マイクロ流体基板へのエレクトロスプレイインターフェイス
化学的分離のための装置が、サンプルの溶離液を出力するための出口開口を有しているマイクロ流体基板、溶離液を受け取るための入り口と、溶離液のスプレイを放射するための出口とを有しているスプレイユニット、および力印加ユニットを備えている。スプレイユニットが、入り口を定める変形可能部を有しており、変形可能部の弾性率がマイクロ流体基板の弾性率よりも低い。ばねなどの力印加ユニットが、変形可能部を実質的に流体を漏らさないシールを形成すべく基板に押し付けるように配置されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2009年3月6日付の「Liquid Chromatography−Mass Spectrometry Apparatus Having a Microfluidic Substrate」という名称の米国特許仮出願第61/158,230号の優先権を主張し、その全体が、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、広くには、液体クロマトグラフィ−質量分析の装置に関する。より具体的には、本発明は、そのような分析装置によって使用されるマイクロ流体基板へのエレクトロスプレイインターフェイスに関する。
【背景技術】
【0003】
高性能液体クロマトグラフィ(HPLC)装置は、化合物の分離、同定、および定量化のための分析ツールである。伝統的なHPLC装置は、ステンレス鋼管から作られた分析カラムを使用する。典型的には、管の内腔の直径が4.7mmであり、管の長さが約5cm〜約25cmの範囲である。
【0004】
さらに、HPLC装置の分析カラムは、典型的には、管へと取り付けられたフリット付きの端部取付具を有している。種々の官能基で官能化された粒子(典型的には、シリカをベースとする)が、管に詰め込まれる。
【0005】
完成したカラムを使用して最適な分離効率を達成するために、移動相の適切な流量が重要である。直径5μmの粒子が詰め込まれた直径4.7mmのカラムにおいては、所望の流量が、典型的には約1mL/min〜約2mL/minの間である。分離の効率を維持するために、HPLC装置の配管内の掃引されないデッドボリュームの存在を最小限にすることが所望される。
【0006】
HPLC装置において、インジェクタが、サンプルを別個の流体プラグとして流れている移動相へと注入するために典型的に使用される。カラムへと移動および/またはカラムから移動するときのプラグのバンド(band)の分散が、クロマトグラフシステムの最終的な効率を低下させる。例えば、4.7mmのカラム管および1〜2mL/minで流れる移動相を使用するクロマトグラフシステムにおいては、1/16インチの外径および約0.010インチの内径を有する管が、HPLCの種々の構成部品(例えば、ポンプ、インジェクタ、カラム、および検出器)の間の接続を配管するために、典型的に使用される。これらの流量および管の寸法においては、管のインターフェイスにおけるバンドの広がりを最小限に保証する公差へとポートの細部を加工することが、比較的容易である。
【0007】
1つには、移動相の溶媒の消費を少なくするという要望が、カラムの内径の縮小へと向かう傾向を動機付けている。それ故に、典型的には表1に示されるとおりに定義されるいくつかの規模のクロマトグラフィが、今や一般的に実施されている(表において、IDは内径である)。
【表1】
【0008】
マイクロボアHPLCは、多くの場合に、わずかな変更にて分析規模のHPLCに使用される設備と同様の設備によって実行されている。取付具の製作においてわずかな追加の注意を払う必要がある点を除き、マイクロボアHPLCは、典型的には、分析規模のHPLCと同様の操作熟練レベルしか必要としない。
【0009】
対照的に、毛管規模およびナノ規模のHPLCは、分析規模のHPLCと比べて、HPLCの構成部品に比較的大きな変更を必要とする。分析およびマイクロボアのHPLCシステムにおいて一般的に見られるポンプなどの標準的な開ループの復動HPLCポンプを使用して約50μL/minよりも少ない安定な移動相の流れを生成することは、比較的困難である。
【0010】
毛管規模のクロマトグラフィにおいては、ステンレス鋼管を構成部品の相互接続に使用することができるが、内径が、典型的には0.005インチ未満(約125μm未満)でなければならない。わずかな量のデッドボリュームの発生さえも回避するために、取付具の末端の製造において、広く注意が必要とされる。
【0011】
ナノ規模のクロマトグラフィにおいては、装置の構成部品を互いに接続する(例えば、ポンプを分離カラムへと接続する)ために、約25〜50μmの内径を有する管が、典型的に必要とされる。ステンレス鋼管は、典型的にはこのような寸法では入手できないため、ポリイミドでコートされた石英ガラス管が、典型的に使用される。石英ガラス管は、優秀な寸法公差を有し、きわめて清浄な非反応性の内壁を有するが、壊れやすく、取り扱いが難しくなりうる。さらに、掃引されない数ナノリットルのデッドボリュームでさえも防止するために、相互接続のポートを厳格な公差へと加工しなければならない。
【0012】
分析規模のHPLCをマイクロボア規模のHPLCで置き換える主な動機が、溶媒の消費を少なくするという要望であってもよい一方で、毛管規模およびナノ規模のクロマトグラフィへの移行は、例えば約10μL/min未満の流量が使用される場合に、溶媒の消費のさらなる削減に加えて、質量分析計の検出感度の向上を後押しすることができる。さらに、毛管規模またはナノ規模のシステムは、多くの場合に、利用可能なサンプルが少量である用途において典型的に求められる高感度な検出のための唯一の選択肢である(例えば、新生児の血液スクリーニング検査)。
【0013】
毛管規模およびナノ規模のクロマトグラフィの利点にもかかわらず、HPLCのユーザは、マイクロボア規模および分析規模のクロマトグラフィシステムを採用する傾向にある。上述のように、これらのシステムは、典型的には良好な信頼性を提供し、比較的使用が容易である。対照的に、毛管規模またはナノ規模のクロマトグラフシステムの運転時に良好なクロマトグラフィ効率を維持することは、システムの配管接続(例えば、管を使用してポンプ、インジェクタ、カラム、および検出器を接続する)の際に多大な注意を必要とする。
【0014】
実務において、分析規模またはマイクロボア規模のシステムから毛管規模またはナノ規模のシステムへと移行する作業者が、より大流量の(すなわち、分析規模またはマイクロボア規模の)システムほどより良好な分離効率が達成されることを発見することも多い。これは、典型的には、バンドの拡散が少ない管の相互接続を実現するために必要な作業者の知識および経験が、不充分であることに起因して生じる。さらに、より小さな内径の管が使用されることで、管の頻繁な詰まりにつながることも多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】米国特許出願公開第2009/032135号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
毛管規模のHPLCシステムにおいて典型的に直面され、ナノ規模のHPLCシステムにおいてさらに直面される相対的な困難性ゆえに、そのようなシステムは、主として、サンプルのサイズが小さいなどの必要な場合に限り、比較的熟練した作業者が存在する場合に限って、使用されている。このように、分析実験室は、毛管規模およびナノ規模のシステムよりも分析規模およびマイクロボア規模のシステムを多く保有する傾向にあり、毛管規模およびナノ規模のHPLCから得られるすべての利点を実現してはいない。
【0017】
HPLCなどの分離技法は、サンプルについて多次元的な情報をもたらすために、1つ以上のさらなる分析技法と組み合わせて利用されることが多い。例えば、質量分析計(MS)が、分子量および構造についての情報をもたらすことができる。別個の技法を組み合わせるうえでの1つの問題は、サンプルのインターフェイスを設けることにある。
【0018】
例えば、LCおよびMSの組み合わせは、典型的には、MSによる分析のために、LCによって生成されたサンプル溶離液の搬送およびイオン化を必要とする。電界脱離、サーモスプレイ、およびエレクトロスプレイなどのソフトイオン化技法が、たんぱく質およびペプチドなどの高分子量の分子から由来する完全の分子イオンの生成において有益である。精密な生物学的用途が、好ましいソフトイオン化技法を決定することが多い。
【0019】
本発明のいくつかの実施形態は、マイクロ流体クロマトグラフィの構成部品およびスプレイエミッタのためのサンプル−溶離液のインターフェイスを、導管の弾性変形可能部と比較的剛性のあるマイクロ流体基板との間の可逆な機械的接触によって実現できるという認識から生まれている。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明は、一態様において、化学的分離のための装置に関する。装置は、サンプルの溶離液を出力するための出口開口を有しているマイクロ流体基板、溶離液を受け取るための入り口と、溶離液のスプレイを放射するための出口とを有しているスプレイユニット、ならびに力印加ユニットを備える。スプレイユニットが、入り口を定める変形可能部を有しており、変形可能部の弾性率がマイクロ流体基板の弾性率よりも低い。ばねなどの力印加ユニットが、変形可能部を実質的に流体を漏らさないシールを形成すべく基板に押し付けるように配置されている。本発明の他の態様は、マイクロ流体ベースの装置を製作する方法、分析方法、および他のマイクロ流体ベースの装置に関する。
【0021】
本発明の上述の利点およびさらなる利点が、以下の説明を添付の図面と併せて参照することによって、よりよく理解される。添付の図面においては、種々の図において、類似の番号が類似の構造要素および要素(features)を指し示している。図面は必ずしも比例尺でなく、本発明の原理を示すことに強調が置かれている。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】マイクロ流体カートリッジが取り付けられた状態にある液体クロマトグラフィモジュールを備えている液体クロマトグラフィ−質量分析計システムの実施形態の正面図である。
【図2】液体クロマトグラフィモジュールの実施形態の正面図である。
【図3】液体クロマトグラフィモジュールの図であり、内部に収容されたクランプアセンブリを見せるためにカバーが開かれた状態にある。
【図4】液体クロマトグラフィモジュールに収容されるクランプアセンブリの実施形態の斜視図である。
【図5】クランプアセンブリの側面図である。
【図6】クランプアセンブリの正面図である。
【図7】クランプアセンブリの端部ハウジングの実施形態の図である。
【図8】端部ハウジングの分解斜視図である。
【図9】端部ハウジングの後壁の別の実施形態の外面図である。
【図10】端部ハウジングの後壁の別の実施形態の内面図である。
【図11】マイクロ流体カートリッジの一実施形態の右側の図である。
【図12】マイクロ流体カートリッジの左側の図である。
【図13】マイクロ流体カートリッジの分解図である。
【図14】右側を取り除いたマイクロ流体カートリッジの側面図である。
【図15】右側を取り除いたマイクロ流体カートリッジの別の側面図であり、マイクロ流体カートリッジ内のマイクロ流体基板に重ねられた押しブロックを示している。
【図16】左側を取り除いたマイクロ流体カートリッジの側面図である。
【図17】マイクロ流体カートリッジ内のマイクロ流体基板の一実施形態の側面図である。
【図18】自動調心の取付具を備えるマイクロ流体基板の別の実施形態の図である。
【図19】図18のマイクロ流体基板の断面図である。
【図20】マイクロ流体カートリッジが取り付けられていない状態のクランプアセンブリの正面断面図である。
【図21】マイクロ流体カートリッジが取り付けられた状態のクランプアセンブリの正面断面図であるが、クランプアセンブリはまだクランプ位置にない。
【図22】マイクロ流体カートリッジが挿入された状態のクランプアセンブリの正面断面図であるが、クランプアセンブリがクランプ位置にある。
【図23】マイクロ流体カートリッジのエミッタ端の図であり、高電圧のケーブルおよびガスノズルがマイクロ流体カートリッジの側面に接続されている。
【図24】図14のカートリッジのエミッタ端の図である。
【図25A】エミッタと基板との間のインターフェイスを示している図24のカートリッジの一部分の3D図である。
【図25B】図25Aのインターフェイスの詳細図である。
【図25C】エミッタを位置決めするための保持具の使用を説明する側面図である。
【図26】カートリッジのスプレイユニットの実施形態の3D図である。
【図27A】保持具−基板の組み立てツールの実施形態の3D図(上方からの)である。
【図27B】保持具−基板の組み立てツールの実施形態の3D図(下方からの)である。
【図28A】マイクロ流体カートリッジの実施形態の3D図である。
【図28B】マイクロ流体カートリッジの実施形態の3D図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本明細書に記載の高性能液体クロマトグラフィ(HPLC)装置は、エレクトロスプレイエミッタを有するマイクロ流体カートリッジを受け入れ、エミッタの先端をHPLC装置の質量分析計の構成部品に動作可能に連通させるための取付チャンバを有している。マイクロ流体カートリッジは、例えば参照により本明細書に組み込まれるGerhardtらの米国特許出願公開第2009/032135号明細書に記載されているような実質的に剛性のあるセラミックベースの多層マイクロ流体基板(本明細書において、セラミックタイルとも称される)を収容している。たんぱく質サンプルにおいては、セラミックが、好ましくは、基板の導管の壁へのサンプルの付着に起因するサンプルの損失のレベルが適切に低くなる高温同時焼成セラミック(HTCC)である。
【0024】
基板の層に形成されたチャネルが、分離カラムとして機能する。例えばレーザエッチングによって形成される基板の側面の開口が、流体をカラムへと導入することができるチャネルへの開口を提供する。流体が、高い圧力のもとで開口を通過し、チャネルの出口端に接続されたエレクトロスプレイエミッタに向かって流れる。マイクロ流体カートリッジの側面の穴が、基板へと流体を届けるための流体導入ポートを提供する。1つ以上の流体導入ポートの各々が、流体開口のうちの1つに位置合わせして、これを囲む。
【0025】
クランプ機構が、マイクロ流体カートリッジの片側へと機械的な力を加え、基板を取付チャンバに結合された流体ノズルに押し付ける。ノズルが、カートリッジの流体導入ポートを介して基板へと流体を届ける。
【0026】
1つには、HPLC装置および他の装置の種々の実施形態は、ポートおよびノズルなどの種々の構成部品がポリマーなどの変形可能材料から望ましく形成され、充分な強さの機械的な力を、開口を囲んで各々のノズルと基板の表面との間に緊密な漏れのないシールが生み出されるように実質的に剛性のある基板へと加えることができるという認識からもたらされる。好ましくは、加えられる圧力が、基板と管との間の接触面において、管を基板へと通過する流体の圧力よりも大きい。適切なポリマーは、例えばPEEK(TM)ポリマー(Victrex PLC、Lancashire、United Kingdomから入手可能)などのポリエーテルエーテルケトンである。
【0027】
セラミックベースの基板は、ただ1つの小さい点に集中した機械力および/またはせん断応力を導入しがちな方法(基板を曲げ、さらには/あるいはねじるような傾向、など)で加えられる機械力にさらされた場合に、割れを生じやすい可能性があるため、クランプ機構は、好ましくは多表面のプローブを使用し、さらには/あるいは基板の片面に(垂直に)加えられる力に、好ましくは実質的にせん断力の存在しない圧縮力を導入するような方法で基板の反対側に加えられる等しい実質的に同一方向の力によって対抗する。
【0028】
多表面のプローブが、例えば同時に多数の接触点において基板を押す。したがって、プローブは、好ましくは力を分散してせん断応力の可能性を軽減または排除する傾向の方法で、基板に接するように構成される。好ましくは、プローブに関する多数の接触箇所が、基板の反対側に接触する造作に位置合わせさせられることで、クランプ機構によるせん断応力の導入が軽減または排除される。
【0029】
各側から基板に接触する造作のいずれかまたはすべては、随意により、ガスおよび/または液体のための導管を備え、および随意により電気導体、さらには/あるいは、光導体、および/または他の通信経路を備える。
【0030】
同時接触の多数の点は、随意により、機械的な力をただ1つの接触点の場合よりも広い面積へと分布させる。好ましくは、接触点が、円上の実質的に等間隔な点に組み合わせられ、および/または力の分布の円形パターンを定める。好ましくは、多点にて基板に接触する部品が、加えられる力をただ1つの場所にて受け取ることで、したがって基板へと加えられるねじり力の可能性および程度が潜在的に軽減される。さらに、基板が、好ましくはマイクロ流体カートリッジの内部である程度の移動の自由を有し、クランプ機構が係合するまで自由に浮動し、圧縮以外の応力が基板に作用することがなく、カートリッジのハウジング部が基板へと実質的な力(そのような力が存在しても)を加えることがないように、クランプのプロセスにおいて基板の位置の「自動調節」を可能にする。
【0031】
マイクロ流体カートリッジは、基板に加えて、内部回路と、基板の加熱および冷却のための温度制御ユニットとを収容する。マイクロ流体カートリッジの開口が、ポゴピン(pogo pin)によって内部回路へと低電圧および他の電気信号を供給するための窓をもたらす。エレクトロスプレイエミッタの先端付近に位置するマイクロ流体カートリッジの別の開口が、ガスノズルへとつながるガス導入ポートとして機能する。エミッタ端の付近に配置されるさらに別の開口が、高電圧の入力ポートとして機能する。高電圧のケーブルが、例えば約3keVの電圧など、エミッタの先端領域に高い電圧を届けるために、この高電圧の入力ポートにつながる。
【0032】
