マッサージ機
【課題】 リンク部と叩きクランク軸との間の摩擦を確実に且つ長期的に低減させることで、快適な叩き性能を発揮することのできるマッサージ機を提供する。
【解決手段】 施療子を有するアームブロックと、偏心回転駆動される叩きクランク軸と、アームブロックと叩きクランク軸とを連結させてアームブロックに叩き動作を行わせるリンク部45とを具備するマッサージ機において、上記リンク部45の叩きクランク軸が嵌入する筒型連結体50内に、叩きクランク軸と接触するようにフェルト或いは含油フェルトから成るグリス保持部材80を組み込む。
【解決手段】 施療子を有するアームブロックと、偏心回転駆動される叩きクランク軸と、アームブロックと叩きクランク軸とを連結させてアームブロックに叩き動作を行わせるリンク部45とを具備するマッサージ機において、上記リンク部45の叩きクランク軸が嵌入する筒型連結体50内に、叩きクランク軸と接触するようにフェルト或いは含油フェルトから成るグリス保持部材80を組み込む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、施療子を有するアームブロックを駆動させてマッサージを行うマッサージ機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、施療子を有するアームブロックを駆動させることで被施療者に叩き等の各種マッサージを行うマッサージ機が知られている(例えば引用文献1参照)。
【0003】
上記マッサージ機は叩き機構として、偏心回転駆動される叩きクランク軸と、アームブロックと叩きクランク軸とを連結させてアームブロックに叩き動作を行わせるリンク部とを具備する構造であり、リンク部と叩きクランク軸との間の摩擦によって施療子が円滑に叩き駆動されなくなるという弊害を防止するために、叩きクランク軸にグリスを塗布しておくことが通常である。
【0004】
そして上記弊害を更に確実に防止する対策としては、叩きクランク軸の表面粗さやこれに塗布するグリスの種類を適宜設定することで、叩きクランク軸とリンク部との間の摩擦力を低下させることが行われていたが、やはり充分な対策とは言えないものであった。
【特許文献1】特開2004−229760号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記問題点に鑑みて発明したものであって、リンク部と叩きクランク軸との間の摩擦を確実に且つ長期的に低減させることで、快適な叩き性能を発揮することのできるマッサージ機を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明を、施療子を有するアームブロックと、偏心回転駆動される叩きクランク軸と、アームブロックと叩きクランク軸とを連結させてアームブロックに叩き動作を行わせるリンク部とを具備するマッサージ機であって、上記リンク部の叩きクランク軸が嵌入する筒型連結体内に、叩きクランク軸と接触するようにフェルト或いは含油フェルトから成るグリス保持部材を組み込んで成るものとする。
【0007】
このような構成とすることで、叩きクランク軸に付着させてあるグリスが上記筒型連結体内のグリス保持部材に保持され、グリスの安定潤滑が長期的に維持されることとなる。したがって、リンク部と叩きクランク軸との間の摩擦を確実に且つ長期的に低減させ、快適な叩き性能を発揮させることが可能である。
【0008】
また、上記マッサージ機にあっては、リンク部の筒型連結体の端部内周面を段部を介して大径に形成するとともに、筒型連結体の端部に装着されて該段部との間でグリス保持部材を保持するホルダを備えることが好適である。このようにすることで、グリス保持部材を筒型連結体内に組み込む作業が容易となり、組立性が向上するものである。
【0009】
更に、上記段部を筒型連結体の両端側に形成するとともに上記ホルダを両端側に備えることで、筒型連結体の両端部にグリス保持部材を組み込むことも好適である。このようにすることで、グリス切れを更に確実に防止して、グリスの安定潤滑を長期的に維持することが可能である。
【0010】
