説明

マイクロ流体チップの微小流路を流過する細胞の切断装置、マイクロ流体チップおよび細胞の切断方法

【課題】マイクロ流体チップの利点を活用し、細胞の復元を容易にし、確実に細胞を切断することができるようにする。
【解決手段】細胞画像取得手段によって画像取得された細胞を細胞吸引手段によって、細胞吸引微小流路に吸引させ、細胞の一部が細胞吸引微小流路側に位置し、細胞の他部が微小流路側に残留する分岐部細胞保持状態を形成し、細胞画像取得手段によって監視された吸引された細胞が細胞保持状態形成の時に、分岐部の開口部で、微小流路を切断液が流過されることによって切断されるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロ流体チップの微小流路を流過する細胞の切断装置と切断方法、並びにこの切断に用いられるマイクロ流体チップに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に示すように新たなクローニング手法として自動核移植装置が提案されている。これは、クローニングの高速度化を目指したもので、2分割した卵細胞から核を持った方を除去し、ドナー細胞と無核細胞の2個に電圧を印加して融合させるものである。このような手法の適用に際して細胞を切断することが必要になる。特許文献1には、ブレードによる細胞切断あるいは流体力による細胞切断が記載されている。
【0003】
特許文献2には、マイクロチップの一部に細胞破砕部と設けることが記載されている。
特許文献3には、粒子性状を3次元に表示する画像表示装置が記載されている。
特許文献4には、流体中の粒子像を静止画像として捕え、画像中から目的とする対象物を解析する方法が記載されている。
【0004】
【特許文献1】特開2006−325429号公報
【特許文献2】特開2006−220551号公報
【特許文献3】特開2007−78590号公報
【特許文献4】特開平8−86736号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1には、細胞を押しつぶしたり、鋭利な刃でもって切断したり、あるいは流体の流圧によって引っ張って細胞を分割することが記載されている。細胞を鋭利な刃でもって切断することは切断後における細胞の復元を考慮した場合に望ましいものとは言えない。また流体力によって細胞を切断することは細胞の復元を考慮した場合に望ましいものであるが、流圧による引張りによる方法では確実に細胞を切断することを行ない得ないおそれがある。
【0006】
マイクロ流体チップに設けた微小流路は外気から遮断された空間であり、内部を流れる流体の蒸発がないため、蒸発などによる流れの乱れは発生しない。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてマイクロ流体チップの利点を活用し、細胞の復元を容易にし、確実に細胞を切断することの出来る細胞切断装置、細胞切断方法並びにこれらに使用するマイクロ流体チップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、細胞導入部と細胞導出部を有する透明性の微小流路を備え、該微小流路に前記細胞導入部から細胞を導入して流過液と共に前記微小流路を流過させるようにしたマイクロ流体チップであって、該マイクロ流体チップの前記微小流路を流過する細胞の細胞切断装置において、
前記マイクロ流体チップには、前記微小流路から直角状方向に、前記微小流路に向って開口部が形成された分岐部を介して細胞吸引する透明性の細胞吸引微小流路が設けられ、
前記微小流路を流過する細胞を前記細胞吸引微小流路に吸引する細胞吸引手段が設けられ、
前記微小流路を流過する細胞の流過状況および前記細胞吸引微小流路への細胞の吸引状態を画像として取得する細胞画像取得手段が設けられ、
前記細胞画像取得手段によって画像取得された細胞を前記細胞吸引手段によって、前記細胞吸引微小流路に吸引させ、細胞の一部が細胞吸引微小流路側に位置し、細胞の他部が微小流路側に残留する分岐部細胞保持状態を形成し、前記細胞画像取得手段によって監視された前記吸引された細胞が前記細胞保持状態形成の時に、前記分岐部の開口部で、前記微小流路を切断液が流過されることによって切断されるようにした細胞切断手段が設けられること
を特徴とする細胞切断装置を提供する。
【0009】
本発明は、細胞導入部と細胞導出部を有する微小流路を備え、該微小流路に前記細胞導入部から細胞を導入して流過液と共に前記微小流路を流過させるようにしてマイクロ流体チップにおいて、
