン、ポリアセチレン、ポリチオフェン、ポリ(エチレンジオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジフェニルピロール)、ポリ(3−オクチルチオフェン)、ポリアニリン、ポリ(フッ化ビニリデン)、およびポリピロールがある。
【0013】
図4は、マイクロ波吸収性物質42の代替の実施態様を図示する。マイクロ波吸収性の
官能基44は、ポリマー主鎖43に対してグラフト化され得る。代替案としては、1つ以上の付加的なマイクロ波吸収性の官能基45が、ポリマー主鎖に組み込まれ得る。ポリマー主鎖43は、例えば、炭素鎖、または珪素鎖である。官能基44はヒドロキシル基であり、付加官能基45はカルボニル基である。現行の好ましい実施態様において、ヒドロキシル基は好ましい10GHzのマイクロ波周波数で吸収する適正な分極率を有しているので、ヒドロキシル基は好ましい官能基である。
【0014】
図5は水の誘電率ε'、および誘電損失ε”の周波数スペクトルである。物質の誘電損
失ε”は物質の吸収スペクトルと相関関係がある。ヒドロキシル基は、上記のマイクロ波領域における水の吸収スペクトルと類似の吸収スペクトルを有している。マイクロ波吸収性物質42がヒドロキシル基である場合、マイクロ波吸収性被覆物40は、10GHzにおいて最も強く吸収するであろう。
【0015】
主鎖43に対してグラフト化し得るとともに、マイクロ波を吸収する他の官能基には、ハロゲン基、メルカプチル基、硫酸基、リン酸基、カルボン酸基、エステル基、アミノ基、アミド基、およびニトロ基がある。例としては、例えば図4の参照番号44または参照番号45のような種類の官能基のみが、ポリマー主鎖に組み込まれている。
【0016】
装置20は、ポリマー41中にマイクロ波吸収性物質42を分散し、それを層40(図1)として再生可能な装置30に付与することにより、形成される。その後、塗料層50または少なくとも1つの構成部材56(図2)が、マイクロ波吸収性被覆物40の接着性によって、再生可能な装置30に対して付着される。塗料層50は、ポリマー41に対するマイクロ波吸収性物質42と同様に、マイクロ波吸収性被覆物40に顔料および他の添加剤を添加することにより形成され得る。発明者らは本発明を例示するために塗料層を説明しているが、塗料層は装飾用エナメル層、腐食防止層、および耐擦過被覆物層を含む任意の他の機能層であり得る。代替案としては、塗料層50は輝く物、光る物、または転写絵などの装飾材料を含み得る。
【0017】
マイクロ波吸収性物質42(図3)が、再生可能な装置30に対して接着された塗料層50の剥離を生じさせ得るには幾つかの方法がある。
一つの方法が成り立つのは、マイクロ波吸収性物質42(図3)によりマイクロ波のエネルギーが吸収されることにより、マイクロ波吸収性被覆物40と塗料層50とが異なって加熱をされる場合である。この部材間における異なる加熱により、塗料層50に対してマイクロ波吸収性被覆物40が異なる膨張を生じるため、接着の喪失が生じる。
【0018】
この効果は、図6,7,8に図示されている。図6は、マイクロ波源(図示せず)から放射されたマイクロ波60に暴露された当初の装置20を図示する。装置20を照射しているマイクロ波60の周波数は、マイクロ波吸収性被覆物40中に含まれたマイクロ波吸収性物質42(図3)の吸収域内であるように選択されるか、または、マイクロ波吸収性物質42(図3)が存在しない場合には、マイクロ波吸収性被覆物40の吸収域内であるように選択される。図7は、その後、マイクロ波吸収性被覆物40がマイクロ波60を吸収し、それにより、塗料層50に対して大きさが増大した後の、図6の装置20を図示する。全く膨張していないかまたはほとんど膨張していない塗料層50は、膨張したマイクロ波吸収性被覆物40と相互に作用して、多数の箇所において亀裂51を有する。塗料層50がマイクロ波吸収性被覆物40から離脱するほど充分な亀裂51を有すると、装置20はマイクロ波60の照射範囲から除去され得る。マイクロ波吸収性被覆物40は、塗料層50とともに装置30から除去されることが好ましい。一例において、塗料層50の接着性を低減させるマイクロ波吸収性被覆物40の上記の膨張は、再生可能な装置30に対するマイクロ波吸収性被覆物40の接着性をも低減し、図8に示すように、再生可能な装置30のみを残留させる。塗料層50およびマイクロ波吸収性層40をほぼ完全に除去す
