説明

マッサージノズルおよびマッサージシステム

【課題】 変化に富み、広範囲に作用させることが可能な、旋回流を用いた吸引押圧マッサージノズル及びこれを用いたマッサージ装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 室内に旋回流を生じさせるよう設けられた入水部と、旋回軸方向の一端部に設けられた開口部と、を有する旋回室と、旋回流を吐水し負圧を生じさせる吐水口と、前記吐水口へと旋回流を導く旋回水路と、前記開口部よりも大なる径を有するストッパ部と、を有する可動子と、を有するマッサージノズルであって、前記ストッパ部が前記開口部よりも旋回室内に有り、前記吐水口の位置が可動子の運動により変化することを特徴とするマッサージノズルを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水道水又はポンプなどの水の圧力を利用して、ノズル内で旋回水流を形成し、その中心部に負圧を生じさせて吸引作用を持たせ、身体に吸引圧を作用させるマッサージノズル及びこれを用いたマッサージシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
身体の皮膚表面をマッサージして血液の循環を活性化する美容や健康増進を目的としたマッサージ器は広く普及している。このような従来のマッサージ器としては、例えば電動式の肩たたき器や腰もみ器、減圧状態にした吸入孔を身体表面に吸着させて使う器具、等が知られている。
【0003】
流体の流れを利用してマッサージ効果を得ようとするマッサージ装置として、旋回水流を用いて吸引マッサージを行うマッサージ器が発明されている。
従来の旋回水流を用いて吸引マッサージを行うマッサージノズルは、ノズル外周に案内筒を設け、案内筒とノズル本体との間から、吐水をノズル後方に還流させている(例えば、特許文献1参照。)。
このような場合、流れが安定するためマッサージ感が単調になっていまい使用者が飽きてしまうという問題があった。また、マッサージ感を使用者の好みに応じて変更することができず、使用者にとって不満の残る仕様となっていた。
【0004】
また、拡開したガイド部の前部側に開口された流出部を設け、吐水を流出させているもある(例えば、特許文献2参照。)。
しかし、この場合も上記同様マッサージ感が単調になっていまい使用者が飽きてしまうという問題があった。 また、マッサージ感を使用者の好みに応じて変更することができず、使用者にとって不満の残る仕様となっていた。

【特許文献1】実開平4−55337号公報
【特許文献2】特開2003−38382号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記問題を解決するためになされたもので、本発明の課題は、刺激感やマッサージ感を、自動的に変化させることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明のマッサージノズルは、室内に旋回流を生じさせるよう設けられた入水部と、旋回軸方向の一端部に設けられた開口部と、を有する旋回室と、少なくとも一部が旋回室内にあり先端に吐水口を備えた筒状の可動子と、からなり、前記吐水口から旋回流を吐水し負圧を生じさせることを特徴としている。
【0007】
このように構成されたマッサージノズルでは、旋回吐水と負圧領域を形成する旋回流が可動子に設けられた吐水口から吐水されることで、可動子の運動により吸引押圧マッサージを変化に富んだものとすることができる。すなわち、可動子は、少なくとも一部が旋回室内にある状態で、旋回室内で生じた旋回流から力を受け、旋回室に対し回動等の運動をすることになり、これによって吐水口の位置が変化することになる。よって旋回流が吐水される位置が変化することとなり、吸引押圧マッサージの作用領域が変化するのである。
これにより、吸引吐水刺激を作用させている人体被処理部位においてマッサージ感が高まり、また変化に富む刺激となるため使用者が飽きることが無い。
【0008】
また、本発明のマッサージノズルは、前記吐水口の中心が前記旋回室の旋回室軸に対して偏心して設けられているものとすることができる。
【0009】
このように構成されたマッサージノズルでは、旋回室の旋回室軸周りに運動する吐水口の回転半径を大きくすることができ、人体被処理部位への吸引吐水刺激の振動振幅を大きくすることが可能となる。また、吐水口の可動範囲が広がることにより、広範囲の人体被処理部位に吸引吐水刺激を作用させることができ、マッサージノズルを固定したままでも広範囲を刺激可能になるため、使い勝手が向上する。
【0010】
また、本発明のマッサージノズルは、前記旋回室の旋回室軸に垂直な断面積と、前記可動子内部の旋回室軸に垂直な断面積とが、略等しく一定であるよう設けられているものとすることができる。
【0011】
このように構成されたマッサージノズルでは、旋回室から可動子内部を通って吐水口までの断面積が略等しく一定となり、可動子が旋回流から受ける軸方向(吐水方向)への押付け力を軽減することができる。よって、可動子が旋回室の開口部側に押付けられることによって生じる摩擦力を軽減でき、安定した可動子の運動を確保し、信頼性が向上する。
【0012】
また、本発明のマッサージノズルは、前記可動子が筒状内面より内側に延設された突起を有しているものとすることができる。
【0013】
このように構成されたマッサージノズルでは、可動子は筒状内面より内側に延設された突起によって旋回流の旋回方向の力を確実に受けることが可能となり、旋回力を効率よく可動子に伝達することが可能となるため、可動子の運動がより確実で回転力のあるものとなり、信頼性が向上する。
【0014】
また、本発明のマッサージシステムは、
送水手段と、請求項1〜4のいずれか1つに記載のマッサージノズルと、を備え、前記送水手段から前記マッサージノズルの前記入水部を介して前記旋回室に水を供給し、使用者が前記マッサージノズルの前記吐水口に形成される負圧を利用した吸引マッサージを実施可能としたことを特徴としている。
【0015】