管を基板へと押し付けるために使用される機械力は、高電圧のケーブルと高電圧の入力ポートとの間、導電性のポゴピンと電気コネクタとの間、およびガスノズルとガス導入ポートとの間の接続を確立するようにも機能する。このように、マイクロ流体カートリッジを取付チャンバ内にクランプするというただ1つの行為で、分離カラムの動作に必要な種々の流体および電気の接続が同時に確立される。
【0033】
図1が、本発明を具現することができる液体クロマトグラフィ−質量分析(LC−MS)システム10の一実施形態の正面図を示している。LC−MSシステム10が、スロット14を有する液体クロマトグラフィモジュール12を備えており、スロット14に、完全に組み立てられたマイクロ流体カートリッジ16が位置する。図示のとおり、マイクロ流体カートリッジ16のハンドルが、スロット14から突き出している。液体クロマトグラフィモジュール12が、質量分析(MS)ユニット18に組み合わせられている。一実施形態においては、LC−MSシステム10が、Waters Corporation、Milford、Maによって製造されるnanoACQUITY UPLC(R)システムの改良型である。
【0034】
図2が、ハウジング20を有する液体クロマトグラフィモジュール12の一実施形態の正面図である。ハウジング20が、上部22、中央部26、および下部30を有しており、上部22が、オン−オフスイッチ23ならびに状態および圧力の表示器24を備えており、中央部26が、マイクロ流体カートリッジを受け入れるためのスロット14およびアーム部28を有しており、下部30が、ハウジングの開口から延びている調節ノブ32を有している。調節ノブ32は、マイクロ流体カートリッジ16をx軸に沿って移動させるための内部のx移動ステージ(一部分だけが見えている)に接続されている。さらに、y移動ステージおよびz移動ステージ(図示せず)のための調節ノブが、MSユニット18(図1)に対するマイクロ流体カートリッジの位置のy軸調節およびz軸調節を可能にする。そのような調節は、例えば、エミッタ端出口のMS入り口オリフィスに対する位置決めを提供する。
【0035】
アーム部28に、枢支点36を中心にしてクランプ位置と非クランプ位置との間を回転できるレバー34が接続されている。図2においては、レバーが非クランプ位置にある。枢支点を中心にしてレバーを約180度ほど反時計方向に回転させることで、レバーがクランプ位置へと移動する。ハウジングの一端において、電気ケーブル38および電気信号導体40が、ハウジングの前部の開口42を通ってハウジングに進入している。本明細書において述べられるとおり、マイクロ流体カートリッジへと電気ケーブル38が高電圧を供給し、電気信号導体40が低電圧を供給する。マイクロ流体配管およびガス配管(図示せず)が、マイクロ流体カートリッジへと流体およびガスをそれぞれもたらすために、やはり開口42を通ってハウジングに進入している。
【0036】
図3が、前部カバー50が開かれ、内部のクランプアセンブリ60が露出された状態のハウジング20を示している。ハウジングの下辺に沿ったヒンジが、前部カバー50を移動ステージ支持部52へと取り付けている。移動ステージおよび調節ノブは、図解を簡単にするために図からは省略されている。ハウジング内に位置する他の構成部品として、回路基板62が挙げられる。移動ステージ支持部52、クランプアセンブリ60、および回路基板62は、ハウジングの後部パネル64に結合されている。
【0037】
電気ケーブル38および電線用導管66が、クランプアセンブリ60の片側へとつながっている。電気ケーブルが、高電圧(例えば、3000ボルト)を運び、電線用導管66が、複数の低電圧の電気導体を束ねる。図示はされていないが、マイクロ流体配管およびガス配管も、クランプアセンブリ60の電気ケーブル38および電線用導管66と同じ側に接続されている。
【0038】
クランプアセンブリ60は、マイクロ流体カートリッジを受け入れるためのスロット68と、レバー34(図2)が取り付けられるポスト70とを有している。前部カバー50が閉じられたとき、前部カバー50のスロット14が、クランプアセンブリ60のスロット68に位置合わせし、図2の調節ノブ32(図3には示されていない)が、前部カバー50の開口72を通って突き出し、ポスト70が、別の開口(アーム部28の側壁で遮られて見えていない)を通って突き出す。
【0039】
図4が、本体80を端部ハウジング82に組み合わせて有しているクランプアセンブリ60の実施形態を示している。ポスト70が、レバー34を本体80の片側(本明細書においては、前側と呼ばれる)に接合している。端部ハウジング82は、後壁86によって空間的に隔てられた反対向きの側壁84−1、84−2(全体として、84)を有している。側壁84−2は、見て取ることができないが、参照符号が、側壁84−2の領域を大まかに指している。側壁84−1が、マイクロ流体カートリッジ16(図1)を受け入れるように構成されたスロット86(図3)を有している。側壁84−2が、側壁84−1のスロット68に位置合わせした対応するスロット(図示せず)を有しており、マイクロ流体カートリッジ16が、クランプアセンブリ60へと設置されるときに両方のスロットを通過する。
【0040】
端部ハウジング82の後壁86が、ポゴピンブロック88および流体ブロック90を有している。ポゴピンブロック88は、間に電線用導管66(図示せず)を保持するように固定具94によって接合される2部品からなるブラケット92を備えている。ポゴピンブロック88(図4においては、2部品からなるブラケット92によって遮られてほとんど見えない)は、流体ブロック90の上方に隣接して配置される。流体ブロック90のこの実施形態は、流体をもたらす管の端部を受け入れるための3つの開口96を有している。スペーサブロック98が、ポゴピンブロック88および流体ブロック90を後壁のスロット(図8に示されている)に固定している。
【0041】
3つの開口104、106、108を備える主表面102を有しているL字形の保持具100が、後壁86の表面から突き出している。開口104は、クランプアセンブリ60へと接続されるガス配管(図示せず)を保持するためのものであり、開口106は、高電圧の電気ケーブル38(図3)を保持するためのものであり、開口108は、保持具100を後壁86へと接合する固定具を受け入れるためのものである。スロット68を通って挿入されるマイクロ流体カートリッジ16について、その挿入の程度を規制するために使用されるアーム110が、クランプアセンブリ60の後ろ側(すなわち、図1のMSユニット18へと提示される側)から延びている。
【0042】
図5が、マイクロ流体カートリッジ16がクランプアセンブリ60の側壁84の両方のスロットを貫いている状態のクランプアセンブリ60の側面図を示している。アーム110が、マイクロ流体カートリッジ16の上縁の隅を捕まえ、マイクロ流体カートリッジがスロット68を通ってさらに滑ることを防止している。高電圧の電気ケーブル38が、開口106へとつながり、電線用導管66が、ポゴピンブロックの2部品からなるブラケット92につながっている。さらに、カプラ112が、L字形の保持具100の開口104に接続している。
【0043】
図6が、クランプアセンブリ60およびスロット68を通して視認することができるチャンバ120の正面図を示している。チャンバ120内に、マイクロ流体カートリッジ16を受け入れるためのキャリッジ122が位置している。上部ばね124−1および下部ばね124−2ならびにプランジャ126の先端が、キャリッジ122の片側(すなわち、図6においては右側)からチャンバ120へと内向きに延びている。案内ピン128および複数のマイクロ流体ノズル端130−1、130−2が、反対側から(すなわち、端部ハウジング82の後壁86の方向から)チャンバ120へと内向きに延びている。この実施形態において、マイクロ流体ノズル端130−2に水平方向に一致させられた第3のマイクロ流体ノズル端130−3(図7)が、マイクロ流体ノズル端130−2に遮られて見えていない。
【0044】
図7が、後壁86によって隔てられた反対向きの側壁84−1、84−2を備えている端部ハウジング82の一実施形態の内部の図を示している。側壁84−1が、スロット68−1を有しており、側壁84−2が、スロット68−2を有している。後壁86に、ポゴピンブロック88および流体ブロック90が設置されている。
【0045】
ポゴピンブロック88の内面の凹んだ領域140が、この表面から内側へと突き出しているポゴピン電気コネクタ142を備えている。この例では、電気コネクタ142が、電気信号を導くための10個の導電ポゴピン144を有している。各々のポゴピン144は、電気信号を伝えるための個別の円ポスト形の電気導体であり、ばねによって付勢されている。
【0046】
流体ブロック90の内面は、この内面から突き出している図6の複数のマイクロ流体ノズル130−1、130−2、130−3(全体として、130)を有している。一実施形態においては、ノズル130の数が3つであり、三角形のパターンにて配置されている。3つのノズル130の位置は、互いに対して固定されている。マイクロ流体配管によって流体ブロック90の外面の開口96(図4)へともたらされる流体が、これらのノズル130を通って出る。ノズル130の三角形パターンの下方に、案内ピン128が、三角形の頂点のノズルに位置合わせして位置している。
【0047】
図8が、後壁86の組み立てプロセスを説明するために、端部ハウジング82の分解図を示している。後壁86が、流体ブロック90、ポゴピンブロック88、およびスペーサ98が順に滑り込まされるスロット150を有している。スロット150は、下部の矩形の領域152および段になった上部領域154を有している。下部領域152が、流体ブロック90およびポゴピンブロック88を受け入れるように構成されている。上部領域154の形状は、スペーサ98を受け入れるように構成されている。スペーサ98は、穴156を備える段部155を有しており、固定具が穴156を通ってスペーサを後壁86のそれぞれの穴157へと接合し、ブロック88、90、98をスロット150内に固定することができる。
【0048】
図9および図10が、端部ハウジング82の後壁86’の別の実施形態を示しており、図9が、後壁86’の外面を示しており、図10が内面を示している。この実施形態においては、後壁86’が、図7に示した流体ブロック190の3つのノズル130ではなく、マイクロ流体基板に接するための4つのノズルを有している。後壁86’が、菱形パターンに配置された4つの流体入り口ポート170−1、170−2、170−3、170−4(全体として、170)を備えている。各々の流体入り口ポート170が、後壁86’からおおむね直角に突き出す円形の取付具(4つのポートのうちのポート170−2において最もよく見て取ることができる)を備えている。各々の流体入り口ポート170は、他のポート170に対して浮動であり、すなわち流体入り口ポート170それ自体は、各々の流体入り口ポート170が他のポート170とは無関係にわずかに移動できるよう、後壁86’に固定されていない。
【0049】
流体の配管の例として、マイクロ流体配管172の先端が、流体入り口ポート170−1および170−3へと圧入される一方で、流体入り口ポート170−4は、栓174で塞がれ(すなわち、使用されず)、流体入り口ポート170−2は開かれている。さらに後壁86’は、ただ1列の電気コネクタ176(ここでは、例えば10個である)を有しているポゴピンブロック88’の別の実施形態を備えている。
【0050】
図10が、図9に示した後壁86’の別の実施形態の内面を示している。ポゴピンブロック88’の内面が、凹んだ領域180を有しており、この領域180から、一列の導電ポゴピン176が突き出している。ポゴピンの列の下方に、第2の凹んだ領域182が位置している。この凹んだ領域182から、後壁86’の外面のポート170の各々にそれぞれ対応する4つのマイクロ流体ノズル184が突き出している。マイクロ流体配管172によって後壁86’の外面のポート170へともたらされる流体が、これらのノズル184を通って出る。ノズル184の菱形パターンの下方に、案内ピン128と同様の機能の位置合わせピン186が位置している。
【0051】
図11が、図7に示した形式のノズル配置と協働するマイクロ流体カートリッジ16の実施形態の右側面図を示している。さらに後述されるとおり、マイクロ流体カートリッジ16は、エミッタと、マイクロ流体基板と、ヒータと、回路とを収容し、マイクロ流体カートリッジ16内に収容された種々の構成要素へと電圧、電気信号、および流体(ガスおよび液体)をもたらすための電気機械インターフェイスとして機能する。
【0052】
マイクロ流体カートリッジ16のこの実施形態は、2つのケーシング部分200−1、200−2を、例えば半型同士をスナップ止め、接着剤もしくは機械式の固定具の使用、またはこれらの任意の組み合わせによって接合して形成される。2つのケーシング部分は、本明細書において、マイクロ流体カートリッジ16の左側および右側とも称されるが、左および右という用語は、クランプアセンブリ60へと挿入されるときのマイクロ流体カートリッジ16の向きによって決定される。左、右、上、下、前、および後などの用語は、マイクロ流体カートリッジの説明を簡単にする目的のためのものであり、マイクロ流体カートリッジそれ自体の構造についていかなる制約も課すものではないことを、理解すべきである。
【0053】
右側ケーシング部分200−1は、把持端202およびエミッタ端204を有している。把持端202の湾曲した領域206は、ユーザが液体クロマトグラフィモジュール12への出し入れの際にマイクロ流体カートリッジ16を把持することができる指保持部をもたらしている。
【0054】
ケーシング部分200−1の側面に、押しブロック210が位置する矩形の窓208が存在している。押しブロック210の表面は、右側ケーシング部分200−1の表面と同一面に位置している。さらに後述されるように、押しブロック210は、右側ケーシング部分200−1に堅固に取り付けられているのではなく、内側、外側、上方、下方、左方、または右方にわずかに動くことができ、すなわち押しブロック210は、窓208において浮動している。一実施形態においては、押しブロック210が金属製である。
【0055】
押しブロック210の下方には、両方のケーシング部分200−1、200−2を完全に貫いて延びる開口212が配置されている。開口212は、以下では貫通穴212と称される。エミッタ端204において、マイクロ流体カートリッジ16の上辺に隅214が存在している。隅214において、可動フィン216がケーシング部分200−1、200−2の間の上辺を貫いて突き出している。
【0056】
図12が、マイクロ流体カートリッジ16の左側ケーシング部分200−2を示している。右側ケーシング部分200−1と同様に、左側ケーシング部分200−2は、湾曲した領域206を備える把持端202と、エミッタ端204とを有している。左側ケーシング部分200−2の全長のほぼ真ん中に、3つのノズル開口220が、流体ブロック90(図7)のノズル130の三角形配置に一致する三角形のパターンにて位置している。三角形のパターンは、円形の荷重パターンを定めるために望ましい。円の中心が、押しブロック210の金属プレートボス260への荷重のバランスをもたらすために、好ましくはクランプアセンブリ60(図6)のプランジャ126(図20)の運動の軸に合わせられる。第3の流体ポートが、例えば較正ポートとして使用され、作業者が較正用の流体を流すことができる。他の2つのポートは、例えば分析カラムおよびトラップカラムへのアクセスを提供する。
【0057】
各々のノズル開口220の背後に同心に、マイクロ流体カートリッジ内に収容されたマイクロ流体基板の側の微視的な流体開口が位置している。流体ブロック90のマイクロ流体ノズル130の流体の導管は、基板の微視的な開口のサイズよりもはるかに大きい内径を有しており、両者の間の位置合わせを容易にしている。一実施形態においては、微視的な流体開口の各々が、0.003平方インチの断面を有しており、マイクロ流体ノズル130の各々が、0.003インチのビア(正方形の断面を有する開口)などの基板上の微視的な流体開口に位置合わせしてこれを囲む0.013インチのオリフィス(円形の断面を有する管腔)を有する。
【0058】
マイクロ流体ノズル130は、流体のシールをもたらすためにクランプアセンブリ60(図6)によってもたらされる圧縮応力のみに依存するポリマー−セラミックのインターフェイスを利用し、すなわちクランプアセンブリ60が、ポリマー−セラミックのインターフェイスに動作流体圧力よりも大きな圧力をもたらす。例えば、5,000psiの動作流体圧力または他の圧力(15,000psiなど)が、ノズル−基板のインターフェイスの全表面積にわたる130ポンドのクランプ荷重にて実現され、選択された動作圧力について効果的な流体のシールを生み出す。
【0059】
三角形に配置されたノズル開口220の頂点の直上において、矩形のくぼみ222が左側ケーシング部分200−2に位置している。くぼみの領域222が、電気接点226のアレイへのアクセスのための矩形の窓224を囲んでいる。電気接点226は、ポゴピンブロック88(図7)のポゴピン144に電気的に接触する導電パッドである。電気接点226のアレイは、図13に関してさらに後述されるように、マイクロ流体基板に重なる可撓回路の一部である。
【0060】
左側ケーシング部分200−2は、エミッタ端204に、ガスノズルを受け入れるためのガス入り口ポート225と、高電圧の電気ケーブル38(図5)の先端(ポゴピン)を受け入れるための高電圧導入ポート228とを有している。複数の穴234が、ケーシング部分200−1、200−1を半型を接合させるときに位置合わせさせて使用される位置合わせピン236を保持する。
【0061】
左側ケーシング部分200−2は、矩形の溝230を自身の下辺に沿ってさらに有している。溝230は、エミッタ端204に開放端232を有し、そこから横方向に延び、ノズル開口220の下方に位置する貫通穴212を終端としている。さらに、溝230は、マイクロ流体カートリッジ16がクランプアセンブリ60のスロット68(図4)へと挿入されるときに案内ピン128(図7)を受け入れる。案内ピン128が貫通穴212に達すると、マイクロ流体カートリッジ16は、チャンバ120に完全に取り付けられ、クランプされる位置に固定される。
