マスクおよびマスク封入体
【課題】微粒子等の捕捉性能に優れ、かつ顔面とマスクとの間の内部空間内の酸素濃度低下を改善することができるマスクを提供する。
【解決手段】シートからなるマスク本体部1と、シートからなる耳かけ部2とを備えたマスク10。マスク本体部1と耳かけ部2の少なくとも1つは、前記シートが他のシートに重ね合わされた重なり部分4で前記シートが互いに接合する1または複数の接合部5を有する。接合部5は、重なり部分4で前記シートが互いに接合しない1または複数の非接合部6に接している。非接合部6は、マスク本体部1内の使用者の呼気を外部に排出可能であり、かつ吸気を流入抑制する。
【解決手段】シートからなるマスク本体部1と、シートからなる耳かけ部2とを備えたマスク10。マスク本体部1と耳かけ部2の少なくとも1つは、前記シートが他のシートに重ね合わされた重なり部分4で前記シートが互いに接合する1または複数の接合部5を有する。接合部5は、重なり部分4で前記シートが互いに接合しない1または複数の非接合部6に接している。非接合部6は、マスク本体部1内の使用者の呼気を外部に排出可能であり、かつ吸気を流入抑制する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鼻部の少なくとも一部と口部を覆うように顔に装着されるマスク、およびマスクを袋に収容したマスク封入体に関する。
【背景技術】
【0002】
風邪などの感染症やアレルギー性疾患を予防することなどを目的として、鼻部および口部を覆うマスクが使用されている。マスクには、微粒子(例えば風邪等の原因となる体液飛沫や、アレルギー性疾患の原因となる花粉、ハウスダストなど)等を捕捉する性能が求められる。
近年では、顔面の形状に応じた立体形状を有するマスクが注目されている。
図37は、従来のマスクの一例を示すもので、このマスク110は、鼻部および口部を覆うマスク本体部101と、マスク本体部101の両側部にそれぞれ設けられた耳かけ部102とを備えている。
マスク本体部101は、前方側縁部103aどうしが接合された一対の本体シート103からなる。本体シート103の前方側縁部103aは略円弧状に湾曲した形状であり、全長にわたって互いに接合されている。
耳かけ部102が使用者の耳に掛けられることによって、マスク110は使用者の顔面に装着される。本体シート103の前方側縁部103aが湾曲した形状となっているため、マスク本体部101は顔面の形状に応じた立体形状となり、顔面の広い範囲を覆う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−273726号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来から、血中の酸素濃度が低下すると健康を害するおそれがあるといわれている。前記マスク110では、マスク本体部101内の空間に使用者の呼気が充満し、この空間の酸素濃度が低下することによって、使用者の健康に問題が生じるおそれがあった。
通気性の高い素材からなるマスク本体部101を使用したり、顔面に対する隙間が大きくなる構造のマスク本体部101を採用すれば、呼気の排出性能が高められるため、息苦しさの問題は改善できる。
しかしながら、通気性の高いマスク本体部101を使用すると、微粒子(飛沫、花粉など)等がマスク本体部101に捕捉されにくくなる。また、顔面に対する隙間が大きくなる構造のマスク本体部101を採用すれば、マスク本体部101を透過しない呼気および吸気の割合が多くなるため微粒子の捕捉性能が低くなる。このため、マスク内の酸素濃度の改善と捕捉性能の両立は難しかった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、微粒子等の捕捉性能に優れ、かつマスク内の呼気の充満を改善し、この空間の酸素濃度を改善することにより使用者の健康阻害を改善するマスクおよびマスク封入体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、シートからなるマスク本体部と、前記マスク本体部の両側部にそれぞれ設けられたシートからなる耳かけ部とを備え、前記マスク本体部と耳かけ部の少なくとも1つは、前記シートが他のシートに重ね合わされた重なり部分で前記シートが互いに接合する1または複数の接合部を有し、前記接合部は、前記重なり部分で前記シートが互いに接合しない1または複数の非接合部に接し、前記非接合部は、前記マスク本体部内の使用者の呼気を外部に排出可能であり、かつ吸気を流入抑制するマスクを提供する。
本発明のマスクは、前記マスク本体部が、前縁部の内面どうしが重ね合わされた一対の本体シートからなり、前記本体シートの後縁部は、前記耳かけ部のシートの前縁部と重ね合わされ、前記非接合部が、前記本体シートどうしの重なり部分と、前記本体シートと前記耳かけ部との重なり部分とのうち、少なくとも1つに形成されている構成が好ましい。
本発明のマスクは、前記非接合部が、前記本体シートと前記耳かけ部との重なり部分の少なくとも1つに形成され、前記本体シートどうしの重なり部分が、前記縁部の全長にわたって連続的に前記本体シートどうしが接合されている構成とすることができる。
本発明のマスクは、前記非接合部が、前記本体シートどうしの重なり部分に形成され、前記本体シートと前記耳かけ部との重なり部分は、前記縁部の全長にわたって連続的に前記シートどうしが接合されている構成とすることができる。
本発明のマスクは、前記マスク本体部に重ねて設置される重ねシートをさらに備え、前記マスク本体部と前記重ねシートとの重なり部分に、前記非接合部が形成される構成とすることができる。
本発明のマスクは、前記マスク本体部のシートの後縁部が、前記耳かけ部のシートの前縁部の外面側に重ね合わされていることが好ましい。
本発明のマスクは、前記マスク本体部は、使用者の顔面に装着するように開いた状態で、顔面から前方に凸状となる立体形をなすことが好ましい。
前記重なり部分は、前記シートの縁部の長さ方向に延在する帯状領域であることが好ましい。
前記非接合部は、前記シートの縁部の全長にわたって断続的に形成されていることが好ましい。
前記マスク本体部は、複数のシート体の積層体からなる構成としてよい。
前記マスク本体部は、使用者の鼻部の上部を覆う凸状部分である目頭保温部を有する構成としてよい。
本発明のマスクは、前記マスク本体部が、前縁部の内面どうしが重ね合わされた一対の本体シートからなり、前記非接合部が、前記本体シートどうしの重なり部分の上端部を含む部分に形成されていることが好ましい。
前記耳かけ部は、耳かけ穴より上部側の上辺部と、前記耳かけ穴より下部側の下辺部とを有し、前記上辺部の張力は前記下辺部の張力より大きい構成としてよい。
本発明のマスクは、前記マスク本体部に、これを構成する繊維表面に所定量の正電荷または負電荷を与えて分極させた誘電状態を形成するエレクトレット処理が施されている構成としてよい。
前記マスク本体部は、遠赤外線放射素材、金属箔、鉄粉含有発熱材料、血行促進剤、マイナスイオン発生素材、磁石、吸湿発熱素材、および蓄熱シートからなる群から選択された1または2以上を含む構成としてよい。
前記マスク本体部は、複数のシートを積層した積層構造を有し、前記積層されたシート間に、遠赤外線放射素材、金属箔、鉄粉含有発熱材料、血行促進剤、マイナスイオン発生素材、磁石、吸湿発熱素材、および蓄熱シートからなる群から選択された1または2以上を含む層を介装した構成としてよい。
本発明は、前記マスクが、袋に封入されたマスク封入体を提供する。
前記袋は、ガスバリア性または水分バリア性を有することが好ましい。
前記袋は、ポリプロピレン、ポリエチレンおよびポリメチルペンテンのうち1または2以上からなることが好ましい。
【0006】
本発明のマスクは、マスク本体部と、前記マスク本体部の両側部にそれぞれ設けられた耳かけ部とを備え、前記マスク本体部は、一方の側縁部どうしが接合された一対の本体シートからなり、前記一対の本体シートの前記一方の側縁部は、長さ方向に沿って内面どうしが重ね合わされて複数の接合部で互いに接合され、前記複数の接合部は、1または複数の非接合部によって前記側縁部の長さ方向に隔てられ、前記非接合部は、前記マスク本体部内の使用者の呼気を外部に排出可能であり、かつ吸気を流入抑制する。
前記一方の側縁部の内面どうしが重ね合わされた部分は、前記側縁部の長さ方向にわたる帯状領域であることが好ましい。
前記接合部は、前記一方の側縁部の全長にわたって断続的に形成されていることが好ましい。
本発明のマスクは、前記本体シートの他方の側縁部は、長さ方向に沿って耳かけ部の前縁部の外面側に重ね合わされて複数の他方側接合部で互いに接合され、前記複数の他方側接合部は、1または複数の他方側非接合部によって前記他方の側縁部の長さ方向に隔てられ、前記他方側非接合部は、前記マスク本体部内の使用者の呼気を外部に排出可能であり、かつ吸気を流入抑制することが好ましい。
前記本体シートは、複数のシート体の積層体からなる構成としてもよい。
前記マスク本体部は、使用者の鼻部の上部を覆う凸状部分である目頭保温部を有する構成としてもよい。
本発明のマスクは、前記本体シートの一方の側縁部の重ね合わされた部分の上端部を含む部分が前記非接合部とされている構成も可能である。
前記本体シートは、遠赤外線放射素材、金属箔、鉄粉含有発熱材料、血行促進剤、マイナスイオン発生素材、磁石、吸湿発熱素材、および蓄熱シートからなる群から選択された1または2以上を含むものであってよい。
前記耳かけ部は、耳かけ穴より上部側の上辺部と、前記耳かけ穴より下部側の下辺部とを有し、前記上辺部の張力は前記下辺部の張力より大きい構成としてよい。
前記本体シートには、これを構成する繊維表面に所定量の正電荷または負電荷を与えて分極させた誘電状態を形成するエレクトレット処理を施してよい。
前記耳かけ部の外面側には、使用者の耳を覆う耳カバーが設けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、非接合部からの呼気排出が可能であるので、使用者の呼気によってマスク本体部の内部空間の気圧が高まると、呼気の一部は非接合部におけるシートの隙間を通して外部に排出される。
このため、呼気の内部空間内での充満を改善し、内部空間内の酸素濃度低下を改善することができる。従って、使用者の健康阻害を低減できる。
また、呼気が非接合部から排出される際には、呼気中の微粒子(体液飛沫など)は非接合部(シート)の内面に吸着され、外部への放出が抑えられる。
一方、吸気の際には、内部空間の気圧低下により非接合部のシートは閉じ合わされ、この隙間からの外気流入は抑制される。
隙間からの外気流入が抑制されるため、吸気として内部空間に導入される外気の大部分はシートを透過する。外気中の微粒子(体液飛沫、花粉など)はシートに捕捉されるため、捕捉性能の低下はない。
従って、本発明によれば、捕捉性能を低下させることなく、内部空間内に呼気が充満することによる酸素濃度低下を改善し、使用者の健康阻害を低減できる。
【0008】
本発明によれば、本体シートの側縁部の内面どうしが重ね合わされて複数の接合部で互いに接合され、前記接合部間の非接合部からの呼気排出が可能であるので、使用者の呼気によってマスク本体部の内部空間の気圧が高まると、呼気の一部は非接合部における本体シートの隙間を通して外部に排出される。
このため、呼気の内部空間内での充満を改善し、内部空間内の酸素濃度低下を改善することができる。従って、使用者の健康阻害を低減できる。
また、呼気が非接合部から排出される際には、呼気中の微粒子(体液飛沫など)は非接合部(本体シート)の内面に吸着され、外部への放出が抑えられる。
一方、吸気の際には、内部空間の気圧低下により非接合部の本体シートは閉じ合わされ、この隙間からの外気流入は抑制される。
隙間からの外気流入が抑制されるため、吸気として内部空間に導入される外気の大部分は本体シートを透過する。外気中の微粒子(体液飛沫、花粉など)は本体シートに捕捉されるため、捕捉性能の低下はない。
従って、本発明によれば、捕捉性能を低下させることなく、内部空間内に呼気が充満することによる酸素濃度低下を改善し、使用者の健康阻害を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1実施形態に係るマスクの斜視図である。
【図2】図1のマスクの折りたたんだ状態の側面図である。
【図3】図1のマスクを使用者の顔に装着した状態を示す斜視図である。
【図4】図1のマスクの断面図であり、(a)は全体図、(b)は前方側縁部の拡大図、(c)は後方側縁部の拡大図である。
【図5】図1のマスクの本体シートおよび接合部を示す構成図である。
【図6】図1のマスクの前方側縁部の非接合部の断面図である。
【図7】非接合部の動作を示す断面図である。
【図8】図1のマスクの後方側縁部の非接合部の断面図である。
【図9】図1の後方側縁部側の非接合部の動作を示す断面図である。
【図10】図1のマスクを装着した際の呼気の流れを示す模式図である。
【図11】図1のマスクの接合部を示す構成図である。
【図12】図1のマスクの接合部の変形例を示す構成図である。
【図13】人体頭部の構造を示す断面図である。
【図14】本体シートの他の例を用いたマスクの前方側縁部の接合部の断面図である。
【図15】前図に示すマスクの前方側縁部の非接合部の断面図である。
【図16】非接合部の動作を示す断面図である。
【図17】本発明の第2実施形態に係るマスクを使用者の顔に装着した状態を示す斜視図である。
【図18】本発明の第3実施形態に係るマスクの斜視図である。
【図19】前図に示すマスクの要部拡大図である。
【図20】図18のマスクの折りたたんだ状態の側面図である。
【図21】図18のマスクの端部非接合部の断面図である。
【図22】前図に示す端部非接合部の動作を示す断面図である。
【図23】図18のマスクを使用者の顔に装着した状態を示す要部拡大図である。
【図24】従来のマスクの一例を使用者の顔に装着した状態を示す要部拡大図である。
【図25】本発明の第4実施形態に係るマスクの要部を拡大した斜視図である。
【図26】本発明の第5実施形態に係るマスクの折りたたんだ状態の側面図である。
【図27】前図に示すマスクを使用者の顔に装着した状態を示す斜視図である。
