説明

マッサージノズルおよびそれを用いたシャワー装置

【課題】低水圧であっても安定して回転羽根が回転し、集中した狭い範囲を狙って吐水を断続的に噴出し、強弱感の強い吐水を発生させるマッサージノズルを提供すること。
【解決手段】ノズルベース8と、噴出孔16を有するノズル本体9と、複数の旋回孔17で旋回流を発生する旋回板10と、遮蔽面22と開放面23とを有する回転羽根11を備え、前記噴出孔16は回転羽根11の回転中心に対して対向した2箇所に設置した噴出部15に複数個づつ噴出孔を配設し、噴出部を交互に切り替えて湯水を噴出することにより
2箇所の噴出部から飛び散りの少なく均一な方向に強弱感のある吐水を噴出させることができるので、低水圧時であっても強弱感の強いマッサージ効果を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は強弱感のある吐水を提供するマッサージノズルおよびそれを用いたシャワー装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のマッサージノズル構造はシャワーヘッド内に湯水の旋回機構と旋回室と回転機構と噴出部とを有し、シャワーヘッド内に流入した湯水が旋回機構によって旋回流となり、旋回流が回転機構を回転させ、回転機構により噴出部への湯水の流入が順次切り替ることにより、強弱感のある吐水を噴出させる構成であった。
【0003】
図9(a)は特許文献1に記載された従来の強弱感のある吐水を噴霧するマッサージノズル構造を示す断面図であり、図9(b)は回転機構を示す平面断面図である。図に示すようにシャワーヘッド1内に旋回孔2、旋回室3、回転羽根4、回転羽根の遮蔽面5、開放面6、3箇所ある噴出部7を有しており、シャワーヘッド1内に流入した湯水は旋回孔2を通過することで旋回流となり旋回室3に流入し、旋回室3内の回転羽根4を回転させる。回転羽根4には遮蔽面5および開放面6が設けられており、遮蔽面5および開放面6が回転しながら切り替ることで、湯水が3箇所ある噴出部7に順次流入する。これにより各噴出部より断続的に順次湯水が噴出することになるので、身体に強弱感を感じるマッサージ吐水を提供することができる。
【特許文献1】特開昭59−151958号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の構成では、噴出部が3箇所あるため1箇所あたりの流量が分散し、低水圧時には強弱感が弱い吐水となるという課題を有していた。また回転羽根と噴出部との間の接触する面積が大きいため、低水圧時には回転羽根が接触面での摩擦により停止しやすく、吐水が安定しないという課題を有していた。また噴出部の経路長が短いため、吐水に旋回方向の力が残っており散らばりやすいという課題を有していた。また噴出部の流路長が長いと例えば樹脂成型では噴出部のでっぱりが目立ち、丸みがあり一体感のあるデザインにならないという課題を有していた。
【0005】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、低水圧時であっても安定して回転羽根が回転することで吐水の強弱感が強く、集中した狭い範囲を狙って吐水方向が均一に揃い、飛び散りの少ない吐水を発生させるマッサージノズルを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記従来の課題を解決するために、本発明のマッサージノズル構造は従来3箇所であった噴出部を2箇所にしつつ、接触面に一定高さ以下の凸部を設け、噴出部の流路長を所定の長さにしたものである。
【0007】
これによって、噴出部が3箇所から2箇所に集約されることにより1箇所あたりの流量が増えるため、従来よりも強弱感の強い吐水を実現する。また3箇所では回転している事を感じさせる吐水形状であったが、2箇所にすることにより噴出部より交互に吐水させることになり、回転を感じさせない従来にない新しい吐水形状を提供することが出来る。また一定高さ以下の凸部があるため回転羽根と旋回室底面との接触面が減少し、低水圧時でも安定して回転摺動が行われる。また噴出部の流路長を所定の長さにすることで散らばることなく吐水の方向が均一に揃い飛び散りの少なく、集中した部位に強弱感のある吐水を当てることができる。
【0008】
また噴出部がでっぱりデザイン的に見栄えが良くないという課題に対しては、軟質系のカバーで覆う構成とすることで、丸みを帯びた一体感のある見栄えの良いマッサージノズルを提供することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明のマッサージノズル構造は低水圧時であっても強弱感を強く感じる吐水を実現することができ、より効果的なマッサージ効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
第1の発明は、中央部に流入孔を有するノズルベースと、所定の経路長を備えた複数の噴出孔を有するノズル本体と、略円周上に配設した複数の旋回孔で旋回流を発生する旋回板と、遮蔽面と開放面とを有する回転羽根を備え、前記回転羽根はノズル本体と旋回板で形成する旋回室に回転自在に設置し、前記噴出孔は回転羽根の回転中心に対して対向した2箇所に設置した噴出部に複数個づつ噴出孔を配設し、噴出部を交互に切り替えて湯水を噴出することにより断続的に噴出する構成とすることにより、2箇所の噴出部から飛び散りの少なく均一な方向に強弱感のある吐水を噴出させることができるので、低水圧時であってもより強弱感の強いマッサージ効果を得ることができる。3箇所では回転している事を感じさせる吐水形状であったが、2箇所にすることにより噴出部から交互に吐水させることになり、回転を感じさせない従来にない新しい吐水形状を提供することが出来る。
