説明

マグネットロールおよびマグネットロールの製造方法{Magnetrollandtheprocessofmanufacture}

【課題】本発明は、高磁力で精度が良好であり生産性が高いマグネットロール、中空円筒状のマグネットロールセット、およびその製造方法に関する。
【解決手段】マグネットロール、中空円筒状のマグネットロールセットは、現像磁極となる第1ブロック磁石と、本体部の第2ブロック磁石で構成されており、第1ブロック磁石と隣接した第2ブロック磁石は、互いに反対の磁極であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乾式電子写真技術を用いた複写機、プリンタ、複合機などに組み込まれるマグネットロールおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
乾式電子写真技術を用いた複写機、プリンタ、 複合機などに組み込まれるマグネットロールは、磁性現像剤(トナー粉と磁性キャリア粉よりなる2成分現像剤および1成分磁性トナー)を静電潜像坦持体(Electrostatic latent image holdingdrum)に供給して現像をおこなう現像ロールや、現像されたトナー像を用紙に転写した後に坦持体(Drum)に残存したトナーなどを除去するクリーニングロールなどとして使用されている。マグネットロールの外周面には複数個の磁極が配置されており、スリーブ上に各磁極に対応する磁束密度分布を形成する。これらの磁束密度分布のうち最も高い磁束密度を形成する磁極を主磁極とし、現像磁極として用いられる場合が多い。現像磁極は静電潜像坦持体に精度よく近接して配置される必要があり、マグネットロールが組み込まれる現像機に位置決めされる必要があり、現像磁極およびその他の磁極はシャフトのDカットとの角度位置が規定されている。また近年、高解像度などの高画質化要求に対応するために、現像磁極は従来品より、さらに高い磁束密度が要求されてきている。
【0003】
従来、磁石材料(10)としては現像域を形成させるために長尺な形状が要求され、また製造費低減に効果的な樹脂結合型磁石(磁粉をプラスチックやゴムなどの樹脂結合剤と混合し成形した磁石)が主に用いられてきた。
【0004】
しかしながら、従来のマグネットロールには、成形のサイクル時間が長く生産性や金型の製造コストが高いなどの課題がある。
【0005】
それで、本発明者は、上記従来のマグネットロールが持っている課題を解決し、高磁力で精度が良好であり、生産性が高いマグネットロールとその製造方法を完成した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、N極、またはS極を持つ第1ブロック磁石と、二個以上の磁極を持つ第2ブロック磁石が円型で連続配置され、第1ブロック磁石がN極の場合、第2ブロック磁石の両端はS極で、第1ブロック磁石がS極の場合、第2ブロック磁石の両端はN極であることを特徴とする、 中空円筒状のマグネットロールセットを提供することである。
【0007】
本発明の他の目的は、上記マグネットロール、または中空円筒状のマグネットロールセットを製造する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一例は、第1ブロック磁石;第1ブロック磁石を含む垂直軸を基準として、両側に同じ順番でN極、またはS極が交替に円型で配置された第2ブロック磁石;上記の第1ブロック磁石、および第2ブロック磁石の外部を包む非磁性スリーブ;および第1ブロック磁石、および第2ブロック磁石の内部に備えられるシャフトを含むマグネットロールを提供する。
【0009】
上記マグネットロールにて、 第1ブロック磁石がN極の場合、第2ブロック磁石の両端はS極で、1ブロック磁石がS極の場合、第2ブロック磁石の両端はN極であることが可能である。
【0010】
本発明の他の実施例は、 N極、またはS極を持つ第1ブロック磁石および、第一ブロック磁石をを含む垂直軸を基準として、両側に同じ順番でN極、またはS極が交替に円型で配置された第2ブロック磁石が円型で連続配置され、第1ブロック磁石がN極の場合、第2ブロック磁石の両端はS極で、1ブロック磁石がS極の場合、第2ブロック磁石の両端はN極であることを特徴とする、 中空円筒状のマグネットロールセットを提供する。
【0011】
上記マグネットロールセットにて、第2ブロック磁石は、押出し成形で製作することが可能である。
【0012】