このように構成することによって、刺激感やマッサージ感を変化させることができるマッサージシステムを提供できる。その結果として、限られた送水能力を十分に生かして、効率のよいマッサージが可能なマッサージシステムを提供できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、旋回室内で形成された旋回流の旋回力によって可動子を運動させ、可動子に設けられた吐水口の位置を変化させることにより、吸引吐水刺激の位置を変化させ、人体被処理部位に振動刺激感を付与すると共に刺激の作用範囲を広範囲とすることができ、使用者は快適にマッサージを行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0018】
図1は、本発明の第1の実施の形態にかかるマッサージノズルの斜視図であり、図2はその断面図、図3は図2のA−A断面を示す断面図である。また、図4はマッサージノズルに湯水を供給した際の旋回流が形成されている模式図であり、図5及び図6は可動子が傾いている状態を示す模式図であり、図7はマッサージノズルを人体被処理部位にあてがっている様子を示す模式図である。
本実施形態のマッサージノズル1は、旋回部2と押さえ部3と接続部4とからなるマッサージノズル本体10と、可動子20と、を有している。旋回部2と押さえ部3とはネジ等で水密に締結されている。旋回部2と押さえ部3の内部には、断面が略円形である旋回室8が形成されており、押さえ部3に設けられている開口部7にて外界に開かれている。また、旋回部2には、旋回室8の周壁の略接線方向に湯水を導入する入水部6が設けられている。接続部4はネジ等で旋回部2に水密に締結されており、その内部には入水部6へ連通する導入路5が設けられている。可動子20は、内部に断面が略円形である旋回水路20aを有する筒状の形状を成しており、一端を旋回室8側に開口し、一端(吐水口20b)をマッサージノズル本体10の外側に開口している。また、可動子20は、開口部7よりも大きな径を有する環状のストッパ部20cを有し、旋回室8内に収められている。すなわち、可動子20は、押さえ部3によりストッパ部20cを旋回室8内に収められた状態で、マッサージノズル本体10から脱離しないよう構成されている。尚、旋回部2と押さえ部3は、ここでは別々に形成されているが、一体に形成されていてもよい。
【0019】
入水部6から導入された水は、旋回室8の周壁に沿った旋回流CFを形成可能とされている(図3参照)。ここで、旋回流CFを効率的に形成するためには、入水部6は旋回室8の周壁の接線方向に開口していることが望ましい。但し、入水部6が、周壁に対して正確に接線方向に開口しておらず、その開口方向あるいは開口位置に接線方向からの「ずれ」があるような場合でも、旋回流が形成されればよい。
またここで、「入水部」とは、旋回室8に水を導入するために旋回室8の内壁に設けられた開口、または旋回室8に対する水の導入方向を実質的に決定する水路、の少なくともいずれかをいうものとする。例えば、図3に表した断面図においては、導入路5と旋回室8とを連通している水路を「入水部」ということができる。
【0020】
入水部6は、旋回室軸Z1に対して平行な方向に沿った幅W1を、旋回室軸Z1に対して垂直な方向に沿った幅W2よりも大きい扁平形状とすることができる。これにより、旋回室8において、旋回室軸Z1からの入水位置が遠くなるので水流に与える旋回モーメントが増加し旋回流CFを十分に発達させやすくなる。つまり、このように入水部6を扁平形状とすることにより、効率良く旋回流を発達させて強い吸引力を得ることができる。このため、少ない送水能力でも強い吸引力が得られ、顕著な各種の生体効果が得られると同時に、ランニングコストや設置スペースなどの削減も可能となる。
【0021】
接続部4は、例えば一般のシャワーヘッドと交換可能なようにネジ等を設けておけば、シャワーホースに連結することができ、水道直結型として使用することができる。また、例えばブロー浴器の噴出口に接続可能にネジ等を設けておけば、浴槽水循環型として使用することができる。
【0022】
可動子20は、自由に動くことが可能に、旋回室8内に収められている。すなわち、可動子20は、開口部7よりも大きな径を有する環状のストッパ部20cを有しているので、押さえ部3によりストッパ部20cが引っ掛かり、マッサージノズル本体10から脱離することはないが、旋回室8内において、自由に動くことが可能となっている。特に、ストッパ部20cは、旋回室8の少なくとも一部の内径よりも小さい径を有していることで、旋回室軸Z1回りに回転自在に設けられている。また、ストッパ部20cの外面(押さえ部3に当接する部分)を球面の一部に近い形状にすることで、また押さえ部3の内面(ストッパ部20cに当接する部分)を球面の一部に近い形状にすることで、可動子20は、押さえ部3に対してストッパ部20cを環状に線接触させた状態で、旋回室軸Z1に対して傾くことが可能となっている。また、可動子20の可動子軸Z2(図2においては旋回室軸Z1と同じ)方向の長さは適宜設計され、可動子20が旋回室軸Z1方向に過度に動くことを抑制するように設計してもよい。
【0023】
次に、マッサージノズルのマッサージ動作について説明する(図4参照)。
図示しない送水手段から送られた水は、接続部4内の導入路5を通り、入水部6から旋回室8へと導入される。入水部6は旋回室8の周壁の接線方向に開口しているため、旋回室8内に導入された水は、旋回室8内にて旋回流CFを形成する。この旋回流CFは、旋回室8から可動子20内部の旋回水路20aを経て、吐水口20bから円錐状の旋回吐水CTとなって吐水される。この時、可動子20のストッパ部20cが環状に形成されているため、ストッパ部20cと押さえ部3は環状に接触し、可動子20と開口部7との隙間からの吐水は抑制され、旋回吐水CTの主流は、吐水口20bから吐水されることとなる。この時、旋回流CFが持つ遠心力によって、旋回室8の中心部に負圧部が生じ可動子軸Z2(図4においては旋回室軸Z1と同じ)に沿ってマッサージノズル1の外から旋回室8の中へ引き込もうとする力(以後、吸引力NFと呼ぶ)が生じる。
【0024】
