説明

マッサージ機及び椅子型マッサージ機

【課題】簡単な構成により多様な方向へ施療子を移動させることができるマッサージ機を提供する。
【解決手段】被施療者をマッサージするための施療子1a,1b,2が搭載されたプレート状の可動ベース29と、この可動ベース29をその面内方向の軸心C3回りに揺動自在に両端支持しているレベリング用の第一支持部材26と、この第一支持部材26を前記可動ベースの法線方向の軸心C1回りに回転自在に支持しているローリング用の第二支持部材27とを備えている。更に、可動ベース29を第一支持部材26に対して揺動させるためのレベリング駆動機構31と、第一支持部材26を第二支持部材27に対して回転させるためのローリング駆動機構32とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、被施療者をマッサージするための施療子を備えたマッサージ機、及び、これを備えた椅子型マッサージ機に関する。
【背景技術】
【0002】
被施療者に対してマッサージを施すことができるマッサージ機として従来知られているものに、被施療者に対して動作する施療子(揉み玉)を備えたものがある。このようなマッサージ機において、例えば特許文献1のように従来に比べて多様な方向へ施療子を移動させることが可能となる施療機構が提案されている。
【0003】
【特許文献1】特開2003−159295号公報(図3参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されているマッサージ機の施療機構はパラレルメカニズムが構成されている。これは固定側のベースと施療子を有する施療部との間に複数の伸縮リンクが設けられており、各伸縮リンクとベースとの接続箇所、各伸縮リンクと施療部との接続箇所のそれぞれにユニバーサルジョイントが用いられている。これにより、ベースに対して施療子を有する施療部を所定の動作範囲内で多様な方向に移動させることができる。
しかし、特許文献1に記載されているマッサージ機の施療機構は構造が複雑であり、また、被施療者(患部)に対する施療子の向きを所望の角度に設定するためには三本の伸縮リンクのそれぞれの長さを調整する必要がある。このために施療子の姿勢の制御が非常に難しいという問題点を有している。つまり、施療子を被施療者に対して所望の角度とするためにこれら施療子を一体として一つの軸心回りに揺動させたい場合であっても、三本の伸縮リンクを同時にそれぞれ伸張又は短縮させる必要があり、その動作のための制御が非常に複雑であるという問題点を有している。
【0005】
そこでこの発明は、前記問題点に鑑みてなされたものであり、簡単な構成により多様な方向へ施療子を移動させることができるマッサージ機及びこれを備えた椅子型マッサージ機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するためのこの発明のマッサージ機は、被施療者をマッサージするための施療子が搭載されたプレート状の可動ベースと、この可動ベースをその面内方向の軸心回りに揺動自在に両端支持しているレベリング用の第一支持部材と、この第一支持部材を前記可動ベースの法線方向の軸心回りに回転自在に支持しているローリング用の第二支持部材と、前記可動ベースを前記第一支持部材に対して揺動させるためのレベリング駆動機構と、前記第一支持部材を前記第二支持部材に対して回転させるためのローリング駆動機構とを備えている。
【0007】
この構成によれば、施療子が搭載されている可動ベースは、その面内方向の軸心回りに揺動自在として第一支持部材に支持されている。また、この第一支持部材は可動ベースの法線方向の軸心回りに回転自在として第二支持部材に支持されている。そして、レベリング駆動機構によって可動ベースを第一支持部材に対して揺動させることで、被施療者に対して施療子の高さが変化するレベリング動作が可能となる。また、ローリング駆動機構によって第一支持部材を第二支持部材に対して回転させることで、被施療者に対して施療子を回転させるローリング動作が可能となる。このように、簡単な構造によって施療子を揺動及び回転させることができ、施療子を多様な方向へ移動させることができる。
【0008】
また、ローリング駆動機構は、モータとギアの組み合わせによって構成することができるが、本発明のローリング駆動機構は、モータで回転駆動される第一巻き掛け部材と、この第一巻き掛け部材と前記第一支持部材との間に架設され前記第一巻き掛け部材の回転によって前記第一支持部材を回転させるワイヤとを有しているのが好ましい。
これは、ギアのみを用いて第一支持部材を回転させるギア駆動機構を採用した場合では、そのギアの配置に制約があり、またギアの配置のための空間が大きく必要であるが、ワイヤを採用した場合、第一巻き掛け部材と第一支持部材との間隔などの相対的な位置をある程度自由に設定することができ、第一巻き掛け部材及び第一支持部材の配置の自由度が高まる。さらに、その動力伝達部のコンパクト化が図れる。
【0009】
また、レベリング駆動機構は、モータとギアの組み合わせによって構成することができるが、本発明のレベリング駆動機構は、モータで回転駆動される第二巻き掛け部材と、この第二巻き掛け部材と前記可動ベースとの間に架設され前記第二巻き掛け部材の回転によって前記可動ベースを揺動させるワイヤとを有しているのが好ましい。
これは、ギアのみを用いて可動ベースを揺動させるギア駆動機構を採用した場合では、ギアの配置に制約があり、またギアの配置のための空間が大きく必要であるが、ワイヤを採用した場合、第二巻き掛け部材と可動ベースとの間隔などの相対的な位置をある程度自由に設定することができ、第二巻き掛け部材及び可動ベースの配置の自由度が高まる。さらに、その動力伝達部のコンパクト化が図れる。
【0010】
また、前記施療子は複数個の第一施療子とこの第一施療子より少ない個数の第二施療子とからなり、前記第一及び第二施療子を互いに接近又は離反させる揉み駆動機構を更に備え、この揉み駆動機構は前記可動ベースに固定されているのが好ましい。
これによれば、揉み駆動機構により、第一施療子と第二施療子とを互いに接近又は離反させ、挟み揉みによるマッサージを行わせることができる。そして、両施療子を搭載している可動ベースは揺動したり、第一支持部材とともに回転したりするが、この可動ベースに揉み駆動機構が固定されているため、揉み駆動機構は可動ベースとともにこれら動作をすることができる。
【0011】
