説明

マッサージ機

【課題】高さが低く、使用しやすいマッサージ機を得る。
【解決手段】モータ18により回転駆動される歯車10,12をケース1に支持軸6,8を介して回転可能に支持すると共に、歯車10,12に偏芯カム14,16を一体的に形成する。また、ケース1に移動台22,24を支持軸6,8と直交方向に摺動可能に支持し、移動台22,24と偏芯カム14,16とを係合させ、移動台22に指圧子50,70を設けた。指圧子50,70は移動台22,24に支持軸6,8と平行方向に摺動可能に支持されると共に、指圧子50,70を突出方向に付勢する付勢部材56,72を設けた。移動台22,24は、ケース1を挟んで摺動可能に支持された上下移動台22a,22b,24a,24bを有し、指圧子50,70内に発熱体58,68を配置した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円運動する指圧子を備えたマッサージ機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、特許文献1にあるように、ケースに一対のベアリングを介して被駆動軸が回転可能に支持され、両ベアリングの間の被駆動軸には歯車が装着されて、モータにより回転駆動されるように構成されたマッサージ機が知られている。また、このマッサージ機では、被駆動軸の先端はケースの外部に突出されると共に、「く」字状に屈曲されて、その先端に揉み玉が嵌着され、被駆動軸の回転により揉み玉が円運動するようにしている。
【特許文献1】特開平7−328088
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、こうした従来のものでは、被駆動軸が「く」字状に屈曲しているので、ケース底面から揉み玉の先端までの高さが高く、マッサージ機が大型化するという問題があった。例えば、マッサージ機を椅子の背もたれに立てかけて、背中にマッサージを受けようとすると、マッサージ機の高さが高いために、椅子の座面の面積が小さくなり、椅子に腰掛け難く、マッサージを受け難い場合があるという問題があった。また、床にマッサージ機を置いて、マッサージ機に背中を当てるようにして、仰向けに横たわると、揉み玉の位置が床から高い位置にあり、身体が弓なりに大きく反ってしまい、この場合も、マッサージを受け難い場合があるという問題があった。
【0004】
本発明の課題は、高さが低く、使用しやすいマッサージ機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる課題を達成すべく、本発明は課題を解決するため次の手段を取った。即ち、
円運動する指圧子を備えたマッサージ機において、
モータにより回転駆動される歯車をケースに支持軸を介して回転可能に支持すると共に、前記歯車に偏芯カムを一体的に形成し、かつ、前記ケースに移動台を前記支持軸と直交方向に摺動可能に支持し、前記移動台と前記偏芯カムとを係合させ、前記移動台に前記指圧子を設けたことを特徴とするマッサージ機がそれである。
【0006】
前記指圧子は前記移動台に前記支持軸と平行方向に摺動可能に支持されると共に、前記指圧子を突出方向に付勢する付勢部材を備えた構成としてもよい。また、前記移動台は、前記ケースを挟んで摺動可能に支持された上下移動台を有する構成としてもよい。あるいは、前記指圧子内に発熱体を配置した構成としてもよい。更に、前記指圧子、前記歯車、前記移動台をそれぞれ左右対称に一対有すると共に、一対の前記移動台に装着した規制軸により、一対の前記移動台の回転を規制した構成としてもよい。また、一対の前記指圧子の間隔を調整可能な調整機構を備えた構成としてもよい。
【発明の効果】
【0007】
本発明のマッサージ機は、歯車に偏芯カムを一体に形成し、移動台をケースに摺動可能に支持し、移動台を偏芯カムに係合させ、移動台に指圧子を設けたので、扁平な形状に形成でき、高さが低く、使用しやすいという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1に示すように、1はケースで、ケース1は下ケース2と上ケース4とを備え、上下ケース2,4を重ね合わせて、内部が中空状に形成されている。ケース1内には、一対の支持軸6,8の両端が上下ケース2,4に装着された状態で、上下ケース2,4に挟まれて支持されている。
【0009】
支持軸6,8にはそれぞれ歯車10,12が回転可能に支持されている。両歯車10,12は歯数が同一で、互いに噛合されると共に、歯車10,12には偏芯カム14,16が一体的に形成されている。本実施形態では、偏芯カム14,16は、円柱状のカムで、支持軸6,8の中心に対して、偏芯して設けられており、両偏芯カム14,16は互いに逆方向に偏芯されて、左右対称となるように設けられている。尚、偏芯カム14,16は、円柱状に限らず、溝カム等でもよい。また、支持軸6,8と歯車10,12とを一体に形成してもよい。