【0062】
図13が、マイクロ流体カートリッジ16およびマイクロ流体カートリッジ16に収容される種々の構成部品の分解図を示している。右側ケーシング部分200−1および左側ケーシング部分200−2の間に、マイクロ流体基板250、マイクロ流体基板に組み合わせられるエミッタアセンブリ252(本明細書において、「スプレイユニット」とも称される)、およびシャッタ254が配置されている。右側ケーシング部分200−1の内面に、押しブロック210をぴったりと受け入れるように較正された矩形の凹所256が位置している(すなわち、押しブロック210が凹所256にスナップ止めされて浮動する)。押しブロック210がこの凹所256に着座している状態で、押しブロックの高い部分(見えていない向こう側に着座する)が、右側ケーシング部分200−1の側面の窓208に進入している。
【0063】
さらに、押しブロック210のこの実施形態は、それぞれが平らな面を備える3つの隆起したボス260を有している。3つのボスの平らな面が、第1のケーシング部分200−1の外側から押しブロック210へと押圧力が加えられたときにマイクロ流体基板の側面を同時に圧迫し、単一の集中した接触点が生じないように力を分散させる。各々の隆起ボス260が、マイクロ流体基板250の流体開口のうちの対向する1つに直接位置合わせし、それにより(押しブロックが押されたときに)左側ケーシング部分200−2のノズル開口220のうちの対向する1つに直接的に圧力を加え、例えばマイクロ流体基板250のねじりまたは曲げによるせん断応力の発生を防止する。
【0064】
他の実施形態は、3つよりも多数または少数のボスを有することができる。一般に、ボスの数は、マイクロ流体基板250の流体開口の数(ダミーの開口を含んでもよい)に一致し、したがって各々の流体開口について1つのボスが、その流体開口に直接向かい合うように位置合わせさせられて存在する。一般に、ボスの数は、基板250に接触する流体ノズルおよびダミーノズルの数に一致し、したがってすべてのボスが対応するノズルに位置合わせする。ボスおよびノズルの数および配置は、マイクロ流体基板250への望ましくない応力の印加を抑えるように、随意により選択される。
【0065】
アセンブリ252は、エミッタ266、エミッタ266を基板250に配置および/または位置合わせさせるエミッタ保持具241A、およびシースガス部品279を備えている。部品279は、ハウジング部分200−1、200−2に配置された配管278を介してシースガスを受け取る。保持具241Aが、エミッタ266の管腔を基板250の出口ポートに位置合わせさせる。好ましくは、さらなる部品が、出口ポートを通ってエミッタ266の管腔へと流れる溶離液の圧力よりも大きい界面の圧力をもたらすための充分な力で、エミッタ266を基板205に接触するように押し付ける。
【0066】
電気接点226のアレイを備える可撓回路アセンブリ258が、マイクロ流体基板250の上辺を越えて折り重ねられている。図12において説明したように、これらの電気接点226に、左側ケーシング部分200−2の窓224を通ってアクセスすることができる。さらに、シャッタ254が、マイクロ流体基板250の表面の微視的な流体開口が露出されるように、左側ケーシング部分200−2の側面のノズル開口220に位置合わせする穴262を有している。さらに、シャッタ254は、フィン216(図11)と、エレクトロスプレイエミッタ266を部分的に包むエミッタ管264とを有している。
【0067】
基板250は、随意により、以下の方法で形成される。複数の基板250のための5枚の原料シート層が、所望のパターン加工の後で一体にプレスされる。流体開口のためのビアが、プレスされたサンドイッチの片側または両側にレーザエッチングされる。エッジ部分が、レーザエッチングによって画定される。焼成後に、個々の基板250がバラされる。エッジまたはエッジの一部分が、随意により研磨される。
【0068】
図14が、マイクロ流体カートリッジ16の右側面図を示しており、右側ケーシング部分は、内部に収容された種々の構成部品を見えるようにし、左側ケーシング部分200−2の内面の種々の造作を見せるために、取り除かれている。種々の構成部品として、いずれも図示のとおりに左側ケーシング部分200−2へと組み合わせられるマイクロ流体基板250およびシャッタ254が挙げられる。
【0069】
マイクロ流体基板250の表面に、制御回路部257とヒータ部(以下では、ヒータ270)とで構成される可撓回路アセンブリ258が位置している。可撓回路アセンブリ258は、マイクロ流体基板250の上辺を越えて折り重ねられ、マイクロ流体基板250の反対側の面の一部分を覆っている。集積回路(IC)デバイス272が、可撓回路アセンブリ258の制御回路部に取り付けられている。一実施形態においては、ICデバイス272が、プログラムコードおよびデータを保存するためのメモリデバイス(例えば、EPROM)である。ヒータ270が、マイクロ流体基板250内の分離カラムを覆っている。ヒータ270には、温度センサ274が取り付かられている。
【0070】
可撓回路アセンブリ258は、複数(例えば、3つ、4つ、または5つ)の積層で構成される。各層のポリマー基板が、種々の相互接続または回路を保持する。層のうちの1つが、ヒータ270の抵抗線を含んでいる。抵抗線の両端の電気接点が、制御回路部257の2つのパッド259に接続している。可撓回路アセンブリ258の別の層は、抵抗線の端部に電気的に接触するビアを有しており、他の層は、電気部品272、274へと電気的に接続する接点を有しており、さらに別の層は、ポゴピン接点パッド266(図13)を有している。可撓回路アセンブリ258を介し、電気部品272、274および抵抗線の各々が、接点パッド226へと電気的に接続される。ガス入り口ポート225が、注入されたガスをエミッタ端204へと届けるガス配管278へと導くウエル276へと開いている。
【0071】
図15が、図14のマイクロ流体カートリッジ16の右側面図を示しており、やはり右側ケーシング部分は取り除かれており、押しブロック210(図13)のさらなる造作が、押しブロック210がマイクロ流体基板250に当接する大まかな位置に取り付けられているのが示されている。この位置は、可撓回路アセンブリ258の直下かつヒータ270の後方(マイクロ流体カートリッジ16の前方に位置するエミッタ端204に対して)のマイクロ流体基板250の南西の4分の1の近くである。押しブロック210は、より大きな矩形のブロック280上に配置され、またはそのような矩形のブロック280の一体の延長部であるより小さな矩形のブロック282を備えている。より小さな矩形のブロック282は、右側ケーシング部分200−1の窓208(図13)にぴったりとはまるように寸法付けられている。
【0072】
図16は、マイクロ流体カートリッジ16の左側面図を示しており、左側ケーシング部分は、内部に収容された種々の構成部品を見えるようにし、右側ケーシング部分200−1の内面の造作を見せるために、取り除かれている。可撓回路アセンブリ258が、マイクロ流体基板250のこの面へと巻き付いており、図12の電気接点226のアレイを備えている。さらに、マイクロ流体基板250は、高電圧の電気ケーブル38(図5)の導電端子を受け入れるための高電圧入力ポート290を有している。高電圧入力ポート290は、図17に関して後述されるように、マイクロ流体基板250内の分離カラムの出口端の付近に配置されている。
【0073】
右側ケーシング部分200−1の内側は、ケーシングの素材からなる畝292を備えており、そのような畝292が、エミッタ端204から延びて貫通穴212を終端としている。ケーシング部分200−1、200−2が接合されるとき、畝292が、左側ケーシング部分200−2の外側の溝230(図12)のすぐ背後を延びる。畝292は、マイクロ流体カートリッジ16に構造的な支持をもたらす。さらに畝292は、溝230に直接向かい合って位置することによって、万が一にユーザが時期尚早にもマイクロ流体カートリッジ16が適正な位置に完全に達するよりも前にマイクロ流体カートリッジ16をクランプしようと試みたときに、案内ピン128(図7)によるカートリッジ16の曲げに抵抗する。さらに、時期尚早なクランプの試みの場合に案内ピン128によってマイクロ流体基板250が曲げられることを防止する予防的な手段として、マイクロ流体基板250のいかなる部位も、溝230の直接的な後方には位置していない。
【0074】
右側ケーシング部分200−1の内面が、ガスウエル276の残りの半分をもたらし、左側ケーシング部分200−2のウエル276を定めている壁に位置合わせして当接する壁を有している。ガスをガスウエル276に閉じ込める密なシールを向上させるために、固定具またはピン296(図14)が、ウエル276に隣接する開口298においてケーシング部分の間の接続をきつくする。
【0075】
図17が、マイクロ流体基板250の実施形態の左側面図を示している。概説すると、マイクロ流体基板250は、おおむね矩形であり、平たくて薄く(約0.050インチ)、多層からなる構成である。マイクロ流体基板250の層内に、液体を運ぶための曲がりくねったチャネル300が形成されている。マイクロ流体基板250は、トラップ領域302およびカラム領域304を含んでいる。図示の実施形態においては、マイクロ流体基板250が、3つの微視的な流体開口306−1、306−2、306−3(全体として、306)を有している。1つの流体開口306−1が、トラップ領域302の一端においてチャネル300に交わっており、別の流体開口306−2が、トラップ領域302の他端においてチャネル300に交わっている。この実施形態においては、第3の流体開口306−3は使用されていない。あるいは、第3の流体開口306−3を、例えば較正ポートとして使用することができ、作業者が較正用の流体を流すことができる。チャネル300は、マイクロ流体基板250の出口端を終端としている。トラップ領域302の「下流」端に位置する流体開口306−2は、随意により、例えばトラップ領域302の充てんの際に流体排出開口として使用され、随意により、例えば充てんされたサンプルをトラップ領域302からチャネル300へと注入する際に流体の流れに対して閉じられる。
【0076】
さらに、マイクロ流体基板250は、高電圧入力ポート290(図16)と、左側ケーシング部分200−2の内面から突き出すペグをそれぞれ受け入れる1対の位置合わせ開口310−1、310−2(全体として、310)とを有している。位置合わせ開口310は、マイクロ流体カートリッジ16内でのマイクロ流体基板250の位置決めを助ける。ペグのサイズに対する位置合わせ開口310のサイズが、マイクロ流体基板250のマイクロ流体カートリッジ16内でのある程度の遊びを許容する。
【0077】
マイクロ流体カートリッジ16は、ただ1つのマイクロ流体基板250ではなく、互いに接続された複数のマイクロ流体基板を収容することができる。図18が、取付具によって接合された複数のマイクロ流体基板250−1、250−2を有する一実施形態を示している。マイクロ流体基板250−1、250−2が、トラップタイル250−1をカラムタイル250−2に組み合わせて備えている。トラップタイル250−1が、流体案内チャネル300−1を有しており、カラムタイル250−2が、流体案内チャネル300−2を有している。
【0078】
トラップタイル250−1のこの実施形態は、3つの流体開口を有している(タイル250−1の空いている場所318が、4つの流体開口を有する実施形態も考えられることを表わしている)。それぞれの流体開口の周囲に、取付具320−1、320−2、320−3(全体として、320)が組み合わせられている。取付具320は、さらに詳しく後述されるように、マイクロ流体カートリッジ16がチャンバ内に設置されるときに、流体ブロック90のノズル(例えば、それぞれ図7のノズル130または図10のノズル184)の先端を自動的に調心させるように機能する。これらの取付具310を、金属、プラスチック、セラミック、またはこれらの材料の任意の組み合わせで製作することができる。取付具320を基板250−1に接続するために、接着、締め付け、溶着、ろう付け、またはこれらの組み合わせが可能である。
【0079】
図19が、取付具320−1および320−2を切断するトラップタイル250−1およびカラムタイル250−2の断面図を示している。トラップタイル250−1のチャネル300−1が、取付具320−1から取付具320−2へと延びている。カプラ322−1、322−2(全体として、322)が、トラップタイル250−1をカラムタイル250−2へと接続している。各々のカプラ322は、1対の位置合わせした取付具で構成され、一方の取付具がトラップタイル250−1の下面に位置し、他方の取付具がカラムタイル250−2の上面に位置している。カプラ322−1が、トラップタイル250−1のチャネル300−1を通過する流体を、カラムタイル250−2のチャネル300−2に到達させるためのチャネル324をもたらしている。取付具320と同様に、カプラ322を、金属、プラスチック、セラミック、またはこれらの材料の任意の組み合わせで製作することができ、接着、締め付け、溶着、およびろう付け、またはこれらの任意の組み合わせによって、タイル250−1、250−2へと取り付けることができる。
【0080】
好ましくは、カプラ322は、例えばノズル130の材料と同様または同一の変形可能な物質で形成され、機械的な圧力だけで、トラップタイル250−1とカプラ322との間に流体を漏らさないシールをもたらすことができる。カプラ322などの位置合わせを助ける造作は、随意により、図17に示した実施形態および他の実施形態にも含まれる。
【0081】
図20、図21、および図22が、クランプアセンブリ60へのマイクロ流体カートリッジ16の取り付けを示している。図20が、チャンバ120が空の状態のクランプアセンブリ60の断面を示しており、図21が、マイクロ流体カートリッジ16がチャンバ120に挿入された後(ただし、クランプはまだである)の断面を示しており、図22が、クランプ後の断面を示している。図20、図21、および図22の各々において、クランプアセンブリ60の本体80が、カム350およびカム従動子352を収容している。カム従動子352は、キャリア354の内部にあり、カム従動子352の一部分が、キャリア354を越えて延びてカム350に当接している。プランジャ126の一端が、キャリア354内でカム従動子354に接続されている。付勢ばね356が、プランジャ126の後部の周囲に巻き付けられ、戻しばね358が、プランジャ126の前部の周囲に巻き付けられている。随意により、いくつかの実施形態においては、カムがばねで付勢されたプランジャを閉鎖位置へと移動させるように回転させられ、ばね358などの第2のばねが、130ポンドの力など、所望の力のより一貫的かつ正確な導入のための荷重のバランスを提供する。
【0082】
図20において、付勢ばね356および戻しばね358は圧縮されておらず、カム350に接続されたレバー34(図6)は、開位置、すなわち非圧縮の位置にある。さらに、後壁86とキャリッジ122との間のばね360−1、360−2(全体として、360)も、同様に圧縮されていない。端部ハウジング82の後壁から空のチャンバ120へと、ポゴピン電気コネクタ144、ガスノズル130−1、130−2(第3のノズルは遮られていて見えない)、および案内ピン128が突き出している。
【0083】
図21においては、マイクロ流体カートリッジ16が、最初にカートリッジのエミッタ端をチャンバ120に進入させて、チャンバ120に位置している。マイクロ流体カートリッジ16がチャンバ120に進入するとき、案内ピン128が、左側ケーシング部分200−2の溝230に沿ってスライドする。マイクロ流体カートリッジ16のチャンバ120への挿入が限界に達すると、プランジャ126が、マイクロ流体カートリッジ16の右側の押しブロック210に当接し、案内ピン128が、溝230の端部の貫通穴212(図12)に達する。案内ピン128がこの穴に位置合わせしていない場合、マイクロ流体カートリッジ16をクランプすることができない。一実施形態においては、アーム110(図5)がマイクロ流体カートリッジ16の上辺の隅(図11)に係合することで、マイクロ流体カートリッジ16をどこまでチャンバへと進入させることができるのかが決定される。さらに、ばね124−1、124−2が、マイクロ流体カートリッジ16の右側に当接する。図20と同様に、図21においても、付勢ばね356、戻しばね358、およびばね360は、レバー34が開位置にあるため、圧縮されていない。
【0084】
図22においては、レバーが閉じられ、カム350が付勢ばね356および戻しばね358を圧縮し、プランジャ126を押しブロック210に押し付けている。押しブロック210の他方の面に間隔を空けて位置しているボス260(図13)が、この力をマイクロ流体基板250へと分散する。押しブロック210への力が、キャリッジ122およびマイクロ流体カートリッジ16をまとめて端部ハウジング82の後壁86に向かって移動させる。さらに、ばね124−1が、マイクロ流体カートリッジ16を下方へと後壁86に向かって押すように機能する一方で、ばね360−1、360−2(図21)が縮み、左方への移動に抵抗する。
【0085】
キャリッジがカートリッジ16と一緒に移動する結果として、案内ピン128が、マイクロ流体カートリッジ16の貫通穴212に進入する。後壁86から内向きに突き出しているノズル130が、マイクロ流体カートリッジ16の左側ケーシング部分のそれぞれのノズル開口220(図12)に進入し、マイクロ流体基板250の表面に押し付けられる。押圧力は、各々のノズルと流体開口との間に密封された流体の通路を生み出すために充分である。さらに、クランプにより、ポゴピン144も左側ケーシング部分の窓224に進入し、電気接点226のアレイに電気的に接続する。
【0086】