また、このマッサージ機において、前記揉み駆動機構は、前記可動ベースから前記法線方向の被施療者側へ突出し先端側に前記第一及び第二施療子の内の一つをそれぞれ揺動自在として枢着している複数の突出部材と、前記可動ベースと前記第一及び第二施療子との間で前記法線方向に進退自在とされた移動ベースと、この移動ベースを前記法線方向に進退駆動するための駆動手段と、この移動ベースの進退運動を前記第一及び第二施療子の揺動運動に変換すべく当該移動ベースと当該第一及び第二施療子との間に設けられたリンク部材とを有しているのが好ましい。
これによれば、第一及び第二施療子の各々は可動ベースから前記法線方向の被施療者側へ突出している突出部材に揺動自在として枢着されている。そして、前記法線方向へ進退駆動される移動ベースと第一及び第二施療子との間に設けられたリンク部材は、移動ベースの進退運動を両施療子の揺動運動に変換することができる。さらに、移動ベースの進退駆動によって複数個の施療子を同時に揺動させることができる。そして、これら施療子によって挟み揉みによるマッサージを行わせることができる。
【0012】
さらに、このマッサージ機において、前記第二施療子が枢着されている前記突出部材は前記可動ベースに対して自転自在に設けられ、当該突出部材を自転させるための回転駆動機構を更に備えているのが好ましい。
これによれば、回転駆動機構が第二施療子を枢着している突出部材を自転させることによって、当該第二施療子は回転動作し被施療者に対して捏ね揉みによるマッサージを行うことができる。
【0013】
また、このマッサージ機において、前記回転駆動機構は前記可動ベースに固定されているのが好ましい。
これによれば、第一及び第二施療子を搭載している可動ベースは揺動したり、第一支持部材とともに回転したりするが、この可動ベースに回転駆動機構が固定されているため、回転駆動機構は可動ベースとともにこれら動作をすることができる。
【0014】
また、本発明の椅子型マッサージ機は、座部と、この座部の後部側に設けられた背もたれ部と、前記座部と前記背もたれ部の内の少なくとも一方に備えられたマッサージ装置とを備えており、そのマッサージ装置を前記のマッサージ機とすることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、前記マッサージ機により、施療子を搭載している可動ベースを揺動させることによって、被施療者に対して施療子の高さが変化するレベリング動作が可能となる。また、この可動ベースを支持している第一支持部材を回転させることによって、被施療者に対して施療子が回転するローリング動作が可能となる。このように簡単な構造によって施療子を揺動及び回転させることができ、施療子を多様な方向へ移動させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図1はこの発明のマッサージ機を搭載している椅子型マッサージ機の実施の一形態を示す後方からの斜視図であり、図2はその側面図である。
この椅子型マッサージ機は、上面が被施療者を着座させる座面3aとされた座部3と、この座部3の後部に設けられた背もたれ部4と、座部3の前部に設けられた脚載せ部5と、座部3の左右両側に設けられて座部3と背もたれ部4と脚載せ部5とを床面に対して支持している左右一対の脚部16とを備えている。そして、座部3と背もたれ部4と脚載せ部5の少なくとも一つに、被施療者に対してマッサージを施すことができるマッサージ機が設けられている。
【0017】
背もたれ部4にガイド通路6が形成されており、このガイド通路6にマッサージユニット8が移動自在に設けられている。また、この椅子型マッサージ機では、ガイド通路6は背もたれ部4の内部に左側と右側に振り分けて左右一対配置されており、左右のガイド通路6a,6bは背もたれ部4の長手方向に沿って延設されている。これに対応して、マッサージユニット8は左右一対設けられている。そして、椅子型マッサージ機が備えている移動機構(図示せず)が、これらのマッサージユニット8a,8bを各ガイド通路6a,6bに沿ってそれぞれ独立して移動させることができる。また、前記ガイド通路6a,6bは背もたれ部4のみならず、座部3と脚載せ部5の内部にも延伸して設けられている。したがって、マッサージユニット8a,8bのそれぞれは、背もたれ部4から座部3、さらに、脚載せ部5の内部に移動することができる。
【0018】
そして本発明のマッサージ機は前記マッサージユニット8に搭載されている。図3は本発明のマッサージ機を搭載しているマッサージユニットの実施の一形態を示す斜視図であり、図4はその要部を示す斜視図である。また図5はこのマッサージ機の断面側面図である。
マッサージユニット8はフレーム28を有しており、このフレーム28にマッサージ機7が搭載されている。フレーム28のほぼ矩形状の本体部分28bの四隅にはそれぞれローラ30が回転自在に取り付けられている。これらローラ30の少なくとも一つが回転駆動することで前記ガイド通路6に沿ってマッサージユニット8は移動することができる。これについて具体的に説明すると、図示しないが、四個の前記ローラ30のうちの少なくとも一つが、その外周面に歯が形成されてピニオンを構成している。また、前記ガイド通路6a,6bにはこのピニオンに噛み合うラック部が形成されている。そして、マッサージユニット8に搭載したモータの回転を減速機構を介して前記ピニオンに伝達し、ピニオンを回転させることでマッサージユニット8をガイド通路6に沿って移動させている。
【0019】
そして、このマッサージ機7は被施療者をマッサージするための施療子(揉み玉)を備えている。本発明の施療子は、複数個の第一施療子と、この第一施療子より少ない個数の第二施療子とからなっている。なお、図に示している施療子は、二個の第一施療子1a,1bと、一個の第二施療子2とからなる。そして、本発明のマッサージ機7は、これら第一施療子1a,1b及び第二施療子2を互いに接近又は離反させる揉み駆動機構11を備えている。
【0020】
二個の第一施療子1a,1bは隣り合わせで並んで配設されており、第二施療子2はこれら第一施療子1a,1bと対向して設けられている。これにより、揉み駆動機構11が第一施療子1a,1b及び第二施療子2を互いに接近又は離反させる動作を行わせることによって、第一施療子1a,1bは人の手の親指以外の指(人差し指と中指)に見立てられるとともに、第二施療子2は親指に見立てられ、これら三個の施療子によって挟み揉みによるマッサージが可能となる。つまり人の手によるマッサージにより近似した好適なマッサージを行うことができる。また、第一施療子1a,1bと第二施療子2とは異なる大きさの略球形とされており、第一施療子1a,1bが第二施療子2よりも大きくされている。
