説明

マイコトキシンの酵素的分解のための添加物の製造方法、添加物およびその使用

マイコトキシン、特にフモニシンを酵素的に分解するための添加物の製造方法において、配列番号1、2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22および24に対応する遺伝子の、少なくとも1つの核酸配列が準備され、前記の少なくとも1つの核酸配列が原核または真核宿主細胞において発現され、それにより産生された配列番号3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23および25に対応する酵素または少なくとも1つの完全組換え宿主生物が、必要に応じて補基質と共に、植物原料において使用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイコトキシン、特にフモニシン(fumonisin)の酵素的分解のための添加物の製造方法、マイコトキシン、特にフモニシンの酵素的分解のための添加物(植物性原料および植物性原料を含有する混合物におけるもの)、および遺伝子の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
マイコトキシンは植物農産物上で非常に頻繁に見出され、特に農産物から得られる食物において、更にはそのような食物を摂取する動物およびヒトにおいて、マイコトキシンのタイプによっては重大な経済的損害を与え、そのような損害は極めて多岐にわたる。動物およびヒト栄養、動物育種、食物および飼料加工などの分野でマイコトキシンにより引き起こされる損害を抑制するためにそのようなマイコトキシンを解毒もしくは分解し又は無害にするよう、多数の方法が既に開発されている。
【0003】
公知マイコトキシンは、多数の構造的に相互関連したマイコトキシン、例えばフモニシンを含み、そのうち、フモニシンB1が該グループの最も頻繁に見出される毒素である。しかし、ヒトおよび動物において有害作用を示すことが知られている多数の誘導体および関連分子が存在する。例えば、フモニシンは、酵素セラミドシンターゼと相互作用することによりスフィンゴ脂質代謝を妨げることが公知である。スフィンゴ脂質は細胞膜の成分であるだけでなく、細胞増殖、細胞遊走および細胞結合のような多数の基本細胞過程、炎症過程ならびに細胞内輸送形態におけるシグナルおよびメッセンジャー分子としての重要な役割も果たしている。スフィンゴ脂質代謝のこの阻害により、フモニシンは種々の動物種、そしてヒトにも毒性作用をもたらしている。例えば、フモニシンはげっ歯類において発癌作用を引き起こすことが実証可能であり、疫学的データに基づいて、それはヒトにおける食道癌および神経管欠損に関連づけられている。それは、例えば種々の動物種、例えばブタにおいて、肺水腫により引き起こされる典型的な中毒をもたらすと考えられている。この場合、フモニシンは種々の穀物、特にトウモロコシならびに堅果および植物に対するほぼ遍在的な汚染源となり、ヒトおよび動物の健康に関連したこの強い負の効果は無視できない。
【0004】
フモニシンの微生物分解はEP−A 1 860 954に既に記載されており、これによると、フモニシンを解毒するための厳密に定められた株から選択される解毒性細菌または酵母を飼料に加えることによりフモニシンおよびフモニシン誘導体を解毒するために微生物が使用される。
【0005】
フモニシンの生物学的分解のための異化代謝経路ならびにそれを引き起こす遺伝子および酵素も既に記載されている。例えば、EP 0 988 383はフモニシン解毒組成物および方法を記載しており、ここで、使用されるフモニシン分解酵素は、とりわけ、トランスジェニック植物において産生され、この場合、フモニシンの解毒は、酵素活性のために分子酸素を要するアミンオキシダーゼを利用して行われる。
【0006】
さらに、WO 2004/085624は、特にアミノ化毒素、例えばフモニシンを解毒する酵素的解毒のためのトランスアミナーゼ、デアミナーゼおよびアミノムターゼならびに組成物および方法を記載している。この場合、デアミナーゼ活性を有するポリペプチドが解毒に使用される。
【0007】
しかし、従前公知方法は、マイコトキシンを解毒するためには、記載されている異化代謝経路のための分子酸素をそれらが要する点で共通しており、特に必要とされるアミンオキシダーゼは酸素非依存的条件下では機能し得ない。飼料の解毒(例えば、動物の消化管におけるもの)のためのそのような遺伝子および酵素の使用は不可能である。なぜなら、動物の消化管内は実質的に酸素を含有しない環境であり、したがって、公知の遺伝子および酵素は全く活性を示さないからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1 860 954号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第0 988 383号明細書
【特許文献3】国際公開第2004/085624号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、マイコトキシンおよび、特にフモニシンを安全に且つ信頼しうる様態で毒物学的に無害な物質に分解し又は解毒することを可能にする、マイコトキシンの酵素的分解のための添加物の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
