説明

マクロ分子を放射性標識化するための方法

【課題】マクロ分子を放射性標識化するための方法を提供する。
【解決手段】本発明は、放射性標識マクロ分子の製造方法であって、該方法は、マクロ分子と、放射性微粒子コアを有する炭素封入ナノ粒子複合体とを、前記ナノ粒子と前記マクロ分子間の短距離引力を、静電反発力を減弱することにより促進するように選択されるpHを構成する水性媒体中で、接触させることを含む方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に対する相互参照
本願は、参照としてここに組み込まれる、2008年4月24日に出願された豪州特許、仮出願番号第2008902063号の利益を請求する。
【0002】
発明の分野
本発明は、生物学的マクロ分子、例えば、ポリペプチドのような放射性標識マクロ分子の製造方法に関する。本発明はまた、その放射性標識マクロ分子並びにその医薬製剤及び獣医薬製剤にも関する。特別な態様において、本発明は、インビトロ(生体外)の診断検査における使用のための及びインビボ(生体内)における画像診断、局所放射線療法及び標的放射線療法のための放射性標識マクロ分子に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
タンパク質、ペプチド及び抗体を含むポリペプチドのような、放射性標識マクロ分子の製造方法は、本技術分野において既知である。典型的には、伝統的な方法は、マクロ分子骨格のサブユニットの単純な置換反応、例えば、ポリペプチドにおけるチロシンのヨウ素化反応か、又は、もっぱら放射性核種(通常、金属イオン)を保持することが可能なキレート実体を含む誘導体、例えば、モノクローナル抗体のキレート誘導体を作るための有機化学の何れかに依存している。
【0004】
医薬用途のために、抗体のようなポリペプチドの放射性標識の密度は、特に、非常に少量の材料で高いレベルの放射活性が要求される画像化及び治療用途において考慮すべき問題である。同様に、異なる金属の放射性同位体の範囲の適合性を調べることが必要である場合、キレート化学は各々の金属でカスタマイズされなければならない。そのため、放射性標識の化学に対する実質的な変更無しに、異なる金属の放射性同位体の広範囲の使用を可能とするマクロ分子のための放射性標識の方法を有することが望ましい。このことは、異なる診断及び治療用途のために最も適したものを決定するために、放射性同位体を入手可能な多様なものの中から選択されなければならない医薬品において特に有益であり得る。
ここに、既知の方法の欠点や制限の一つ以上を克服するか又は回避する放射性標識マクロ分子の改善された製造方法に対する必要が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
発明の概要
本発明の目的は、放射性標識マクロ分子、特に、放射性標識された生物学的マクロ分子の改善された製造方法を提供するか、又は、先行技術の代替法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1観点には、放射性標識マクロ分子の製造方法を提供することであり、該方法は、マクロ分子と、放射性微粒子コアを有する炭素封入ナノ粒子複合体とを、前記ナノ粒子と前記マクロ分子間の短距離引力を、静電反発力を減弱することにより促進するよう選択されるpHを構成する水性媒体中で、接触させることを含む。
一つの態様において、前記炭素封入ナノ粒子複合体は、フィブリンライト(FibrinLite)である。
一つの態様において、前記炭素封入ナノ粒子複合体は、アニオン界面活性剤を含む。一
つの態様において、前記アニオン界面活性剤は、デオキシコール酸ナトリウムである。
一つの態様において、前記水性媒体は、アニオン界面活性剤を含む。一つの態様において、前記アニオン界面活性剤は、デオキシコール酸ナトリウムである。
一つの態様において、前記水性媒体は、前記マクロ分子における正味の荷電が実質的にゼロとなるpHを構成する。
一つの態様において、前記水性媒体は、前記マクロ分子のpIと実質的に等しいpHを構成する。
一つの態様において、前記水性媒体は、更に、静電反発力を減弱することにより、前記ナノ粒子と前記マクロ分子間の短距離引力を促進するために選択される電解質濃度で構成される。
一つの態様において、前記電解質は、Na、K及びCaからなる群より選択される単一の電解質である。
一つの態様において、前記水性媒体の前記単一の電解質の濃度は、約1ミリモルを超え、約150ミリモルまでの範囲内にある。
一つの態様において、前記水性媒体は、前記マクロ分子のpIと異なるpHを構成し且つ単一の電解質の濃度は、約1ミリモルを超え、約150ミリモルまでの範囲内にある。
一つの態様において、前記放射性微粒子コアは、99mTc、198Au、213Bi、57Co、51Cr、64Cu、67Cu、165Dy、169Er、59Fe、67Ga、68Ga、153Gd、166Ho、111In、113mIn、177Lu、23Na、24Na、103Pd、81Rb、82Rb、186Re、188Re、75Se、153Sm、117mSn、89Sr、201Th、90Y、169Yb及び192Irからなる群より選択される放射性同位体又は放射性核種である。
一つの態様において、前記放射性微粒子コアは、99mTcを含む。
一つの態様において、前記マクロ分子は、生物学的マクロ分子である。
一つの態様において、前記マクロ分子は、ポリペプチド、抗体並びにそれらの断片及び誘導体からなる群より選択される。
一つの態様において、前記マクロ分子は、ポリ−リシンである。
一つの態様において、前記マクロ分子は、カテーテル、ファイバー、ロッドもしくはフィラメント、膜、ウエハー、メッシュもしくはガーゼ、多孔性スポンジ、チューブもしくはステント、ビーズもしくはカプセルもしくは既知の寸法のマイクロビーズの形態のマイクロ粒子、ナノ粒子、リポソーム、グルー又はゲルの中又は表面上に含まれる。
一つの態様において、前記方法は、更に、非標識マクロ分子から、及び/又は遊離のナノ粒子複合体から、放射性標識マクロ分子を分離することを含む。
本発明の第2観点では、放射性微粒子コアを有する炭素封入ナノ粒子複合体を用いて複合化されるマクロ分子を含む放射性標識体が提供される。
一つの態様において、前記放射性標識体は、複数の異なるマクロ分子を含む。
一つの態様において、前記放射性標識体は、複数の異なる放射性標識物を含む。
一つの態様において、前記放射性標識体は、画像化に好適な放射性標識物及び治療用途に好適な放射性標識物を含む。
一つの態様において、前記放射性標識体は、カテーテル、ファイバー、ロッドもしくはフィラメント、膜、ウエハー、メッシュもしくはガーゼ、多孔性スポンジ、チューブもしくはステント、ビーズもしくはカプセルもしくは既知の寸法のマイクロビーズの形態のマイクロ粒子、ナノ粒子、リポソーム、グルー又はゲルを含む。
一つの態様において、前記放射性標識体は、医療用デバイスである。
本発明の第3観点では、放射性微粒子コアを有する炭素封入ナノ粒子複合体と、医薬的に許容可能なキャリア、助剤又は賦形剤と一緒に複合化されるマクロ分子を含む放射性標識体を含む医薬組成物が提供される。
一つの態様において、前記マクロ分子は、ポリペプチド、抗体並びにそれらの断片及び誘導体からなる群より選択される。
一つの態様において、前記マクロ分子は、ポリ−リシンである。
一つの態様において、前記マクロ分子は、組織特異的なマクロ分子、臓器特異的なマク
ロ分子、細胞型特異的なマクロ分子又は病状特異的なマクロ分子である。
本発明の第4観点では、放射性標識された医療用デバイスの製造方法であって、該方法は、放射性微粒子コアを有する炭素封入ナノ粒子複合体で複合化されたマクロ分子と、医療用デバイスとを、前記医療用デバイスの中へ又は表面上へ前記放射性標識マクロ分子の組み込みのために適した条件下で、接触させることを含む方法が提供される。
本発明の第5観点では、医療用デバイスの中へ又は表面上へ組み込まれた、放射性微粒子コアを有する炭素封入ナノ粒子複合体で複合化されたマクロ分子を含む放射性標識された医療用デバイスが提供される。
一つの態様において、前記第2ないし第5観点の何れか1つの医療用デバイスは、診断用デバイス及び治療用デバイスから選択される。
一つの態様において、前記第2ないし第5観点の何れか1つのデバイスは、注射可能な医療用デバイスである。一つの態様において、前記マクロ分子は、マイクロ粒子、ナノ粒子又はリポソームの中へ又は表面上へ組み込まれる。
前記第2ないし第5観点の何れか1つの態様において、前記医療用デバイスは、カテーテル、ファイバー、ロッドもしくはフィラメント、膜、ウエハー、メッシュもしくはガーゼ、多孔性スポンジ、チューブもしくはステント、ビーズもしくはカプセルもしくは既知の寸法のマイクロビーズの形態のマイクロ粒子、ナノ粒子、リポソームの中に又は表面上に含まれる放射性標識マクロ分子を含む。
一つの態様において、前記第2ないし第5観点の何れか1つのデバイスは、埋め込み型の医療用デバイスである。
一つの態様において、前記第2ないし第5観点の何れか1つの医療用デバイスは、獣医用デバイスである。
第6観点では、本発明は、患者を放射線治療する方法であって、該方法は、放射性標識マクロ分子の治療有効量を前記患者へ投与することを含み、前記放射性標識マクロ分子は、放射性微粒子コアを有する炭素封入ナノ粒子複合体と結合したマクロ分子を含む方法を提供する。
一つの態様において、前記放射線治療は、肺のための体内照射療法である。例えば、前記放射線治療は、原発性及び/又は転移性の肺腫瘍の治療のためのものである。
一つの態様において、前記マクロ分子は、肺に対して特異性を有する。
一つの態様において、前記マクロ分子はポリ−リシンである。一つの態様において、前記ポリ−リシンは、分子量が約15kdないし約30kdである。
一つの態様において、前記放射性微粒子コアは、198Au、213Bi、57Co、51Cr、64Cu、67Cu、165Dy、169Er、59Fe、67Ga、68Ga、153Gd、166Ho、111In、113mIn、177Lu、23Na、24Na、103Pd、81Rb、82Rb、186Re、188Re、75Se、153Sm、117mSn、89Sr、201Th、90Y、169Yb、192Irの少なくとも1種を含む。
本発明の第7観点では、放射性同位体の不活性な前駆体と複合化されたマクロ分子の製造方法であって、該方法は、マクロ分子を、放射性同位体の不活性な前駆体を含む微粒子コアを有する炭素封入ナノ粒子複合体と、前記ナノ粒子と前記マクロ分子間の短距離引力を、静電反発力を減弱することにより促進するよう選択されるpHを構成する水性媒体中で、接触させることを含む方法が提供される。
本発明の第8観点では、マクロ分子と、放射性同位体の不活性な前駆体を含む微粒子コアを有する炭素封入ナノ粒子複合体とを含む複合体が提供される。
本発明の第9観点では、マクロ分子を放射性標識する方法であって、該方法は、
(a)マクロ分子と、放射性同位体の不活性な前駆体を含む微粒子コアを有する炭素封入ナノ粒子複合体とを、前記ナノ粒子と前記マクロ分子間の短距離引力を、静電反発力を減弱することにより促進するよう選択されるpHを構成する水性媒体中で、接触させる工程;及び
(b)前記不活性な前駆体を活性化して放射性同位体を発生させる工程
を含む方法が提供される。
本発明の方法の一つの態様において、前記水性媒体は、更に、前記ナノ粒子と前記マクロ分子間の短距離引力を、静電反発力を減弱することにより促進するよう選択される電解質濃度を構成する。
第7ないし第9観点の一つの態様において、前記不活性な前駆体は、ホウ素の安定同位体(10B)である。
第7ないし第9観点の一つの態様において、前記マクロ分子は、カテーテル、ファイバー、ロッドもしくはフィラメント、膜、ウエハー、メッシュもしくはガーゼ、多孔性スポンジ、チューブもしくはステント、ビーズもしくはカプセルもしくは既知の寸法のマイクロビーズの形態のマイクロ粒子、ナノ粒子、リポソームの中又は表面上に含まれる。
第7ないし第9観点の一つの態様において、前記方法は、更に、医療用デバイスの中へ又は表面上へ前記マクロ分子を組み込むことを含む。一つの態様では、前記マクロ分子は、活性化される前に医療用デバイスの中へ又は表面上へ組み込まれる。一つの態様において、前記方法は、更に、前記活性化の前に、被験者に前記医療用デバイスを投与することを含む。一つの態様において、前記投与は、前記活性化の前に、被験者の中に前記医療用デバイスを移植することを含む。
一つの態様において、前記活性化は、前記前駆体を中性子線に曝露することを含む。
第10観点では、本発明は、患者を放射線治療する方法であって、該方法は、前記患者に、マクロ分子と、放射性同位体の不活性な前駆体を含む微粒子コアを有する炭素封入ナノ粒子複合体とを含む複合体のある量を投与する工程であって、前記量は、前記不活性な前駆体が活性化された時に治療有効量である工程、及び
前記不活性な前駆体を活性化して放射性同位体を発生させる工程
を含むところの方法が提供される。
一つの態様において、前記放射性同位体の不活性な前駆体は、ホウ素(ホウ素−10)である。
一つの態様において、前記活性化は、前記前駆体を中性子線に曝露することを含む。
第11観点では、本発明は、患者の医療手順を画像化する方法であって、該方法は、マクロ分子と、放射性微粒子コアを有する炭素封入ナノ粒子複合体とを含む複合体を、前記患者へ投与すること、及び
前記患者の体内にある前記複合体を検出すること
を含む方法を提供する。
一つの態様において、前記検出は、前記放射活性のガンマカメラ画像化を含む。
一つの態様において、前記複合体は、二重標識マクロ分子である。一つの態様において、前記二重標識マクロ分子は、治療に好適な放射性同位体及び画像化に好適な放射性同位体を含む。
本発明の第12観点では、放射性微粒子コアを有する炭素封入ナノ粒子複合体で複合化されたマクロ分子を含む造影剤が提供される。
一つの態様において、前記マクロ分子は、肺に対して特異性を有する。
一つの態様において、前記マクロ分子は、ポリ−リシンである。
本発明の第13観点では、被験者の肺の血液循環に影響する疾病又は病気の診断方法であって、該方法は、放射性微粒子コアを有する炭素封入ナノ粒子複合体で複合化されたマクロ分子を、前記被験者へ投与すること、及び
前記被験者の体内における前記複合体を検出すること
を含む方法が提供される。
一つの態様において、前記マクロ分子は、肺に対して特異性を有する。
一つの態様において、前記マクロ分子は、ポリ−リシンである。一つの態様において、前記ポリ−リシンは、分子量が約15kdないし約30kdである。
