説明

マウスパッド

【課題】 操作者への負荷を軽減し、快適なマウス操作で長時間の作業でも疲労の少ないマウスパッドを提供する。
【解決手段】 略扇形状の底面上に、前記扇形の中心から外側へ向かうに従って曲率半径が徐々に大きくなるような曲面を形成して成るマウスパッド面と、前記マウスパッド面の高さと略同の高さを有し、前記扇形の中心となる側に形成されたリストレスト部と、で構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マウスパッドに関し、特に、操作者への負荷を軽減し、快適なマウス操作により長時間の作業でも疲労の少ないマウスパッドに関する。
【背景技術】
【0002】
マウスパッドについては、操作性を向上させる目的でその上面形状を円弧や球面等の凸曲面にしたものが提案されている(例えば、特許文献1又は2参照)。
【0003】
【特許文献1】特願2000−322197号公報(第2−3頁、第1図)
【特許文献1】登録実用新案3040091号公報(第4−6頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来のマウスパッドは、操作面を凸曲面にするだけであり、以下の点には配慮されていないという問題があった。
(1)手首を左右に曲げてマウスを操作する場合、操作者の手首から距離が離れるほどマウスの移動量は大きくなる(つまり、マウスの移動範囲は略扇形である)。そのため、手首からの距離が長くなるにつれてマウスパッドの曲面の曲率半径も長くする方が手首への負担は少ないと考えられるが、従来の曲面は断面がどこも同じ形状であるか、または円盤状である。
(2)中央の凸部はマウスパッドを載置した床面より高いため、手首を床面に接触させて操作する場合、手が前腕に対して上に反ったような状態となり手首に負荷がかかるため、操作者が疲れやすい。一方、その状態を回避するため手首を床面から浮かせた状態で使用すると、腕を安置、固定する場所がないため、手首や肩に負担がかかり、疲れやすい。
【0005】
パーソナルコンピュータの普及等に伴い、マウス操作は職場だけでなく、学校や家庭でも頻繁に発生する作業となっている。従って、操作者に負担の少ないマウス操作が実現できるマウスおよびマウスパッドの開発は益々重要となっている。その一例として、マウスでは、手首を動かさずにカーソル操作が可能なトラックボールと称する入力装置が開発されている。
【0006】
ところで、操作者に負担の少ないマウス操作において最も重要な要素は、手首の左右への曲げや指の運動が、手首や肩への負荷を少なくしつつ行えることである。手首の左右への曲げは、マウスの移動範囲に応じたマウスパッドの曲面を形成することにより、また、指の運動は、手首を適切に固定することにより、操作者の負担を軽減し、快適にマウス操作を行うことができる。
【0007】
そこで本発明は上記従来の課題に鑑みてなされたものであり、マウスを操作するマウスパッド面に円錐の側面の一部を形成し、且つ、マウスパッド面の高さと略同の高さを有するリストレスト部をマウスパッド面の前記円錐の頂点となる側に形成することにより、操作者への負荷を軽減し、快適なマウス操作で長時間の作業でも疲労の少ないマウスパッドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明のマウスパッドは、略扇形状の底面上に、前記扇形の中心から外側へ向かうに従って曲率半径が徐々に大きくなるような曲面を形成して成るマウスパッド面と、前記マウスパッド面の高さと略同の高さを有し、前記扇形の中心となる側に形成されたリストレスト部と、で構成されることを特徴とする。
上記構成によれば、手首を左右に曲げて行うマウス操作が手首の自然な動きの範囲内で行えるため、手首や肩への負荷を少なくすることができる。また、手首が適切に安置、固定されるため、指や手首の運動が手首から先だけで容易に行える。従って、快適なマウス操作により長時間の作業でも疲労を少なくすることができる。
【0009】
また、本発明のマウスパッドは、請求項1に記載のマウスパッドであって、前記リストレスト部は、中央に窪みを有する略円弧状の断面を成すように形成されていることを特徴とする。
上記構成によれば、手首が適切に安置、固定されるので、操作者は、手首や肩への負荷を少なくしつつマウス操作が行える。従って、快適なマウス操作により長時間の作業でも疲労を少なくすることができる。
【0010】
また、本発明のマウスパッドは、請求項1又は2に記載のマウスパッドであって、前記リストレスト部は、前記マウスパッド面から分離可能であることを特徴とする。
上記構成によれば、操作者の手の大きさに応じてリストレスト部の位置を調節することができる。従って、快適なマウス操作により長時間の作業でも疲労を少なくすることができる。
【0011】