これらの目的を達成するために、配列番号1、2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22および24に対応する遺伝子の、少なくとも1つの核酸配列を準備し、そのような少なくとも1つの核酸配列を原核または真核宿主細胞内で発現させ、配列番号3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23および25に対応するこのようにして産生された少なくとも1つの酵素または少なくとも1つの完全組換え生物を、必要に応じて補基質と共に、植物性原料において使用する様態で、本発明の方法を行う。配列番号1、2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22および24に対応する遺伝子の、少なくとも1つの核酸配列を準備することにより、特異的フモニシン分解性またはマイコトキシン分解性遺伝子をクローニングし発現させることが可能であり、ここで、配列番号3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23および25に対応する発現酵素または完全組換え生物を得るための標準的な方法を用いて、例えば、大腸菌(E.coli)およびピチア・パストリス(Pichia pastoris)において該発現を行い、ここで、そのような少なくとも1つの酵素は、必要に応じて補基質と共に、処理すべき原料に対して使用される。そのような方法により製造された添加物は、1つの側面においては、フモニシンおよび該分解経路の中間体の分解を触媒するこの方法により産生された特異的酵素で完全に且つ信頼しうる様態で例えばマイコトキシンを原料上で直接的に分解することを可能にし、もう1つの側面においては、例えばアルコールの製造のためのマッシュにおいてバイオエタノールの製造中に直接的にマイコトキシンを分解すること、または食物の製造中でさえも製造工程中に直接的にマイコトキシンを分解し無害にすることを可能にする。
【0011】
この場合における植物性原料には、穀物または穀物産物、草(イネ科牧草類)、果実または野菜、および食物および飼料の製造のためのこれらの物質を含有する中間産物、例えばサイレージ、果実マッシュなどが含まれる。
【0012】
このタイプの方法は更に、酵素セラミドシンターゼとのフモニシンの相互作用により阻害されたスフィンゴ脂質代謝を維持し、同時に、フモニシンを無毒性物質へと生物学的に分解することを可能にする。最後に、技術的な解毒のための応用が達成されるであろう。なぜなら、この方法はより大きな技術的規模に適用可能であり、したがって、本発明の方法によるマイコトキシン非含有産物の安全な且つ信頼しうる製造を可能にするからである。
【0013】
本発明の方法において使用される核酸配列、ならびに該核酸配列により原核および真核宿主細胞において発現され酸素非依存的環境中で触媒的に作用する酵素を、以下に記載する。
【0014】
【化1】









【0015】
好ましい更なる発展態様においては、マイコトキシン、特にフモニシンを酸素非依存的または嫌気的に分解する様態で、本発明の方法を行う。分子酸素の添加を伴うことなく遺伝子または酵素の核酸配列が安全に且つ信頼しうる様態で分解反応を引き起こして、このようにして産生された添加物が、マイコトキシンが分解される必要がありうるいずれかの酸素非依存的または嫌気的媒体において、例えば、ヒトおよび動物用の食物において、生物エタノールの製造において、そしてまた、遺伝的修飾農作物の生産のために使用可能となるよう、マイコトキシン、特にフモニシンを酸素非依存的に分解することにより、本発明の方法を更に発展させることが可能である。
【0016】
更なる発展態様においては、植物性出発物質における該酵素の使用前に、分子遺伝学的方法、突然変異誘発または分子進化により該酵素を修飾する様態で、本発明の方法を行う。該植物性出発物質における該酵素の使用の前に、分子遺伝学的方法、突然変異誘発または分子進化により該酵素を修飾する様態で該方法を行うことにより、マイコトキシンおよび、特にフモニシンの酸素非依存的分解をより一層改良し又は完全にするために、後続の使用目的に適した、より一層安定な形態で、該酵素を製造することが可能である。
【0017】
本発明の好ましい更なる発展態様においては、該酵素を単離する様態で該方法を行う。この様態で該方法を行うことにより、特にフモニシンは酸素非依存的に完全に分解されるであろう。
【0018】
本発明のもう1つの好ましい更なる発展態様においては、該酵素を保護コーティング内に封入する様態で該方法を行う。該酵素を保護コーティング内に封入することにより、例えばヒトまたは動物の胃腸管内で該保護コーティングの溶解前に該酵素が作用を開始しないよう、該酵素を、変化することなく、特に分解または損傷することなく、その利用目的部位、例えば特に消化管内に輸送して、胃腸管の酸素非依存的環境における、該マイコトキシンの、より一層選択的で迅速で完全な分解を保証すると同時に、フモニシンを食物と共に摂取した生物にマイコトキシン、特にフモニシンがその有害作用を及ぼすことを防ぐことが可能である。
【0019】