一つの態様において、前記疾病又は病気は、肺塞栓症、肺気腫、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、原発性及び転移性の肺腫瘍並びに感染症からなる群より選択される。
上記した本発明の概要は限定されるものでなく、本発明の他の特徴及利点は、下記の好ましい態様の詳細な記載から、同様に、請求項から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図面の簡単な説明
本発明の好ましい形態は、今、添付された図面を参照して以下に記載される:
【図1a】:ウサギ免疫グロブリンで被覆されたマイクロウェルに結合したフィブリンライト(FibrinLite)におけるpHの影響。種々の条件下での、ウサギ免疫グロブリン(シグマ(Sigma)I5006)で被覆されたポリスチレンマイクロウェル(ヌンク ロックウェル(登録商標:Nunc Lockwells))へのTc−99mフィブリンライト希釈液(1:10;100μL)の結合が示されている。500μMクエン酸ナトリウムpH3.5(“pH3.5”);500μMクエン酸ナトリウムpH3.5+10μMデオキシコール酸ナトリウム(“pH3.5 DOC”);500μMクエン酸ナトリウムpH3.5+150μM NaCl(“pH3.5+NaCl”);500μMクエン酸ナトリウムpH3.5+10μMDOC+150μM NaCl(“pH3.5+N+D”);注釈、“pH6.0”、“pH6.0+DOC”、“pH6.0+NaCl”及び“pH6.0+N+D”は、対応する意味を有するものの、pH3.5というより、むしろpH6.0である。バーは2つのウェルの平均を表す。
【図1b】:ウサギ血清アルブミン(シグマ(Sigma)A0764)で飽和被覆した後の、又は、ウサギ免疫グロブリン(IgG;シグマ(Sigma)I5006)で飽和被覆した後の、被覆されていないマイクロウェルへのTc−99mフィブリンライトの結合。バーは2つのウェルの平均を表す。
【図2】:ウサギ免疫グロブリンの免疫製剤(R 389;アメリカン ダイアグノスティカ(American Diagnostica))で飽和被覆した後の、及び、IgGの2種の異なるマウスモノクローナル抗体(Mab3689及びMab3471;アメリカン ダイアグノスティカ(American Diagnostica))で飽和被覆した後の、被覆されていないマイクロウェルへのTc−99mフィブリンライトの結合。バーは2つのウェルの平均を表す。
【図3】:pH3.5(印影付きのバー)又はpH6.5(印影無しのバー)の500mMクエン酸ナトリウムにおける、ウサギ血清アルブミン(シグマ(Sigma)A0764)又は硫酸プロタミン(Iシグマ(Sigma)P4505)で飽和被覆した後の、被覆されていないマイクロウェルへのTc−99mフィブリンライトの結合。バーは2つのウェルの平均を表す。
【図4】:アルブミンへのフィブリンライト結合の電解質誘導 事前にウサギ血清アルブミン(シグマ(Sigma)A0764)で被覆されたポリスチレンマイクロウェル(ヌンク ロックウェル(登録商標:Nunc Lockwells))へのTc−99mフィブリンライト(示される濃度の塩化ナトリウム溶液中へ1:10に希釈された;100μL)の結合。結果は、3種の異なるフィブリンライトの配合物を用いる独立した3つの実験として示される。
【図5】:麻酔ウサギの耳静脈中への注射後の、被覆されていないTc−99mフィブリンライトの循環系クリアランス及び生体内分布。一連の画像の取得(シーメンス ディアカム(Diacam)ガンマカメラ)は、注射するとすぐに開始された;各フレームは、30秒間隔を示す。
【図6】:麻酔ウサギの耳静脈中への注射後に、ポリ−リシン(シグマ(Sigma)P4408)処理されたTc−99mフィブリンライトの循環系クリアランス及び生体内分布。一連の画像の取得(シーメンス ディアカム(Diacam)ガンマカメラ)は、注射するとすぐに開始された;各フレームは、30秒間隔を示す。
【図7a】:麻酔ウサギの耳静脈中への注射後に、ポリ−D−リシン(MW 4−15kd;シグマ(Sigma)P6403)処理されたTc−99mフィブリンライトの循環系クリアランス及び生体内分布。一連の画像の取得(シーメンス ディアカム(Diacam)ガンマカメラ)は、注射するとすぐに開始された;各フレームは、30秒間隔を示す。
【図7b】:麻酔ウサギの耳静脈中への注射後に、ポリ−D−リシン(MW 30−70kd;シグマ(Sigma)P7886)処理されたTc−99mフィブリンライトの循環系クリアランス及び生体内分布。一連の画像の取得(シーメンス ディアカム(Diacam)ガンマカメラ)は、注射するとすぐに開始された;各フレームは、30秒間隔を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
略語
便宜のため、本明細書中で使用されている以下の略語を下に列記する。
ここで使用されている用語“SPECT”は、シングルフォトンコンピュータ断層撮影法の略語である。
ここで使用されている用語“PET”は、ポジトロン放出断層撮影法の略語である。
ここで使用されている用語“SIRT”は、選択的内部照射療法の略語である。
ここで使用されている用語“SMPS”は、走査型移動度粒径測定器の略語である。
ここで使用されている用語“MCE”は、混合セルロースエステルの略語である。
ここで使用されている用語“PTFE”は、ポリテトラフルオロエチレンの略語である。
ここで使用されている用語“DOC”は、デオキシコール酸ナトリウムの略語である。
【0009】
放射性標識マクロ分子の製造における、放射性微粒子コアを有する炭素封入ナノ粒子複合体(例えば、フィブリンライトのナノ粒子)の製造及び使用に関するここでの記載は、放射性同位体の不活性な前駆体を含む微粒子コアを有する炭素封入ナノ粒子複合体の使用について準用されるものと理解され得、同様に適切に、当業者により受け入れられ得る(例えば、活性な放射性同位体ではない不活性な前駆体及び該不活性な前駆体の実施態様の場合における活性化工程の使用)。
【0010】
ここで使用されている用語“治療有効量”は、所望の治療効果を提供するように、本発明において使用するにあたり、化合物又は組成物の非毒性で充分な量という意味も含む。必要とされる正確な量は、例えば、治療される人種、年齢、体重及び被験者の全身状態、併存疾患、治療される病気の重症度、投与される特定の薬剤及び投与の様式等の因子に依存して、被験者毎に変化する。それゆえ、どのような場合であっても、適切な“有効量”は、常法のみを使用する当業者により決定され得る。
【0011】
この明細書との関連において、用語“含む(comprising)”は、“基本的に含む(including)を意味するが、必ずしも単にそれだけを意味しない”ことを意味する。更に、単語“含む(comprising)”の変形、“含む(comprise)”及び“含む(comprises)”は、対応する多様な意味を有する。それ故に、用語“含む(comprising)”及びその変形は、整数Aを含む又は整数A及びBを含む等のように記載される、更なる整数又は特徴が、組成物、方法等において任意に存在し得るような、排他的な意味よりはむしろ包含する意味で使用される。
この明細書との関連において、用語“約(about)”は、当業者が任意の値と関連付け得る、通常の許容値を示すものと理解され得る。
【0012】
この明細書との関連において、パラメーターのために示された範囲は、該パラメーターが、示された該範囲の終点を含めて、示された範囲内の全ての値を含むものと理解される。例えば、“5ないし10”の範囲は、値5、6、7、8、9及び10を含み、同様に、示された範囲内のあらゆる下位の範囲、例えば、6ないし10、7ないし10、6ないし9、7ないし9等の下位の範囲を含み、及び、例えば、5.5、6.5、7.5、5.5ないし8.5及び6.5ないし9等のような、示された範囲の関連において妥当である、整数の間のあらゆる値及び範囲を含むものと理解される。
この明細書との関連において、用語“複数の(plurality)”は、1より大きなあらゆる数を意味する。
許される範囲内で、ここに提示される全ての参考文献は、その全てが参照としてここに組み込まれる。
【0013】
好ましい態様及び他の態様の記載
本発明は、これから、以下の実施例に関するものを含み、図解のみの方法により、より詳細に記載される。
本発明者等は、好適なpHの条件、及び任意の電解質濃度が、炭素−封入放射性核種のナノ複合粒子とマクロ分子との間の反発電荷の減少を促進し、それにより、例えば、ナノ複合粒子(フィブリンライトのような)をマクロ分子と事実上不可逆的に結合させるか又は複合化させるように、短距離引力を静電反発力よりも優位にできるように選択できることを発見した。従って本発明は、ナノ粒子の外部表面を含むグラファイトと一緒に、誘引疎水性、イオン相互関係又は分散相互作用が可能であるマクロ分子の高い特異的な活性放射性標識のための炭素−封入放射性核種のナノ複合粒子(フィブリンライトのような)の使用方法に関する。一般に、該マクロ分子は、ポリペプチド、抗体等のような生物学的マクロ分子を含む。
【0014】
特別な態様では、該方法は、マクロ分子の高親和性放射性標識をしてもよく、例えば、これらは医療的な診断又は治療のための方法において使用され、液体又は組織試料の生物学的マーカーの具体的なインビトロ分析、疾病マーカーの生体内分布研究、例えば、腫瘍マーカー、インビボにおいては、特殊なマクロ分子標的ベクター、例えば、モノクローナル抗体によって検出されるというような他の疾病部位の外観画像化のため、それは研究用途において使用されてもよい。該方法は、同様に、生体外(ex vivo)での生きている細胞全て、例えば、抹消血液細胞の個体数サブセットを、後の体内への注射、及び、臓器分布の画像化技術による追跡もしくは疾病部位での蓄積のために標識するためにも使用され得る。
【0015】
好ましい態様において、マクロ分子の高親和性放射性標識は、概して、標識されたマクロ分子によって出会う条件下では、実質的に不可逆的である。主には、マクロ分子の高親和性放射性標識は、インビボ条件下で約10%未満の解離が存在する。
【0016】
ネイル(Nair)等による2005年12月20日付けの“フィブリンクロットの検出法(Method for detection of fibrin clots)”と表題された、米国特許第6,977,068号明細書は、フィブリンクロットの検出における、炭素−封入放射性核種のナノ粒子の使用のための方法を記載する。2006年4月28日に出願され、WO2006/116798 A1として公開された、“炭素封入放射性微粒子の注射用放射性組成物の生成方法(A method of forming an injectable radioactive composition
of a carbon encapsulated radioactive particulate)”と表題された、国際特許出願番号PCT/AU2006/000554号は、炭素封入ナノ粒子の注射用製剤の製造方法を記載する。そこに記載される方法は、“フィブリンライト法(FibrinLite process)”として参照され得、それで製造されたナノ粒子は、“フィブリンライト(FibrinLite)”として参照され得る。許される範囲内で、米国特許第6,977,068号明細書及びPCT/AU2006/000554(WO2006/116798)の両方の全ての内容は、参照としてここに組み込まれる。
【0017】
当業者は、炭素封入ナノ粒子複合体の水性分散体の製造方法が、放射性エアロゾルの水捕捉の工程を含み得、そしてこの工程は多くの方法で達成され得ることに気付くだろうと
理解される。例えば、炭素封入ナノ粒子複合体を作成するために使用される放射性エアロゾルの水捕捉の工程は、限定されない以下に示すものを含み得る:
1.ベンチュリスクラバーにおけるエアロゾルの収集、例えば、インダストリアルアンドエンジニアリングケミストリー(Industrial and Engineering Chemistry)(1951)、43巻、パート6、1358ないし1363頁に開示されている、エクマン(Ekman)及びジョンストン(Johnstone)の方法。
2.液体電解質上でのエアロゾルの濃縮、例えば、タランタ(Talanta)(1981)28巻、パート1、43ないし47頁に開示されている、ミカリク(Michalik)及びステフェンス(Stephens)の方法。
3.サイクロン装置、例えば、米国特許第6,508,864号明細書(2003年1月21日に公開された)において、P.J.デイ(Day)により開示されたサイクロン装置。
【0018】
一つの例示的な態様において、炭素封入ナノ粒子複合体は、PCT/AU2006/00054に記載される方法を用いて製造され得るが、ここで、該方法は、その全ての内容が参照としてここに組み込まれる、米国特許第5,792,241号明細書に記載されるブロウィット(Browitt)集塵装置を利用する水中での放射性エアロゾルの捕捉を含む。
【0019】
ここに記載されるように、本発明者等は、マクロ分子の高い特異的放射活性及び高親和性放射性標識を提供し得る炭素封入ナノ粒子(フィブリンライトナノ粒子のような)を使用するための方法を発見した。
放射性標識マクロ分子がフィブリンライトナノ粒子を用いて製造され得る方法を提供することにより、本発明者等は、金属同位体を炭素ケージで包む炭素封入工程(PCT/AU2006/000554参照)を活用し、それにより、その外的環境との接触から物理的に孤立するようになり、特にそれらがインビボで使用される場合、粒子及び従ってマクロ分子のために特に重要な特性となる。放射性標識マクロ分子のインビボにおける放射性金属イオンの浸出及び生物学的吸収の可能性は、インビボにおいてナノ粒子複合体の炭素外装のみが生物環境に曝露されるため、事実上存在しない。
【0020】
マクロ分子及び医薬品における使用
本発明を通して、マクロ分子、好ましくは生物学的マクロ分子、例えば、タンパク質、ペプチド、抗体及び、例えば、ポリ−リシンなどのポリカチオンを含むポリペプチドの、高特異的活性の放射性標識のための炭素封入放射性核種(フィブリンライト)のナノ粒子複合体の使用のための方法が提供される。本発明は、ナノ分子がマクロ分子、例えば、ポリペプチド、タンパク質及び抗体で被覆され得、それにより結果として生じる粒子は、検出可能な放射性標識の高特異的活性のコアを有し、同様に、ポリペプチドと強固に結合する。該ポリペプチドは、組織又は細胞表面のマーカー、抗原、受容体及び結合部位との特異的な相互作用を有する生物学的リガンドの広範な多様性から選択され得る。