また、グリス保持部材の内周面に切欠を設けることも好適である。このようにすることでグリス保持部材の寸法のばらつきを上記切欠に吸収させ、このグリス保持部材と叩きクランク軸とを一定圧力で接触させることが可能となる。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、リンク部と叩きクランク軸との間の摩擦を確実に且つ長期的に低減させることで、快適な叩き性能を発揮することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基いて説明する。図7には、本発明の実施形態における一例のマッサージ機を示している。本例のマッサージ機は椅子式マッサージ機であって、左右一対のアームブロック1を組み込んである可動ユニット2(図4〜図6参照)を背凭れ部90内にて上下方向に走行駆動させるとともに、可動ユニット2内に組み込んであるアームブロック1を左右方向の軸中心に回動させることで該アームブロック1が有する施療子1a,1bの前方への突出量を変化させ、更に、アームブロック1が有する上記施療子1a,1bの左右方向位置を変更させるものである。そして施療子1a,1bの上記3方向の位置変更動作を組み合わせることで、所要の動作軌跡を施療子1a,1bに描かせることが可能である。
【0013】
図4〜図6には可動ユニット2を示している。可動ユニット2は、左右一対のギアプレート(図示せず)間に幅送りねじ31、一対のスライド軸32、叩きクランク軸41を架設するとともに、アームブロック1(図中には一方のアームブロック1のみを示している)を左右一対取り付けたものある。可動ユニット2における一方のギアプレート上には、叩き駆動用モータ(図示せず)が取り付けられており、この叩き駆動用モータの出力がプーリやベルト(図示せず)を介して上記叩きクランク軸41にまで伝達されてこれを偏心回転駆動する構造である。なお、上記叩きクランク軸41は左右で偏心方向を相違させている。
【0014】
アームブロック1は、施療子支持部材としてのアームベースプレート10と、叩き板11、第1アーム13、第2アーム14、ローラ型の上下一対の施療子1a,1b等から成るもので、アームベースプレート10は上記幅送りねじ31のねじ部に螺合する送りナット部33と、上記各スライド軸32とスライド自在に嵌合する一対のスライダー34とを備えて、幅送りねじ31の回転駆動に伴って幅送りねじ31及びスライド軸32上の軸方向位置を変化させる。そして、幅送りねじ31のねじ部は片側が逆ねじで形成されていることから、左右一対のアームブロック1における各アームベースプレート10は、幅送りねじ31の回転によって、互いに接近したり離れたりするものである。
【0015】
上記叩き板11は支軸Nにてアームベースプレート10に軸着され、叩き板11に第1アーム13と第2アーム14とが支軸Kによって軸着されている。また、叩き板11に設けた支軸Mと叩きクランク軸41とが、リンク部45によって連結されている。なお、対をなす他方のアームブロック1は図示のアームブロック1の対称形となっている。
【0016】
上下に並ぶ一対の施療子1a,1b間の距離を変更させる施療子間隔駆動部は、エアによって伸縮動作を行うエアバッグA1で構成されている。このエアバックA1は、一方の受け板20が第1アーム13に、他方の受け板20が第2アーム14に夫々固定されている。更にアームブロック1には、上記エアバックA1と同様の構造から成るエアバックA2(図中の想像線)を、その一方の受け板20を叩き駆動用のリンク部45上に固定するとともに、他方の受け板20を第1アーム13に固定させて設けている。
【0017】
次に、上記構成の椅子式マッサージ機内の可動ユニット2の動作について説明する。まず、可動ユニット2と一体に備えてある幅駆動用モータによって幅送りねじ31を回転駆動させると、前述のように左右一対のアームブロック1,1は幅方向(左右方向)において接近離反し、可動ユニット2内の左右の施療子1a,1bの間隔を変更する。
【0018】
そして、同じく可動ユニット2と一体に備えてある叩き駆動用モータ(図示せず)で叩きクランク軸41を回転駆動させると、リンク部45が叩き板11を支軸Nを中心として前後方向に揺動させ、叩き板11にアーム13,14を介して取り付けられた施療子1a,1bは、前後に細かく動く叩き動作を行うこととなる。