【図28】本発明の第6実施形態に係るマスクを使用者の顔に装着した状態を示す斜視図である。
【図29】本発明の第7実施形態に係るマスクの斜視図である。
【図30】本発明の第8実施形態に係るマスクの斜視図である。
【図31】本発明の第9実施形態に係るマスクの斜視図である。
【図32】本発明の第10実施形態に係るマスクの斜視図である。
【図33】本発明の第11実施形態に係るマスクの斜視図である。
【図34】本発明の第12実施形態に係るマスクの断面図である。
【図35】本発明の第13実施形態に係るマスクの断面図である。
【図36】本発明のマスク封入体の一例を示す図であり、(a)は平面図であり、(b)は断面図である。
【図37】従来のマスクの一例の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係るマスク10の斜視図である。図2は、マスク10の折りたたんだ状態の側面図である。図3は、マスク10を使用者の顔に装着した状態を示す斜視図である。図4は、マスク10の断面図であり、(a)は全体図、(b)は前方側縁部3aの拡大図、(c)は後方側縁部3bの拡大図である。図5は、マスク10の本体シート1の接合部5および後方接合部15を示す構成図である。図6および図7は、マスク10の前方側縁部3aの非接合部6の断面図である。図8および図9は、マスク10の後方側縁部3bの非接合部16の断面図である。図10は、マスク10を装着した際の呼気の流れを示す模式図である。図11は、マスク10の接合部5を示す構成図である。図12は、マスク10の接合部5の変形例を示す構成図である。
以下の説明において、図2における左方を前方といい、右方を後方ということがある。マスク10の前後方向は顔に装着した際に使用者から見た前後方向に対応している。また、上および下とはそれぞれ図2における上下をいう。
【0011】
図1および図2に示すように、マスク10は、マスク本体部1と、マスク本体部1の両側部にそれぞれ設けられた耳かけ部2とを備えている。
マスク本体部1としては、ポリオレフィン系材料やポリエステル系材料からなる合成繊維を用いた不織布を使用できる。ポリオレフィン系材料としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ1−ブテンなどがあり、ポリエステル系材料としてはポリエチレンテレフタレートなどがある。マスク本体部1の材料としては、熱可塑性樹脂を使用することもできる。
不織布を構成する繊維は単繊維であってもよいし、複合芯鞘繊維であってもよい。複合芯鞘繊維としては、ポリエステル−ポリエチレン芯鞘繊維、ポリプロピレン−ポリエチレン芯鞘繊維等を使用できる。
【0012】
マスク本体部1は、前方側縁部3a(一方の側縁部)(前縁部)どうしが接合された一対の本体シート3、3からなる。
図2に示すように、本体シート3は、略円弧状に湾曲した前方側縁部3aと、後方に向け下降する上縁部3dと、後方に向け上昇する略直線状の下縁部3eと、略直線状の後方側縁部3b(他方の側縁部)(後縁部)とを有する。本体シート3は、前方側縁部3aから後方に向かって徐々に高さ寸法を減じる形状である。
前方側縁部3aは前方に向けて凸状となるように湾曲した形状である。このため、マスク本体部1は、使用者の顔面に装着するように開いた状態で、顔面から前方に凸状となる立体形をなす。後方側縁部3bの長さ(図2の上下方向の寸法)は前方側縁部3aに比べて短くされている。
【0013】
図2〜図5に示すように、一対の本体シート3、3の前方側縁部3a、3aは、長さ方向に沿って内面3c、3cが重ね合わされて1または複数の接合部5(一方側の接合部)で互いに接合されている。
図2、図4および図5に示すように、前方側縁部3a、3aの重なり部分4は、前方側縁部3aの全長にわたる略一定幅の帯状領域であり、図示例では本体シート3の前縁3g(一方側の端縁)から一定幅の領域である。
【0014】
図4(b)および図5に示すように、接合部5は本体シート3の内面3c、3cを互いに接合する部分である。
これら複数の接合部5は、1または複数の非接合部6(一方側の非接合部)(中間非接合部)によって前方側縁部3aの長さ方向に隔てられて形成されている。図示例では、接合部5は、前方側縁部3aの全長にわたって断続的に形成された略一定幅の部分である。隣り合う接合部5と非接合部6とは、前方側縁部3aの長さ方向に隣接している。
【0015】
接合部5における本体シート3どうしの接合には、本体シート3の素材として熱可塑性樹脂が用いられている場合には熱溶着を採用できる。また、ポリビニルアルコール系などの接着剤によって本体シート3どうしを接合することもできる。
本発明において、シートどうしの接合は、熱溶着、接着剤に限らず、縫製、その他いかなる方法をとることもできる。
接合部5は、本体シート3の重なり部分4の幅方向の一部または全幅を互いに接合することができる。図示例では、接合部5は本体シート3の前縁3gから間隔をおいて形成されている。
【0016】
図5および図6に示すように、非接合部6は、隣り合う接合部5、5の間にあって本体シート3、3が互いに接合されていない部分である。
非接合部6では本体シート3、3は重ね合わされているが、互いに接合されていない。
このため、図7に示すように、非接合部6では本体シート3、3の隙間11は通気可能であり、この隙間11を通してマスク本体部1の内部空間21の気体(呼気)を外部に排出することができる。
呼気が非接合部6から排出される際には、呼気中の微粒子(体液飛沫など)は非接合部6の本体シート3の内面に吸着され、外部への放出が抑えられる。非接合部6は十分な幅があるため、呼気中の微粒子を効果的に吸着し、外部への放出を抑制できる。
図11に示すように、非接合部6は内外方向に一定間隔であってもよいし、図12に示すように、外方(矢印方向)に向けて徐々に間隔が狭くなっていてもよい。
図3、図4および図6に示すように、本体シート3の前方側縁部3aは、使用者60が装着した状態では前方に突出した形態となる。
【0017】
図3に示すように、マスク本体部1は、使用者60の鼻部61の少なくとも一部と口部62とを覆うことができるように形成するのが好ましい。
マスク本体部1の後方側縁部3bの上端から下端までの高さ範囲の部分を本体部主部1A(図1および図2参照)という。本体部主部1Aは、使用者60の鼻部61の少なくとも一部と口部62とを覆うことができる。
マスク本体部1の上部の凸状部分1c(本体シート3の後方側縁部3bの上端より高い位置にある部分。すなわち本体部主部1Aから上方に突出した部分)は、目頭63aから鼻部61の上部にかけての複雑形状領域61a(人によって異なり、複雑に起伏する領域)を覆う目頭保温部として機能する。凸状部分1cは、鼻部61の上部を覆う鼻部保温部としても機能する。
図示例では、接合部5の上端5aは本体部主部1Aから突出する凸状部分1cにあって、鼻部61の上端61bに係止しており、これによってマスク本体部1はずり落ちずに顔面60aに保持される。また、接合部5の上端5aが鼻部61の上端61bに係止することによって、マスク本体部1のずり下がりを防止できるだけでなく、マスク本体部1のずり上がりも起こりにくくなる。符号1aはマスク本体部1の上端(重なり部分4を除いた部分のマスク本体部1の上端)である。符号63は目である。鼻部61の上端61bは、側方から見て凹所の最深部となる部位である。
接合部5の上端5aは、装着時に使用者60の目頭63aどうしを結ぶ線L1から使用者60の鼻部61の上端61bまでの高さ範囲に位置している。
マスク本体部1の下部の凸状部分1d(本体シート3の後方側縁部3bの下端より低い位置にある部分)は、本体部主部1Aから下方に突出した部分である。マスク本体部1の下端1b(重なり部分4を除いた部分のマスク本体部1の下端)は本体部主部1Aから突出する凸状部分1dにあって使用者60のあご64に達するように形成することができる。
【0018】
図1および図2に示すように、耳かけ部2は、マスク本体部1の本体シート3の後方側縁部3bから後方に延出して形成されている。耳かけ部2には、使用者60の耳65に引っ掛けられる耳かけ穴7が形成されている。P1は耳かけ部2の上辺部であり、耳かけ穴7より上部側の部分を含む。P2は耳かけ部2の下辺部であり、耳かけ穴7より下部側の部分を含む。
耳かけ部2は、ポリオレフィン系材料やポリエステル系材料からなる合成繊維を用いた不織布などのシートを使用できる。耳かけ部2はマスク本体部1に比べて伸縮性が高いことが好ましい。例えば、弾性的に伸縮可能な繊維を使用した不織布を用いることができる。
【0019】
上辺部P1の張力は、下辺部P2の張力より大きいことが好ましい。これによって、マスク本体部1がずり落ちるのを防ぎ、マスク本体部1を、接合部5の上端5aが鼻部61の上端61bに係止した位置に安定に保持できる。また、上辺部P1の張力を下辺部P2の張力より大きくすることで、マスク10の装着により耳65にかかる負担を軽減できる。
なお、耳かけ部2はマスク本体部1の一部としてマスク本体部1に一体的に形成されていてもよい。
【0020】
図2、図4および図8に示すように、本体シート3の後方側縁部3bの内面3cは、長さ方向に沿って耳かけ部2の前縁部2aの外面2bに重ね合わされており、この帯状の重なり部分8において本体シート3と耳かけ部2は複数の後方接合部15で互いに接合されている。 なお、本体シート3の後方側縁部3bと耳かけ部2の前縁部2aの重なり部分8は、図示例に限らず、本体シート3の外面と耳かけ部2の内面が重ね合わされていてもよい。
【0021】
図2および図4(c)に示すように、後方接合部15(他方側の接合部)は本体シート3の内面3cと耳かけ部2の外面2bとを接合する部分である。これら複数の後方接合部15は、1または複数の後方非接合部16(他方側の非接合部)によって後方側縁部3bの長さ方向に隔てられて形成されている。図示例では、後方接合部15は、後方側縁部3bの長さ方向に沿って断続的に形成された略一定幅の部分である。
後方接合部15における本体シート3と耳かけ部2との接合には、熱溶着や接着剤を用いることができる。
後方接合部15は、本体シート3と耳かけ部2との重なり部分8の全幅にわたってこれらを互いに接合することもできるし、重なり部分8の幅方向の一部を互いに接合することもできる。
【0022】
図5および図8に示すように、後方非接合部16は、隣り合う後方接合部15、15の間にあって本体シート3と耳かけ部2とが互いに接合されていない部分である。
後方非接合部16では本体シート3と耳かけ部2とは重ね合わされているが、互いに接合されていない。このため、図9に示すように、後方非接合部16では本体シート3と耳かけ部2との隙間12は通気可能であり、この隙間12を通してマスク本体部1の内部空間21の空気を外部に排出することができる。
呼気が後方非接合部16から排出される際には、呼気中の微粒子(体液飛沫など)は後方非接合部16(本体シート3)の内面および耳かけ部2の外面2bに吸着され、外部への放出が抑えられる。後方非接合部16は十分な幅があるため、呼気中の微粒子を効果的に吸着し、外部への放出を抑制できる。
【0023】
本体シート3と耳かけ部2とが重なり部分8において複数の後方接合部15で互いに接合される構造は、2つの耳かけ部2のうち一方と本体シート3との重なり部分8にのみ採用してもよいし、2つの耳かけ部2の両方について、本体シート3との重なり部分8に採用してもよい。
【0024】
以下、マスク10の使用方法について説明する。
図3に示すように、マスク10は、マスク本体部1が使用者60の鼻部61の少なくとも一部と口部62とを覆うように装着することができる。
図示例では、マスク本体部1の目頭保温部1c(鼻部保温部)が目頭63aから鼻部61の上部にかけての複雑形状領域61a(人によって異なり、複雑に起伏する領域)を覆い、マスク本体部1の接合部5の上端5aは本体部主部1Aから突出して鼻部61の上端61bに達している。マスク本体部1の下端1b(前方側縁部3aの下端)は本体部主部1Aから突出して使用者60のあご64に達している。
【0025】
図13は、人体頭部の構造を示す断面図である。この図において、正中線Yの左右に存在する空洞部が鼻腔Mである。
この鼻腔Mの両側に、それぞれ鼻腔Mと連通して、眼腔近辺に達する篩骨洞S1と、頬骨近辺に達する上顎洞S2とが副鼻腔である。
図3に示す装着状態にあっては、マスク本体部1によって鼻部61の大部分が覆われるため、鼻腔Mと副鼻腔(篩骨洞S1および上顎洞S2)との双方が保温されることになる。
【0026】
図7および図10に示すように、本体シート3の前方側縁部3aの非接合部6では、本体シート3の隙間11を通した通気が可能である。
このため、使用者60の呼気によってマスク本体部1の内部空間21の気圧が高まると、呼気の一部は非接合部6における隙間11を通して外部に排出される。このため、呼気が内部空間21内に充満することがなく、内部空間21内の酸素濃度低下を改善することができる。従って、使用者60の健康阻害を低減できる。
【0027】
呼気が隙間11から排出される際には、気流による気圧低下によって本体シート3、3が互いに離隔しにくくなる。本体シート3は繊維からなる構造体であるため、内面3cは微視的には平滑面ではなく凹凸を有することから、呼気中の微粒子(体液飛沫など)は内面3cに吸着され、外部への放出が抑えられる。重なり部分4には十分な幅があるため、呼気中の微粒子を効果的に吸着し、外部への放出を抑制できる。
【0028】
図9および図10に示すように、使用者60の呼気の他の一部は、本体シート3の後方側縁部3bと耳かけ部2の前縁部2aとの重なり部分8の後方非接合部16における隙間12から外部に排出される。このため、内部空間21内の酸素濃度の低下を改善し、使用者60の健康阻害を低減できる。
呼気が隙間12を通過する際には、気流による気圧低下によって本体シート3と耳かけ部2とが離隔しにくくなるため、呼気中の微粒子の一部は本体シート3の内面3cおよび耳かけ部2の外面2bに吸着される。重なり部分8には十分な幅があるため、呼気中の微粒子を効果的に吸着し、外部への放出を抑制できる。
【0029】
図7に示すように、使用者60の呼気の他の一部はマスク本体部1の本体シート3を透過して外部に排出される。この際、呼気中の微粒子の一部は本体シート3に捕捉される。
