説明

マスク

【課題】マスク本体部と着用者の顔との間に隙間が発生するのを防止することができるマスクを提供する。
【解決手段】左側耳掛け部30の上端側基部31aおよび下端側基部31cは、それぞれ上端側接合部23および下端側接合部24によってマスク本体部20に接合されている。また、右側耳掛け部40の上端側基部41aおよび下端側基部41cは、それぞれ上端側接合部26および下端側接合部27によってマスク本体部20に接合されている。上端側接合部23(26)は、第2の方向80に沿った下方端の下部接合部23d(26d)が、第2の方向80に沿った上方端の上部接合部23u(26u)に対して、第1の方向70に沿って縁部35(45)と反対側に偏移するように形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着用者の口や鼻等を覆うマスクの構築技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、着用者の口や鼻を覆うマスクとして、例えば、特許文献1に記載されているマスクが知られている。このマスクは、口を覆うマスク本体部と、左側耳掛け部および右側耳掛け部を備えている。マスク本体部は、平行な複数の襞を有しており、マスク着用時に立体状となる。また、左側耳掛け部および右側耳掛け部として、幅の狭いゴム紐等が用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭51−15893号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のマスクは、左側耳掛け部および右側耳掛け部として、幅の狭いゴム紐等が用いられているため、マスク本体部と着用者の顔との間に隙間が発生し易い。ここで、隙間の発生を防止するために、例えば、図15(a)に示されているように、帯状の左側耳掛け部330をマスク本体部320に接合することが考えられる。左側耳掛け部330は、左側耳掛け部330と右側耳掛け部(図子省略)が配置されている方向(左右方向)70と交差する方向(上下方向)80に離れている上端側基部331aおよび下端側基部331cを有している。また、上端側基部331aおよび下端側基部331cから延びており、開口330aを形成する帯状の縁部(耳掛け部)335を有している。上端側基部331aおよび下端側基部331cは、それぞれ上下方向80に平行な直線に沿った上端側接合部323および下端側接合部324によってマスク本体部320に接合されている。このようなマスク310を着用すると、マスク本体部320および左側耳掛け部330は、図15(b)に示されているように変形する。例えば、上端側基部331aに連結されている部分が伸長する。この時、上端側接合部323がマスク本体部320に対し湾曲するため、伸長率に差が生じる。例えば、上端側基部331aに連結されている部分では、下部336dに対応する部分の長さが60mmから100mmに伸長する(伸長率=170%)のに対し、上部336uに対応する部分の長さは60mmから90mmしか伸長しない(伸長率=150%)。したがって、マスク着用時に、伸長率が低い部分(図15(b)の破線の部分)が浮き、マスク本体部320と着用者の顔の間に隙間が発生する。特に、上端側基部331aに連結されている部分において、伸長率の差が生じやすい。
本発明は、このような点に鑑みて創案されたものであり、マスク着用時にマスク本体部と着用者の顔の間に隙間が発生するのを防止するために有効な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のマスクは、一回使用ないし数回使用を目的とした使い捨てタイプのマスクであってもよいし、洗濯等を行うことによって繰り返し使用可能なタイプのマスクであってもよい。
本発明は、少なくとも、マスク本体部と、第1および第2の耳掛け部を備えている。マスク本体部は、着用者の口や鼻を覆う部材であり、第1および第2の耳掛け部は、着用者の左耳および右耳に掛けられる部材である。第1及び第2の耳掛け部は、それぞれ第1の方向に沿って離れている第1の接合部および第2の接合部によってマスク本体部に接合されている。
なお、第1の耳掛け部は、着用者の左耳に掛けられ、第2の耳掛け部は、着用者の右耳に掛けられる。「第1の方向」は、マスク本体部の長手方向(幅方向)を表し、マスク着用状態において、着用者の左右方向に対応する。「第1の方向の一方方向」は、第1の耳掛け部から第2の耳掛け部の方向を表し、マスク着用状態において、着用者から見て左から右の方向に対応する。「第1の方向の他方方向」は、第2の耳掛け部から第1の耳掛け部の方向を表し、マスク着用状態において、着用者から見て右から左の方向に対応する。
マスク本体部は、第1の方向に平行に伸びる複数の襞を有している。典型的には、マスク着用時に立体状となるプリーツタイプに形成される。
マスク本体部、第1および第2の耳掛け部は、典型的には、1つのシート片または複数のシート片を接合することによって形成される。シート片としては、例えば、機械的、化学的、熱的処理によって繊維を固着しあるいは絡み合わせて作られるシート片が用いられる。典型的には、熱融着性合成繊維(熱可塑性合成繊維)を一部に含み、熱融着(熱溶着)が可能な不織布シートが用いられる。好適には、第1および第2の耳掛け部は、伸縮性を有する不織布シート片により形成される。
第1および第2の耳掛け部をマスク本体部に接合する方法としては、種々の接合方法を用いることができる。例えば、熱融着によって接合する方法、接着剤を用いて接合する方法等を用いることができる。第1および第2の接合部は、線状(直線。曲線)や点状等種々の形状の接合部を、線(直線、曲線)に沿ってあるいは不連続に設けることによって構成される。
第1の耳掛け部は、第1の方向と交差する第2の方向に離れて配置されている第1の下端側基部および第1の上端側基部を有している。第1の下端側基部は、第1の上端側基部より、第2の方向の一方方向側に配置されている。また、第1の耳掛け部は、第1の下端側基部および第1の上端側基部から延びており、開口を形成する第1の縁部を有している。そして、第1の下端側基部および第1の上端側基部は、それぞれ第1の接合部の第1の下端側接合部および第2の上端側接合部によって、マスク本体部に接合されている。第2の耳掛け部は、第2の方向に離れて配置されている第2の下端側基部および第2の上端側基部を有している。第2の下端側基部は、第2の上端側基部より、第2の方向の一方方向側に配置されている。また、第2の耳掛け部は、第2の下端側基部および第2の上端側基部から延びており、開口を形成する第2の縁部を有している。そして、第2の下端側基部および第2の上端側基部は、それぞれ第2の接合部の第2の下端側接合部および第2の上端側接合部によって、マスク本体部に接合されている。