【0021】
放射性標識マクロ分子は、マクロ分子が疾病マーカーと伴に有する特異的な生物学的相互作用に基づいて、インビボにおける所定の疾病部位で治療用同位体を蓄積するために使用され得る。例えば、腫瘍マーカーに対して特異性を有する放射性標識モノクローナル抗体が、腫瘍内で治療用同位体の細胞毒性量を蓄積するために使用され得る。そのような用途において、放射性同位体は、典型的には、153Sm、90Y、125I、131I、192Ir、103Pd、111In、166Hoのような、増殖細胞を死滅させることができる短距離、高エネルギー放射を有するものから選択される。腫瘍の放射線治療のこのタイプの例は、カミンスキー(Kaminski)により提供される、ニューイングランドジャーナルオブメディスン(New England Journal of Medicine)352巻
:441−449頁(2005)である。
【0022】
放射性標識マクロ分子の他の使用方法は、例えば、疾病又は病気の診断のための医療用画像化である。疾病又は病気が特定の組織、臓器又は細胞型に特異的であるか、局在しているか又は影響を及ぼす場所において、マクロ分子は選択され得、組織、臓器又は細胞型に対する特異性から又は疾病又は病気の特性、例えば、病気でない状態と比較した病気の状態における生物学的分子の発現の変化に対する特異性により選択され得る。例えば、ここに提示されるように、ポリ−リシンと複合したフィブリンライトは、肺組織に選択的であり、被験者に投与された場合、肺を優先的に標的とする。このような方法で、ポリ−リシンで被覆されたフィブリンライトは、肺における血液循環に影響する疾病又は病気、例えば、肺塞栓症、肺気腫、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、原発性及び転移性の肺腫瘍並びに感染症の診断のための造影剤として使用され得る。画像化は、医師又は技術者が、肺の循環系の画像を形成することを可能にし、例えば、疾病状態が非存在であるか又は存在しているか同定し、その重症度、その進行度、その治療の有効性を含む。
【0023】
他の使用方法は、例えば、腫瘍部位のリンパ節排出の同定及び局在化の目的のための手術中の画像化、例えば、乳癌患者におけるセンチネル節の画像化などのための放射性標識ナノ粒子の形態にある。この技術において、放射性標識ナノ粒子は、腫瘍部位中へ直接注射され、それらが腸液中に移動するところから腫瘍部位のリンパ排出に入り、最終的に最も近い(センチネル)リンパ節中に蓄積する。この場合における同位体は、画像化に最も適したものから、例えば、99Tcが選択され得る[レーマン(Lerman)等、Eur
J Nucl Med Mol Imaging、33巻:329−337頁(2006)]。この用途において、粒子は、それらが組織中で腸液中に拡散し且つリンパ排出中で収集される程十分小さく;従って、マイクロ粒子よりナノ粒子が、主に使用される。
【0024】
他の使用方法は、ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)である。この方法は、疾病の部位、典型的には、グリア芽腫のような腫瘍部位で、ホウ素−10のような、安定な同位体前駆体(又は前駆体)の蓄積、及び蓄積した同位体への低エネルギー中性子ビームの適用を含む。中性子を捕捉した後、腫瘍細胞の中の又は近接するホウ素−10は崩壊し、この製造された高エネルギー重荷電粒子は、それにごく近接した細胞のみ、主として癌細胞を破壊し、近接している正常細胞を殆ど影響を受けない状態にしておく。本発明は、改善された送達及び治療部位での同位体の改善された濃度を可能とするために、ホウ素の安定同位体のような放射性前駆体の高親和性及び高密度を伴って製造され得る、溶液中又は分散液中のような遊離形態の、又は医療用デバイスの中又は表面上に含まれるマクロ分子を提供する。
【0025】
ここで医薬品における使用について言及すると、ヒト、及び、非ヒト動物への用途、例えば、獣医のような用途に、同様に適用可能であると理解され得ることに注意すべきである。故に、他に指定が無い限り、患者、被験者又は個人は、ヒトもしくは非ヒト動物を意味し、例えば、社会的、経済的又は研究の重要性、それは、ウサギ目の、羊の、ウシ亜科の、ウマ科の、ブタの、ネコ科の、イヌ科の、霊長類の及びげっ歯類の種を含むが限定されない。
同様に、ここで“医療用”デバイスについて言及すると、ヒト、及び、非ヒト動物への用途、例えば、獣医のような用途における使用のために好適な医療用デバイスに、同様に適用可能であると理解され得ることに注意すべきである。
【0026】
ここで使用される用語“デバイス”は、実際の病気又は症状の予防及び治療を含む治療法において使用され得るデバイス、及び、診断が患者の身体の表面又は中で行われ、及び、診断が患者の身体から得られる試料において又はこれを用いて行われることを含む診断において使用され得るデバイスを含むものと理解され得る。従って、用語“デバイス”は
、治療用デバイス及び診断用デバイスを含んで使用されている。
【0027】
ここで使用される“診断”は、疾病もしくは病気が疑われる症状において行われる検査方法をふくむものと理解され、例えば、治療のあるなしにかかわらず、初期検査、予後診断、疾病もしくは病気の進行のためのものであり、そのような疑いがなくても検査が望まれる、例えば、健康診断、集団検診及び集団調査などの場合も含まれると理解される。
【0028】
放射性同位体及び不活性な前駆体
当業者は、本発明の方法は、フィブリンライト粒子をマクロ分子の標識に使用することを可能とするため、フィブリンライトナノ粒子に組み込まれ得るあらゆる放射性同位体は、そのため、マクロ分子が放射性標識されることによる放射性同位体として使用され得ると理解し得る。同様に、フィブリンライトナノ粒子に組み込まれ得、及び放射性同位体を発生するために活性化することができる放射性同位体のどのような不活性な前駆体も、不活性前駆体−標識マクロ分子の製造において、及び、それ故に、放射性標識マクロ分子の製造において使用され得る。
【0029】
PCT/AU2006/000554中に記載されているように、Tc−99m、Ga−67のようにγ線を放射するもの;Y−90のようにβ線を放射するもの;Bi−213のようにα線を放射するもの;及びCu−64のように陽電子線を放射するものを含む、さまざまな放射性同位体は、フィブリンライトナノ粒子に組み込まれ得る。198Au、64Cu、213Bi、57Co、51Cr、165Dy、169Er、59Fe、67Ga、68Ga、153Gd、166Ho、111In、113mIn、177Lu、23Na、24Na、103Pd、81Rb、82Rb、186Re、188Re、75Se、153Sm、117mSn、89Sr、201Th、90Y、169Yb、192Irを含む、あらゆる好適な金属放射性同位体が利用され得る。同様に、10Bを含む、あらゆる好適な放射性同位体の不活性な前駆体が、関連の態様において利用され得る。
【0030】
フィブリンライトナノ粒子において使用され得、及び、故に、本発明の方法において、使用され得る同位体の範囲は、Tc−99m又はGa−67を用いるシングルフォトンコンピュータ断層撮影法(SPECT)及びCu−64又はZr−89を用いるポジトロン放出断層撮影法(PET)のような、画像診断用途のために理想的に適するものを含む。
更に、同様に含まれるものはまた、ある種の腫瘍の除去にのために既に使用されているもの、例えば、リンパ腫の治療のために使用されるY−90標識モノクローナル抗体のような、上記の標的放射線療法のために好適な同位体でもある。本発明は、腫瘍の画像診断のために好適なように又は腫瘍治療のために好適なように製造され得るそのような標識体及び他のものによる別の方法を提供する。
【0031】
典型的には、画像化のために最も好適な放射性同位体は、治療のために最も好適なものではないかもしれない。本発明はまた、一方の同位体が最適な画像化のために選択され、もう一方の同位体が最適な治療のために選択される、二重標識が可能なマクロ分子も含む。この複合体は、治療用量の局在診断を促進するために、及び、同様に、所定の臓器部位に送達された治療用同位体の該用量の外的評価を可能にするために、画像化を用い、腫瘍治療のためのビーズの使用においてより確実な線量測定を可能とすることを目的とするが、前記用量は正常ホスト組織に対して腫瘍組織へ送達される。二重標識デバイスは、デバイスを2種の異なる標識マクロ分子で被覆することによって、又は、デバイスを2種の異なる放射性同位体で標識されたマクロ分子組成物で被覆することによるなどの(ここで、後者の場合、該二重標識マクロ分子組成物は、2種の別々に標識されたフィブリンライト組成物を用いて(同時に又は連続して)製造され得るか、又は、それ自身が二重−標識された単独のフィブリンライト複合体を製造することにより製造され得る。)、あらゆる好適な方法で製造され得る。典型的には、2種のフィブリンライトの分離した配合物が、2種の異なる同位体を用いて製造され、該2種の配合物の混合物が、マクロ分子を放射性標
識するために使用される。前記混合物における2種の配合物の比率を変えることにより、画像化のための好適な活性レベルを維持しながら、治療活性の調節をなすことができる。
【0032】
幾つかの用途のために、主に幾つかの治療用途のために、不活性な前駆体を有するマクロ分子の注射及び局所蓄積後に、標的臓器部位において放射性同位体を局所的に発生させるのが有利であり得る。狭中性子線への臓器部位の曝露は、その後、前駆体を活性化して治療用同位体を形成する。この態様において、マクロ分子に装填するために使用されたナノ粒子は、封入された安定な金属同位体、例えば、ホウ素−10(10B)を含み得るが、それは、系中で治療用同位体を形成するための中性子線のように、好適な活性剤に曝露することにより活性化され得る放射性同位体の不活性な前駆体である。このようにして、非常に短命な高エネルギー同位体、例えば、α−放射体は、腫瘍除去の目的のためにより安全で、より効果的に局所的に発生させ得る。
【0033】
マクロ分子を放射性標識するためのナノ粒子複合体の処方
放射性微粒子コアを有する炭素封入ナノ粒子複合体(フィブリンライト)は、その内容が参照としてここに組み込まれる、“炭素封入放射性微粒子の注射用放射性組成物の生成方法(A method of forming an injectable radioactive composition of a carbon encapsulated radioactive particulate)”と表題された、PCT/AU2006/000554号(WO2006/116798として公開された)に従って製造され得る。よって、該複合体は、典型的には、炭素封入放射性核種を含む中性又は僅かに酸性pHの、ナノ粒子の安定な水性分散液として製造され得る。
【0034】
上記ナノ粒子の分散液は、生体の血液循環と相溶性であり該循環中に注射され得るデオキシコール酸ナトリウムのようなアニオン界面活性剤の非常に低い(例えば、約1μモルないし約20μモルの範囲、典型的には、約10μモル)濃度を含み得る。主に、放射性標識体の治療又はインビトロの診断用途において、使用される場合によっては、ヒト又は動物において静脈内使用(例えば、注射)のために規制当局により承認されたあらゆるアニオン界面活性剤が使用され得る。
PCT/AU2006/000554号中に記載されるように、例示的な放射性核種はTc−99mである。該ナノ粒子は、各々それらのコア中に、1万以上の同位体原子を持っており、そのため、従来の標識法で得ることができるものより遥かに高い、非常に高いレベルの特異的活性を容易に得ることができる。フィブリンライトの場合に、及びモデル封入放射性同位体としてTc−99m用い、約1ないし約100mCi、約5ないし約100mCi、約7.5ないし約95mCi、約10ないし約90mCi、約15ないし約85mCi、約20ないし約80mCi、約25ないし約75mCi、約30ないし約70mCi、約35ないし約65mCi、約40ないし約60mCi、約45ないし約55mCi、又は約50ないし約55mCiの範囲でロードするTc−99mが製造され得る。粒子の典型的な配合物は、所望により、水性懸濁液の2mL中に約1ないし約30mCiを含むように容易に作成され得る。走査型移動度粒径測定(SMPS)を使用する粒子の気相特性評価から、懸濁液はナノ粒子材料の約50μgを含むことができ、それにより、比活性度は600mCi/mgと同等の高さ又は22GBq/mgを超えられると示すことができる。該配合物の比活性度は、エアロゾル発生器中のるつぼに装填するために使用される同位体の活性を変えることにより望むように調整し得る。
【0035】
PCT/AU2006/000554号中に記載されるように、広範な好適な放射性同位体がフィブリンライト法において使用でき、よって、本発明の方法において、広範な同位体が使用できることが理解され得る。特定の例示同位体はテクネチウム、より特定すれば99mTcである。テクネチウムの固体形態は、過テクネチウム酸ナトリウム又はPCT/AU2006/000554号中に記載される電解法の間に生成されるテクネチウムの
あらゆる不溶性形態、例えば、不溶性オキシ塩化物であり得る。テクネチウムはテクネチウムの放射性同位体の形態であり得る。
他の金属放射性同位体又は金属放射性核種は、例えば、198Au、64Cu、213Bi、57Co、51Cr、165Dy、169Er、59Fe、66Ga、67Ga、68Ga、153Gd、166Ho、111In、113mIn、177Lu、23Na、24Na、103Pd、81Rb、82Rb、186Re、188Re、75Se、153Sm、117mSn、89Sr、201Th、90Y、169Yb、192Ir、94mTc及び89Zrとして利用され得る。粒子の装填を含む用途のために、及び、故に、マクロ分子の‘標識’又は放射性同位体の不活性な前駆体と一緒にマクロ分子を含むデバイスのために、あらゆる好適な不活性な前駆体が使用され得る。
典型的には、10Bが使用され得る。