前記微小流路から直角状方向に前記微小流路に向って開口部が形成された分岐部を介して細胞吸引する細胞吸引微小流路が設けられ、
前記微小流路を流過する細胞を前記細胞吸引微小流路に吸引する細胞吸引手段が接続され、
前記微小流路を流過する細胞が、前記細胞吸引手段によって前記細胞吸引微小流路に吸引されて前記分岐部で細胞の一部が細胞吸引微小流路側に位置し、細胞の他部が微小流路側に残留する分岐部細胞保持状態が形成され、この状態形成時に前記微小流路に切断液が流過されて前記分岐部の開口部で、前記分岐部に保持する細胞を切断するようにした細胞切断手段が設けられること
を特徴とするマイクロ流体チップを提供する。
【0010】
本発明は、細胞導入部と細胞導出部を有する透明性の微小流路を備え、該微小流路に前記細胞導入部から細胞を導入して流過液と共に前記微小流路を流過させるようにしたマイクロ流体チップであって、
前記マイクロ流体チップには、前記微小流路から直角状方向に、前記微小流路に向って開口部が形成された分岐部を介して細胞吸引する透明性の細胞吸引微小流路が設けられ、
前記微小流路を流過する細胞を前記細胞吸引微小流路に吸引する細胞吸引手段が設けられ、
前記微小流路を流過する細胞の流過状況および前記細胞吸引微小流路への細胞の吸引状態を画像として取得する細胞画像取得手段が設けられ、
前記マイクロ流体チップの前記微小流路を流過する細胞の細胞切断方法において、
前記細胞画像取得手段によって画像取得された細胞を前記細胞吸引手段によって、前記細胞吸引微小流路に吸引させ、細胞の一部が細胞吸引微小流路側に位置し、細胞の他部が微小流路側に残留する分岐部細胞保持状態を形成し、前記細胞画像取得手段によって監視された前記吸引された細胞を、前記細胞保持状態形成の時に、前記分岐部の開口部で、前記微小流路に切断液を流過させることによって切断するようにしたこと
を特徴とする細胞切断方法を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、微小流路を流過する細胞が、細胞吸引手段によって細胞吸引微小流路に吸引されて分岐部で細胞の一部が細胞吸引微小流路側に位置し、細胞の他部が微小流路に残留する分岐部細胞保持状態が形成され、この状態形成時に微小流路に流過液が流過されて分岐部の開口部で、分岐部に保持する細胞を切断するようにした細胞切断手段が設けられており、これによって、マイクロ流体チップの利点を活用し、細胞の復元を容易にし、確実に細胞を切断することの出来る細胞切断装置、細胞切断方法並びにこれらに使用するマイクロ流体チップを提供することができる。
【0012】
また、本発明によれば、細胞画像取得手段によって画像取得された細胞を細胞吸引手段によって、細胞吸引微小流路に吸引させ、細胞の一部が細胞吸引微小流路の分岐部に位置し、細胞の他部が微小流路に残留する分岐部細胞保持状態を形成し、細胞画像取得手段によって監視された吸引された細胞を、細胞保持状態形成の時に、分岐部の開口部で、微小流路に流過液を流過させることによって切断するようにしており、画像を見ながら流体力を利用して細胞を確実に切断することができる。また、この方法によれば、高速に多量の細胞を切断することができ、クローン技術の発展に伴って、同一遺伝子を持った実験動物の生産、家畜の品種改良、臓器などの再生医療応用など多方面での応用が期待できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例】
【0014】
図1は、本発明の実施例の細胞切断装置の概略を示す構成図である。図1において、細胞切断装置100は、高分子であるPDMS(ポリジメチルシロキサン)で形成されたマイクロ流体チップ1、マイクロ流体チップ1に接続されたポンプ2、3、4、マイクロ流体チップ1と各ポンプを接続する流体接続管5、6、7、マイクロ流体チップ1に形成した微小流路および細胞吸引微小流路およびこれらの流路を流体と共に流過する細胞を撮映するカメラ9を含む撮像装置(CCD)8、撮像した細胞の画像を記録するビデオ10およびビデオ10からの画像データを入力し、撮像した細胞画像を表示する画面13を備えた画像表示装置12、ポンプ2、3、4の制御を行う制御装置14とから構成される。
【0015】