【0019】
また、エアバックA1を伸張させたならば、アームブロック1の第2アーム14が支軸Kを中心に回動することで各アーム13,14に設けられた施療子1a,1bは相互に接近する。逆に施療子1a,1bを近接した状態から相互に離間させる場合には、エアバッグA1を排気させればよい。
【0020】
エアバックA2を伸張させたならば、アームブロック1における第1アーム13と第2アーム14との叩き板11を介して揺動自在な範囲が実質的に狭められるものであり、エアバックA2を最も伸張させた時には上記揺動の範囲が実質的に略ゼロとなり、近接する施療子1a,1bによる掴み動作時にあってはより確実な掴みマッサージを得ることができる。
【0021】
次に、上記構成のマッサージ機のリンク部45について図1〜図3に基づいて詳述する。リンク部45は、叩きクランク軸41が嵌入するように両端の開口した筒型に形成してある筒型連結体50と、叩き板11の支軸Mが嵌入する連結孔51を貫設してある支軸連結体52と、両連結体50,52を繋ぐ支持体53とを一体に形成したものである。
【0022】
上記筒型連結体50は、その軸方向の両端部E1,E2を除く主体部E3の内周面60に軸受54を配するとともに、この主体部E3の内周面60と両端部E1,E2の内周面61との間に段部55を形成し、両端部E1,E2の内周面61が主体部E3の内周面60よりも大径となるように設けている。
【0023】
そして上記筒型連結体50の両端部E1,E2には、それぞれの軸方向外側からホルダ70が装着されるようになっている。上記ホルダ70は、叩きクランク軸41が貫通する貫通孔71を中央に有するリング状の部材であって、その内周面にリング状を成すグリス保持部材80を圧入させたうえで、その外周面を筒型連結体50の端部E1(E2)の内周面61に軸方向外側から圧入させるようになっている。上記ホルダ70の軸方向外側の端部からは、径方向の内側及び外側に向けて鍔部72を延設させており、ホルダ70及びグリス保持部材80を上記の如く圧入した状態で、筒型連結体50の段部55とホルダ70の鍔部72との間にグリス保持部材80が挟持状態で保持されるとともに、このグリス保持部材80の内周面が、筒型連結体50内に嵌入される叩きクランク軸41の外表面と接触するように保持されるものである。
【0024】
上記グリス保持部材80はフェルト或いは含油フェルトから成る部材であり、叩きクランク軸41の外表面に付着させてあるグリスをこのグリス保持部材80内にて保持することで、該グリスによる安定潤滑が長期的に維持される。即ち上記グリス保持部材80は、リンク部45と叩きクランク軸41との間の摩擦を確実に且つ長期的に低減させ、これにより快適な叩きマッサージを可能とするものである。
【0025】
なお上記の如く、筒型連結体50の段部55を両端側に形成するとともに上記ホルダ70を両端側に装着させ、グリス保持部材80を筒型連結体50の両端部E1,E2に組み込む構造としてあるので、リンク部45の筒型連結体50とこれを貫通する叩きクランク軸41との間グリスは、更に安定的に維持されるようになっている。
【0026】
またリング状を成すグリス保持部材80の内周面には、図3に示すような切欠81を周方向に等間隔を隔てた複数箇所(図示例では3箇所)に凹設している。この切欠81により、ホルダ70の内周面に圧入されるグリス保持部材80の径方向寸法のばらつきを吸収し、叩きクランク軸41の外表面にグリス保持部材80が全面に亘り一定圧力で接触することを可能としている。
【0027】
更に本例のマッサージ機にあっては、上記筒型連結体50と同様のグリス保持部材(図示せず)を、スライド軸32が嵌入されるスライダー34内にも同様の構造により組み込んでいる。即ち、上記スライダー34は両端の貫通した筒型を成すものであり、スライダー34内に組み込まれるグリス保持部材がスライド軸32の外表面と常時接触することで、スライド軸32の外表面に付着させてあるグリスをこのグリス保持部材に保持させ、該グリスによる安定潤滑を長期的に維持するものである。
【0028】