PCT/AU2006/000554号中に記載されるように、フィブリンライトナノ粒子は、1.0mM NaClと同等未満の、非常に低い電解質濃度を有する安定な水性分散液として製造され得る。PCT/AU2006/000554号中に記載される、フィブリンライト粒子の製造のためのあらゆる方法又はそれから誘導されるものは、本発明における使用のためのフィブリンライト粒子の製造において利用され得る。これは、PCT/AU2006/000554号中に記載される好ましい方法において、2700℃を超える放射性同位体の焼灼の前に、キャリアである塩化ナトリウムを除去するために、約1600ないし1650℃で15秒間、同位体が装填された黒鉛るつぼを加熱することにより達成され得る。塩化ナトリウムの沸点は、1413℃しかなく、Tc−99m放射性同位体はこの温度で揮発性ではない。本発明において、別の放射性同位体が利用される場合には、当業者は、例えば、PCT/AU2006/000554号を参照することにより、焼灼の適当な温度を決定し得る。
【0036】
PCT/AU2006/000554号に従って製造されたフィブリンライトナノ粒子の生成分散液は、例えば、48時間の放置しても、凝集、沈殿又は堆積しない。該ナノ粒子の分散液は、アニオン界面活性剤、典型的には、生体の血液循環と相溶性であり該循環中に注射され得るデオキシコール酸ナトリウムの非常に低い(例えば、約1μモルないし約20μモルの範囲、典型的には、約10μモル)濃度を含み得る(ここで、図5及び6参照)。フィブリンライトナノ粒子は、好ましくは分散液の安定性を可能とするために、例えば、pH4.1で最終濃度300μMのクエン酸二水素ナトリウムのような、弱酸性緩衝液の低い濃度中に保存することにより適当などのような方法を使っても保存され得る。ナノ粒子の分散液は安定であり、且つ、800、450及び220nmの多孔性で入手可能な、ミリポアセルロース混合エステル(MCE)シリンジフィルターのような、容易に入手可能な親水性の薄膜フィルターの使用によりサイズ分画され得る。典型的なフィブリンライトナノ粒子配合物における90%を超える放射活性が、800nmMCEフィルターを通過し、そして同配合物は、典型的に5%未満の可溶性同位体を含むことが薄層クロマトグラフィーにより示され得る。
【0037】
フィブリンライトナノ粒子を用いるマクロ分子の放射性標識のための条件
このようにして製造された又は得られたナノ粒子は、マクロ分子の放射性標識のために本発明の方法において使用され得る。
空気−水界面、炭化水素−水界面のような及び水性フィブリンライト懸濁液におけるグラファイト−水界面によるような、疎水性界面は、一般に純水中のヒドロキシルイオンの僅かな優位性を招く。結果としてこれらの界面は僅かに負に帯電されたものとして振る舞うが、しかし表面電位は一般に非常に低い(数十ミリボルト)。フィブリンライトの場合においても同様に、ナノ粒子はまた、それらの配合において使用されるアニオン界面活性剤、典型的にはデオキシコール酸塩の吸着に起因するそれらの表面に増大された負電荷も有し得る。もし粒子とマクロ分子が同じ水性媒体中で同様に負に帯電される場合、それらの拡散した電荷の二重層が重複した時に、それらは、数十ナノメートルのスケールで互いに弱く反発し得る。しかし、マクロ分子上の正味の荷電が実質的にゼロとなる水性媒体の
pHの選択、例えばマクロ分子のpIにおける選択は、これらの系においてマクロ分子への粒子の吸着及び結合に対して少しのエネルギー障壁をも提供しないようにこの電位を非常に急速に遮蔽する。デバイ長10nm未満で、そのような遮蔽は、誘引分散、イオン相互作用又は疎水性力が、一般にこれらの表面の総相互作用エネルギーより優位に立つ状況を提供する。結果として、一度マクロ分子と結合したその粒子は、基本的に不可逆的な様式でそのマクロ分子に頑強に吸着する。該条件は、それにより、マクロ分子とナノ粒子複合体との強固な結合を増進させる。好ましい態様において、接触が生じる媒体は、ナノ粒子とマクロ分子間の短距離引力の長距離静電反発力に対する影響を、範囲及び大きさにおいて後者を減少させることにより増進させるような、pH及び電解質濃度を構成し得る。功を奏した接触の結果として、マクロ分子はナノ粒子複合体と合併する又は複合するものとして記載され得る。結果として生じる実体はまた、複合体としても言及し得る。本文脈における、用語“複合体(complex)”及び“〜で複合化された(complexed with)”は、それらが堅く結合する功を奏した接触の結果として生じるもの以外の、何ら特別なマクロ分子とナノ粒子複合体との特定の構造的配置を暗示することを意図するものでないことに注意すべきである。
【0038】
本発明の方法において、フィブリンライトナノ粒子は、好適なpH及び、好ましくは同様に好適な電解質濃度の条件下で、ナノ粒子とマクロ分子を接触させることにより、マクロ分子を標識するために使用され得る。本発明者等は、好適な溶液条件は上述の遮蔽工程が促されるよう選択され得、及びそのことによって、フィブリンライトナノ粒子がマクロ分子に事実上不可逆的に結合するよう、短距離引力を静電反発力より優位とすることを可能にすることを発見した。ここでの開示を考慮して、適当な及び、所望による、最適な、例えば、pH及び電解質濃度のような結合条件は、ナノ粒子とマクロ分子の間の望ましい接触のために実験的に決定され得る。
【0039】
接触は、あらゆる好適な媒体中で生じ得るが、しかし、水性媒体が通常好ましい。接触に先立って、ナノ粒子は、一般的に、分散液の安定性を可能とするために選択される、好適な保存媒体中で製造され得るか又は保存され得る。よって、ナノ粒子の分散液は、デオキシコール酸ナトリウムのようなアニオン界面活性剤の非常に低い(例えば、約10μモル)濃度を含み得る。本発明の方法の接触工程に先立って、ナノ粒子は、ナノ粒子とマクロ分子の結合を促進する分散液の条件を調節するために前処理され得る。例えば、緩衝液の種類、pH、電解質の濃度及び種類、界面活性剤の有無並びに、ナノ粒子を含むあらゆる成分の濃度のような条件が調節され得る。媒体のpH及びイオン強度の調節は、マクロ分子の存在下又は非存在下において生じ得る。典型的に、ナノ粒子の存在する場合、媒体のpH及びイオン強度の調節は、集合及び凝集を引き起こすナノ粒子間のみの結合よりも、ナノ粒子とマクロ分子間の結合を促進させるために、同様にマクロ分子の存在下で生じ得る。
【0040】
ここで示される実施例は、フィブリンライトナノ粒子のマクロ分子への結合は、マクロ分子のpIに近いpHと、及び、約1mM NaClより大きな濃度で、ナノ粒子のマクロ分子への強固な結合を誘発することに効果的である、単一の電解質塩化ナトリウム(NaCl)の適切な濃度の使用を介して達成され得る。ここでの開示の観点から分るように、ナノ粒子のマクロ分子への強固な結合を誘発する適当な条件は、あらゆる多種多様の電解質の1種又はそれ以上を使用して達成し得る。本発明は、約1mモルより高い単一の電解質の濃度が、ナノ粒子のマクロ分子への強固な結合を誘発するために使用され得、これにより、ナノ粒子が放射性微粒子コアを有するところで、放射性標識マクロ分子の配合物が提供されることをここに記載する。一般的に、接触のための溶液又は媒体の単一の電解質の濃度は、約1mモルないし約200mモルの範囲、典型的には約10mモルないし約175mモル、約20mモルないし約150mモル、約50mモルないし約150mモルが見込まれる。より典型的には、溶液の電解質濃度は、約1mモルないし約200mモル
の範囲、典型的には約10mモルないし約175mモル、約20mモルないし約150mモル、約40mモルないし約150mモル、50mモルないし約150mモル、75mモルないし約150mモル、90mモルないし約150mモル、100mモルないし約150mモル、約150mモルが見込まれる。当業者は、本発明の接触工程のための溶液又は媒体のイオン強度は、例えば、NaClを用いることにより達成され得、ここで、好適なイオン強度は約150mMのNaCl濃度又は、例えば、約75mM未満のMgSO4濃度で達成され得ると理解するだろう。更に、当業者はまた、イオン強度は、少なくとも1種のイオン種と、浸透圧調整物質(オスもライト)又はポリエチレングリコールのような高分子量ポリマーのような少なくとも1種の非−イオン種との使用により達成され得ると理解されるだろう。例えば、水の有効濃度が減少された場合、電解質の濃度は、例えば、約250mMに増加させることが必要であり得る。
【0041】
あらゆる好適なイオン種が、本発明の方法において使用され得る。例えば、イオン種は、Na、Ni、Al、Ru、Pt、Os、Ir、Fe、Se、Sn、K、Te、Mn、Mo、V、Mg、Zn、Ca、Cu、Coの塩からなる群より選択され得る。生体における医療用又は獣医用の使用のために、イオン種は、典型的には、有効濃度で非−毒性であるもの、例えば、Na、K、Caに限定され得る。当業者は、特定の反応条件(例えば、接触工程において)に対して何ら他の関連した変化がない場合は、Naの代わりにKを使用した場合、典型的にはNaと同じ濃度で使用され得、一方、Naの代わりにCaを使用した場合、典型的にはNaの濃度の半分で使用され得る。
【0042】
接触工程において使用される緩衝液はどんな好適なpHでもあり得る。ここで記載されるように、水性媒体のpHは、典型的には、静電反発力を抑制することにより、ナノ粒子とマクロ分子間の短距離引力を促進するために好適であるよう選択される。緩衝液のpHは、典型的には、接触において利用されるマクロ分子に基づいて選択され得る。好ましくは、緩衝液は、約pH3ないし約pH10又はそれを超える範囲、約pH3ないし約pH8、約pH3.5ないし約pH8.5、約pH4ないし約pH8、約pH4.5ないし約pH7.5、約pH5ないし約pH7であり得る。より好ましくは、水性媒体のpHのような、接触工程のpHは、ポリペプチドのような、接触において利用されるマクロ分子のpIに近いものであり得る。更により好ましくは、接触工程のpHは、実質的に接触において利用されるマクロ分子のpIであり得る。ここに記載されるように、望ましい及び最適なpHは、電解質種及び濃度及びマクロ分子(数)のような、他の反応条件を考慮に入れた当業者により決定され得る。
【0043】
接触は、該接触の間の培養の温度における増加又は減少、或いは媒体の攪拌又は該接触の間の混合の増加又は減少のような、接触の経過の間の条件の変更を含み得る。
本発明の方法は、あらゆるマクロ分子の放射性標識に適用可能である。ここに記載された方法の一般的な適用可能性を説明するために、ここに示された実施例は、ナノ分子の、低pIを有するタンパク質(アルブミン)への、及び、高pIを有するタンパク質(プロタミン)の、同様に、ポリクローナル抗体及びモノクローナル抗体への高親和性結合を実証する。ここに示された記載に基づいて、本発明の方法が、フィブリンライトとの接触のために使用される条件下で、少なくともその表面の一部(好ましくは表面の大部分)に疎水性領域が存在するあらゆるマクロ分子の放射性標識に適用可能であることは明らかであろう。マクロ分子が、中性pHの近くに戻った後に、その生物学的活性を維持するか又はその生物学的活性を取り戻し得るマクロ分子のpIを有することもまた望ましい。
【0044】
マクロ分子は、遊離の、例えば、溶液のようなあらゆる好適な形態における、例えば、金属、合成ポリマーの表面上の被覆又は配位子としての付着形態における、或いは、統合形態における接触段階でフィブリンライトナノ粒子に対して提示され得る。説明のために、“付着”形態におけるマクロ分子はまた、カテーテル又はマイクロ粒子又はマイクロス
フェア、ナノ粒子、リポソームのような、キャリア、デバイス又はインプラントにマクロ分子が結合する状況も含み得る。付着物は、マクロ分子のキャリア、デバイス又はインプラントへの直接結合を含むあらゆる好適な形態で有り得るか、又は、イオン交換樹脂上の又は結合表面上又は結合剤に吸収されたような1種以上の中間分子を介するような間接的で有り得る。“統合”形態におけるマクロ分子は、例えば、カテーテル、マイクロ粒子又はマイクロスフェアのような、キャリア、デバイス又はインプラントの統合部分をマクロ分子が形成する状況を含む。被覆又は封入は、部分的で有り得るか又は全体的で有り得る。マクロ分子はまた、生細胞又はリポソームの表面上に提示され得る。
【0045】
従って、本発明が放射性標識医療用デバイスの製造において利用される場合、該医療用デバイス又はその前駆体が接触において使用されるように、医療用デバイスの中又は表面上に組み込まれる前か、さもなくば医療用デバイスの製造のために使用される前に、マクロ分子が炭素封入ナノ粒子(放射性同位体又はその不活性な前駆体を含む)と接触し得、それにより標識され得るか、或いは、前記接触は、マクロ分子が医療用デバイスの中又は表面上に組み込まれた後か、さもなくば医療用デバイスの製造のために使用された後に起こり得る。
【0046】
マクロ分子は、カテーテル、ファイバー、ロッドもしくはフィラメント、膜、ウエハー、メッシュもしくはガーゼ、多孔性スポンジ、チューブもしくはステント、ビーズもしくはカプセルもしくは既知の寸法のマイクロビーズの形態のマイクロ粒子、ナノ粒子、リポソームの中又は表面上に含まれた接触工程におけるフィブリンライトナノ粒子に対して提示され得る。
【0047】
放射性標識マクロ分子(又は放射性同位体の不活性な前駆体で‘標識’されたマクロ分子)は、1つ又はそれを超える更なる加工工程を伴って又は伴わずに使用され得る。更なる工程が実施される場合、それは接触と同時であり得るか又はそれは接触に続くものであり得るか、或いは、複数の更なる工程が実施される場合、それらは、接触と同時の及び接触に続く更なる工程の組み合わせであり得る。更なる工程が、接触に続いて実施される場合、それは、接触のために実施されたものと同一の媒体又は異なる媒体であり得る。
【0048】
放射性標識マクロ分子(又は放射性同位体の不活性な前駆体で‘標識’されたマクロ分子)は、接触に続く1つ又はそれを超える精製工程に付され得る。これは、非標識マクロ分子から及び/又は遊離のナノ粒子複合体から、放射性標識マクロ分子を分離することを含み得る。典型的な反応において、接触は、放射性標識マクロ分子を提供するために、ナノ粒子のマクロ分子への十分な結合を生じ、しかし一方、接触工程の水性媒体中に未反応成分、典型的には、マクロ分子に結合しなかったナノ粒子複合体の一部が維持される。未反応成分の除去は、例えば、標的でない臓器への血液輸送のように、遊離のナノ粒子複合体が弊害をもたらし得る状況において望ましくあり得る。さもなければ、非結合のマクロ分子の除去は、細胞受容体又は抗原部位のような、特異的な結合部位のための標識マクロ分子と競合し、それにより、標識マクロ分子の画像化能力又は治療能力を低下させる場合において望ましい。未反応成分の除去は、部分的、実質的に完全又は完全であり得る。これに関連して、“部分的”除去は、1種又はそれを超える未反応の又は望ましくない成分のあらゆる量の除去、より典型的には、1種又はそれを超える未反応の又は望ましくない成分の約80%、90%又は95%までの除去を含むと理解され得、“完全”除去は、1種又はそれを超える未反応の又は望ましくない成分の約95%を超える除去であると理解され得る。典型的には、未反応の又は望ましくない成分の少なくとも95%の除去が好ましく、より好ましい除去は、未反応の又は望ましくない成分の約96%、97%、98%又は99%を超えるものである。