また、本発明のマウスパッドは、請求項3に記載のマウスパッドであって、前記リストレスト部は、中央に窪みを有する略円柱状の回転体であることを特徴とする。
上記構成によれば、マウス操作中であってもリストレスト部の位置を容易且つ適切に変更できる。従って、快適なマウス操作により長時間の作業でも疲労を少なくすることができる。
【0012】
また、本発明のマウスパッドは、請求項4に記載のマウスパッドであって、前記回転体は、回転軸から偏心した位置に錘が形成されていることを特徴とする。
上記構成によれば、手首をリストレスト部から浮かせたりしても略円柱状のリストレスト部が転がり動くことなく、常に適切な位置で手首を支えることができる。従って、快適なマウス操作により長時間の作業でも疲労を少なくすることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明のマウスパッドによれば、操作者への負荷が軽減されるので、快適なマウス操作により長時間の作業を行っても疲労を少なくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態におけるマウスパッドについて、図面を用いて詳細に説明する。
【0015】
図1は、本発明の実施の形態1におけるマウスパッドの外観を示す斜視図である。また、図2は本発明の実施の形態1におけるマウスパッドの投影図である。マウスパッド100は、主に、マウスパッド面10、リストレスト部20、ジョイント部30などで構成される。
【0016】
本発明に係るマウスパッドのマウスパッド面は、略扇形状の底面上に、扇形の中心から外側へ向かうに従って曲率半径が徐々に大きくなるような曲面を形成している。そのような曲面の一例として、円錐の側面がある。図6は、円錐の側面の一部を切断する様子を説明するための模式図である。円錐を、中心軸を含まない面で切断すると、切り口の外形に双曲線または放物線を含む略扇形状の底面を有する曲面が切り出される。本発明の実施の形態におけるマウスパッドは、この曲面をマウスパッド面10に形成しており、外形はマウスの移動範囲に対応した略扇形状であり、しかも、手首からの距離が長くなるに従って曲面の曲率半径が大きくなっている。手首を左右に曲げて行うマウス操作が手首の自然な動きの範囲内で行えるため、手首の関節に無理な力がかかることがなく、従来のマウスパッドと比較して、操作者への負荷が軽減される。
【0017】
リストレスト部20は、手首を支える部分が略円弧状に窪んで形成されている。手首が適切に安置、固定されるため、指や手首の運動が手首から先だけで容易に行える。そのため、特に、操作者の肩へ無理な力がかかることがなく、従来のマウスパッドと比較して、操作者への負荷が軽減される。
【0018】
ジョイント部30は、マウスパッド面10とリストレスト部20とを接続する部分で、マウスパッド面10とリストレスト部20との間で窪みを形成するため、ペンホルダーなどとして利用することもできる。
【0019】
尚、本実施の形態1のマウスパッドは各部の肉厚が均一で薄いため、例えば、板材のプレス加工により形成するのにより適した形状となっている。
【0020】
次に、図3は、本発明の実施の形態2におけるマウスパッドの外観を示す斜視図である。また、図4は本発明の実施の形態2におけるマウスパッドの投影図である。マウスパッド101は、主に、マウスパッド面11、リストレスト部21、ジョイント部31などで構成される。
【0021】
マウスパッド面11には、実施の形態1と同様に、円錐の側面が成す曲面の一部が形成されている。従って、マウスパッド面11は、外形はマウスの移動範囲に対応した略扇形状であり、しかも、手首からの距離が長くなるに従って曲面の曲率半径が大きくなっている。手首を左右に曲げて行うマウス操作が手首の自然な動きの範囲内で行えるため、手首の関節に無理な力がかかることがなく、従来のマウスパッドと比較して、操作者への負荷が軽減される。
【0022】
リストレスト部21は、手首を支える部分が略円弧状に窪んで形成されている。手首が適切に安置、固定されるため、指や手首の運動が手首から先だけで容易に行える。そのため、特に、操作者の肩へ無理な力がかかることがなく、従来のマウスパッドと比較して、操作者への負荷が軽減される。
【0023】
ジョイント部31は、マウスパッド面11とリストレスト部21とを接続する部分で、マウスパッド面11とリストレスト部21との間で窪みを形成するため、ペンホルダーなどとして利用することもできる。
【0024】
尚、本実施の形態2のマウスパッドは各部の肉厚を変化させているため、例えば、樹脂の射出成型加工により形成するのにより適した形状となっている。
【0025】
次に、図5は、本発明の実施の形態3におけるマウスパッドの外観を示す斜視図である。マウスパッド102は、主に、マウスパッド面12、リストレスト部22などで構成される。