好ましい更なる発展態様においては、該酵素が、パーミアーゼ識別番号(ID No.)3、カルボキシルエステラーゼ識別番号9、トリカルバリル酸デヒドロゲナーゼ識別番号11、クエン酸利用タンパク質識別番号13、アルコールデヒドロゲナーゼ識別番号17、アミノトランスフェラーゼ識別番号19および/またはアセト乳酸シンターゼ識別番号23から選択される様態で、本発明の方法を行う。この様態で該方法を行うことにより、フモニシンは特に酸素非依存的環境中で円滑かつ完全に分解されうる。この場合、アクセッション番号DSM 16254を有する原核生物株に由来する核酸配列番号1の遺伝子クラスターから単離されたFUM遺伝子クラスター内のオープンリーディングフレームの転写は、以下の表1から明らかなとおり、FumAとFumIとの間に位置する二方向性プロモーターにより制御される。該クラスターは、遺伝子発現の調節に関与するタンパク質(例えば、FumBおよびFumC)、該基質のサンプリングおよびその輸送に関与するタンパク質(例えば、FumA、FumJ、FumG)、ならびに該基質の異化に関与するタンパク質(例えば、FumD、FumE、FumF、FumH、FumI、FumK)をコードしている。特別な遺伝子および酵素をコードするこれらの核酸配列から、該基質の異化を引き起こしてそれぞれの産生酵素が該基質(すなわち、フモニシン)を完全に異化することを可能にする遺伝子を、本発明の方法の好ましい更なる発展態様に従い選択した。
【0020】
この場合、例えば、識別番号1を有する核酸配列の遺伝子クラスターから選択されるオープンリーディングフレームを原核または真核宿主細胞において発現させる。アクセッション番号DSM 16254を有する細菌株における配列番号1を有する遺伝子クラスターに含まれるオープンリーディングフレームの転写は、添付図面1から明らかなとおり、fumAとfumIとの間に位置する二方向性プロモーターにより制御される様態で生じる。該遺伝子は、遺伝子発現の調節に関与するタンパク質(例えば、FumBおよびFumC)、該基質のサンプリングおよびその輸送に関与するタンパク質(例えば、FumA、FumJ、FumG)、ならびに該基質の異化に関与するタンパク質(例えば、FumD、FumE、FumF、FumH、FumI、FumK)をコードしている。
【0021】
以下の表1においては、フモニシン異化遺伝子クラスターの遺伝子の説明を示す。ここで、Oは配向(すなわち、fはフォワード、rはリバース)を示す。
【0022】
【表1】

【0023】
好ましくは、配列番号3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23または25を有する酵素の少なくとも1つに対して少なくとも90%の配列同一性を含む酵素を使用する様態で本発明の方法を行うことにより、フモニシンのより一層完全な分解が保証され、それにより、フモニシンだけでなく、関連した又は構造的に類似したマイコトキシン(例えば、AAL−毒素)も、嫌気的または酸素非依存的環境において、同時に完全に解毒されるであろう。
【0024】
好ましくは、アミノトランスフェラーゼ識別番号19を使用する場合に補基質としてケトン、特にα−ケト酸を使用する様態で該方法を行うことにより、特に、フモニシンのアミノ基の分解およびα−ケト酸(例えば、ピルビン酸)の同時利用により、フモニシン分子上のアミノ基をケト基により置換することが可能であり、この場合、この反応の副産物としてアラニンが生成し、これは完全に無害であるため、無害物質へのフモニシンの完全分解が保証される。
【0025】
好ましい更なる発展態様においては、カルボキシエステラーゼ識別番号9を使用する場合に、特に粘土鉱物から選択される少なくとも1つの吸着剤を更に使用する様態で、本発明の方法を行うことが可能である。カルボキシエステラーゼ識別番号9を使用する場合に、特に粘土鉱物から選択される少なくとも1つの吸着剤を使用することにより、いずれの他の酵素の添加をも伴うことなく、第1の工程において該フモリシン分子から該カルボキシエステラーゼにより2つのトリカルバリル酸側鎖を切断して、いわゆる加水分解フモリシンを生成させることにより、マイコトキシン、特にフモニシンを完全に無害にすることが可能である。加水分解フモリシンは実質的には鎖状分子であり、引き続いて例えば粘土鉱物上に吸着されて、1工程酵素分解法においてさえもマイコトキシン、特にフモニシンが完全に無害にされうる。
【0026】
好ましい更なる発展態様においては、このようにして製造された添加物を、発酵すべき植物性出発物質において又はバイオエタノールの製造のためのマッシュにおいて使用する様態で、本発明の方法を行う。本発明の方法により製造された添加物を、発酵すべき植物性出発物質において又はバイオエタノールの製造のためのマッシュにおいて使用することにより、エタノールの製造において生じる共存産物、すなわち、搾りかす、すなわち、乾燥穀物残渣および不溶性成分、または乾燥ビナッセ(可溶性物質を伴う乾燥蒸留穀物−DDGS)を、特に酸素非依存的環境において、フモニシンまたはマイコトキシンから遊離させることが可能である。
【0027】
本発明は更に、マイコトキシン、特にフモニシンの酵素的分解のための添加物を提供することを目的とし、それにより、そのようなマイコトキシンを、安全な且つ信頼しうる様態で、特に酸素非依存的環境において分解または解毒することが可能である。
【0028】