【0021】
揉み駆動機構11について具体的に説明する。
揉み駆動機構11は、平らなプレート状の本体部分29aを有しているベース部材29を備えており、この本体部分29aから複数の突出部材20が突出して設けられている。図示している揉み駆動機構11では、前記施療子の数に対応して三本の突出部材20を備えている(図4参照)。各突出部材20はまっすぐな円柱部材とされており、基端部側がベース部材29に取り付けられている。
そして、この突出部材20の先端部側に前記第一施療子1a,1b及び第二施療子2の内の一つがそれぞれ揺動自在として枢着されている。これにより、突出部材20の突出方向が被施療者側へ向かう方向とされており、さらに、その突出方向(軸心方向)は、ベース部材29が有している平板状の本体部分29aの面に垂直な方向、すなわち、ベース部材29の法線方向(軸心C1方向)に平行な方向とされている。
【0022】
なお、図4と図5において、一対の第一施療子1a,1bはそれぞれ第一の固定部材17aの中央部に固定されており、この固定部材17aがその一端部において突出部材20bの先端部に揺動自在に枢着されている。そして、第二施療子2は第二の固定部材17bの中央部に固定されており、この固定部材17bがその一端部において突出部材20aの先端部に揺動自在に枢着されている。
【0023】
更に、揉み駆動機構11はプレート状(平板状)の移動ベース39を備えている。移動ベース39は前記ベース部材29と前記複数の施療子との間で被施療者側へ進退自在に設けられており、その方向に駆動される。この移動ベース39の進退駆動の方向は前記軸心C1に平行な方向とされており、進退駆動は、揉み駆動機構11が備えている駆動手段11aによって行われる。なお、前記突出部材20a,20bは移動ベース39をその板厚方向に貫通している(図5参照)。そして、移動ベース39が突出部材20a,20bにガイドされてスムーズに直線移動するように構成することができる。
【0024】
図6はこのマッサージ機7を背面側(施療子と反対側)から見た図であり、図7は前記駆動手段11aの一部を示した図である。図5と図6と図7において、前記駆動手段11aは、モータ41と、ベース部材29の背面に回転自在に支持されている回転軸42と、この回転軸42と一体回転するカム43とを有しており、モータ41の回転によって回転軸42及びカム43が回転駆動するように構成されている。そして、移動ベース39の裏面39a側に設けられた当接子44に、回転するカム43が接触することによって移動ベース39がベース部材29に対して接近離間する動作をし、これが移動ベース39の前記進退駆動となる。なお、モータ41と回転軸42との動力伝達はベルトによって行われている。また、前記モータ41をギヤードモータとするのが好ましい。
【0025】
図3と図4と図5において、更に、揉み駆動機構11は、移動ベース39と第二施療子2との間、及び、移動ベース39と第一施療子1a,1bとの間にそれぞれ設けられているリンク部材22a,22bを備えている。具体的に説明すると、第一施療子1a,1b側において、リンク部材22bは直線部材とされており、その一端部が移動ベース39の周縁部の一部に揺動自在に枢着されており、その他端部が第一施療子1a,1bのそれぞれを固定している固定部材17aの他端部に揺動自在に枢着されている。
また、第二施療子2側において、リンク部材22aは直線部材とされており、その一端部が移動ベース39側に揺動自在に枢着されており、その他端部が第二施療子2を固定している固定部材17bの他端部に揺動自在に枢着されている。なお、このリンク部材22aは、後述する回転リンク23に揺動自在に枢着されており、当該回転リンク23を介して移動ベース39に対して揺動自在とされている。
以上より、第一と第二の各施療子をそれぞれ固定している固定部材17b,17aは、ベース部材29から被施療者側に突出している突出部材20a,20bに揺動自在として枢着されているとともに、進退駆動する移動ベース39側のリンク部材22a,22bとも枢着されている。
【0026】
以上のように構成された揉み駆動機構11によれば、前記駆動手段11aによって移動ベース39が被施療者側に進退直線運動することができ、前記リンク部材22a,22bは、この移動ベース39の進退直線運動を第一施療子1a,1b及び第二施療子2の揺動運動に変換することができる。
さらに、この揉み駆動機構11によれば、一台の移動ベース39の進退駆動によって複数個の施療子を同時に揺動させることができ、これら施療子によって挟み揉みによるマッサージを行わせることができる。また、移動ベース39の進退運動をリンク部材22a,22bを介して各施療子の揺動運動に変換しているため、各施療子(固定部材17a,17b)の揺動軸心の方向を変更することによって、各施療子の揺動方向を任意にかつ簡単に設定できる。さらに、施療子の数を三個よりも増加させても共通の一台の移動ベース39から動力が得られるため、施療子の数が増えても構造の簡素化が可能となる。
さらに、各施療子は突出部材20a,20bとリンク部材22a,22bの双方に枢着された状態で支持され揺動運動を行う構造であり、前記駆動手段11aは歯車を有していないため、歯車を有している機構とは異なって歯車間のバックラッシュに伴う施療子の揺動範囲のずれが発生することを防ぐことができる。
【0027】
このマッサージ機7によって行われる挟み揉みによるマッサージ運動についてさらに説明する。図8は軸心C1方向に沿って施療子を見た図である。
図8において、複数個の第一施療子1a,1bによって施療子群が構成されており、揉み駆動機構11は、この施療子群と単一の第二施療子2とを互いに接近又は離反させるとともに、その接近又は離反運動に際して当該施療子群の内の第一施療子1a,1b同士も互いに接近又は離反させるように駆動する構造とされている。すなわち、施療子群と第二施療子2とが互いに接近又は離反すると同時に、複数個の第一施療子1a,1b同士が互いに接近又は離反するようにマッサージ機7は構成され、また、各施療子の揺動方向が設定されている。
また、図5と図8で示している軸心C1はベース部材29の本体部分29aの面に垂直な方向の直線であり、ベース部材29の中央部に設定されている。そして、第一施療子1a,1b及び第二施療子2は、この軸心C1を中心として当該軸心C1を周方向から囲むように配置されており、第一施療子1a,1b及び第二施療子2は揺動によって軸心C1に向かって接近し又はこの軸心C1から離れる揺動を行うことができるように構成されている。
