説明

マッサージ椅子

【課題】的確なメンテナンス時期を報知することのできるマッサージ椅子を提供する。
【解決手段】マッサージ機構の駆動時間を計時するタイマ31aと、タイマ31aにて計時した駆動時間を累積駆動時間として記憶する記憶部35と、その記憶部35にて記憶した累積駆動時間と設定時間との比較に基づいて、メンテナンスが必要か否かの判定を行う制御部31と、制御部31によりメンテナンスが必要であるとの判定に基づいて、その旨を使用者に報知する表示部39及びマッサージ機構の動作を停止する手段を設けている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、施療子を駆動するマッサージ機構を背もたれ部に組み込んでなるマッサージ椅子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
背もたれ部にマッサージ機構を組み込んだマッサージ椅子は、背中のつぼや経絡にマッサージ機構の施療子を当てて所定の動作をさせ、血行を促進させることで肩や背中の凝りを解消させるものであって、従来より提案されている。
【0003】
ところで、このようなマッサージ椅子は、背もたれ部において施療子等の機構部が直接使用者の身体に触れないように布等のカバーにより被覆されている。そして、使用の都度施療子とカバーとが摺接してマッサージが行われるため、長期間使用するとカバーが破れて施療子が剥き出しになるおそれがある。また、このようなマッサージ椅子は、一般的に、カバーなどを被覆させることで人がマッサージしている感触と類似させているため、カバーが破れて施療子が剥き出しになった状態で使用すると、適切なマッサージ効果が得られないこととなる。そのため、カバーを定期的に交換する必要がある。
【0004】
そこで、マッサージ椅子のメンテナンス性を向上させたものが提案されている(例えば特許文献1)。特許文献1に開示されたマッサージ椅子は、背もたれ部に凹所を形成し、その凹所内にバイブレータを着脱自在に収容装着している。これにより、点検等のメンテナンスが容易となっている。
【特許文献1】特開2001−495号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されたマッサージ椅子では、メンテナンス性の向上は図られているが、カバーの交換時期等、メンテナンスの時期を使用者が的確に知ることができない。そのため、メンテナンス時期の遅れが生じ、このことがマッサージ椅子の故障等に繋がる原因となっていた。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、的確なメンテナンス時期を報知することのできるマッサージ椅子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、着座した使用者に対しマッサージを行うべく、背もたれ部の上下方向、幅方向及び前後方向の少なくとも一方に施療子を駆動する駆動機構をその背もたれ部内に備え、施療子を含む駆動機構をカバーにて保護して構成されるマッサージ椅子であって、前記駆動機構の直接または間接的な駆動時間を計時する計時手段と、前記計時手段にて計時した駆動時間を累積駆動時間として記憶する記憶部と、前記記憶部にて記憶した累積駆動時間と所定判定時間との比較に基づいて、メンテナンスが必要か否かの判定を行う判定手段と、前記判定手段によりメンテナンスが必要であるとの判定に基づいて、その旨を前記使用者に報知する報知手段、及び、前記駆動機構の動作を制限する制御手段の少なくとも一方の手段とを備えたことをその要旨とする。
【0008】
この発明では、駆動機構の直接または間接的な駆動時間を計時する計時手段と、前記計時手段にて計時した駆動時間を累積駆動時間として記憶する記憶部と、前記記憶部にて記憶した累積駆動時間と所定判定時間との比較に基づいて、メンテナンスが必要か否かの判定を行う判定手段と、判定手段によりメンテナンスが必要であるとの判定に基づいて、その旨を使用者に報知する報知手段を備えたことにより、例えば所定判定時間を駆動機構の交換時期やカバーの交換時期等、各部のメンテナンスの時期とすることにより、使用者に対してメンテナンスの時期を報知することができる。
【0009】
報知手段の代わりに、駆動機構の動作を制限する制御手段を備えたことにより、駆動機構の動作の制限から使用者がメンテナンス時期を知ることができる。また、例えば駆動機構の動作を強さを弱めるよう制限させることで、カバーと駆動機構とに生じる摩擦が少なくなるためカバーの交換時期を延長することが可能となる。