これらの目的を達成するためには、このタイプの添加物は、それが、配列番号3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23および25の、少なくとも1つの酵素またはそれぞれの遺伝子発現のための少なくとも1つの完全組換え宿主生物、および必要に応じて更に、使用される酵素の少なくとも1つ又は幾つかのための少なくとも1つの補基質、および不活性担体を含有することにより特徴づけられる。
【0029】
少なくとも1つの酵素または該酵素の発現のための完全組換え宿主生物、および必要に応じて更に、使用される酵素の少なくとも1つ又は幾つかのための少なくとも1つの補基質、および不活性担体を含有するそのような添加物は、マイコトキシン、および特にフモニシンを選択的に分解し従って解毒する点で優れている。単離された酵素ならびに必要に応じてその補基質および担体から実質的になる本発明の添加物の使用は、前者が、例えば完全微生物が全く又はほとんど活性でない環境中および条件下、その触媒活性を維持し、同時に、有意により高い特異的活性、および望ましくない副反応を伴わない定められた反応の触媒を可能にするという利点をもたらす。
【0030】
また、再生可能な微生物の使用により農業用原生産物に対して先行技術において引き起こされる問題は安全に回避され、さらに、単離された酵素を単に含有するに過ぎない添加物は、選択的な且つ制御された活性化(すなわち、例えば、消化管の特定部位におけるもの)のための製剤化特性の向上、および基質の望ましくない消費増加の回避をもたらすであろう。この特異性を更に増強するために、本発明の添加物は、好ましくは、分子遺伝学的方法、突然変異誘発または分子進化により修飾された酵素を使用するよう、更に発展される。
【0031】
好ましい更なる発展態様においては、識別番号3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23または25を有する酵素に対して少なくとも90%の配列同一性を含む酵素を使用するよう、該添加物を設計する。識別番号3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23または25を有する酵素に対して少なくとも90%の配列同一性を含む酵素を使用する場合、好ましくは分解されるべきフモニシン以外の他のマイコトキシンを安全に且つ信頼しうる様態で酸素非依存的に分解することが可能であり、したがって、例えば植物性原生産物上に存在するフモニシンの広範な解毒が可能となる。
【0032】
本発明の好ましい更なる発展態様に対応する、保護コーティングで覆われた該酵素、修飾酵素および少なくとも90%同一な酵素を使用する様態で該添加物を設計することにより、該酵素、少なくとも90%同一な酵素または該修飾酵素は、意図される部位(例えば、胃腸管)におけるその作用が安全に且つ信頼しうる様態で発現されるよう、活性の早期喪失が防がれることが保証されるであろう。
【0033】
該酵素が、カルボキシルエステラーゼ識別番号9、トリカルバリル酸デヒドロゲナーゼ識別番号11、クエン酸利用タンパク質識別番号13、アルコールデヒドロゲナーゼ識別番号17、アミノトランスフェラーゼ識別番号19および/またはアセト乳酸シンターゼ識別番号23から選択される様態で、該添加物を好ましくは更に発展させることにより、適用すべき酵素の量の減少に加えて、該酵素を使用した場合に望ましくない副反応が生じないことが保証されるよう、基質の異化に適した酵素が実質的に適用されるであろう。
【0034】
本発明の好ましい更なる発展態様においては、該添加物がカルボキシルエステラーゼ識別番号9、アミノトランスフェラーゼ識別番号19または識別番号25、補基質としてのα−ケト酸および不活性担体を含有するよう、該添加物を設計する。不活性担体のほかに補基質としてカルボキシルエステラーゼ、アミノトランスフェラーゼ、α−ケト酸を含有する添加物により、特に、まず、カルボキシルエステラーゼを使用してトリカルバリル酸残基をフモニシンから切断することにより、食物に含まれるフモニシンを加水分解し、ついで、このようにして加水分解されたフモニシンを、アミノトランスフェラーゼおよび補基質としてのα−ケト酸、この場合には好ましくはピルビン酸の作用下、該加水分解フモニシン分子のアミノ基をケト基により置換することにより更に反応させて、例えば哺乳動物には完全に無害であり不変状態で排泄されうる2−ケト−加水分解フモニシン、および同様に例えば生物に対して負の影響を何らもたらしたり及ぼさない副産物としてのアラニンを生成させることが可能である。
【0035】
本発明の好ましい更なる発展態様においては、該添加物がカルボキシルエステラーゼ認識番号9、少なくとも1つの吸着剤、特に少なくとも1つの粘土鉱物、および必要に応じて不活性担体を含有するよう、該添加物を更に発展させる。ただ単に1つのカルボキシルエステラーゼ認識番号9および少なくとも1つの吸着剤を使用する場合、トリカルバリル酸残基のみを切断し、このようにして生成された加水分解フモニシンを該吸着剤上に吸着させる様態でも、フモニシンの解毒が達成されうる。カルボキシルエステラーゼの補助によりトリカルバリル酸残基を切断することにより、相当に長鎖の分子が生成され、これは容易に且つ信頼しうる様態で吸着されて、単一酵素の選択された使用のみによる、特に、フモニシンの酸素非依存的分解およびそれに続く吸着による完全な解毒が保証されうる。