【0030】
図6に示すように、吸気の際には、内部空間21の気圧低下により非接合部6の本体シート3、3の前方側縁部3a、3aは閉じ合わされ、隙間11から内部空間21への外気流入は抑制される。
同様に、図8に示すように、本体シート3の後方側縁部3bと耳かけ部2の前縁部2aとの重なり部分8においても、本体シート3と耳かけ部2とは閉じ合わされ、隙間12から内部空間21への外気流入は抑制される。
【0031】
図6および図8に示すように、隙間11、12からの外気流入が抑制されるため、吸気として内部空間21に導入される外気の大部分は本体シート3を透過する。この際、外気中の微粒子(体液飛沫、花粉など)は本体シート3に捕捉されるため、捕捉性能の低下はない。
従って、マスク10では、捕捉性能を低下させることなく、内部空間21内に呼気が充満することによる酸素濃度低下を改善し、使用者60の健康阻害を低減できる。
【0032】
本発明のマスクに用いる本体シートは1枚のシート体から構成してもよいし、複数枚のシート体から構成してもよい。
図14および図15は、本体シートの他の例を示すもので、図14は前方側縁部3aの接合部5の断面図、図15は非接合部6の断面図である。
本体シート3は、3枚のシート体13aからなる積層構造体である。シート体13aとしては、ポリオレフィン系材料やポリエステル系材料からなる合成繊維を用いた不織布を使用できる。
シート体13aには、エレクトレット化(エレクトレット処理)を施すことができる。
エレクトレット化は、繊維表面に所定量の正電荷または負電荷を与えて分極させた誘電状態を形成する処理である。エレクトレット化処理には、既知の方法、例えばコロナ放電によりシート体13aを荷電させる方法を採用できる。
図16に示すように、呼気が非接合部6の隙間11を通過する際には、気流による気圧低下によって本体シート3、3どうしが離隔しにくくなるため、呼気中の微粒子(体液飛沫など)の一部はシート体13aの内面13cに吸着される。
シート体13aがエレクトレット化されることによって、呼気中の微粒子は電気的にシート体13aに吸引される。このため、微粒子の吸着性能を高めることができる。
図15に示すように、吸気の際には、内部空間21の気圧低下により本体シート3、3は閉じ合わされ、隙間11から内部空間21への外気流入は抑制される。
吸気の大部分は本体シート3を透過するため、外気中の微粒子(体液飛沫、花粉など)は本体シート3に捕捉される。
【0033】
<第2実施形態>
図17は、本発明の第2実施形態に係るマスク20の斜視図である。マスク20は一般マスク(一般的形状のマスク)である。以下の実施形態の説明においては、既出の構成については同一符号を付して説明を簡略化または省略することがある。
マスク20は、図1〜図3等に示すマスク10とは異なり、マスク本体部1の上縁部1dは比較的低い位置にあり、図示例では、上縁部1dは目頭63aどうしを結ぶ線L1より下方に位置している。マスク20のその他の構成はマスク10と同様とすることができる。
このマスク20では、マスク10と同様に、捕捉性能を低下させることなく、内部空間21内の酸素濃度低下を改善することができる。
【0034】
<第3実施形態>
図18は、本発明の第3実施形態に係るマスク30の斜視図である。図19は、マスク30の要部拡大図である。図20は、マスク30の折りたたんだ状態の側面図である。図21は、マスク30の前方側縁部の端部非接合部17の断面図である。図22は、端部非接合部17の動作を示す断面図である。図23は、マスク30を使用者の顔に装着した状態を示す要部拡大図である。
【0035】
図18〜図21に示すように、マスク30は、本体シート3の前方側縁部3aの上端部3f(重なり部分4の上端部)を含む部分が端部非接合部17となっていること以外は図1〜図3等に示す第1実施形態のマスク10と同じ構成である。
図20に示すように、端部非接合部17は、前方側縁部3aの上端から前方側縁部3aの長さ方向にわたる非接合部分であり、その長さL2は例えば5〜7mmとすることができる。端部非接合部17では、本体シート3、3は重ね合わされているが互いに接合されていないため、力が加えられると姿勢が容易に変化する。
【0036】
このため、図22に示すように、本体シート3、3に互いに離れる方向(図22の左右方向)の力が加えられると、本体シート3の曲げ弾性により、前方側縁部3aの姿勢は折り曲げ角度が小さくなるよう変化する。例えば、図21に示す状態では、前方側縁部3aは他の部分に対してほぼ垂直に折り曲げられているが、図22に示す状態ではその折り曲げ角度が小さくなっている。
端部非接合部17では、前方側縁部3a、3aは、前縁3g、3gのみが互いに接し、他の部分は互いに離間した姿勢をとることができる。すなわち、前方側縁部3a、3aは、前縁3g、3gを残して開いた形態となる。
【0037】
図22および図23に示すように、使用者60の顔に装着されたマスク30の端部非接合部17は、前縁3g、3gを残して側方に開いた形態となり、使用者60の顔面60a、例えば目頭63aから鼻部61の上部にかけての複雑形状領域61a(人によって異なり、複雑に起伏する領域)に接する。端部非接合部17は、少なくとも目頭63aおよびその近傍領域を面密着的に覆う。
端部非接合部17は、顔面60aに沿って広がった状態で複雑形状領域61aに面密着的に当接するため、大きな接触面積で複雑形状領域61aに接し、複雑形状領域61aにおける保温効果を高め、特に目頭や鼻部上部等の花粉症などのアレルギー性疾患の予防および症状緩和を図ることができる。特に、端部非接合部17が目頭63aおよびその近傍領域を覆い、この領域を保温することによって、特に目頭や鼻部上部等のアレルギー性疾患(痒みや鼻水等)を効果的に予防および症状緩和することができる。
【0038】
マスク30では、本体シート3(前方側縁部3a)の顔面60aに対する接触面積が大きくなるため、顔面60aに加えられる押圧力が分散されることから、使用者60の不快感を抑えることができる。
また、図23に示すように、開いた形態で顔面60aに接する端部非接合部17の曲げ弾性によって、接合部5の上端5aが顔面60aに加える力が緩和される。よって、図24に示すように、接合部25が前方側縁部3aの上端にまで達する従来品に比較して、接合部5が顔面60aに当たることによる使用者60の不快感を抑制できる。
【0039】
<第4実施形態>
図18〜図21等に示すマスク30では、端部非接合部17において上端部3f、3fはほとんど互いに離間していないが、図25に示すように、端部非接合部17において上端部3f、3fの一部が互いに離間する構成も可能である。
【0040】
<第5実施形態>
図26は、本発明の第5実施形態に係るマスク40の折りたたんだ状態の側面図である。図27は、マスク40を使用者の顔に装着した状態を示す斜視図である。
マスク40は、本体シート3の前方側縁部3aの上端部(重なり部分4の上端部)に切欠き部18が形成されることによって、本体シート3の上端部3hが互いに非接合となっていること以外は図18〜図21等に示す第3実施形態のマスク30と同じ構成である。
切欠き部18は、前方側縁部3aの上端から前方側縁部3aの長さ方向にわたる切り欠き部分であり、その長さL3は例えば5〜7mmとすることができる。切欠き部18の幅は、重なり部分4と同じ幅とすることができる。
切欠き部18の内縁18a(側縁部)は、前方側縁部3aに沿う方向に形成されており、切欠き部18が形成された部分における本体シート3の前方側縁部といえる。この前方側縁部18aを含む部分である本体シート3の上端部3hは、上方に凸状となっており、マスク20を装着したときには、一対の本体シート3、3の上端部3h、3hは互いに離間した形態となる。
【0041】
マスク40では、本体シート3の上端部3hが互いに非接合となっているため、上端部3h、3hが開いた形態となって目頭63aから鼻部61の上部にかけての複雑形状領域61a(人によって異なり、複雑に起伏する領域)に大きな接触面積で面密着的に当接する。従って、この複雑形状領域61aにおける保温効果を高め、特に目頭等の花粉症などのアレルギー性疾患の予防および症状緩和を図ることができる。
【0042】
<第6実施形態>
図28は、本発明の第5実施形態に係るマスク50を使用者の顔に装着した状態を示す要部拡大図である。
マスク50は、耳かけ部2の外面側に、耳65を覆う耳カバー51が設けられていること以外は図1〜図3等に示す第1実施形態のマスク10と同じ構成である。
耳カバー51は、耳かけ部2とほぼ同じ外形を有する不織布等を使用できる。耳カバー51の使用により、耳65(例えば耳介および外耳道)の保温や外気中の微粒子の除去が可能となる。
従って、特に耳介および外耳道などの保温効果を高めるとともに外気中の微粒子を除去し、耳のアレルギー性疾患の予防および症状緩和を図ることができる。
【0043】
<第7実施形態>
図29は、本発明の第7実施形態に係るマスク10Aの斜視図である。
マスク10Aは、本体シート3の前方側縁部3aが全長にわたって連続的に互いに接合されていること以外は図1〜図3等に示すマスク10と同じ構成である。符号35は前方側縁部3aを全長にわたって連続的に接合する接合部である。
【0044】
<第8実施形態>
図30は、本発明の第8実施形態に係るマスク10Bの斜視図である。
マスク10Bは、本体シート3の前方側縁部3aの上端部3f(重なり部分4の上端部)を含む部分が端部非接合部17となっていること以外は図29に示すマスク10Aと同じ構成である。このマスク10Bでは、端部非接合部17を除く部分の前方側縁部3aは、接合部45によって全長にわたって連続的に互いに接合されている。
端部非接合部17と接合部45とは、前方側縁部3aの長さ方向に互いに隣接している。
図示例では、本体シート3と耳かけ部2とは、複数の後方接合部15で断続的に互いに接合されているが、本体シート3と耳かけ部2とが全長にわたって連続的に互いに接合されていてもよい。
【0045】
<第9実施形態>
図31は、本発明の第9実施形態に係るマスク10Cの斜視図である。
マスク10Cは、本体シート3の後方側縁部3bと耳かけ部2の前縁部2aとが、接合部75によって連続的に全長にわたって連続的に互いに接合されていること以外は図1〜図3等に示すマスク10と同じ構成である。
【0046】
<第10実施形態>
図32は、本発明の第10実施形態に係るマスク10Dの斜視図である。
マスク10Dでは、本体シート3に開口部54が形成され、開口部54は、本体シート3に重ねて設けられたカバーシート53(重ねシート)により覆われている。
図示例では、開口部54およびカバーシート53はいずれも略円形であり、カバーシート53の径は開口部54の径より大きい。カバーシート53は開口部54と同心円をなすように配置されている。このため、開口部54の内周縁部54aは、カバーシート53の外周縁部53aに重ね合わされている。外周縁部53aと内周縁部54aとの重なり部分57は略円形のリング形の帯状領域であり、重なり部分57では、本体シート3とカバーシート53とが1または複数の接合部55によって互いに接合されている。
【0047】
重なり部分57では、接合部55と非接合部56とが互いに隣接している。図示例では、複数の接合部55が1または複数の非接合部56によって開口部54の周方向に隔てられている。
非接合部56は、マスク本体部1内の使用者の呼気を外部に排出可能であり、かつ吸気を流入抑制可能である。すなわち、呼気は開口部54から本体シート3とカバーシート53との隙間を通して排出され、吸気の際には、本体シート3とカバーシート53とが閉じ合わされて外気流入を抑制する。
マスク10Dでは、本体シート3の前方側縁部3aは、接合部35によって全長にわたって連続的に互いに接合されている。本体シート3の後方側縁部3bと耳かけ部2の前縁部2aとは、接合部75によって全長にわたって連続的に互いに接合されている。
なお、開口部54およびカバーシート53は2つの本体シート3のうち一方にのみ設けてもよいし、両方に設けてもよい。また、開口部の形状、形成位置および数は図示例に限定されない。図示例の略円形に限らず、スリット状、矩形状、その他、任意の形状としてよい。開口部の数は1でもよいし、2以上の任意の数でもよい。
【0048】
<第11実施形態>
図33は、本発明の第11実施形態に係るマスク10Eの斜視図である。
マスク10Eでは、本体シート3は、外形が互いに同じ内層13a1と外層13a2とを積層した積層構造を有する。内層13a1および外層13a2は例えば不織布などからなる。内層13a1には、略円形の開口部54Aが形成され、開口部54Aは、外層13a2(重ねシート)により覆われている。
図示例では、開口部54A以外の部分の内層13a1は外層13a2に重ね合わされている。内層13a1と外層13a2とが重ね合わされた部分を重なり部分57Aという。重なり部分57Aのうち、接合部35(前方側縁部3aが全長にわたって連続的に接合された部分)と、接合部75(本体シート3の後方側縁部3bと耳かけ部2の前縁部2aとが連続的に接合された部分)とを除く部分は、これら接合部35、75に隣接する非接合部76となっている。
【0049】
外層13a2には、開口部54Aの内周縁部54aよりも径方向外方に、排気口77を形成することができる。図示例の排気口77は開口部54Aと同心の円弧状のスリットである。排気口77は、例えば外層13a2に形成された線状の切れ目であってよい。排気口77の形状、形成位置および数に特に限定はない。図33の排気口77Aは上下方向に沿うスリットであり、後方側縁部3bに近い位置に形成されている。排気口77Bは本体シート3の上縁部3dに沿うスリットであり、上縁部3dに近い位置に形成されている。排気口の数は1でもよいし、2以上の任意の数でもよい。
【0050】
非接合部76は、マスク本体部1内の使用者の呼気を外部に排出可能であり、かつ吸気を流入抑制可能である。すなわち、呼気は、開口部54Aから出て、内周縁部54aから排気口77にかけての非接合部76の内層13a1と外層13a2との間を通って排気口77から排出される。吸気の際には、内周縁部54aから排気口77にかけての非接合部76の内層13a1と外層13a2とが閉じ合わされて外気流入を抑制する。