このとき、旋回室8内に収められている可動子20は、旋回流CFから旋回室軸Z1の軸方向外向き(旋回室8内から開口部7への向き)の力を受け、ストッパ部20cが押さえ部3に当接する位置に移動し、ストッパ部20cと押さえ部3は環状に接触する状態となる。また、旋回流CFの旋回成分より、可動子20を旋回室軸Z1回りに回転させる力、及び、可動子20を可動子軸Z2回りに回転させる力、が働く。このとき、旋回流CFの不均一性や可動子20の不均一性、人体皮膚との接触等の外乱により、可動子20は旋回室軸Z1に対して可動子軸Z2を傾ける力を受ける。これらの力の作用により、可動子20は可動子軸Z2を旋回室軸Z1に対して傾けた状態で旋回室軸Z1回りに回転し、また可動子軸Z2回りに回転する、という運動を行う(図5及び図6参照)。
この可動子20の動きにより、可動子軸Z2を軸とした円錐状の吐水である旋回吐水CTは、旋回室軸Z1に対して傾いた状態で旋回室軸Z1回りに回転することになり、すなわち吐水方向を変化させながら吐水することとなる。そして、旋回吐水CTが変化するとともに、その中心部に形成されている負圧領域もその形成位置を変化させることになる。
【0025】
このように吸引力NFが発生している状態において、人体の被処理部位80をマッサージノズル1の可動子20の吐水口20bに近づけると、吸引力NFが作用し、人体の被処理部位80はマッサージノズル1内部側に吸引され、場合によっては吐水口20bよりも内部へと吸引される(図7参照)。一方、旋回吐水CTは、吐水口20bと人体の被処理部位80との間に連続的な水膜を形成し、人体の被処理部位80をドーナツ状に押している。つまり、人体の被処理部位80は、旋回吐水CTによる押圧力PFと吸引力NFとを同時に受けるというマッサージ感を得ることができる。また、旋回流が有する旋回成分により、被処理部位80に対して「ねじり」を含む振動が与えられ、「揉みほぐし」の効果も得られる。
【0026】
そして、可動子20が可動子軸Z2に対して回転及び旋回室軸Z1に対して傾くことにより、旋回吐水CTは吐水角度を変化させ、その中心部に形成されている負圧領域はその形成位置を変化させる。これにより、人体の被処理部位80に与える押圧力PFと吸引力NFは変化することになり、人体に対するマッサージ効果及びマッサージ感を向上させることが可能となる。すなわち、旋回流CFによる「ねじり」の効果に加えて、可動子20の回転による「ねじり」の効果、および可動子20の傾きによる「作用位置ずれ」の効果が加わることになる。使用者は、マッサージノズル本体10を手で持って吐水口20cを人体の被処理部位80に近づける、もしくはマッサージノズル本体10を浴槽の壁面等に固定して人体の被処理部位80を吐水口20cに近づける、等の動作を行うことによって押圧吸引マッサージを行うわけであるが、このときに、使用者はマッサージノズル本体10を動かさなくても、もしくは人体を動かさなくても、変化に富んだマッサージ感を得ることが可能となり、また広範囲にマッサージ効果を向上することが可能となる。
【0027】
このようなマッサージノズル1を用いてマッサージを行うことで、被処理部位80は立体的にマッサージを受けることが可能となり、血行促進を促す等の効果がある。人体の被処理部位80の形状等を考慮すると、吐水口20cの径L2は、φ5mm〜φ80mmの範囲内にあることが望ましい。吐水口20cの径L2がφ80mmよりも大きいと人体の起伏にそって操作しづらく、また装置が大きくなるため操作性に乏しい。逆に、吐水口20cの径L2がφ5mmよりも小さいと、人体に対してマッサージ効果及びマッサージ感が乏しくなる。
【0028】
また、旋回吐水CTおよび吸引力NFは吐水口7からの距離によって変化するので、吐水口7から人体被処理部位80までの距離を変化させることで作用力を変化でき、使用者に与えるマッサージ感を変化させることもできる。但し、距離が遠すぎると、吸引力NFが減少し人体への作用が少なくなるので、押さえ部3に突起等のガイド部を設けて、そのガイド部の先端を人体に接触させながら吸引押圧マッサージを行うという構成とする場合には、吐水口20cからガイド部先端までの旋回室軸Z1に沿った方向の長さは、50mm以下とするのが望ましい。
本実施例の典型値としては、吐水口20cの径L2がφ40mm、旋回室8の最大径L1がφ50mm、である。
【0029】
次に、本発明のマッサージノズルの第1実施例の変形例について図8乃至図10を用いて述べる。図8は、本発明の第1実施例の変形例における旋回流の形成状態を示す模式図であり、図9及び図10は可動子が旋回室軸Z1に対して偏心している状態を示す模式図である。尚、これらの図面については、図1乃至図7に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
第1実施例の変形例のマッサージノズル1Aも、マッサージノズル本体10Aと可動子21とからなり、マッサージノズル本体10A内にある旋回室にて旋回流を形成し、旋回吐水による押圧力と負圧形成による吸引力とを人体に作用させ、マッサージを行う。
本実施例では、可動子21のストッパ部21cは環状に設けられ、押さえ部3Aと当接する面は平面となっている。また、押さえ部3Aのストッパ部21cと当接する面は平面となっている。これにより、旋回流によって可動子21が押さえ部3A側に移動し当接したときに、可動子21と押さえ部3Aとは面接触状態となり、可動子21と開口部7との隙間から旋回流が吐水することを抑制する。これにより、旋回流の主流は吐水口21bから吐水されることになる。
【0030】
旋回室8の径をL1、吐水口21bの径をL2、可動子21の筒部外径をL3、ストッパ部21cの外径をL4、押さえ部3Aの内径をL5とする。このとき、基本的にL2<L3<L5<L4<L1である。
ストッパ部21cと押さえ部3Aが面接触しているときに、ストッパ部21cによって可動子21と開口部7との隙間からの吐水を遮断するために、
L1−L4<L5−L3 の場合は、L1+L5<2×L4
L1−L4>L5−L3 の場合は、2×L5−L3<L4
とするのが望ましい。尚、L1−L4=L5−L3としても構わないが、ストッパ部21cと押さえ部3Aとの間で点接触部が存在し、若干遮断性能が劣る。
尚、第1実施例では線接触の例を、第1実施例の変形例では面接触の例を、それぞれ述べたが、これらは適宜採用すればよい。線接触の場合は、摺動抵抗が少ないことから回転動作の信頼性を向上させることが可能であり、また面接触の場合は、可動子と開口部7との隙間からの吐水を遮断する遮断性を向上させることが可能となる。吐水口から旋回流を吐水させることで、吐水口回動変化によるマッサージ変化をより効果的なものとすることができる。