第1の縁部は、着用者の左耳に掛けられる部分であり、第2の縁部は、着用者の右耳に掛けられる部分である。第1の耳掛け部および第2の耳掛け部は、マスク本体部の着用面(着用者側の面)または非着用面に配置される。第1の下端側基部、第1の上端側基部、第2の下端側基部、第2の上端側基部は、少なくとも一部がマスク本体部に接合される。「第1の方向と交差する第2の方向」は、マスク本体部の長手方向に交差する方向(高さ方向)を表し、マスク着用状態において、着用者の上下方向に対応する。「第2の方向の一方方向」は、マスク本体部の上片から下片の方向を表し、マスク着用状態において、着用者の上から下の方向に対応する。「第2の方向の他方方向」は、マスク本体部の下片から上片の方向を表し、マスク着用状態において、着用者の下から上の方向に対応する。
そして、第1の上端側接合部は、第2の方向の一方方向端の第1の上端側接合部が、第2の方向の他方方向端の第1の上端接合部より、第1の方向の一方方向側に配置されるように設けられている。また、第2の上端側接合部は、第2の方向の一方方向端の第2の上端側接合部が、第2の方向の他方方向端の第2の上端側接合部より、第1の方向の他方方向側に配置されるように設けられている。すなわち、第1の上端側接合部(第2の上端側接合部)は、第2の方向の一方方向端の接合部が、第2の方向の他方方向端の接合部に対して、第1の方向に沿って第1の縁部(第2の縁部)と反対側に配置されるように形成されている。
本発明では、マスク着用時に、第1の耳掛け部の第1の上端側基部に連結されている部分および第2の耳掛け部の第2の上端側基部に連結されている部分において、第2の方向の他方方向端側の伸張率と第2の方向の一方方向端側の伸張率の差を低減することができる。これにより、マスク着用時における伸張率の差を合わせることができ、第1および第2の上端側接合部の箇所に隙間が形成されるのを防止することができる。
【0006】
本発明の異なる形態では、さらに、第1の下端側接合部は、第2の方向の他方方向端の第1の下端側接合部が、第2の方向の一方方向端の第1の下端接合部より、第1の方向の一方方向側に配置されるように設けられている。また、第2の下端側接合部は、第2の方向の他方方向端の第2の下端側接合部が、第2の方向の一方方向端の第2の下端接合部より、第1の方向の他方方向側に配置されるように設けられている。すなわち、第1の下端側接合部(第2の下端側接合部)は、第2の方向の他方方向端の接合部が、第2の方向の一方方向端の接合部に対して、第1の方向に沿って第1の縁部(第2の縁部)と反対側に配置されるように形成されている。
本形態では、マスク着用時に、第1の耳掛け部の第1の下端側基部に連結されている部分および第2の耳掛け部の第2の下端側基部に連結されている部分において、第2の方向の一方方向端側の伸張率と第2の方向の他方方向端側の伸張率の差を低減することができる。これにより、マスク着用時における伸張率の差を合わせることができ、第1および第2の下端側接合部の箇所に隙間が形成されるのを防止することができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明のマスクでは、マスク着用時に、マスク本体部と着用者の顔の間に隙間が形成されるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】一実施の形態のマスクの非着用状態を非着用面側から見た図である。
【図2】一実施の形態のマスクの非着用状態を着用面側から見た図である。
【図3】非着用時におけるマスク本体部の状態を示す図である。
【図4】着用時におけるマスク本体部の状態を示す図である。
【図5】一実施の形態のマスクの着用時における伸長状態を示す図である。
【図6】接合部の他の例を示す図である。
【図7】接合部の他の例を示す図である。
【図8】接合部の他の例を示す図である。
【図9】接合部の他の例を示す図である。
【図10】接合部の他の例を示す図である。
【図11】接合部の他の例を示す図である。
【図12】接合部の他の例を示す図である。
【図13】他の実施の形態のマスクの非着用状態を、着用面側から見た図である。
【図14】他の実施の形態のマスクの着用状態を、着用面側から見た図である。
【図15】従来のマスクの着用時における伸長状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
本明細書で用いられている「方向」は、以下のように定められている。
「第1の方向70」は、マスク本体部20の長手方向(幅方向)(図1の左右方向)を表し、マスク着用状態において、着用者の左右方向に対応する(「左右方向」という)。「第1の方向70の一方方向」は、左側耳掛け部(第1の耳掛け部)30から右側耳掛け部(第2の耳掛け部)40の方向を表し、マスク着用状態において、着用者の左から右の方向に対応する(「右方向」という)。「第1の方向70の他方方向」は、右側耳掛け部(第2の耳掛け部)40から左側耳掛け部(第1の耳掛け部)30の方向を表し、マスク着用状態において、着用者の右から左の方向に対応する(「左方向」という)。なお、「右方向」および「左方向」という記載は、着用状態において、着用者側から見た方向を表している。したがって、非着用面側から見た場合に用いられる「右方向」および「左方向」という記載は、非着用面側から見た実際の「右方向」および「左方向」と反対方向を示している。
また、「第2の方向80」は、マスク本体部20の長手方向に交差する方向(高さ方向)(図1の上下方向)を表し、マスク着用状態において、着用者の上下方向に対応する(「上下方向」という)。「第2の方向80の一方方向」は、マスク本体部20の上片から下片の方向を表し、マスク着用状態において、着用者の上から下の方向に対応する(「下方向」という)。「第2の方向80の他方方向」は、マスク本体部20の下片から上片の方向を表し、マスク着用状態において、着用者の下から上の方向に対応する(「上方向」という)。
また、「第3の方向90」は、マスク本体部20の前後方向(図1の前後方向)を表し、マスク着用状態において、着用者の前後方向に対応する(「前後方向」という)。「第3の方向90の一方方向」は、マスク本体部20の非着用面20Yから着用面20Xの方向を表し、マスク着用状態において、着用者の前から後の方向に対応する(「後方向」という)。「第3の方向90の他方方向」は、マスク本体部20の着用面20Xから非着用面20Yの方向を表し、マスク着用状態において、着用者の後から前の方向に対応する(「前方向」という)。