【0036】
本発明の更なる発展態様におけるように添加剤を使用する場合、添加剤はバイオエタノールの製造中に、特にマッシュまたは植物性出発物質と共に酸素非依存的環境において使用され、該添加物を、それに含まれる酵素が、高特異的分解経路によりフモニシンの異化を触媒する細菌に完全に由来するように選択することにより、該添加物が酸素非依存的環境中で技術的に使用されることも可能となるよう、高い特異性、活性および効率でそれを使用することが可能である。
【0037】
最後に、本発明は、配列番号1、2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22および24を有する遺伝子配列の発現のための該配列において示される遺伝子の、または該遺伝子配列の発現のための完全組換え宿主生物の、ならびに必要に応じて補基質の、植物性原料の加工または使用におけるマイコトキシン、特にフモニシンの分解のための添加物の製造のための使用に関する。この様態で製造された添加物は、特に酸素非依存的環境における、フモニシンの完全な且つ信頼しうる分解を可能にする。
【0038】
好ましい様態においては、カルボキシルエステラーゼ認識番号9、アミノトランスフェラーゼ識別番号19もしくは識別番号25またはα−ケト酸および不活性担体よりなる群から選択される補基質を本発明において使用し、そのような使用は、例えば植物性原料または出発物質におけるフモニシンの全体から無害成分への安全な且つ信頼しうる分解を可能にする。
【0039】
もう1つの好ましい使用は、カルボキシルエステラーゼ、少なくとも1つの吸着剤、特に粘土鉱物、および必要に応じて不活性担体を使用する点で特徴づけられる。カルボキシルエステラーゼおよび少なくとも1つの吸着剤を使用する場合、単一酵素の単なる使用によりフモニシンを安全に且つ信頼しうる様態で解毒することが可能であり、この場合、該酵素により又は該酵素の補助により該フモニシンからトリカルバリル酸側鎖残基を切断し、ついで、このようにして生成された長鎖加水分解フモニシンを該吸着剤上に吸着させて、安全かつ信頼しうる様態で該毒素を無害にする。
【0040】
好ましい使用においては、バイオエタノールの製造におけるマッシュまたは植物性出発物質の酸素非依存的または嫌気的処理のために、本発明の添加物を使用する。この場合、該植物性出発物質または原料中に含まれるマイコトキシンを酸素非依存的環境においてバイオエタノールの製造中に安全に且つ信頼しうる様態で無害にすることが可能であり、それにより、ついで、エタノール製造からの残渣、すなわち、搾りかす又は乾燥ビナッセの、マイコトキシン、特にフモニシン非含有飼料としての使用が、更なる加工および特に解毒を行うことなく、直接的に又は乾燥およびペレット化後に可能となる。
【0041】
以下においては、典型的実施形態および図面により、本発明を更に詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】図1はフモニシン−異化遺伝子クラスターを示す。
【図2】図2はフモニシンカルボキシルエステラーゼFumDに関するミカエリス−メンテン曲線を例示する。
【図3】図3は加水分解フモニシンBの分解曲線を示す。
【図4】図4はカルボキシルエステラーゼ認識番号9の添加の後のフモニシンFB1から加水分解フモニシンHFB1への変換を例示する。
【図5】図5はアミノトランスフェラーゼ認識番号19の添加による加水分解フモニシンHFB1の分解を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0043】
図1は、アクセッション番号DSM 16254を有する微生物株の15420塩基対の部分配列としてのフモニシン−異化遺伝子クラスターを示す。該原核生物株DSM 16254のfum−遺伝子クラスターにおいては、該オープンリーディングフレームの転写は、fumAとfumIとの間に存在する二方向性プロモーターにより制御される。該クラスターは、該遺伝子発現の調節に関与するタンパク質(例えば、FumBおよびFumC)、該基質の認識およびその輸送に関与するタンパク質(例えば、FumA、FumJ、FumG)、ならびに基質の異化に関与するタンパク質(例えば、FumD、FumE、FumF、FumH、FumIおよびFumK)をコードしている。
【0044】
実施例
【実施例1】
【0045】
フモニシンカルボキシルエステラーゼの酵素速度論
フモニシンカルボキシルエステラーゼをコードするfumD遺伝子(配列番号8)を、標準的な方法を用いて、ピチア・パストリス(Pichia pastoris)においてクローニングし発現させた。該hisタグ付き酵素をアフィニティークロマトグラフィーにより上清培養溶液から回収し精製した。該酵素濃度を決定し、1リットル当たり50μgから25mg FBまでの範囲の7つの異なる基質濃度および0.33ng/mlの酵素濃度で該酵素−速度論的パラメーターを決定した。該反応を、0.1mg/ml ウシ血清アルブミンを含有する20mM Tris−Clバッファー(pH8.0)中で緩衝化し、30℃でインキュベートした。サンプルを0、30、60、120および240分間のインキュベーションの後に採取し、HPLC−MS/MSにより分析した。フモニシンB(FB)および加水分解フモニシンBを、該精製参照物質および完全に13C標識された内部−FB標準での校正に基づいて定量した。