【0031】
旋回流CFによりストッパ部21cが押さえ部3Aに当接する位置に移動した状態において、可動子21は、旋回流の旋回成分により旋回室軸Z1回りに回転させる力、及び可動子軸Z2に対して回転させる力を受ける。このとき、旋回流CFの不均一性や可動子21の不均一性、人体皮膚との接触等の外乱により、可動子21は旋回室軸Z1に対して可動子軸Z2を偏心させる力を受ける。これらの力の作用により、可動子21は、可動子21の筒部外面(L3にて示される面)を押さえ部3Aの内面(L5にて示される面)に接触させながら偏心回転する、もしくはストッパ部21cの外面(L4にて示される面)を旋回室8の内面(L1にて示される面)に接触させながら偏心回転する。すなわち、旋回室軸Z1に対して可動子軸Z2を偏心させた状態で、可動子は旋回室軸Z1回りに回転し、さらに可動子軸Z2回りに自転することになる。
ここで、これらの寸法を適宜調整することで、偏心量を調整することができ、好みに応じて調整・設計することができる。例えば、L5に対してL3を小さくすれば、偏心量を大きくすることができる。
【0032】
この可動子21の動きにより、旋回吐水CTは、吐水位置を変化させながら吐水することとなる(図9及び図10参照)。そして、旋回吐水CTが変化するとともに、その中心部に形成されている負圧領域もその形成位置を変化させることになる。
このような動きをする可動子21の吐水口21bに人体を近づけることで、吸引押圧マッサージを実現するとともに、旋回流CFによる「ねじり」の効果に加えて、可動子21の回転による「ねじり」の効果、および可動子21の偏心による「作用位置ずれ」の効果を加えることができ、人体に対するマッサージ効果及びマッサージ感を向上させることが可能となる。
【0033】
次に、本発明の第2実施例に関して、図11乃至図13を用いて説明する。図11は、本発明の第2実施例のマッサージノズルの断面図であり、図12は第2実施例のマッサージノズルにおける旋回流の形成状態を示す模式図であり、図13は図12の状態から可動子が旋回室軸回りに半回転した状態の旋回流の形成状態を示す模式図である。尚、これらの図面については、図1乃至図10に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0034】
第2実施例のマッサージノズル1Bも、マッサージノズル本体10Bと可動子22とからなり、マッサージノズル本体10B内にある旋回室8にて旋回流を形成し、旋回吐水による押圧力と負圧形成による吸引力とを人体に作用させ、マッサージを行う。
本実施例では、可動子22のストッパ部22cは環状に設けられ、押さえ部3Bと当接する面は平面となっている。また、押さえ部3Bのストッパ部22cと当接する部分には、環状の突起30が設けられている。これにより、旋回流によって可動子22が押さえ部3B側に移動し当接したときに、可動子22と押さえ部3Bとは環状の突起30を介して環状の線接触状態となり、可動子22と開口部7との隙間から旋回流が吐水することを抑制する。これにより、旋回流の主流は吐水口22bから吐水されることになる。
【0035】
可動子22は、両端が開放された筒状の形状をなしており、環状のストッパ部22cを有している。環状のストッパ部22cは、可動子22が旋回室軸Z1回りに自転できるよう設計されている。ここでは、旋回室8の内径と、環状のストッパ部22cの外径を、回転上必要な隙間を考慮しつつ、ほぼ同じ径としている。さらに、可動子22の吐水口22bは、旋回室軸Z1から偏心して形成されている。ここでは筒状内に形成された旋回水路22aが円柱状に設けられており、旋回水路22aの旋回水路軸Z3が旋回室軸Z1から偏心して形成されている(吐水口22bの中心は旋回水路軸Z3と重なる)。尚、ここでは旋回水路22aは円柱状のものを述べたが、斜円柱状のものや円錐状のものやそれらの組み合わせのもの等が適宜採用でき、それらの場合、吐水口22bの中心が、旋回室軸Z1から偏心していることを特徴とする。
【0036】
このような可動子22を有するマッサージノズル1Bは、前述同様、旋回室8内で旋回流を形成し、吐水口22bから旋回吐水CTを吐水し、また負圧領域を形成し吸引力NFを発生する。このとき、可動子22は、旋回流CFによりストッパ部22cが押さえ部3Bの突起30に当接する位置に移動した状態において、旋回流の旋回成分により旋回室軸Z1回りに回転させる力を受け、旋回室軸Z1回りに回転(図12の矢印K1)する。このとき、ストッパ部22cの外径と旋回室8の内径がほぼ同じ径とされているので、可動子22は旋回室軸Z1回りに自転することになる。そして、あらかじめ旋回室軸Z1に対して偏心して設けられている吐水口22bは、可動子22の回転とともに、旋回室軸Z1回りに、偏心して回転することになる。
【0037】
この可動子22の動きにより、旋回吐水CTは、吐水口22bの位置変化とともに吐水位置を変化させながら吐水することになる。そして、旋回吐水CTが変化するとともに、その中心部に形成されている負圧領域もその形成位置を変化させることになる(図12及び図13参照)。
このような動きをする可動子22の吐水口22bに人体を近づけることで、吸引押圧マッサージを実現するとともに、旋回流CFによる「ねじり」の効果に加えて、吐水口22bの偏心による「作用位置ずれ」の効果を加えることができ、人体に対するマッサージ効果及びマッサージ感を向上させることが可能となる。このとき、偏心量を大きくとることで、変化の大きいマッサージを実現でき、また、広範囲に作用させることが可能となる。ここで、偏心量は旋回室軸Z1と吐水口22bの中心との距離によって決定するので、シンプルで信頼性の高い構成となり、設計も容易となる。また、旋回水路22aの形状を斜円柱状にすること等によって、マッサージノズル本体の大きさをコンパクトに保ちながら偏心量を大きくすることが可能であり、設計の自由度が高い。
【0038】
次に、本発明の第3実施例に関して、図14及び図15を用いて説明する。図14は、本発明の第3実施例のマッサージノズルの斜視図であり、図15は、第3実施例の断面図である。尚、これらの図面については、図1乃至図13に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0039】