流体ブロックのノズルとマイクロ流体基板との間の流体のインターフェイス、およびポゴピン144と電気接点226のアレイとの間の電気的なインターフェイスの確立に加えて、このクランプ作用は、(1)高電圧のポゴピンとマイクロ流体基板との間の電気的なインターフェイス、および(2)ガスノズルとマイクロ流体カートリッジ16との間の流体のインターフェイスも確立する。図23が、マイクロ流体カートリッジ16の左側ケーシング部分に進入するポゴピン380を備える高電圧の電気ケーブル38、および左側ケーシング部分のガス入り口ポートに進入するガスノズル端部382を示している。
【0087】
本発明のいくつかの好ましい実施形態は、LC−MSにもとづく既存の分析設備などの既存の装置と比べて、低いコストおよび小さいサイズの装置をもたらす。小型化は、サイズの縮小に加えて、例えば信頼性の向上、試薬の量およびコストの削減、使用後の試薬の廃棄コストの削減、ならびにLC関連の構成要素における分散を少なくする性能の向上などの多数の潜在的利益をもたらす。本明細書に記載の好ましい実施形態は、液体クロマトグラフィに関係しているが、本発明を他の分離技法にも適用できることを、当業者であれば理解する。
【0088】
次に、装置のスプレイユニットの特徴に目を向ける。
【0089】
図24が、マイクロ流体カートリッジ16(図14を参照)のエミッタ端204の図である。エミッタ端204は、管264(この実施形態においては、長さに沿って開いている)によって機械的な損傷から保護されたエレクトロスプレイエミッタ266を備えている。管264は、カートリッジ16がクランプアセンブリ60へと挿入されることによってシャッタ254が変位させられるときに、エミッタ266を露出させるように移動する(挿入時に、アセンブリ60が可動フィン261およびシャッタ254をカートリッジ16のエミッタ端204から遠ざかるように押す)。ばね265は、カートリッジ16がクランプアセンブリ60から取り出されたときにシャッタ254およびシールド管264が保護位置に戻るように、シャッタ254を付勢している。
【0090】
エミッタ266に加えて、図24の実施形態のスプレイユニットは、保持具240(本明細書において、位置合わせユニットとも称される)と、力印加ユニット(この例では、ばね241)と、力受け止め部品(この例では、エミッタ266に取り付けられた取付具242)とを備えている。保持具240は、エミッタ266を受け止め、基板250に位置合わせさせる。保持具240は、好ましくは基板250に固定的に取り付けられている。ばね241は、保持具240内に囲まれ、保持具がばね241を取付具242に押し付けており、取付具242がばね力をエミッタ266へと伝え、エミッタ266を基板250との接触へと押し付けている。取付具242は、随意により、例えば管腔Lの入り口端から約1/8インチに位置するクリンプ(crimp)されたスリーブである。
【0091】
図25Aが、エミッタ266と基板250との間のインターフェイスAを説明する3D図である。上述のように、エミッタ266が基板250へと押し付けられ、エミッタ266のうちの基板250と接触する部位は、好ましくは、より剛性のある基板250へと押し付けられたときに流体を漏らさないシールを形成するために充分な程度の変形性(好ましくは、弾性的な)を有する材料で好ましくは形成される。エミッタ266の管腔Lが、基板の導管の出口オリフィスEに位置合わせして配置される(基板250の出口オリフィスEに対する管腔Lの入り口端の位置LEを示しているインターフェイス領域Aの詳細図である図25Bを参照)。
【0092】
この典型的な実施形態において、管腔Lは、円形の断面を有しており、出口オリフィスEは、ほぼ矩形である。管腔Lの直径は、オリフィスの対角線よりも短い。インターフェイスは、望ましくは、多くの既存のLC−スプレイインターフェイスと比べて、デッドボリュームがより小さく、または皆無であり、分散効果が少ない。これらの寸法は、好ましくは、いくつかの対象の用途にとって小さく、管腔Lの入り口を基板250の出口オリフィスEに対して正しい関係に配置し、エミッタ266と基板250との間に良好な機械的インターフェイスを達成するための適切な位置合わせに、ある程度の困難を強いる。エミッタ管266は、随意により、管266の中心軸の位置に対する管腔Lの位置の公差に関して選択される。
【0093】
例えば少量のサンプルに適する一実施形態においては、エミッタ266が、0.030インチの外径および0.001インチの内径を有し、オリフィス出口が、0.0039インチ×0.0036の寸法を有する。図25Cは、エミッタ266を位置決めするための保持具345の使用を説明する側面図である。この例では、保持具345が、0.032インチの内径を有している。したがって、エミッタ266が保持具345内に配置されるとき、保持具345におけるエミッタ266の横方向の公差ゆえに、出口オリフィスEに対する管腔Lの位置決めにおいて約0.002インチの横方向のばらつきが存在する。保持具345、出口オリフィスEに対する保持具の位置、出口オリフィスEのサイズ、エミッタ266、管腔Lのサイズ、およびエミッタ266における管腔Lの位置が、出口オリフィスEの境界の完全に内側への管腔Lの入り口の位置合わせを達成するために協働する。一般に、基板に対する保持具345の位置決めが、保持具345が位置合わせプロセスにおいて自身の役割を果たすための充分な精度を有さなければならない。そのような充分な精度を達成するように基板250および保持具345の組み合わせを組み立てる1つの方法を、図27Aおよび図27Bを参照して後述する。
【0094】
この例では、ばね241が、例えば約7ポンドの力を加える。いくつかのLC−MCの実施形態においては、基板の出口において必要とされる封止の圧力が、出口の近傍における液体の圧力が入り口における圧力と比べて低いため、入り口において必要とされる封止の圧力よりも小さい。好ましくは、加えられる力が、インターフェイスにインターフェイスを通過する溶離液の圧力よりも大きい圧力をもたらすために充分に大きい。
【0095】
図26は、図25Aに示した特徴を備えるスプレイユニット340の実施形態の3D図である。スプレイユニット340が、保持具345と、エミッタ266と、ばね341と、エミッタ266に取り付けられた取付具342と、保持具キャップ342Aとを備えている。キャップ342Aは、例えばスナップ止めまたはねじ山によって保持具345へと固定的に取り付けられ、または着脱可能に取り付けられる。ばね341および取付具342は、スプレイユニット340が動作のために組み立てられたとき、キャップ342Aおよび保持具345の内側に配置される。
【0096】
図27Aおよび図27Bが、保持具−基板の組み立てツール400の実施形態の(それぞれ、上方および下方からの)3D図である。ツール400は、基板クランプ部410と、保持具クランプ部420と、保持具x位置制御部430と、保持具x位置制御部440とを備えている。ツール400は、作業者がクランプされた基板の出口オリフィスをクランプされた保持具を通して観察できるように、顕微鏡に隣接して配置される。保持具345は、上述のように保持具の内径が基板250の出口オリフィスに対して充分な公差の範囲内に位置するまで、平行移動させられる。次いで、好ましくは保持具345が、例えば接着剤の塗布によって基板へと固定される。保持具345および/または基板250の構成は、随意により、滲出性の接着剤が出口オリフィスへと引き寄せられることがないように選択され、この場合、エミッタと基板250との間のインターフェイスが硬化した接着剤によって妨げられる可能性がある。
【0097】
基板および保持具の組み立て方法の一実施形態においては、保持具345が、最初に基板に触れた後で、基板とこすれ合うことなく保持具を移動させるために充分なだけ、(y方向に)わずかに、例えば、0.010インチ未満後退させられる。保持具345の位置のx−z調節の際に、オリフィスが、隣接する通路の端部の円の範囲内に観察される。ひとたび保持具345が、エミッタの管腔をオリフィスに対して正しく位置合わせさせることができるようにオリフィスに対して正しい位置にくると、ガイド345が基板へと取り付けられる。恒久的な取り付けは、随意である。
【0098】
例えば、接着剤が、位置合わせの調節に対応するように意図的に導入された保持具と基板との間の空間(スペーサとして機能する)を調節する。上述のように、保持具および/または基板は、接着剤がオリフィスの近傍へと滲出することがないように、保持具の表面とオリフィスとの間に随意により間隔を提供する。
【0099】
例えば、加熱された接着剤の滴が、保持具345および基板250に配置され、毛管作用によって接着剤が保持具345と基板250との間のすき間へと引き込まれる。毛管作用は、接着剤が保持具345と基板250との間の好ましくは狭いすき間を過ぎて滲出することがないように好ましく利用される。
【0100】
いくつかの別の実施形態は、例えばマシンビジョンを使用して基板および保持具の組み立てを自動化する。いくつかの別の実施形態は、光学的な位置合わせを必要としない機械的公差を有する基板および保持具を利用する。例えば、基板が、随意により、人間の視覚やマシンビジョンによる位置合わせを必要とせずに保持具を受け入れるスロットを備える。随意により、エミッタ266および/またはエミッタ266の接触端に接する基板のエッジの部分が、改善された接触のインターフェイスをもたらすために滑らかにされ、例えば機械的に研磨される。
【0101】
エミッタを保持具へと取り付けるために、多数の適切な手段のうちの任意の1つが、随意により使用される。例えば、保持具/ハウジングが、随意によりエミッタを覆うように配置され、ガイドへと取り付けられる。基板とのシールを形成するためにエミッタへと機械的な力を加えるために、一例においては、金属リングがエミッタへとかしめられ、ばねが保持具/ハウジングに配置され、次いでハウジングがガイドへと取り付けられる(図を参照)。
【0102】
図26に戻ると、保持具345は、組み立て時および組み立て後に基板のオリフィスの領域の観察を可能にする切り欠きを有している。この典型的な実施形態においては、基板250が、保持具345との噛み合わせのための凹んだエッジ部を有している。凹んだエッジは、例えばオリフィスの近傍に望ましく滑らかなエッジを生み出し、および/またはエッジのオリフィス部を保護するために、随意により使用される。随意により、接着剤が、保持具345を基板250に接合するために、エッジが凹まされていない場所に塗布され、オリフィスが接着剤からさらに保護される。図示の実施形態においては、保持具345が、凹まされた部位を画定している基板250のエッジ面の外周のいずれにも接していない。
【0103】
基板のエッジ(本明細書において、サイドとも称される)は、例えばエッチング、クリービング、および/または研磨など、いくつかの適切な方法のいずれかにて形成される。例えば、一実施形態においては、エッジが、基板の材料の焼結後に割り裂きによって形成され、別の実施形態においては、焼結に先立って基板の材料にパターンを加工することによって形成される。エッジは、随意により、焼結の前および/または後にさらに成形および/または平滑化される。
【0104】
次に、図28Aおよび図28Bを参照すると、いくつかの実施形態は、スプレイユニットを保持する交換可能および/または取り外し可能な部位を有しているカートリッジを提供する。これらの実施形態において、スプレイユニットは、随意により上述した実施形態と同様である。
【0105】
図28Aおよび図28Bは、主たるカートリッジ部分316と取り外し可能なカートリッジ部分317とを有している1つの代案のマイクロ流体カートリッジの3D図(それぞれ、外側および内部の図)である。カートリッジは、1つには、例えばエレクトロスプレイエミッタなどのカートリッジのエミッタをカートリッジの他のマイクロ流体部品の大部分またはすべてを保持しつつ取り替えおよび/または交換する際の相対的な容易さを提供する。
【0106】
主たる部分316が、左側および右側ハウジング部分300−1、3002を有しており、保持具345(随意により、上述した保持具345と同様であるものとして図示されている)を保持している。取り外し可能部分317は、スプレイ端保護造作311を定める左側および右側ハウジング部分310−1、310−2を有している。左側および右側ハウジング部分310−1、310−2が、エミッタ266、ばね341、および取付具342を保持しており、スプレイ端を囲むようにガスを届けるためのガス通路376を定めている。左側ハウジング部分310−2が、ばね341を固定するばね保持用の造作を定めており、取り外し可能部分317が主たる部分316へと取り付けられるときにばね341へと力を加える。さらに、左側および右側ハウジング部分310−1、310−2は、取り外し可能部分317を主たる部分316へと接続するためのラッチの造作312を定めている。別の実施形態は、随意により、ねじ、クリップ、および磁石などの知られている造作など、任意の適切な取り付け用の造作を利用する。
【0107】
本明細書において使用されるとき、「スプレイユニット」という言葉が、説明を便利にするためのものであって、スプレイユニットを特定の構成部品一式へと限定するものでも、そのような構成部品の位置を限定するものでもないことを、当業者であれば理解できる。例えば、図28Aおよび図28Bのスプレイユニットのある部分(すなわち、保持具345)が、主たるカートリッジ部分316に位置する一方で、スプレイユニットの他の部分が、取り外し可能部分317に位置する。あるいは、図28Aおよび図28Bの目的において、スプレイユニットを、取り外し可能部分317に組み合わせられた部品のみを含むものとして定義することができる。
【0108】
本発明を、特定の好ましい実施形態に関して図示および説明したが、形態および詳細において、以下の特許請求の範囲によって定められるとおりの本発明の技術的範囲から離れることなく種々の変更が可能であることを、当業者であれば理解すべきである。
【技術分野】
【0001】
本出願は、2009年3月6日付の「Liquid Chromatography−Mass Spectrometry Apparatus Having a Microfluidic Substrate」という名称の米国特許仮出願第61/158,230号の優先権を主張し、その全体が、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、広くには、液体クロマトグラフィ−質量分析の装置に関する。より具体的には、本発明は、そのような分析装置によって使用されるマイクロ流体基板へのエレクトロスプレイインターフェイスに関する。
【背景技術】
【0003】
高性能液体クロマトグラフィ(HPLC)装置は、化合物の分離、同定、および定量化のための分析ツールである。伝統的なHPLC装置は、ステンレス鋼管から作られた分析カラムを使用する。典型的には、管の内腔の直径が4.7mmであり、管の長さが約5cm〜約25cmの範囲である。
【0004】
さらに、HPLC装置の分析カラムは、典型的には、管へと取り付けられたフリット付きの端部取付具を有している。種々の官能基で官能化された粒子(典型的には、シリカをベースとする)が、管に詰め込まれる。
【0005】
完成したカラムを使用して最適な分離効率を達成するために、移動相の適切な流量が重要である。直径5μmの粒子が詰め込まれた直径4.7mmのカラムにおいては、所望の流量が、典型的には約1mL/min〜約2mL/minの間である。分離の効率を維持するために、HPLC装置の配管内の掃引されないデッドボリュームの存在を最小限にすることが所望される。
【0006】
HPLC装置において、インジェクタが、サンプルを別個の流体プラグとして流れている移動相へと注入するために典型的に使用される。カラムへと移動および/またはカラムから移動するときのプラグのバンド(band)の分散が、クロマトグラフシステムの最終的な効率を低下させる。例えば、4.7mmのカラム管および1〜2mL/minで流れる移動相を使用するクロマトグラフシステムにおいては、1/16インチの外径および約0.010インチの内径を有する管が、HPLCの種々の構成部品(例えば、ポンプ、インジェクタ、カラム、および検出器)の間の接続を配管するために、典型的に使用される。これらの流量および管の寸法においては、管のインターフェイスにおけるバンドの広がりを最小限に保証する公差へとポートの細部を加工することが、比較的容易である。
【0007】
1つには、移動相の溶媒の消費を少なくするという要望が、カラムの内径の縮小へと向かう傾向を動機付けている。それ故に、典型的には表1に示されるとおりに定義されるいくつかの規模のクロマトグラフィが、今や一般的に実施されている(表において、IDは内径である)。
【表1】
【0008】
マイクロボアHPLCは、多くの場合に、わずかな変更にて分析規模のHPLCに使用される設備と同様の設備によって実行されている。取付具の製作においてわずかな追加の注意を払う必要がある点を除き、マイクロボアHPLCは、典型的には、分析規模のHPLCと同様の操作熟練レベルしか必要としない。
【0009】
対照的に、毛管規模およびナノ規模のHPLCは、分析規模のHPLCと比べて、HPLCの構成部品に比較的大きな変更を必要とする。分析およびマイクロボアのHPLCシステムにおいて一般的に見られるポンプなどの標準的な開ループの復動HPLCポンプを使用して約50μL/minよりも少ない安定な移動相の流れを生成することは、比較的困難である。
【0010】
毛管規模のクロマトグラフィにおいては、ステンレス鋼管を構成部品の相互接続に使用することができるが、内径が、典型的には0.005インチ未満(約125μm未満)でなければならない。わずかな量のデッドボリュームの発生さえも回避するために、取付具の末端の製造において、広く注意が必要とされる。
【0011】
ナノ規模のクロマトグラフィにおいては、装置の構成部品を互いに接続する(例えば、ポンプを分離カラムへと接続する)ために、約25〜50μmの内径を有する管が、典型的に必要とされる。ステンレス鋼管は、典型的にはこのような寸法では入手できないため、ポリイミドでコートされた石英ガラス管が、典型的に使用される。石英ガラス管は、優秀な寸法公差を有し、きわめて清浄な非反応性の内壁を有するが、壊れやすく、取り扱いが難しくなりうる。さらに、掃引されない数ナノリットルのデッドボリュームでさえも防止するために、相互接続のポートを厳格な公差へと加工しなければならない。