【0046】
図2は、フモニシンカルボキシルエステラーゼFumDによるフモニシンB(FB)の加水分解に関するミカエリス−メンテン曲線を例示し、これは、Tris−Clバッファー(pH8.0)中、0.33ng/mlの酵素濃度で決定されたものであり、初期酵素速度が該基質濃度に対してプロットされている。該ミカエリス−メンテン曲線は、より高い基質濃度における低下を示している。なぜなら、該酵素速度は、該産物、すなわち、加水分解FBの生成に基づいて計算されたからである。加水分解FBは、保有されたただ1つのトリカルバリル酸側鎖と切断された側鎖とを有する部分加水分解FBを経由して、FBから2段階反応で生成されるため、該最終産物の生成は高い基質濃度においては遅くなったのである。該ミカエリス−メンテン定数Kは0.90μmol/lと算出され、これは650ppbと同等であり、該変換速度は毎秒900であった。
【0047】
フモニシンは妥当な濃度範囲において該カルボキシルエステラーゼで迅速かつ完全に加水分解されうるという結果が、図2から認められる。
【実施例2】
【0048】
HFB1(加水分解フモニシンB1)アミノトランスフェラーゼの触媒活性
配列番号18および24を、標準的な方法を用いてクローニングし、バクテリオファージT7プロモーターの制御下で大腸菌(E.coli)において発現させた。該細菌細胞を集め、50mM リン酸ナトリウムバッファーに再懸濁させ、超音波作用下で細胞溶解した。加水分解フモニシンを加え、該サンプルを25℃でインキュベートした。サンプルを幾つかの時間間隔で採取し、HPLC−MS/MSにより分析した。加水分解FB濃度の減少は観察されなかった。補基質、例えばα−ケト酸、例えばピルビン酸、またはオキサルアセタートを該反応に加えた場合、図3に示すとおり、該加水分解フモニシンから2−ケト−HFBへの完全な分解を観察することが可能であった。この基質は哺乳動物に対して完全に無害である。
【実施例3】
【0049】
腸環境中の酵素活性
消化管におけるFUM−カルボキシルエステラーゼの酵素活性を調べるために、新たに屠畜されたブタの腸を使用し、酸素排除状態で研究所に輸送し、嫌気性無菌ベンチにおいて検査した。十二指腸および空腸の長さ約10cmの断片を確保し、切り出した。濃縮水溶液中の約10ppmの最終濃度に希釈されたフモニシンB1を針により注射し、腸内容物と混合した。この後、水溶液中の5μgのフモニシンカルボキシルエステラーゼ、または陰性対照における同じ体積の水を、それぞれ、注射し、混合した。該腸断片を39℃でインキュベートした。サンプルを針の補助により採取し、HPLC−MS/MSにより分析した。2時間後の最初のサンプル採取の時点で、フモニシンB1は十二指腸および空腸において既に完全に加水分解されていたことが示された。
【実施例4】
【0050】
フモニシンカルボキシルエステラーゼの活性の温度範囲の決定
フモニシンカルボキシルエステラーゼが活性である温度範囲を決定するために、20mM Tris−Clバッファー(pH7.0)中の1.6ng/ml FUM−カルボキシルエステラーゼを0.1mg/ml BSAおよび10ppm フモニシンB1と共に種々の温度でインキュベートした。該酵素に最適な温度は30℃であることが示された。40℃、そして50℃においてさえも、酵素活性が尚も明らかに決定された。したがって、FUM−カルボキシルエステラーゼは、消化管において又は食物および飼料の製造におけるプロセス工程(これは高温で生じる)の経過において一般的な温度条件下の適用に適している。
【実施例5】
【0051】
フモニシンカルボキシルエステラーゼの活性のpH範囲の決定
フモニシンカルボキシルエステラーゼが活性であるpH範囲を決定するために、テオレル−ステンハーゲン(Teorell−Stenhagen)バッファーを使用した。このバッファーは、シトラート、ホスファートおよびボラートの組合せにより、同じ緩衝能で10pH単位の範囲にわたって調節されうる。FUM−カルボキシルエステラーゼを、3.3ng/mlの濃度で、このバッファー中、種々のpH値および25℃で、10ppm フモニシンB1と共にインキュベートした。pH8.0において最高活性が示されたが、pH5からpH10までの全範囲において活性を決定することが可能であった。この広範なpH範囲内のこの活性は、飼料添加物としての又は食物および飼料加工の経過中の該酵素の技術的適用を可能にしている。
【実施例6】
【0052】
子ブタでの給餌試験
該試験は、それぞれ動物10頭を収容する12個の部屋を有する試験用畜舎において行った。該畜舎はスラット化床、平鍋容器およびコンピュータ制御給餌システムを備えていた。該部屋の壁に沿ってオートマットが配置されていた。毎日、畜舎の気候が自動的に記録され、温度は子ブタの飼育のための標準的な推奨に従い設定された。
【0053】
この試験のために、120頭の性別混合の離乳したブタ(齢:約4週、平均設定体重:8.21kg)を使用した。各子ブタをイヤマークで標識し、個々に体重測定した。120頭の子ブタを12個の部屋に無作為に分配した。全ての子ブタはAustrian Breeding Program OHYB(=(ラージホワイト×ランドレース)×ピエトレイン)に由来するものであった。
【0054】