第3実施例のマッサージノズル1Cも、マッサージノズル本体10Cと可動子23とからなり、マッサージノズル本体10C内にある旋回室8にて旋回流を形成し、旋回吐水による押圧力と負圧形成による吸引力とを人体に作用させ、マッサージを行う。尚、本実施例では、先述した旋回部と接続部は、一体形成されており、その内部に導入路5、入水部6、旋回室8が形成されている。一体に形成されていることで、製造時の部品点数が減り、信頼性の向上と、低コスト化が実現できる。
【0040】
本実施例では、可動子23は旋回室軸Z1回りに回転自在ながらも、旋回部2Cと押さえ部3Cによって回転可能な隙間を有しつつ挟まれており、旋回室軸Z1方向の動きはある範囲内に制限されている。旋回部2Cの押さえ部3C接続側に袋部31が設けられており、袋部31は、ストッパ部23cの外径よりも大きな内径を有し、かつ旋回室軸Z1方向の長さがストッパ部23cの旋回室軸Z1方向の長さよりも長くなっている。そして、ストッパ部23cを袋部31に収納するように可動子23を配置し、さらにストッパ部23cに被せるように押さえ部3Cを旋回部2Cにネジ等で装着する。押さえ部3Cの開口部7の径よりも可動子23のストッパ部23cの外径は大きく形成されており、可動子23は、押さえ部3Cによって、旋回部2Cと押さえ部3Cとから構成されているマッサージノズル本体10Cから脱離することがない。また、可動子23の筒状部の外径は開口部7よりも小さく形成されており、袋部31がストッパ部23cよりも大きく形成されていることから、可動子23は、旋回室軸Z1回りに回転自在に設けられている。ここでは、ストッパ部23cの外径と袋部31の内径をほぼ等しくすることで、可動子23は、旋回室軸Z1回りに自転する構成となっている。尚、ストッパ部23cを収める部分である袋部31は、本実施例では旋回部2Cに設けたが、その機能を果たせば、押さえ部3Cに形成されていても、旋回部2Cおよび押さえ部3Cにまたがって形成されていても、構わない。
【0041】
旋回室8は、旋回部2C内において、略円柱状に形成されている。そして旋回室8の略円柱状を延長するように、可動子23の旋回水路23aが設けられており、旋回水路23aは途中から斜円柱状の形状をなし、吐水口23bで外部に開口している。すなわち、旋回水路23aは、円柱状と斜円柱状の連続体の形状で形成されており、吐水口23bは、旋回室軸Z1から偏心していることとなる。旋回室8から可動子23はこのような構造を有しており、旋回室8の旋回室軸Z1に垂直な断面形状と旋回水路23aの旋回室軸Z1に垂直な断面形状は略等しくなっており、その断面積は略等しく一定である。
【0042】
このような構造を有するマッサージノズル1Cの導入路5に湯水を供給することで、前述同様、旋回流を形成し、吸引押圧マッサージを実現することができる。その際、旋回室8から旋回水路23aにおいて流路断面積が略等しく一定なので、旋回流CFはスムーズに旋回室8から旋回水路23aに流れ、吐水口23bから吐水することができる。このとき、旋回室軸Z1方向に流路の段差がないため、可動子23は過度に旋回流CFからの旋回室軸Z1外向きの力(押さえ部3Cにストッパ部23cを押付ける押付力)を受けることが無くなる。すなわち、可動子23が旋回室軸Z1回りに自転する際の摺動抵抗を緩和することができ、可動子23の回転安定性が向上する。また、流路断面積が略等しく一定であることで、旋回流CFの形成時から吐水時までの圧力損失を低減し、効率のよい旋回吐水CTを実現できる。この場合、旋回室8から旋回水路23aにおいて、流路断面積が拡がる傾向にあるよう設けてもよく、この場合、旋回流による可動子23を押さえ部3Cに押付ける押付力が低減し摺動抵抗が低減するため、回転安定性が向上する。
【0043】
可動子は、旋回流CFの旋回成分を受けて旋回室軸Z1回りに自転し、あらかじめ旋回室軸Z1に対して偏心して設けられている吐水口23bは、可動子23の回転とともに、旋回室軸Z1回りに、偏心して回転することになる。また、可動子23の旋回室軸Z1方向の可動範囲が袋部31および押さえ部3Cによって制限されているため、可動子23は外乱につよく安定した回転をすることができる。
【0044】
このような動きをする可動子23の吐水口23bに人体を近づけることで、吸引押圧マッサージを実現するとともに、旋回流CFによる「ねじり」の効果に加えて、吐水口23bの偏心による「作用位置ずれ」の効果を加えることができ、人体に対するマッサージ効果及びマッサージ感を向上させることが可能となる。また、流路断面積が旋回室8から旋回水路23aにかけて略等しく一定であることから、可動子23の回転安定性を向上し、さらには効率よいマッサージシステムを構築することができる。
【0045】
次に、本発明の第4実施例に関して、図16乃至図25を用いて説明する。図16は、本発明の第4実施例のマッサージノズルの斜視図であり、図17は、第4実施例の正面図である。図18は、図17のA−A断面図であり、図19は図18のB−B断面図である。また、図20乃至図23は、第4実施例における可動子が回動している様子を示す一連の斜視図であり、図24及び図25は、第4実施例のマッサージノズルを人体に作用させている状態を示す模式図である。尚、これらの図面については、図1乃至図15に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0046】
第4実施例のマッサージノズル1Dも、マッサージノズル本体10Cと可動子24とからなり、マッサージノズル本体10C内にある旋回室8にて旋回流を形成し、旋回吐水による押圧力と負圧形成による吸引力とを人体に作用させ、マッサージを行う。尚、入水部6での圧力損失を軽減するために、導入路5から入水部6へは流路が滑らかに変化するよう形成されている。
【0047】
本実施例も、第3実施例と同様、可動子24は、ストッパ部24cが旋回部2Cに設けられた袋部31に収納され、押さえ部3Cによってマッサージノズル本体10Cから脱離しないように構成されている。このとき可動子24は、旋回室軸Z1回りに回動自在に設けられており、また、吐水口24bが旋回室軸Z1に対して偏心して設けられている。