上記マグネットロールセットにて、第1ブロック磁石は、 射出成形で製作された異方性のフェライト系樹脂結合型磁石であることが可能である。
【0013】
上記マグネットロールセットにて、第1ブロック磁石は、 押出し成形で製作された異方性のフェライト系樹脂結合型磁石であることが可能である。
【0014】
上記マグネットロールセットにて、第1ブロック磁石は、等方性のNd-Fe-B系樹脂結合型磁石であることを特徴とする中空円筒状のマグネットロールセット。
【0015】
更に、本発明の一例は、上記マグネットロールセットにて、第2ブロック磁石が最終的には第1ブロック磁石が挿入されて 現像磁極が形成できるように両端を持ち、複数の磁極を出せる配向磁場の中で 押出し成形したことを特徴とする中空円筒状のマグネットロールセットを提供する。
【0016】
また、本発明の一例は、上記マグネットロールセットにて、第2ブロック磁石の切欠き部に、非対称の、磁場配向判別用の識別が付与されることを特徴とする中空円筒状のマグネットロールセットを提供する。
【0017】
更に、本発明の一例は、上記マグネットロールセットにて、第2ブロック磁石の外周の一部の外径が減少する部分を持つことを特徴とする、中空円筒状のマグネットロールセットを提供する。
【0018】
また、本発明の一例は、上記マグネットロールセットにて、第1ブロック磁石の磁束密は90mTから140mTで、第2ブロック磁石の磁束密度は40mTから90mTであることを特徴とする、中空円筒状のマグネットロールセットを提供する。
【0019】
更に、本発明の一例は上記マグネットロールセットにて、第1ブロック磁石がN極である場合、第2ブロック磁石はS-N-N-Sの4極で、第1ブロック磁石がS極である場合、第2ブロック磁石はN-S-S-Nの4極であることを特徴とする、中空円筒状のマグネットロールセットを提供する。
【0020】
また、本発明の一例はN極、またはS極で着磁して第1ブロック磁石を製造する段階;垂直軸を基準とした両側に同じ順番でN極、またはS極が交替に配置されるように磁極を着磁して、第1ブロック磁石が配置される領域を上記第1ブロック磁石の磁極で着磁して第2ブロック磁石を製造する段階;および、上記第1ブロック磁石がN極なら上記第2ブロック磁石の両切欠き部はS極で、上記第1ブロック磁石がS極なら上記第2ブロック磁石の両切欠き部はN極の、第1ブロック磁石および第2ブロック磁石を円型で連続配置する段階を含む中空円筒状のマグネットロールセットを製造する方法を提供する。
【0021】
更に、本発明の一例は上記製造方法において、第1ブロック磁石を製造する段階で、2個のN極、およびS極で同時に互いに対応できるように着磁したブロック磁石を同時に押出した後、どちらかの一極を選択して第1ブロック磁石を製造することを特徴とする中空円筒状のマグネットロールセットを製造する方法を提供する。
【0022】
更に、本発明の一例は上記製造方法において、第2ブロック磁石を製造する段階にて、上記の着磁は、第1ブロック磁石が配置される領域に、第2ブロック磁石の両切欠き部とは逆の極で着磁することを特徴とする、中空円筒状のマグネットロールセットを製造することを提供する。
【0023】
また、本発明の一例は、上記製造方法において、第2ブロック磁石、および第1ブロック磁石は脱磁してシャフトに固定した後、全磁極を一体着磁することを特徴とする、中空円筒状のマグネットロールセットを製造することを提供する。
【0024】
更に、本発明の一例は、N極、またはS極になるように着磁して第1ブロック磁石を製造する段階; 垂直軸を基準とした両側に同じ順番でN極、またはS極が交替に配置されるように磁極を着磁して、第1ブロック磁石が配置される領域を上記第1ブロック磁石の磁極で着磁して、第2ブロック磁石を製造する段階;および、上記第1ブロック磁石がN極なら上記第2ブロック磁石の両切欠き部はS極で、上記第1ブロック磁石がS極なら上記第2ブロック磁石の両切欠き部はN極の、第1ブロック磁石および第2ブロック磁石を利用し、第2ブロック磁石にシャフトを挿入した後切欠き部に接着剤を塗布し、その後第1ブロック磁石をはめ込み固定する段階を含むことを特徴とする、中空円筒状のマグネットロールセットを製造することを提供する。
【0025】
本明細書に書かれた「マグネットロールセット」は、第1ブロック磁石と、第2ブロック磁石が一組になることから、「セット」と定義することができるが、これによって制限解析されることではない。
【0026】
本発明の一例は、例えば、図4(g)、図4(h)、および図4(i)に点線で描かれたように、第2ブロック磁石の各磁極の面積が相異することもある。