【0012】
分析規模のHPLCをマイクロボア規模のHPLCで置き換える主な動機が、溶媒の消費を少なくするという要望であってもよい一方で、毛管規模およびナノ規模のクロマトグラフィへの移行は、例えば約10μL/min未満の流量が使用される場合に、溶媒の消費のさらなる削減に加えて、質量分析計の検出感度の向上を後押しすることができる。さらに、毛管規模またはナノ規模のシステムは、多くの場合に、利用可能なサンプルが少量である用途において典型的に求められる高感度な検出のための唯一の選択肢である(例えば、新生児の血液スクリーニング検査)。
【0013】
毛管規模およびナノ規模のクロマトグラフィの利点にもかかわらず、HPLCのユーザは、マイクロボア規模および分析規模のクロマトグラフィシステムを採用する傾向にある。上述のように、これらのシステムは、典型的には良好な信頼性を提供し、比較的使用が容易である。対照的に、毛管規模またはナノ規模のクロマトグラフシステムの運転時に良好なクロマトグラフィ効率を維持することは、システムの配管接続(例えば、管を使用してポンプ、インジェクタ、カラム、および検出器を接続する)の際に多大な注意を必要とする。
【0014】
実務において、分析規模またはマイクロボア規模のシステムから毛管規模またはナノ規模のシステムへと移行する作業者が、より大流量の(すなわち、分析規模またはマイクロボア規模の)システムほどより良好な分離効率が達成されることを発見することも多い。これは、典型的には、バンドの拡散が少ない管の相互接続を実現するために必要な作業者の知識および経験が、不充分であることに起因して生じる。さらに、より小さな内径の管が使用されることで、管の頻繁な詰まりにつながることも多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】米国特許出願公開第2009/032135号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
毛管規模のHPLCシステムにおいて典型的に直面され、ナノ規模のHPLCシステムにおいてさらに直面される相対的な困難性ゆえに、そのようなシステムは、主として、サンプルのサイズが小さいなどの必要な場合に限り、比較的熟練した作業者が存在する場合に限って、使用されている。このように、分析実験室は、毛管規模およびナノ規模のシステムよりも分析規模およびマイクロボア規模のシステムを多く保有する傾向にあり、毛管規模およびナノ規模のHPLCから得られるすべての利点を実現してはいない。
【0017】
HPLCなどの分離技法は、サンプルについて多次元的な情報をもたらすために、1つ以上のさらなる分析技法と組み合わせて利用されることが多い。例えば、質量分析計(MS)が、分子量および構造についての情報をもたらすことができる。別個の技法を組み合わせるうえでの1つの問題は、サンプルのインターフェイスを設けることにある。
【0018】
例えば、LCおよびMSの組み合わせは、典型的には、MSによる分析のために、LCによって生成されたサンプル溶離液の搬送およびイオン化を必要とする。電界脱離、サーモスプレイ、およびエレクトロスプレイなどのソフトイオン化技法が、たんぱく質およびペプチドなどの高分子量の分子から由来する完全の分子イオンの生成において有益である。精密な生物学的用途が、好ましいソフトイオン化技法を決定することが多い。
【0019】
本発明のいくつかの実施形態は、マイクロ流体クロマトグラフィの構成部品およびスプレイエミッタのためのサンプル−溶離液のインターフェイスを、導管の弾性変形可能部と比較的剛性のあるマイクロ流体基板との間の可逆な機械的接触によって実現できるという認識から生まれている。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明は、一態様において、化学的分離のための装置に関する。装置は、サンプルの溶離液を出力するための出口開口を有しているマイクロ流体基板、溶離液を受け取るための入り口と、溶離液のスプレイを放射するための出口とを有しているスプレイユニット、ならびに力印加ユニットを備える。スプレイユニットが、入り口を定める変形可能部を有しており、変形可能部の弾性率がマイクロ流体基板の弾性率よりも低い。ばねなどの力印加ユニットが、変形可能部を実質的に流体を漏らさないシールを形成すべく基板に押し付けるように配置されている。本発明の他の態様は、マイクロ流体ベースの装置を製作する方法、分析方法、および他のマイクロ流体ベースの装置に関する。
【0021】
本発明の上述の利点およびさらなる利点が、以下の説明を添付の図面と併せて参照することによって、よりよく理解される。添付の図面においては、種々の図において、類似の番号が類似の構造要素および要素(features)を指し示している。図面は必ずしも比例尺でなく、本発明の原理を示すことに強調が置かれている。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】マイクロ流体カートリッジが取り付けられた状態にある液体クロマトグラフィモジュールを備えている液体クロマトグラフィ−質量分析計システムの実施形態の正面図である。
【図2】液体クロマトグラフィモジュールの実施形態の正面図である。
【図3】液体クロマトグラフィモジュールの図であり、内部に収容されたクランプアセンブリを見せるためにカバーが開かれた状態にある。
【図4】液体クロマトグラフィモジュールに収容されるクランプアセンブリの実施形態の斜視図である。
【図5】クランプアセンブリの側面図である。
【図6】クランプアセンブリの正面図である。
【図7】クランプアセンブリの端部ハウジングの実施形態の図である。
【図8】端部ハウジングの分解斜視図である。
【図9】端部ハウジングの後壁の別の実施形態の外面図である。
【図10】端部ハウジングの後壁の別の実施形態の内面図である。
【図11】マイクロ流体カートリッジの一実施形態の右側の図である。
【図12】マイクロ流体カートリッジの左側の図である。
【図13】マイクロ流体カートリッジの分解図である。
【図14】右側を取り除いたマイクロ流体カートリッジの側面図である。
【図15】右側を取り除いたマイクロ流体カートリッジの別の側面図であり、マイクロ流体カートリッジ内のマイクロ流体基板に重ねられた押しブロックを示している。
【図16】左側を取り除いたマイクロ流体カートリッジの側面図である。
【図17】マイクロ流体カートリッジ内のマイクロ流体基板の一実施形態の側面図である。
【図18】自動調心の取付具を備えるマイクロ流体基板の別の実施形態の図である。
【図19】図18のマイクロ流体基板の断面図である。
【図20】マイクロ流体カートリッジが取り付けられていない状態のクランプアセンブリの正面断面図である。
【図21】マイクロ流体カートリッジが取り付けられた状態のクランプアセンブリの正面断面図であるが、クランプアセンブリはまだクランプ位置にない。
【図22】マイクロ流体カートリッジが挿入された状態のクランプアセンブリの正面断面図であるが、クランプアセンブリがクランプ位置にある。
【図23】マイクロ流体カートリッジのエミッタ端の図であり、高電圧のケーブルおよびガスノズルがマイクロ流体カートリッジの側面に接続されている。
【図24】図14のカートリッジのエミッタ端の図である。
【図25A】エミッタと基板との間のインターフェイスを示している図24のカートリッジの一部分の3D図である。
【図25B】図25Aのインターフェイスの詳細図である。
【図25C】エミッタを位置決めするための保持具の使用を説明する側面図である。
【図26】カートリッジのスプレイユニットの実施形態の3D図である。
【図27A】保持具−基板の組み立てツールの実施形態の3D図(上方からの)である。
【図27B】保持具−基板の組み立てツールの実施形態の3D図(下方からの)である。
【図28A】マイクロ流体カートリッジの実施形態の3D図である。
【図28B】マイクロ流体カートリッジの実施形態の3D図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本明細書に記載の高性能液体クロマトグラフィ(HPLC)装置は、エレクトロスプレイエミッタを有するマイクロ流体カートリッジを受け入れ、エミッタの先端をHPLC装置の質量分析計の構成部品に動作可能に連通させるための取付チャンバを有している。マイクロ流体カートリッジは、例えば参照により本明細書に組み込まれるGerhardtらの米国特許出願公開第2009/032135号明細書に記載されているような実質的に剛性のあるセラミックベースの多層マイクロ流体基板(本明細書において、セラミックタイルとも称される)を収容している。たんぱく質サンプルにおいては、セラミックが、好ましくは、基板の導管の壁へのサンプルの付着に起因するサンプルの損失のレベルが適切に低くなる高温同時焼成セラミック(HTCC)である。
【0024】
基板の層に形成されたチャネルが、分離カラムとして機能する。例えばレーザエッチングによって形成される基板の側面の開口が、流体をカラムへと導入することができるチャネルへの開口を提供する。流体が、高い圧力のもとで開口を通過し、チャネルの出口端に接続されたエレクトロスプレイエミッタに向かって流れる。マイクロ流体カートリッジの側面の穴が、基板へと流体を届けるための流体導入ポートを提供する。1つ以上の流体導入ポートの各々が、流体開口のうちの1つに位置合わせして、これを囲む。
【0025】
クランプ機構が、マイクロ流体カートリッジの片側へと機械的な力を加え、基板を取付チャンバに結合された流体ノズルに押し付ける。ノズルが、カートリッジの流体導入ポートを介して基板へと流体を届ける。
【0026】
1つには、HPLC装置および他の装置の種々の実施形態は、ポートおよびノズルなどの種々の構成部品がポリマーなどの変形可能材料から望ましく形成され、充分な強さの機械的な力を、開口を囲んで各々のノズルと基板の表面との間に緊密な漏れのないシールが生み出されるように実質的に剛性のある基板へと加えることができるという認識からもたらされる。好ましくは、加えられる圧力が、基板と管との間の接触面において、管を基板へと通過する流体の圧力よりも大きい。適切なポリマーは、例えばPEEK(TM)ポリマー(Victrex PLC、Lancashire、United Kingdomから入手可能)などのポリエーテルエーテルケトンである。
【0027】
セラミックベースの基板は、ただ1つの小さい点に集中した機械力および/またはせん断応力を導入しがちな方法(基板を曲げ、さらには/あるいはねじるような傾向、など)で加えられる機械力にさらされた場合に、割れを生じやすい可能性があるため、クランプ機構は、好ましくは多表面のプローブを使用し、さらには/あるいは基板の片面に(垂直に)加えられる力に、好ましくは実質的にせん断力の存在しない圧縮力を導入するような方法で基板の反対側に加えられる等しい実質的に同一方向の力によって対抗する。
【0028】
多表面のプローブが、例えば同時に多数の接触点において基板を押す。したがって、プローブは、好ましくは力を分散してせん断応力の可能性を軽減または排除する傾向の方法で、基板に接するように構成される。好ましくは、プローブに関する多数の接触箇所が、基板の反対側に接触する造作に位置合わせさせられることで、クランプ機構によるせん断応力の導入が軽減または排除される。
【0029】
各側から基板に接触する造作のいずれかまたはすべては、随意により、ガスおよび/または液体のための導管を備え、および随意により電気導体、さらには/あるいは、光導体、および/または他の通信経路を備える。
【0030】
同時接触の多数の点は、随意により、機械的な力をただ1つの接触点の場合よりも広い面積へと分布させる。好ましくは、接触点が、円上の実質的に等間隔な点に組み合わせられ、および/または力の分布の円形パターンを定める。好ましくは、多点にて基板に接触する部品が、加えられる力をただ1つの場所にて受け取ることで、したがって基板へと加えられるねじり力の可能性および程度が潜在的に軽減される。さらに、基板が、好ましくはマイクロ流体カートリッジの内部である程度の移動の自由を有し、クランプ機構が係合するまで自由に浮動し、圧縮以外の応力が基板に作用することがなく、カートリッジのハウジング部が基板へと実質的な力(そのような力が存在しても)を加えることがないように、クランプのプロセスにおいて基板の位置の「自動調節」を可能にする。
【0031】
マイクロ流体カートリッジは、基板に加えて、内部回路と、基板の加熱および冷却のための温度制御ユニットとを収容する。マイクロ流体カートリッジの開口が、ポゴピン(pogo pin)によって内部回路へと低電圧および他の電気信号を供給するための窓をもたらす。エレクトロスプレイエミッタの先端付近に位置するマイクロ流体カートリッジの別の開口が、ガスノズルへとつながるガス導入ポートとして機能する。エミッタ端の付近に配置されるさらに別の開口が、高電圧の入力ポートとして機能する。高電圧のケーブルが、例えば約3keVの電圧など、エミッタの先端領域に高い電圧を届けるために、この高電圧の入力ポートにつながる。
【0032】
管を基板へと押し付けるために使用される機械力は、高電圧のケーブルと高電圧の入力ポートとの間、導電性のポゴピンと電気コネクタとの間、およびガスノズルとガス導入ポートとの間の接続を確立するようにも機能する。このように、マイクロ流体カートリッジを取付チャンバ内にクランプするというただ1つの行為で、分離カラムの動作に必要な種々の流体および電気の接続が同時に確立される。
【0033】
図1が、本発明を具現することができる液体クロマトグラフィ−質量分析(LC−MS)システム10の一実施形態の正面図を示している。LC−MSシステム10が、スロット14を有する液体クロマトグラフィモジュール12を備えており、スロット14に、完全に組み立てられたマイクロ流体カートリッジ16が位置する。図示のとおり、マイクロ流体カートリッジ16のハンドルが、スロット14から突き出している。液体クロマトグラフィモジュール12が、質量分析(MS)ユニット18に組み合わせられている。一実施形態においては、LC−MSシステム10が、Waters Corporation、Milford、Maによって製造されるnanoACQUITY UPLC(R)システムの改良型である。
【0034】
図2が、ハウジング20を有する液体クロマトグラフィモジュール12の一実施形態の正面図である。ハウジング20が、上部22、中央部26、および下部30を有しており、上部22が、オン−オフスイッチ23ならびに状態および圧力の表示器24を備えており、中央部26が、マイクロ流体カートリッジを受け入れるためのスロット14およびアーム部28を有しており、下部30が、ハウジングの開口から延びている調節ノブ32を有している。調節ノブ32は、マイクロ流体カートリッジ16をx軸に沿って移動させるための内部のx移動ステージ(一部分だけが見えている)に接続されている。さらに、y移動ステージおよびz移動ステージ(図示せず)のための調節ノブが、MSユニット18(図1)に対するマイクロ流体カートリッジの位置のy軸調節およびz軸調節を可能にする。そのような調節は、例えば、エミッタ端出口のMS入り口オリフィスに対する位置決めを提供する。
【0035】
アーム部28に、枢支点36を中心にしてクランプ位置と非クランプ位置との間を回転できるレバー34が接続されている。図2においては、レバーが非クランプ位置にある。枢支点を中心にしてレバーを約180度ほど反時計方向に回転させることで、レバーがクランプ位置へと移動する。ハウジングの一端において、電気ケーブル38および電気信号導体40が、ハウジングの前部の開口42を通ってハウジングに進入している。本明細書において述べられるとおり、マイクロ流体カートリッジへと電気ケーブル38が高電圧を供給し、電気信号導体40が低電圧を供給する。マイクロ流体配管およびガス配管(図示せず)が、マイクロ流体カートリッジへと流体およびガスをそれぞれもたらすために、やはり開口42を通ってハウジングに進入している。
【0036】
図3が、前部カバー50が開かれ、内部のクランプアセンブリ60が露出された状態のハウジング20を示している。ハウジングの下辺に沿ったヒンジが、前部カバー50を移動ステージ支持部52へと取り付けている。移動ステージおよび調節ノブは、図解を簡単にするために図からは省略されている。ハウジング内に位置する他の構成部品として、回路基板62が挙げられる。移動ステージ支持部52、クランプアセンブリ60、および回路基板62は、ハウジングの後部パネル64に結合されている。
【0037】
電気ケーブル38および電線用導管66が、クランプアセンブリ60の片側へとつながっている。電気ケーブルが、高電圧(例えば、3000ボルト)を運び、電線用導管66が、複数の低電圧の電気導体を束ねる。図示はされていないが、マイクロ流体配管およびガス配管も、クランプアセンブリ60の電気ケーブル38および電線用導管66と同じ側に接続されている。
【0038】
クランプアセンブリ60は、マイクロ流体カートリッジを受け入れるためのスロット68と、レバー34(図2)が取り付けられるポスト70とを有している。前部カバー50が閉じられたとき、前部カバー50のスロット14が、クランプアセンブリ60のスロット68に位置合わせし、図2の調節ノブ32(図3には示されていない)が、前部カバー50の開口72を通って突き出し、ポスト70が、別の開口(アーム部28の側壁で遮られて見えていない)を通って突き出す。
【0039】
図4が、本体80を端部ハウジング82に組み合わせて有しているクランプアセンブリ60の実施形態を示している。ポスト70が、レバー34を本体80の片側(本明細書においては、前側と呼ばれる)に接合している。端部ハウジング82は、後壁86によって空間的に隔てられた反対向きの側壁84−1、84−2(全体として、84)を有している。側壁84−2は、見て取ることができないが、参照符号が、側壁84−2の領域を大まかに指している。側壁84−1が、マイクロ流体カートリッジ16(図1)を受け入れるように構成されたスロット86(図3)を有している。側壁84−2が、側壁84−1のスロット68に位置合わせした対応するスロット(図示せず)を有しており、マイクロ流体カートリッジ16が、クランプアセンブリ60へと設置されるときに両方のスロットを通過する。