【0028】
これについて図5と図8により具体的に説明すると、第一施療子1a,1bをそれぞれ取り付けている各固定部材17aにおいて、この固定部材17aとリンク部材22bとを枢着している枢着軸18が、当該固定部材17aと突出部材20bとを枢着している枢着軸19よりも、軸心C1から離れた位置とされており、図8に示しているように、例えば当該軸心C1から放射状に延びる直線上に両枢着軸18,19が存在する配置とすることができる。
さらに、第二施療子2を取り付けている固定部材17bにおいて、この固定部材17bとリンク部材22aとを枢着している枢着軸24が、当該固定部材17bと自転軸20aとを枢着している枢着軸25よりも、軸心C1から離れた位置とされており、図8に示しているように、例えば当該軸心C1から放射状に延びる直線上に両枢着軸24,25が存在する配置を取ることができる。
【0029】
すなわち、軸心C1の方向に沿って施療子を見た場合に、第一及び第二施療子のそれぞれは、当該軸心C1から放射状に延びる複数の直線上に配置されており、接近又は離反する動作方向が当該各直線上に沿った方向として見える。
または、前記枢着軸18,19及び前記枢着軸24,25が、軸心C1から放射状に延びる直線上に存在する配置以外であってもよい。すなわち、第一施療子1a,1bの動作方向が、第二施療子2側に対して接近又は離反する動作方向であり、また、第二施療子2の動作方向が、第一施療子1a,1b側に対して接近又は離反する動作方向であればよい。そして、軸心C1の方向に沿って施療子を見た場合において、第一施療子1aの動作方向の直線と、第一施療子1bの動作方向の直線とは、相互が交差する方向とできる。
この構成によれば、複数個の第一施療子1a,1bからなる施療子群と、単一の第二施療子2が接近又は離反して挟み揉みを行うに当たって、複数個の第一施療子1a,1b同士も互いに接近又は離反するので、被施療者に対して人の手によるマッサージにより近似した好適な挟み揉みによるマッサージを行うことができる。
または、軸心C1の方向に沿って施療子を見た場合において、第一施療子1aの動作方向の直線と、第一施療子1bの動作方向の直線とは、平行とすることもできる。
【0030】
さらに、図5において、揉み駆動機構11は、第二施療子2の接近又は離反のストロークが第一施療子1a,1bの同ストロークよりも大きくなるように駆動させる機能を有している。これは、第二施療子2の揺動角度が第一施療子1a,1bの揺動角度よりも大きくなるように構成することで実現できる。具体的には、第二施療子2側における第一の前記枢着軸24と第二の前記枢着軸25との間隔が、第一施療子1a,1b側のそれぞれにおける第一の前記枢着軸18と第二の前記枢着軸19との間隔よりも小さく設定されている。これにより、第一及び第二施療子を揺動させるための移動ベース39の進退ストロークが同じであっても、第一及び第二施療子のストロークが相違する。
以上より、親指に見立てられた第二施療子2のストロークが、親指以外の指に見立てられた第一施療子1a,1bのストロークよりも大きくなり、親指を大きく動かして行う人の手によるマッサージにより近いマッサージ感を達成することができる。
【0031】
さらに、本発明のマッサージ機7は、第一施療子1a,1b及び第二施療子2が互いに接近又は離反することによって挟み揉みによるマッサージ運動を行うように駆動する前記揉み駆動機構(第一駆動機構)11以外に、第二駆動機構12を備えている。この第二駆動機構12は、第二施療子2がこの接近又は離反以外のより複雑なマッサージ運動を行うように駆動する。
第二駆動機構12によって第二施療子2に行わせるこの複雑なマッサージ運動は、被施療者(人体)に対して第二施療子2を円軌道に沿って回転させる捏ね揉み動作とすることができる。具体的には、第二施療子2が先端部に取り付けられている突出部材20aは自転軸とされており、この捏ね揉み動作は、この自転軸20aの軸心C2(図5)回りの自転によって行われる運動から得られるものである。この構成によれば、捏ね揉み動作をさせるための構造が簡素化できる。なお、自転軸20aは前記突出部材であるため、当該自転軸20aは移動ベース39の進退方向に延びている部材であり、自転軸20aの軸心C2とベース部材29の軸心C1とは平行となる。
なお、第二施療子2の円軌道は、マッサージ機の基準軸心C1(軸線)と平行な軸線回りの場合と、当該基準軸心C1と交差する傾いた軸線回りの場合とがある。これは、後述するが、軸受(転がり軸受)23dの中心線を軸心C1に対して傾けた状態としているためである。そして、この円軌道を傾いた軸線回りとした場合、被施療者の身体に対する第二施療子2の距離を変化させることができるため、当該第二施療子2によるマッサージ力(押圧力)を変化させることができる。
【0032】
図5に示しているように、第二施療子2が枢着されているこの自転軸20aはベース部材29及び移動ベース39を貫通している。そして、自転軸20aは、ベース部材29及び移動ベース39のそれぞれに取り付けられた転がり軸受が介在してこれらに対して自転自在とされており、かつ、自転軸20aはベース部材29に軸心C2方向の移動が規制されて取り付けられている。なお、移動ベース39は自転軸20aに対して軸心C2方向へ移動自在とされている。
そして、自転軸20aの第二施療子2側と反対側である基端部には傘歯車45が固定されており、第二駆動機構12が有している傘歯車48に前記傘歯車45を噛合させ、第二駆動機構12が傘歯車48を回転駆動させることによって、自転軸20aを自転させることができる。すなわち、第二駆動機構12は自転軸20aを自転させる回転駆動機構となる。
【0033】
第二駆動機構12の構造をさらに説明すると、第二駆動機構12は、図5と図6において、モータ46と、ベース部材29の背面に回転自在に支持されている回転軸47とを有しており、前記傘歯車48がこの回転軸47と一体回転するように構成されている。したがって、モータ46の回転によって回転軸47及び傘歯車48が回転駆動することで、自転軸20aがその軸心C2(回転軸心)回りに自転し、自転軸20aの先端部側に固定部材17bを介して取り付けられている第二施療子2が、軸心C2を中心として回転する。なお、前記モータ46をギヤードモータとするのが好ましい。
【0034】