るには、空気の吹き付け、ブラシがけ、振盪、または、例えば超音波ベルトまたは超音波プレートを用いた装置20の振動を含み得るその後の清掃を行い得る。同様にして、この部材間での異なる加熱は、マイクロ波吸収性被覆物40により再生可能な装置30に対して接着された構成部材56(図2)を除去するために使用され得る。
【0019】
塗料層50の除去のための代替の方法において、マイクロ波吸収性被覆物40は、接着された塗料層50の第2の熱膨張係数とは異なる第1の熱膨張係数を有するように設計されている。マイクロ波吸収性被覆物40、および接着された塗料層50のほぼ均一な加熱により、接着された塗料層50に対してマイクロ波吸収性被覆物40は異なる膨張を呈し、これにより接着力の喪失が生じる。マイクロ波吸収性被覆物40が、接着された塗料層50よりも大きい熱膨張係数を有する場合に関するこの工程も、図6,7,8に図示されている。さらに、部材間での異なる熱膨張係数は、マイクロ波吸収性被覆物40により再生可能な装置30に対して接着された構成部材56を除去するために利用され得る。幾つかの材料システムに関しては、部材間での異なる加熱と部材間での異なる熱膨張係数との双方は同時に起こり得る。
【0020】
凝集力および接着力の低下はまた、マイクロ波吸収性被覆物40の熱起因の劣化、または化学的な起因の劣化により生じるが、そのいずれもマイクロ波吸収性物質42によるマイクロ波のエネルギーの吸収、またはマイクロ波吸収性被覆物40そのものによって引き起こされる。
【0021】
接着力が低下する機構は、マイクロ波吸収性物質42がメタルフレークおよび伝導性ポリマーなどの伝導性材料であるとき、または、マイクロ波吸収性被覆物40とマイクロ波吸収性物質42とが同一であり、例えばヨウ素をドープしたポリアセチレンまたはポリフッ化ビニリデンなどであるときに生じる。その場合、マイクロ波吸収性被覆物40は自身の接着性を喪失し、再生可能な装置30から剥離する。図9に示されるように、装置20がマイクロ波60に暴露されると、マイクロ波吸収性被覆物40と再生可能な装置30との間に層間剥離間隙70が生じる。これらの間隙70は、塗料層50およびマイクロ波吸収性被覆物40を再生可能な装置30から脱落させる。塗料層50およびマイクロ波吸収性被覆物40の最終的な除去は、空気の吹き付け、ブラシがけ、振盪、または、例えば超音波ベルトまたは超音波プレートを用いた装置20の振動により達成され得る。それにより、図8に図示されるように、再生可能な装置のみが残る。同様の方法により、マイクロ波吸収性被覆物40の接着特性の喪失は、マイクロ波吸収性被覆物40により、再生可能な装置30に対して接着された構成部材56を除去するのに使用され得る。
【0022】
一実施態様において、例えばメタルフレークおよび伝導性ポリマーのようなマイクロ波吸収性物質42は、分解を促進する他の反応性添加物(例えば、アジピン酸)、または媒体材料の1つにグラフト化されたペンダント基(例えば、遊離したカルボン酸基)と結合される。そのような材料の組み合わせを含むマイクロ波吸収性被覆物40は、マイクロ波60に暴露されると凝集性を失うであろう。さらに、例えば、低融点ポリマーの媒体、および加熱されたときに粘度が低下する接着剤の場合のように、粘度の低下は凝集力の低下の機構であり得る。これらの場合には、マイクロ波吸収性被覆物40は凝集度合いを低下させ、それにより、図9に図示されるように、マイクロ波吸収性被覆物40内であって、かつマイクロ波吸収性被覆物40と再生可能な装置30との間に間隙を生じるであろう。その後、マイクロ波吸収性被覆物40、およびその上に存在する塗料層50は、マイクロ波60に暴露されると、再生可能な装置30から脱落するであろう。装置30に対する空気の吹き付け、ブラシがけ、振盪、または、例えば超音波ベルトまたは超音波プレートを用いた振動により、装置30を直ちに清掃したり、引き続いて清掃したりすることが望ましい。同様にして、マイクロ波吸収性被覆物40の凝集性の喪失は、マイクロ波吸収性被覆物40により再生可能な装置30に対して接着された構成部材56を除去するために利