また、開口部の形状、形成位置および数も図示例に限定されない。図示例の略円形に限らず、スリット状、矩形状、その他、任意の形状としてよい。開口部の数は1でもよいし、2以上の任意の数でもよい。
マスク10Eは、排気口77を形成しない構成も可能である。この場合、内層13a1と外層13a2との間の呼気は、例えば本体シート3の上縁部3dまたは下縁部3eから外部に排出可能としてもよい。
マスク10Eは、内層13a1(マスク本体部)に重ねて設置される外層13a2(重ねシート)を備え、これら内層13a1と外層13a2の重なり部分57Aに非接合部76が形成された構造である。
【0051】
<第12実施形態>
図34は、本発明の第12実施形態に係るマスク10Fの斜視図である。
マスク10Fでは、マスク本体部1が1枚のシートからなること以外は図1〜図3等に示すマスク10と同じ構成である。
【0052】
本発明のマスクは、マスク本体部が、遠赤外線放射素材、金属箔、鉄粉含有発熱材料、血行促進剤、マイナスイオン発生素材、磁石、吸湿発熱素材、および蓄熱シートからなる群から選択された1または2以上(以下、機能性材料という)を含む構成としてもよい。
例えば本体シートを構成する少なくとも1つのシート体が、前記機能性材料を含む構成とすることができる。
【0053】
遠赤外線放射素材とは、人体または外部から放射される熱を受けて遠赤外線に転化できる材料であって、例えばAl2O3、SiO2、TiO2、Cr2O3、ZrO2、MgO、Fe2O3などの金属酸化物;SiC、TiC、ZrC、B4Cなどの炭素化合物;Si3N4、BN、AlNなどの窒化物;またはそれらの2以上の複合体などのいわゆる遠赤外線放射性セラミクスが使用可能である。遠赤外線放射素材の使用によって、保温効果を高めることができる。
金属箔としてはアルミニウム箔などがあり、本体シートを構成する不織布に積層して使用できる。金属箔の使用によって保温効果を高めることができる。
【0054】
鉄粉含有発熱材料は、鉄粉が空気中の酸素および水分と反応する際の反応熱を利用するものであって、例えば、鉄粉と、食塩と、必要に応じて酸化触媒とを含む。鉄粉含有発熱材料は、袋に封入してシート状に構成したものを加温体として使用できる。加温体は、使用時に密封容器から取り出すことによって空気中の酸素と反応して発熱し、マスク本体部内を加温することができる。
血行促進剤としては、例えばサルチル酸メチル、カンファ、メントール類、各種香油類、ヒノキ油、ヒバ油、トウガラシチンキなどが使用できる。血行促進剤を使用すると、揮発性成分が皮膚に浸透して皮下の毛細血管の血行を促進することができる。
マイナスイオン発生素材としては、例えばトルマリン粉末、電気分解アルカリイオン水を使用できる。
磁石は、磁力を皮下の毛細血管に作用させて血行を促進することができる。
【0055】
吸湿発熱素材は、水分を吸収することにより発熱する機能を備えたものであって、例えばアクリレート系材料、セルロース系材料などがある。吸湿発熱素材は、例えば顔面から発汗される汗を吸収することにより発熱する。
蓄熱シートとしては、CMC、PVA、アクリル酸ポリマー等のゲル状の蓄熱剤を袋に封入してシート状に構成したものを使用できる。蓄熱シートは、電子レンジ等により加温できる。蓄熱シートをマスクに使用することによって、使用者の顔面を加温することができる。蓄熱シートは、電子レンジ等を用いて加熱すれば使用済み品を再利用できるため、鉄粉含有発熱材料等とは異なり、繰り返して使用できる。
【0056】
前記機能性材料(遠赤外線放射素材、金属箔、鉄粉含有発熱材料、血行促進剤、マイナスイオン発生素材、磁石、吸湿発熱素材、および蓄熱シートからなる群から選択された1または2以上)は、マスク本体部の一部または全部に積層、含浸等することで使用できる。前記機能性材料の使用位置(例えば加温体の取り付け位置)は特に限定されないが、目頭保温部1c(鼻部保温部)に使用するのが好ましい。前記機能性材料の使用形態(例えば加温体の取り付け形態)は特に限定されず、いかなる形態であってもよい。
前記機能性材料の使用による加温、保温、血行促進などによって、花粉症などのアレルギー性疾患の予防および症状緩和を図ることができる。
【0057】
<第13実施形態>
図35は、本発明の第13実施形態に係るマスク10Gの断面図である。
マスク10Gは、前記機能性材料の使用例である。
マスク10Gの本体シート3は、複数の不織布などからなるシート体13aを積層した積層構造を有する。
シート体13a、13a間には、介装層13bが介装されている。介装層13bは、前記機能性材料を含む層である。
【0058】
本発明のマスクは、袋に封入してマスク封入体とすることができる。特に、前記機能性材料を用いる場合には、袋に封入することによって前記機能性材料の劣化防止を図ることできる。
袋としては、マスクを密封状態で収容できるものが用いられる。袋としては、ガスバリア性を有するものが好適である。例えば、鉄粉含有発熱材料を使用する場合には、マスクの使用前に材料が発熱するのを防ぐために上記材料が酸素に触れるのを防ぐ必要があるが、ガスバリア性を有する袋は、外気中の酸素と上記材料との接触を断つために有効である。
また、袋としては、水分バリア性を有するものを使用することができる。例えば、吸湿発熱素材を使用する場合には、マスクの使用前に材料が発熱するのを防ぐために上記材料が水分に触れるのを防ぐ必要があるが、水分バリア性を有する袋は、外部の水分と上記材料との接触を断つために有効である。
ガスバリア性および水分バリア性が高い材料としては、ポリプロピレン、ポリエチレンおよびポリメチルペンテン等がある。このため、ポリプロピレン、ポリエチレンおよびポリメチルペンテンのうち1または2以上からなる袋を使用することができる。
ポリプロピレン、ポリエチレンおよびポリメチルペンテンは、耐熱性が高く、しかも電子レンジで加熱した場合でも有害物質(有害ガス等)が発生しにくい。このため、マスクに蓄熱シートを使用し、このマスクを袋に入れた状態で蓄熱シートを電子レンジで加温する場合に好適である。
図36はマスク封入体81を示すもので、(a)は平面図であり、(b)は断面図である。マスク封入体81は、マスク10と、マスク10を封入した袋80とからなる。マスク10は、袋80から取り出して使用できる。
【0059】
本発明は、前記機能性材料を使用したマスクを提供する。前記機能性材料を使用する場合には非接合部はあってもよいし、なくてもよい。非接合部のないマスクとしては、図37に示したマスク110を例示できる。このマスク110は、前方側縁部103aどうしが全長にわたって連続的に接合された一対の本体シート103からなるマスク本体部101と、耳かけ部102とを有する。本体シート101と耳かけ部102とは縁部の全長にわたって連続的に接合されている。
前記機能性材料は、図35に示す構造において介装層13bとして使用できる。図36に示すように、マスク110は、袋80に封入してマスク封入体81とすることができる。蓄熱シートを使用する場合には、マスク110を電子レンジで処理することで蓄熱シートを加温することができる。マスク110は、袋80に入れた状態で電子レンジで処理することもできる。マスク110は、非接合部以外の構成については、上述の第1〜第13実施形態の構成を採用することができる。
マスク110は、シートからなるマスク本体部101と、マスク本体部101の両側部にそれぞれ設けられたシートからなる耳かけ部102とを備え、マスク本体部101に前記機能性材料が使用されている。前記機能性材料は、マスク本体部101の一部または全部に積層して用いることができる。なお、前記機能性材料は、マスク本体部101に対していかなる形態で装着してもよい。
【符号の説明】
【0060】
1・・・マスク本体部、2・・・耳かけ部、2a・・・耳かけ部の前縁部、3・・・本体シート、3a・・・本体シートの前方側縁部(一方の側縁部)(前縁部)、3b・・・本体シートの後方側縁部(他方の側縁部)(後縁部)、3c・・・本体シートの内面、3f・・・本体シートの前方側縁部の上端部、3g・・・前端縁(一方の端縁)、4・・・本体シートの前方側縁部の重なり部分、5・・・接合部(一方側の接合部)、6・・・非接合部(一方側の非接合部)、7・・・耳かけ穴、8・・・本体シートの後方側縁部と耳かけ部の前縁部との重なり部分、10、20、30、40、50、10A〜10G・・・マスク、11・・・本体シートの前方側縁部の隙間、12・・・本体シートの後方側縁部と耳かけ部の前縁部との隙間、13a・・・シート体、13b・・・介装層(機能性材料を含む層)、15・・・後方接合部(他方側の接合部)、16・・・後方非接合部(他方側の非接合部)、17・・・端部非接合部、53・・・カバーシート、35、55、75・・・接合部、56、76・・・非接合部、60・・・使用者、61・・・鼻部、61b・・・鼻部の上端、62・・・口部、80・・・袋、81・・・マスク封入体、P1・・・上辺部、P2・・・下辺部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、鼻部の少なくとも一部と口部を覆うように顔に装着されるマスク、およびマスクを袋に収容したマスク封入体に関する。
【背景技術】
【0002】
風邪などの感染症やアレルギー性疾患を予防することなどを目的として、鼻部および口部を覆うマスクが使用されている。マスクには、微粒子(例えば風邪等の原因となる体液飛沫や、アレルギー性疾患の原因となる花粉、ハウスダストなど)等を捕捉する性能が求められる。
近年では、顔面の形状に応じた立体形状を有するマスクが注目されている。
図37は、従来のマスクの一例を示すもので、このマスク110は、鼻部および口部を覆うマスク本体部101と、マスク本体部101の両側部にそれぞれ設けられた耳かけ部102とを備えている。
マスク本体部101は、前方側縁部103aどうしが接合された一対の本体シート103からなる。本体シート103の前方側縁部103aは略円弧状に湾曲した形状であり、全長にわたって互いに接合されている。
耳かけ部102が使用者の耳に掛けられることによって、マスク110は使用者の顔面に装着される。本体シート103の前方側縁部103aが湾曲した形状となっているため、マスク本体部101は顔面の形状に応じた立体形状となり、顔面の広い範囲を覆う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−273726号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来から、血中の酸素濃度が低下すると健康を害するおそれがあるといわれている。前記マスク110では、マスク本体部101内の空間に使用者の呼気が充満し、この空間の酸素濃度が低下することによって、使用者の健康に問題が生じるおそれがあった。
通気性の高い素材からなるマスク本体部101を使用したり、顔面に対する隙間が大きくなる構造のマスク本体部101を採用すれば、呼気の排出性能が高められるため、息苦しさの問題は改善できる。
しかしながら、通気性の高いマスク本体部101を使用すると、微粒子(飛沫、花粉など)等がマスク本体部101に捕捉されにくくなる。また、顔面に対する隙間が大きくなる構造のマスク本体部101を採用すれば、マスク本体部101を透過しない呼気および吸気の割合が多くなるため微粒子の捕捉性能が低くなる。このため、マスク内の酸素濃度の改善と捕捉性能の両立は難しかった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、微粒子等の捕捉性能に優れ、かつマスク内の呼気の充満を改善し、この空間の酸素濃度を改善することにより使用者の健康阻害を改善するマスクおよびマスク封入体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、シートからなるマスク本体部と、前記マスク本体部の両側部にそれぞれ設けられたシートからなる耳かけ部とを備え、前記マスク本体部と耳かけ部の少なくとも1つは、前記シートが他のシートに重ね合わされた重なり部分で前記シートが互いに接合する1または複数の接合部を有し、前記接合部は、前記重なり部分で前記シートが互いに接合しない1または複数の非接合部に接し、前記非接合部は、前記マスク本体部内の使用者の呼気を外部に排出可能であり、かつ吸気を流入抑制するマスクを提供する。
本発明のマスクは、前記マスク本体部が、前縁部の内面どうしが重ね合わされた一対の本体シートからなり、前記本体シートの後縁部は、前記耳かけ部のシートの前縁部と重ね合わされ、前記非接合部が、前記本体シートどうしの重なり部分と、前記本体シートと前記耳かけ部との重なり部分とのうち、少なくとも1つに形成されている構成が好ましい。
本発明のマスクは、前記非接合部が、前記本体シートと前記耳かけ部との重なり部分の少なくとも1つに形成され、前記本体シートどうしの重なり部分が、前記縁部の全長にわたって連続的に前記本体シートどうしが接合されている構成とすることができる。
本発明のマスクは、前記非接合部が、前記本体シートどうしの重なり部分に形成され、前記本体シートと前記耳かけ部との重なり部分は、前記縁部の全長にわたって連続的に前記シートどうしが接合されている構成とすることができる。
本発明のマスクは、前記マスク本体部に重ねて設置される重ねシートをさらに備え、前記マスク本体部と前記重ねシートとの重なり部分に、前記非接合部が形成される構成とすることができる。
本発明のマスクは、前記マスク本体部のシートの後縁部が、前記耳かけ部のシートの前縁部の外面側に重ね合わされていることが好ましい。
本発明のマスクは、前記マスク本体部は、使用者の顔面に装着するように開いた状態で、顔面から前方に凸状となる立体形をなすことが好ましい。
前記重なり部分は、前記シートの縁部の長さ方向に延在する帯状領域であることが好ましい。
前記非接合部は、前記シートの縁部の全長にわたって断続的に形成されていることが好ましい。
前記マスク本体部は、複数のシート体の積層体からなる構成としてよい。
前記マスク本体部は、使用者の鼻部の上部を覆う凸状部分である目頭保温部を有する構成としてよい。