【0010】
ケース1内には、モータ18が収納されており、モータ18の回転を一方の歯車10に伝達する歯車機構20が、図2に示すように、ケース1内に設けられている。本実施形態では、歯車機構20は、ウォームホイール歯車と複数の平歯車とを備えた多段で減速する機構である。
【0011】
図1に示すように、上ケース4の上側には平坦部4aが設けられており、平坦部4aには、一対の移動台22,24が摺動可能に配置されている。一対の移動台22,24はそれぞれ上下移動台22a,22b,24a,24bを備え、上移動台22a,24aは上ケース4の平坦部4aの表側に設けられ、下移動台22b,24bは上ケース4の平坦部4aの裏側に設けられている。
【0012】
図3に示すように、上下移動台22a,22bは上ケース4の平坦部4aを挟むように配置されると共に、平坦部4aに形成された4個の貫通孔26(一部のみ図示する)に貫入された連結部28により、上下移動台22a,22bが連結されている。また、上下移動台22a,22bと平坦部4aとの間には、図示しない薄いシートが設けられて、上下移動台22a,22bが平坦部4aに沿って滑らかに摺動できるように構成されている。
【0013】
下移動台22bには、支持軸6の軸方向と平行な円筒部30が形成されており、円筒部30の内周には偏芯カム14が挿入されて、下移動台22bと偏芯カム14とが係合されている。下移動台22bには、図2に示すように、2本の規制棒31a,31bが固定されており、規制棒31a,31bは他方の下移動台24bに向けて突き出されている。規制棒31a,31bは、他方の下移動台24bに摺動可能に挿入されており、規制棒31a,31bの先端は、連結部材33に固定されている。
【0014】
上移動台22a上には、調整台32が載置されており、調整台32は、図3及び図4に示すように、その両側が上移動台22aに形成された溝34(一方のみ図示する)に挿入されて、調整台32が上移動台22a上を摺動できるように構成されている。また、調整台32には、溝34と直交方向に移動可能な係止爪36が移動可能に装着されている。係止爪36はばね38により調整台32から突出する方向に付勢されており、係止爪36の先端は溝34に沿って形成された複数の貫通孔40のいずれかに挿入できるように構成されている。本実施形態では、調整台32、係止爪36、ばね38、貫通孔40により調整機構42が形成されている。
【0015】
調整台32には、筒部44が立設されており、筒部44には摺動軸46が摺動可能に挿入されると共に、摺動軸46の下端に螺着されたビス48により抜け止めが図られている。摺動軸46の上端には、指圧子50が固定されており、指圧子50は摺動軸46に固定されたベース部材52とベース部材52に被着されたキャップ部材54とを備えている。
【0016】
ベース部材52と調整台32との間には、コイルばねを用いた付勢部材56が介装されて、指圧子50を突出方向に付勢している。また、キャップ部材54の内側で、ベース部材52とキャップ部材54との間にはPTCサーミスタを用いた発熱体58が介装されている。尚、調整台32には、ベース部材52の外周を取り囲むように、円筒状の保護部材60が立設されている。
【0017】
他方の移動台24についても、前述した移動台22と同様の構成であり、下移動台24bには偏芯カム16に係合される円筒部62が設けられている。上移動台24aについても同様に、調整台64、摺動軸66、内部に発熱体68が設けられた指圧子70、付勢部材72が設けられている。これら、一対の歯車10,12、移動台22,24、指圧子50,70等は、左右対称となるように配置されている。
【0018】
次に、前述したマッサージ機の作動について説明する。
まず、モータ18が回転駆動されると、歯車機構20を介して一方の歯車10が回転され、これに伴って、他方の歯車12は逆方向に回転される。両歯車10,12の回転により、両偏芯カム14,16も支持軸6,8の廻りに回転し、偏芯カム14,16と係合している円筒部30,62を介して両下移動台22b,24bが円運動をする。
【0019】
その際、規制棒31a,31bにより、両下移動台22b,24bの回転は規制される。即ち、両下移動台22b,24bの円運動に伴って、他方の下移動台24bは、規制棒31a,31bに沿って摺動するが、両下移動台22b,24bの回転は規制される。
【0020】