用され得る。
【0023】
現行の好ましい実施態様において、塗料層50を脱落させるのに要するマイクロ波60の暴露時間および/または出力レベルを低減させるため、マイクロ波60の周波数は、マイクロ波吸収性物質42(図3)、および図1のマイクロ波吸収性被覆物40のピーク吸収周波数と等しい。
【0024】
これらの効果の一部または全部は同時に生じ、接着特性および/または凝集特性を喪失させる一方、マイクロ波吸収性被覆物40に熱膨張を生じさせる。
同様に、図2に示されるような、マイクロ波吸収性被覆物40により再生可能な装置30に対して接着された構成部材56を有する装置21は、マイクロ波を暴露されて構成部材56を除去することが可能である。構成部材56が再生不可能である場合には、再生する前に再生可能な装置から構成部材56を除去することが望ましい。例えば、携帯電話は衝撃吸収材として作用する緩衝材すなわち発泡ゴム片を備えている。プラスチック製のケースを共に緩衝材を再生することは不可能なので、プラスチック製のケースの再生に先立って緩衝材を除去しなければならない。装置にはラベルが貼付されており、したがって、ラベルは再生の前に除去されねばならない。マイクロ波吸収性被覆物40を用いて、再生可能な装置30にラベルを貼付することができる。塗料層50および構成部材56が装置上に位置する場合には、1層以上のマイクロ波吸収性被覆物40が用いられ得る。
【0025】
これもまた、装置から塗料および他の材料を除去するための簡単な技術である。マイクロ波吸収性材料に顔料および他の添加物が付加されていても、付加的な工程は必要ではない。塗料を除去するためのアセンブルラインを使用することができ、そのようなアセンブルラインでは、装飾された装置20、または塗料を施された装置20をマイクロ波照射域を通過させ、その後塗料層50および他の構成部材56を再生可能な装置30から分離するために、エアナイフを通過させたり、振動ベルト上を搬送したり、または同様な装置を通過させたりする。
【0026】
図10は、部品を接着するための接着剤としてマイクロ波吸収性被覆物40を使用することを図示する。図10は、第1の構造部品31と第2の構造部品32とを備える装置30を示す。構成部材56は、装置30に対して機能を提供するべく、マイクロ波吸収性被覆物40により第2の構造部品32に対して接着されている。この図において、端面33,34は夫々構造部品31,32が接触する界面を形成する。マイクロ波吸収性被覆物40は第2の構造部品の端面34上に載置される。マイクロ波吸収性被覆物40はまた、端面34上のマイクロ波吸収性被覆物40に加えて、または端面34上のマイクロ波吸収性被覆物40の代わりに、第1の構造部品の端面33に載置されてもよい、。
【0027】
図11は、夫々の端面33,34に沿って接触している第1の構造部品31および第2の構造部品32を図示する。マイクロ波吸収性被覆物40はマイクロ波除去可能な接着剤であり、第1の構造部品31と第2の構造部品32とを共に保持し、装置30を形成する。所望により、この装置は上記のように塗料を施されてもよい。後に構成部材56をさらに進歩した機能性構成部材56と交換するように望まれる場合、図6および図9に示されるように、装置30はマイクロ波60に暴露され、上記のように第1の構造部品31を第2の構造部品32から分離する。
【0028】