なお、本発明は上記構成のマッサージ機に限定されるものではなく、アームブロック1やリンク部45、叩きクランク軸41等の各構成が本発明の主旨を逸脱しない範囲内で適宜設計変更可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施形態における一例のマッサージ機内の可動ユニットに組み込まれるリンク部の分解斜視図である。
【図2】同上のリンク部を示しており、(a)は側面図、(b)は(a)のX−X線断面図である。
【図3】同上のリンク部内に組み込まれるグリス保持部の正面図である。
【図4】同上の可動ユニットの主要部を示す斜視図である。
【図5】同上の可動ユニットの主要部を示す正面図である。
【図6】同上の可動ユニットの主要部を示す側面図である。
【図7】同上のマッサージ機全体を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0030】
1 アームブロック
1a 施療子
1b 施療子
41 叩きクランク軸
45 リンク部
50 筒型連結体
55 段部
61 内周面
70 ホルダ
80 グリス保持部
81 切欠
E1 端部
E2 端部
【技術分野】
【0001】
本発明は、施療子を有するアームブロックを駆動させてマッサージを行うマッサージ機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、施療子を有するアームブロックを駆動させることで被施療者に叩き等の各種マッサージを行うマッサージ機が知られている(例えば引用文献1参照)。
【0003】
上記マッサージ機は叩き機構として、偏心回転駆動される叩きクランク軸と、アームブロックと叩きクランク軸とを連結させてアームブロックに叩き動作を行わせるリンク部とを具備する構造であり、リンク部と叩きクランク軸との間の摩擦によって施療子が円滑に叩き駆動されなくなるという弊害を防止するために、叩きクランク軸にグリスを塗布しておくことが通常である。
【0004】
そして上記弊害を更に確実に防止する対策としては、叩きクランク軸の表面粗さやこれに塗布するグリスの種類を適宜設定することで、叩きクランク軸とリンク部との間の摩擦力を低下させることが行われていたが、やはり充分な対策とは言えないものであった。
【特許文献1】特開2004−229760号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記問題点に鑑みて発明したものであって、リンク部と叩きクランク軸との間の摩擦を確実に且つ長期的に低減させることで、快適な叩き性能を発揮することのできるマッサージ機を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明を、施療子を有するアームブロックと、偏心回転駆動される叩きクランク軸と、アームブロックと叩きクランク軸とを連結させてアームブロックに叩き動作を行わせるリンク部とを具備するマッサージ機であって、上記リンク部の叩きクランク軸が嵌入する筒型連結体内に、叩きクランク軸と接触するようにフェルト或いは含油フェルトから成るグリス保持部材を組み込んで成るものとする。
【0007】
このような構成とすることで、叩きクランク軸に付着させてあるグリスが上記筒型連結体内のグリス保持部材に保持され、グリスの安定潤滑が長期的に維持されることとなる。したがって、リンク部と叩きクランク軸との間の摩擦を確実に且つ長期的に低減させ、快適な叩き性能を発揮させることが可能である。
【0008】
また、上記マッサージ機にあっては、リンク部の筒型連結体の端部内周面を段部を介して大径に形成するとともに、筒型連結体の端部に装着されて該段部との間でグリス保持部材を保持するホルダを備えることが好適である。このようにすることで、グリス保持部材を筒型連結体内に組み込む作業が容易となり、組立性が向上するものである。
【0009】
更に、上記段部を筒型連結体の両端側に形成するとともに上記ホルダを両端側に備えることで、筒型連結体の両端部にグリス保持部材を組み込むことも好適である。このようにすることで、グリス切れを更に確実に防止して、グリスの安定潤滑を長期的に維持することが可能である。
【0010】
