説明

マッサージユニット

【課題】被施療者の患部の幅方向を含む広い範囲にマッサージを施すことのできるマッサージユニットを提供する。
【解決手段】駆動用モータにより回転する主軸18の左右両端に主軸に対して一体回転可能且つ主軸の軸方向にスライド可能に配備される揉み軸30,30と、該揉み軸に配備され被施療者の患部をマッサージする施療指40と、軸方向にスライド可能に配備され、前記揉み軸を軸支し、揉み軸及び施療指を一体にスライド可能とする左右一対のスライドブロック20,20と、該左右のスライドブロックを互いに接近する方向に付勢する付勢手段と、揉み軸と一体回転可能に配備されたゼネバ原動車70と、スライドブロックに軸支され、前記ゼネバ原動車により従動するゼネバ従動車80であって、軸方向に突設して形成されたカム面81を有するゼネバ従動車と、シャーシに設けられ、前記カム面が当接するカム押面17と、を具える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被施療者の肩等の患部を挟み揉みすることのできるマッサージユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
被施療者の肩、背中及び腰にマッサージを施すマッサージユニットを具えた椅子型マッサージ機が知られている。
この種椅子型マッサージ機において、被施療者の肩を押圧マッサージするだけでなく、人が肩を揉むような感覚のマッサージを施すことのできるマッサージユニットを搭載したものも提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1のマッサージユニットは、上下に対向する第1施療指と第2施療指を夫々左右に一対有しており、第1施療指は、上下、左右に揺動する揺動レバーに対して揺動アームを介して連繋され、第2施療指は、揺動レバーに支持され、揺動アームに対してスライド可能となっている。
揺動アームは、両端が球状のボールリンクによって、シャーシに揺動角度が規制されるように接続されており、揺動レバーを上下、左右に揺動させることで、第1施療指と第2施療指を互いに接近、離間可能に作動させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4046702号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記マッサージユニットでは、第1施療指及び第2施療指は、シャーシに対して同じ位置で接近離間を繰り返すため、マッサージユニット自体を移動させた場合を除き、患部の同じ部位しかマッサージすることができない。このため、患部のより広い範囲、具体的には患部の幅方向を含む広い範囲に効果的なマッサージを施すことのできるマッサージユニットの提供が望まれている。
【0006】
本発明の目的は、被施療者の患部の幅方向を含む広い範囲にマッサージを施すことのできるマッサージユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のマッサージユニットは、
シャーシと、
シャーシに配備された駆動用モータと、
シャーシに軸支され、駆動用モータにより回転する主軸と、
該主軸の左右両端に主軸に対して一体回転可能且つ主軸の軸方向にスライド可能に配備される揉み軸と、
該揉み軸に配備され被施療者の患部をマッサージする施療指と、
シャーシに対して主軸の軸方向と平行な方向にスライド可能に配備され、前記揉み軸を軸支し、揉み軸及び施療指を一体にスライド可能とする左右一対のスライドブロックと、
該左右のスライドブロックを互いに接近する方向に付勢する付勢手段と、
揉み軸と一体回転可能に配備されたゼネバ原動車と、
スライドブロックに軸支され、前記ゼネバ原動車により従動するゼネバ従動車であって、軸方向に突設して形成されたカム面を有するゼネバ従動車と、
シャーシに設けられ、前記カム面が当接するカム押面と、
を具える。
【発明の効果】
【0008】
本発明のマッサージユニットによれば、主軸の回転により揉み軸が回転する。これにより、揉み軸に配備されたゼネバ原動車が回転すると、スライドブロックに軸支されたゼネバ従動車は、ゼネバ原動車が1周する毎に所定角度ずつ間欠回転する。