本発明のマスクは、前記マスク本体部が、前縁部の内面どうしが重ね合わされた一対の本体シートからなり、前記非接合部が、前記本体シートどうしの重なり部分の上端部を含む部分に形成されていることが好ましい。
前記耳かけ部は、耳かけ穴より上部側の上辺部と、前記耳かけ穴より下部側の下辺部とを有し、前記上辺部の張力は前記下辺部の張力より大きい構成としてよい。
本発明のマスクは、前記マスク本体部に、これを構成する繊維表面に所定量の正電荷または負電荷を与えて分極させた誘電状態を形成するエレクトレット処理が施されている構成としてよい。
前記マスク本体部は、遠赤外線放射素材、金属箔、鉄粉含有発熱材料、血行促進剤、マイナスイオン発生素材、磁石、吸湿発熱素材、および蓄熱シートからなる群から選択された1または2以上を含む構成としてよい。
前記マスク本体部は、複数のシートを積層した積層構造を有し、前記積層されたシート間に、遠赤外線放射素材、金属箔、鉄粉含有発熱材料、血行促進剤、マイナスイオン発生素材、磁石、吸湿発熱素材、および蓄熱シートからなる群から選択された1または2以上を含む層を介装した構成としてよい。
本発明は、前記マスクが、袋に封入されたマスク封入体を提供する。
前記袋は、ガスバリア性または水分バリア性を有することが好ましい。
前記袋は、ポリプロピレン、ポリエチレンおよびポリメチルペンテンのうち1または2以上からなることが好ましい。
【0006】
本発明のマスクは、マスク本体部と、前記マスク本体部の両側部にそれぞれ設けられた耳かけ部とを備え、前記マスク本体部は、一方の側縁部どうしが接合された一対の本体シートからなり、前記一対の本体シートの前記一方の側縁部は、長さ方向に沿って内面どうしが重ね合わされて複数の接合部で互いに接合され、前記複数の接合部は、1または複数の非接合部によって前記側縁部の長さ方向に隔てられ、前記非接合部は、前記マスク本体部内の使用者の呼気を外部に排出可能であり、かつ吸気を流入抑制する。
前記一方の側縁部の内面どうしが重ね合わされた部分は、前記側縁部の長さ方向にわたる帯状領域であることが好ましい。
前記接合部は、前記一方の側縁部の全長にわたって断続的に形成されていることが好ましい。
本発明のマスクは、前記本体シートの他方の側縁部は、長さ方向に沿って耳かけ部の前縁部の外面側に重ね合わされて複数の他方側接合部で互いに接合され、前記複数の他方側接合部は、1または複数の他方側非接合部によって前記他方の側縁部の長さ方向に隔てられ、前記他方側非接合部は、前記マスク本体部内の使用者の呼気を外部に排出可能であり、かつ吸気を流入抑制することが好ましい。
前記本体シートは、複数のシート体の積層体からなる構成としてもよい。
前記マスク本体部は、使用者の鼻部の上部を覆う凸状部分である目頭保温部を有する構成としてもよい。
本発明のマスクは、前記本体シートの一方の側縁部の重ね合わされた部分の上端部を含む部分が前記非接合部とされている構成も可能である。
前記本体シートは、遠赤外線放射素材、金属箔、鉄粉含有発熱材料、血行促進剤、マイナスイオン発生素材、磁石、吸湿発熱素材、および蓄熱シートからなる群から選択された1または2以上を含むものであってよい。
前記耳かけ部は、耳かけ穴より上部側の上辺部と、前記耳かけ穴より下部側の下辺部とを有し、前記上辺部の張力は前記下辺部の張力より大きい構成としてよい。
前記本体シートには、これを構成する繊維表面に所定量の正電荷または負電荷を与えて分極させた誘電状態を形成するエレクトレット処理を施してよい。
前記耳かけ部の外面側には、使用者の耳を覆う耳カバーが設けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、非接合部からの呼気排出が可能であるので、使用者の呼気によってマスク本体部の内部空間の気圧が高まると、呼気の一部は非接合部におけるシートの隙間を通して外部に排出される。
このため、呼気の内部空間内での充満を改善し、内部空間内の酸素濃度低下を改善することができる。従って、使用者の健康阻害を低減できる。
また、呼気が非接合部から排出される際には、呼気中の微粒子(体液飛沫など)は非接合部(シート)の内面に吸着され、外部への放出が抑えられる。
一方、吸気の際には、内部空間の気圧低下により非接合部のシートは閉じ合わされ、この隙間からの外気流入は抑制される。
隙間からの外気流入が抑制されるため、吸気として内部空間に導入される外気の大部分はシートを透過する。外気中の微粒子(体液飛沫、花粉など)はシートに捕捉されるため、捕捉性能の低下はない。
従って、本発明によれば、捕捉性能を低下させることなく、内部空間内に呼気が充満することによる酸素濃度低下を改善し、使用者の健康阻害を低減できる。
【0008】
本発明によれば、本体シートの側縁部の内面どうしが重ね合わされて複数の接合部で互いに接合され、前記接合部間の非接合部からの呼気排出が可能であるので、使用者の呼気によってマスク本体部の内部空間の気圧が高まると、呼気の一部は非接合部における本体シートの隙間を通して外部に排出される。
このため、呼気の内部空間内での充満を改善し、内部空間内の酸素濃度低下を改善することができる。従って、使用者の健康阻害を低減できる。
また、呼気が非接合部から排出される際には、呼気中の微粒子(体液飛沫など)は非接合部(本体シート)の内面に吸着され、外部への放出が抑えられる。
一方、吸気の際には、内部空間の気圧低下により非接合部の本体シートは閉じ合わされ、この隙間からの外気流入は抑制される。
隙間からの外気流入が抑制されるため、吸気として内部空間に導入される外気の大部分は本体シートを透過する。外気中の微粒子(体液飛沫、花粉など)は本体シートに捕捉されるため、捕捉性能の低下はない。
従って、本発明によれば、捕捉性能を低下させることなく、内部空間内に呼気が充満することによる酸素濃度低下を改善し、使用者の健康阻害を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1実施形態に係るマスクの斜視図である。
【図2】図1のマスクの折りたたんだ状態の側面図である。
【図3】図1のマスクを使用者の顔に装着した状態を示す斜視図である。
【図4】図1のマスクの断面図であり、(a)は全体図、(b)は前方側縁部の拡大図、(c)は後方側縁部の拡大図である。
【図5】図1のマスクの本体シートおよび接合部を示す構成図である。
【図6】図1のマスクの前方側縁部の非接合部の断面図である。
【図7】非接合部の動作を示す断面図である。
【図8】図1のマスクの後方側縁部の非接合部の断面図である。
【図9】図1の後方側縁部側の非接合部の動作を示す断面図である。
【図10】図1のマスクを装着した際の呼気の流れを示す模式図である。
【図11】図1のマスクの接合部を示す構成図である。
【図12】図1のマスクの接合部の変形例を示す構成図である。
【図13】人体頭部の構造を示す断面図である。
【図14】本体シートの他の例を用いたマスクの前方側縁部の接合部の断面図である。
【図15】前図に示すマスクの前方側縁部の非接合部の断面図である。
【図16】非接合部の動作を示す断面図である。
【図17】本発明の第2実施形態に係るマスクを使用者の顔に装着した状態を示す斜視図である。
【図18】本発明の第3実施形態に係るマスクの斜視図である。
【図19】前図に示すマスクの要部拡大図である。
【図20】図18のマスクの折りたたんだ状態の側面図である。
【図21】図18のマスクの端部非接合部の断面図である。
【図22】前図に示す端部非接合部の動作を示す断面図である。
【図23】図18のマスクを使用者の顔に装着した状態を示す要部拡大図である。
【図24】従来のマスクの一例を使用者の顔に装着した状態を示す要部拡大図である。
【図25】本発明の第4実施形態に係るマスクの要部を拡大した斜視図である。
【図26】本発明の第5実施形態に係るマスクの折りたたんだ状態の側面図である。
【図27】前図に示すマスクを使用者の顔に装着した状態を示す斜視図である。
【図28】本発明の第6実施形態に係るマスクを使用者の顔に装着した状態を示す斜視図である。
【図29】本発明の第7実施形態に係るマスクの斜視図である。
【図30】本発明の第8実施形態に係るマスクの斜視図である。
【図31】本発明の第9実施形態に係るマスクの斜視図である。
【図32】本発明の第10実施形態に係るマスクの斜視図である。
【図33】本発明の第11実施形態に係るマスクの斜視図である。
【図34】本発明の第12実施形態に係るマスクの断面図である。
【図35】本発明の第13実施形態に係るマスクの断面図である。
【図36】本発明のマスク封入体の一例を示す図であり、(a)は平面図であり、(b)は断面図である。
【図37】従来のマスクの一例の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係るマスク10の斜視図である。図2は、マスク10の折りたたんだ状態の側面図である。図3は、マスク10を使用者の顔に装着した状態を示す斜視図である。図4は、マスク10の断面図であり、(a)は全体図、(b)は前方側縁部3aの拡大図、(c)は後方側縁部3bの拡大図である。図5は、マスク10の本体シート1の接合部5および後方接合部15を示す構成図である。図6および図7は、マスク10の前方側縁部3aの非接合部6の断面図である。図8および図9は、マスク10の後方側縁部3bの非接合部16の断面図である。図10は、マスク10を装着した際の呼気の流れを示す模式図である。図11は、マスク10の接合部5を示す構成図である。図12は、マスク10の接合部5の変形例を示す構成図である。
以下の説明において、図2における左方を前方といい、右方を後方ということがある。マスク10の前後方向は顔に装着した際に使用者から見た前後方向に対応している。また、上および下とはそれぞれ図2における上下をいう。
【0011】
図1および図2に示すように、マスク10は、マスク本体部1と、マスク本体部1の両側部にそれぞれ設けられた耳かけ部2とを備えている。
マスク本体部1としては、ポリオレフィン系材料やポリエステル系材料からなる合成繊維を用いた不織布を使用できる。ポリオレフィン系材料としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ1−ブテンなどがあり、ポリエステル系材料としてはポリエチレンテレフタレートなどがある。マスク本体部1の材料としては、熱可塑性樹脂を使用することもできる。
不織布を構成する繊維は単繊維であってもよいし、複合芯鞘繊維であってもよい。複合芯鞘繊維としては、ポリエステル−ポリエチレン芯鞘繊維、ポリプロピレン−ポリエチレン芯鞘繊維等を使用できる。
【0012】
マスク本体部1は、前方側縁部3a(一方の側縁部)(前縁部)どうしが接合された一対の本体シート3、3からなる。
図2に示すように、本体シート3は、略円弧状に湾曲した前方側縁部3aと、後方に向け下降する上縁部3dと、後方に向け上昇する略直線状の下縁部3eと、略直線状の後方側縁部3b(他方の側縁部)(後縁部)とを有する。本体シート3は、前方側縁部3aから後方に向かって徐々に高さ寸法を減じる形状である。
前方側縁部3aは前方に向けて凸状となるように湾曲した形状である。このため、マスク本体部1は、使用者の顔面に装着するように開いた状態で、顔面から前方に凸状となる立体形をなす。後方側縁部3bの長さ(図2の上下方向の寸法)は前方側縁部3aに比べて短くされている。
【0013】
図2〜図5に示すように、一対の本体シート3、3の前方側縁部3a、3aは、長さ方向に沿って内面3c、3cが重ね合わされて1または複数の接合部5(一方側の接合部)で互いに接合されている。
図2、図4および図5に示すように、前方側縁部3a、3aの重なり部分4は、前方側縁部3aの全長にわたる略一定幅の帯状領域であり、図示例では本体シート3の前縁3g(一方側の端縁)から一定幅の領域である。
【0014】
図4(b)および図5に示すように、接合部5は本体シート3の内面3c、3cを互いに接合する部分である。
これら複数の接合部5は、1または複数の非接合部6(一方側の非接合部)(中間非接合部)によって前方側縁部3aの長さ方向に隔てられて形成されている。図示例では、接合部5は、前方側縁部3aの全長にわたって断続的に形成された略一定幅の部分である。隣り合う接合部5と非接合部6とは、前方側縁部3aの長さ方向に隣接している。
【0015】
接合部5における本体シート3どうしの接合には、本体シート3の素材として熱可塑性樹脂が用いられている場合には熱溶着を採用できる。また、ポリビニルアルコール系などの接着剤によって本体シート3どうしを接合することもできる。
本発明において、シートどうしの接合は、熱溶着、接着剤に限らず、縫製、その他いかなる方法をとることもできる。
接合部5は、本体シート3の重なり部分4の幅方向の一部または全幅を互いに接合することができる。図示例では、接合部5は本体シート3の前縁3gから間隔をおいて形成されている。
【0016】
図5および図6に示すように、非接合部6は、隣り合う接合部5、5の間にあって本体シート3、3が互いに接合されていない部分である。
非接合部6では本体シート3、3は重ね合わされているが、互いに接合されていない。
このため、図7に示すように、非接合部6では本体シート3、3の隙間11は通気可能であり、この隙間11を通してマスク本体部1の内部空間21の気体(呼気)を外部に排出することができる。
呼気が非接合部6から排出される際には、呼気中の微粒子(体液飛沫など)は非接合部6の本体シート3の内面に吸着され、外部への放出が抑えられる。非接合部6は十分な幅があるため、呼気中の微粒子を効果的に吸着し、外部への放出を抑制できる。
図11に示すように、非接合部6は内外方向に一定間隔であってもよいし、図12に示すように、外方(矢印方向)に向けて徐々に間隔が狭くなっていてもよい。
図3、図4および図6に示すように、本体シート3の前方側縁部3aは、使用者60が装着した状態では前方に突出した形態となる。
【0017】
図3に示すように、マスク本体部1は、使用者60の鼻部61の少なくとも一部と口部62とを覆うことができるように形成するのが好ましい。
マスク本体部1の後方側縁部3bの上端から下端までの高さ範囲の部分を本体部主部1A(図1および図2参照)という。本体部主部1Aは、使用者60の鼻部61の少なくとも一部と口部62とを覆うことができる。