また、グリス保持部材の内周面に切欠を設けることも好適である。このようにすることでグリス保持部材の寸法のばらつきを上記切欠に吸収させ、このグリス保持部材と叩きクランク軸とを一定圧力で接触させることが可能となる。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、リンク部と叩きクランク軸との間の摩擦を確実に且つ長期的に低減させることで、快適な叩き性能を発揮することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基いて説明する。図7には、本発明の実施形態における一例のマッサージ機を示している。本例のマッサージ機は椅子式マッサージ機であって、左右一対のアームブロック1を組み込んである可動ユニット2(図4〜図6参照)を背凭れ部90内にて上下方向に走行駆動させるとともに、可動ユニット2内に組み込んであるアームブロック1を左右方向の軸中心に回動させることで該アームブロック1が有する施療子1a,1bの前方への突出量を変化させ、更に、アームブロック1が有する上記施療子1a,1bの左右方向位置を変更させるものである。そして施療子1a,1bの上記3方向の位置変更動作を組み合わせることで、所要の動作軌跡を施療子1a,1bに描かせることが可能である。
【0013】
図4〜図6には可動ユニット2を示している。可動ユニット2は、左右一対のギアプレート(図示せず)間に幅送りねじ31、一対のスライド軸32、叩きクランク軸41を架設するとともに、アームブロック1(図中には一方のアームブロック1のみを示している)を左右一対取り付けたものある。可動ユニット2における一方のギアプレート上には、叩き駆動用モータ(図示せず)が取り付けられており、この叩き駆動用モータの出力がプーリやベルト(図示せず)を介して上記叩きクランク軸41にまで伝達されてこれを偏心回転駆動する構造である。なお、上記叩きクランク軸41は左右で偏心方向を相違させている。
【0014】
アームブロック1は、施療子支持部材としてのアームベースプレート10と、叩き板11、第1アーム13、第2アーム14、ローラ型の上下一対の施療子1a,1b等から成るもので、アームベースプレート10は上記幅送りねじ31のねじ部に螺合する送りナット部33と、上記各スライド軸32とスライド自在に嵌合する一対のスライダー34とを備えて、幅送りねじ31の回転駆動に伴って幅送りねじ31及びスライド軸32上の軸方向位置を変化させる。そして、幅送りねじ31のねじ部は片側が逆ねじで形成されていることから、左右一対のアームブロック1における各アームベースプレート10は、幅送りねじ31の回転によって、互いに接近したり離れたりするものである。
【0015】
上記叩き板11は支軸Nにてアームベースプレート10に軸着され、叩き板11に第1アーム13と第2アーム14とが支軸Kによって軸着されている。また、叩き板11に設けた支軸Mと叩きクランク軸41とが、リンク部45によって連結されている。なお、対をなす他方のアームブロック1は図示のアームブロック1の対称形となっている。
【0016】
上下に並ぶ一対の施療子1a,1b間の距離を変更させる施療子間隔駆動部は、エアによって伸縮動作を行うエアバッグA1で構成されている。このエアバックA1は、一方の受け板20が第1アーム13に、他方の受け板20が第2アーム14に夫々固定されている。更にアームブロック1には、上記エアバックA1と同様の構造から成るエアバックA2(図中の想像線)を、その一方の受け板20を叩き駆動用のリンク部45上に固定するとともに、他方の受け板20を第1アーム13に固定させて設けている。
【0017】
次に、上記構成の椅子式マッサージ機内の可動ユニット2の動作について説明する。まず、可動ユニット2と一体に備えてある幅駆動用モータによって幅送りねじ31を回転駆動させると、前述のように左右一対のアームブロック1,1は幅方向(左右方向)において接近離反し、可動ユニット2内の左右の施療子1a,1bの間隔を変更する。
【0018】