【0010】
本発明のマスクの一実施の形態10を、図1および図2を参照して説明する。本実施の形態のマスク10は、1回〜数回の使用を想定した使い捨てマスクとして構成されている。また、本実施の形態のマスク10は、花粉対策、風等のウィルス対策、口元や鼻腔内の保湿等の環境改善等の種々の用途に使用可能である。
図1は、一実施の形態のマスク10の非着用状態を非着用面20Y側(着用面20Xと反対側の面側)から見た図であり、図2は、一実施の形態のマスク10の非着用状態を着用面20X側から見た図である。
【0011】
図1、図2に示されているように、本実施の形態のマスク10は、マスク本体部20、左側耳掛け部30、右側耳掛け部40により構成されている。マスク本体部20は、着用者の口や鼻を覆う部材である。左側耳掛け部30および右側耳掛け部40は、着用者の左耳および右耳に掛けられる部材である。マスク本体部20が、本発明の「マスク本体部」に対応し、左側耳掛け部30が、本発明の「第1の耳掛け部」に対応し、右側耳掛け部40が、本発明の「第2の耳掛け部」に対応する。
【0012】
マスク本体部20は、第1の方向70(左右方向)に沿って延びている複数の襞(プリーツ)を有し、プリーツタイプのマスク本体部として形成されている。本実施の形態では、図3に示されているように、上辺20a、下辺20b、左辺20c、右辺20dにより方形に形成されているシート片が、上辺20aおよび下辺20bに平行な(第1の方向70に平行な)複数の折り返し線21a〜21jに沿って順次折り返されている。これにより、第1の方向70に沿って延びる複数の襞20B〜20Jが、第1の方向70と交差する第2の方向80(上下方向)に沿って配置されている。マスク本体部20は、非着用状態では、第1の方向70に沿った長さ(幅)がW、第2の方向80に沿った長さ(高さ)がHである方形(上辺28a、下辺28b、左辺28c、右辺28d)を有している。勿論、マスク本体部20の形状は、方形に限定されない。
なお、折り返し線21aに沿って折り返された折り返し片20Aと襞20Bによって、保形部50が保持される。保形部50は、マスク着用時に、マスク本体部20の上端部を着用者の顔の凹凸形状に対応させることによって、マスク本体部20と着用者の顔との間の隙間を減少させるものである。保形部50は、折り曲げが容易であり、また、折り曲げた形状を維持する剛性を有するのが好ましい。保形部50としては、例えば、合成樹脂あるいは金属等によって形成された薄板が用いられる。保形部50は、種々の方法でマスク本体部20に保持される。
襞20B〜20Jは、第1の方向70に沿った両端部において、適宜の方法で接合される。
【0013】
マスク本体部20は、好適には、熱可塑性繊維からなる不織布シートが、反着用者側に配置される外側層、フィルター層(中間層)、着用者側に配置される内側層の3層に積層された積層シートにより形成される。不織布シートとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等を用いて、エアスルー法、スパンボンド法、サーマルボンド法、スパンレース法、ポイントボンド法、メルトブロー法、ステッチボンド法、ケミカルボンド法、ニードルパンチ法等により製造され、目付が10〜150g/mのものが用いられる。外側層および内側層を形成する不織布シートとしては、通気性と肌触りがよいものが、また、フィルター層を形成する不織布シートとしては、通気性と遮断性(捕集性)がよいものを用いるのが好ましい。
【0014】
本実施の形態では、左側耳掛け部30および右側耳掛け部40は、マスク本体部20の非着用面20Y上に配置された状態で、マスク本体部20に接合されている。
本実施の形態では、マスク本体部20と左側耳掛け部30および左側耳掛け部40は、別体に形成されている。なお、マスク本体部20と左側耳掛け部30および右側耳掛け部40を一体に形成することもできる。例えば、1つのシート片を折り返すことによって、シート本体部20に左側耳掛け部30および右側耳掛け部40が重ねられたマスク本体部を形成する。
左側耳掛け部30および右側耳掛け部40は、シート片により形成される。左側耳掛け部30および右側耳掛け部40を形成するシート片としては、マスク本体部20と同様に、熱可塑性合成繊維からなる不織布シートを用いることができるが、伸縮性が高い不織布シートを用いるのが好ましい。例えば、目付が30〜120g/mの、伸縮SB不織布シート(スパンボンド不織布シート)、伸縮SMS不織布シート(スパンボンドとメルトブロー複合不織布シート)、(伸縮SB−フィルム−SB)不織布シート、伸縮性スパンレース不織布シート、伸縮HMA不織布シート等が用いられる。
【0015】
左側耳掛け部30は、基部と、基部から延び、開口30aを形成する縁部(耳掛け部)35を有している。基部は、第2の方向80に沿って離れて配置されている上端側基部31aおよび下端側基部31cを有している。下端側基部31cは、上端側基部31aより、第2の方向80に沿って下方側に配置されている。縁部35は、上端側基部31aと下端側基部31cから延びている。縁部35は、開口30aに挿入された着用者の左耳に掛けられる部材である。上端側基部31aが、本発明の「第1の上端側基部」に対応し、下端側基部31cが、本発明の「第1の下端側基部」に対応し、縁部35が、本発明の「第1の縁部」に対応する。
左側耳掛け部30は、マスク本体部20の非着用面20Y上に、第1の方向70に沿った他方方向(左側)に配置されている。また、左側耳掛け部30は、縁部35が、上端側基部31aおよび下端側基部31cより、第1の方向70に沿った他方方向側(左側)に配置されるように非着用面20Y上に配置されている。
【0016】
そして、左側耳掛け部30の上端側基部31aおよび下端側基部31cが、それぞれ上端側接合部23および下端側接合部24によってマスク本体部20に接合されている。上端側接合部23および下端側接合部24は、線状または点状等の種々の形状の接合部によって構成される。上端側接合部23が、本発明の「第1の上端側接合部」に対応し、下端側接合部24が、本発明の「第1の下端側接合部」に対応する。
上端側接合部23は、第2の方向80の下方端の接合部(下部接合部23d)と、第2の方向の上方端の接合部(上部接合部23u)と、下部接合部23dと上部接合部23uの間に形成されている接合部を有している。ここで、下部接合部23dは、上部接合部23uより、第1の方向70の一方方向側(右側)に形成されている。本実施の形態では、下部接合部23dと上部接合部23uを結ぶ線に沿って形成された接合部を有している。すなわち、下部接合部23dが、上部接合部23uに対して縁部35と反対側に配置されている。