なお、第二施療子2を固定している固定部材17bは自転軸20aのみならず、前記のとおり移動ベース39側に揺動自在に取り付けられているリンク部材22aにも枢着されている。したがって、第二施療子2を軸心C2回りに回転させるために、移動ベース39上に回転自在とされている回転リンク23が設けられており、この回転リンク23にリンク部材22aが枢着されている。そして、これら回転リンク23とリンク部材22aとともに第二施療子2と自転軸20aが回転する。すなわち、回転リンク23は、移動ベース39と進退運動はともにするが、同移動ベース39に対して軸心C2を中心として相対回転可能となるように移動ベース39に連結されている。
回転リンク23についてさらに説明すると、自転軸20aを挿通している取付部23aと、リンク部材22aと枢着されている枢着部23bとを有している。取付部23aは円筒形状の部分23cを有しており、その内周面では自転軸20aと摺動自在であり、その外周面に軸受23d(転がり軸受)が外嵌している。そして、移動ベース39において、自転軸20aを挿通させる貫通孔の一部に軸受孔39bが形成されており、この軸受孔39b内に前記軸受23dを嵌入している。また、前記貫通孔の一部にスライドブッシュ39eが嵌入されており、このスライドブッシュ39eは自転軸20aに、当該自転軸20aが当該スライドブッシュ39aに対して摺動回転可能となるようにして、外嵌している。これにより、回転リンク23は自転軸20a(軸心C2)を中心として移動ベース39に対して回転自在となる。そして、自転軸20aに枢着されている第二施療子2(固定部材17b)と移動ベース39上に設けられた回転リンク23の枢着部23bとが、リンク部材22aで連動連結されている。
【0035】
以上によれば、固定部材17bとリンク部材22aとを介して自転軸20aと連結されている回転リンク23は、移動ベース39に対して相対回転可能となるように構成されているため、当該自転軸20aはその軸心C2回りに自転することができる。これにより、第二駆動機構12が第二施療子2を枢着している自転軸20aを自転させることができ、当該第二施療子2は回転動作し被施療者に対して捏ね揉みによるマッサージを行うことができる。
また、移動ベース39の進退駆動によって回転リンク23は当該移動ベース39とともに進退運動し、第二施療子2を固定している固定部材17bと回転リンク23とがリンク部材22aで連動連結されているため、第二施療子2を自転軸20aとの枢着軸心(枢着軸25)を中心として揺動させることができ、当該第二施療子2は第一施療子1a,1bとの共働きにより被施療者に対して挟み揉みによるマッサージを行うことができる。
【0036】
また、移動ベース39の軸受孔39bの軸心及び回転リンク23の円筒形状の部分23cの軸心は、軸心C2に対して傾斜する構造である。つまり、軸受23dの中心線を軸心C2及び軸心C1に対して傾けた状態としている。したがって、回転リンク23は、軸心C2に傾斜した軸線回りに回転することができる。これによれば、自転軸20aの回転によって、第二施療子2を軸心C2回りに回転させながら、第二施療子2とベース部材29との間の距離が変化することとなり、第二施療子2による被施療者に対する接触強さ(押圧強さ)が変化する。
【0037】
以上、第一駆動機構11と第二駆動機構12とによれば、第一施療子1a,1b及び第二施療子2は互いに接近又は離反する動作をし、さらに、第二施療子2がこの接近又は離反以外のより複雑なマッサージ運動、すなわち捏ね揉みによるマッサージ運動を行うことができる。したがって、このマッサージ機7は被施療者に対して変化に富んだマッサージが可能となる。
【0038】
さらに、このマッサージ機7は、第一施療子1a,1b及び第二施療子2の接近又は離反によって被施療者を挟み込む通常の揉み動作を行いながら、第二施療子2が被施療者に対して捏ね揉み動作をすることができるので、同じ患部に対して挟み揉み動作と捏ね揉み動作による複合的なマッサージを行うことができる。そして、マッサージ機7がこの複合的なマッサージを施療子に行わせるために、第一及び第二駆動機構11,12を同時に動作させる制御手段10を更に備えている(図9参照)。なお、図9は本発明のマッサージ機7が備えている機構の概略を示しているブロック図である。つまり、制御手段10は、第一及び第二駆動機構11,12が有しているモータ41,46(図6参照)のそれぞれに対して動作信号を与えることができる。
【0039】
挟み揉み動作のために、第一施療子1a,1bと第二施療子2との揺動の周期は同じとされており、その周期は2〜4秒に設定されるのが好ましい。また、第二施療子2による捏ね揉み動作の周期、すなわち回転周期は2〜4秒に設定されるのが好ましい。
そして、前記複合的なマッサージとして同じ患部に対して行う挟み揉み動作と捏ね揉み動作はいずれも揉み動作であるから、概ね同じ周期で動作させることが好ましい。具体的には、両者の周期は2〜4秒に設定されるのが好ましい。
【0040】
また、捏ね揉み動作における第二施療子2の回転動作において、自転軸20aを中心とする回転軌跡の直径は50mm〜60mm程度に設定されるのが好ましい。また、自転軸20aの軸心C2に対して傾斜して設けられている前記回転リンク23によって、第二施療子2を当該軸心C2方向に沿って移動させた場合の移動ストロークは5mm〜10mm程度に設定されるのが好ましい。
また、挟み揉み動作における第一及び第二施療子の揺動動作において、軸心C1に直交する方向の当該第一及び第二施療子の移動距離は、15mm〜25mmに設定されるのが好ましい。
【0041】
前記第二駆動機構12がさらに備えている機能について説明する。
上記のとおり第二駆動機構12が連続的に駆動することによって、第二施療子2を連続的に回転させ被施療者に対して捏ね揉みが可能となるが、この第二駆動機構12が有しているその他の機能としては、第二施療子2の第一施療子1a,1bに対する接近又は離反する方向を変化させる方向切り替え機構13としての機能がある。
【0042】
すなわち、この方向切り替え機構13は、第二施療子2が先端部に取り付けられた自転軸20aを自転させることによって、当該第二施療子2の接近又は離反する方向を変更させることができる。
この方向切り替え機構13による第二施療子2の動作を具体的に説明すると、図8の状態から自転軸20aをその軸心C2回りに所定角度θだけ反時計回りに回転させると、第二施療子2は二点差線によって示されている位置に変位する。これにより、第二施療子2の揺動方向は、図8の軸心C1に向かう左右方向から、一方側(図8の下側)の第一施療子1a側へ向かう斜め方向に変化する。この状態で自転軸20aを静止させ、第一駆動機構11が第一及び第二施療子に挟み揉み動作を行わせることで、異なる挟み揉み方向のマッサージが可能となる。