ゼネバ従動車にはカム面が形成されており、該カム面は、付勢手段によってカム押面に当接しているから、ゼネバ従動車と一体にカム面が間欠回転すると、スライドブロックは、カム面の突出量に合わせて軸方向にスライドする。
その結果、スライドブロックに配備された揉み軸及び施療指も軸方向に一体にスライドし、左右の施療指の幅方向の間隔を変えつつ、施療指によるマッサージを施すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本発明のマッサージユニットを斜め前方から見た斜視図である。
【図2】図2は、本発明のマッサージユニットの部分分解斜視図である。
【図3】図3は、図2のマッサージユニットを逆側から見た部分分解斜視図である。
【図4】図4は、被施療者が本発明のマッサージユニットによりマッサージを受けている状態を示す斜視図である。
【図5】図5は、ゼネバ従動車のスライド状態を示す斜視図であって、図5(a)は、ゼネバ従動車が幅方向の最も内側よりに位置する状態、図5(b)は、ゼネバ従動車が幅横略中間に位置する状態、図5(c)は、ゼネバ従動車が幅方向の最も外側よりに位置する状態を示している。
【図6】図6は、図5(a)におけるマッサージユニットにより被施療者がマッサージを受けている状態を示す平面図である。
【図7】図7は、図5(b)におけるマッサージユニットにより被施療者がマッサージを受けている状態を示す平面図である。
【図8】図8は、図5(c)におけるマッサージユニットにより被施療者がマッサージを受けている状態を示す平面図である。
【図9】図9は、施療指の側面図であって、第1施療指と第2施療指が離間した状態を示している。
【図10】図10は、施療指の側面図であって、第1施療指と第2施療指が接近した状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本発明のマッサージユニット(10)の斜視図、図2及び図3は、片側の施療指(40)の機構を分解して示す図である。
本発明のマッサージユニット(10)は、シャーシ(12)上に回転可能に配備された左右の揉み軸(30)(30)の各施療指(40)(40)を、ゼネバ機構を用いて幅方向に互いに接近、離間させることにより、被施療者の患部の広い範囲をマッサージすることができるマッサージユニットである。
【0011】
以下の実施例では、マッサージユニット(10)に配備される左右の施療指(40)(40)を、夫々上下一対の第1施療指(50)と第2施療指(60)によって構成し、施療指(40)(40)の幅方向の間隔を変えつつ、第1施療指(50)と第2施療指(60)を上下に接近、離間させることで、被施療者の肩等の患部を挟み揉みマッサージすることのできるマッサージユニット(10)について説明する。しかしながら、施療指(40)の構成は、これに限定されるものではなく、例えば、上側の第1施療指(50)のみを具える構成や、その他の機構により第1施療指(50)と第2施療指(60)を上下に接近、離間させることができることは勿論である。
【0012】
なお、何れの図においても、マッサージユニット(10)の内部構造をわかりやすくするために、マッサージユニット(10)の外周に取り付けられるカバーやクッション、フレーム等を取り外して示しているが、実際に使用する場合には、適宜カバーやクッション、フレーム等を取り付ければよい。
【0013】
本発明のマッサージユニット(10)は、例えば枕型のマッサージユニットとして単体で用いることもできるし、椅子型、ベッド型のマッサージ機に搭載して使用することもできる。
【0014】
図1乃至図3に示すように、本発明のマッサージユニット(10)は、両端が前方に向けて突出した支持面(13)(13)を有する断面コ字状のシャーシ(12)上に配備される。椅子型やベッド型のマッサージ機に本マッサージユニット(10)を搭載する場合には、シャーシ(12)がマッサージ機の昇降ユニット等に連結される。
【0015】
シャーシ(12)の略中央には、回転軸が縦向きとなるよう駆動用モータ(15)が配備されており、該駆動用モータ(15)には、ギア等を内装した減速機構(16)を介して左右方向に伸びる主軸(18)が回転可能に連携されている。
【0016】
支持面(13)(13)には、内向きに支持軸(14)(14)が夫々突設されており、該支持軸(14)(14)に後述する揉み軸(30)(30)がスライド可能且つ回転可能に支持される。
【0017】