しかるべく設計をされていれば、同時にまたは別途に、装置56は第2の構造部品32から分離され、容易に除去されるであろう。このような選択性は、構成部材56を装着するためと、第1の構造構成部材31を第2の構造構成部材32に接着するためとに、異なるマイクロ波の周波数を吸収するマイクロ波吸収性被覆物40を使用することにより得ることができる。あるマイクロ波の周波数が、構成部材56を第1の構造部品31に対して
接着しているマイクロ波吸収性被覆物40により吸収されずに、第1の構造部品31を第2の構造部品32に対して固定しているマイクロ波吸収性被覆物40により吸収されれば、第1の構造部品31および第2の構造部品32は分離をし、構成部材56は第1の構造部品31に対して接着され続けるであろう。この技術は構成部材56を修理したり、置換したりするために使用されてもよく、装置30を再生するのに先立って装置30の内部にある構成部材56を除去するために使用されてもよい。
【0029】
上記の説明から、マイクロ波吸収性被覆物40はマイクロ波吸収性媒体として機能するとともに、接着剤として機能することが明白である。これは構成部材を互いに分離するための簡単な技術である。部品のこのような分離は、テレビジョン、コンパクトディスクプレーヤーなどのようなプラスチック製の装置が、装置30の任意の内部構成部材56の修理、置換、または再利用のために開封される必要があるときに、所望される。
【0030】
装置20,21(図1,2)の概略図は、再生可能な装置30を再生する前に、再生可能な装置30から再生不可能な材料50,56を後に簡単に除去するために、再生不可能な材料50,56を再生可能な装置30に対して接着する方法を図示するものである。装置20,21をマイクロ波照射領域(図6および図9)中に配置することにより、再生不可能な材料、すなわち適合性のない材料50,56は再生可能な装置30から離脱される。第1の構造部品および第2の構造部品31,32、および装置30(図10,11)は、装置30を備える構造部品31,32と装置30とを容易に分離するために、構造部品31,32と構成部材56とを接着する方法を図示するものである。これらの概略図は、あらゆる可能性を網羅したり、前述の目的のために設計され得ることを限定したりすることを意図したものではない。本願中に図示されたり、説明されたりしているものを用いることにより、再生可能な装置から再生不可能な材料を除去することが簡易化される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】マイクロ波除去可能な被覆物を有する装置の第1の実施態様の概略断面図。
【図2】マイクロ波除去可能な被覆物を有する装置の第2の実施態様の概略断面図。
【図3】マイクロ波除去可能な被覆物の微視的構成図。
【図4】ポリマー主鎖にグラフト化された官能基の概略図。
【図5】水の誘電率および誘電損失の周波数スペクトル図。
【図6】図1の第1の実施態様の、マイクロ波に対する暴露の初期の状態の概略断面図。
【図7】図6の第1の実施態様の、マイクロ波に対する付加的な暴露時の概略断面図。
【図8】図7の第1の実施態様、および図9の第3の実施態様のマイクロ波暴露後の概略断面図。
【図9】マイクロ波に対する暴露中の装置の第3の実施態様の概略断面図。
【図10】装置の構造部品の概略断面図。
【図11】装置の接着された構造部品の概略断面図。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置から構成部材を除去するのを補助するための被覆物であって、
ポリマーと、
同ポリマー中に分散されたマイクロ波吸収性物質とを含み、
前記被覆物は装置の表面上に付与されており、該被覆物上には前記構成部材が載置されており、前記被覆物はマイクロ波に暴露されると、マイクロ波吸収性物質はマイクロ波を吸収し、該構成部材が前記装置から分離されることを可能とする被覆物。
【請求項2】
ポリマー中に分散されたマイクロ波吸収性物質はマイクロ波吸収性ポリマーを含む請求項1に記載の被覆物。
【請求項3】
除去されるべき構成部材は塗料層、装飾用エナメル層、腐食防止層、耐擦過被覆物層のうちから選択される、請求項1に記載の被覆物。