【0043】
このように、方向切り替え機構13を間欠的に動作させることで当該自転軸20aを所定角度ずつ自転させることができる。したがって、第二施療子2の揺動方向の向きを刻々と変化させることができ、第二施療子2の第一施療子1a,1bに対する接近又は離反する方向を変更することができる。これにより、このマッサージ機7は被施療者に対して変化に富んだマッサージが可能となる。さらに、第二施療子2の接近又は離反させる方向を変化させることによって、被施療者に対する第二施療子2の押圧度合いを微妙に変化させることが可能となる。これにより、人の手によるマッサージにより近似した好適なマッサージを行うことができる。そして、方向切り替え機構13をこの自転軸20aを用いて構成することによって、挟み揉みの方向の切り替えを簡単な構造によって実現できる。
【0044】
本発明のマッサージ機7が備えているさらに他の機構について説明する。
図3において、被施療者をマッサージするための施療子1a,1b,2が搭載されている前記ベース部材29は、それ自身が揺動することができるプレート状の可動ベースとされている。つまりこのマッサージ機7は、この可動ベース29を揺動自在に支持しているレベリング用の第一支持部材26を備えており、更に、この第一支持部材26を回転自在に支持しているローリング用の第二支持部材27を備えている。
【0045】
第一支持部材26は、可動ベース29をその面内方向の軸心C3回りに揺動自在に両端支持している。この面内方向の軸心C3は可動ベース29の表面上、裏面上又はこれらに平行な面上に存在している。
第二支持部材27は、この第一支持部材26を前記可動ベース29の法線方向の軸心回りに回転自在に支持している。なお、この法線方向の軸心が前記軸心C1とされている。
そして、マッサージ機7は、更に、可動ベース29を第一支持部材26に対して揺動させるためのレベリング駆動機構31と、第一支持部材26を第二支持部材27に対して回転させるためのローリング駆動機構32とを備えている。
【0046】
これらの構成を具体的に説明すると、可動ベース(前記ベース部材)29は円板状の本体部分29aを有しており、前記軸心C1がこの本体部分29aの中心において直交する方向に通っている。また、可動ベース29は、180°離れて対向するように本体部分29aに固定されている一対のフランジ部29bを有している。そして、この各フランジ部29bにおいて、可動ベース29は第一支持部材26に前記軸心C3を中心として揺動自在に取り付けられている。
【0047】
第一支持部材26は、軸心C1を中心として可動ベース29を内側に取り囲んでいる環状部材とされている。第一支持部材26の内周面側に180°離れて設けられた一対の取付部(図示せず)に、可動ベース29の前記一対のフランジ部29bが、軸心C3を中心線とするピン部材(図示せず)を介して取り付けられている。
第二支持部材27は、軸心C1を中心として第一支持部材26に外嵌している環状部材とされている。そして、第一支持部材26の外周部と第二支持部材27の内周部との間に形成されているガイド凹凸部(図示せず)によって、第一支持部材26は第二支持部材27に対して回転摺動自在とされている。そして、第二支持部材27はマッサージユニット8が備えているフレーム28にアーム部27aを介して取り付けられている。
これにより、施療子を搭載している可動ベース29は、当該可動ベース29の面内方向の軸心C3回りに揺動自在とされ、かつ、可動ベース29に直交する軸心C1回りに回転自在とされる。
【0048】
前記ローリング駆動機構32は、モータ33で回転駆動される円柱状の第一巻き掛け部材34と、この第一巻き掛け部材34と第一支持部材26との間に架設されているワイヤ35とを有している。そして、ワイヤ35は第一巻き掛け部材34の回転によって第一支持部材26を軸心C1回りに回転させることができる。モータ33と第一巻き掛け部材34側との動力伝達はベルトによって行われている。なお、モータ33と第一巻き掛け部材34とはマッサージユニット8のフレーム28側に、第一支持部材26側とは離れて取り付けられている。
そして、ワイヤ35は第一巻き掛け部材34から、第二支持部材27に形成されている一方の筒状のガイド部50a内を通って、第一支持部材26の外周面に形成された凹溝26bに軸心C1を中心とするように巻き掛けられ、他方の筒状のガイド部50b内を通り、前記第一巻き掛け部材34に巻き掛けられている。したがって、第一巻き掛け部材34が正回転又は逆回転することによって、ワイヤ35は第一支持部材26を軸心C1回りに一方向又は他方向へ回転駆動させることができる。
【0049】
前記レベリング駆動機構31は、モータ36で回転駆動される円柱状の第二巻き掛け部材37と、この第二巻き掛け部材37と可動ベース29との間に架設されているワイヤ38とを有している。そして、ワイヤ38は第二巻き掛け部材37の回転によって可動ベース29を軸心C3回りに揺動させることができる。モータ36と第二巻き掛け部材37側との動力伝達はベルトによって行われている。なお、モータ36と第二巻き掛け部材37とはマッサージユニット8のフレーム28側に、可動ベース29側とは離れて取り付けられている。
そして、ワイヤ38は第二巻き掛け部材37から、第一支持部材26に形成されている一方の筒状のガイド部49a内を通って、可動ベース29の一方のフランジ部29bの外周面に形成された凹溝29dに軸心C3を中心とするように巻き掛けられ、他方の筒状のガイド部49b内を通り、第二巻き掛け部材37に巻き掛けられている。したがって、第二巻き掛け部材37が所定角度について正回転又は逆回転することによって、ワイヤ38は可動ベース29を軸心C3回りに一方向又は他方向へ揺動させることができる。
【0050】
このように、可動ベース29の揺動及び可動ベース29を支持している第一支持部材26の回転を、ギアの組み合わせを用いることなくワイヤ35,38を採用しているため、次のような効果を奏することができる。例えば比較例として、図示しないがギアの組み合わせのみを用いて可動ベースを揺動させるギア駆動機構を採用した場合では、ギアの配置に制約があり、またギアの配置のための体積が大きくなる。しかし、ワイヤ35,38の採用によれば、第一巻き掛け部材34及び第二巻き掛け部材37と可動ベース29側との間隔などの相対的な位置をある程度自由に設定することができ、第一巻き掛け部材34及び第二巻き掛け部材37や、可動ベース29の配置の自由度が高まり、可動ベース29がフレーム28に対して動作することもできる。さらに、その動力伝達部のコンパクト化が図れる。