【0049】
よって、この文脈における“精製”への言及は、精製工程前に比べて、接触が未反応の
又は接触の望ましくない成分のような不純物を“精製”工程が、より少なく含むようになった後に、放射性標識マクロ分子(又は放射性同位体の不活性な前駆体で‘標識’されたマクロ分子)による、精製のあらゆる程度を意味することを意図すると理解されるだろう。
【0050】
非結合の放射性ナノ粒子のような、未反応の又は望ましくない成分から放射性標識マクロ分子(又は放射性同位体の不活性な前駆体で‘標識’されたマクロ分子)を分離することが可能な何れの方法も、精製工程を使用し得る。例えば、該方法は、放射性標識マクロ分子から1種又はそれを超える望ましくない成分を洗い落とす工程を含み得るか、又は1種又はそれを超える望ましくない成分から放射性標識マクロ分子を抽出する工程を含み得るか、又はそのような工程の組み合わせを含み得る。
【0051】
放射性標識マクロ分子は、生物学的又は非生物学的実体、例えば、カテーテルやマイクロ粒子のような、キャリア、デバイス又はインプラントのような実体の中へ又は表面上へ組み込まれるか又は統合され得る。典型的には、中へ又は表面上へ組み込まれるか又は統合される放射性標識マクロ分子は、溶液、懸濁液又は分散液中で遊離している。放射性標識マクロ分子は、生物学的又は非生物学的実体、例えば、カテーテルやマイクロ粒子のような、キャリア、デバイス又はインプラントのような実体への接続を生じ得る。該接続は、直接及び間接結合又は接続を含む、放射性標識の一部又は全部の保持に適合するあらゆる好適な方法によるものであり得る。放射性標識マクロ分子の生物活性が維持されることが望まれる場合、接続は、マクロ分子の生物活性の部分的又は完全な保持に適合するあらゆる好適な方法によるものであり得る。放射性標識マクロ分子は、キャリア、デバイス又はインプラントのような実体の被覆又は封入のために使用され得る。該被覆又は封入は部分的であり得るか又は全体的であり得る。
【0052】
医療用デバイス、例えば、血管移植片及びステントのような移植可能なデバイスは、当技術分野において既知であるような更なる変更を含み得る。例えば、デバイスは、生物学的に活性な、例えば、抗血栓剤、抗生物質、抗菌剤又は抗ウイルス剤の包含によるような、抗血栓性及び/又は抗感染性の性質を有する生物学的に活性な被覆を含み得る。生物学的に活性な被覆を有する移植可能なデバイスの製造は、当技術分野において既知であり、例えば、パトネイク(Patnaik)等による“変更された生物学的活性コーティングを付与する方法(Method for imparting a bio−active coating modified)”と表題された、米国特許第6,803,069号明細書中に記載されている全ての内容がここに参照することによって組み込まれる。
【0053】
放射性標識ポリペプチド
本発明は、マクロ分子、特に、生物学的マクロ分子の放射性標識のための方法を提供する。マクロ分子はポリペプチドを含む。ここで使用される用語“ポリペプチド”は、ペプチド結合で結合されたアミノ酸のあらゆるポリマーを意味するものと理解され得る。該“ポリペプチド”は、約50個のアミノ酸より少ない分子及び約50個のアミノ酸を超える分子を含むが、限定されない、あらゆる長さのものであり得る。従って、ここで使用される用語“ポリペプチド”は、約10ないし50個のアミノ酸からなる分子のような、択一的に“ペプチド”としても参照され得る、アミノ酸のポリマーを含む。アミノ酸は、天然に由来するもの、並びに、研究室において合成された天然に由来しないもの、例えば、天然由来の天然のL型のD立体異性体を含み得る。ポリペプチドは、天然に存在するペプチドの、線状、分岐状又は環状形態であり得る。明確性の目的のために、即ち、用語“ポリペプチド”はまた、全長タンパク質、並びに、タンパク質の免疫原性の断片、切断された及び部分的な配列、生物学的に活性な及び不活性な類似体及び変異体並びにタンパク質の前駆体形態を含むタンパク質も含むことに留意すべきである。マクロ分子は、ポリ−D−リシンを含むポリリシン及びプロタミンのようなポリカチオンであり得る。
【0054】
一つの態様において、ポリ−リシンは、分子量が約1kdないし約5kD又は約5kdないし約15kd、又は約15kdないし約30kd、又は約30kdないし約40kd、又は約40kdないし約50kd、又は約50kdないし約60kd、又は約60kdないし約70kd、又は約70kdないし約80kd、又は約80kdないし約90kd、又は約90kdないし約100kdである。本発明のポリペプチドは、生物から物理的に抽出、精製又は単離されたような、天然由来の供給源から単離又は誘導されるか、或いは、例えば、化学合成又は組み換え生産又はインビトロにおける無細胞合成のような、あらゆる様式で作り出された天然由来のポリペプチドを含む。
【0055】
本発明の、表面に結合したポリペプチドを有するナノ粒子の複合体は、該表面に結合したポリペプチドと特異的な相互作用を有するあらゆる配位子の検出又は測定のために有用なプローブ又は検出種として使用され得る。ポリペプチドは、以下に示す非限定的な例のような、さまざまな分子から選択され得る。
【0056】
マクロ分子は、細胞外又は細胞内タンパク質のための、多量体タンパク質のサブユニット又はモノマー鎖のための、細胞表面受容体のための、又は免疫学的マーカー又は腫瘍診断もしくは予後マーカーのような細胞表面マーカー抗原のための、特異的結合部位を含むポリペプチドを含む。ポリペプチドの細胞表面受容体への結合はまた、病的細胞上の増殖抑制効果の誘発又はアポトーシスの誘発のような、生物学的機能も有し得る。インビトロにおける生細胞による標識プローブの内在化は、生体内へのそれらの導入に続く、生体内分布又は組織もしくは臓器の位置決定のインビボ画像化を可能とし得る。
免疫グロブリンの抗体又は断片を含むマクロ分子は、細胞外又は細胞内タンパク質に、多量体タンパク質のサブユニット又はモノマー鎖に、細胞表面受容体に、或いは、免疫学的マーカー又は腫瘍診断もしくは腫瘍予測マーカーのような細胞表面マーカー抗原に反応性である。インビトロにおける生細胞による標識プローブの内在化は、生体内へのそれらの導入に続く、生体内分布のインビボ画像化を可能とし得る。
【0057】
本発明に従って、動物又はヒト抗血清のIgG画分は、ここに記載された方法を使用して、フィブリンライトナノ粒子のような、ナノ粒子の表面に結合され得、結果として生じた標識プローブは、あらゆる既知の免疫測定法の放射分析法を用いて、例えば、組織試料抽出物又は体液試料において、前記免疫IgGと特異的に反応する、対応する抗原を検出又は測定するために使用され得る。反応抗原は、例えば、癌患者における腫瘍マーカーのような医学的意義を有し得るが、この場合において、試料の免疫測定法は、診断、予後又は治療の管理にとって価値のある情報を生じさせ得る。
【0058】
興味ある配位子は、生体における標識プローブの注射又は局所送達(例えば、動脈カテーテルによる)後の該標識プローブに接触可能であり得る。標識プローブからの信号は、その後、例えば、シングルフォトンコンピュータ断層撮影法(SPECT)又はポジトロン放出断層撮影法(PET)のような、本技術分野において既知の方法による外観の画像化のために使用し得る。興味ある配位子の位置及び局所濃度は、よって、インビボにおいて決定される。本技術分野で既知のあらゆる様式の画像化は、その後、腫瘍のような、病理学的病変に起因し得る組織又は臓器部位での配位子の存在又は過多を見せる。
ヒト及び動物の生体におけるプローブ局在化の体外の画像化は、その後、癌患者の評価及び治療スケジューリングにおけるような、診断的、予後的又は治療的重要性を有し得る。
一つの態様において、興味ある配位子は、医薬物質、診断物質、治療物質、伝染性物質又は外来物質として、生物試料又は生体中に存在し得、ここに示されたあらゆる方法と一緒の標識プローブの使用によるその検出及び測定は、患者の状況又は特異的な治療に対する応答に関する臨床的に重要なデータを与え得る。
別の態様において、生体における興味ある配位子の局所存在量は、治療用として医薬投与された、例えば、細胞毒性薬に対する患者の応答の尺度であり得るか又は放射線治療、例えば、照射療法の定期的投与量であり得るが、この場合において、放射性標識プローブを使用するその位置と存在量の画像化は、例えば、化学療法又は放射線療法に対する腫瘍の応答又は応答の欠如の早期指摘を提供し得る。このことは、癌患者の化学療法又は放射線療法スケジュールにもし必要な場合、早期変更をなし得る点においても治療を行う医療従事者にとって価値があり得る。
【0059】
ここに記載されるフィブリンライトナノ粒子は、イクスビボの放射分析のために又はインビボの画像化のために使用し得る検出可能な標識として放射性同位体を有し得る。別の態様において、同位体は、局所放射線療法のために好適であるこれらの治療用放射性核種、例えば、153Sm、90Y、192Ir、103Pd、111In、166Hoから選択され得る。この場合において、フィブリンライトを被覆するために使用される抗体(例えば、モノクローナル抗体)は、疾病状態の結果としてその部位で過剰に生じる既知の配位子、例えば、癌患者における腫瘍マーカーのように抗体特異性の手段による所定の組織又は臓器における同位体の治療用量の局在化を可能とするために選択され得る。本発明者等は前に、γ(例えば、Tc−99m)、β(例えば、Y−90)、α(例えば、Bi−213)又は陽電子(例えば、Cu−64)放射体を含む、ナノ粒子中に組み込まれ得る、さまざまな放射性同位体の使用を記載した。これらの同位体の幾つかは画像化用途に理想的に適している(例えば、Tc−99m又はGa−67を使用するSPECT;Cu−64、Ga−68、又はZr−89を使用するPET)。これらの同位体の幾つかは、上記のような標的放射線療法のために適しており、実際、腫瘍の特定のタイプの除去における使用のために本技術分野において既知であり、例えば、Y−90は、結腸直腸ガンの肝臓転移の局所除去のために使用される。一つの態様において、結合タンパク質を伴う該ナノ粒子複合体は、サイズ排除クロマトグラフィー(分子ふるい)又は遠心分離のような、本技術分野において既知のあらゆる幾つかの方法により、あらゆる過剰の非結合タンパク質から分離され得る。しかし、ポリペプチド、タンパク質又は抗体の溶液が、ナノ粒子の表面を飽和させるような高い濃度である必要はないことに留意すべきである。その代わりに、亜−飽和濃度を使用でき、及び受動タンパク質を表面飽和を完全にするために使用でき、それにより標識されたプローブの特異性が保持される。例えば、ナノ粒子が腫瘍マーカーに対する特異性有するモノクローナル抗体を標識するために使用され、及び該抗体の使用可能量が限られる場合、ナノ粒子の表面飽和は、非−免疫γグロブリン又は免疫測定技術の当業者に既知の市販の遮断薬を備え得る。このことは、フィブリンライト粒子が免疫測定における不適切なタンパク質又はプラスチック表面へ結合するのを防ぎ得る。
【0060】
ナノ粒子複合体が、画像化目的のインビボにおいて使用し得る標識プローブのために使用し得る一つの態様において、静脈注射された被覆されていないナノ粒子複合体は、細網内皮系、即ち、肝臓のクッパー細胞のような食細胞により、20分以内に循環から殆ど完全に除去される事に留意すべきである。従って、インビボ画像化のために、循環におけるナノ粒子複合体−標識プローブの存在を延長するために設計された特別な被覆を有するナノ粒子複合体配合物を使用するのが、ときどき望ましくあり得、それにより特定の標的へのプローブの結合のためにより多くの時間が可能になる。そのような場合において、該被覆は、循環系からのクリアランスの望ましい速度に適合させるために、及びナノ粒子表面上のプローブタンパク質を補完するために選択され得る。この目的のために、該被覆は、ポリエチレングリコール(PEG)のような、循環持続を延長することで知られているこれらの分子、又は肝臓の細網内皮系によるスカベンジャーとして使用される受容体の拮抗剤から選択され得る。
ナノ粒子複合体の表面はまた、補体系のようなインビボにおける活性血液成分の結合を減少させるために、インビボで使用する前に、精製された血漿タンパク質でも被覆され得る。使用され得る血漿タンパク質の例は、ビトロネクチン及びフィブロネクチンのような
、標準的な接着タンパク質を含む。これらのタンパク質を伴う粒子の直接被覆はまた、タンパク質化学の当業者に既知の架橋剤を介する、他の特異的プローブタンパク質と粒子との共役を可能とするためにも使用し得る。このことは、フィブリンライト粒子へのプローブタンパク質の直接結合が、プローブの特異的配位子のための親和性を減少すると考えられる場合に望ましくあり得る。この概念は、粒子表面上の多層複合体へ、また、表示される相互作用部位の表面密度を増大する目的で、又は物理的粒子径を増大するために、又は、細胞表面受容体との多点相互作用を、例えその受容体が異なる受容体クラス又は特異性であっても促進するために拡張し得る。
【0061】
タンパク質及び抗体とのフィブリンライトナノ粒子複合体の被覆のための方法
炭素封入放射性核種のナノ粒子複合体は、PCT/AU2006/000554に従って製造し得る。炭素封入放射性核種(例えば、Tc−99m)を含むナノ粒子の、中性又は僅かに酸性のpHの安定水性分散液が製造され得る。ナノ粒子の分散液は、生体の血液循環と相溶性で且つ該循環に注射し得る、アニオン界面活性剤、デオキシコール酸ナトリウムの非常に低い(例えば、10μMの)濃度もまた含み得る(この中の図5及び6参照)。これらの粒子は、標識源として、各々一万又はそれを超える同位体原子を有し得、それにより特異的活性の非常に高いレベルが容易に得られ得、それは従来の標識方法を用いて得られるものを優に上回る。モデル封入放射性同位体としてのTc−99を用いるナノ粒子複合体のために、ナノ粒子の典型的な配合物は、望ましくは、水性懸濁液2mL中に1ないし30mCiを含ませるように、容易に製造され得る。走査型移動度粒径測定(SMPS)技術を使用する粒子の気相特徴から、この懸濁液がナノ粒子原料約50μgを含み、それにより、特異的活性が600mCi/mgと同等の、又は22GBq/mgを超える高さで作られ得ることが示され得る。
【0062】