【請求項4】
除去されるべき構成部材は柔軟なポリマーである請求項1に記載の被覆物。
【請求項5】
除去されるべき構成部材は装置構造を形成する構造部分を含む請求項1に記載の被覆物。
【請求項6】
マイクロ波吸収性物質は、ポリマー主鎖に対してマイクロ波吸収性の官能基をグラフト化することによりポリマー中に分散される請求項1に記載の被覆物。
【請求項7】
前記被覆物がマイクロ波に暴露されるとき、マイクロ波吸収性の官能基は前記被覆物の接着性を低減させる請求項6に記載の被覆物。
【請求項8】
前記被覆物がマイクロ波に暴露されるとき、マイクロ波吸収性の官能基は前記被覆物の凝集性を低減させる請求項6に記載の被覆物。
【請求項9】
前記被覆物がマイクロ波に暴露されるとき、マイクロ波吸収性の官能基は温度を上昇させる請求項6に記載の被覆物。
【請求項10】
マイクロ波吸収性の官能基は、ハロゲン基、ヒドロキシ基、メルカプチル基、硫酸基、リン酸基、カルボン酸基、エステル基、アミノ基、アミド基、およびニトロ基のうちから選択される請求項6に記載の被覆物。
【請求項11】
マイクロ波吸収性物質は、マイクロ波吸収性の粒子をポリマー中に混合することによりポリマー中に分散される請求項1に記載の被覆物。
【請求項12】
マイクロ波吸収性の粒子は、金属、アルミナ、チタン酸塩、伝導性ポリマー、およびセラミックのうちから選択された請求項11に記載の被覆物。
【請求項13】
前記被覆物がマイクロ波に暴露されるとき、マイクロ波吸収性の粒子は温度を上昇させる請求項11に記載の被覆物。
【請求項14】
前記被覆物がマイクロ波に暴露されるとき、マイクロ波吸収性の粒子は前記被覆物の接着性を低減させる請求項11に記載の被覆物。
【請求項15】
前記被覆物がマイクロ波に暴露されるとき、マイクロ波吸収性の粒子は前記被覆物の凝集性を低減させる請求項11に記載の被覆物。
【請求項16】
マイクロ波吸収性の粒子はポリマー中に懸濁状態にて保持されている請求項11に記載の被覆物。
【請求項17】
マイクロ波吸収性の粒子はポリマー中に溶解されている請求項11に記載の被覆物。
【請求項18】
ポリマー中に分散された顔料および他の添加剤をさらに含み、前記被覆物は塗料層として作用する請求項1に記載の被覆物。
【請求項19】
構成部材を除去するために装置を処理する方法であって、
被覆材料を形成するべく、マイクロ波吸収性物質をポリマー中に分散する工程と、
前記被覆材料を装置に付与する工程とを備える方法。
【請求項20】
被覆された装置上に少なくとも1つの構成部材を接着する工程をさらに備える請求項19に記載の方法。
【請求項21】
顔料および他の添加剤を被覆材料中に分散する工程をさらに備え、前記被覆材料は塗料層として作用する請求項19に記載の方法。
【請求項22】
塗料層として作用する被覆物層上に少なくとも1つの構成部材を接着する工程をさらに備える請求項21に記載の方法。(請求項21を参照)
【請求項23】
除去されるべき構成部材は塗料層、装飾用エナメル層、腐食防止層、耐擦過被覆物層のうちから選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
前記被覆材料上に塗料を付与する工程と、
該塗料層上に少なくとも1つの構成部材を接着する工程をさらに備える請求項19に記載の方法。
【請求項25】
装置から構成部材を除去する方法であって、
構成部材の下に位置し、かつ装置の表面上に付与されているマイクロ波吸収性被覆物を備える装置を提供する工程と、
マイクロ波を照射する工程と、
該照射されたマイクロ波を、マイクロ波吸収性被覆物中に吸収する工程とを備える方法。
【請求項26】
照射されたマイクロ波の吸収に応じて、マイクロ波吸収性被覆物を膨張させる工程と、
マイクロ波吸収性被覆物の膨張に応じて、装置から構成部材を脱離させる工程とをさらに備える請求項25に記載の方法。
【請求項27】
照射されたマイクロ波の吸収に対応してマイクロ波吸収性被覆物の接着性を低減する工程と、