【0051】
そして、前記レベリング駆動機構31によれば、可動ベース29を第一支持部材26に対して揺動させることができ、被施療者に対して第一及び第二施療子の高さが変化するレベリング動作が可能となる。このレベリング動作による可動ベース29の軸心C3回りの揺動角度は、フレーム28に対して可動ベース29が水平となる状態(図3の状態)を基準とすると、一方へ10°〜20°揺動し、他方へ10°〜20°揺動することができる。
【0052】
また、前記ローリング駆動機構32によれば、第一支持部材26を第二支持部材27に対して回転させることができ、被施療者に対して第一及び第二施療子を回転させるローリング動作が可能となる。したがって、このマッサージ機7は、施療子を多様な方向へ移動させることができる。また、ローリング駆動機構32による可動ベース29の軸心C1回りの回転は、前記軸心C3とマッサージユニット8の移動方向とが平行である状態(図3の状態)を基準とすると、一方向へ180°回転させることができ、他方向へ180°回転させることができる。
そして、レベリング駆動機構31及びローリング駆動機構32は、図9に示しているように、制御手段10による制御によって動作することができる。つまり、制御手段10は、レベリング駆動機構31及びローリング駆動機構32が有しているモータ33,36のそれぞれに対して動作信号を与えることができる。
【0053】
なお、これらレベリング駆動機構31及びローリング駆動機構32によって、可動ベース29はマッサージユニット8のフレーム28に対して位置変化するように駆動されるが、この可動ベース29には複数個の施療子が搭載されており、これら施療子は上記のとおり、挟み揉み及び捏ね揉みによるマッサージ運動が可能とされている。
そこで、施療子に挟み揉みによるマッサージ運動をさせる揉み駆動機構としての前記第一駆動機構11と、可動ベース29との組み立て構造について説明すると、第一駆動機構11は可動ベース29に固定されている。
【0054】
具体的には、図5及び図6に示しているように、第一駆動機構11が備えているモータ41(ギヤードモータ)は、可動ベース29の裏面から突設されている環状の取付部材40aに固定されており、第一駆動機構11が備えている回転軸42は、可動ベース29の裏面から突設されている取付部材40b,40cに回転自在に両端支持されている。
これにより、第一及び第二施療子を搭載している可動ベース29は揺動したり、第一支持部材26とともに回転したりするが、この可動ベース29に第一駆動機構11が固定されているため、当該第一駆動機構11は可動ベース29とともにこれら動作をすることができる。
【0055】
第二施療子2に捏ね揉みによるマッサージ運動をさせる回転駆動機構としての前記第二駆動機構12と、可動ベース29との組み立て構造について説明すると、同様に、第二駆動機構12は可動ベース29に固定されている。
具体的には、図5及び図6に示しているように、第二駆動機構12が備えているモータ46(ギヤードモータ)は、可動ベース29の裏面から突設されている環状の取付部材40bに固定されており、第二駆動機構11が備えている回転軸47は、可動ベース29の裏面から突設されている取付部材40c,40dに回転自在に両端支持されている。これにより、第二駆動機構11は可動ベース29とともに揺動したり回転したりできる。
【0056】
そして、前記ローリング駆動機構32が有している機能としては、ベース部21に搭載されている第一施療子1a,1b及び第二施療子2に、ローリングマッサージを行わせる機能がある。なお、図3のベース部21は、可動ベース29とこれを支持している第一支持部材26とからなる。
このローリング駆動機構32は、このベース部21が両施療子の間に有している回転中心を通りかつ当該ベース部21を貫く方向に向く軸心C1回りに、当該ベース部21を連続的に回転させることで、被施療者に対して両施療子を軸心C1回りに回転させるローリングマッサージを行わせることができる。すなわち、モータ33を連続的に回転させることで実現できる。なお、ベース部21は一方向(時計回り方向)又は他方向(反時計回り方向)の回転駆動をすることができ、さらに、制御手段10の働きによって、これら方向が交互に切り替えられてローリングマッサージが行われるものであってもよい。
【0057】
また、前記ローリング駆動機構32が有しているその他の機能としては、ベース部21を貫く方向に向く軸心C1回りに当該ベース部21を回転させることで、第一及び第二施療子が接近または離反する挟み方向を調整する角度調整機構14としての機能がある。
この角度調整機構14は、ベース部21を軸心C1回りに所定角度について回転させることで、第一施療子1a,1bと第二施療子2との両者による挟み方向を変更することができ、所望の方向に調整することができる。
すなわち、モータ33を回転させ、ベース部21を所定角度だけ一方向又は他方向に回転させることで実現できる。なお、ベース部21の回転角度や回転方向は制御手段10からの制御信号によって制御される。
【0058】
また、このマッサージ機7によって行われるその他の動作としては、施療子を搭載している可動ベース29を、マッサージユニット8のフレーム28に対して揺動させる二つの動作がさらにある。
具体的には、図3において、可動ベース29を第一支持部材26を介して支持している第二支持部材27は、そのアーム部27aによって、フレーム28が有している第一フレーム28aに、フレーム28側から被施療者側へまっすぐな軸心C4回り揺動自在に支持されている。そして、この第二支持部材27を第一フレーム28aに対して揺動駆動させる駆動手段(図示せず)が、マッサージユニット8に搭載されている。これにより、マッサージユニット8の移動方向の仮想の直線を跨ぐ方向にマッサージ機7は揺動(旋回)することができる。これにより、マッサージユニット8のフレーム28の位置を変更しないで、マッサージ機7を変位させてマッサージ位置の変更が可能となる。なお、この揺動角度は、軸心C3とマッサージユニット8の移動方向とが平行である状態(図3の状態)を基準とすると、一方向へ20°〜40°揺動させることができ、他方向へ20°〜40°揺動させることができる。
【0059】