そしてさらに、可動子24は、筒状内面より内側に延設された突起としての回転翼32を有している。すなわち、可動子24には、旋回水路24aの壁面から連結部材33を介して回転翼32が3枚設けられており、回転翼32の端部には、回転翼32が折れたり破損したりしないよう補強リング34が設けられており、3枚の回転翼32を連結している。
【0048】
回転翼32は、旋回室8内に突出して設けられており、旋回室8内で形成される旋回流CFの旋回成分の力を受けやすいように、旋回室8の周壁面近傍に、周壁に対して略垂直に設けられている。すなわち、旋回流CFは旋回室8周壁に沿って形成されるため、回転翼32は周壁面近傍に設けられているのが望ましく、よって、連結部材33および回転翼32は、旋回水路24aの壁面に端を発し、可動子24が回動自在な隙間を旋回室8周壁面との間に確保しつつ、旋回室8内部まで設けられている。
【0049】
また、可動子24は、連結部材33および回転翼32および補強リング24以外の部分において周面方向が開放されているため、旋回流CFは旋回室8から可動子24の旋回水路24aへとスムーズに流れることができる。
【0050】
このように構成されたマッサージノズル1Dでは、可動子は回転翼32によって旋回流の旋回方向の力を確実に受けることが可能となり、旋回力を効率よく可動子に伝達することが可能となるため、可動子の回動運動がより確実で回転力のあるものとなる。
【0051】
また、回転翼32は入水部6付近に設けられ、入水方向に見て入水部6の大きさよりも大きく形成されていることにより、湯水が旋回室8に突入する突入エネルギーを回転翼32にて確実に受け止めることが可能となり、可動子24の回転力が増し、より確実な回動運動となる。
【0052】
可動子24の回動動作としては、第3実施例と同様である。すなわち、可動子は、旋回流CFの旋回成分を受けて旋回室軸Z1回りに自転し、あらかじめ旋回室軸Z1に対して偏心して設けられている吐水口24bは、可動子24の回転とともに、旋回室軸Z1回りに、偏心して回転することになる。図20乃至図23にその回動状態の斜視図を示す。すなわち、吐水口24bが上方に偏心(図20)、吐水口24bが右方に偏心(図21)、吐水口24bが下方に偏心(図22)、吐水口24bが左方に偏心(図23)、という順序で、入水部6の入水方向に応じて変化する。本実施例の場合、マッサージノズル1Dを正面から見て時計回りに入水部6が形成されているため、吐水口24bは時計回りに偏心位置を変えることになる。
【0053】
このような動きをする可動子24の吐水口24bに人体を近づけることで、吸引押圧マッサージを実現するとともに、旋回流CFによる「ねじり」の効果に加えて、吐水口24bの偏心による「作用位置ずれ」の効果を加えることができ、人体に対するマッサージ効果及びマッサージ感を向上させることが可能となる(図24及び図25参照)。また、回転翼32を有していることにより、回転力のある可動子24の回動動作を実現し、外乱に強く信頼性の高い装置構成を実現できる。
【0054】
本実施例では、回転翼32は旋回室8内に配置されるよう設けられているが、旋回流CFの旋回成分を受けることが可能であればその位置は問わない。例えば、旋回水路24aの壁面に直に取り付けられていても構わない。その場合、連結部材33および補強リング34は必要なく、コンパクトで剛性の強い構成となる。
また、回転翼32の翼枚数も適宜設計すればよく、本実施例では3枚の回転翼32を周方向に均等配置しているが、不均一に配置してもよい。不均一に配置することで、入水部6からの突入エネルギーを受けるタイミングを不均一とすることができ、可動子24の回動動作を変化に富んだものとすることができる。これによって、マッサージ感をより変化に富んだものとすることができる。
【0055】
これらの実施例において、可動子を交換可能とすることで、使用者の好みに応じてマッサージ感を変化することが可能となる。
また、入水部6はコンパクト性およびデザイン性から一つとしてあるが、複数設けてもよく、その場合、入水部6の位置を非対称とすることで、旋回流CFのバランスを崩し可動子の回動運動を不規則とすることによってマッサージ感を変化に富んだものとすることができる。
また、旋回室8の開口部7に対向する底面に、外気と通じる小穴を設け、旋回室8内に外気を導入できるようにし、旋回流CFが形成する負圧によって外気を吸い、旋回吐水に気泡を混入するよう構成してもよい。
【0056】
以上、図1乃至図25を参照しつつ本発明のマッサージノズルについて説明した。次に、これらのマッサージノズルを用いた本発明のマッサージシステムについて説明する。
すなわち、図1乃至図25に関して前述した本発明のマッサージノズルを、送水手段などと組み合わせることにより、吸引マッサージが実施可能なマッサージシステムが実現する。
図26及び図27は、本発明のマッサージシステムの第1実施例を、斜め正面側、及び斜め後方側からそれぞれ眺めた模式図である。また、図28は、このマッサージシステムの要部構成を表すブロック図である。
【0057】
すなわち、本実施例のマッサージシステムをその外部から眺めると、筺体90と、その正面から伸びる可撓性ホース91と、その先端に設けられたマッサージノズル1と、を有する。筺体90には、電源スイッチ92、流量調節バルブ93、取水口94、持ち穴95、電源コード96などが適宜設けられている。筐体90の内部には、送水手段97が収容されている。送水手段97は、例えば耐水処理が施された電動式の送水ポンプを内蔵し、取水口94から取り入れた水(お湯)を可撓性ホース91を介してマッサージノズル1に送出する。送水ポンプは、例えば、筐体90の外部から交流または直流の電力の供給を受けるようにしてもよく、または、筐体90の中に充電池などの電源を内蔵して電力を供給してもよい。いずれの場合にも、浴槽内の湯に沈めて安全に使用できるよう、所定の耐水処理が適宜実施されている。
また、旋回流に気泡を混入させる場合は、マッサージノズル1の旋回室底面に設けられた空気取り込み用の小穴が外気と通じるよう、空気配管が適宜設けられる。
【0058】
一方、マッサージノズル1は、図26に例示した如く、シャワーヘッドに類似した外観を有する。同図に表したマッサージノズル1αは、その先端付近を「わしづかみ」にして用いるのに適した形状を有する。またマッサージノズル1βは、通常のシャワーヘッドの如くその根本部分を保持して用いるのに適した形状を有する。