【0011】
第2の発明は、特に、第1の発明の回転羽根が当接するノズル本体の内面に、高さ0.5mm以下の凸型部を備えたことにより、低水圧時であっても回転羽根が安定して回転しつつ、段差部の隙間が小さいため遮蔽面による水切れがよく強弱感のある吐水を噴出させることができる。
【0012】
第3の発明は、特に、第1または第2の発明の噴出部の経路長を噴出直径の3倍以上5倍以下とすることにより、噴出部の経路内で整流されるため吐水の方向が均一に揃い飛び散りの少ない噴出が可能となる。これにより狭い範囲に集中して強弱感のある吐水を当てることができる。
【0013】
第4の発明は、特に、第1〜3のいずれか1つの発明の噴出部の周囲に軟質材からなるカバー手段を備により、例えば樹脂成型時による所定長さの噴出部の出っ張りを覆うことができ、丸みがあり一体感のあるデザイン性の良いマッサージノズルを提供することができる。また軟質材のため身体に触れても痛くなく、他の部材に接触しても傷が付きにくい。
【0014】
第5の発明は、特に、第1〜4のいずれか1つの発明のマッサージノズルをシャワーに用いることにより、シャワーを使用することによりマッサージ効果を得ることができ快適なシャワー浴ができる。
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0016】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態におけるマッサージノズルの構造を示す断面図であり、図2はマッサージノズルの外観斜視図を示すものであり、図3はマッサージノズルの断面斜視図を示すものであり、図4はノズル本体の旋回室の斜視図を示すものであり、図5は旋回板の斜視図を示すものであり、図6は回転羽根の斜視図を示すものである。図7はカバーを装着した状態を示すマッサージノズルの断面斜視図を示すものであり、図8はその外観斜視図を示すものである。
【0017】
図1、2、3に示すように、本発明のマッサージノズルはノズルベース8にノズル本体9が組みつけられており、ノズルベース8の中央部には湯水が流入する流入孔8aがもうけてあり、ノズルべーす8とノズル本体9で構成された空間に旋回板10、回転羽根11が組み込まれた構成である。
【0018】
図4に示すようにノズル本体9と旋回板10で旋回室12が形成されており、旋回室12のノズル本体9の内面13には環状で構成された凸部14がある。旋回室12のノズル本体9の内面13には凸部14の近傍に噴出部15があり、噴出部15は略180度対をなすかたちで2個所存在している。噴出部15は複数の噴出孔16で構成されている。
【0019】
図5に示すように旋回板10には略30〜60度方向に斜めに貫通した旋回孔17が円周方向に多数構成されている。また水の流れをスムーズに拡散させる円錐部18および回転羽根11の回転を支える軸19が構成されている。また旋回板自身が旋回流により自転することを防止するための出っ張り部20が構成されている。
【0020】
図6に示すように回転羽根11は多数の羽根21があり、羽根の端面は略180度遮蔽された遮蔽面22および略180度開放された開放面23で構成されている。回転羽根11の中心は回転を支える軸19を通す軸穴24が貫通されている。
【0021】
図7に示すようにマッサージノズルの噴出部15の先端を覆うようにカバー25がはめ込まれており、噴出孔16だけが見える構成となっている。
【0022】
図8に示すようにマッサージノズルを覆うカバー25は丸みをもった形状で軟質系の材料で構成されている。
【0023】
以上のように構成されたマッサージノズルについて、以下その動作、作用を説明する。
【0024】
まず図1に示すようにノズルベース8に湯水が流れ込み、旋回板10の円錐部18にて全面にスムーズに拡散される。拡散された湯水は略30〜60度方向に斜めに貫通した旋回孔17を通過することにより、回転方向の旋回力をもった流れとなりながら旋回室12に流入する。
【0025】
旋回室12には旋回板10の軸19に枢軸された回転羽根11があり羽根21に湯水が当たることにより、回転羽根11は旋回室底面13の凸部14に押し付けられながら回転する。
【0026】
凸部14により旋回室底面13への接触面積が限定されるため、回転羽根11が押し付けられることによる摩擦力は最小となり、スムーズに回転する。回転羽根11は略180度遮蔽と開放された遮蔽面22と開放面23があり、噴出部15への流路を回転しながら遮蔽と開放を切り替えることで断続的に湯水が噴出孔16へ流入し、ノズル先端より断続的に噴出する。
【0027】
ここで凸部の高さを0.5mm以下にすることにより、回転羽根11と旋回室底面13との間の隙間から湯水が浸入し、ダイレクトに噴出孔16へ湯水が流入することを防ぐことが出来る。かりに凸部の高さが0.5mmよりも大きい場合は遮蔽面22が噴出孔16を遮蔽している状態であっても、ダイレクトに噴出孔16へ湯水が流入し続ける。
【0028】