さらに、前記第一フレーム28aは、ローラ30が取り付けられている第二フレーム28bに、軸心C5回りに揺動自在に支持されている。軸心C5は、前記軸心C4及び前記マッサージユニット8の移動方向である仮想の直線に直交する方向とされている。そして、この第一フレーム28aを第二フレーム28bに対して揺動駆動させる駆動手段(図示せず)が、マッサージユニット8に搭載されている。これにより、第一及び第二施療子を搭載しているベース部21を被施療者に対して接近又は離反させることができ、当該第一及び第二施療子の被施療者に対する押圧度合いを調整することができる。すなわち、これにより指圧調整機構15を構成することができる。なお、この指圧調整機構15による両施療子の揺動角度は、フレーム28に対して可動ベース29が水平となる状態(図3の状態)を基準とすると、押し出し方向(被施療者側)へ20°〜40°揺動することができる。
【0060】
以上のように構成されたマッサージ機7を搭載しているマッサージユニット8によれば、コンパクトでありながら第一及び第二施療子に複雑なマッサージ動作を行わせることができる。さらに、本発明による施療子の配置、及び、その動作により、人の手によるマッサージにより近似した好適なマッサージを行うことができる。そして、椅子型マッサージ機の背もたれ部4内において(図1と図2参照)、マッサージユニット8を被施療者の身長方向に昇降移動させながら、マッサージ機7を各種動作させることができる。
【0061】
なお、本発明のマッサージ機は、図示する形態に限らずこの発明の範囲内において他の形態のものであっても良く、施療子を三個以上としてもよい。例えば第一施療子を四個として、単一の第二施療子とともに、五本指の人の手と見立てるように構成してもよい。
また、本発明の椅子型マッサージ機は、図1と図2に示した形態に限らずこの発明の範囲内において他の形態のものであっても良く、例えば、背もたれ部4が起立状態又は後方へ倒れた状態に揺動可能とされていたり、脚載せ部5が上下揺動可能とされていたりしてもよい。または、脚載せ部が無いものであってもよい。さらに、被施療者に対してマッサージを施すことができるマッサージ装置(前記マッサージ機7)を、背もたれ部4にのみ設けたものや、座部3についても設けたものであってもよい。または、マッサージ機7が背もたれ部4から座部3へ移動することができるものや、さらに、脚載せ部5まで移動することができるものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明のマッサージ機を搭載している椅子型マッサージ機の実施の一形態を示す後方からの斜視図である。
【図2】図1の側面図である。
【図3】本発明のマッサージ機を搭載しているマッサージユニットの実施の一形態を示す斜視図である。
【図4】マッサージ機の要部を示す斜視図である。
【図5】マッサージ機の断面側面図である。
【図6】マッサージ機を背面側から見た図である。
【図7】揉み駆動機構が有している駆動手段の一部を示した図である。
【図8】施療子を被施療者側から見た場合の図である。
【図9】本発明のマッサージ機が備えている機構の概略ブロック図である。
【符号の説明】
【0063】
1a,1b 第一施療子
2 第二施療子
3 座部
4 背もたれ部
5 脚載せ部
7 マッサージ機
8 マッサージユニット
11 揉み駆動機構(第一駆動機構)
11a 駆動手段
12 回転駆動機構(第二駆動機構)
20 突出部材
20a 回転軸
22a,22b リンク部材
26 第一支持部材
27 第二支持部材
29 ベース部材(可動ベース)
31 レベリング駆動機構
32 ローリング駆動機構
33 モータ
34 第一巻き掛け部材
35 ワイヤ
36 モータ
37 第二巻き掛け部材
38 ワイヤ
39 移動ベース
C1,C2,C3,C4,C5 軸心

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被施療者をマッサージするための施療子が搭載されたプレート状の可動ベースと、
この可動ベースをその面内方向の軸心回りに揺動自在に両端支持しているレベリング用の第一支持部材と、
この第一支持部材を前記可動ベースの法線方向の軸心回りに回転自在に支持しているローリング用の第二支持部材と、
前記可動ベースを前記第一支持部材に対して揺動させるためのレベリング駆動機構と、
前記第一支持部材を前記第二支持部材に対して回転させるためのローリング駆動機構と、を備えていることを特徴とするマッサージ機。
【請求項2】
前記ローリング駆動機構は、モータで回転駆動される第一巻き掛け部材と、この第一巻き掛け部材と前記第一支持部材との間に架設され前記第一巻き掛け部材の回転によって前記第一支持部材を回転させるワイヤとを有している請求項1に記載のマッサージ機。
【請求項3】
前記レベリング駆動機構は、モータで回転駆動される第二巻き掛け部材と、この第二巻き掛け部材と前記可動ベースとの間に架設され前記第二巻き掛け部材の回転によって前記可動ベースを揺動させるワイヤとを有している請求項1または2に記載のマッサージ機。
【請求項4】
前記施療子は複数個の第一施療子とこの第一施療子より少ない個数の第二施療子とからなり、前記第一及び第二施療子を互いに接近又は離反させる揉み駆動機構を更に備え、
この揉み駆動機構は前記可動ベースに固定されている請求項1〜3のいずれか一項に記載のマッサージ機。
【請求項5】
前記揉み駆動機構は、
前記可動ベースから前記法線方向の被施療者側へ突出し先端側に前記第一及び第二施療子の内の一つをそれぞれ揺動自在として枢着している複数の突出部材と、
前記可動ベースと前記第一及び第二施療子との間で前記法線方向に進退自在とされた移動ベースと、
この移動ベースを前記法線方向に進退駆動するための駆動手段と、
この移動ベースの進退運動を前記第一及び第二施療子の揺動運動に変換すべく当該移動ベースと当該第一及び第二施療子との間に設けられたリンク部材と、
を有している請求項4に記載のマッサージ機。
【請求項6】
前記第二施療子が枢着されている前記突出部材は前記可動ベースに対して自転自在に設けられ、当該突出部材を自転させるための回転駆動機構を更に備えている請求項5に記載のマッサージ機。
【請求項7】
前記回転駆動機構は前記可動ベースに固定されている請求項6に記載のマッサージ機。
【請求項8】
座部と、この座部の後部側に設けられた背もたれ部と、前記座部と前記背もたれ部の内の少なくとも一方に備えられたマッサージ装置と、を備え、
前記マッサージ装置が請求項1〜7のいずれか一項に記載のマッサージ機とされていることを特徴とする椅子型マッサージ機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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