図2は、マイクロ流体チップ1の詳細を示す平面断面図、図3は、図2の正面断面図である。これらの図においてマイクロ流体チップ1は、チップ本体21とチップ本体22が載置されるガラス基板22と、チップ本体21の内部に形成した微小流路23とこの微小流路23に接続され、流体および細胞導入部24と流体および細胞導出部26と微小流路23に接続された細胞吸引微小流路27と微小流路23に接続された切断流流路29とから構成され、流体および細胞導入部24にはシリコンチューブで形成され流体接続管5に接続された第一のチューブ25が接続され、流体および細胞導出部26には同様に流体接続管6に接続された第二のチューブ(図示せず)が接続され、細胞吸引微小流路27には流体および細胞吸引手段(図示せず)に接続された第二のチューブ28が接続され、切断流流路29には流体接続管7に接続された第四のチューブ30が接続される。各部の寸法は図2および図3に図示した通りである。
【0016】
マイクロ流体チップ1は、透明性のPDMSで形成してあり、従って微小流路23、細胞吸引微小流路27およびそのほかの流路は透明性の流路として形成される。
【0017】
このように、透明性の微小流路23は、細胞導入部(流体および細胞導入部24)および細胞導出部(流体および細胞導出部26)を備え、マイクロ流体チップ1は微小流路23に細胞導入部から細胞を導入し、流体(流過液)と共に細胞が微小流路23を細胞導出部に向けて流通する。
【0018】
細胞吸引微小流路27は、微小流路23から直角方向に、微小流路23に向って開口部31が形成された分岐部32を介して細胞を流過液の一部と共に吸引する。すなわち、微小流路23を流過する細胞は、細胞吸引手段によって細胞吸引微小流路27に吸引される。
【0019】
この吸引によって、微小流路23を流過する細胞が、分岐部32で細胞の一部が細胞吸引微小流路側に位置し、細胞の他部が微小流路側に残留する分岐部おける細胞保持状態(分岐部細胞保持状態)が形成される。
【0020】
この状態形成時に、切断流流路29から微小流路23に切断液が流過される。細胞導入部から流入するようにしてもよい。
【0021】
このようにして、微小流路23を流過する細胞が、細胞吸引手段によって細胞吸引微小流路27に吸引されて分岐部32で細胞の一部が細胞吸引微小流路側に位置し、細胞の他部が微小流路側に残留する分岐部細胞保持状態が形成され、この状態形成時に微小流路23に切断液が流過されて前記分岐部32の開口部31で分岐部32に保持する細胞を切断するようにした細胞切断手段が形成されることになる。
【0022】
切断流が流過すると、分岐部32の開口部31が切断刃の作用をなして分岐部32に保持する細胞を切断する。微小流路23からの細胞の吸引作用保持作用および切断作用にとって細胞吸引微小流路27は、微小流路から直角方向に形成されることは重要である。直角方向と言っても数学的な直角ばかりでなく、数度の傾きは許容され、以って直角状方向と表現することにする。
【0023】
以下、図4および図5を使用して切断流による細胞の切断について説明する。卵細胞を切断するためには、まず細胞膜表面にある透明帯を除去する。これをプロナーゼ酵素にて除去する。次に,細胞内部の細胞骨格を壊し、細胞をやわらかくするためにサイトカラシンに5分程度反応させる.これにより、細胞骨格が壊れ、以下に示すように細胞の切断が可能となる。
【0024】
図4(A)は卵子の細胞切断方法を実験例で示し、図4(B)は図4(A)がやや不鮮明であるので、ポンチ画によって図4(A)の内容を図示するものである。従って、図4(A)(1)を見るに当って図4(B)(1)を参照するものとする。
【0025】
図4(A)(1)(以下、図4(1)と記載する。)は、図2に示したマイクロ流体チップ1を示し、細胞吸引微小流路27の分岐部32の開口部31にて卵子の細胞を切断する状態を示す。図において、点線枠は分岐部状態を示し、矢印は流過液、切断流の流れ方向を示す。前述したように、マイクロ流体チップ1の各流路は外気から遮断された空間であり、各流路を流れる流体の蒸発がないため、蒸発による流れの乱れは発生しない。また、各流路の設計により細胞の位置決めを容易に行うことができる。また、上述したように、マイクロ流体チップ1は、PDMSとガラス22との組み合わせになるものであり、透明性が高く、撮像装置8による画像取得が容易である。
【0026】
図4(2)に示すように、細胞(黒枠表示)を搬送流である流過液に乗せ、細胞吸引微小流路27の開口部31付近に位置させる。この状態から細胞吸引手段によって細胞を、すなわち細胞を含む流過液を細胞吸引微小流路27に吸引する。図4(3)に吸引した状態を示す。この状態は、分岐部32で細胞の一部(図7で上側)が細胞吸引微小流路側に位置し、細胞の他部(図で下側)が微小流路側に残留している分岐部細胞保持状態である。
【0027】