【0010】
報知手段と制御手段両方を備えたことにより、上述した2点を合わせた効果を奏することができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のマッサージ椅子において、前記判定手段は、前記累積駆動時間と複数の所定判定時間との段階的な比較に基づいてメンテナンスの必要度を判定し、前記報知手段または前記制御手段は、そのメンテナンスの必要度に応じた動作を行うことをその要旨とする。
【0011】
この発明では、累積駆動時間と複数の所定判定時間との段階的な比較に基づいてメンテナンスの必要度を判定し、前記報知手段または前記制御手段は、そのメンテナンスの必要度に応じた動作を行うようにしたことで、使用者に対してメンテナンス時期等を段階的に報知することができる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載のマッサージ椅子において、前記駆動部は、前記施療子を上下方向、幅方向及び前後方向に駆動するものであり、前記計時手段は、個々に駆動する部位毎に累積駆動時間を計時することをその要旨とする。
【0013】
この発明では、駆動部は、施療子を上下方向、幅方向及び前後方向に駆動するものであり、計時手段は、個々に駆動する部位毎に累積駆動時間を計時したことで、例えば駆動機構の個々に駆動する部位毎にメンテナンス時期を報知させることができる。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載のマッサージ椅子において、メンテナンスが完了すると、前記累積駆動時間をリセットするリセット手段を備えたことをその要旨とする。
【0015】
この発明では、メンテナンスが完了すると、前記累積駆動時間をリセットするリセット手段を備えたことで、駆動機構の交換やカバーの交換等、メンテナンスを行うことで累積駆動時間をリセットされ、次回のメンテナンス時期を的確に報知することが可能となる。
【発明の効果】
【0016】
従って、上記記載の発明によれば、的確なメンテナンス時期を報知することのできるマッサージ椅子を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を具体化した一実施の形態を図面に従って説明する。
図1(a)(b)に示すように、マッサージ椅子10の脚部11は図示しない床面に載置されるとともに、その脚部11の上部には使用者が着座可能な座部12が固定されている。その座部12の後部には、使用者が背中を持たれ掛けさせるための背もたれ部13が傾動可能に設けられている。また、使用者の腕などを置くための肘掛け14が背もたれ部13から座部12の両側前方にかけて設けられている。即ち、本実施形態におけるマッサージ椅子10は使用者が椅子に腰掛けるようにして使用できるよう構成されている。尚、座部12の前方下部には使用者の足等を乗せてマッサージを行うオットマン15が設けられている。
【0018】
マッサージ椅子10の各部は布等よりなるカバー16によって被覆されており、マッサージ椅子10内に設けられた各駆動部等と使用者の身体とが直接接触しないようになっている。
【0019】
背もたれ部13はその全体をカバー16で覆ったものであり、このカバー16内には、背もたれ部13の下部から上部にかけて前方に開口されている空間Sが設けられるとともに、その空間S内には使用者の背中のマッサージを行うマッサージ機構21が設けられている。このマッサージ機構21は図1(b)に示すガイドレール22に沿って、マッサージ機構21に組み付けられる上下駆動部36(上下駆動モータ36a:図2参照)により上下動される。また、このマッサージ機構21には、強弱(前後)駆動部37(強弱駆動モータ37a)及び幅駆動部38(幅駆動モータ38a)が備えられ、各駆動部37,38の駆動によって一対の施療子21aが動作する。これら施療子21aが空間Sの開口部から前方に突設してカバー16内面と摺接し、該施療子21aがカバー16を介して使用者に刺激を与えることで、揉み、擦り、叩き等の各種マッサージを施すようになっている。
【0020】
上記の各動作は、図2に示す制御部31の制御に基づいて行われる。図中の上下センサ32、強弱センサ33、幅センサ34は、マッサージ機構21及びその施療子21a(図1(a)参照)を上下方向、前後(強弱)方向、幅(左右)方向に駆動させる各駆動モータ36a〜38aの駆動制御に用いられる。
【0021】