下端側接合部24は、第2の方向80の上方端の接合部(上部接合部24u)と、第2の方向の下方端の接合部(下部接合部24d)と、上部接合部24uと下部接合部24dの間に形成されている接合部を有している。ここで、上部接合部24uは、下部接合部24dより、第1の方向70の他方方向側(左側)に形成されている。本実施の形態では、下部接合部24dと上部接合部24uを結ぶ線に沿って上端側接合部が設けられている。すなわち、上部接合部24uが、下部接合部24dに対して縁部35と反対側に配置されている。
【0017】
右側耳掛け部40は、基部と、基部から延び、開口40aを形成する縁部(耳掛け部)45を有している。基部は、第2の方向80に沿って離れて配置されている上端側基部41aおよび下端側基部41cを有している。下端側基部41cは、上端側基部41aより、第2の方向80に沿って下方側に配置されている。縁部(耳掛け部)45は、上端側基部41aと下端側基部41cから延びている。縁部(耳掛け部)45は、開口40aに挿入された着用者の左耳に掛けられる部材である。上端側基部41aが、本発明の「第2の上端側基部」に対応し、下端側基部41cが、本発明の「第2の下端側基部」に対応し、縁部45が、本発明の「第2の縁部」に対応する。
右側耳掛け部40は、マスク本体部20の非着用面20Y上に、第1の方向70に沿った一方方向側(右側)に配置されている。また、右側耳掛け部40は、縁部45が、上端側基部41aおよび下端側基部41cより、第1の方向70に沿った一方方向側(右側)に配置されるように非着用面20Y上に配置されている。
【0018】
そして、右側耳掛け部40の上端側基部41aおよび下端側基部41cが、それぞれ上端側接合部26および下端側接合部27によってマスク本体部20に接合されている。上端側接合部26および下端側接合部27は、線状または点状等の種々の形状の接合部によって構成される。上端側接合部26が、本発明の「第2の上端側接合部」に対応し、下端側接合部27が、本発明の「第2の下端側接合部」に対応する。
上端側接合部26は、第2の方向80の下方端の接合部(下部接合部26d)と、第2の方向の上方端の接合部(上部接合部26u)と、下部接合部26dと上部接合部26uの間に形成されている接合部を有している。ここで、下部接合部26dは、上部接合部26uより、第1の方向70の右側に形成されている。本実施の形態では、下部接合部26dと上部接合部26uを結ぶ線に沿って形成された接合部を有している。すなわち、下部接合部26dが、上部接合部26uに対して縁部45と反対側に配置されている。
下端側接合部27は、第2の方向80の上方端の接合部(上部接合部27u)と、第2の方向の下方端の接合部(下部接合部27d)と、上部接合部27uと下部接合部27dの間に形成されている接合部を有している。ここで、上部接合部27uは、下部接合部27dより、第1の方向70の左側に配置されている。本実施の形態では、下部接合部27dと上部接合部27uを結ぶ線に沿って上端側接合部が設けられている。すなわち、上部接合部27uが、下部接合部27dに対して縁部45と反対側に配置されている。
【0019】
なお、左側耳掛け部30(右側耳掛け部40)の上端側基部31a(41a)および下端側基部31c(41c)の幅、言い換えれば、上端側基部31a(41a)および下端側基部31c(41c)と縁部35(45)との連結部の幅は、Lに設定されている。例えば、マスク本体部20の高さHが70mm〜110mm、上端側基部31a(41a)および下端側基部31c(41c)の幅Lが10mm〜30mmに設定される。すなわち、本実施の形態では、左側耳掛け部30(右側耳掛け部40)の縁部32(42)は、幅を有する帯状の部材として形成されている。また、上端側接合部23(26)および下端側接合部24(27)の長さMは、2〜20mmに設定されている。
【0020】
マスク本体部20(襞20B〜20J)は、第1の方向70に沿った左側端部において、上端側接合部23および下端側接合部24によって接合されているとともに、中央接合部22によって接合されている。本実施の形態では、中央接合部22は、上端側基部31aと下端側基部31cの間に形成されている。中央接合部22が、本発明の「第1の中央接合部」に対応する。また、上端側接合部23、下端側接合部24および中央接合部によって、「左側接合部」が構成されている。そして、左側接合部が、本発明の「第1の耳掛け部をマスク本体部に接合する第1の接合部」に対応する。左側接合部は、上端側接合部23と下端側接合部24によって構成することもできる。
また、マスク本体部20(襞20B〜20J)は、第1の方向70に沿った右側端部において、上端側接合部26および下端側接合部27によって接合されているとともに、中央接合部25によって接合されている。本実施の形態では、中央接合部25は、上端側基部41aと下端側基部41cの間に形成されている。中央接合部25が、本発明の「第2の中央接合部」に対応する。また、上端側接合部26、下端側接合部27および中央接合部25によって、「右側接合部」が構成されている。そして、右側接合部が、本発明の「第2の耳掛け部をマスク本体部に接合する第2の接合部」に対応する。右側接合部は、上端側接合部26と下端側接合部27によって構成することもできる。
なお、中央接合部22の配設位置は、上端側接合部23の上部接合部23uおよび下端側接合部24の下部接合部24dに対して、第1の方向70に沿って縁部35と反対側に設定される。また、中央接合部25の配設位置は、上端側接合部26の上部接合部26uおよび下端側接合部27の下部接合部27dに対して、第1の方向70に沿って縁部45と反対側に設定される。
【0021】
以上のように、本実施の形態では、上端側基部31a(41a)をマスク本体部20に接合する上端側接合部23(26)は、第2の方向80に沿った下方端の下部接合部23d(26d)が、第2の方向80に沿った上方端の上部接合部23u(26u)に対して、第1の方向に沿って縁部35と反対側(右側)に配置されるように形成されている。また、下端側基部31c(部31c)をマスク本体部20に接合する下端側接合部24(27)は、第2の方向80に沿った上方端の上部接合部24u(27u)が、第2の方向80に沿った下方端の下部接合部24d(27d)に対して、第1の方向に沿って縁部45と反対側(左側)に配置されるように形成されている。これにより、図5(a)に示されているように、上端側基部31aに連結されている部分では、上部接合部23uと開口30aの右方端の間の間隔が、下部接合部23dと開口30aの右方端の間の間隔より短くなる。図5(a)では、上部36u側の間隔が60mm、下部36d側の間隔が70mmに設定されている。