またシャーシ(12)には、ゼネバ機構を構成する後述のゼネバ従動車(80)に形成されたカム面(81)が当接するカム押面(17)が突設されている。図示の実施例では、カム押面(17)は、減速機構(16)のケーシングに設けている。
【0018】
主軸(18)は、略中央位置にて減速機構(16)に連繋されており、主軸(18)の両端には、後述する揉み軸(30)が一体回転可能且つ主軸(18)の軸心に対して平行にスライド可能に嵌められている。
具体的構成には、主軸(18)には、軸方向に平行な複数の凹凸を有するスプライン部(19)を設けた構成とすることができる。
【0019】
シャーシ(12)には、減速機構(16)を挟んで左右にスライドブロック(20)(20)が配備される。スライドブロック(20)(20)には、揉み軸(30)と後述する施療指(40)(40)等が搭載される。
スライドブロック(20)は、シャーシ(12)の上下に前方に向けて突設されたスライドガイド(21)(21)に嵌まり、夫々左右にスライド可能となっている。
図示の実施例では、スライドブロック(20)は、断面コ字状の上側ブロック(22)と下側ブロック(23)から構成されており、両ブロック(22)(23)の接合面には、揉み軸(30)を軸支する軸孔(24)(24)が形成されている。スライドブロック(20)を上下のブロック(22)(23)に分割したのは、上側ブロック(22)と下側ブロック(23)で揉み軸(30)を挟み込むことで、揉み軸(30)をスライドブロック(20)に取り付けることができるようにするためである。
【0020】
スライドブロック(20)には、さらに、後述する第1施療指(50)の角度規制突起(55)が嵌まる角度規制溝(25)を有する。
角度規制溝(25)は、主軸(18)と平行な方向に延びており、溝の開口縁が第1施療指(50)と干渉する場合には、干渉を避けるために図に示すように波形に形成する。
【0021】
スライドブロック(20)(20)は、シャーシ(12)の中央に向けて夫々バネ等の付勢手段(図示せず)により付勢されている。
【0022】
揉み軸(30)は、前述のとおりスライドブロック(20)に支持され、主軸(18)に対して一体回転可能且つスライド可能に嵌まっている。
具体的構成として、揉み軸(30)の幅方向内寄りの端部は、スライドブロック(20)から内向きに突出し、軸心にスプライン部(19)と噛合且つスライド可能に嵌まる凹凸を有するスプライン穴(31)を具える。
【0023】
揉み軸(30)の幅方向外側端部もスライドブロック(20)から外向きに突出しており、軸心に前記シャーシ(12)の支持面(13)から突設された支持軸(14)に回転可能且つスライド可能に嵌まる軸穴(32)が形成されている。
【0024】
スライドブロック(20)は、揉み軸(30)を軸支しつつ、シャーシ(12)に対して、幅方向にスライド可能であり、揉み軸(30)は、主軸(18)と支持軸(14)にスライド可能に嵌まっているから、スライドブロック(20)を幅方向にスライドさせることにより、揉み軸(30)も一体に幅方向にスライドする。
【0025】
また、揉み軸(30)は、スプライン穴(31)が主軸(18)のスプライン部(19)と噛合しているから、主軸(18)の回転により主軸(18)と一体に回転する。
【0026】
揉み軸(30)の幅方向中央寄りの端部は、外周にゼネバ機構の駆動側となるゼネバ原動車(70)を具える。ゼネバ原動車(70)は、図2に示すように、周面円形の円弧部(71)と該円弧部(71)の円弧半径よりも離れた位置に内向きに突設されたゼネバピン(72)を有し、次に説明するゼネバ従動車(80)を間欠回転可能となっている。
【0027】
ゼネバ機構の従動側となるゼネバ従動車(80)は、揉み軸(30)とは異なる位置に、揉み軸(30)と軸心が平行となるようにスライドブロック(20)の内側端面から内向きに突設された軸(26)に回転可能に嵌まっている。ゼネバ従動車(80)は、前記ゼネバ原動車(70)のゼネバピン(72)及び円弧部(71)の回転移行路と同じ面内に、ゼネバピン(72)と係合可能な複数のスロット(82)(82)を有しており、該スロット(82)(82)間は、円弧部(71)が摺動可能な内向きに凹んだ円弧状の滑り面(83)(83)を有している。
【0028】
図示の実施例では、スロット(82)(82)は中心から径方向に90°毎に4条形成されており、各スロット(82)(82)間に合計4つの滑り面(83)(83)が形成されている。