制御部31は、施療子21aに所定の動きを行わせる場合、記憶部35に記憶された制御データに基づいて3つの駆動モータ36a〜38aを駆動し、上下駆動部36、強弱駆動部37、幅駆動部38に所定動作を行わせるとともに、上記各センサ32〜34のフィードバックによって施療子21aの位置制御を行う。また、記憶部35は、制御データの他に制御部31内のタイマ31aによって計時されたマッサージ機構21の駆動時間(累積駆動時間)等も記憶されている。
【0022】
表示部39では、制御部31の制御に基づいて、使用時のマッサージ状況が表示され、後述するメンテナンス時期の報知等もなされる。リセット入力部40は、記憶部35に記憶されているマッサージ機構21及び施療子21aの駆動時間をクリアにするための信号を制御部31を介して入力する。尚、各駆動部36〜38は、同時に動かすことが可能に構成されているため、施療子21aを2次元または3次元に動かすことができ、これによりマッサージが行えるようになっている。
【0023】
図3は本実施形態のメンテナンス時期の報知からその報知を停止させるまでの動作を示すフローチャートである。
制御部31は、ステップS10及びステップS20において、記憶部35に記憶されているマッサージ機構21及び施療子21aの駆動時間と設定時間A(例えば4000時間)及び設定時間B(例えば2000時間)との比較を行う。駆動時間が設定時間B未満であれば(ステップS20:NO)、制御部31は、ステップS10から処理を繰り返す。駆動時間が設定時間B以上設定時間A未満であれば(ステップS10:NO且つステップS20:YES)、制御部31は、表示部39(図2参照)に「点検」と表示する(ステップS30)。マッサージ機構21若しくは施療子21aの交換やカバー16の交換など、メンテナンスが終了するまで(ステップS40:NO)、制御部31は、ステップS10から処理を繰り返す。
【0024】
駆動時間が設定時間A以上であれば(ステップS10:YES)、制御部31は、マッサージ機構21の動作を停止する(ステップS11)。その後、マッサージ機構21若しくは施療子21aの交換やカバー16の交換など、メンテナンスが終了するまで(ステップS40:NO)、制御部31は、ステップS10から処理を繰り返す。
【0025】
メンテナンスが終了すると(ステップS40:YES)、制御部31は、記憶部35に記憶されている駆動時間をリセット入力部40(図2参照)の入力信号に基づいてクリアさせ(ステップS50)、表示部39の「点検」表示を消去する(ステップS60)。尚、記憶部35に記憶されている駆動時間は常時更新するものとし、その駆動時間と各設定時間とが比較されている。
【0026】
図3に示した動作により、使用者に表示部39を介してメンテナンス時期が報知される。また、設定時間Aに達すると、マッサージ機構21の動作が停止され、メンテナンスを強制的に行わせるようになっている。
【0027】
次に、本実施の形態の特徴的な作用効果を記載する。
(1)マッサージ機構21の駆動時間を計時するタイマ31aと、タイマ31aにて計時した駆動時間を累積駆動時間として記憶する記憶部35と、その記憶部35にて記憶した累積駆動時間と設定時間A及びBとの比較に基づいて、メンテナンスが必要か否かの判定を行う制御部31と、制御部31によりメンテナンスが必要であるとの判定に基づいて、その旨を使用者に報知する表示部39を備えたことにより、使用者に対してメンテナンスの時期を報知することができる。さらに、マッサージ機構21の動作を停止させるようにしたことで、マッサージ機構21の動作の停止から使用者がメンテナンス時期を知ることができる。
【0028】
(2)マッサージ機構21及び施療子21aをメンテナンスすることで、記憶部35に記憶されている駆動時間をクリアさせる。これにより、次回のメンテナンス時期を的確に報知することが可能となる。
【0029】
尚、本発明の実施の形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施の形態では、マッサージ機構21及び施療子21aの駆動時間によりメンテナンス時期を報知しているが、こうした構成に限らない。例えば、マッサージ機構21及び施療子21aを上下方向、強弱(前後)方向、幅(左右)方向に各モータ36a〜38aによって駆動させる上下駆動部36、強弱駆動部37、幅駆動部38に対してそれぞれ設定時間を設けて、その各設定時間と各駆動部36〜38の駆動時間とを比較させてメンテナンス時期を報知させてもよい。さらに、各駆動部36〜38の駆動時間が各設定時間を超えた場合に、上下駆動部36が設定時間を超えた場合に表示部39にて「点検1」と表示させ、強弱駆動部37が設定時間を超えた場合に表示部39にて「点検2」というように、区別をさせても良い。尚、この際の駆動時間のクリアは各駆動部36〜38毎に行ってもよい。