離乳直後に、該子ブタに幼動物飼料を2日間与え、この順応期間の後、試験飼料への切り替えを行った。給餌は以下の2段階で行った:離乳段階第1〜14日、飼育段階第15〜42日。該試験試料をスポットミックス(spotmix)給餌装置により個々に部屋ごとに混合し、子ブタの数、体重増加および飼料消費に応じて、1日2回、乾燥形態で分配した。水に任意に摂取可能であった。それらの12個の部屋を、それぞれ3重複の4つの異なる適用群に分け、前記飼料における以下の混合物を与えた。
【0055】
【表2】

【0056】
陽性対照においては、該動物のほぼ半数で呼吸障害が観察され、更には1例の脱落が生じた。全ての他の群は見掛け上健康であった。
【0057】
【表3】

【実施例7】
【0058】
バイオエタノールマッシュにおけるフモニシンの酵素的分解
バイオエタノールの製造のためのトウモロコシマッシュのサンプルを採取し、攪拌下で30〜65℃でインキュベートし、攪拌(分単位の攪拌時間)下のマッシュ1立方メートル当たり770単位のカルボキシルエステラーゼ認識番号9の添加の後でフモニシンB1の分解を調べた。サンプルを、採取後に煮沸することにより不活性化し、ついで分析のために遠心分離し、該上清のアリコートを蒸発させた。残渣を、C13標識内部フモニシン標準を含有する200μlのサンプルバッファー中に取り、1.5分間振とうし、遠心分離し、ついでLC−MS−分析に付した。図4に示すとおり、フモニシンFB1は加水分解フモニシンHFB1へと完全に変換されるという結果が、これから認められる。アミノトランスフェラーゼ識別番号19の添加の後、図5に示すとおり、該加水分解フモニシンHFB1は無害成分へと完全に分解される。
【実施例8】
【0059】
コーントルティージャマッシュおよびコーンフレークマッシュにおけるフモニシンおよびその誘導体の分解
コーントルティージャおよびコーンフレークの製造のためのトウモロコシ(コーン)マッシュサンプル(ひき割りトウモロコシ粉)において、フモニシン分解酵素の活性を調べた。フモニシンで汚染されたトウモロコシ(約1ppm)をトウモロコシ粉に粉砕し、水と混合し、煮沸した。トルティージャの製造のために、約50〜60℃に冷却されたトウモロコシマッシュをアルカリ性溶液中のプロテイナーゼの混合物で補足した。pHが9未満、好ましくは8未満に低下していた30〜180分後、カルボキシルエステラーゼとアミノトランスフェラーゼ(それぞれ500〜1000U/m)との混合物を加え、更に30〜60分間インキュベートした。コーンフレークの製造に関しては、粉砕されたトウモロコシおよびオオムギ麦芽のトウモロコシマッシュを圧力容器内で約1時間煮沸し、60℃(好ましくは50℃)に冷却後、カルボキシルエステラーゼとアミノトランスフェラーゼ(それぞれ500〜1000U/m)との酵素混合物を加え、更に30〜60分間インキュベートした。ついでサンプルをこの混合物から採取し、実施例7と同様にしてFB1およびHFB1残渣に関して検査した。該サンプルの全てにおいてHFB1レベルは80ppb未満であり、FB1から生成したHFB1は連続的に反応し続けているようであった。FB1に関する測定値を以下の表に示す。
【0060】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイコトキシン、特にフモニシンの酵素的分解のための添加物を製造するための方法であって、配列番号1、2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22および24に対応する遺伝子の少なくとも1つの核酸配列が準備され、前記の少なくとも1つの核酸配列が原核または真核宿主細胞において発現され、配列番号3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23および25に対応する少なくとも1つのこのようにして産生された酵素または少なくとも1つの完全組換え宿主生物が、必要に応じて補基質と共に、植物性原料において使用されることを特徴とする、方法。
【請求項2】
マイコトキシン、特にフモニシンが酸素非依存的に分解されることを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
植物性原料における酵素の使用の前に、該酵素が分子遺伝学的方法、突然変異誘発または分子進化により修飾されることを特徴とする、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
酵素が単離されることを特徴とする、請求項1、2または3記載の方法。
【請求項5】
酵素が保護コーティング内に封入されることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項記載の方法。
【請求項6】
酵素が、パーミアーゼ識別番号3、カルボキシルエステラーゼ識別番号9、トリカルバリル酸デヒドロゲナーゼ識別番号11、クエン酸利用タンパク質識別番号13、アルコールデヒドロゲナーゼ識別番号17、アミノトランスフェラーゼ識別番号19および/またはアセト乳酸シンターゼ識別番号23から選択されることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項記載の方法。
【請求項7】