両下移動台22b,24bの円運動と共に、両調整台32,64、摺動軸46,66、指圧子50,70も円運動をする。マッサージ機を椅子の背もたれに立てかけて、あるいは、床の上に置いて、指圧子50,70を背中の患部に当てることにより、快適なマッサージを受けることができる。
【0021】
両指圧子50,70は、逆方向に円運動すると共に、指圧子50,70に作用する押圧力に応じて、付勢部材56,72が弾性変形し、摺動軸46,66が筒部44内を摺動して、指圧子50,70が患部に接触した状態で下降する。押圧力が弱くなると、付勢部材56,72の弾性力により、指圧子50,70が患部に接触した状態で上昇する。
【0022】
従って、指圧子50,70は、円運動すると共に上下動し、3次元運動を行なうので、複雑な動きとなり、単純な運動のマッサージに対する馴れを招くことなく、快適なマッサージを受けることができる。
【0023】
また、マッサージ機は、歯車10,12に偏芯カム14,16を一体に形成し、移動台22,24を上ケース4の平坦部4aに摺動可能に支持し、移動台22,24を偏芯カム14,16に係合させ、移動台22,24に指圧子50,70を設けたので、扁平な形状に形成でき、ケース1の底面から、指圧子50,70の先端までの高さが低く、マッサージ機を椅子の背もたれに立てかけて使用しても、椅子に深く腰掛けて快適なマッサージを受けることができ、また、マッサージ機を床面に置いて使用しても、身体が大きく弓なりに反ることがなく、快適なマッサージを受けることができる。
【0024】
調整機構42を備えているので、係止爪36を摺動させて、貫通孔40から先端を引き抜き、調整台32,64を溝34に沿って移動して、再び係止爪36の先端を貫通孔40に挿入することにより、両指圧子50,70の間隔を調整できる。従って、使用者の患部に適した間隔に調整でき、快適なマッサージを受けることができる。
【0025】
以上本発明はこの様な実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様で実施し得る。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施形態としてのマッサージ機の断面図である。
【図2】図1のAA断面図である。
【図3】本実施形態のマッサージ機のケースを二点鎖線で示した要部拡大断面図である。
【図4】図3のBB断面図である。
【図5】図3のCC断面図である。
【符号の説明】
【0027】
1…ケース 2…下ケース
4…上ケース 4a…平坦部
6,8…支持軸 10,12…歯車
14,16…偏芯カム 22,24…移動台
22a,24a…上移動台
22b,24b…下移動台
31a,31b…規制棒
32,64…調整台 36…係止爪
42…調整機構 46,66…摺動軸
50,70…指圧子 56,72…付勢部材
58,68…発熱体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円運動する指圧子を備えたマッサージ機において、
モータにより回転駆動される歯車をケースに支持軸を介して回転可能に支持すると共に、前記歯車に偏芯カムを一体的に形成し、かつ、前記ケースに移動台を前記支持軸と直交方向に摺動可能に支持し、前記移動台と前記偏芯カムとを係合させ、前記移動台に前記指圧子を設けたことを特徴とするマッサージ機。
【請求項2】
前記指圧子は前記移動台に前記支持軸と平行方向に摺動可能に支持されると共に、前記指圧子を突出方向に付勢する付勢部材を備えたことを特徴とする請求項1に記載のマッサージ機。
【請求項3】
前記移動台は、前記ケースを挟んで摺動可能に支持された上下移動台を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のマッサージ機。
【請求項4】
前記指圧子内に発熱体を配置したことを特徴とする請求項1ないし請求項3に記載のマッサージ機。
【請求項5】
前記指圧子、前記歯車、前記移動台をそれぞれ左右対称に一対有すると共に、一対の前記移動台に装着した規制軸により、一対の前記移動台の回転を規制したことを特徴とする請求項1ないし請求項4に記載のマッサージ機。
【請求項6】
一対の前記指圧子の間隔を調整可能な調整機構を備えたことを特徴とする請求項5に記載のマッサージ機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−198310(P2006−198310A)
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−15574(P2005−15574)
【出願日】平成17年1月24日(2005.1.24)
【出願人】(000145091)株式会社寺西電機製作所 (9)
【Fターム(参考)】