マスク本体部1の上部の凸状部分1c(本体シート3の後方側縁部3bの上端より高い位置にある部分。すなわち本体部主部1Aから上方に突出した部分)は、目頭63aから鼻部61の上部にかけての複雑形状領域61a(人によって異なり、複雑に起伏する領域)を覆う目頭保温部として機能する。凸状部分1cは、鼻部61の上部を覆う鼻部保温部としても機能する。
図示例では、接合部5の上端5aは本体部主部1Aから突出する凸状部分1cにあって、鼻部61の上端61bに係止しており、これによってマスク本体部1はずり落ちずに顔面60aに保持される。また、接合部5の上端5aが鼻部61の上端61bに係止することによって、マスク本体部1のずり下がりを防止できるだけでなく、マスク本体部1のずり上がりも起こりにくくなる。符号1aはマスク本体部1の上端(重なり部分4を除いた部分のマスク本体部1の上端)である。符号63は目である。鼻部61の上端61bは、側方から見て凹所の最深部となる部位である。
接合部5の上端5aは、装着時に使用者60の目頭63aどうしを結ぶ線L1から使用者60の鼻部61の上端61bまでの高さ範囲に位置している。
マスク本体部1の下部の凸状部分1d(本体シート3の後方側縁部3bの下端より低い位置にある部分)は、本体部主部1Aから下方に突出した部分である。マスク本体部1の下端1b(重なり部分4を除いた部分のマスク本体部1の下端)は本体部主部1Aから突出する凸状部分1dにあって使用者60のあご64に達するように形成することができる。
【0018】
図1および図2に示すように、耳かけ部2は、マスク本体部1の本体シート3の後方側縁部3bから後方に延出して形成されている。耳かけ部2には、使用者60の耳65に引っ掛けられる耳かけ穴7が形成されている。P1は耳かけ部2の上辺部であり、耳かけ穴7より上部側の部分を含む。P2は耳かけ部2の下辺部であり、耳かけ穴7より下部側の部分を含む。
耳かけ部2は、ポリオレフィン系材料やポリエステル系材料からなる合成繊維を用いた不織布などのシートを使用できる。耳かけ部2はマスク本体部1に比べて伸縮性が高いことが好ましい。例えば、弾性的に伸縮可能な繊維を使用した不織布を用いることができる。
【0019】
上辺部P1の張力は、下辺部P2の張力より大きいことが好ましい。これによって、マスク本体部1がずり落ちるのを防ぎ、マスク本体部1を、接合部5の上端5aが鼻部61の上端61bに係止した位置に安定に保持できる。また、上辺部P1の張力を下辺部P2の張力より大きくすることで、マスク10の装着により耳65にかかる負担を軽減できる。
なお、耳かけ部2はマスク本体部1の一部としてマスク本体部1に一体的に形成されていてもよい。
【0020】
図2、図4および図8に示すように、本体シート3の後方側縁部3bの内面3cは、長さ方向に沿って耳かけ部2の前縁部2aの外面2bに重ね合わされており、この帯状の重なり部分8において本体シート3と耳かけ部2は複数の後方接合部15で互いに接合されている。 なお、本体シート3の後方側縁部3bと耳かけ部2の前縁部2aの重なり部分8は、図示例に限らず、本体シート3の外面と耳かけ部2の内面が重ね合わされていてもよい。
【0021】
図2および図4(c)に示すように、後方接合部15(他方側の接合部)は本体シート3の内面3cと耳かけ部2の外面2bとを接合する部分である。これら複数の後方接合部15は、1または複数の後方非接合部16(他方側の非接合部)によって後方側縁部3bの長さ方向に隔てられて形成されている。図示例では、後方接合部15は、後方側縁部3bの長さ方向に沿って断続的に形成された略一定幅の部分である。
後方接合部15における本体シート3と耳かけ部2との接合には、熱溶着や接着剤を用いることができる。
後方接合部15は、本体シート3と耳かけ部2との重なり部分8の全幅にわたってこれらを互いに接合することもできるし、重なり部分8の幅方向の一部を互いに接合することもできる。
【0022】
図5および図8に示すように、後方非接合部16は、隣り合う後方接合部15、15の間にあって本体シート3と耳かけ部2とが互いに接合されていない部分である。
後方非接合部16では本体シート3と耳かけ部2とは重ね合わされているが、互いに接合されていない。このため、図9に示すように、後方非接合部16では本体シート3と耳かけ部2との隙間12は通気可能であり、この隙間12を通してマスク本体部1の内部空間21の空気を外部に排出することができる。
呼気が後方非接合部16から排出される際には、呼気中の微粒子(体液飛沫など)は後方非接合部16(本体シート3)の内面および耳かけ部2の外面2bに吸着され、外部への放出が抑えられる。後方非接合部16は十分な幅があるため、呼気中の微粒子を効果的に吸着し、外部への放出を抑制できる。
【0023】
本体シート3と耳かけ部2とが重なり部分8において複数の後方接合部15で互いに接合される構造は、2つの耳かけ部2のうち一方と本体シート3との重なり部分8にのみ採用してもよいし、2つの耳かけ部2の両方について、本体シート3との重なり部分8に採用してもよい。
【0024】
以下、マスク10の使用方法について説明する。
図3に示すように、マスク10は、マスク本体部1が使用者60の鼻部61の少なくとも一部と口部62とを覆うように装着することができる。
図示例では、マスク本体部1の目頭保温部1c(鼻部保温部)が目頭63aから鼻部61の上部にかけての複雑形状領域61a(人によって異なり、複雑に起伏する領域)を覆い、マスク本体部1の接合部5の上端5aは本体部主部1Aから突出して鼻部61の上端61bに達している。マスク本体部1の下端1b(前方側縁部3aの下端)は本体部主部1Aから突出して使用者60のあご64に達している。
【0025】
図13は、人体頭部の構造を示す断面図である。この図において、正中線Yの左右に存在する空洞部が鼻腔Mである。
この鼻腔Mの両側に、それぞれ鼻腔Mと連通して、眼腔近辺に達する篩骨洞S1と、頬骨近辺に達する上顎洞S2とが副鼻腔である。
図3に示す装着状態にあっては、マスク本体部1によって鼻部61の大部分が覆われるため、鼻腔Mと副鼻腔(篩骨洞S1および上顎洞S2)との双方が保温されることになる。
【0026】
図7および図10に示すように、本体シート3の前方側縁部3aの非接合部6では、本体シート3の隙間11を通した通気が可能である。
このため、使用者60の呼気によってマスク本体部1の内部空間21の気圧が高まると、呼気の一部は非接合部6における隙間11を通して外部に排出される。このため、呼気が内部空間21内に充満することがなく、内部空間21内の酸素濃度低下を改善することができる。従って、使用者60の健康阻害を低減できる。
【0027】
呼気が隙間11から排出される際には、気流による気圧低下によって本体シート3、3が互いに離隔しにくくなる。本体シート3は繊維からなる構造体であるため、内面3cは微視的には平滑面ではなく凹凸を有することから、呼気中の微粒子(体液飛沫など)は内面3cに吸着され、外部への放出が抑えられる。重なり部分4には十分な幅があるため、呼気中の微粒子を効果的に吸着し、外部への放出を抑制できる。
【0028】
図9および図10に示すように、使用者60の呼気の他の一部は、本体シート3の後方側縁部3bと耳かけ部2の前縁部2aとの重なり部分8の後方非接合部16における隙間12から外部に排出される。このため、内部空間21内の酸素濃度の低下を改善し、使用者60の健康阻害を低減できる。
呼気が隙間12を通過する際には、気流による気圧低下によって本体シート3と耳かけ部2とが離隔しにくくなるため、呼気中の微粒子の一部は本体シート3の内面3cおよび耳かけ部2の外面2bに吸着される。重なり部分8には十分な幅があるため、呼気中の微粒子を効果的に吸着し、外部への放出を抑制できる。
【0029】
図7に示すように、使用者60の呼気の他の一部はマスク本体部1の本体シート3を透過して外部に排出される。この際、呼気中の微粒子の一部は本体シート3に捕捉される。
【0030】
図6に示すように、吸気の際には、内部空間21の気圧低下により非接合部6の本体シート3、3の前方側縁部3a、3aは閉じ合わされ、隙間11から内部空間21への外気流入は抑制される。
同様に、図8に示すように、本体シート3の後方側縁部3bと耳かけ部2の前縁部2aとの重なり部分8においても、本体シート3と耳かけ部2とは閉じ合わされ、隙間12から内部空間21への外気流入は抑制される。
【0031】
図6および図8に示すように、隙間11、12からの外気流入が抑制されるため、吸気として内部空間21に導入される外気の大部分は本体シート3を透過する。この際、外気中の微粒子(体液飛沫、花粉など)は本体シート3に捕捉されるため、捕捉性能の低下はない。
従って、マスク10では、捕捉性能を低下させることなく、内部空間21内に呼気が充満することによる酸素濃度低下を改善し、使用者60の健康阻害を低減できる。
【0032】
本発明のマスクに用いる本体シートは1枚のシート体から構成してもよいし、複数枚のシート体から構成してもよい。
図14および図15は、本体シートの他の例を示すもので、図14は前方側縁部3aの接合部5の断面図、図15は非接合部6の断面図である。
本体シート3は、3枚のシート体13aからなる積層構造体である。シート体13aとしては、ポリオレフィン系材料やポリエステル系材料からなる合成繊維を用いた不織布を使用できる。
シート体13aには、エレクトレット化(エレクトレット処理)を施すことができる。
エレクトレット化は、繊維表面に所定量の正電荷または負電荷を与えて分極させた誘電状態を形成する処理である。エレクトレット化処理には、既知の方法、例えばコロナ放電によりシート体13aを荷電させる方法を採用できる。
図16に示すように、呼気が非接合部6の隙間11を通過する際には、気流による気圧低下によって本体シート3、3どうしが離隔しにくくなるため、呼気中の微粒子(体液飛沫など)の一部はシート体13aの内面13cに吸着される。
シート体13aがエレクトレット化されることによって、呼気中の微粒子は電気的にシート体13aに吸引される。このため、微粒子の吸着性能を高めることができる。
図15に示すように、吸気の際には、内部空間21の気圧低下により本体シート3、3は閉じ合わされ、隙間11から内部空間21への外気流入は抑制される。
吸気の大部分は本体シート3を透過するため、外気中の微粒子(体液飛沫、花粉など)は本体シート3に捕捉される。
【0033】
<第2実施形態>
図17は、本発明の第2実施形態に係るマスク20の斜視図である。マスク20は一般マスク(一般的形状のマスク)である。以下の実施形態の説明においては、既出の構成については同一符号を付して説明を簡略化または省略することがある。
マスク20は、図1〜図3等に示すマスク10とは異なり、マスク本体部1の上縁部1dは比較的低い位置にあり、図示例では、上縁部1dは目頭63aどうしを結ぶ線L1より下方に位置している。マスク20のその他の構成はマスク10と同様とすることができる。
このマスク20では、マスク10と同様に、捕捉性能を低下させることなく、内部空間21内の酸素濃度低下を改善することができる。
【0034】
<第3実施形態>
図18は、本発明の第3実施形態に係るマスク30の斜視図である。図19は、マスク30の要部拡大図である。図20は、マスク30の折りたたんだ状態の側面図である。図21は、マスク30の前方側縁部の端部非接合部17の断面図である。図22は、端部非接合部17の動作を示す断面図である。図23は、マスク30を使用者の顔に装着した状態を示す要部拡大図である。
【0035】
図18〜図21に示すように、マスク30は、本体シート3の前方側縁部3aの上端部3f(重なり部分4の上端部)を含む部分が端部非接合部17となっていること以外は図1〜図3等に示す第1実施形態のマスク10と同じ構成である。
図20に示すように、端部非接合部17は、前方側縁部3aの上端から前方側縁部3aの長さ方向にわたる非接合部分であり、その長さL2は例えば5〜7mmとすることができる。端部非接合部17では、本体シート3、3は重ね合わされているが互いに接合されていないため、力が加えられると姿勢が容易に変化する。
【0036】
このため、図22に示すように、本体シート3、3に互いに離れる方向(図22の左右方向)の力が加えられると、本体シート3の曲げ弾性により、前方側縁部3aの姿勢は折り曲げ角度が小さくなるよう変化する。例えば、図21に示す状態では、前方側縁部3aは他の部分に対してほぼ垂直に折り曲げられているが、図22に示す状態ではその折り曲げ角度が小さくなっている。
端部非接合部17では、前方側縁部3a、3aは、前縁3g、3gのみが互いに接し、他の部分は互いに離間した姿勢をとることができる。すなわち、前方側縁部3a、3aは、前縁3g、3gを残して開いた形態となる。
【0037】
図22および図23に示すように、使用者60の顔に装着されたマスク30の端部非接合部17は、前縁3g、3gを残して側方に開いた形態となり、使用者60の顔面60a、例えば目頭63aから鼻部61の上部にかけての複雑形状領域61a(人によって異なり、複雑に起伏する領域)に接する。端部非接合部17は、少なくとも目頭63aおよびその近傍領域を面密着的に覆う。
端部非接合部17は、顔面60aに沿って広がった状態で複雑形状領域61aに面密着的に当接するため、大きな接触面積で複雑形状領域61aに接し、複雑形状領域61aにおける保温効果を高め、特に目頭や鼻部上部等の花粉症などのアレルギー性疾患の予防および症状緩和を図ることができる。特に、端部非接合部17が目頭63aおよびその近傍領域を覆い、この領域を保温することによって、特に目頭や鼻部上部等のアレルギー性疾患(痒みや鼻水等)を効果的に予防および症状緩和することができる。
【0038】
マスク30では、本体シート3(前方側縁部3a)の顔面60aに対する接触面積が大きくなるため、顔面60aに加えられる押圧力が分散されることから、使用者60の不快感を抑えることができる。
また、図23に示すように、開いた形態で顔面60aに接する端部非接合部17の曲げ弾性によって、接合部5の上端5aが顔面60aに加える力が緩和される。よって、図24に示すように、接合部25が前方側縁部3aの上端にまで達する従来品に比較して、接合部5が顔面60aに当たることによる使用者60の不快感を抑制できる。
【0039】