【0040】
端部ハウジング82の後壁86が、ポゴピンブロック88および流体ブロック90を有している。ポゴピンブロック88は、間に電線用導管66(図示せず)を保持するように固定具94によって接合される2部品からなるブラケット92を備えている。ポゴピンブロック88(図4においては、2部品からなるブラケット92によって遮られてほとんど見えない)は、流体ブロック90の上方に隣接して配置される。流体ブロック90のこの実施形態は、流体をもたらす管の端部を受け入れるための3つの開口96を有している。スペーサブロック98が、ポゴピンブロック88および流体ブロック90を後壁のスロット(図8に示されている)に固定している。
【0041】
3つの開口104、106、108を備える主表面102を有しているL字形の保持具100が、後壁86の表面から突き出している。開口104は、クランプアセンブリ60へと接続されるガス配管(図示せず)を保持するためのものであり、開口106は、高電圧の電気ケーブル38(図3)を保持するためのものであり、開口108は、保持具100を後壁86へと接合する固定具を受け入れるためのものである。スロット68を通って挿入されるマイクロ流体カートリッジ16について、その挿入の程度を規制するために使用されるアーム110が、クランプアセンブリ60の後ろ側(すなわち、図1のMSユニット18へと提示される側)から延びている。
【0042】
図5が、マイクロ流体カートリッジ16がクランプアセンブリ60の側壁84の両方のスロットを貫いている状態のクランプアセンブリ60の側面図を示している。アーム110が、マイクロ流体カートリッジ16の上縁の隅を捕まえ、マイクロ流体カートリッジがスロット68を通ってさらに滑ることを防止している。高電圧の電気ケーブル38が、開口106へとつながり、電線用導管66が、ポゴピンブロックの2部品からなるブラケット92につながっている。さらに、カプラ112が、L字形の保持具100の開口104に接続している。
【0043】
図6が、クランプアセンブリ60およびスロット68を通して視認することができるチャンバ120の正面図を示している。チャンバ120内に、マイクロ流体カートリッジ16を受け入れるためのキャリッジ122が位置している。上部ばね124−1および下部ばね124−2ならびにプランジャ126の先端が、キャリッジ122の片側(すなわち、図6においては右側)からチャンバ120へと内向きに延びている。案内ピン128および複数のマイクロ流体ノズル端130−1、130−2が、反対側から(すなわち、端部ハウジング82の後壁86の方向から)チャンバ120へと内向きに延びている。この実施形態において、マイクロ流体ノズル端130−2に水平方向に一致させられた第3のマイクロ流体ノズル端130−3(図7)が、マイクロ流体ノズル端130−2に遮られて見えていない。
【0044】
図7が、後壁86によって隔てられた反対向きの側壁84−1、84−2を備えている端部ハウジング82の一実施形態の内部の図を示している。側壁84−1が、スロット68−1を有しており、側壁84−2が、スロット68−2を有している。後壁86に、ポゴピンブロック88および流体ブロック90が設置されている。
【0045】
ポゴピンブロック88の内面の凹んだ領域140が、この表面から内側へと突き出しているポゴピン電気コネクタ142を備えている。この例では、電気コネクタ142が、電気信号を導くための10個の導電ポゴピン144を有している。各々のポゴピン144は、電気信号を伝えるための個別の円ポスト形の電気導体であり、ばねによって付勢されている。
【0046】
流体ブロック90の内面は、この内面から突き出している図6の複数のマイクロ流体ノズル130−1、130−2、130−3(全体として、130)を有している。一実施形態においては、ノズル130の数が3つであり、三角形のパターンにて配置されている。3つのノズル130の位置は、互いに対して固定されている。マイクロ流体配管によって流体ブロック90の外面の開口96(図4)へともたらされる流体が、これらのノズル130を通って出る。ノズル130の三角形パターンの下方に、案内ピン128が、三角形の頂点のノズルに位置合わせして位置している。
【0047】
図8が、後壁86の組み立てプロセスを説明するために、端部ハウジング82の分解図を示している。後壁86が、流体ブロック90、ポゴピンブロック88、およびスペーサ98が順に滑り込まされるスロット150を有している。スロット150は、下部の矩形の領域152および段になった上部領域154を有している。下部領域152が、流体ブロック90およびポゴピンブロック88を受け入れるように構成されている。上部領域154の形状は、スペーサ98を受け入れるように構成されている。スペーサ98は、穴156を備える段部155を有しており、固定具が穴156を通ってスペーサを後壁86のそれぞれの穴157へと接合し、ブロック88、90、98をスロット150内に固定することができる。
【0048】
図9および図10が、端部ハウジング82の後壁86’の別の実施形態を示しており、図9が、後壁86’の外面を示しており、図10が内面を示している。この実施形態においては、後壁86’が、図7に示した流体ブロック190の3つのノズル130ではなく、マイクロ流体基板に接するための4つのノズルを有している。後壁86’が、菱形パターンに配置された4つの流体入り口ポート170−1、170−2、170−3、170−4(全体として、170)を備えている。各々の流体入り口ポート170が、後壁86’からおおむね直角に突き出す円形の取付具(4つのポートのうちのポート170−2において最もよく見て取ることができる)を備えている。各々の流体入り口ポート170は、他のポート170に対して浮動であり、すなわち流体入り口ポート170それ自体は、各々の流体入り口ポート170が他のポート170とは無関係にわずかに移動できるよう、後壁86’に固定されていない。
【0049】
流体の配管の例として、マイクロ流体配管172の先端が、流体入り口ポート170−1および170−3へと圧入される一方で、流体入り口ポート170−4は、栓174で塞がれ(すなわち、使用されず)、流体入り口ポート170−2は開かれている。さらに後壁86’は、ただ1列の電気コネクタ176(ここでは、例えば10個である)を有しているポゴピンブロック88’の別の実施形態を備えている。
【0050】
図10が、図9に示した後壁86’の別の実施形態の内面を示している。ポゴピンブロック88’の内面が、凹んだ領域180を有しており、この領域180から、一列の導電ポゴピン176が突き出している。ポゴピンの列の下方に、第2の凹んだ領域182が位置している。この凹んだ領域182から、後壁86’の外面のポート170の各々にそれぞれ対応する4つのマイクロ流体ノズル184が突き出している。マイクロ流体配管172によって後壁86’の外面のポート170へともたらされる流体が、これらのノズル184を通って出る。ノズル184の菱形パターンの下方に、案内ピン128と同様の機能の位置合わせピン186が位置している。
【0051】
図11が、図7に示した形式のノズル配置と協働するマイクロ流体カートリッジ16の実施形態の右側面図を示している。さらに後述されるとおり、マイクロ流体カートリッジ16は、エミッタと、マイクロ流体基板と、ヒータと、回路とを収容し、マイクロ流体カートリッジ16内に収容された種々の構成要素へと電圧、電気信号、および流体(ガスおよび液体)をもたらすための電気機械インターフェイスとして機能する。
【0052】
マイクロ流体カートリッジ16のこの実施形態は、2つのケーシング部分200−1、200−2を、例えば半型同士をスナップ止め、接着剤もしくは機械式の固定具の使用、またはこれらの任意の組み合わせによって接合して形成される。2つのケーシング部分は、本明細書において、マイクロ流体カートリッジ16の左側および右側とも称されるが、左および右という用語は、クランプアセンブリ60へと挿入されるときのマイクロ流体カートリッジ16の向きによって決定される。左、右、上、下、前、および後などの用語は、マイクロ流体カートリッジの説明を簡単にする目的のためのものであり、マイクロ流体カートリッジそれ自体の構造についていかなる制約も課すものではないことを、理解すべきである。
【0053】
右側ケーシング部分200−1は、把持端202およびエミッタ端204を有している。把持端202の湾曲した領域206は、ユーザが液体クロマトグラフィモジュール12への出し入れの際にマイクロ流体カートリッジ16を把持することができる指保持部をもたらしている。
【0054】
ケーシング部分200−1の側面に、押しブロック210が位置する矩形の窓208が存在している。押しブロック210の表面は、右側ケーシング部分200−1の表面と同一面に位置している。さらに後述されるように、押しブロック210は、右側ケーシング部分200−1に堅固に取り付けられているのではなく、内側、外側、上方、下方、左方、または右方にわずかに動くことができ、すなわち押しブロック210は、窓208において浮動している。一実施形態においては、押しブロック210が金属製である。
【0055】
押しブロック210の下方には、両方のケーシング部分200−1、200−2を完全に貫いて延びる開口212が配置されている。開口212は、以下では貫通穴212と称される。エミッタ端204において、マイクロ流体カートリッジ16の上辺に隅214が存在している。隅214において、可動フィン216がケーシング部分200−1、200−2の間の上辺を貫いて突き出している。
【0056】
図12が、マイクロ流体カートリッジ16の左側ケーシング部分200−2を示している。右側ケーシング部分200−1と同様に、左側ケーシング部分200−2は、湾曲した領域206を備える把持端202と、エミッタ端204とを有している。左側ケーシング部分200−2の全長のほぼ真ん中に、3つのノズル開口220が、流体ブロック90(図7)のノズル130の三角形配置に一致する三角形のパターンにて位置している。三角形のパターンは、円形の荷重パターンを定めるために望ましい。円の中心が、押しブロック210の金属プレートボス260への荷重のバランスをもたらすために、好ましくはクランプアセンブリ60(図6)のプランジャ126(図20)の運動の軸に合わせられる。第3の流体ポートが、例えば較正ポートとして使用され、作業者が較正用の流体を流すことができる。他の2つのポートは、例えば分析カラムおよびトラップカラムへのアクセスを提供する。
【0057】
各々のノズル開口220の背後に同心に、マイクロ流体カートリッジ内に収容されたマイクロ流体基板の側の微視的な流体開口が位置している。流体ブロック90のマイクロ流体ノズル130の流体の導管は、基板の微視的な開口のサイズよりもはるかに大きい内径を有しており、両者の間の位置合わせを容易にしている。一実施形態においては、微視的な流体開口の各々が、0.003平方インチの断面を有しており、マイクロ流体ノズル130の各々が、0.003インチのビア(正方形の断面を有する開口)などの基板上の微視的な流体開口に位置合わせしてこれを囲む0.013インチのオリフィス(円形の断面を有する管腔)を有する。
【0058】
マイクロ流体ノズル130は、流体のシールをもたらすためにクランプアセンブリ60(図6)によってもたらされる圧縮応力のみに依存するポリマー−セラミックのインターフェイスを利用し、すなわちクランプアセンブリ60が、ポリマー−セラミックのインターフェイスに動作流体圧力よりも大きな圧力をもたらす。例えば、5,000psiの動作流体圧力または他の圧力(15,000psiなど)が、ノズル−基板のインターフェイスの全表面積にわたる130ポンドのクランプ荷重にて実現され、選択された動作圧力について効果的な流体のシールを生み出す。
【0059】
三角形に配置されたノズル開口220の頂点の直上において、矩形のくぼみ222が左側ケーシング部分200−2に位置している。くぼみの領域222が、電気接点226のアレイへのアクセスのための矩形の窓224を囲んでいる。電気接点226は、ポゴピンブロック88(図7)のポゴピン144に電気的に接触する導電パッドである。電気接点226のアレイは、図13に関してさらに後述されるように、マイクロ流体基板に重なる可撓回路の一部である。
【0060】
左側ケーシング部分200−2は、エミッタ端204に、ガスノズルを受け入れるためのガス入り口ポート225と、高電圧の電気ケーブル38(図5)の先端(ポゴピン)を受け入れるための高電圧導入ポート228とを有している。複数の穴234が、ケーシング部分200−1、200−1を半型を接合させるときに位置合わせさせて使用される位置合わせピン236を保持する。
【0061】
左側ケーシング部分200−2は、矩形の溝230を自身の下辺に沿ってさらに有している。溝230は、エミッタ端204に開放端232を有し、そこから横方向に延び、ノズル開口220の下方に位置する貫通穴212を終端としている。さらに、溝230は、マイクロ流体カートリッジ16がクランプアセンブリ60のスロット68(図4)へと挿入されるときに案内ピン128(図7)を受け入れる。案内ピン128が貫通穴212に達すると、マイクロ流体カートリッジ16は、チャンバ120に完全に取り付けられ、クランプされる位置に固定される。
【0062】
図13が、マイクロ流体カートリッジ16およびマイクロ流体カートリッジ16に収容される種々の構成部品の分解図を示している。右側ケーシング部分200−1および左側ケーシング部分200−2の間に、マイクロ流体基板250、マイクロ流体基板に組み合わせられるエミッタアセンブリ252(本明細書において、「スプレイユニット」とも称される)、およびシャッタ254が配置されている。右側ケーシング部分200−1の内面に、押しブロック210をぴったりと受け入れるように較正された矩形の凹所256が位置している(すなわち、押しブロック210が凹所256にスナップ止めされて浮動する)。押しブロック210がこの凹所256に着座している状態で、押しブロックの高い部分(見えていない向こう側に着座する)が、右側ケーシング部分200−1の側面の窓208に進入している。
【0063】
さらに、押しブロック210のこの実施形態は、それぞれが平らな面を備える3つの隆起したボス260を有している。3つのボスの平らな面が、第1のケーシング部分200−1の外側から押しブロック210へと押圧力が加えられたときにマイクロ流体基板の側面を同時に圧迫し、単一の集中した接触点が生じないように力を分散させる。各々の隆起ボス260が、マイクロ流体基板250の流体開口のうちの対向する1つに直接位置合わせし、それにより(押しブロックが押されたときに)左側ケーシング部分200−2のノズル開口220のうちの対向する1つに直接的に圧力を加え、例えばマイクロ流体基板250のねじりまたは曲げによるせん断応力の発生を防止する。
【0064】
他の実施形態は、3つよりも多数または少数のボスを有することができる。一般に、ボスの数は、マイクロ流体基板250の流体開口の数(ダミーの開口を含んでもよい)に一致し、したがって各々の流体開口について1つのボスが、その流体開口に直接向かい合うように位置合わせさせられて存在する。一般に、ボスの数は、基板250に接触する流体ノズルおよびダミーノズルの数に一致し、したがってすべてのボスが対応するノズルに位置合わせする。ボスおよびノズルの数および配置は、マイクロ流体基板250への望ましくない応力の印加を抑えるように、随意により選択される。
【0065】
アセンブリ252は、エミッタ266、エミッタ266を基板250に配置および/または位置合わせさせるエミッタ保持具241A、およびシースガス部品279を備えている。部品279は、ハウジング部分200−1、200−2に配置された配管278を介してシースガスを受け取る。保持具241Aが、エミッタ266の管腔を基板250の出口ポートに位置合わせさせる。好ましくは、さらなる部品が、出口ポートを通ってエミッタ266の管腔へと流れる溶離液の圧力よりも大きい界面の圧力をもたらすための充分な力で、エミッタ266を基板205に接触するように押し付ける。
【0066】
電気接点226のアレイを備える可撓回路アセンブリ258が、マイクロ流体基板250の上辺を越えて折り重ねられている。図12において説明したように、これらの電気接点226に、左側ケーシング部分200−2の窓224を通ってアクセスすることができる。さらに、シャッタ254が、マイクロ流体基板250の表面の微視的な流体開口が露出されるように、左側ケーシング部分200−2の側面のノズル開口220に位置合わせする穴262を有している。さらに、シャッタ254は、フィン216(図11)と、エレクトロスプレイエミッタ266を部分的に包むエミッタ管264とを有している。
【0067】
基板250は、随意により、以下の方法で形成される。複数の基板250のための5枚の原料シート層が、所望のパターン加工の後で一体にプレスされる。流体開口のためのビアが、プレスされたサンドイッチの片側または両側にレーザエッチングされる。エッジ部分が、レーザエッチングによって画定される。焼成後に、個々の基板250がバラされる。エッジまたはエッジの一部分が、随意により研磨される。
【0068】
図14が、マイクロ流体カートリッジ16の右側面図を示しており、右側ケーシング部分は、内部に収容された種々の構成部品を見えるようにし、左側ケーシング部分200−2の内面の種々の造作を見せるために、取り除かれている。種々の構成部品として、いずれも図示のとおりに左側ケーシング部分200−2へと組み合わせられるマイクロ流体基板250およびシャッタ254が挙げられる。
【0069】