これらマッサージノズル1(1α、1β)は、図1乃至図25に関して前述したように、回動自在な可動子を有している。
【0059】
図29は、本実施例のマッサージシステムの使用状態を説明するための模式図である。すなわち、使用者200は、湯110をはった浴槽100の中に本発明のマッサージシステムを設置し、筐体90の上に腰掛けた状態でマッサージノズル1を操作することができる。この際、前述したように旋回吐水により形成される水膜によりガイド部先端60の周囲が覆われるため、人体の被処理部位80の表面は水膜に保護され、人体はマッサージノズルから過度の摩擦抵抗を受けず、不快な刺激が無く、使用感に優れる。浴槽内の水(お湯)の中に浸した状態で用いると、吸引力を低下させる空気層(空洞)が旋回室内に形成されることを抑制でき、より効果的である。また、浴槽100内のお湯110を循環使用する点で、節水効果も高い。
【0060】
本実施例のマッサージシステムによれば、図1乃至図25に関して前述したように、可動子が回動自在に設けられ、吐水口の位置が変化することにより、使用者は、飽きることなく変化に富んだ吸引押圧マッサージを堪能することができる。
【0061】
また、マッサージノズル1が筐体90に対して可撓性ホース91により接続されているので、マッサージノズル1を使用者の身体のあらゆる部分の被処理部位に対して柔軟且つ自在にあてることができる。
【0062】
また、本実施例によれば、使用者200は、コンパクトな筐体90の上に腰掛けた状態でマッサージノズル1を操作できる。その結果、使用者200は、常にリラックスした状態で吸引マッサージすることができる。またさらに、上半身、例えば脇の下から二の腕を吸引マッサージするような場合でも、マッサージノズル1を浴槽の湯110の中に浸した状態で操作することが可能である。しかも、マッサージしづらいヒップや太ももの裏側などが、腰掛けていることにより浴槽底面から浮いた状態となることにより、マッサージするスペースが生じ、下半身、例えば、ヒップや太ももの裏側まで、まんべんなく吸引押圧マッサージすることができる。従って、これらの部位につきやすい「セルライト(老廃物と脂肪の塊)」を揉みほぐすことにより、老廃物の排出を促進し、セルライトを正常な脂肪に改善することができる。その結果として、人体の「引き締め効果」が得られる。
【0063】
図30は、本発明のマッサージシステムの第2実施例を表す模式図である。すなわち、同図は、浴槽100と組み合わされたマッサージシステムを表す。
本実施例の場合、浴槽100の中にノズル収容部120が設けられ、図1乃至図25に関して前述した本発明のマッサージノズル1は、このノズル収容部120に収容可能とされている。そして、送水手段97は、水配管98を介して浴槽100の中の水(お湯)を取水し、可撓性ホース91を介してマッサージノズル1に送出する。
【0064】
本実施例においては、図30(a)に表したように、ノズル収容部120にマッサージノズル1を収納した状態で、使用者は、浴槽100内に入浴しマッサージノズル1に被処理部位をあてがうことにより吸引押圧マッサージを受けることができる。この時、マッサージノズル1は、水没していてもよく、お湯よりも上に露出していてもよい。但し、マッサージノズル1を水没させたほうがより強い吸引マッサージを受けることができる。
また一方、図30(b)に表したように、マッサージノズル1をノズル収容部120から取り外して用いることができる。本実施例においては、マッサージノズル1は、可撓性ホース91により接続されているので、使用者は、マッサージノズル1を自由な位置に移動させ、被処理部位にあてて使用することができる。
【0065】
なお、本実施例においても、送水手段97により浴槽100内のお湯(水)をマッサージノズル1に供給する。つまり、浴槽100内のお湯を循環使用する点で、節水効果が高い。そして、図1乃至図25に関して前述したように、可動子が回動自在に設けられ、吐水口の位置が変化することにより、使用者は、飽きることなく変化に富んだ吸引押圧マッサージを堪能することができる。
【0066】
図31は、本発明のマッサージシステムの第3の実施例を表す模式図である。
本実施例においては、浴槽100のお湯を循環させる送水手段の代わりに、お湯(または水)の供給部99が設けられている。供給部99としては、例えば、浴槽100にお湯を供給するための給湯器や、水道の蛇口等が挙げられる。
【0067】
本実施例の場合には、供給部99を設けることより、浴槽100内にお湯がない状態においても、本発明のマッサージノズル1を用いた吸引押圧マッサージを受けることができる。もちろん、浴槽100内にお湯がはられた状態においても、吸引押圧マッサージを同様に実施することができる。
そして、図31(b)に表したように、可撓性ホース91を伸ばすことにより、マッサージノズル1を取り外して所望の被処理部位に向けて使用することができる。また、本実施例においては、図30に関して前述したような送水手段97や循環のための水配管98を設ける必要がないため、マッサージシステムの構造を簡略化させ、低コストで提供することが可能である。
そして、図1乃至図25に関して前述したように、可動子が回動自在に設けられ、吐水口の位置が変化することにより、使用者は、飽きることなく変化に富んだ吸引押圧マッサージを堪能することができる。
【0068】
また、ノズル収容部120が、浴槽100の周縁の、いわゆる「エプロン」の部分およびその上部に、設けられていてもよい。吸引押圧マッサージを実施する場合には、マッサージノズル1を簡単に取り外し、使用者の人体の各所に容易にあてがうことができる。ノズル収容部120を浴槽100のエプロンおよびその上部に設置すると、マッサージノズル1を取り外すことが極めて容易となる。また、浴槽100内に入浴した状態で、マッサージノズル1が邪魔になる心配もない。
【0069】
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これら具体例に限定されるものではない。
すなわち、本発明のマッサージノズル及びマッサージシステムを構成するいずれかの要素について当業者が設計変更を加えたものであっても、本発明の要旨を備えたものであれば、本発明の範囲に包含される
【0070】