【0022】
次に、本実施の形態のマスク10を着用する動作を説明する。
図1、図2に示されている状態で、第2の方向80に沿った両端の襞20B、20Jの中央部を第2の方向80に沿って引っ張る。これにより、マスク本体部20は、図4に示されているように、襞20B〜20Jの第1の方向70に沿った中央部が、第2の方向80に沿って拡開する。同時に、中央の襞20Fと両端の襞20Aおよび20Bとの間の第3の方向90(前後方向)に沿った間隔が大きくなる。すなわち、マスク本体部20は、立体状となる。
また、左側耳掛け部30の縁部35および右側耳掛け部40の縁部45を第1の方向に沿って引っ張り、左側耳掛け部30の開口30aを着用者の左耳に掛け、右側耳掛け部40の開口40aを着用者の右耳に掛ける。
この時、前述したように、上端側接合部23、26および下端側接合部24、27がマスク本体部20に対し湾曲するため、伸長率に差が生じる。
本実施の形態では、図5(a)に示されているように、上端側基部31a、41aが連結されている部分では、上部側の間隔が下部側の間隔より短く設定されている。また、下端側基部21c、41cが連結されている部分では、下部側の間隔が上部側の間隔より短く設定されている。このため、マスク着用時には、図5(b)に示されているように、伸長率の差が低減される。例えば、上端側基部31aに連結されている部分では、上部36u側の間隔が60mmから90mmに伸長し(伸長率=150%)、下部36d側の間隔が70mmから105mmに伸長している(伸長率=150%)。
このように、マスク着用時における伸長率の差が低減されることにより、マスク着用時に、マスク本体部20と着用者の顔の間に隙間が形成されるのを防止することができる。
【0023】
マスク本体部20を構成する襞を接合する中央接合部22の配置位置は、上端側接合部23および下端側接合部24より縁部35側(第1の方向70に沿った左側)に存在しない位置であればよい。例えば、図6に示されているように、上端側接合部23の下部接合部23dと下端側接合部24の上部接合部24uを結ぶ線に沿って形成した中央接合部22によってマスク本体部20を接合してもよい。また、図8に示されているように、上端側接合部23の上部接合部23uと下端側接合部24の下部接合部24dを結ぶ線に沿って形成した中央接合部22によってマスク本体部20を接合してもよい。また、図7に示されているように、上端側接合部23の下部接合部23dと下端側接合部24の上部接合部24uを結ぶ線に沿って形成した中央接合部22によって、マスク本体部20を接合するとともに、上端側接合部31aおよび下端側接合部31cをマスク本体部20に接合してもよい。
【0024】
上端接合部(23、26)および下端側接合部(24、27)は、適宜の形状に形成することができるが、第2の方向80に沿った端部側が、縁部35(45)の引っ張り方向に対して直角(略直角を含む)に形成されているのが好ましい。例えば、上端側接合部23(26)は、第2の方向80の上方端の上部接合部23u(26u)側の箇所において、第2の方向80に平行(略平行を含む)に形成される。また、下端側接合部24(27)は、第2の方向80の下方端の下部接合部24d(27d)側の箇所において、第2の方向80に平行(略平行を含む)に形成される。
例えば、図9に示されている上端側接合部23は、上部接合部23u側の箇所(波線の箇所)に、第2の方向80に平行(略平行を含む)に形成されている接合部23aと、曲線に沿って形成されている接合部23bを有している。
また、図10に示されている上端側接合部23は、上部接合部23u側の箇所に(波線の箇所)に、第2の方向80に平行(略平行を含む)に形成されている接合部23aと、階段状の直線に沿って形成されている接合部23bおよび23cを有している。
また、図11に示されている上端側接合部23は、上部接合部23u側の箇所に(波線の箇所)に、第2の方向80に平行(略平行を含む)に形成されている接合部23aと、第2の方向80に平行(略平行を含む)に形成されている接合部23bを有している(接合部23aと23bは不連続)。
このように、上端側接合部(23、26)および下端側接合部(24、27)の、第2の方向80に沿った端部側を、縁部35(45)の引っ張り方向(第1の方向70)に対して直角に形成することにより、引っ張り方向(第1の方向70)への引っ張り応力に対する強度が増大する。
【0025】
本発明の第2の実施の形態のマスク110を図12に示す。
本実施の形態のマスク110の左側耳掛け部130は、基部131を有している。基部131は、第2の方向80に沿って下方側に順に配置されている上端側基部131a、中央基部131bおよび下端側基部131cを有している。開口130aを形成する縁部135は、上端側基部131aおよび下端側基部131cから延びている。また、上端側基部131aには、第2の方向80に沿った上方側に傾斜部123が形成され、下端側基部131cには、第2の方向80に沿った下方側に傾斜部124が形成されている。そして、左側耳掛け部130は、基部131の縁に沿って形成されている左側接合部(中央接合部122、上端側接合部123、下端側接合部124)によってマスク本体部120に接合されている。上端側接合部123は、傾斜部132の下端部132dに対応する下部接合部が、傾斜部132の上端部132uに対応する上部接合部に対して、第1の方向70に沿って縁部135と反対側に配置されるように形成されている。また、下端側接合部124は、傾斜部133の上端部133uに対応する上部接合部が、傾斜部133の下端部133dに対応する下部接合部に対して、第1の方向70に沿って縁部135と反対側に配置されるように形成されている。
同様に、右側耳掛け部140は、上端側基部141a、中央基部141bおよび下端側基部141cを含む基部141と、上端側基部141aおよび下端側基部141cから延びている縁部145を有している。上端側基部141aには、第2の方向80の上方側に傾斜部126が形成され、下端側基部141cには、第2の方向80の下方側に傾斜部127が形成されている。そして、右側耳掛け部140は、基部141の縁に沿って形成されている右側接合部(中央接合部125、上端側接合部126、下端側接合部127)によってマスク本体部120に接合されている。
なお、傾斜部132、133、142、143の第2の方向80に沿った長さNは、上端側基部131aおよび141a、下端側基部131cおよび141cの厚さLの30%以上に設定するのが好ましい。これにより、マスク着用時における伸長率の差を効果的に低減することができる。また、傾斜部132、133、142、143の形状は、直線状に限定されず、種々の形状に形成することができる。