【0027】
図3(a)のような断面が扇型のブロック磁石を、 異方性のフェライト系樹脂結合型磁石を使って射出成形で製造する場合、配向磁場をかけた金型内で溶融された樹脂磁石材料中の磁粉の配向が十分に固定される時まで冷却した後に取り出されるから高い磁気特性の磁石が得られやすいが、溶融された樹脂磁石材料は金型内の片側端部の注入口から注入されて金型内で冷却と配向磁場の影響を受けながら反対側に流れて固化されるのでブロック磁石の長さ方向の磁気特性の均一性が乱れやすい傾向がある。また、複数個のブロック状磁石(10a1, 10a2, 10a3, 10a4, 10a5)をシャフトに接着固定せねばならずシャフト(30)への位置決め精度の確保が困難でありマグネットロールの各磁極位置や表面磁束密度がばらつきやすい。また、成形のサイクル時間が長く生産性や金型の製造コストが高いなどの課題がある。
【0028】
一方、図3(b)の異方性のフェライト系樹脂結合磁石を押出し成形法で製造する場合、目標とする磁束密度分布を得るように押出し工程で磁場をかけたまま連続的に成形するので磁石(10b)の長さ方向の磁気特性の均一性が良好で生産性が良く金型(成形ダイ)費が安いなどの利点があるが、磁性粉の配向が結合樹脂中で完全に固定される温度より高い温度で成形ダイから押出されてしまうので磁気特性は射出成型で製造された磁石よりも低いものになりやすい。
【0029】
さらに、図3(c)は、溝を有する等方性のフェライト系樹脂結合型磁石(10c1)を押出し成形し、この溝に等方性の希土類系樹脂結合型磁石(10c2)を埋め込んだ構成のマグネットロールである。このマグネットロールは等方性の希土類系樹脂結合型磁石(10c2)の保磁力が高く着磁に要する高い着磁のために等方性のフェライト系樹脂結合型磁石(10c1)と同時に一体着磁は困難であるので、最初に等方性のフェライト系樹脂結合型磁石(10c1)のみを磁場をかけて着磁して複数個の磁極を形成した後に、別途着磁された希土類系樹脂結合型磁石(10c2)を本体側磁石(10c1)の溝に埋め込むことにより高い磁束密度の主極を有するマグネットロールを得ることができるが複雑な製造工程を必要としている。さらに、シャフトは本体側磁石(10c1)に片側から挿入して固定されるが、精度よく固定するために本体側の穴にシャフトを圧入時、力が大きくかかるとシャフト挿入時にかじりやシャフトに塗布した接着剤の剥げ等が生じる問題がある。
【発明の効果】
【0030】
本発明により、高磁力で高性能のマグネットロールを、生産性が高い押出し成形、および射出成形を活用して製造することができた。即ち、本発明の一例は、円筒状の外周面に複数の磁極を有し、かつ一部に切欠き部を有する異方性のフェライト系樹脂結合型磁石からなる本体部の第2ブロック磁石と、 第2ブロック磁石の切欠き部にはめ込まれ主磁極を形成するブロック状の磁石の第1ブロック磁石をシャフトに接着固定したマグネットロールであり、前記本体部の第2ブロック磁石は生産性高く押出し成形され、ブロック状の磁石の第1ブロック磁石は、比較的磁気特性が高いものを得られる射出成形で製作する異方性のフェライト系樹脂結合型磁石を効果的に組み合わせて使用できる。
【0031】
また、本発明の一例は、ブロック磁性部である第1ブロック磁石も生産性が良い押出し成形とし、磁場配向装置を工夫することにより射出成型品と同等の高磁力のブロック磁石を得、これを適用して、生産性、製造コストともに大きな効果を得ることができる。
【0032】
本発明の一例は、フェライト系の磁粉では得られない高磁力が必要な場合としてブロック磁石部を取扱いやすいNd-Fe-B系の等方性磁粉を用いた樹脂結合磁石を押出し成形して作ってこれを製造されたフェライト系樹脂結合磁石の本体部の第2ブロック磁石と組み合わせることにより、効果的に高磁力のマグネットロールを得ることができる。
【0033】
さらに、本発明では、スリーブ上から効果的に現像剤を掻き落とすために、同磁極が隣接する間の磁石外径を減少させ、押出し成形することにより、金型構造などの大きな変更を必要とせずに対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】図1は、スリーブに内蔵されたマグネットロールを示す概略断面図である。
【図2】図2は、本発明の一例で、マグネットロールの磁束密度分布である。
【図3】図3は、従来のマグネットロールの一例である。
【図4】図4は、本発明のマグネットロールの一例である。