【0029】
ゼネバ従動車(80)の中央側端部には、前記カム押面(17)と当接可能なカム面(81)が軸心と平行な向きに突設されている。
前述のとおり、スライドブロック(20)は、付勢手段により内向きに付勢されているから、カム面(81)は、常時カム押面(17)に押し当てられた状態を維持する。
【0030】
主軸(18)を回転させると、揉み軸(30)に配備されたゼネバ原動車(70)は、主軸(18)と一体に回転する。ゼネバ原動車(70)の回転によりゼネバピン(72)がゼネバ従動車(80)のスロット(82)に入り込むと、ゼネバ従動車(80)は従動回転する。また、ゼネバピン(72)がスロット(82)から離脱すると、円弧部(71)と滑り面(83)が対向して、円弧部(71)が滑り面(83)に対して摺動するからゼネバ従動車(80)は停止する。
すなわち、主軸(18)を連続的に回転させることで、ゼネバ従動車(80)は、間欠的に所定角度毎の回転運動を繰り返す。
【0031】
図示のようにゼネバ従動車(80)に4条のスロット(82)(82)を形成した場合には、ゼネバ原動車(70)を具える揉み軸(30)、即ち、主軸(18)が1周する毎に、ゼネバ従動車(80)は、90°ずつ位相のズレる間欠回転を繰り返す。
【0032】
ゼネバ従動車(80)に形成されたカム面(81)は、付勢手段によりカム押面(17)に押し付けられているから、ゼネバ従動車(80)が回転により、カム面(81)のカム山の凹凸形状に倣って、カム面(81)のカム山が高い位置ではゼネバ従動車(80)は外側に押し出され、逆に、カム山が低い位置では付勢手段の付勢力により内側に引っ張られる。
【0033】
これにより、カム面(81)を有するゼネバ従動車(80)が取り付けられたスライドブロック(20)は、シャーシ(12)上を間欠的にスライド移動して、左右のスライドブロック(20)(20)の間隔が変化する。なお、この間欠的な移動を以下「間欠スライド」と称する。
【0034】
具体的には、ゼネバ原動車(70)の回転により、左右一対のゼネバ従動車(80)は、図5(a)に示すように、シャーシ(12)の幅方向の中央寄りに位置し、互いに最も接近した状態から、図5(b)に示す中間状態を経て、図5(c)に示すように幅方向最も外側に離間した状態まで間欠的にスライドし、この後、図5(b)の中間状態、図5(a)の中央寄りの状態に戻る間欠スライドを行なう。
【0035】
スライドブロック(20)に軸支された揉み軸(30)には、被施療者の患部をマッサージする施療指(40)を具える。
揉み軸(30)は、軸心に対して傾斜した傾斜軸部(33)と、該傾斜軸部(33)の外側に傾斜軸部(33)の軸心に対して偏心するよう形成された偏心カム(35)(図9及び図10参照)を有する構成とし、施療指(40)は、上下に対向して配備された第1施療指(50)と第2施療指(60)から構成することができる。
【0036】
揉み軸(30)に形成された傾斜軸部(33)は、第1施療指(50)を支持する部材であり、図2及び図3に示すように内側端部にフランジ(34)が形成されている。
傾斜軸部(33)の傾斜角度は適宜設定することができ、左右同方向に傾斜するよう取り付けたり、図に示すように左右で逆方向に傾斜するように取り付けることができる。
【0037】
偏心カム(35)は、第2施療指(60)を揺動させるロッド(65)を往復動させるものであり、図示の実施例では、傾斜軸部(33)に凹設した溝(36)内に形成されている。
【0038】
被施療者の患部を挟み揉む施療指は、傾斜軸部(33)に支持された上下一対の第1施療指(50)と第2施療指(60)から構成することができる。勿論、その他の構成も可能である。
【0039】
第1施療指(50)は、図2及び図3に示すように、傾斜軸部(33)に回転自在に嵌まる係合孔(52)を有し、シャーシ(12)から見て前方側に突出するアーム部(51)と、該アーム部(51)の先端に形成され、被施療者の患部を押圧する第1揉み面(53)を有する。第1揉み面(53)は、被施療者の肩をマッサージする際に、肩を上部から押し付ける面であり、人による肩揉みマッサージと似たマッサージ効果を得るために、人の手の4指程度の幅に構成することが望ましい。