【0026】
以上の実施の形態では、上端側接合部(23、26、123、126)および下端側接合部(24、27、124、127)を、上部接合部の位置と下部接合部の位置が第1の方向に沿って偏移するように形成した。通常、マスク着用時における伸長率の差は、上方(鼻が当接する側)の方が下方(口が当接する側)より大きい。したがって、上端側接合部(23、26、123、126)のみを、上部接合部の位置と下部接合部が第1の方向に沿って偏移するように形成してもよい。
【0027】
マスク着用時に、マスク本体部と着用者の顔の間に隙間が発生するのを防止する方法としては、他の方法を用いることもできる。本発明の第3の実施の形態のマスク210が、図13、図14に示されている。図13は、本実施の形態のマスク210の非着用状態を、マスク着用面220X側から見た図である。また、図14は、本実施の形態のマスク210の着用状態を、マスク着用面220X側から見た図である。なお、図13、図14では、右側が、本発明の「第1の方向の一方方向側」に対応し、左側が、本発明の「第1の方向に他方方向側」に対応する。
本実施の形態のマスク210は、マスク本体部220、左側耳掛け部230、右側耳掛け部240により構成されている。マスク本体部220としては、前述したマスク本体部20と同様の構成のマスク本体部が用いられている。また、マスク本体部220、左側耳掛け部230、右側耳掛け部240は、前述したマスク本体部20、左側耳掛け部30、右側耳掛け部40と同様のシート片を用いて形成される。
【0028】
左側耳掛け部230は、基部231と、基部231から延び、開口230aを形成する縁部(耳掛け部)235を有している。基部231は、第2の方向80の下方側に順に配置されている上端側基部231a、中央基部231b、下端側基部231cを有している。縁部(耳掛け部)235は、上端側基部231aと下端側基部231cから延びている。基部231が、本発明の「第1の基部」に対応し、縁部235が、本発明の「第1の縁部」に対応する。また、上端側基部231aが、本発明の「第1の上端側基部」に対応し、中央基部231bが、本発明の「第1の中央基部」に対応し、下端側基部231cが、本発明の「第1の下端側基部」に対応する。
左側耳掛け部230は、マスク本体部220の着用面220X上に、第1の方向70に沿った他方方向側(左側)に配置されている。また、左側耳掛け部30は、縁部235が、基部231より、第1の方向70に沿った一方方向側(右側)に配置されるように着用面20X上に配置されている。
そして、左側耳掛け部230の基部231の一部が、左側接合部によってマスク本体部220に接合されている。本実施の形態では、基部231の一部が、上端側基部231a、中央基部231bおよび下端側基部231cにおいて、左側接合部によってマスク本体部220に接合されている。すなわち、左側接合部は、上端側基部231aをマスク本体部20に接合する上端側接合部223、中央基部231bをマスク本体部20に接合する中央接合部222、下端側基部231cをマスク本体部20に接合する下端側接合部224を有している。左側接合部は、左側接合部よりより縁部235側の部分が、左側接合部の箇所で第1の方向70に沿って折り返すことができるように形成される。左側接合部が、本発明の「第1の接合部」に対応し、上端側接合部223が、「第1の上端側接合部」に対応し、中央接合部222が、本発明の「第1の中央接合部」に対応し、下端側接合部224が、本発明の「第1の下端側接合部」に対応する。
【0029】
右側耳掛け部240は、左側耳掛け部230と同様に、基部241と、基部241から延び、開口240aを形成する縁部(耳掛け部)245を有している。基部241は、第2の方向80の下方側に沿って順に配置されている上端側基部241a、中央基部241b、下端側基部241cを有している。縁部(耳掛け部)245は、上端側基部241aと下端側基部241cから延びている。基部241が、本発明の「第2の基部」に対応し、縁部(耳掛け部)245が、本発明の「第2の縁部」に対応する。また、「上端側基部241a」が、本発明の「第2の上端側基部」に対応し、中央基部241bが、本発明の「第2の中央基部」に対応し、下端側基部241cが、本発明の「第2の下端側基部」に対応する。
右側耳掛け部240は、マスク本体部220の着用面220X上に、第1の方向70に沿った一方方向側(右側)に配置されている。また、右側耳掛け部240は、縁部(耳掛け部)245が、基部241より、第1の方向70に沿った他方方向側(左側)に配置されるように着用面220X上に配置されている。
そして、右側耳掛け部240の基部241は、右側接合部によってマスク本体部220に接合されている。本実施の形態では、基部241の一部が、上端側基部241a、中央基部241bおよび下端側基部241cにおいて、右側接合部によってマスク本体部220に接合されている。すなわち、右側接合部は、上端側基部241aをマスク本体部220に接合する上端側接合部226、中央基部241bをマスク本体部220に接合する中央接合部225、下端側基部241cをマスク本体部220に接合する下端側接合部227を有している。右側接合部は、右側接合部より縁部245側の部分が、右側接合部の箇所で第1の方向70に沿って折り返すことができるように形成される。右側接合部が、本発明の「第2の接合部」に対応し、上端側接合部226が、本発明の「第2の上端側接合部」に対応し、中央接合部225が、本発明の「第2の中央接合部」に対応し、下端側接合部227が、本発明の「第2の下端側接合部」に対応する。
【0030】
以上のように、左側耳掛け部230および右側耳掛け部240は、マスク本体部220の着用面220X上に、それぞれ第1の方向に沿って左側部および右側部に配置される。また、縁部(235、245)が基部(231、241)より第1の方向70に沿って中央側に配置されるように、すなわち、左側耳掛け部230の縁部235と右側耳掛け部240の縁部245が第1の方向70に沿って対向するように、着用面220X上に配置されている。そして、右側耳掛け部230の基部231の一部が、左側接合部によってマスク本体部220に接合され、右側耳掛け部240の基部241の一部が、右側接合部によってマスク本体部20に接合されている。
非着用時には、左側耳掛け部230および右側耳掛け部240がマスク本体部220の着用面220Xに重ねられるため、マスク210の大きさ(面積)がマスク本体部220の大きさ(面積)にほぼ等しくなる。これにより、非着用時におけるマスク210の包装や持ち運びが容易である。