マイクロ流体基板250の表面に、制御回路部257とヒータ部(以下では、ヒータ270)とで構成される可撓回路アセンブリ258が位置している。可撓回路アセンブリ258は、マイクロ流体基板250の上辺を越えて折り重ねられ、マイクロ流体基板250の反対側の面の一部分を覆っている。集積回路(IC)デバイス272が、可撓回路アセンブリ258の制御回路部に取り付けられている。一実施形態においては、ICデバイス272が、プログラムコードおよびデータを保存するためのメモリデバイス(例えば、EPROM)である。ヒータ270が、マイクロ流体基板250内の分離カラムを覆っている。ヒータ270には、温度センサ274が取り付かられている。
【0070】
可撓回路アセンブリ258は、複数(例えば、3つ、4つ、または5つ)の積層で構成される。各層のポリマー基板が、種々の相互接続または回路を保持する。層のうちの1つが、ヒータ270の抵抗線を含んでいる。抵抗線の両端の電気接点が、制御回路部257の2つのパッド259に接続している。可撓回路アセンブリ258の別の層は、抵抗線の端部に電気的に接触するビアを有しており、他の層は、電気部品272、274へと電気的に接続する接点を有しており、さらに別の層は、ポゴピン接点パッド266(図13)を有している。可撓回路アセンブリ258を介し、電気部品272、274および抵抗線の各々が、接点パッド226へと電気的に接続される。ガス入り口ポート225が、注入されたガスをエミッタ端204へと届けるガス配管278へと導くウエル276へと開いている。
【0071】
図15が、図14のマイクロ流体カートリッジ16の右側面図を示しており、やはり右側ケーシング部分は取り除かれており、押しブロック210(図13)のさらなる造作が、押しブロック210がマイクロ流体基板250に当接する大まかな位置に取り付けられているのが示されている。この位置は、可撓回路アセンブリ258の直下かつヒータ270の後方(マイクロ流体カートリッジ16の前方に位置するエミッタ端204に対して)のマイクロ流体基板250の南西の4分の1の近くである。押しブロック210は、より大きな矩形のブロック280上に配置され、またはそのような矩形のブロック280の一体の延長部であるより小さな矩形のブロック282を備えている。より小さな矩形のブロック282は、右側ケーシング部分200−1の窓208(図13)にぴったりとはまるように寸法付けられている。
【0072】
図16は、マイクロ流体カートリッジ16の左側面図を示しており、左側ケーシング部分は、内部に収容された種々の構成部品を見えるようにし、右側ケーシング部分200−1の内面の造作を見せるために、取り除かれている。可撓回路アセンブリ258が、マイクロ流体基板250のこの面へと巻き付いており、図12の電気接点226のアレイを備えている。さらに、マイクロ流体基板250は、高電圧の電気ケーブル38(図5)の導電端子を受け入れるための高電圧入力ポート290を有している。高電圧入力ポート290は、図17に関して後述されるように、マイクロ流体基板250内の分離カラムの出口端の付近に配置されている。
【0073】
右側ケーシング部分200−1の内側は、ケーシングの素材からなる畝292を備えており、そのような畝292が、エミッタ端204から延びて貫通穴212を終端としている。ケーシング部分200−1、200−2が接合されるとき、畝292が、左側ケーシング部分200−2の外側の溝230(図12)のすぐ背後を延びる。畝292は、マイクロ流体カートリッジ16に構造的な支持をもたらす。さらに畝292は、溝230に直接向かい合って位置することによって、万が一にユーザが時期尚早にもマイクロ流体カートリッジ16が適正な位置に完全に達するよりも前にマイクロ流体カートリッジ16をクランプしようと試みたときに、案内ピン128(図7)によるカートリッジ16の曲げに抵抗する。さらに、時期尚早なクランプの試みの場合に案内ピン128によってマイクロ流体基板250が曲げられることを防止する予防的な手段として、マイクロ流体基板250のいかなる部位も、溝230の直接的な後方には位置していない。
【0074】
右側ケーシング部分200−1の内面が、ガスウエル276の残りの半分をもたらし、左側ケーシング部分200−2のウエル276を定めている壁に位置合わせして当接する壁を有している。ガスをガスウエル276に閉じ込める密なシールを向上させるために、固定具またはピン296(図14)が、ウエル276に隣接する開口298においてケーシング部分の間の接続をきつくする。
【0075】
図17が、マイクロ流体基板250の実施形態の左側面図を示している。概説すると、マイクロ流体基板250は、おおむね矩形であり、平たくて薄く(約0.050インチ)、多層からなる構成である。マイクロ流体基板250の層内に、液体を運ぶための曲がりくねったチャネル300が形成されている。マイクロ流体基板250は、トラップ領域302およびカラム領域304を含んでいる。図示の実施形態においては、マイクロ流体基板250が、3つの微視的な流体開口306−1、306−2、306−3(全体として、306)を有している。1つの流体開口306−1が、トラップ領域302の一端においてチャネル300に交わっており、別の流体開口306−2が、トラップ領域302の他端においてチャネル300に交わっている。この実施形態においては、第3の流体開口306−3は使用されていない。あるいは、第3の流体開口306−3を、例えば較正ポートとして使用することができ、作業者が較正用の流体を流すことができる。チャネル300は、マイクロ流体基板250の出口端を終端としている。トラップ領域302の「下流」端に位置する流体開口306−2は、随意により、例えばトラップ領域302の充てんの際に流体排出開口として使用され、随意により、例えば充てんされたサンプルをトラップ領域302からチャネル300へと注入する際に流体の流れに対して閉じられる。
【0076】
さらに、マイクロ流体基板250は、高電圧入力ポート290(図16)と、左側ケーシング部分200−2の内面から突き出すペグをそれぞれ受け入れる1対の位置合わせ開口310−1、310−2(全体として、310)とを有している。位置合わせ開口310は、マイクロ流体カートリッジ16内でのマイクロ流体基板250の位置決めを助ける。ペグのサイズに対する位置合わせ開口310のサイズが、マイクロ流体基板250のマイクロ流体カートリッジ16内でのある程度の遊びを許容する。
【0077】
マイクロ流体カートリッジ16は、ただ1つのマイクロ流体基板250ではなく、互いに接続された複数のマイクロ流体基板を収容することができる。図18が、取付具によって接合された複数のマイクロ流体基板250−1、250−2を有する一実施形態を示している。マイクロ流体基板250−1、250−2が、トラップタイル250−1をカラムタイル250−2に組み合わせて備えている。トラップタイル250−1が、流体案内チャネル300−1を有しており、カラムタイル250−2が、流体案内チャネル300−2を有している。
【0078】
トラップタイル250−1のこの実施形態は、3つの流体開口を有している(タイル250−1の空いている場所318が、4つの流体開口を有する実施形態も考えられることを表わしている)。それぞれの流体開口の周囲に、取付具320−1、320−2、320−3(全体として、320)が組み合わせられている。取付具320は、さらに詳しく後述されるように、マイクロ流体カートリッジ16がチャンバ内に設置されるときに、流体ブロック90のノズル(例えば、それぞれ図7のノズル130または図10のノズル184)の先端を自動的に調心させるように機能する。これらの取付具310を、金属、プラスチック、セラミック、またはこれらの材料の任意の組み合わせで製作することができる。取付具320を基板250−1に接続するために、接着、締め付け、溶着、ろう付け、またはこれらの組み合わせが可能である。
【0079】
図19が、取付具320−1および320−2を切断するトラップタイル250−1およびカラムタイル250−2の断面図を示している。トラップタイル250−1のチャネル300−1が、取付具320−1から取付具320−2へと延びている。カプラ322−1、322−2(全体として、322)が、トラップタイル250−1をカラムタイル250−2へと接続している。各々のカプラ322は、1対の位置合わせした取付具で構成され、一方の取付具がトラップタイル250−1の下面に位置し、他方の取付具がカラムタイル250−2の上面に位置している。カプラ322−1が、トラップタイル250−1のチャネル300−1を通過する流体を、カラムタイル250−2のチャネル300−2に到達させるためのチャネル324をもたらしている。取付具320と同様に、カプラ322を、金属、プラスチック、セラミック、またはこれらの材料の任意の組み合わせで製作することができ、接着、締め付け、溶着、およびろう付け、またはこれらの任意の組み合わせによって、タイル250−1、250−2へと取り付けることができる。
【0080】
好ましくは、カプラ322は、例えばノズル130の材料と同様または同一の変形可能な物質で形成され、機械的な圧力だけで、トラップタイル250−1とカプラ322との間に流体を漏らさないシールをもたらすことができる。カプラ322などの位置合わせを助ける造作は、随意により、図17に示した実施形態および他の実施形態にも含まれる。
【0081】
図20、図21、および図22が、クランプアセンブリ60へのマイクロ流体カートリッジ16の取り付けを示している。図20が、チャンバ120が空の状態のクランプアセンブリ60の断面を示しており、図21が、マイクロ流体カートリッジ16がチャンバ120に挿入された後(ただし、クランプはまだである)の断面を示しており、図22が、クランプ後の断面を示している。図20、図21、および図22の各々において、クランプアセンブリ60の本体80が、カム350およびカム従動子352を収容している。カム従動子352は、キャリア354の内部にあり、カム従動子352の一部分が、キャリア354を越えて延びてカム350に当接している。プランジャ126の一端が、キャリア354内でカム従動子354に接続されている。付勢ばね356が、プランジャ126の後部の周囲に巻き付けられ、戻しばね358が、プランジャ126の前部の周囲に巻き付けられている。随意により、いくつかの実施形態においては、カムがばねで付勢されたプランジャを閉鎖位置へと移動させるように回転させられ、ばね358などの第2のばねが、130ポンドの力など、所望の力のより一貫的かつ正確な導入のための荷重のバランスを提供する。
【0082】
図20において、付勢ばね356および戻しばね358は圧縮されておらず、カム350に接続されたレバー34(図6)は、開位置、すなわち非圧縮の位置にある。さらに、後壁86とキャリッジ122との間のばね360−1、360−2(全体として、360)も、同様に圧縮されていない。端部ハウジング82の後壁から空のチャンバ120へと、ポゴピン電気コネクタ144、ガスノズル130−1、130−2(第3のノズルは遮られていて見えない)、および案内ピン128が突き出している。
【0083】
図21においては、マイクロ流体カートリッジ16が、最初にカートリッジのエミッタ端をチャンバ120に進入させて、チャンバ120に位置している。マイクロ流体カートリッジ16がチャンバ120に進入するとき、案内ピン128が、左側ケーシング部分200−2の溝230に沿ってスライドする。マイクロ流体カートリッジ16のチャンバ120への挿入が限界に達すると、プランジャ126が、マイクロ流体カートリッジ16の右側の押しブロック210に当接し、案内ピン128が、溝230の端部の貫通穴212(図12)に達する。案内ピン128がこの穴に位置合わせしていない場合、マイクロ流体カートリッジ16をクランプすることができない。一実施形態においては、アーム110(図5)がマイクロ流体カートリッジ16の上辺の隅(図11)に係合することで、マイクロ流体カートリッジ16をどこまでチャンバへと進入させることができるのかが決定される。さらに、ばね124−1、124−2が、マイクロ流体カートリッジ16の右側に当接する。図20と同様に、図21においても、付勢ばね356、戻しばね358、およびばね360は、レバー34が開位置にあるため、圧縮されていない。
【0084】
図22においては、レバーが閉じられ、カム350が付勢ばね356および戻しばね358を圧縮し、プランジャ126を押しブロック210に押し付けている。押しブロック210の他方の面に間隔を空けて位置しているボス260(図13)が、この力をマイクロ流体基板250へと分散する。押しブロック210への力が、キャリッジ122およびマイクロ流体カートリッジ16をまとめて端部ハウジング82の後壁86に向かって移動させる。さらに、ばね124−1が、マイクロ流体カートリッジ16を下方へと後壁86に向かって押すように機能する一方で、ばね360−1、360−2(図21)が縮み、左方への移動に抵抗する。
【0085】
キャリッジがカートリッジ16と一緒に移動する結果として、案内ピン128が、マイクロ流体カートリッジ16の貫通穴212に進入する。後壁86から内向きに突き出しているノズル130が、マイクロ流体カートリッジ16の左側ケーシング部分のそれぞれのノズル開口220(図12)に進入し、マイクロ流体基板250の表面に押し付けられる。押圧力は、各々のノズルと流体開口との間に密封された流体の通路を生み出すために充分である。さらに、クランプにより、ポゴピン144も左側ケーシング部分の窓224に進入し、電気接点226のアレイに電気的に接続する。
【0086】
流体ブロックのノズルとマイクロ流体基板との間の流体のインターフェイス、およびポゴピン144と電気接点226のアレイとの間の電気的なインターフェイスの確立に加えて、このクランプ作用は、(1)高電圧のポゴピンとマイクロ流体基板との間の電気的なインターフェイス、および(2)ガスノズルとマイクロ流体カートリッジ16との間の流体のインターフェイスも確立する。図23が、マイクロ流体カートリッジ16の左側ケーシング部分に進入するポゴピン380を備える高電圧の電気ケーブル38、および左側ケーシング部分のガス入り口ポートに進入するガスノズル端部382を示している。
【0087】
本発明のいくつかの好ましい実施形態は、LC−MSにもとづく既存の分析設備などの既存の装置と比べて、低いコストおよび小さいサイズの装置をもたらす。小型化は、サイズの縮小に加えて、例えば信頼性の向上、試薬の量およびコストの削減、使用後の試薬の廃棄コストの削減、ならびにLC関連の構成要素における分散を少なくする性能の向上などの多数の潜在的利益をもたらす。本明細書に記載の好ましい実施形態は、液体クロマトグラフィに関係しているが、本発明を他の分離技法にも適用できることを、当業者であれば理解する。
【0088】
次に、装置のスプレイユニットの特徴に目を向ける。
【0089】
図24が、マイクロ流体カートリッジ16(図14を参照)のエミッタ端204の図である。エミッタ端204は、管264(この実施形態においては、長さに沿って開いている)によって機械的な損傷から保護されたエレクトロスプレイエミッタ266を備えている。管264は、カートリッジ16がクランプアセンブリ60へと挿入されることによってシャッタ254が変位させられるときに、エミッタ266を露出させるように移動する(挿入時に、アセンブリ60が可動フィン261およびシャッタ254をカートリッジ16のエミッタ端204から遠ざかるように押す)。ばね265は、カートリッジ16がクランプアセンブリ60から取り出されたときにシャッタ254およびシールド管264が保護位置に戻るように、シャッタ254を付勢している。
【0090】
エミッタ266に加えて、図24の実施形態のスプレイユニットは、保持具240(本明細書において、位置合わせユニットとも称される)と、力印加ユニット(この例では、ばね241)と、力受け止め部品(この例では、エミッタ266に取り付けられた取付具242)とを備えている。保持具240は、エミッタ266を受け止め、基板250に位置合わせさせる。保持具240は、好ましくは基板250に固定的に取り付けられている。ばね241は、保持具240内に囲まれ、保持具がばね241を取付具242に押し付けており、取付具242がばね力をエミッタ266へと伝え、エミッタ266を基板250との接触へと押し付けている。取付具242は、随意により、例えば管腔Lの入り口端から約1/8インチに位置するクリンプ(crimp)されたスリーブである。
【0091】
図25Aが、エミッタ266と基板250との間のインターフェイスAを説明する3D図である。上述のように、エミッタ266が基板250へと押し付けられ、エミッタ266のうちの基板250と接触する部位は、好ましくは、より剛性のある基板250へと押し付けられたときに流体を漏らさないシールを形成するために充分な程度の変形性(好ましくは、弾性的な)を有する材料で好ましくは形成される。エミッタ266の管腔Lが、基板の導管の出口オリフィスEに位置合わせして配置される(基板250の出口オリフィスEに対する管腔Lの入り口端の位置LEを示しているインターフェイス領域Aの詳細図である図25Bを参照)。
【0092】
この典型的な実施形態において、管腔Lは、円形の断面を有しており、出口オリフィスEは、ほぼ矩形である。管腔Lの直径は、オリフィスの対角線よりも短い。インターフェイスは、望ましくは、多くの既存のLC−スプレイインターフェイスと比べて、デッドボリュームがより小さく、または皆無であり、分散効果が少ない。これらの寸法は、好ましくは、いくつかの対象の用途にとって小さく、管腔Lの入り口を基板250の出口オリフィスEに対して正しい関係に配置し、エミッタ266と基板250との間に良好な機械的インターフェイスを達成するための適切な位置合わせに、ある程度の困難を強いる。エミッタ管266は、随意により、管266の中心軸の位置に対する管腔Lの位置の公差に関して選択される。
【0093】