第1施療指(50)は、傾斜軸部(33)に係合孔(52)を嵌め、アーム部(51)の片面がフランジ(34)に当接するように取り付けられる。
【0040】
アーム部(51)の基端側には、前述のスライドブロック(20)に形成された角度規制溝(25)に嵌まる角度規制突起(55)が突設されている。角度規制突起(55)は、第1施療指(50)が揉み軸(30)に追従して一体に回転することを阻止し、傾斜軸部(33)に嵌まったアーム部(51)が、揉み軸(30)の回転によって、左右に揺動する。
【0041】
アーム部(51)には、係合孔(52)よりも先端側に、後述する第2施療指(60)を軸支する軸孔(57)の形成されたブラケット(56)が突設されている。
アーム部(51)の一方の面、即ち、フランジ(34)とは逆側の外側面には、後述するロッド(65)がスライド可能に嵌まるガイド(54)が形成されている(図9及び図10参照)。ガイド(54)は、アーム部(51)に溝や孔を凹設することにより形成できる。
ガイド(54)は、溝中心が、係合孔(52)の中心と軸孔(57)の中心とを結ぶ線に対して平行方向又は回転方向にズレるように形成されている。
【0042】
前記ガイド(54)には、一端が偏心カム(35)に当接し、他端が後述する第2施療指(60)の当たり(61)に当接するロッド(65)がスライド可能に嵌まっている。ロッド(65)は、断面長方形の平板状のものを採用することができ、図2、図3や図9、図10に示すように、他の部材(例えば、後述する軸(63))と干渉する場合には、その部分にテーパを形成してもよい。
【0043】
揉み軸(30)を回転させると、第1施療指(50)は、角度規制溝(25)により回転が規制されているから、揉み軸(30)とは一体に回転せず、左右に往復運動する。このとき、偏心カム(35)は、係合孔(52)が傾斜軸部(33)に嵌まったまま同軸に回転するので、偏心カム(35)の偏心回転によって、偏心カム(35)に当接しているロッド(65)がガイド(54)に沿って往復スライドする。ロッド(65)の往復スライド運動は、次に説明する第2施療指(60)の揺動運動の動力源となる。
【0044】
第2施療指(60)は、第1施療指(50)に回動可能に支持されている。
第2施療指(60)は、図1乃至図3等に示すように、第1施療指(50)よりも幅が狭く、長さの小さい部材から構成される。
第2施療指(60)には、基端側外面に凹み(62)が形成されており、該凹み(62)の側面から前記アーム部(51)の軸孔(57)に嵌まる軸(63)が突設されている。
また、凹み(62)には、基端側へ向けて前記ロッド(65)の先端と当接する当たり(61)が突設されている。
第2施療指(60)は、軸(63)がブラケット(56)の軸孔(57)に嵌まって第1施療指(50)に軸支された状態で、当たり(61)が前記ロッド(65)の先端と当接するよう配備される。
【0045】
第2施療指(60)の先端は、第1施療指(50)の第1揉み面(53)と対向する第2揉み面(64)が構成されている。第2揉み面(64)は、被施療者の肩を挟み揉みする際に、肩を後ろから押し上げる面であり、第2揉み面(64)の幅は、人による肩揉みマッサージと似たマッサージ効果を得るために、手の親指又はそれよりも少し広い程度とすることが望ましい。
【0046】
第2施療指(60)は、当たり(61)がロッド(65)に密接に当たり、また、ロッド(65)が偏心カム(35)に密接に当たるように、第1施療指(50)から離れる側に向けてバネ等の付勢手段(図示せず)により付勢しておくことが望ましい。これにより、ロッド(65)のぐらつきや脱落が防止されると共に、偏心カム(35)の偏心回転をロッド(65)を介して遊びなく第2施療指(60)に伝達し、第2施療指(60)の揺動運動に変換することができる。
【0047】
第2施療指(60)は、偏心カム(35)の回転により、ロッド(65)が往復運動することで、図9及び図10に示すように、第1施療指(50)に対して接近、離間する揺動運動を行なう。
【0048】
第1施療指(50)と第2施療指(60)が図9に示すように離間した状態から、偏心カム(35)が偏心回転し、ロッド(65)が、偏心カム(35)に押されて外側に突出する方向に移動すると、第2施療指(60)は、当たり(61)がロッド(65)に押し出されるが、第2施療指(60)は、第1施療指(50)に軸(63)により軸支されているから、図10に示すように軸(63)を中心に第1施療指(50)に接近する方向に揺動する。