【0031】
次に、本実施の形態のマスク210を着用する動作を説明する。
図13に示されている状態で、第2の方向80に沿った両端の襞20B、20Jの中央部を第2の方向80に沿って引っ張り、マスク本体部220を立体状にする。
また、図14に示されているように、左側耳掛け部230および右側耳掛け部240を、第1の方向70(左右方向)に折り返す。すなわち、左側耳掛け部230の縁部235を、第1の方向70に沿って左側(他方方向側)に折り返す。これにより、左側耳掛け部230の、左側接合部より縁部235側の部分が、左側接合部の箇所で折り返される。また、右側耳掛け部240の縁部245を、第1の方向70に沿って右側(一方方向側)に折り返す。これにより、右側耳掛け部240の、右側接合部より縁部245側の部分が、右側接合部の箇所で折り返される。
そして、左側耳掛け部230の開口230aを着用者の左耳に掛け、右側耳掛け部240の開口240aを着用者の右耳に掛ける。
この時、左側耳掛け部230の折り返された部分の一部が、左側接合部と着用者の間に配置される。すなわち、左側接合部が、左側耳掛け部230の、折り返された部分の一部によって覆われる。また、右側耳掛け部240の折り返された部分の一部が、右側接合部と着用者の間に配置される。すなわち、右側接合部が、左側耳掛け部240の、折り返された部分の一部によって覆われる。
これにより、マスク本体部220と着用者の顔の間に隙間が生じするのを防止することができるとともに、着用者の肌に左側接合部および右側接合部が直接に接触するのを防止することができる。
なお、本実施の形態では、左側耳掛け部230(右側耳掛け部240)の上端側基部231a(241a)と下端側基部231c(241c)の、上端側接合部223(226)より縁部235(245)側の部分だけでなく、中央基部231b(241b)の、中央接合部222(225)より縁部235(245)側の部分も折り返される。これにより、接合部が着用者の肌に接触するのを防止しながら、上端側基部231a(241a)と下端側基部231c(241c)の間に左側接合部(右側接合部)を形成して左側耳掛け部230(右側耳掛け部240)とマスク本体部220との接合強度を高めることができる。
【0032】
さらに、本実施の形態では、中央基部231b(241b)における中央接合部222(225)は、第2の方向に沿った位置が、第1の方向70に関してほぼ同じとなるように(第3の方向80に略平行に)形成されている。一方、上端側基部231a(241a)における上端側接合部223(226)および下端側基部231c(241c)における下端側接合部224(227)は、第2の方向に沿った位置が、第1の方向70に関して偏移されている。
上端側接合部223(226)は、第2の方向80に沿った下方端の下部接合部223d(226d)が、第2の方向80に沿った上方端の上部接合部223u(226u)に対して、第1の方向70に沿って縁部235(245)と反対側に配置されている。そして、上部接合部223u(226u)と下部接合部223d(226d)の間に、適宜の接合部が形成されている。
また、下端側接合部224(227)は、第2の方向80に沿った上方端の上部接合部224u(227u)が、第2の方向80に沿った下方端の下部接合部224d(227d)に対して、第1の方向70に沿って縁部235(245)と反対側に配置されている。そして、上部接合部224u(227u)と下部接合部224d(227d)の間に、適宜の形状の接合部が形成されている。
なお、左側接合部および右側接合部の形状や、位置(第1の方向70に沿った位置)は、適宜設定可能であるが、左側接合部および右側接合部の箇所で折り返した部分の一部によって左側接合部および右側接合部を覆うことができるように設定するのが好ましい。
【0033】
このように、本実施の形態では、左側接合部(第1の接合部)の上端側接合部223の位置は、第2の方向80に沿った上方端の上部接合部223uの位置から、第2の方向80に沿った下方端の下部接合部223dの位置に、第1の方向70に沿った一方方向(右方向)に順次偏移している。そして、右側接合部(第2の接合部)の上端側接合部226の位置は、第2の方向80に沿った上方端の上部接合部226uの位置から、第2の方向80に沿った下方端の下部接合部226dの位置に、第1の方向70に沿って他方方向(左方向)に順次偏移している。これにより、マスク着用時に、上端側基部231aおよび241aにおいて、マスク本体部220と着用者との間に隙間が形成されるのが効果的に防止される。
また、左側接合部(第1の接合部)の下端側接合部224の位置は、第2の方向80に沿った下方端の下部接合部224dの位置から、第2の方向80に沿った上方端の上部接合部224uの位置に、第1の方向70に沿って他方方向(左方向)に順次偏移している。そして、右側接合部(第2の接合部)の下端側接合部227の位置は、第2の方向80に沿った下方端の下部接合部227dの位置から、第2の方向80に沿った上方端の上部接合部227uの位置に、第1の方向70に沿って一方方向(左方向)に順次偏移している。これにより、マスク着用時に、下端側基部231cおよび241cにおいて、マスク本体部220と着用者との間に隙間が形成されるのを効果的に防止することができる。
本実施の形態では、少なくとも、上端側接合部223および226の位置が、第1の方向70および第2の方向80に沿って偏移していればよい。
【0034】
なお、本実施の形態のマスク210は、以下のマスクとして記載することができる。
「着用者の口を覆うマスク本体部と、着用者の耳に掛けられる第1の耳掛け部および第2の耳掛け部を備え、前記第1の耳掛け部および前記第2の耳掛け部は、それぞれ第1の方向に離れて設けられている第1の接合部および第2の接合部によって前記マスク本体部に接合されているマスクであって、
前記第1の耳掛け部は、前記第1の方向と交差する第2の方向に離れている第1の下端側基部および第1の上端側基部と、開口を形成する第1の縁部を有し、前記第1の下端側基部は、前記第1の上端側基部より前記第2の方向の一方方向側に配置され、前記第1の縁部は、前記第1の下端側基部および前記第1の上端側基部から延びており、
前記第2の耳掛け部は、前記第2の方向に離れている第2の下端側基部および第2の上端側基部と、開口を形成する第2の縁部を有し、前記第2の下端側基部は、前記第2の上端側基部より前記第2の方向の前記一方方向側に配置され、前記第2の縁部は、前記第1の下端側基部および前記第2の下端側基部から延びており、
また、前記第1の耳掛け部と前記第2の耳掛け部は、前記マスク本体部の着用面上に、前記第1の縁部と前記第2の縁部が前記第1の方向に沿って対向するように配置されており、