【図5】図5は、押出し成形ラインの工程概略図である。
【図6】図6は、切欠き部を有する第2ブロック磁石の磁場配向装置および成形ダイを示す概略図である。
【図7】図7は、扇形の第1ブロック磁石の磁場配向装置および成形ダイを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明を下記の具体的な実施例によって詳細に説明する。但し、下記実施例は、本発明の例に過ぎず、本発明の内容が下記実施例によって限られるものではない。
【0036】
下記実施例は、マグネットロールの外径は16mm、磁石長さLは320mmで製造した。上記マグネットロールセットは、外径6mmのシャフトを利用して、非対称5極に磁極が配列し、シャフトの位置決め用Dカットの垂直位置に対応して現像主極N1となるようにした後、両フランジおよびベアリング部がある外径18mmのアルミ合金製スリーブに入れてマグネットロールを製造した後、スリーブ上の磁束密度分布を測定・比較した。各実施例の具体的な製造過程は以下の通りである。
【0037】
一例で、異方性のフェライト系樹脂結合型磁石を押出し成形して作った図4の第2ブロック磁石(10d1)と、第2ブロック磁石の切欠き部(40)にはめ込まれる異方性のフェライト系樹脂結合型磁石からなり射出成形で作成された主磁極を形成する第1ブロック磁石(10d2)をシャフト(30)に接着固定してマグネットロールを製造した。
【0038】
具体的には、図5に示す押出し成形装置により、第2ブロック磁石を製造した。上記押出し成形装置は、押出し機(90)、磁場配向装置(110)を備えた成形ダイ(100)、冷却装置(120)、引き取り装置(130)等で構成されることができる。成形された第2ブロック磁石(140)は磁化されているので引き取り装置の後工程に脱磁装置および切断装置を設置することが好ましい。
【0039】
図6は磁場配向装置(110)の断面概略図である。ステンレス鋼か黄銅などの非磁性金属材料よりなり、断面空間が第2ブロック磁石形状に対応した成形ダイ(100)の外周に、成形ダイの内面に所定の磁場が形成されるように磁場配向装置(110)が配置されている。磁場配向装置は磁性材料ヨーク部とコイル部か永久磁石などにより構成され、成形ダイ内周面の配向磁場の強さはマグネットロールの磁極配列と磁束密度に対応して0.4〜8.0T程度に調整される。なお、第2ブロック磁石 切欠き部の開口角度は70度である。
【0040】
異方性のフェライト磁粉はSr磁粉で、樹脂結合剤のエチレンエチルアクリレート共重合体(EEA)中にSr磁粉が92重量%混合された原料ペレットを用い、磁場配向工程ののち、成形ダイで約220℃で押出された後に冷却装置で常温まで冷却固化されて引き取られ、1500Vの高電圧を加え、脱磁した後320mm長さに切断された。
【0041】
第1ブロック磁石用の異方性のフェライト系樹脂結合型磁石としてはSr磁粉92wt%がポリアミド樹脂(12ナイロン)中に含有されたペレットを配向磁場内で射出成型して、開口角度70度の第2ブロック磁石の切欠き部と対応した第1ブロック磁石を得た。なお、完全に脱磁をするために、接着前に第2ブロック磁石と同様に脱磁して使用した。
【0042】
上記製造した第1ブロック磁石、および第2ブロック磁石を組み立てて、マグネットロールセットを製造した。外径6mmの無電解NiめっきしたSUMシャフトの本体にシャフトのDカット面を基準にして位置決めしながら挿入した。このとき第2ブロック磁石の内径とシャフトの圧入空間は0.15mmであったが、第2ブロック磁石は切欠き部を有するので圧入時にわずかに変形されて、シャフトの挿入時にかじり等の支障はなかった。圧入後、切欠き部に2液混合型の接着剤を塗布した後、第1ブロック磁石をはめ込み接着固定後、図6と同様の着磁装置で着磁して、外径18mmのアルミニウム合金製スリーブに入れて、マグネットロールを作った。このときの外径18mmスリーブ上の磁束密度のピーク値はN1:125mT、S1:75mT、N2:60mT、S2:80mT、N3:40mTであった。
【0043】
ほかの例として、下記の方法でマグネットロールを製造した。第2ブロック磁石は上記の方法と同一のものとし、第1ブロック磁石は図7の磁場配向装置を用いたことを除いて、同一の押出し法で作成した。図7の磁場配向装置を用いた場合、第1ブロック磁石は図7(b)のように互いに逆方向に磁化されており、成形ダイから出たところから互いに吸着してあたかも倍の厚さになったような形状で冷却工程に向かうために小寸法であっても曲がり、ねじれが生じにくく寸法精度の良いブロックマグネットを得ることができる。第1ブロック磁石は冷却後も2本が互いに吸着しあっているので、引き取り装置を出た後に脱磁し所定長さに切断して上記の製造方法と同様に第2ブロック磁石に接着固定した後、着磁してマグネットロールを作った。現像磁極のスリーブ上磁束密度は122mTであった。