図4(4)に示すように、この状態形成時に微小流路23に切断流が矢印のように流し、開口部31の角部(直角状角部)を利用して切断流の有する流れ力によって細胞の切断を行う。切断された細胞の一部は吸引力によって細胞吸引微小流路27を上方へと移動される。
【0028】
図4(5)は、上方へと移動した細胞が静止し、また切断された他方の細胞も微小流路図において静止している状態を示す。
図4(6)は、切断された2つの細胞(Cut cells)が微小流路23に位置された状態を示す。このようにして、微小流路23に置かれた2つの細胞はピペット(Pipette)によって吸い出される。
【0029】
切断された直後は細胞は伸びた状態になっているが、約1分程度で球形に復元する。復元した状態を図4(7)に示す。この例はウシ卵子の細胞の例であるが、他の細胞についても同様の挙動となることが実験によって確認された。
【0030】
図4に示す切断方法は細胞を画像として直接的に捉えて、細胞画像監視によって確実かつ容易に行うことができる。図5に画像処理方法を示す。図5(A)はその画像処理ステップを示し、図5(B)は図5(A)がやや不鮮明であるので、ポンチ画によって図5(A)の内容を図示するものである。従って、図5(A)(1)を見るに当って図5(B)(1)を参照するものとする。
【0031】
図5(A)(1)(以下、図5(1)と記載する。)は、マイクロ流体チップ1の微小流路23および細胞吸引微小流路27の背景画像を示す。
図5(2)に示すように、撮像手段8によって細胞の画像を取得する。次に図5(3)に示すように細胞の画像と背景画像の差分画像を取得する。
このような差分画像の取得は、画像についての2値化処理によって容易に行うことができる。
【0032】
このようにして差分画像を取得して細胞吸引微小流路27に細胞を吸引することを行うが、細胞吸引微小流路27に位置させた細胞の一部の体積は、ピクルス数で換算することができる。従って、細胞吸引手段に用いるポンプの駆動を変えることで、細胞の吸引および切断を様式的にかつ自動的に処理することができる。図5(4)はこのようにして様式的にかつ自動的に細胞を切断する状態を示す。
【0033】
このように、本実施例は微小流路23を流過する細胞の流過状況および細胞吸引微小流路27への細胞の吸引状態を画像として取得する細胞画像取得手段を設けている。更に、細胞画像取得手段によって画像取得された細胞を細胞吸引手段によって、細胞吸引微小流路27に吸引させ、画面上で、細胞の一部が細胞吸引微小流路側に位置し、細胞の他部が微小流路側に残留する分岐部細胞保持状態を形成し、細胞画像取得手段によって監視された吸引された細胞が画面上で、細胞保持状態が形成された時に、分岐部の開口部31で、画面を監視して微小流路23に切断液を流過させることによって切断されるようにしている。
【0034】
従来のマニピュレータを用いた手法では、マニピュレータによる細胞の画像取得が難しく、また、マニピュレータの位置制御、切断刃位置のキャリブレーションなどの多くの処理手順を要したが、本実施例によると、流過液と共に流過していく細胞について撮像手段8によって直接的に画像として捉えることが可能となって吸引、分岐部保持および切断を画像監視することによって確実に行うことができる。そして、吸引、分岐部保持および切断、更には切断された細胞に撮像され、ビデオ10(図1)に集録され、以後の観察に供されることになる。
【0035】
本実施例は、透明なマイクロ流体チップ1を用いて、またその中を流れる流体を用いて細胞を切断するようにしており、この場合に画像処理を併用することによって細胞切断の自動高速化を実現している。
【0036】
本実施例によって取得された切断された細胞は、クローン技術の発展に伴う同一遺伝子を持った実験動物の生産、家畜の品種改良、臓器などの再生医療応用など多方面に応用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の実施例の全体構成を示す概略図。
【図2】本発明の実施例の一部詳細を示す平面断面図。
【図3】図2の正面断面図。
【図4】細胞切断方法を示す実験図。
【図5】画像処理方法を用いた切断方法を示す図。
【符号の説明】
【0038】