<第4実施形態>
図18〜図21等に示すマスク30では、端部非接合部17において上端部3f、3fはほとんど互いに離間していないが、図25に示すように、端部非接合部17において上端部3f、3fの一部が互いに離間する構成も可能である。
【0040】
<第5実施形態>
図26は、本発明の第5実施形態に係るマスク40の折りたたんだ状態の側面図である。図27は、マスク40を使用者の顔に装着した状態を示す斜視図である。
マスク40は、本体シート3の前方側縁部3aの上端部(重なり部分4の上端部)に切欠き部18が形成されることによって、本体シート3の上端部3hが互いに非接合となっていること以外は図18〜図21等に示す第3実施形態のマスク30と同じ構成である。
切欠き部18は、前方側縁部3aの上端から前方側縁部3aの長さ方向にわたる切り欠き部分であり、その長さL3は例えば5〜7mmとすることができる。切欠き部18の幅は、重なり部分4と同じ幅とすることができる。
切欠き部18の内縁18a(側縁部)は、前方側縁部3aに沿う方向に形成されており、切欠き部18が形成された部分における本体シート3の前方側縁部といえる。この前方側縁部18aを含む部分である本体シート3の上端部3hは、上方に凸状となっており、マスク20を装着したときには、一対の本体シート3、3の上端部3h、3hは互いに離間した形態となる。
【0041】
マスク40では、本体シート3の上端部3hが互いに非接合となっているため、上端部3h、3hが開いた形態となって目頭63aから鼻部61の上部にかけての複雑形状領域61a(人によって異なり、複雑に起伏する領域)に大きな接触面積で面密着的に当接する。従って、この複雑形状領域61aにおける保温効果を高め、特に目頭等の花粉症などのアレルギー性疾患の予防および症状緩和を図ることができる。
【0042】
<第6実施形態>
図28は、本発明の第5実施形態に係るマスク50を使用者の顔に装着した状態を示す要部拡大図である。
マスク50は、耳かけ部2の外面側に、耳65を覆う耳カバー51が設けられていること以外は図1〜図3等に示す第1実施形態のマスク10と同じ構成である。
耳カバー51は、耳かけ部2とほぼ同じ外形を有する不織布等を使用できる。耳カバー51の使用により、耳65(例えば耳介および外耳道)の保温や外気中の微粒子の除去が可能となる。
従って、特に耳介および外耳道などの保温効果を高めるとともに外気中の微粒子を除去し、耳のアレルギー性疾患の予防および症状緩和を図ることができる。
【0043】
<第7実施形態>
図29は、本発明の第7実施形態に係るマスク10Aの斜視図である。
マスク10Aは、本体シート3の前方側縁部3aが全長にわたって連続的に互いに接合されていること以外は図1〜図3等に示すマスク10と同じ構成である。符号35は前方側縁部3aを全長にわたって連続的に接合する接合部である。
【0044】
<第8実施形態>
図30は、本発明の第8実施形態に係るマスク10Bの斜視図である。
マスク10Bは、本体シート3の前方側縁部3aの上端部3f(重なり部分4の上端部)を含む部分が端部非接合部17となっていること以外は図29に示すマスク10Aと同じ構成である。このマスク10Bでは、端部非接合部17を除く部分の前方側縁部3aは、接合部45によって全長にわたって連続的に互いに接合されている。
端部非接合部17と接合部45とは、前方側縁部3aの長さ方向に互いに隣接している。
図示例では、本体シート3と耳かけ部2とは、複数の後方接合部15で断続的に互いに接合されているが、本体シート3と耳かけ部2とが全長にわたって連続的に互いに接合されていてもよい。
【0045】
<第9実施形態>
図31は、本発明の第9実施形態に係るマスク10Cの斜視図である。
マスク10Cは、本体シート3の後方側縁部3bと耳かけ部2の前縁部2aとが、接合部75によって連続的に全長にわたって連続的に互いに接合されていること以外は図1〜図3等に示すマスク10と同じ構成である。
【0046】
<第10実施形態>
図32は、本発明の第10実施形態に係るマスク10Dの斜視図である。
マスク10Dでは、本体シート3に開口部54が形成され、開口部54は、本体シート3に重ねて設けられたカバーシート53(重ねシート)により覆われている。
図示例では、開口部54およびカバーシート53はいずれも略円形であり、カバーシート53の径は開口部54の径より大きい。カバーシート53は開口部54と同心円をなすように配置されている。このため、開口部54の内周縁部54aは、カバーシート53の外周縁部53aに重ね合わされている。外周縁部53aと内周縁部54aとの重なり部分57は略円形のリング形の帯状領域であり、重なり部分57では、本体シート3とカバーシート53とが1または複数の接合部55によって互いに接合されている。
【0047】
重なり部分57では、接合部55と非接合部56とが互いに隣接している。図示例では、複数の接合部55が1または複数の非接合部56によって開口部54の周方向に隔てられている。
非接合部56は、マスク本体部1内の使用者の呼気を外部に排出可能であり、かつ吸気を流入抑制可能である。すなわち、呼気は開口部54から本体シート3とカバーシート53との隙間を通して排出され、吸気の際には、本体シート3とカバーシート53とが閉じ合わされて外気流入を抑制する。
マスク10Dでは、本体シート3の前方側縁部3aは、接合部35によって全長にわたって連続的に互いに接合されている。本体シート3の後方側縁部3bと耳かけ部2の前縁部2aとは、接合部75によって全長にわたって連続的に互いに接合されている。
なお、開口部54およびカバーシート53は2つの本体シート3のうち一方にのみ設けてもよいし、両方に設けてもよい。また、開口部の形状、形成位置および数は図示例に限定されない。図示例の略円形に限らず、スリット状、矩形状、その他、任意の形状としてよい。開口部の数は1でもよいし、2以上の任意の数でもよい。
【0048】
<第11実施形態>
図33は、本発明の第11実施形態に係るマスク10Eの斜視図である。
マスク10Eでは、本体シート3は、外形が互いに同じ内層13a1と外層13a2とを積層した積層構造を有する。内層13a1および外層13a2は例えば不織布などからなる。内層13a1には、略円形の開口部54Aが形成され、開口部54Aは、外層13a2(重ねシート)により覆われている。
図示例では、開口部54A以外の部分の内層13a1は外層13a2に重ね合わされている。内層13a1と外層13a2とが重ね合わされた部分を重なり部分57Aという。重なり部分57Aのうち、接合部35(前方側縁部3aが全長にわたって連続的に接合された部分)と、接合部75(本体シート3の後方側縁部3bと耳かけ部2の前縁部2aとが連続的に接合された部分)とを除く部分は、これら接合部35、75に隣接する非接合部76となっている。
【0049】
外層13a2には、開口部54Aの内周縁部54aよりも径方向外方に、排気口77を形成することができる。図示例の排気口77は開口部54Aと同心の円弧状のスリットである。排気口77は、例えば外層13a2に形成された線状の切れ目であってよい。排気口77の形状、形成位置および数に特に限定はない。図33の排気口77Aは上下方向に沿うスリットであり、後方側縁部3bに近い位置に形成されている。排気口77Bは本体シート3の上縁部3dに沿うスリットであり、上縁部3dに近い位置に形成されている。排気口の数は1でもよいし、2以上の任意の数でもよい。
【0050】
非接合部76は、マスク本体部1内の使用者の呼気を外部に排出可能であり、かつ吸気を流入抑制可能である。すなわち、呼気は、開口部54Aから出て、内周縁部54aから排気口77にかけての非接合部76の内層13a1と外層13a2との間を通って排気口77から排出される。吸気の際には、内周縁部54aから排気口77にかけての非接合部76の内層13a1と外層13a2とが閉じ合わされて外気流入を抑制する。
また、開口部の形状、形成位置および数も図示例に限定されない。図示例の略円形に限らず、スリット状、矩形状、その他、任意の形状としてよい。開口部の数は1でもよいし、2以上の任意の数でもよい。
マスク10Eは、排気口77を形成しない構成も可能である。この場合、内層13a1と外層13a2との間の呼気は、例えば本体シート3の上縁部3dまたは下縁部3eから外部に排出可能としてもよい。
マスク10Eは、内層13a1(マスク本体部)に重ねて設置される外層13a2(重ねシート)を備え、これら内層13a1と外層13a2の重なり部分57Aに非接合部76が形成された構造である。
【0051】
<第12実施形態>
図34は、本発明の第12実施形態に係るマスク10Fの斜視図である。
マスク10Fでは、マスク本体部1が1枚のシートからなること以外は図1〜図3等に示すマスク10と同じ構成である。
【0052】
本発明のマスクは、マスク本体部が、遠赤外線放射素材、金属箔、鉄粉含有発熱材料、血行促進剤、マイナスイオン発生素材、磁石、吸湿発熱素材、および蓄熱シートからなる群から選択された1または2以上(以下、機能性材料という)を含む構成としてもよい。
例えば本体シートを構成する少なくとも1つのシート体が、前記機能性材料を含む構成とすることができる。
【0053】
遠赤外線放射素材とは、人体または外部から放射される熱を受けて遠赤外線に転化できる材料であって、例えばAl2O3、SiO2、TiO2、Cr2O3、ZrO2、MgO、Fe2O3などの金属酸化物;SiC、TiC、ZrC、B4Cなどの炭素化合物;Si3N4、BN、AlNなどの窒化物;またはそれらの2以上の複合体などのいわゆる遠赤外線放射性セラミクスが使用可能である。遠赤外線放射素材の使用によって、保温効果を高めることができる。
金属箔としてはアルミニウム箔などがあり、本体シートを構成する不織布に積層して使用できる。金属箔の使用によって保温効果を高めることができる。
【0054】
鉄粉含有発熱材料は、鉄粉が空気中の酸素および水分と反応する際の反応熱を利用するものであって、例えば、鉄粉と、食塩と、必要に応じて酸化触媒とを含む。鉄粉含有発熱材料は、袋に封入してシート状に構成したものを加温体として使用できる。加温体は、使用時に密封容器から取り出すことによって空気中の酸素と反応して発熱し、マスク本体部内を加温することができる。
血行促進剤としては、例えばサルチル酸メチル、カンファ、メントール類、各種香油類、ヒノキ油、ヒバ油、トウガラシチンキなどが使用できる。血行促進剤を使用すると、揮発性成分が皮膚に浸透して皮下の毛細血管の血行を促進することができる。
マイナスイオン発生素材としては、例えばトルマリン粉末、電気分解アルカリイオン水を使用できる。
磁石は、磁力を皮下の毛細血管に作用させて血行を促進することができる。
【0055】
吸湿発熱素材は、水分を吸収することにより発熱する機能を備えたものであって、例えばアクリレート系材料、セルロース系材料などがある。吸湿発熱素材は、例えば顔面から発汗される汗を吸収することにより発熱する。
蓄熱シートとしては、CMC、PVA、アクリル酸ポリマー等のゲル状の蓄熱剤を袋に封入してシート状に構成したものを使用できる。蓄熱シートは、電子レンジ等により加温できる。蓄熱シートをマスクに使用することによって、使用者の顔面を加温することができる。蓄熱シートは、電子レンジ等を用いて加熱すれば使用済み品を再利用できるため、鉄粉含有発熱材料等とは異なり、繰り返して使用できる。
【0056】
前記機能性材料(遠赤外線放射素材、金属箔、鉄粉含有発熱材料、血行促進剤、マイナスイオン発生素材、磁石、吸湿発熱素材、および蓄熱シートからなる群から選択された1または2以上)は、マスク本体部の一部または全部に積層、含浸等することで使用できる。前記機能性材料の使用位置(例えば加温体の取り付け位置)は特に限定されないが、目頭保温部1c(鼻部保温部)に使用するのが好ましい。前記機能性材料の使用形態(例えば加温体の取り付け形態)は特に限定されず、いかなる形態であってもよい。
前記機能性材料の使用による加温、保温、血行促進などによって、花粉症などのアレルギー性疾患の予防および症状緩和を図ることができる。
【0057】
<第13実施形態>
図35は、本発明の第13実施形態に係るマスク10Gの断面図である。
マスク10Gは、前記機能性材料の使用例である。
マスク10Gの本体シート3は、複数の不織布などからなるシート体13aを積層した積層構造を有する。
シート体13a、13a間には、介装層13bが介装されている。介装層13bは、前記機能性材料を含む層である。
【0058】
本発明のマスクは、袋に封入してマスク封入体とすることができる。特に、前記機能性材料を用いる場合には、袋に封入することによって前記機能性材料の劣化防止を図ることできる。
袋としては、マスクを密封状態で収容できるものが用いられる。袋としては、ガスバリア性を有するものが好適である。例えば、鉄粉含有発熱材料を使用する場合には、マスクの使用前に材料が発熱するのを防ぐために上記材料が酸素に触れるのを防ぐ必要があるが、ガスバリア性を有する袋は、外気中の酸素と上記材料との接触を断つために有効である。
また、袋としては、水分バリア性を有するものを使用することができる。例えば、吸湿発熱素材を使用する場合には、マスクの使用前に材料が発熱するのを防ぐために上記材料が水分に触れるのを防ぐ必要があるが、水分バリア性を有する袋は、外部の水分と上記材料との接触を断つために有効である。
ガスバリア性および水分バリア性が高い材料としては、ポリプロピレン、ポリエチレンおよびポリメチルペンテン等がある。このため、ポリプロピレン、ポリエチレンおよびポリメチルペンテンのうち1または2以上からなる袋を使用することができる。
ポリプロピレン、ポリエチレンおよびポリメチルペンテンは、耐熱性が高く、しかも電子レンジで加熱した場合でも有害物質(有害ガス等)が発生しにくい。このため、マスクに蓄熱シートを使用し、このマスクを袋に入れた状態で蓄熱シートを電子レンジで加温する場合に好適である。
図36はマスク封入体81を示すもので、(a)は平面図であり、(b)は断面図である。マスク封入体81は、マスク10と、マスク10を封入した袋80とからなる。マスク10は、袋80から取り出して使用できる。
【0059】