【0049】
逆に、図9に示すように、偏心カム(35)がさらに回転すると、付勢手段(図示せず)の付勢力により、ロッド(65)が偏心カム(35)に追従して後退し、第2施療指(60)は、第1施療指(50)から離間する方向に揺動する。
【0050】
上記を繰り返すことにより、第2施療指(60)は、第1施療指(50)に対して接近、離間する揺動運動を行なう。
【0051】
上記構成のマッサージユニット(10)について、被施療者が、図4に示すように、肩の上側に第1施療指(50)、背中側に第2施療指(60)が当たるようにマッサージユニット(10)をセットし、駆動用モータ(15)を駆動すると、減速機構(16)を介して主軸(18)に動力が伝達され、主軸(18)と一体に揉み軸(30)が回転する。揉み軸(30)の回転により、上述のとおり、スライドブロック(20)(20)が、揉み軸(30)と共に左右に間欠スライドする。
【0052】
また、揉み軸(30)の回転により、上述のとおり、第1施療指(50)は左右に揺動し、患部に押圧マッサージが施される。
【0053】
さらに、第2施療指(60)は、第1施療指(50)に対して接近、離間を繰り返す。これにより、被施療者の患部に挟み揉みマッサージが施される。この挟み揉み動作は、人の手の4指とほぼ同じ幅の第1揉み面(53)を有する第1施療指(50)と、人の親指とほぼ同じ幅の第2揉み面(64)を有する第2施療指(60)により行なわれるから、まるで、人に肩揉みをしてもらっているかの如き感覚を得ることができる。
【0054】
なお、挟み揉み中に、第1施療指(50)は、左右に揺動し、第1施療指(50)に軸支された第2施療指(60)も追従して揺動するから、肩を摘みながら指圧を受ける如きマッサージを体感できる。
【0055】
スライドブロック(20)(20)の間欠スライドによって、図6乃至図8に示すように、第1施療指(50)及び第2施療指(60)からなる左右の施療指(40)(40)は、幅方向に間隔を変えながら被施療者の患部の幅方向の広い範囲に上記マッサージを施すことができる。
【0056】
なお、スライドブロック(20)が幅方向にスライドするタイミングと、第1施療指(50)と第2施療指(60)の接近、離間するタイミングは、ゼネバ原動車(70)のゼネバピン(72)の位置を適宜設定することにより調整することができる。
【0057】
例えば、図9に示すように、第1施療指(50)と第2施療指(60)が離間した状態、即ち、被施療者の患部に押圧力を加えていない状態で、ゼネバ従動車(80)が回転して、スライドブロック(20)(20)がスライド移動するように、ゼネバピン(72)の位置を設定することで、第1施療指(50)と第2施療指(60)が被施療者の患部に挟み揉みマッサージを施している間は、スライドブロック(20)(20)が幅方向に変化せず、第1施療指(50)と第2施療指(60)が離間している間に、スライドブロック(20)(20)を幅方向にスライドさせることができる。
これにより、被施療者は、患部の幅方向の各位置で夫々挟み揉みマッサージを受けることができる。
【0058】
また、上記とは逆に、図10に示すように、第1施療指(50)と第2施療指(60)が接近し、患部に押圧力を加えている状態で、スライドブロック(20)(20)がスライド移動するように設定すると、第1施療指(50)と第2施療指(60)が患部を挟み揉みしつつ、横方向にスライドするから、指圧の如きマッサージを患部の幅方向の各位置で受けることができる。
【0059】
さらに、偏心カム(35)の傾斜軸部(33)への偏心量、偏心角度直径等を適宜設定することで、第2施療指(60)の揺動範囲、即ち、第1施療指(50)と第2施療指(60)との挟み揉みの幅や、挟み揉みするタイミングを変えてマッサージを施すこともできる。
【0060】
何れのマッサージも、従来実現できなかった新しいマッサージであり、施療効果の高いマッサージである。
【0061】
なお、本発明のマッサージユニット(10)において、上記のように施療指(40)(40)を第1施療指(50)と第2施療指(60)により構成することで以下の利点がある。
まず、第1施療指(50)は、傾斜軸部(33)に直接支持されているため、傾斜軸部(33)から伝達される力を殆んど損失することなく患部に作用させることができる。