1…マイクロ流体チップ、2,3,4…ポンプ、5,6,7…流体接続管、8…撮像装置(CCD)、9…カメラ、10…ビデオ、12…画像表示装置、13…画面、14…制御装置、21…チップ本体、22…ガラス基板、23…微小流路、24…流体および細胞導入部(細胞導入部)、26…流体および細胞導出部(細胞導出部)、27…細胞吸引微小流路、29…切断流流路、31…開口部、32…分岐部、100…細胞切断装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞導入部と細胞導出部を有する透明性の微小流路を備え、該微小流路に前記細胞導入部から細胞を導入して流過液と共に前記微小流路を流過させるようにしたマイクロ流体チップであって、該マイクロ流体チップの前記微小流路を流過する細胞の細胞切断装置において、
前記マイクロ流体チップには、前記微小流路から直角状方向に、前記微小流路に向って開口部が形成された分岐部を介して細胞吸引する透明性の細胞吸引微小流路が設けられ、
前記微小流路を流過する細胞を前記細胞吸引微小流路に吸引する細胞吸引手段が設けられ、
前記微小流路を流過する細胞の流過状況および前記細胞吸引微小流路への細胞の吸引状態を画像として取得する細胞画像取得手段が設けられ、
前記細胞画像取得手段によって画像取得された細胞を前記細胞吸引手段によって、前記細胞吸引微小流路に吸引させ、細胞の一部が細胞吸引微小流路側に位置し、細胞の他部が微小流路側に残留する分岐部細胞保持状態を形成し、前記細胞画像取得手段によって監視された前記吸引された細胞が前記細胞保持状態形成の時に、前記分岐部の開口部で、前記微小流路を切断液が流過されることによって切断されるようにした細胞切断手段が設けられること
を特徴とする細胞切断装置。
【請求項2】
細胞導入部と細胞導出部を有する微小流路を備え、該微小流路に前記細胞導入部から細胞を導入して流過液と共に前記微小流路を流過させるようにしてマイクロ流体チップにおいて、
前記微小流路から直角状方向に前記微小流路に向って開口部が形成された分岐部を介して細胞吸引する細胞吸引微小流路が設けられ、
前記微小流路を流過する細胞を前記細胞吸引微小流路に吸引する細胞吸引手段が接続され、
前記微小流路を流過する細胞が、前記細胞吸引手段によって前記細胞吸引微小流路に吸引されて前記分岐部で細胞の一部が細胞吸引微小流路側に位置し、細胞の他部が微小流路側に残留する分岐部細胞保持状態が形成され、この状態形成時に前記微小流路に切断液が流過されて前記分岐部の開口部で、前記分岐部に保持する細胞を切断するようにした細胞切断手段が設けられること
を特徴とするマイクロ流体チップ。
【請求項3】
細胞導入部と細胞導出部を有する透明性の微小流路を備え、該微小流路に前記細胞導入部から細胞を導入して流過液と共に前記微小流路を流過させるようにしたマイクロ流体チップであって、
前記マイクロ流体チップには、前記微小流路から直角状方向に、前記微小流路に向って開口部が形成された分岐部を介して細胞吸引する透明性の細胞吸引微小流路が設けられ、
前記微小流路を流過する細胞を前記細胞吸引微小流路に吸引する細胞吸引手段が設けられ、
前記微小流路を流過する細胞の流過状況および前記細胞吸引微小流路への細胞の吸引状態を画像として取得する細胞画像取得手段が設けられ、
前記マイクロ流体チップの前記微小流路を流過する細胞の細胞切断方法において、
前記細胞画像取得手段によって画像取得された細胞を前記細胞吸引手段によって、前記細胞吸引微小流路に吸引させ、細胞の一部が細胞吸引微小流路側に位置し、細胞の他部が微小流路側に残留する分岐部細胞保持状態を形成し、前記細胞画像取得手段によって監視された前記吸引された細胞を、前記細胞保持状態形成の時に、前記分岐部の開口部で、前記微小流路に切断液を流過させることによって切断するようにしたこと
を特徴とする細胞切断方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−142251(P2009−142251A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−326073(P2007−326073)
【出願日】平成19年12月18日(2007.12.18)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成19年度独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構生物系特定産業技術研究支援センター「生物系産業創出のための異分野融合研究支援事業」、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【出願人】(501203344)独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 (827)
【Fターム(参考)】