本発明は、前記機能性材料を使用したマスクを提供する。前記機能性材料を使用する場合には非接合部はあってもよいし、なくてもよい。非接合部のないマスクとしては、図37に示したマスク110を例示できる。このマスク110は、前方側縁部103aどうしが全長にわたって連続的に接合された一対の本体シート103からなるマスク本体部101と、耳かけ部102とを有する。本体シート101と耳かけ部102とは縁部の全長にわたって連続的に接合されている。
前記機能性材料は、図35に示す構造において介装層13bとして使用できる。図36に示すように、マスク110は、袋80に封入してマスク封入体81とすることができる。蓄熱シートを使用する場合には、マスク110を電子レンジで処理することで蓄熱シートを加温することができる。マスク110は、袋80に入れた状態で電子レンジで処理することもできる。マスク110は、非接合部以外の構成については、上述の第1〜第13実施形態の構成を採用することができる。
マスク110は、シートからなるマスク本体部101と、マスク本体部101の両側部にそれぞれ設けられたシートからなる耳かけ部102とを備え、マスク本体部101に前記機能性材料が使用されている。前記機能性材料は、マスク本体部101の一部または全部に積層して用いることができる。なお、前記機能性材料は、マスク本体部101に対していかなる形態で装着してもよい。
【符号の説明】
【0060】
1・・・マスク本体部、2・・・耳かけ部、2a・・・耳かけ部の前縁部、3・・・本体シート、3a・・・本体シートの前方側縁部(一方の側縁部)(前縁部)、3b・・・本体シートの後方側縁部(他方の側縁部)(後縁部)、3c・・・本体シートの内面、3f・・・本体シートの前方側縁部の上端部、3g・・・前端縁(一方の端縁)、4・・・本体シートの前方側縁部の重なり部分、5・・・接合部(一方側の接合部)、6・・・非接合部(一方側の非接合部)、7・・・耳かけ穴、8・・・本体シートの後方側縁部と耳かけ部の前縁部との重なり部分、10、20、30、40、50、10A〜10G・・・マスク、11・・・本体シートの前方側縁部の隙間、12・・・本体シートの後方側縁部と耳かけ部の前縁部との隙間、13a・・・シート体、13b・・・介装層(機能性材料を含む層)、15・・・後方接合部(他方側の接合部)、16・・・後方非接合部(他方側の非接合部)、17・・・端部非接合部、53・・・カバーシート、35、55、75・・・接合部、56、76・・・非接合部、60・・・使用者、61・・・鼻部、61b・・・鼻部の上端、62・・・口部、80・・・袋、81・・・マスク封入体、P1・・・上辺部、P2・・・下辺部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートからなるマスク本体部と、前記マスク本体部の両側部にそれぞれ設けられたシートからなる耳かけ部とを備え、
前記マスク本体部と耳かけ部の少なくとも1つは、前記シートが他のシートに重ね合わされた重なり部分で前記シートが互いに接合する1または複数の接合部を有し、
前記接合部は、前記重なり部分で前記シートが互いに接合しない1または複数の非接合部に接し、
前記非接合部は、前記マスク本体部内の使用者の呼気を外部に排出可能であり、かつ吸気を流入抑制することを特徴とするマスク。
【請求項2】
前記マスク本体部は、前縁部の内面どうしが重ね合わされた一対の本体シートからなり、
前記本体シートの後縁部は、前記耳かけ部のシートの前縁部と重ね合わされ、
前記非接合部は、前記本体シートどうしの重なり部分と、前記本体シートと前記耳かけ部との重なり部分とのうち、少なくとも1つに形成されていることを特徴とする請求項1記載のマスク。
【請求項3】
前記非接合部は、前記本体シートと前記耳かけ部との重なり部分の少なくとも1つに形成され、
前記本体シートどうしの重なり部分は、前記縁部の全長にわたって連続的に前記本体シートどうしが接合されていることを特徴とする請求項2記載のマスク。
【請求項4】
前記非接合部は、前記本体シートどうしの重なり部分に形成され、
前記本体シートと前記耳かけ部との重なり部分は、前記縁部の全長にわたって連続的に前記シートどうしが接合されていることを特徴とする請求項2記載のマスク。
【請求項5】
前記マスク本体部に重ねて設置される重ねシートをさらに備え、
前記マスク本体部と前記重ねシートとの重なり部分に、前記非接合部が形成されることを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか1項記載のマスク。
【請求項6】
前記マスク本体部のシートの後縁部は、前記耳かけ部のシートの前縁部の外面側に重ね合わされていることを特徴とする請求項1〜5のうちいずれか1項記載のマスク。
【請求項7】
前記マスク本体部は、使用者の顔面に装着するように開いた状態で、顔面から前方に凸状となる立体形をなすことを特徴とする請求項1〜6のうちいずれか1項記載のマスク。
【請求項8】
前記重なり部分は、前記シートの縁部の長さ方向に延在する帯状領域であることを特徴とする請求項1〜7のうちいずれか1項記載のマスク。
【請求項9】
前記非接合部は、前記シートの縁部の全長にわたって断続的に形成されていることを特徴とする請求項1〜8のうちいずれか1項記載のマスク。
【請求項10】
前記マスク本体部は、複数のシート体の積層体からなることを特徴とする請求項1〜8のうちいずれか1項記載のマスク。
【請求項11】
前記マスク本体部は、使用者の鼻部の上部を覆う凸状部分である目頭保温部を有することを特徴とする請求項1〜9のうちいずれか1項記載のマスク。
【請求項12】
前記マスク本体部は、前縁部の内面どうしが重ね合わされた一対の本体シートからなり、
前記非接合部は、前記本体シートどうしの重なり部分の上端部を含む部分に形成されていることを特徴とする請求項1記載のマスク。
【請求項13】
前記耳かけ部は、耳かけ穴より上部側の上辺部と、前記耳かけ穴より下部側の下辺部とを有し、前記上辺部の張力は前記下辺部の張力より大きいことを特徴とする請求項1〜12のうちいずれか1項記載のマスク。
【請求項14】
前記マスク本体部には、これを構成する繊維表面に所定量の正電荷または負電荷を与えて分極させた誘電状態を形成するエレクトレット処理が施されていることを特徴とする請求項1〜13のうちいずれか1項記載のマスク。
【請求項15】
前記マスク本体部は、遠赤外線放射素材、金属箔、鉄粉含有発熱材料、血行促進剤、マイナスイオン発生素材、磁石、吸湿発熱素材、および蓄熱シートからなる群から選択された1または2以上を含むことを特徴とする請求項1〜14のうちいずれか1項記載のマスク。
【請求項16】
前記マスク本体部は、複数のシートを積層した積層構造を有し、
前記積層されたシート間に、遠赤外線放射素材、金属箔、鉄粉含有発熱材料、血行促進剤、マイナスイオン発生素材、磁石、吸湿発熱素材、および蓄熱シートからなる群から選択された1または2以上を含む層を介装したことを特徴とする請求項15項記載のマスク。
【請求項17】
請求項1〜16のうちいずれか1項記載のマスクが、袋に封入されたことを特徴とするマスク封入体。
【請求項18】
前記袋は、ガスバリア性または水分バリア性を有することを特徴とする請求項17記載のマスク封入体。
【請求項19】
前記袋は、ポリプロピレン、ポリエチレンおよびポリメチルペンテンのうち1または2以上からなることを特徴とする請求項17または18記載のマスク封入体。
【請求項20】
マスク本体部と、前記マスク本体部の両側部にそれぞれ設けられた耳かけ部とを備え、
前記マスク本体部は、一方の側縁部どうしが接合された一対の本体シートからなり、
前記一対の本体シートの前記一方の側縁部は、長さ方向に沿って内面どうしが重ね合わされて複数の接合部で互いに接合され、
前記複数の接合部は、1または複数の非接合部によって前記側縁部の長さ方向に隔てられ、
前記非接合部は、前記マスク本体部内の使用者の呼気を外部に排出可能であり、かつ吸気を流入抑制することを特徴とするマスク。
【請求項1】
シートからなるマスク本体部と、前記マスク本体部の両側部にそれぞれ設けられたシートからなる耳かけ部とを備え、
前記マスク本体部と耳かけ部の少なくとも1つは、前記シートが他のシートに重ね合わされた重なり部分で前記シートが互いに接合する1または複数の接合部を有し、
前記接合部は、前記重なり部分で前記シートが互いに接合しない1または複数の非接合部に接し、
前記非接合部は、前記マスク本体部内の使用者の呼気を外部に排出可能であり、かつ吸気を流入抑制することを特徴とするマスク。
【請求項2】
前記マスク本体部は、前縁部の内面どうしが重ね合わされた一対の本体シートからなり、
前記本体シートの後縁部は、前記耳かけ部のシートの前縁部と重ね合わされ、
前記非接合部は、前記本体シートどうしの重なり部分と、前記本体シートと前記耳かけ部との重なり部分とのうち、少なくとも1つに形成されていることを特徴とする請求項1記載のマスク。
【請求項3】
前記非接合部は、前記本体シートと前記耳かけ部との重なり部分の少なくとも1つに形成され、
前記本体シートどうしの重なり部分は、前記縁部の全長にわたって連続的に前記本体シートどうしが接合されていることを特徴とする請求項2記載のマスク。
【請求項4】
前記非接合部は、前記本体シートどうしの重なり部分に形成され、
前記本体シートと前記耳かけ部との重なり部分は、前記縁部の全長にわたって連続的に前記シートどうしが接合されていることを特徴とする請求項2記載のマスク。
【請求項5】
前記マスク本体部に重ねて設置される重ねシートをさらに備え、
前記マスク本体部と前記重ねシートとの重なり部分に、前記非接合部が形成されることを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか1項記載のマスク。
【請求項6】
前記マスク本体部のシートの後縁部は、前記耳かけ部のシートの前縁部の外面側に重ね合わされていることを特徴とする請求項1〜5のうちいずれか1項記載のマスク。
【請求項7】
前記マスク本体部は、使用者の顔面に装着するように開いた状態で、顔面から前方に凸状となる立体形をなすことを特徴とする請求項1〜6のうちいずれか1項記載のマスク。
【請求項8】
前記重なり部分は、前記シートの縁部の長さ方向に延在する帯状領域であることを特徴とする請求項1〜7のうちいずれか1項記載のマスク。
【請求項9】
前記非接合部は、前記シートの縁部の全長にわたって断続的に形成されていることを特徴とする請求項1〜8のうちいずれか1項記載のマスク。
【請求項10】
前記マスク本体部は、複数のシート体の積層体からなることを特徴とする請求項1〜8のうちいずれか1項記載のマスク。
【請求項11】
前記マスク本体部は、使用者の鼻部の上部を覆う凸状部分である目頭保温部を有することを特徴とする請求項1〜9のうちいずれか1項記載のマスク。
【請求項12】
前記マスク本体部は、前縁部の内面どうしが重ね合わされた一対の本体シートからなり、
前記非接合部は、前記本体シートどうしの重なり部分の上端部を含む部分に形成されていることを特徴とする請求項1記載のマスク。
【請求項13】
前記耳かけ部は、耳かけ穴より上部側の上辺部と、前記耳かけ穴より下部側の下辺部とを有し、前記上辺部の張力は前記下辺部の張力より大きいことを特徴とする請求項1〜12のうちいずれか1項記載のマスク。
【請求項14】
前記マスク本体部には、これを構成する繊維表面に所定量の正電荷または負電荷を与えて分極させた誘電状態を形成するエレクトレット処理が施されていることを特徴とする請求項1〜13のうちいずれか1項記載のマスク。
【請求項15】
前記マスク本体部は、遠赤外線放射素材、金属箔、鉄粉含有発熱材料、血行促進剤、マイナスイオン発生素材、磁石、吸湿発熱素材、および蓄熱シートからなる群から選択された1または2以上を含むことを特徴とする請求項1〜14のうちいずれか1項記載のマスク。
【請求項16】
前記マスク本体部は、複数のシートを積層した積層構造を有し、
前記積層されたシート間に、遠赤外線放射素材、金属箔、鉄粉含有発熱材料、血行促進剤、マイナスイオン発生素材、磁石、吸湿発熱素材、および蓄熱シートからなる群から選択された1または2以上を含む層を介装したことを特徴とする請求項15項記載のマスク。
【請求項17】
請求項1〜16のうちいずれか1項記載のマスクが、袋に封入されたことを特徴とするマスク封入体。
【請求項18】
前記袋は、ガスバリア性または水分バリア性を有することを特徴とする請求項17記載のマスク封入体。
【請求項19】
前記袋は、ポリプロピレン、ポリエチレンおよびポリメチルペンテンのうち1または2以上からなることを特徴とする請求項17または18記載のマスク封入体。
【請求項20】
マスク本体部と、前記マスク本体部の両側部にそれぞれ設けられた耳かけ部とを備え、
前記マスク本体部は、一方の側縁部どうしが接合された一対の本体シートからなり、
前記一対の本体シートの前記一方の側縁部は、長さ方向に沿って内面どうしが重ね合わされて複数の接合部で互いに接合され、
前記複数の接合部は、1または複数の非接合部によって前記側縁部の長さ方向に隔てられ、
前記非接合部は、前記マスク本体部内の使用者の呼気を外部に排出可能であり、かつ吸気を流入抑制することを特徴とするマスク。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
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【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【公開番号】特開2012−254272(P2012−254272A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−156628(P2011−156628)
【出願日】平成23年7月15日(2011.7.15)
【出願人】(000101938)イカリ消毒株式会社 (33)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月15日(2011.7.15)
【出願人】(000101938)イカリ消毒株式会社 (33)
【Fターム(参考)】
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