噴出孔16へ流入した湯水には旋回方向の力が残っているが、噴出孔16の経路長が噴出孔直径の3倍以上の長さとなっているため、湯水の吐水方向が均一に整い、飛び散りの少ない吐水となる。なお経路長が噴出孔直径の5倍よりも大きくなると、噴出孔での経路長による圧力損失が大きくなるので、勢いの良い吐水が実現しにくい。
【0029】
ここで従来は3箇所であった噴出部が略180度対に2箇所存在することにより、1つの噴出部から吐水される湯水の流量が増えるために、身体にマッサージ吐水を当てた際、より強弱感を強く感じることが出来る。また従来3箇所では回転しながら噴出する吐水形状であったのが、2箇所にすることにより交互にノズルから噴出する吐水形状になるため、使用者に回転方向を感じさせない新たな吐水形状を提供することができ斬新感がある。
【0030】
噴出孔16の経路長が噴出孔直径の3倍以上の長さとすることで、一般的に樹脂成形時には肉厚を一定にするほうが成形の仕上がりがよくなるという法則から、ノズル先端部が出っ張る形状となる。ここで図7に示すように軟質系の例えばエラストマー材でカバーを成形し、噴出孔16先端だけを出す形状とすることにより、丸みのある一体感を感じさせるマッサージノズル形状となる。また軟質材であるので身体にあたった場合も痛くなく、他の部材が接触した場合も傷がつきにくいという特徴がある。
【0031】
以上のように、本実施の形態においては2箇所の噴出部より交互に湯水が断続的に吐水されるので低水圧でも強弱感の強く感じるマッサージ吐水を実現することが出来る。
【0032】
なお本実施の形態では旋回室底面13にある凸部を3つの環状で構成された形態としているが、この形に限定されるものではなく、1つの環状で回転軸を中心として配置してもよく、また環状でなくとも回転羽根との接触面積が小さくなるよう凸型の段差部を設ける形態であればよい。その時の噴出孔入口と回転羽根の遮蔽部との距離である凸型段差部の高さは0.5mm以下に限定されるものである。
【0033】
なお本実施の形態ではマッサージノズル単体の構成であるが、これをハンドシャワーに内蔵したり、壁面や収納棚、カウンターに埋め込んだシャワー装置とてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0034】
以上のように、本発明にかかるマッサージノズルおよびシャワー装置は、身体にマッサージ感を与えるシャワー装置であるが、温水便座の局部洗浄ノズルとして組み込み利用したり、食器洗い機の皿洗浄ノズルとして組み込み利用する用途にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施の形態1におけるマッサージノズルを示す断面図
【図2】本発明の実施の形態1におけるマッサージノズルの外観斜視図
【図3】本発明の実施の形態1におけるマッサージノズルの断面斜視図
【図4】本発明の実施の形態1におけるマッサージノズルの旋回室の斜視図
【図5】本発明の実施の形態1におけるマッサージノズルの旋回板の斜視図
【図6】本発明の実施の形態1におけるマッサージノズルの回転羽根の斜視図
【図7】本発明の実施の形態1におけるカバーを装着した状態を示すマッサージノズルの断面斜視図
【図8】本発明の実施の形態1におけるカバーを装着した状態を示すマッサージノズルの外観斜視図
【図9】(a)従来のハンドシャワー装置の断面図(b)回転機構を示す平面断面図
【符号の説明】
【0036】
8 ノズルベース
9 ノズル本体
10 旋回板
11 回転羽根
12 旋回室
14 凸部
15 噴出部
16 噴出孔
17 旋回孔
22 遮蔽面
23 開放面
25 カバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央部に流入孔を有するノズルベースと、所定の経路長を備えた複数の噴出孔を有するノズル本体と、略円周上に配設した複数の旋回孔で旋回流を発生する旋回板と、遮蔽面と開放面とを有する回転羽根を備え、前記回転羽根はノズル本体と旋回板で形成する旋回室に回転自在に設置し、前記噴出孔は回転羽根の回転中心に対して対向した2箇所に設置した噴出部に複数個づつ噴出孔を配設し、噴出部を交互に切り替えて湯水を噴出することにより断続的に噴出することを特徴とするマッサージノズル。
【請求項2】
回転羽根が当接するノズル本体の内面に、高さ0.5mm以下の凸部を備えたことを特徴とする請求項1に記載のマッサージノズル。
【請求項3】
前記噴出部の経路長は噴出直径の3倍以上5倍以下とすることを特徴とする請求項1および2に記載のマッサージノズル。
【請求項4】
前記噴出部の周囲に軟質材からなるカバー手段を備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載のマッサージのノズル。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のマッサージノズルを用いたシャワー装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図9】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2006−272042(P2006−272042A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−90901(P2005−90901)
【出願日】平成17年3月28日(2005.3.28)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】