【0062】
また、第2施療指(60)も、偏心カム(35)からスライド運動するロッド(65)を介して揺動力を受けているから、従来に比して、伝達される力の損失を抑えることができる。第2施療指(60)は、さらに、第1施療指(50)の動きに影響を受けないので、負荷の状態に左右されずに、第1施療指(50)と第2施療指(60)で確実に挟み揉みすることができる。
従って、第1施療指(50)及び第2施療指(60)は、堅牢な構成とする必要はなく、樹脂等により作成することが可能となり、また、第1施療指(50)及び第2施療指(60)を動かすための部品の点数を削減できる。従って、マッサージユニット(10)の軽量化、小型化、低コスト化を達成できる。
【0063】
また、偏心カム(35)の外周形状は、本実施例では円形としているが、楕円形としたり、直線部分を設けることにより、第1施療指(50)と第2施療指(60)の接近時間を長くしたり、短くし、バラエティーに富んだ挟み揉みマッサージを提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、被施療者の患部の幅方向に広い範囲に挟み揉みすることのできるマッサージユニットとして有用である。
【符号の説明】
【0065】
(10) マッサージユニット
(12) シャーシ
(15) 駆動用モータ
(17) カム押面
(18) 主軸
(20) スライドブロック
(25) 角度規制溝(角度規制部材)
(30) 揉み軸
(33) 傾斜軸部(斜軸)
(35) 偏心カム
(40) 施療指
(50) 第1施療指
(51) アーム部
(54) ガイド
(55) 角度規制突起(角度規制部材)
(60) 第2施療指
(61) 当たり
(65) ロッド
(70) ゼネバ原動車
(71) 円弧部
(72) ゼネバピン
(80) ゼネバ従動車
(81) カム面
(82) スロット
(83) 滑り面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャーシと、
シャーシに配備された駆動用モータと、
シャーシに軸支され、駆動用モータにより回転する主軸と、
該主軸の左右両端に主軸に対して一体回転可能且つ主軸の軸方向にスライド可能に配備される揉み軸と、
該揉み軸に配備され被施療者の患部をマッサージする施療指と、
シャーシに対して主軸の軸方向と平行な方向にスライド可能に配備され、前記揉み軸を軸支し、揉み軸及び施療指を一体にスライド可能とする左右一対のスライドブロックと、
該左右のスライドブロックを互いに接近する方向に付勢する付勢手段と、
揉み軸と一体回転可能に配備されたゼネバ原動車と、
スライドブロックに軸支され、前記ゼネバ原動車により従動するゼネバ従動車であって、軸方向に突設して形成されたカム面を有するゼネバ従動車と、
シャーシに設けられ、前記カム面が当接するカム押面と、
を具えることを特徴とするマッサージユニット。
【請求項2】
ゼネバ従動車は、径方向に4条のスロットを有する請求項1に記載のマッサージユニット。
【請求項3】
揉み軸には、軸心に対して傾斜した斜軸が配備され、
施療指は、
前記斜軸に回転可能に嵌まるアーム部と、該アーム部の先端に配備され、被施療者の患部をマッサージする第1揉み面と、アーム部の基端に形成され、スライドブロックと係合してアーム部が揉み軸と一体に回転することを規制する角度規制部材とを有する第1施療指と、
第1施療指に揺動可能に軸支され、先端に被施療者の患部をマッサージする第2揉み面を具えた第2施療指と、
斜軸の軸芯に偏心して配備された偏心カムと、
基端が偏心カムに当接するロッドと、
第1施療指に形成され、前記ロッドがスライド可能に嵌まるガイドと、
第2施療指に形成され、前記ロッドの先端が当接する当たりと、
を有する請求項1又は請求項2に記載のマッサージユニット。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2012−157480(P2012−157480A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−18555(P2011−18555)
【出願日】平成23年1月31日(2011.1.31)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】