配列番号3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23または25を有する酵素の少なくとも1つに対して少なくとも90%の配列同一性を含む酵素が使用されることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項記載の方法。
【請求項8】
少なくとも1つのアミノトランスフェラーゼ識別番号19または識別番号25を使用する場合に、ケトン、特にα−ケト酸が補基質として使用されることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項記載の方法。
【請求項9】
カルボキシルエステラーゼ識別番号9を使用する場合に、特に粘土鉱物から選択される少なくとも1つの吸着剤が更に使用されることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項記載の方法。
【請求項10】
添加物が、発酵すべき植物性出発物質において又はバイオエタノールの製造のためのマッシュにおいて使用されることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項記載の方法。
【請求項11】
植物性原料および植物性原料を含有する混合物におけるマイコトキシン、特にフモニシンの酵素的分解のための添加物であって、配列番号3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23および25の、少なくとも1つの酵素または少なくとも1つの完全組換え宿主生物、および必要に応じて更に、使用される酵素の少なくとも1つ又は幾つかのための少なくとも1つの補基質、および不活性担体を含有することを特徴とする添加物。
【請求項12】
分子遺伝学的方法、突然変異誘発または分子進化により修飾された酵素が使用されることを特徴とする、請求項11記載の添加物。
【請求項13】
配列番号3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23または25を有する酵素に対して少なくとも90%の配列同一性を含む酵素が使用されることを特徴とする、請求項11または12記載の添加物。
【請求項14】
酵素、修飾酵素および/または少なくとも90%同一な酵素が保護コーティングで覆われて使用されることを特徴とする、請求項11、12または13記載の添加物。
【請求項15】
酵素が、カルボキシルエステラーゼ識別番号9、トリカルバリル酸デヒドロゲナーゼ識別番号11、クエン酸利用タンパク質識別番号13、アルコールデヒドロゲナーゼ識別番号17、アミノトランスフェラーゼ識別番号19もしくは識別番号25および/またはアセト乳酸シンターゼ識別番号23から選択されることを特徴とする、請求項11から14のいずれか一項記載の添加物。
【請求項16】
カルボキシルエステラーゼ識別番号9、少なくとも1つのアミノトランスフェラーゼ識別番号19または識別番号25、補基質としてのα−ケト酸および不活性担体を含有することを特徴とする、請求項11から15のいずれか一項記載の添加物。
【請求項17】
カルボキシルエステラーゼ識別番号9、少なくとも1つの吸着剤、特に少なくとも1つの粘土鉱物、および必要に応じて不活性担体を含有することを特徴とする、請求項11から16のいずれか一項記載の添加物。
【請求項18】
バイオエタノールの製造中に、特にマッシュまたは植物性出発物質と共に酸素非依存的環境において添加物が使用されることを特徴とする、請求項11から17のいずれか一項記載の添加物。
【請求項19】
配列において示される遺伝子の、または配列番号1、2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22および24を有する遺伝子配列の発現のための完全組換え宿主生物の、ならびに必要に応じて補基質の、植物性原料におけるマイコトキシン、特にフモニシンの分解のための添加物を製造するための使用。
【請求項20】
カルボキシルエステラーゼ認識番号9、アミノトランスフェラーゼ識別番号19もしくは識別番号25、またはα−ケト酸および、不活性担体よりなる群から選択される補基質が使用されることを特徴とする、請求項19記載の使用。
【請求項21】
カルボキシルエステラーゼ、少なくとも1つの吸着剤、特に粘土鉱物、および必要に応じて不活性担体が使用されることを特徴とする、請求項19記載の使用。
【請求項22】
バイオエタノールの製造におけるマッシュまたは植物性出発物質の酸素非依存的処理のための、請求項19、20または21のいずれか一項記載の使用。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公表番号】特表2012−502633(P2012−502633A)
【公表日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−527148(P2011−527148)
【出願日】平成21年9月18日(2009.9.18)
【国際出願番号】PCT/AT2009/000364
【国際公開番号】WO2010/031101
【国際公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(500303696)エルベル・アクチエンゲゼルシヤフト (6)
【Fターム(参考)】