炭素封入工程は、炭素ケージ内に金属同位体を包み、それによりその外部環境と接触することから物理的に単離されることになり、それらがインビボにおいて使用される場合、粒子にとっては特に価値ある性質となる。インビボにおける放射活性金属イオンの浸出及び生物学的吸収のための可能性は、事実上存在しない。ナノ粒子複合体の炭素外装のみが、インビボにおける生物学的環境に曝露される。何故なら該炭素はグラファイト形態にあるため、天然の吸着剤特性を有し、これはポリペプチドが選択されるための物理的吸着の根拠として使用され得る。しかし、第一に必要なものは、ポリペプチドの連結を助ける適当な条件を決定することであり、以下の研究及び実施例は、どのようにしてこれらの条件が決定され得るかを説明する。
【0063】
フィブリンライトナノ粒子複合体は、それらのグラファイト表面を含む、疎水性又は分散相互作用を介して高親和性結合が可能である。グラファイト表面が、ポリペプチドのようなマクロ分子との疎水性相互作用を形成するために、該ポリペプチドは、非常に近距離でグラファイト表面に接近することができる必要があり、よって、今度は、静電反発力が抑制されることを必要とする。本発明者等は、ポリペプチドが、最小の正味の表面電荷でナノ粒子配合物に提示される場合、pHをポリペプチドの等電点に近くなるよう調整することによるか、又は電解質の対イオンの適当な濃度でポリペプチドの電荷を遮蔽することの何れかにより、この条件が適合し得ることを示す。経験的結合実験は、適当な結合条件を確立するために使用し得る。以下に示す研究及び例は、フィブリンライトナノ粒子複合体の免疫グロブリンとの相互作用に集中しているが、同様な方法がフィブリンライトナノ粒子複合体と事実上のあらゆるポリペプチドとの相互作用のための適当な条件を決定するために適用し得るものと理解され得る。
【0064】
生物医学研究、医学診断及び治療的使用における殆どの抗体は、免疫グロブリンのIgGクラスに属する血漿γ−グロブリンから構成される。一方、血漿中の殆どの球状タンパク質は、pH4.5ないしpH6.5の等電点を有する一方で、IgGは、殆ど5.5な
いし8.0の等電点を有する多様な個別のタンパク質を含む。それにもかかわらず、例えば、アルブミンは殆どの血漿IgGよりもいわゆるpH3.5ではその等電点に接近する一方、pH6.0では殆どのIgGは、アルブミンより、それらの等電点に接近し得るとされ得る。よって、それゆえにIgG及び殆どの抗体は、最小の電荷を有し、それゆえにその点で又は中性pHに近くあるところでフィブリンライトと相互作用するのが殆ど可能であるべきである。
【0065】
本発明者等は、ここに、マクロ分子と炭素封入ナノ粒子複合体との強固な結合を誘発し得ることによる方法を記載する。ここに記載されるものは、好ましい態様及び実施例を参照することにより説明される。この記載に基づき、当業者は、代替物が使用される適当な条件は、経験的に決定することができ、そのような代替物は、放射性同位体又は不活性なその前駆体、マクロ分子(複数)、電解質及びpHを含むことを理解するだろう。
【0066】
医薬及び/又は治療用調合物
本発明はまた、放射性標識生物学的マクロ分子のような、放射性標識マクロ分子の医薬及び治療用組成物であって、該マクロ分子は、放射性微粒子コア(フィブリンライト)を有する炭素封入ナノ粒子複合体に関連する組成物も提供する。典型的には、医学的用途のために、本発明の化合物の塩は、医薬的に許容可能な塩;しかし他の塩は、本発明の化合物の又はその医薬的に許容可能なその塩の配合物において使用され得る。医薬的に許容可能な塩とは、適切な医学的判断の範囲内において、過度の毒性、刺激、アレルギー反応等を有さずに、ヒト及び下等動物の組織と接触した使用に好適であり、妥当なリスク・ベネフィット比に見合うそれらの塩を意味する。医薬的に許容可能な塩は当業者に周知である。
【0067】
S.M.バージ(Berg)等は、J.Pharmaceutical Sciences、1977年、66:1−19頁において、医薬的に許容可能な塩の詳細を記載する。該塩は、本発明の化合物の最終単離及び精製の間に、系中で製造され得るか又は遊離の塩基機能を好適な有機酸と反応させることにより分離され得る。代表的な酸付加塩は、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、樟脳酸塩、カンファースルホン酸塩、クエン酸塩、ジグルコン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプトン酸塩、ヘキサン酸塩、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシ−エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバリン酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩等を含む。代表的なアルカリ又はアルカリ土類金属塩は、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム等、並びに非−毒性のアンモニウム、四級アンモニウム及びアミンカチオンを含を含み、アンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、エチルアミン、トリエタノールアミン等を含むがこれらに限定されない。
【0068】
投与の便利なモデルは、注射(皮下、静脈)、経口投与、吸入、経皮投与、塗り薬又はゲル又は粉末又は直腸投与を含む。一つの態様において、投与の様式は非経口である。別の態様において、投与の様式は経口である。投与の経路によって、調合物及び/又は化合物は、該化合物の治療活性を不活性化し得る、酵素、酸及び他の自然条件の作用から化合物を保護するための材料で被覆し得る。該化合物はまた、非経口で投与されるか又は腹腔
内にも投与され得る。
【0069】
本発明に従う化合物の分散液はまた、グリセロール、液体ポリエチレングリコール及びそれらの混合物で及び油の中でも製造され得る。貯蔵及び使用の普通の条件下で、医薬配合物は微生物の成長を防ぐために防腐剤を含み得る。
注射のために好適な医薬組成物は、殺菌した注射可能な溶液又は分散液の即時調製のための殺菌した水性溶液(水溶性)又は分散液及び殺菌した粉末を含む。理想的には、該組成物は製造及び貯蔵の条件下で安定であり、バクテリア及び菌類のような微生物の汚染作用に対して該組成物を安定させるために、防腐剤を含み得る。
【0070】
本発明の化合物は、例えば、不活性な希釈剤又は吸収可能な食用キャリアと一緒に、経口投与され得る。該化合物及び他の成分はまた、ハード又はソフトシェルゼラチンカプセルに囲まれ得るか、錠剤に圧縮され得るか又は個人の食べ物の中に直接組み込まれ得る。経口の治療的投与のために、該化合物は賦形剤と共に組み込まれ得、摂取可能な錠剤、口腔錠、トローチ、カプセル、エリキシル剤、シロップ、ウエハー等の形態で使用され得る。好適には、そのような組成物及び配合物は、活性化合物の少なくとも1質量%を含み得る。本発明の化合物のパーセンテージ、典型的には、医薬組成物及び配合物中の放射性標識ポリペプチドは、当然、変化に富み、例えば、適宜、計量装置の質量の約2%ないし約90%、約5%ないし約80%、約10%ないし約75%、約15%ないし約65%;約20ないし約60%、約25%ないし約50%、約30%ないし約45%又は約35%ないし約45%の範囲であり得る。治療上有用な組成物中の化合物の量は、好適な投与量が得られ得る量である。
【0071】
用語“医薬的に許容可能なキャリア”とは、溶媒、分散媒、被覆物、抗菌及び抗黴剤、等張剤及び吸収遅延剤等を含むことを意図している。医薬活性物質のためのそのような媒体及び試剤の使用は、本技術分野において周知である。但し、あらゆる慣用の媒体又は試剤が該化合物と相溶性でありさえすれば、治療組成物におけるその使用並びに治療及び予防の方法は予想される。補足的に、活性化合物がまた本発明に従う組成物中にも組み込まれ得る。それは、投与が容易であり及び用量が均一に保たれるような用量単位の形態で非経口組成物を調合するのに特に有利である。ここで使用される“用量単位形態”とは、治療されるその個人のための単一の用量として適合する物理的には別個の単位を言及する;化合物の所定量を含む各単位は、必要とされる医薬キャリアに関連して、要求される治療効果を提供するために計算される。該化合物は、許容可能な用量単位における好適な医薬的に許容可能なキャリアを伴って、有効量における便利で有効な投与のために調合され得る。補足的に活性成分を含む組成物の場合において、用量は前記成分の常用量及び投与の様式を参照することにより決定される。
【0072】
一つの態様において、キャリアは経口投与可能なキャリアである。
医薬組成物の別の形態は、経口投与のために好適な経腸的に被覆された顆粒、錠剤又はカプセルとして調合された用量形態である。
同様に本発明の範囲に含まれるものは、遅延放出調合物である。
本発明に従う化合物はまた、“プロドラッグ”の形態でも投与され得る。プロドラッグは、インビボで活性形態に変形する化合物の不活性形態である。好適なプロドラッグは、化合物の活性形態のエステル、ホスホン酸エステル等を含む。
【0073】
一つの態様において、本発明の化合物は、注射により投与され得る。注射可能な溶液の場合において、キャリアは、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール及び液体ポリエチレングリコール等)、それらの好適な混合物及び植物油を含む溶媒又は分散媒体であり得る。適切な流動性は、例えば、レシチンのような被覆の使用により、分散液の場合における要求される粒径の維持により及び界面活性
剤の使用により維持され得る。微生物の活動の防止は、種々の抗菌及び/又は抗黴剤を含むことにより達成され得る。好適な薬剤は、当業者に周知であり、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ベンジルアルコール、アスコルビン酸、チメロサール等を含む。多くの場合において、組成物中に等張剤、例えば、、糖、マンニトール、ソルビトールのようなポリアルコール、塩化ナトリウムを含むのが好ましくあり得る。注射可能な組成物の持続的吸収は、組成物中に吸収を遅延させる薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンを含むことによりもたらされる。
殺菌した注射可能な溶液は、上に列挙した成分の一種又は組合せで、適当な溶媒中に要求される量で類似体を組み込み、必要ならば、続いて濾過滅菌をすることにより製造され得る。一般に、分散液は、基本的な分散媒体及び上に列挙したものからの要求される他の成分を含む、殺菌した賦形剤中に類似体を組み込むことにより製造される。
錠剤、トローチ、丸薬、カプセル等はまた、以下のものも含み得る:グラガカントガム、アカシア、コーンスターチ又はゼラチンのような結合剤;第二リン酸カルシウムのような賦形剤;コーンスターチ、片栗粉、アルギン酸等のような崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムのような滑剤;及び蔗糖、ラクトース又はサッカリンのような甘味剤又はペパーミント、ウィンターグリーン油又はチェリーフレーバーのような香味剤。用量単位形態がカプセルである場合、上記タイプの材料に加えて、液体キャリアを含み得る。種々の他の材料は、被覆物として又はさもなくば用量単位の物理的形状を修正するために存在し得る。即ち、錠剤、丸剤又はカプセルは、セラック、糖又は両方で被覆され得る。シロップ又はエリキシル剤は、類似体、甘味剤としての蔗糖、防腐剤としてのメチル及びプロピルパラベン、染料及びチェリー又はオレンジフレーバーのような香味剤を含み得る。当然、あらゆる用量単位形態の製造において使用されるあらゆる材料は、医薬的に純粋であるべきであり且つ使用される量において実質的に非毒性であるべきである。更に、類似体は、持続放出の配合物及び調合物中に組み込まれ得る。
好ましくは、医薬組成物は、更に、酸加水分解を最小にするための好適な緩衝液を含み得る。好適な緩衝剤は、当業者に周知であり、リン酸塩、クエン酸塩、炭酸塩及びそれらの混合物を含むが、これらに限定されるものではない。
本発明に従う化合物及び/又は医薬組成物の単回又は複数回投与が実施され得る。当業者は、所定の実験により、本発明の化合物及び/又は組成物の有効で、非毒性の用量レベル及び該化合物及び組成物が適用可能である疾病及び/又は感染症を治療するのに好適である投与様式を決定し得る。
更に、決められた日数にとっての1日当りに与えられる本発明の化合物又は組成物の投与回数のような最適な治療過程が、治療決定試験の慣用の過程を使用して判明され得ることは、当業者に明白であろう。
一般に、24時間当りの有効用量は、体重1kg当り約0.0001mgないし約1000mg、例えば、体重1kg当り約0.001mgないし約750mg;体重1kg当り約0.01mgないし約500mg;体重1kg当り約0.1mgないし約500mg;体重1kg当り約0.1mgないし約250mg;又は体重1kg当り約1.0mgないし約250mgの範囲であり得る。より好ましくは、24時間当りの有効用量は、体重1kg当り約1.0mgないし約200mg;体重1kg当り約1.0mgないし約100mg;体重1kg当り約1.0mgないし約50mg;体重1kg当り約1.0mgないし約25mg;体重1kg当り約5.0mgないし約50mg;体重1kg当り約5.0mgないし約20mg;又は体重1kg当り約5.0mgないし約15mg;の範囲であり得る。
さもなければ、有効用量は約500mg/m2までであり得る。例えば、一般に、有効用量は、約25ないし約500mg/m2、約25ないし約350mg/m2、約25ないし約300mg/m2、約25ないし約250mg/m2、約50ないし約250mg/m2、及び約75ないし約150mg/m2の範囲にあることが見込まれる。
別の態様において、本発明の化合物は、1日当り約100ないし約1000mg、例えば、1日当り約200mgないし約750mg、1日当り約250ないし約500mg、
1日当り約250ないし約300mg、又は1日当り約270mgないし約280mgの範囲における量で投与され得る。
本発明に従う化合物は、他の薬剤を伴う治療計画の一部として投与され得る。例えば、特定の疾病又は病気の治療の目的のために、活性化合物の組み合わせが投与されるのが望ましくあり得る。従って、少なくともその1種が本発明の化合物を含む、2種又はそれを超える医薬組成物が、該組成物の共−投与のために好適なキットの形態に組み合わされ得るものも、本発明の範囲内である。