例えば、マッサージノズルの外形や、吐水口とのサイズの比率、あるいは入水部の位置関係などについては、旋回流が得られ、その結果として負圧部が形成される範囲内であれば、本発明に包含される。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の第1の実施の形態にかかるマッサージノズルの斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態にかかるマッサージノズルの断面図である。
【図3】図2のA−A断面を示す断面図である。
【図4】旋回流の形成状態を示す模式図である。
【図5】可動子が紙面上方に傾いている状態を示す模式図である。
【図6】可動子が紙面下方に傾いている状態を示す模式図である。
【図7】人体への作用状態を示す模式図である。
【図8】第1実施例の変形例における旋回流の形成状態を示す模式図である。
【図9】可動子が紙面上方に偏心している状態を示す模式図である。
【図10】可動子が紙面下方に偏心している状態を示す模式図である。
【図11】本発明の第2の実施の形態にかかるマッサージノズルの断面図である。
【図12】第2実施例における旋回流の形成状態を示す模式図である。
【図13】可動子が旋回室軸回りに図12の状態から半回転した状態の旋回流の形成状態を示す模式図である。
【図14】本発明の第3の実施の形態にかかるマッサージノズルの斜視図である。
【図15】本発明の第3の実施の形態にかかるマッサージノズルの断面図である。
【図16】本発明の第4の実施の形態にかかるマッサージノズルの斜視図である。
【図17】本発明の第4の実施の形態にかかるマッサージノズルの正面図である。
【図18】図17のA−A断面図である。
【図19】図18のB−B断面図である。
【図20】第4実施例の、吐水口が紙面上方に偏心している位置にある状態を示す斜視図である。
【図21】第4実施例の、吐水口が紙面右方に偏心している位置にある状態を示す斜視図である。
【図22】第4実施例の、吐水口が紙面下方に偏心している位置にある状態を示す斜視図である。
【図23】第4実施例の、吐水口が紙面左方に偏心している位置にある状態を示す斜視図である。
【図24】第4実施例において、旋回流を形成し人体に作用させている状態を示す模式図であり、図20の状態に対応する図である。
【図25】第4実施例において、旋回流を形成し人体に作用させている状態を示す模式図であり、図22の状態に対応する図である。
【図26】本発明のマッサージシステムの第1実施例を斜め正面側から眺めた模式図である。
【図27】本発明のマッサージシステムの第1実施例を斜め後方側から眺めた模式図である。
【図28】本発明のマッサージシステムの第1実施例の要部構成を表すブロック図である。
【図29】マッサージシステムの第1実施例の使用状態を説明するための模式図である。
【図30】マッサージシステムの第2実施例を表す模式図である。
【図31】マッサージシステムの第3実施例を表す模式図である。
【符号の説明】
【0072】
1 マッサージノズル
1A マッサージノズル
1B マッサージノズル
1C マッサージノズル
1D マッサージノズル
2 旋回部
2C 旋回部
3 押さえ部
3A 押さえ部
3B 押さえ部
3C 押さえ部
4 接続部
5 導入路
6 入水部
7 開口部
8 旋回室
10 マッサージノズル本体
10A マッサージノズル本体
10B マッサージノズル本体
10C マッサージノズル本体
20 可動子
20a 旋回水路
20b 吐水口
20c ストッパ部
21 可動子
21b 吐水口
21c ストッパ部
22 可動子
22a 旋回水路
22b 吐水口
22c ストッパ部
23 可動子
23a 旋回水路
23b 吐水口
23c ストッパ部
24 可動子
24a 旋回水路
24b 吐水口
24c ストッパ部
30 突起
31 袋部
32 回転翼
33 連結部材
34 補強リング
80 被処理部位
90 筐体
91 可撓性ホース
92 電源スイッチ
93 流量調節バルブ
94 取水口
95 持ち穴
96 電源コード
97 送水手段
98 水配管
99 供給部
100 浴槽
110 湯
200 使用者
CF 旋回流
CT 旋回吐水
NF 吸引力
PF 押圧力
Z1 旋回室軸
Z2 可動子軸
Z3 旋回水路軸


【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内に旋回流を生じさせるよう設けられた入水部と、
旋回軸方向の一端部に設けられた開口部と、を有する旋回室と、
少なくとも一部が旋回室内にあり先端に吐水口を備えた筒状の可動子と、
からなるマッサージノズルであって、
前記吐水口から旋回流を吐水し負圧を生じさせることを特徴とするマッサージノズル。
【請求項2】
前記吐水口の中心が前記旋回室の旋回室軸に対して偏心して設けられていることを特徴とする請求項1記載のマッサージノズル。
【請求項3】
前記旋回室の旋回室軸に垂直な断面積と、前記可動子内部の旋回室軸に垂直な断面積とが、略等しく一定であることを特徴とする請求項1または2記載のマッサージノズル。
【請求項4】
前記可動子は筒状内面より内側に延設された突起を有していることを特徴とする請求項1乃至3いずれか1項に記載のマッサージノズル。
【請求項5】
送水手段と、請求項1〜4いずれか1つに記載のマッサージノズルと、を備え、
前記送水手段から前記マッサージノズルの前記入水部を介して前記旋回室に水を供給し、使用者が前記マッサージノズルの前記吐水口に形成される負圧を利用した吸引マッサージを実施可能としたことを特徴とするマッサージシステム。































【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【公開番号】特開2006−34829(P2006−34829A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−222578(P2004−222578)
【出願日】平成16年7月29日(2004.7.29)
【出願人】(000010087)東陶機器株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】