【0044】
ほかの例として、上記2番目の製造例と同様に、第2ブロック磁石、第1ブロック磁石も同一のSrフェライト系原料で押出し成形し、切欠き部の形状のみ図4(e)のように製造した。この場合、第1ブロック磁石は扇形ではなく巾5.85mmの平行部を有しており、外径6mmのシャフトは第2ブロック磁石の5.85mm溝に平行に、治具を用いて同時に能率よく押し込みすることができた。現像磁極のスリーブ上磁束密度は123mTであった。
【0045】
ほかの例として、下記の方法でマグネットロールを製造した。第2ブロック磁石は1番目の製造例と同一の方法で製造した。第1ブロック磁石を製造するために、原料ペレット成分として、磁粉含有量65重量%の等方性のNd-Fe-B系樹脂(EEA)を使用して、磁場配向装置(110)は使用せずに無磁場で220℃で押出しし、2.5Tの平行磁場で着磁した。着磁した第1ブロック磁石を上記第2ブロック磁石に組み立てて再度一体着磁したマグネットロールを得た。現像磁極のスリーブ上磁束密度は130mTであった。
【0046】
ほかの例として、下記の方法でマグネットロールを製造した。一番目の製造例と同一の材料と方法で製造するが、図4(f)に示すように第2ブロック磁石のN2,N3の同極が隣接した極間に角度60度の範囲で第2ブロック磁石の外径を1.5mm減少させた部分を作った。現像磁極のスリーブ上磁束密度は125mTであった。
【0047】
一方、上記の製造方法とは違い、図6の押出し成形時の切欠き部に対向した配向磁極のS1を除去した非対称4極配向で第2ブロック磁石を成形する以外は上記1番目の実施例と同一のマグネットロールを作成した。外観上は図4(d)と同等であるが現像磁極のスリーブ上磁束密度は100mTであった。
【0048】
また、図6において成形ダイ(100)を180度回転させた状態以外は上記1番目の実施例と同一の条件で図3(b)に示したのと同様なマグネットロールを作成した。この場合は第1ブロック磁石を必要とせず、非常にシンプルであるが現像磁極のスリーブ上磁束密度ピーク値は95mTであった。
【符号の説明】
【0049】
10 磁石材料
20 マグネットロール
30 シャフト
40 切欠き部
50 条痕(マーカ)
60 非磁性スリーブ
70 ベアリング
80 フランジ部材
90 押出し機
100 成形ダイ
110 磁場配向装置
120 冷却装置
130 引き取り装置
140 成形体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ブロック磁石;
第1ブロック磁石を含む垂直軸を基準として、両側に同じ順番でN極、またはS極が交替に円型で配置された第2ブロック磁石;
上記の第1ブロック磁石、および第2ブロック磁石の外部を包む非磁性スリーブ;および第1ブロック磁石、および第2ブロック磁石の内部に備えられるシャフトを含むマグネットロール。
【請求項2】
第1ブロック磁石がN極の場合、第2ブロック磁石の両端はS極で、第1ブロック磁石がS極の場合、第2ブロック磁石の両端はN極であることを特徴とする、請求項1のマグネットロール。
【請求項3】
N極、またはS極を持つ第1ブロック磁石および、第1ブロック磁石を含む垂直軸を基準として、両側に同じ順番でN極、またはS極が交替に配置された第2ブロック磁石が円型で連続配置され、第1ブロック磁石がN極の場合、第2ブロック磁石の両端はS極で、第1ブロック磁石がS極の場合、第2ブロック磁石の両端はN極であることを特徴とする、 中空円筒状のマグネットロールセット。
【請求項4】
第2ブロック磁石は押出し成形法により作成されたことを特徴とする、請求項3に記載の中空円筒状のマグネットロールセット。
【請求項5】
第1ブロック磁石は、射出成形法により作成された異方性のフェライト系樹脂結合型磁石であることを特徴とする、請求項3に記載の中空円筒状のマグネットロールセット。
【請求項6】
第1ブロック磁石は、押出し成形法により作成された異方性のフェライト系樹脂結合型磁石であることを特徴とする、請求項3に記載の中空円筒状のマグネットロールセット。
【請求項7】