装置から非接着性の層の上に位置する構成部材を除去する工程とをさらに備える請求項25に記載の方法。
【請求項28】
照射されたマイクロ波の吸収に対応してマイクロ波吸収性被覆物の凝集性を低減させる工程と、
装置から非凝集性の層の上に位置する構成部材を除去する工程とをさらに備える請求項25に記載の方法。
【請求項29】
装置をその構造部品に分離するために装置を処理する方法であって、
ポリマー中にマイクロ波吸収性物質を分散して被覆材料を形成する工程と、
装置の構造部品の接触界面に対して、該被覆材料を付与する工程と、
構造部品を互いに接着して装置を形成する工程とを備える方法。
【請求項30】
装置を構造部品に分離する方法であって、
マイクロ波吸収性被覆物により装置の構造部品同士を接着した装置を提供する工程と、
マイクロ波を照射する工程と、
マイクロ波吸収性被覆物中に、同照射されたマイクロ波を吸収する工程とを備える方法。
【請求項1】
装置から構成部材を除去するのを補助するための被覆物であって、
ポリマーと、
同ポリマー中に分散されたマイクロ波吸収性物質とを含み、
前記被覆物は装置の表面上に付与されており、該被覆物上には前記構成部材が載置されており、前記被覆物はマイクロ波に暴露されると、マイクロ波吸収性物質はマイクロ波を吸収し、該構成部材が前記装置から分離されることを可能とする被覆物。
【請求項2】
ポリマー中に分散されたマイクロ波吸収性物質はマイクロ波吸収性ポリマーを含む請求項1に記載の被覆物。
【請求項3】
除去されるべき構成部材は塗料層、装飾用エナメル層、腐食防止層、耐擦過被覆物層のうちから選択される、請求項1に記載の被覆物。
【請求項4】
除去されるべき構成部材は柔軟なポリマーである請求項1に記載の被覆物。
【請求項5】
除去されるべき構成部材は装置構造を形成する構造部分を含む請求項1に記載の被覆物。
【請求項6】
マイクロ波吸収性物質は、ポリマー主鎖に対してマイクロ波吸収性の官能基をグラフト化することによりポリマー中に分散される請求項1に記載の被覆物。
【請求項7】
前記被覆物がマイクロ波に暴露されるとき、マイクロ波吸収性の官能基は前記被覆物の接着性を低減させる請求項6に記載の被覆物。
【請求項8】
前記被覆物がマイクロ波に暴露されるとき、マイクロ波吸収性の官能基は前記被覆物の凝集性を低減させる請求項6に記載の被覆物。
【請求項9】
前記被覆物がマイクロ波に暴露されるとき、マイクロ波吸収性の官能基は温度を上昇させる請求項6に記載の被覆物。
【請求項10】
マイクロ波吸収性の官能基は、ハロゲン基、ヒドロキシ基、メルカプチル基、硫酸基、リン酸基、カルボン酸基、エステル基、アミノ基、アミド基、およびニトロ基のうちから選択される請求項6に記載の被覆物。
【請求項11】
マイクロ波吸収性物質は、マイクロ波吸収性の粒子をポリマー中に混合することによりポリマー中に分散される請求項1に記載の被覆物。
【請求項12】
マイクロ波吸収性の粒子は、金属、アルミナ、チタン酸塩、伝導性ポリマー、およびセラミックのうちから選択された請求項11に記載の被覆物。
【請求項13】
前記被覆物がマイクロ波に暴露されるとき、マイクロ波吸収性の粒子は温度を上昇させる請求項11に記載の被覆物。
【請求項14】
前記被覆物がマイクロ波に暴露されるとき、マイクロ波吸収性の粒子は前記被覆物の接着性を低減させる請求項11に記載の被覆物。
【請求項15】
前記被覆物がマイクロ波に暴露されるとき、マイクロ波吸収性の粒子は前記被覆物の凝集性を低減させる請求項11に記載の被覆物。
【請求項16】
マイクロ波吸収性の粒子はポリマー中に懸濁状態にて保持されている請求項11に記載の被覆物。
【請求項17】
マイクロ波吸収性の粒子はポリマー中に溶解されている請求項11に記載の被覆物。
【請求項18】
ポリマー中に分散された顔料および他の添加剤をさらに含み、前記被覆物は塗料層として作用する請求項1に記載の被覆物。
【請求項19】
構成部材を除去するために装置を処理する方法であって、