本発明は、今、説明のみの目的で、以下に示す実施例の観点からより詳細に記述される。該実施例は本発明を説明するために役立てることを意図するものであり、明細書全体に亘る記載の開示の一般性を限定するものとして解釈されるべきものではない。
【実施例】
【0074】
実施例1
異なるpH条件での、フィブリンライトのγ−グロブリンへの結合は、以下に示すようなこの一連の実験において研究された。結合試験は、結合及び多数の洗浄工程後に分離されたウェルの放射活性の各々の測定を可能にする、96ウェルマイクロプレートにおいて、ウサギ免疫グロブリンでマイクロウェルを飽和被覆した後に行われた。クエン酸緩衝液(500μM)は、以下で説明するように、結合におけるpHの効果の直接比較を可能とするために、pH3.5とpH6.0の両方で、どちらも非常に低く且つ生理学的な電解質濃度で、使用された。
【0075】
マイクロウェルで被覆されたウサギ免疫グロブリンに結合しているフィブリンライト上のpHの影響
ポリスチレンマイクロウェル(ヌンク−イムノ ロックウェル(登録商標:Nunc−Immuno LockWell)モジュール)は、最初にウサギ免疫グロブリン(IgG、シグマ(Sigma)I5006)で飽和被覆された。該ウェルは、37℃で3時間攪拌し、500μg/mLのIgG溶液(100μL/ウェル)で被覆された。希釈された(1:10)Tc−99m フィブリンライトを、条件(i)ないし(viii)、即ち、
(i)500μMクエン酸ナトリウム、pH3.5(低電解質条件);
(ii)500μMクエン酸ナトリウム、pH3.5+10μMデオキシコール酸ナトリウム(DOC);
(iii)500μMクエン酸ナトリウム、pH3.5+150mM NaCl;
(iv)500μMクエン酸ナトリウム、pH3.5+10μMデオキシコール酸ナトリウム+150mM NaCl;
(v)500μMクエン酸ナトリウム、pH6.0(低電解質条件);
(vi)500μMクエン酸ナトリウム、pH6.0+10μMデオキシコール酸ナトリウム(DOC);
(vii)500μMクエン酸ナトリウム、pH3.5+150mM NaCl;及び
(viii)500μMクエン酸ナトリウム、pH6.0+10μMデオキシコール酸ナトリウム+150mM NaCl;
として設定された、種々の緩衝条件下で、被覆されたポリスチレンマイクロウェルと接触させた。
結合は、攪拌をしながら37℃で20分間培養され、その後、ウェルは、各々分離されたウェルにおける放射活性を計測する前に、水で5回洗浄された。
図1aで示されるように、及び、被覆されていないポリスチレンマイクロウェルとのフィブリンライトの結合とは反対に(データ未提示)、IgGで被覆されたウェルへの結合は、pH3.5よりもpH6.0で、より強く、及び感知され得る放射性標識密度を電解質の添加無しに得ることができた。事実、フィブリンライトの被覆されていないポリスチレンウェルへの結合とは異なり、IgG被覆への結合は150mM 塩化ナトリウムの添
加により強化されなかった。一度結合すると、結合試験にける複数回の洗浄の後の放射性標識の保持からも明らかなように、電解質の非存在下で付着したフィブリンライト粒子はまた、高い親和性を伴って維持された。更に、pH6.0での粒子のIgG被覆への結合は、イオン性界面活性剤である10μMデオキシコール酸ナトリウムの存在下で依然として生じたが、これは、電解質を必要としない強く安定な相互作用を示す。対照的に、pH3.5で得られた、より低い結合は、デオキシコール酸塩により顕著に減少した(図1a)。
【0076】
別の実験において、Tc−99m フィブリンライト希釈液(1:10;100μL)の、予めアルブミン又は免疫グロブリンで被覆されたポリスチレンマイクロウェル(ヌンク ロックウェル(登録商標:Nunc lockwell))への結合が調査された。該マイクロウェルは、ウサギ血清アルブミン(シグマ(Sigma)A0764、250μg/mL)又はウサギ免疫グロブリン(IgG、シグマ(Sigma)I5006、250μg/mL)のアリコート(100μL/ウェル)を用い、37℃で3時間攪拌しながら培養することにより被覆された。フィブリンライトは、0.5mM クエン酸三ナトリウム緩衝液pH6.3中へ1:10で希釈され、該希釈液のアリコート(100μL)が、被覆され且つ洗浄されたウェル上に分配され、攪拌しながら37℃で20分間結合された。水又は生理食塩水(150mM NaCl)の何れかで5回洗浄した後、各々のウェルは取り外されて計測された(図1b)。バーは2つのウェルの平均を表す。
図1bに示されるように、非常に低い電解質濃度(この場合、0.5mM クエン酸三ナトリウム緩衝液pH6.3)及び中性pHの近く(6.3)で、アルブミンではなく、免疫グロブリンがフィブリンライトに結合できた。アルブミンは、その低い等電点に起因して中性pHで負の電荷を有し、一方、免疫グロブリンは中性に近接する等電点を有するため、これらの結果は、フィブリンライト結合が、潜在的配位子上のゼロに近い電荷により有利に働く引力のある相互作用に依存していることと合致する。相互作用のこのタイプはまた、結合したフィブリンライトの大部分が、水で洗浄するのに比べて食塩水で洗浄することにより放出されないという観察によっても支持される。
【0077】
実施例2:免疫グロブリンへ結合するフィブリンライト:ポリクローナル及びモノクローナル
上記の実施例6に記載される実験において使用されるウサギ免疫グロブリンは、正常の非免疫ウサギから製造された。免疫付与が、免疫グロブリン集団の平均等電点を変更し及びそれによってフィブリンライトへの結合を顕著に変化させ得るという可能性がまた試験された。免疫ウサギからの精製IgGは、それにより、以下に示すように試験された。
【0078】
ポリスチレンマイクロウェル(ヌンク−イムノ ロックウェル(登録商標:Nunc−Immuno LockWell)モジュール)は、ウサギ免疫グロブリン(R 389;アメリカン ダイアグノスティカ(American Diagnostica))の免疫配合物のアリコート(100μL/ウェル)で、又はIgGの2種の異なるマウスモノクローナル抗体IgG(Mab3689及びMab3471;アメリカン ダイアグノスティカ(American Diagnostica))の一方で、37℃で3時間攪拌しながら培養することにより、最初に飽和被覆された。Tc−99m フィブリンライト希釈液(1:10)は、その後、低電解質条件(pH6又はpH6.5の何れかにおける500μMクエン酸ナトリウム)下で被覆されていない及び被覆されたマイクロウェルに添加された。結合は、攪拌をしながら37℃で30分間培養された。ウェルは、その後、各々分離されたウェルにおける放射活性を計測する前に、水で5回洗浄された。
図2に示されるように、フィブリンライトの強い感知可能な結合は、pH6.0で、ウサギ免疫グロブリンの免疫配合物を用いて及び電解質の添加無しに、依然として得られた。
上で使用されたウサギ免疫グロブリン配合物(例えば、R389)は、免疫細胞の多く
の異なるクローンの生成物を示し、即ち、それらは生来ポリクローナルであり、それゆえ、各々異なる等電点を有する可能性がある、多くの別個のIgG分子の集団から成る。対照的に、モノクローナル抗体は、細胞の単一クローンの生成物を表し、その自身の特徴的な等電点を伴う、1種だけの免疫グロブリン分子から成る。従って、1つの結合条件が、フィブリンライトを用いる全てモノクロ−ナル抗体の感知可能な又は最適な標識を得るために使用され得ることが少ない一方、示されたタイプの結合条件は、特定の場合のための好適な条件を決定し得る。
【0079】
このことは、2種の異なるマウスモノクローナル抗体を使用する図2において説明される。pH6.0においては1種のモノクローナル(Mab3689;アメリカン ダイアグノスティカ(American Diagnostica))が比較的高いレベルでフィブリンライトに結合するが、しかし、他のモノクロナール(Mab3689及びMab3471)へのフィブリンライトの結合比較的低いレベルのもののみが明白であった。pHを6.5に増加させることは、両方のばあいにおいて、比較的高い結合の度合いを十分可能にした。よってモノクローナル抗体のために、各場合は別々に処理されるべきであり、該条件は、例えば、ここに記載されたような、マイクロウェル結合試験を用いることによりpH(及び必要であれば、電解質濃度)の観点から最適化されるべきである。うまくやるための原理は、抗体における正味の荷電を減少することにより、フィブリンライトナノ粒子と抗体間の短距離引力相互作用を助けることである。このことは、pHを抗体の等電点に可能な限り近づけるように調整することにより達成され得る。
【0080】
実施例3
一般原理をより良く説明するために、結合実験は、かなり異なる等電点を有する2種のタンパク質、即ち、血清アルブミン(低pI)及びプロタミン(高pI)を用いて実施された。ポリスチレンマイクロウェルは、ウサギ血清アルブミン又はプロタミンで飽和被覆された。該ウェルは、攪拌しながら37℃で3時間、リン酸で緩衝された食塩水pH7.2中の500μg/mLの各タンパク質(100μL/ウェル)で被覆された。水で5回洗浄した後、Tc−99m フィブリンライト希釈液(1:10)は、pH3.5又はpH6.5の何れかの低電解質条件(500μMクエン酸ナトリウム)においてウェルに付加された(100μL/ウェル)。結合は、攪拌しながら37℃で30分間培養され、ウェルは各ウェルにおける放射活性を計測する前に、水で5回洗浄された。
【0081】
結合結果は、等電点がpH4.4ないし5.1である血清アルブミン及びその等電点がpH>10であるプロタミンについて示された(図3)。フィブリンライトのアルブミンへの非常に高い結合は、アルブミンの等電点に近いpH3.5で得られたが、このpHでフィブリンライトのプロタミンへの低い結合だけが得られた。対照的に、フィブリンライトのプロタミンへの感知可能な結合が、更にプロタミンの等電点へ向かうpH6.5で得られ、このpHで、とるにたらないアルブミンへの結合が得られた。こうしてあらゆる特定のタンパク質のために、より強いフィブリンライト結合が、そのタンパク質の等電点に近いpH条件を使用して得られ得る。
【0082】
実施例4:フィブリンライト結合のアルブミンへの電解質誘導
電解質は、アルブミンで予め被覆されたポリスチレンマイクロウェル(ヌンク ロックウェル(登録商標:Nunc lockwell))へのTc−99m フィブリンライトの結合を誘導した。該ウェルは、500μg/mLウサギ血清アルブミン(100μL/ウェル;シグマ(Sigma)A0764)を用い、37℃で3時間攪拌しながら培養することにより被覆され、水で3回洗浄された。フィブリンライトは、0、4.69、9.38、18.75、37.5、75及び150mMNaClの溶液中へ1:10で希釈され、該希釈液のアリコート(100μL)が、被覆され且つ洗浄されたウェル上に施され、攪拌しながら37℃で30分間結合するようにした。水で4回洗浄した後、各々のウ
ェルは取り外されて計測された。フィブリンライトの3種の異なる配合物を用いる三つの独立した実験は、図4に示されるようにして着手された。
【0083】
図1b及び3において以前示されたように、フィブリンライトは、pH6.5においてアルブミンで被覆されたマイクロウェルへの非常に弱い結合のみを示したが、pH3.5、即ち、その引力相互作用が優位となるアルブミンの等電点に近付くと、強力に結合する。しかし、図4で示されるように、アルブミンが負に荷電する中性のpHの近くでは、フィブリンライトの結合は、十分な電解質の添加により誘導され得る。
【0084】
実施例5:IV注射された非被覆のフィブリンライトの循環からの除去
Tc−99m標識フィブリンライト(1.0mL中に約1.9mCi)は、シーメンス
ディアカム(Diacam)ガンマカメラの検出ヘッドの下に固定された麻酔ウサギの耳静脈中に注射された。画像の配列の取得は、注射次第開始された。図5で示されるフレームの各々は、その後の30秒間隔を示す。ウサギの頭部は各フレームの左に向かってある。放射性同位体は迅速に心臓及び肺を通過し、肝臓及び脾臓中に蓄積するように思われる。たった4分後(フレーム8)に、注射された放射活性の大部分は、肝臓と脾臓に局在化される。
よって、静脈内に注射された非被覆のフィブリンライトナノ粒子は、20分以内に、循環から殆ど完全に除去される。この枯渇は、細網内皮系、即ち、肝臓のクッパー細胞のような食細胞により媒介される。インビボの画像化のために、循環中のナノ粒子複合体−標識プローブの存在を延長するよう設計された特別な被覆を伴うナノ粒子複合体配合物を使用するのが時々望ましくあり得、こうすることによって特定の標的へプローブが結合するために、より多くの時間がかせげるようになる。このような場合において、被覆は循環系からのクリアランスの望ましい速度に適合するように、及び、ナノ粒子表面上のプローブタンパク質を補完するように、特別に選択され得る。この目的のために、被覆は、ポリエチレングリコール(PEG)のような循環持続を延長するために既知の分子、又は、ポリイノシン酸のような肝臓の細網内皮系によりスカベンジャーとして使用される細胞受容体の拮抗剤から選択され得る。
【0085】
実施例6:ポリリシン被覆フィブリンライトを用いるインビボにおける画像化
ナノ粒子複合体の表面はまた、インビボにおけるナノ粒子複合体の臓器の生体内分布を特異的に変更する選択された薬剤でも被覆され得る。このことは、疾病病変、例えば、新規の目的臓器における腫瘍の画像化又は治療のために望ましくあり得る。
実施例が、典型的なポリカチオン、ポリ−D−リシンで処理されたTc−99m フィブリンライトを用いるウサギ肺の特異的な画像化を示す、図6において説明される。Tc−99m標識ナノ粒子複合体(1.0mL中約3.5mCi)は、室温で0.5mMトリスアセテート緩衝液pH6.0中、3.0μg/mLのポリ−D−リシン(シグマ(Sigma)P4408;分子量15−30kd)で1時間処理された。該混合物はその後、シーメンス ディアカム(Diacam)ガンマカメラの検出ヘッドの下に固定された麻酔ウサギの耳静脈中に注射された。画像の配列の取得は、注射次第開始され、図6で示されるフレームの各々は、その後の30秒間隔を示す。ウサギの頭部は各フレームの右に向かっている。放射性同位体は迅速に殆ど独占的に肺中に蓄積し、及び取得配列の最後(4分)までそこで安定に持続していることが判る。
【0086】