【0030】
・上記実施の形態では、マッサージ機構21及び施療子21aの駆動時間が設定時間A若しくはBを超えると表示部39に「点検」と表示するようにしているが、こうした構成に限らない。例えば、カバー16の交換時期であれば「カバー交換」と表示し、マッサージ機構21の点検時期であれば「マッサージ機内点検」というように各部のメンテナンス時期を使用者が理解しやすいよう区別して表示させてもよい。
【0031】
・上記実施の形態では、設定時間Aと設定時間Bとの2つの設定時間を設けているが、こうした構成に限らず、例えば設定時間AとBとの間に更に設定時間を複数設けて、その設定時間に応じて、1回あたりの駆動時間を段階的に(初期15分から12分、9分…)変更させる構成や表示部39での表示方法を変える構成などでもよい。1回あたりの駆動時間を段階的に短く変更することで、カバー16とマッサージ機構21(施療子21a)との摺接時間が短くなるためカバー16の交換時期を延長することができる。
【0032】
・上記実施の形態では、メンテナンス時期を表示部39及びマッサージ機構21の動作の制限により報知しているが、いずれか一方のみでもよい。また、例えば音声にて使用者に報知してもよい。
【0033】
・上記実施の形態では、マッサージ機構21及び施療子21aの駆動時間を累積駆動時間としているが、例えばマッサージ機構21及び施療子21aとは間接的な駆動時間であるマッサージ椅子10での電源オンからオフまでの時間を累積駆動時間としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】(a)(b)本実施の形態におけるマッサージ椅子を示す側面図である。
【図2】本実施の形態におけるマッサージ椅子の制御ブロック図である。
【図3】本実施の形態におけるマッサージ椅子のメンテナンス報知の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0035】
10…マッサージ椅子、13…背もたれ部(接触部)、16…カバー、21…マッサージ機構(駆動機構)、21a…施療子、31…制御部(判定手段)、31a…タイマ(計時手段)、35…記憶部、39…表示部(報知手段)、40…リセット入力部(リセット手段)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着座した使用者に対しマッサージを行うべく、背もたれ部の上下方向、幅方向及び前後方向の少なくとも一方に施療子を駆動する駆動機構をその背もたれ部内に備え、施療子を含む駆動機構をカバーにて保護して構成されるマッサージ椅子であって、
前記駆動機構の直接または間接的な駆動時間を計時する計時手段と、
前記計時手段にて計時した駆動時間を累積駆動時間として記憶する記憶部と、
前記記憶部にて記憶した累積駆動時間と所定判定時間との比較に基づいて、メンテナンスが必要か否かの判定を行う判定手段と、
前記判定手段によりメンテナンスが必要であるとの判定に基づいて、その旨を前記使用者に報知する報知手段、及び、前記駆動機構の動作を制限する制御手段の少なくとも一方の手段と
を備えたことを特徴とするマッサージ椅子。
【請求項2】
請求項1に記載のマッサージ椅子において、
前記判定手段は、前記累積駆動時間と複数の所定判定時間との段階的な比較に基づいてメンテナンスの必要度を判定し、前記報知手段または前記制御手段は、そのメンテナンスの必要度に応じた動作を行うことを特徴とするマッサージ椅子。
【請求項3】
請求項1または2に記載のマッサージ椅子において、
前記駆動機構は、前記施療子を上下方向、幅方向及び前後方向に駆動するものであり、
前記計時手段は、個々に駆動する部位毎に累積駆動時間を計時することを特徴とするマッサージ椅子。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載のマッサージ椅子において、
メンテナンスが完了すると、前記累積駆動時間をリセットするリセット手段を備えたことを特徴とするマッサージ椅子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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