被覆材料を形成するべく、マイクロ波吸収性物質をポリマー中に分散する工程と、
前記被覆材料を装置に付与する工程とを備える方法。
【請求項20】
被覆された装置上に少なくとも1つの構成部材を接着する工程をさらに備える請求項19に記載の方法。
【請求項21】
顔料および他の添加剤を被覆材料中に分散する工程をさらに備え、前記被覆材料は塗料層として作用する請求項19に記載の方法。
【請求項22】
塗料層として作用する被覆物層上に少なくとも1つの構成部材を接着する工程をさらに備える請求項21に記載の方法。(請求項21を参照)
【請求項23】
除去されるべき構成部材は塗料層、装飾用エナメル層、腐食防止層、耐擦過被覆物層のうちから選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
前記被覆材料上に塗料を付与する工程と、
該塗料層上に少なくとも1つの構成部材を接着する工程をさらに備える請求項19に記載の方法。
【請求項25】
装置から構成部材を除去する方法であって、
構成部材の下に位置し、かつ装置の表面上に付与されているマイクロ波吸収性被覆物を備える装置を提供する工程と、
マイクロ波を照射する工程と、
該照射されたマイクロ波を、マイクロ波吸収性被覆物中に吸収する工程とを備える方法。
【請求項26】
照射されたマイクロ波の吸収に応じて、マイクロ波吸収性被覆物を膨張させる工程と、
マイクロ波吸収性被覆物の膨張に応じて、装置から構成部材を脱離させる工程とをさらに備える請求項25に記載の方法。
【請求項27】
照射されたマイクロ波の吸収に対応してマイクロ波吸収性被覆物の接着性を低減する工程と、
装置から非接着性の層の上に位置する構成部材を除去する工程とをさらに備える請求項25に記載の方法。
【請求項28】
照射されたマイクロ波の吸収に対応してマイクロ波吸収性被覆物の凝集性を低減させる工程と、
装置から非凝集性の層の上に位置する構成部材を除去する工程とをさらに備える請求項25に記載の方法。
【請求項29】
装置をその構造部品に分離するために装置を処理する方法であって、
ポリマー中にマイクロ波吸収性物質を分散して被覆材料を形成する工程と、
装置の構造部品の接触界面に対して、該被覆材料を付与する工程と、
構造部品を互いに接着して装置を形成する工程とを備える方法。
【請求項30】
装置を構造部品に分離する方法であって、
マイクロ波吸収性被覆物により装置の構造部品同士を接着した装置を提供する工程と、
マイクロ波を照射する工程と、
マイクロ波吸収性被覆物中に、同照射されたマイクロ波を吸収する工程とを備える方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2007−528914(P2007−528914A)
【公表日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−532964(P2006−532964)
【出願日】平成16年5月11日(2004.5.11)
【国際出願番号】PCT/US2004/014760
【国際公開番号】WO2005/000991
【国際公開日】平成17年1月6日(2005.1.6)
【出願人】(390009597)モトローラ・インコーポレイテッド (649)
【氏名又は名称原語表記】MOTOROLA INCORPORATED
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年5月11日(2004.5.11)
【国際出願番号】PCT/US2004/014760
【国際公開番号】WO2005/000991
【国際公開日】平成17年1月6日(2005.1.6)
【出願人】(390009597)モトローラ・インコーポレイテッド (649)
【氏名又は名称原語表記】MOTOROLA INCORPORATED
【Fターム(参考)】
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