図6は、Tc−99m フィブリンライトナノ粒子をポリ−D−リシンで処理することが、肺の血管組織網中の放射性標識の特異的蓄積を製造するために効果的な方法であり、よって、前記網の画像化を可能とすることを示す。リシンの非天然由来のリシンのD−立体異性体のポリマーは、リシンの天然のL−立体異性体のために特異的である、インビボにおけるポリマーのプロテイナーゼ分解の可能性を減少させるために使用される。該方法の後、順調に回復したウサギの肺の画像化については、この方法を使用して調査されたウ
サギと何匹かのウサギは、調査したそれぞれの回でかなり同じような肺の画像が得られたときには、各々三回、それぞれ数週間以上かけて繰り返し調査された。フィブリンライトのこの調合物の複数の注射を受けたウサギは、何らの副作用も示さず、あらゆる外観及び挙動も正常であった。この手段により、ポリ−D−リシンで処理されたナノ粒子複合体が、流れの障害(例えば、塞栓症による)又は網(network)の再構成の何れかからの結果として生じる、肺における正常な血液循環のあらゆる病理学的攪乱を検出するために使用し得ることが提案される。よって、ポリ−D−リシンで処理されたTc−99m フィブリンライトは、肺の診断/予後のための標的化された造影剤の説明に役立つ及び限定されない例である。しかしながら、同様に、ナノ粒子複合体は、画像化用同位体の代わりに、治療用同位体、例えば、Y−90を含んで製造され得、好適なポリカチオンで処理された後に、肺に存在する原発性又は転移性腫瘍の局所放射線療法のために使用され得る。
【0087】
実施例7:フィブリンライト生体内分布上のポリ−D−リシン分子量の影響
Tc−99m フィブリンライトは、2種の分子量範囲のポリ−D−リシンを用い20℃1時間で製造された:0.5mM トリスアセテート緩衝液pH6中の、A、MW 4−15kd(6.0μg/mL;シグマ(Sigma)P6403)及びB、0.5mM
トリス−アセテート緩衝液pH6中に、MW30−70kd(1.5μg/mL;シグマ(Sigma)P7886)。各前処理されたフィブリンライト配合物(3.5mCi)は、麻酔ウサギの耳静脈中に注射され、Tc−99m標識の生体内分布が、シーメンス
ディアカム(Diacam)ガンマカメラ下で画像化された。画像の配列の取得は、注射次第開始された;各フレームは、30秒間隔を示す。ウサギの頭部は各フレームの右に向かっている。
【0088】
この実験は、ポリ−D−リシンで処理されたTc−99m フィブリンライトを用いて得られた肺画像化が、ポリカチオンの分子サイズに依存することを示している(図7A及び7B)。驚くべきことに、この性質は、ポリカチオン分子サイズの単純な作用ではない;分子量15−30kdのポリ−D−リシンが特異的な肺画像化のために有効であった(上記図6参照)のに対し、分子量4−15kdのポリ−D−リシン及び分子量30−70kdのポリ−D−リシンの等モル濃度の何れもが、有効でなかった。4−15kdのポリ−D−リシンは特定の肺に特異性を与えたが、標識のかなりの割合は依然として脾臓中に見られた(図7A)。30−70kdのポリ−D−リシンは、未処理のTc−99m フィブリンライトと少しも違わず、肝臓、脾臓及び骨髄中かなりの標識がに出現し、明らかに悪かった(図7B)。
【0089】
よって、このことは、Tc−99m フィブリンライト標識化法を使用することにより、異なるマクロ分子が、インビボにおいて標的とする所定の臓器においてそれらの実用性が容易に評価され得ることを示している。このことは、有機化学を用いること及び標的分子の非常に低い濃度を使用すること無しに、都合よく達成される。
【0090】
議論
ここに示される実施例は、ポリペプチドのようなマクロ分子の高親和性の標識化が、好適なpH、任意の電解質、短距離引力が静電反発力を超えて優位となる条件を介して達成され得ることを実証する。該実施例は、フィブリンライトとマクロ分子間の結合が、増加した電解質濃度に比較的非感受性である、引力のある疎水性相互作用、イオン相関相互作用又は分散相互作用を含むため、該結合は、生理的な電解質濃度で利用され得ることを示す。ここに記載された方法を使用することにより、フィブリンライトナノ粒子は、マクロ分子と一緒になって強力に保持され、放射性標識はインビボにおいて直面し得る電解質条件下で解離しないであろう。
【0091】
ポリペプチドの場合において、荷電した化学基(例えば、カルボキシル基又はアミノ基)は、ポリペプチド表面上に存在し、よって、ポリペプチド分子の正味の電荷はポリペプチドの環境のpHの作用である。この状況において、フィブリンライトのポリペプチドへの結合は、正味の電荷が事実上ゼロであるポリペプチドのpIに近づくようにpHを調節することにより誘導され得る。結合は、静電反発力を抑制することにより助けられ、それにより短距離引力が優位となり得る。
【0092】
前述は、本発明の好ましい形態を記載する。本発明は、上で示された特定の態様に限定されるべきものでないと理解すべきである。改良及び変化させることは、当業者に自明なものは、本発明の範囲から離れることなしにそれらを成すことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射性標識マクロ分子の製造方法であって、該方法は、マクロ分子と、放射性微粒子コアを有する炭素封入ナノ粒子複合体とを、前記ナノ粒子と前記マクロ分子間の短距離引力を、静電反発力を減弱することにより促進するように選択されるpHを構成する水性媒体中で、接触させることを含む方法。
【請求項2】
前記炭素封入ナノ粒子複合体がフィブリンライト(FibrinLite)である請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記水性媒体が、前記マクロ分子上の正味の荷電が実質的にゼロとなるpHを構成する請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記水性媒体が、前記マクロ分子のpIと実質的に等しいpHを構成する請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記水性媒体が、更に、前記ナノ粒子と前記マクロ分子間の短距離引力を、静電反発力を減弱することにより促進するように選択される電解質濃度を構成する請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記電解質が、Na、K及びCaからなる群より選択される単一の電解質である請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記水性媒体の前記単一の電解質の濃度が、約1ミリモルを超え、約150ミリモルまでの範囲内にある請求項5記載の方法。
【請求項8】
前記水性媒体が、前記マクロ分子のpIと異なるpHを構成し且つ単一の電解質の濃度が、約1ミリモルを超え、約150ミリモルまでの範囲内にある請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記放射性微粒子コアが、99mTc、198Au、213Bi、57Co、51Cr、64Cu、67Cu、165Dy、169Er、59Fe、67Ga、68Ga、153Gd、166Ho、111In、113mIn、177Lu、23Na、24Na、103Pd、81Rb、82Rb、186Re、188Re、75Se、153Sm、117mSn、89Sr、201Th、90Y、169Yb及び192Irからなる群より選択される放射性同位体又は放射性核種である請求項1記載の方法。
【請求項10】
前記放射性微粒子コアが、99mTcを含む請求項1記載の方法。
【請求項11】
前記マクロ分子が、生物学的マクロ分子である請求項1記載の方法。
【請求項12】
前記マクロ分子が、ポリペプチド、抗体並びにそれらの断片及び誘導体からなる群より選択される請求項1記載の方法。
【請求項13】
前記マクロ分子が、ポリ−リシンである請求項1記載の方法。
【請求項14】
前記マクロ分子が、カテーテル、ファイバー、ロッドもしくはフィラメント、膜、ウエハー、メッシュもしくはガーゼ、多孔性スポンジ、チューブもしくはステント、ビーズもしくはカプセルもしくは既知の寸法のマイクロビーズの形態のマイクロ粒子、ナノ粒子、リポソーム、グルー又はゲルの中又は表面上に含まれる請求項1記載の方法。
【請求項15】
前記方法が、更に、非標識化マクロ分子から、及び/又は遊離のナノ粒子複合体から、放射性標識マクロ分子を分離することを含む請求項1記載の方法。
【請求項16】
放射性微粒子コアを有する炭素封入ナノ粒子複合体を用いて複合化されるマクロ分子を含む放射性標識体。
【請求項17】
複数の異なるマクロ分子を含む請求項16記載の放射性標識体。
【請求項18】
複数の異なる放射性標識物を含む請求項16記載の放射性標識体。
【請求項19】
画像化に好適な放射標識物及び治療用途に好適な放射性標識物を含む請求項16記載の放射性標識体。
【請求項20】
カテーテル、ファイバー、ロッドもしくはフィラメント、膜、ウエハー、メッシュもしくはガーゼ、多孔性スポンジ、チューブもしくはステント、ビーズもしくはカプセルもしくは既知の寸法のマイクロビーズの形態のマイクロ粒子、ナノ粒子、リポソーム、グルー又はゲルを含む請求項16記載の放射性標識体。
【請求項21】
放射性微粒子コアを有する炭素封入ナノ粒子複合体と、医薬的に許
容可能なキャリア、助剤又は賦形剤と一緒に複合化されるマクロ分子を含む放射性標識体を含む医薬組成物。
【請求項22】
前記マクロ分子が、ポリペプチド、抗体並びにそれらの断片及び誘導体からなる群より選択される請求項21記載の組成物。
【請求項23】
前記マクロ分子が、ポリ−リシンである請求項21記載の組成物。
【請求項24】
前記マクロ分子が、組織特異的なマクロ分子、臓器特異的なマクロ分子、細胞型特異的なマクロ分子又は病状特異的なマクロ分子である請求項21記載の組成物。
【請求項25】
放射性標識された医療用デバイスの製造方法であって、該方法は、放射性微粒子コアを有する炭素封入ナノ粒子複合体で複合化されたマクロ分子と、医療用デバイスとを、前記医療用デバイスの中へ又は表面上へ前記放射性標識マクロ分子の組み込みのために適した条件下で、接触させることを含む方法。
【請求項26】
前記医療用デバイスが、診断用デバイス又は治療用デバイスである請求項25記載の方法。
【請求項27】
前記医療用デバイスが、カテーテル、ファイバー、ロッドもしくはフィラメント、膜、ウエハー、メッシュもしくはガーゼ、多孔性スポンジ、チューブもしくはステント、ビーズもしくはカプセルもしくは既知の寸法のマイクロビーズの形態のマイクロ粒子、ナノ粒子、リポソーム、グルー又はゲルである請求項25記載の方法。
【請求項28】
医療用デバイスの中へ又は表面上へ組み込まれた、放射性微粒子コアを有する炭素封入ナノ粒子複合体で複合化されたマクロ分子を有する放射性標識された医療用デバイス。
【請求項29】
患者を放射線治療する方法であって、該方法は、放射性標識マクロ分子の治療有効量を前記患者へ投与することを含み、前記放射性標識マクロ分子は、放射性微粒子コアを有する炭素封入ナノ粒子複合体と結合するマクロ分子を含む方法。
【請求項30】
前記放射線治療が、肺のための体内照射療法である請求項29記載の方法。
【請求項31】
前記放射線治療が、原発性及び/又は転移性の肺腫瘍の治療のためのものである請求項29又は30記載の方法。
【請求項32】
前記マクロ分子が肺に対して特異性を有する請求項29記載の方法。
【請求項33】
前記マクロ分子がポリ−リシンである請求項29又は32記載の方法。
【請求項34】
前記ポリ−リシンは、分子量が約15kdないし約30kdである請求項33記載の方法。
【請求項35】
前記放射性微粒子コアが、198Au、213Bi、57Co、51Cr、64Cu、67Cu、165Dy、169Er、59Fe、67Ga、68Ga、153Gd、166Ho、111In、113mIn、177Lu、23Na、24Na、103Pd、81Rb、82Rb、186Re、188Re、75Se、153Sm、117mSn、89Sr、201Th、90Y、169Yb、192Irの少なくとも1種を含む請求項29ないし34の何れか1項に記載の方法。
【請求項36】
患者の医療処置を画像化する方法であって、該方法は、マクロ分子と、放射性微粒子コアを有する炭素封入ナノ粒子複合体とを含む複合体を、前記患者へ投与すること、及び、前記患者における前記複合体を検出すること、を含む方法。
【請求項37】
放射性微粒子コアを有する炭素封入ナノ粒子複合体で複合化されたマクロ分子を含む造影剤。
【請求項38】
前記マクロ分子が肺に対して特異性を有する請求項37記載の造影剤。
【請求項39】
前記マクロ分子がポリ−D−リシンである請求項37記載の造影剤。
【請求項40】
被験者の肺の血液循環に影響する疾病又は病気の診断方法であって、該方法は、放射性微粒子コアを有する炭素封入ナノ粒子複合体で複合化されたマクロ分
子を、前記被験者へ投与すること、及び、前記被験者の体内における前記複合体を検出すること、を含む方法。
【請求項41】
前記マクロ分子がポリ−D−リシンである請求項40記載の方法。
【請求項42】
疾病又は病気の具体例が、肺塞栓症、肺気腫、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、原発性及び転移性の肺腫瘍並びに感染症からなる群より選択される請求項40記載の方法。

【図1a】
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【図1b】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7a】
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【図7b】
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【公表番号】特表2011−518197(P2011−518197A)
【公表日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−505321(P2011−505321)
【出願日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際出願番号】PCT/AU2009/000508
【国際公開番号】WO2009/129577
【国際公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【出願人】(510281955)ジ オーストラリアン ナショナル ユニバーシティー (2)
【Fターム(参考)】