【0026】
マウスパッド面12には、実施の形態1と同様に、円錐の側面が成す曲面の一部が形成されている。従って、マウスパッド面12は、外形はマウスの移動範囲に対応した略扇形状であり、しかも、手首からの距離が長くなるに従って曲面の曲率半径が大きくなっている。手首を左右に曲げて行うマウス操作が手首の自然な動きの範囲内で行えるため、手首の関節に無理な力がかかることがなく、従来のマウスパッドと比較して、操作者への負荷が軽減される。
【0027】
一方、実施の形態3のリストレスト部22は、手首を支える中央部分が窪んだ略円柱状の回転体であり、マウスパッド面12と分離している。また、回転体の回転軸から偏心した位置には錘23が形成されている。
【0028】
実施の形態3のリストレスト部22は、マウスパッド面12と分離しているため、リストレスト部22を適切な位置に配置して使用することができるという利点がある。つまり、マウス操作者の手の大きさに応じて、リストレスト部22の位置を調整することができる。しかも、錘23が付加されているので、手首を浮かせた瞬間にリストレスト部22が転がり落ちるというようなことがない。
【0029】
リストレスト部が固定されている場合と比較して、操作者の手首がより適切に安置、固定されるため、指や手首の運動が手首から先だけで容易に行える。そのため、特に、操作者の肩へ無理な力がかかることがなく、従来のマウスパッドと比較して、操作者への負荷が軽減される。
【0030】
以上のように、本発明の実施の形態におけるマウスパッドは、マウスの移動範囲に対応した略扇形で、且つ、手首の左右への自然な動きに対応する適切な曲面を形成したマウスパッド面と、指や手首を動かす際の手首や肩への負担を少なくするリストレスト部と、を備えるので、操作者への負荷を軽減することができる。従って、快適なマウス操作により長時間の作業でも疲労を少なくすることができる。
【0031】
尚、マウスパッド面が曲面であるため、少ないスペースで広い操作面を提供することができ、パソコン周辺における省スペース化にも貢献できることは言うまでもない。
【0032】
また、本発明のマウスパッドは、マウスボールを転がす所謂ボール式マウスや光学式マウスに限らず、レーザーマウス、ワイヤレスマウスなど、あらゆるマウスで利用することができる。認識率を向上させるために、マウスパッド面に表面加工を施してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明にかかわるマウスパッドは、マウス操作者への負荷を軽減し、疲労を少なくするという効果を有し、特に、長時間の作業を行う操作者向けのマウスパッドとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】 本発明の実施の形態1におけるマウスパッドの外観を示す斜視図
【図2】 本発明の実施の形態1におけるマウスパッドの投影図
【図3】 本発明の実施の形態2におけるマウスパッドの外観を示す斜視図
【図4】 本発明の実施の形態2におけるマウスパッドの投影図
【図5】 本発明の実施の形態3におけるマウスパッドの外観を示す斜視図
【図6】 円錐の側面の一部を切断する様子を説明するための模式図
【符号の説明】
【0035】
10、11、12 マウスパッド面
20、21、22 リストレスト部
30、31 ジョイント部
23 錘
100、101、102 マウスパッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略扇形状の底面上に、前記扇形の中心から外側へ向かうに従って曲率半径が徐々に大きくなるような曲面を形成して成るマウスパッド面と、
前記マウスパッド面の高さと略同の高さを有し、前記扇形の中心となる側に形成されたリストレスト部と、で構成されることを特徴とするマウスパッド。
【請求項2】
前記リストレスト部は、中央に窪みを有する略円弧状の断面を成すように形成されていることを特徴とする請求項1に記載のマウスパッド。
【請求項3】
前記リストレスト部は、前記マウスパッド面から分離可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載のマウスパッド。
【請求項4】
前記リストレスト部は、中央に窪みを有する略円柱状の回転体であることを特徴とする請求項3に記載のマウスパッド。
【請求項5】
前記回転体は、回転軸から偏心した位置に錘が形成されていることを特徴とする請求項4に記載のマウスパッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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