前記第1の接合部は、前記第1の上端側基部を前記マスク本体部に接合する第1の上端側接合部と、前記第1の下端側基部を前記マスク本体部に接合する第1の下端側接合部を有しており、
前記第2の接合部は、前記第2の上端側基部を前記マスク本体部に接合する第2の上端側接合部と、前記第2の下端側基部を前記マスク本体部に接合する第2の下端側接合部を有しており、
前記第1の上端側接合部は、前記第2の方向の前記他方方向端の第1の上端側接合部が、前記2の方向の前記一方方向端の第1の上端側接合部より、前記第1の方向の前記一方方向側に配置されるように設けられており、
前記第2の上端側接合部は、前記第2の方向の前記他方方向端の第2の上端側接合部が、前記2の方向の前記一方方向端の第2の上端側接合部より、前記第1の方向の前記他方方向側に配置されるように設けられていることを特徴とするマスク。」
【0035】
本発明は、実施の形態で説明した構成に限定されず、種々の変更、追加、削除が可能である。
マスク本体部、左側耳掛け部および右側耳掛け部は、種々の形状に形成することができる。例えば、マスク本体部は、少なくとも着用時に立体状となる形状や、常時平面状態を維持する形状等に形成することができる。
マスク本体部、左側耳掛け部および右側耳掛け部は、種々の材料を用いて、また、種々の方法を用いて形成することができる。さらに、マスク本体部、左側耳掛け部および右側耳掛け部を接合する方法としては、種々の接合方法を用いることができる。
マスク本体部の各襞の形状等は、適宜変更可能である。
左側接合部(第1の接合部)および右側接合部(第2の接合部)の形状、配置位置等は、適宜変更可能である。また、接合部としては、連続する接合部を用いることもできるし、離散的に配置された種々の形状の接合部を用いることもできる。
実施の形態で説明した各構成は、単独で用いることもできるし、適宜選択した複数の構成を組み合わせて用いることもできる。
【符号の説明】
【0036】
10、110、210、310 マスク
20、120、220、320 マスク本体部
20B〜20J 襞(プリーツ)
20X 着用面
20Y、120Y 非着用面
21a〜21j 折返し線
22、122、222 中央接合部
23、26、123、126、223、226、323 上端側接合部
23u、24u、26u、27u、223u、224u、226u、227u 上部接合部
23d、24d、26d、27d、223d、224d、226d、227d 下部接合部
24、27、124、127、224、227、324 下端側接合部
25、125、225 中央接合部
30、130、230、330 左側耳掛け部(第1の耳掛け部)
30a、40a、130a、140a、230a、240a、330a 開口
31a、41a、131a、141a、231a、241a、331a 上端側基部
131b、141b、231b、241b 中央基部
31c、41c、131c、141c、231c、241c、331c 下端側基部
35、45、135、145、235、245、335 縁部
40、140、240 右側耳掛け部(第2の耳掛け部)
70 第1の方向(左右方向)
80 第2の方向(上下方向)
90 第3の方向(前後方向)
131、141 基部
131a、141a 上端側基部
131b、141b 中央基部
131c、141c 下端側基部
132、133、142、143 傾斜部
132u、133u、142u、143u 上端部
132d、133d、142d、143d 下端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者の口を覆うマスク本体部と、着用者の耳に掛けられる第1の耳掛け部および第2の耳掛け部を備え、前記第1の耳掛け部および前記第2の耳掛け部は、それぞれ第1の方向に沿って離れて設けられている第1の接合部および第2の接合部によって前記マスク本体部に接合されているマスクであって、
前記マスク本体部は、前記第1の方向に沿って延びる複数の襞を有しており、
前記第1の耳掛け部は、前記第1の方向と交差する第2の方向に離れている第1の下端側基部および第1の上端側基部と、開口を形成する第1の縁部を有し、前記第1の下端側基部は、前記第1の上端側基部より前記第2の方向の一方方向側に配置され、前記第1の縁部は、前記第1の下端側基部および前記第1の上端側基部から延びており、
前記第2の耳掛け部は、前記第2の方向に沿って離れている第2の下端側基部および第2の上端側基部と、開口を形成する第2の縁部を有し、前記第2の下端側基部は、前記第2の上端側基部より前記第2の方向の一方方向側に配置され、前記第2の縁部は、前記第2の下端側基部および前記第2の上端側基部から延びており、
前記第1の接合部は、前記第1の上端側基部を前記マスク本体部に接合する第1の上端側接合部と、前記第1の下端側基部を前記マスク本体部に接合する第1の下端側接合部を有しており、
前記第2の接合部は、前記第2の上端側基部を前記マスク本体部に接合する第2の上端側接合部と、前記第2の下端側基部を前記マスク本体部に接合する第2の下端側接合部を有しており、
前記第1の上端側接合部は、前記第2の方向の前記一方方向端の第1の上端側接合部が、前記2の方向の前記他方方向端の第1の上端側接合部より、前記第1の方向の前記一方方向側に配置されるように設けられており、
前記第2の上端側接合部は、前記第2の方向の前記一方方向端の第2の上端側接合部が、前記2の方向の前記他方方向端の第2の上端側接合部より、前記第1の方向の前記他方方向側に配置されるように設けられていることを特徴とするマスク。
【請求項2】
請求項1に記載のマスクであって、
前記第1の下端側接合部は、前記第2の方向の前記他方方向端の第1の下端側接合部が、前記2の方向の前記一方方向端の第1の下端接合部より、前記第1の方向の前記一方方向側に配置されるように設けられており、
前記第2の下端側接合部は、前記第2の方向の前記他方方向端の第2の下端側接合部が、前記2の方向の前記一方方向端の第2の下端側接合部より、前記第1の方向の前記他方方向側に配置されるように設けられていることを特徴とするマスク。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−167418(P2011−167418A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−35448(P2010−35448)
【出願日】平成22年2月19日(2010.2.19)
【出願人】(000115108)ユニ・チャーム株式会社 (1,219)
【Fターム(参考)】