第1ブロック磁石は、等方性Nd-Fe-B系樹脂結合型磁石であることを特徴とする、請求項3に記載の中空円筒状のマグネットロールセット。
【請求項8】
第2ブロック磁石は、最終的に第1ブロック磁石が挿入されて現像磁極が形成できるように切欠き部を持ち、複数の磁極を出すことが出来る配向磁場の中で押出し成形されることを特徴とする、請求項3に記載の中空円筒状のマグネットロールセット。
【請求項9】
第2ブロック磁石の切欠き部に、非対称の磁場配向判別用の識別が付与されたことを特徴とする、請求項3に記載の中空円筒状のマグネットロールセット。
【請求項10】
第2ブロック磁石外周の一部に、外径が減少した部分を有することを特徴とする、請求項3に記載の中空円筒状のマグネットロールセット。
【請求項11】
第1ブロック磁石の磁束密度は、90mTから140mTであり、第2ブロック磁石の磁束密度は40mTから90mTであることを特徴とする、請求項3に記載の中空円筒状のマグネットロールセット。
【請求項12】
第1ブロック磁石がN極である場合、第2ブロック磁石はS-N-N-Sの4極で、第1ブロック磁石がS極である場合、第2ブロック磁石はN-S-S-Nの4極であることを特徴とする、請求項3に記載の中空円筒状のマグネットロールセット。
【請求項13】
N極、またはS極に着磁して第1ブロック磁石を製造する段階;
垂直軸を基準とした両側に同じ順番でN極、またはS極が交替に配置されるように磁極を着磁して、第1ブロック磁石が配置される領域を上記第1ブロック磁石の磁極で着磁して第2ブロック磁石を製造する段階;および、
上記第1ブロック磁石がN極なら上記第2ブロック磁石の両切欠き部はS極で、上記第1ブロック磁石がS極なら上記第2ブロック磁石の両切欠き部はN極の、第1ブロック磁石および第2ブロック磁石を円形で連続配置する段階を含む中空円筒状のマグネットロールセットの製造方法。
【請求項14】
第1ブロック磁石を製造する段階は2個のN極、およびS極で同時に互いに対応できるように着磁したブロック磁石を同時に押出した後、どちらかの一極を選択して第1ブロック磁石を製造することを特徴とする、請求項13に記載の中空円筒状のマグネットロールセットを製造する方法。
【請求項15】
第2ブロック磁石を製造する段階にて、上記の着磁は、第1ブロック磁石が配置される領域に、第2ブロック磁石の両切欠き部とは逆の極で着磁することを特徴とする、、請求項13に記載の中空円筒状のマグネットロールセットの製造方法。
【請求項16】
第2ブロック磁石、および第1ブロック磁石は脱磁してシャフトに固定した後、全磁極を一体着磁することを特徴とする、請求項13に記載の中空円筒状のマグネットロールセットの製造方法。
【請求項17】
N極、またはS極に着磁して第1ブロック磁石を製造する段階;
垂直軸を基準とした両側に同じ順番でN極、またはS極が交替に配置されるように磁極を着磁して、第1ブロック磁石が配置される領域を上記第1ブロック磁石の磁極で着磁して第2ブロック磁石を製造する段階;および、
上記第1ブロック磁石がN極なら上記第2ブロック磁石の両切欠き部はS極で、上記第1ブロック磁石がS極なら上記第2ブロック磁石の両切欠き部はN極の、第1ブロック磁石、および第2ブロック磁石を利用し、第2ブロック磁石にシャフトを挿入した後、切欠き部に接着剤を塗布し、その後第1ブロック磁石をはめ込み、固定する段階を含むことを特徴とする、中空円筒状のマグネットロールセットの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−198498(P2012−198498A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−236371(P2011−236371)
【出願日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【出願人】(511261215)
【氏名又は名称原語表記】LEE,Young Bin
【住所又は居所原語表記】43−2,Nowon−ri,Leewol−myeon,Jincheon−gun,Chungcheonbuk−do,Korea
【出願人】(511261226)ア−ソン ケミカル カンパニー リミテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】AH−SUNG CHEMICAL CO.,LTD
【住所又は居所原語表記】586,Chilgoi−dong,Pyungtaek−si,Gyeonggi−do,Korea
【Fターム(参考)】