例えば少量のサンプルに適する一実施形態においては、エミッタ266が、0.030インチの外径および0.001インチの内径を有し、オリフィス出口が、0.0039インチ×0.0036の寸法を有する。図25Cは、エミッタ266を位置決めするための保持具345の使用を説明する側面図である。この例では、保持具345が、0.032インチの内径を有している。したがって、エミッタ266が保持具345内に配置されるとき、保持具345におけるエミッタ266の横方向の公差ゆえに、出口オリフィスEに対する管腔Lの位置決めにおいて約0.002インチの横方向のばらつきが存在する。保持具345、出口オリフィスEに対する保持具の位置、出口オリフィスEのサイズ、エミッタ266、管腔Lのサイズ、およびエミッタ266における管腔Lの位置が、出口オリフィスEの境界の完全に内側への管腔Lの入り口の位置合わせを達成するために協働する。一般に、基板に対する保持具345の位置決めが、保持具345が位置合わせプロセスにおいて自身の役割を果たすための充分な精度を有さなければならない。そのような充分な精度を達成するように基板250および保持具345の組み合わせを組み立てる1つの方法を、図27Aおよび図27Bを参照して後述する。
【0094】
この例では、ばね241が、例えば約7ポンドの力を加える。いくつかのLC−MCの実施形態においては、基板の出口において必要とされる封止の圧力が、出口の近傍における液体の圧力が入り口における圧力と比べて低いため、入り口において必要とされる封止の圧力よりも小さい。好ましくは、加えられる力が、インターフェイスにインターフェイスを通過する溶離液の圧力よりも大きい圧力をもたらすために充分に大きい。
【0095】
図26は、図25Aに示した特徴を備えるスプレイユニット340の実施形態の3D図である。スプレイユニット340が、保持具345と、エミッタ266と、ばね341と、エミッタ266に取り付けられた取付具342と、保持具キャップ342Aとを備えている。キャップ342Aは、例えばスナップ止めまたはねじ山によって保持具345へと固定的に取り付けられ、または着脱可能に取り付けられる。ばね341および取付具342は、スプレイユニット340が動作のために組み立てられたとき、キャップ342Aおよび保持具345の内側に配置される。
【0096】
図27Aおよび図27Bが、保持具−基板の組み立てツール400の実施形態の(それぞれ、上方および下方からの)3D図である。ツール400は、基板クランプ部410と、保持具クランプ部420と、保持具x位置制御部430と、保持具x位置制御部440とを備えている。ツール400は、作業者がクランプされた基板の出口オリフィスをクランプされた保持具を通して観察できるように、顕微鏡に隣接して配置される。保持具345は、上述のように保持具の内径が基板250の出口オリフィスに対して充分な公差の範囲内に位置するまで、平行移動させられる。次いで、好ましくは保持具345が、例えば接着剤の塗布によって基板へと固定される。保持具345および/または基板250の構成は、随意により、滲出性の接着剤が出口オリフィスへと引き寄せられることがないように選択され、この場合、エミッタと基板250との間のインターフェイスが硬化した接着剤によって妨げられる可能性がある。
【0097】
基板および保持具の組み立て方法の一実施形態においては、保持具345が、最初に基板に触れた後で、基板とこすれ合うことなく保持具を移動させるために充分なだけ、(y方向に)わずかに、例えば、0.010インチ未満後退させられる。保持具345の位置のx−z調節の際に、オリフィスが、隣接する通路の端部の円の範囲内に観察される。ひとたび保持具345が、エミッタの管腔をオリフィスに対して正しく位置合わせさせることができるようにオリフィスに対して正しい位置にくると、ガイド345が基板へと取り付けられる。恒久的な取り付けは、随意である。
【0098】
例えば、接着剤が、位置合わせの調節に対応するように意図的に導入された保持具と基板との間の空間(スペーサとして機能する)を調節する。上述のように、保持具および/または基板は、接着剤がオリフィスの近傍へと滲出することがないように、保持具の表面とオリフィスとの間に随意により間隔を提供する。
【0099】
例えば、加熱された接着剤の滴が、保持具345および基板250に配置され、毛管作用によって接着剤が保持具345と基板250との間のすき間へと引き込まれる。毛管作用は、接着剤が保持具345と基板250との間の好ましくは狭いすき間を過ぎて滲出することがないように好ましく利用される。
【0100】
いくつかの別の実施形態は、例えばマシンビジョンを使用して基板および保持具の組み立てを自動化する。いくつかの別の実施形態は、光学的な位置合わせを必要としない機械的公差を有する基板および保持具を利用する。例えば、基板が、随意により、人間の視覚やマシンビジョンによる位置合わせを必要とせずに保持具を受け入れるスロットを備える。随意により、エミッタ266および/またはエミッタ266の接触端に接する基板のエッジの部分が、改善された接触のインターフェイスをもたらすために滑らかにされ、例えば機械的に研磨される。
【0101】
エミッタを保持具へと取り付けるために、多数の適切な手段のうちの任意の1つが、随意により使用される。例えば、保持具/ハウジングが、随意によりエミッタを覆うように配置され、ガイドへと取り付けられる。基板とのシールを形成するためにエミッタへと機械的な力を加えるために、一例においては、金属リングがエミッタへとかしめられ、ばねが保持具/ハウジングに配置され、次いでハウジングがガイドへと取り付けられる(図を参照)。
【0102】
図26に戻ると、保持具345は、組み立て時および組み立て後に基板のオリフィスの領域の観察を可能にする切り欠きを有している。この典型的な実施形態においては、基板250が、保持具345との噛み合わせのための凹んだエッジ部を有している。凹んだエッジは、例えばオリフィスの近傍に望ましく滑らかなエッジを生み出し、および/またはエッジのオリフィス部を保護するために、随意により使用される。随意により、接着剤が、保持具345を基板250に接合するために、エッジが凹まされていない場所に塗布され、オリフィスが接着剤からさらに保護される。図示の実施形態においては、保持具345が、凹まされた部位を画定している基板250のエッジ面の外周のいずれにも接していない。
【0103】
基板のエッジ(本明細書において、サイドとも称される)は、例えばエッチング、クリービング、および/または研磨など、いくつかの適切な方法のいずれかにて形成される。例えば、一実施形態においては、エッジが、基板の材料の焼結後に割り裂きによって形成され、別の実施形態においては、焼結に先立って基板の材料にパターンを加工することによって形成される。エッジは、随意により、焼結の前および/または後にさらに成形および/または平滑化される。
【0104】
次に、図28Aおよび図28Bを参照すると、いくつかの実施形態は、スプレイユニットを保持する交換可能および/または取り外し可能な部位を有しているカートリッジを提供する。これらの実施形態において、スプレイユニットは、随意により上述した実施形態と同様である。
【0105】
図28Aおよび図28Bは、主たるカートリッジ部分316と取り外し可能なカートリッジ部分317とを有している1つの代案のマイクロ流体カートリッジの3D図(それぞれ、外側および内部の図)である。カートリッジは、1つには、例えばエレクトロスプレイエミッタなどのカートリッジのエミッタをカートリッジの他のマイクロ流体部品の大部分またはすべてを保持しつつ取り替えおよび/または交換する際の相対的な容易さを提供する。
【0106】
主たる部分316が、左側および右側ハウジング部分300−1、3002を有しており、保持具345(随意により、上述した保持具345と同様であるものとして図示されている)を保持している。取り外し可能部分317は、スプレイ端保護造作311を定める左側および右側ハウジング部分310−1、310−2を有している。左側および右側ハウジング部分310−1、310−2が、エミッタ266、ばね341、および取付具342を保持しており、スプレイ端を囲むようにガスを届けるためのガス通路376を定めている。左側ハウジング部分310−2が、ばね341を固定するばね保持用の造作を定めており、取り外し可能部分317が主たる部分316へと取り付けられるときにばね341へと力を加える。さらに、左側および右側ハウジング部分310−1、310−2は、取り外し可能部分317を主たる部分316へと接続するためのラッチの造作312を定めている。別の実施形態は、随意により、ねじ、クリップ、および磁石などの知られている造作など、任意の適切な取り付け用の造作を利用する。
【0107】
本明細書において使用されるとき、「スプレイユニット」という言葉が、説明を便利にするためのものであって、スプレイユニットを特定の構成部品一式へと限定するものでも、そのような構成部品の位置を限定するものでもないことを、当業者であれば理解できる。例えば、図28Aおよび図28Bのスプレイユニットのある部分(すなわち、保持具345)が、主たるカートリッジ部分316に位置する一方で、スプレイユニットの他の部分が、取り外し可能部分317に位置する。あるいは、図28Aおよび図28Bの目的において、スプレイユニットを、取り外し可能部分317に組み合わせられた部品のみを含むものとして定義することができる。
【0108】
本発明を、特定の好ましい実施形態に関して図示および説明したが、形態および詳細において、以下の特許請求の範囲によって定められるとおりの本発明の技術的範囲から離れることなく種々の変更が可能であることを、当業者であれば理解すべきである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学的分離のための装置であって、
サンプルの溶離液を出力するための出口開口を有しているマイクロ流体基板と、
溶離液を受け取るための入り口と、溶離液のスプレイを放射するための出口とを有するとともに、入り口を定めている変形可能部を備えており、変形可能部の弾性率がマイクロ流体基板の弾性率よりも低いスプレイユニットと、
変形可能部を実質的に流体を漏らさないシールを形成すべく基板に押し付けるように配置された力印加ユニットとを備えている、装置。
【請求項2】
力印加ユニットが、ばねを備えている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
開口に隣接して配置され、スプレイユニットの変形可能部を受け入れて、基板の出口開口に位置合わせするように配置させる位置合わせ用取付具をさらに備えている、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
出口開口が、基板のエッジ面に配置されている、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
出口開口が、エッジ面の凹部にさらに配置されている、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
位置合わせ用取付具と基板との間のすき間に配置されたスペーサ接着剤をさらに備えている、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
位置合わせ用取付具に取り付けられたコネクタ取付具をさらに備えており、
コネクタ取付具および力印加ユニットが協働して、スプレイユニットを基板に対する位置に固定する、請求項3に記載の装置。
【請求項8】
スプレイユニットが、力印加ユニットからの力を受けるための取付具をさらに備えている、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
スプレイユニットの管腔が、出口開口の最大の寸法よりも小さい直径を有している、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
基板を自由に浮動する形式で支持する主ハウジングをさらに備えている、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
スプレイユニットおよび力印加ユニットを支持し、変形可能部をマイクロ流体基板に接触させて配置させるべく主ハウジングへと取り外し可能に取り付けられる取り外し可能なハウジングをさらに備えている、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
ハウジングが、ハウジングのオリフィスを介してガスを受け取るための入り口と、ガスをスプレイユニットへと届けるための出口とを有するガス通路を定めている、請求項10に記載の装置。
【請求項13】
マイクロ流体基板が、焼結された無機粒子を含んでおり、スプレイユニットの変形可能部が、ポリマーを含んでいる、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
無機粒子が、イットリア安定化酸化ジルコニウムを含んでおり、マイクロ流体基板に定められた分離カラムが、焼結イットリア安定化酸化ジルコニウムで形成されて被膜を有していない壁を有している、請求項12に記載の装置。
【請求項15】
基板が、基板の表面に隣接して配置された接点パッドと、エレクトロスプレイ電圧をスプレイユニットへともたらすための遠位端とを有している電路をさらに備えている、請求項1に記載の装置。
【請求項1】
化学的分離のための装置であって、
サンプルの溶離液を出力するための出口開口を有しているマイクロ流体基板と、
溶離液を受け取るための入り口と、溶離液のスプレイを放射するための出口とを有するとともに、入り口を定めている変形可能部を備えており、変形可能部の弾性率がマイクロ流体基板の弾性率よりも低いスプレイユニットと、
変形可能部を実質的に流体を漏らさないシールを形成すべく基板に押し付けるように配置された力印加ユニットとを備えている、装置。
【請求項2】
力印加ユニットが、ばねを備えている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
開口に隣接して配置され、スプレイユニットの変形可能部を受け入れて、基板の出口開口に位置合わせするように配置させる位置合わせ用取付具をさらに備えている、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
出口開口が、基板のエッジ面に配置されている、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
出口開口が、エッジ面の凹部にさらに配置されている、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
位置合わせ用取付具と基板との間のすき間に配置されたスペーサ接着剤をさらに備えている、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
位置合わせ用取付具に取り付けられたコネクタ取付具をさらに備えており、
コネクタ取付具および力印加ユニットが協働して、スプレイユニットを基板に対する位置に固定する、請求項3に記載の装置。
【請求項8】
スプレイユニットが、力印加ユニットからの力を受けるための取付具をさらに備えている、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
スプレイユニットの管腔が、出口開口の最大の寸法よりも小さい直径を有している、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
基板を自由に浮動する形式で支持する主ハウジングをさらに備えている、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
スプレイユニットおよび力印加ユニットを支持し、変形可能部をマイクロ流体基板に接触させて配置させるべく主ハウジングへと取り外し可能に取り付けられる取り外し可能なハウジングをさらに備えている、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
ハウジングが、ハウジングのオリフィスを介してガスを受け取るための入り口と、ガスをスプレイユニットへと届けるための出口とを有するガス通路を定めている、請求項10に記載の装置。
【請求項13】
マイクロ流体基板が、焼結された無機粒子を含んでおり、スプレイユニットの変形可能部が、ポリマーを含んでいる、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
無機粒子が、イットリア安定化酸化ジルコニウムを含んでおり、マイクロ流体基板に定められた分離カラムが、焼結イットリア安定化酸化ジルコニウムで形成されて被膜を有していない壁を有している、請求項12に記載の装置。
【請求項15】
基板が、基板の表面に隣接して配置された接点パッドと、エレクトロスプレイ電圧をスプレイユニットへともたらすための遠位端とを有している電路をさらに備えている、請求項1に記載の装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25A】
【図25B】
【図25C】
【図26】
【図27A】
【図27B】
【図28A】
【図28B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25A】
【図25B】
【図25C】
【図26】
【図27A】
【図27B】
【図28A】
【図28B】
【公表番号】特表2012−519857(P2012−519857A)
【公表日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−553133(P2011−553133)
【出願日】平成22年3月5日(2010.3.5)
【国際出願番号】PCT/US2010/026342
【国際公開番号】WO2010/102194
【国際公開日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【出願人】(509131764)ウオーターズ・テクノロジーズ・コーポレイシヨン (46)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月5日(2010.3.5)
【国際出願番号】PCT/US2010/026342
【国際公開番号】WO2010/102194
【国際公開日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【出願人】(509131764)ウオーターズ・テクノロジーズ・コーポレイシヨン (46)
【Fターム(参考)】
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