そして、同じく可動ユニット2と一体に備えてある叩き駆動用モータ(図示せず)で叩きクランク軸41を回転駆動させると、リンク部45が叩き板11を支軸Nを中心として前後方向に揺動させ、叩き板11にアーム13,14を介して取り付けられた施療子1a,1bは、前後に細かく動く叩き動作を行うこととなる。
【0019】
また、エアバックA1を伸張させたならば、アームブロック1の第2アーム14が支軸Kを中心に回動することで各アーム13,14に設けられた施療子1a,1bは相互に接近する。逆に施療子1a,1bを近接した状態から相互に離間させる場合には、エアバッグA1を排気させればよい。
【0020】
エアバックA2を伸張させたならば、アームブロック1における第1アーム13と第2アーム14との叩き板11を介して揺動自在な範囲が実質的に狭められるものであり、エアバックA2を最も伸張させた時には上記揺動の範囲が実質的に略ゼロとなり、近接する施療子1a,1bによる掴み動作時にあってはより確実な掴みマッサージを得ることができる。
【0021】
次に、上記構成のマッサージ機のリンク部45について図1〜図3に基づいて詳述する。リンク部45は、叩きクランク軸41が嵌入するように両端の開口した筒型に形成してある筒型連結体50と、叩き板11の支軸Mが嵌入する連結孔51を貫設してある支軸連結体52と、両連結体50,52を繋ぐ支持体53とを一体に形成したものである。
【0022】
上記筒型連結体50は、その軸方向の両端部E1,E2を除く主体部E3の内周面60に軸受54を配するとともに、この主体部E3の内周面60と両端部E1,E2の内周面61との間に段部55を形成し、両端部E1,E2の内周面61が主体部E3の内周面60よりも大径となるように設けている。
【0023】
そして上記筒型連結体50の両端部E1,E2には、それぞれの軸方向外側からホルダ70が装着されるようになっている。上記ホルダ70は、叩きクランク軸41が貫通する貫通孔71を中央に有するリング状の部材であって、その内周面にリング状を成すグリス保持部材80を圧入させたうえで、その外周面を筒型連結体50の端部E1(E2)の内周面61に軸方向外側から圧入させるようになっている。上記ホルダ70の軸方向外側の端部からは、径方向の内側及び外側に向けて鍔部72を延設させており、ホルダ70及びグリス保持部材80を上記の如く圧入した状態で、筒型連結体50の段部55とホルダ70の鍔部72との間にグリス保持部材80が挟持状態で保持されるとともに、このグリス保持部材80の内周面が、筒型連結体50内に嵌入される叩きクランク軸41の外表面と接触するように保持されるものである。
【0024】
上記グリス保持部材80はフェルト或いは含油フェルトから成る部材であり、叩きクランク軸41の外表面に付着させてあるグリスをこのグリス保持部材80内にて保持することで、該グリスによる安定潤滑が長期的に維持される。即ち上記グリス保持部材80は、リンク部45と叩きクランク軸41との間の摩擦を確実に且つ長期的に低減させ、これにより快適な叩きマッサージを可能とするものである。
【0025】
なお上記の如く、筒型連結体50の段部55を両端側に形成するとともに上記ホルダ70を両端側に装着させ、グリス保持部材80を筒型連結体50の両端部E1,E2に組み込む構造としてあるので、リンク部45の筒型連結体50とこれを貫通する叩きクランク軸41との間グリスは、更に安定的に維持されるようになっている。
【0026】
またリング状を成すグリス保持部材80の内周面には、図3に示すような切欠81を周方向に等間隔を隔てた複数箇所(図示例では3箇所)に凹設している。この切欠81により、ホルダ70の内周面に圧入されるグリス保持部材80の径方向寸法のばらつきを吸収し、叩きクランク軸41の外表面にグリス保持部材80が全面に亘り一定圧力で接触することを可能としている。
【0027】
更に本例のマッサージ機にあっては、上記筒型連結体50と同様のグリス保持部材(図示せず)を、スライド軸32が嵌入されるスライダー34内にも同様の構造により組み込んでいる。即ち、上記スライダー34は両端の貫通した筒型を成すものであり、スライダー34内に組み込まれるグリス保持部材がスライド軸32の外表面と常時接触することで、スライド軸32の外表面に付着させてあるグリスをこのグリス保持部材に保持させ、該グリスによる安定潤滑を長期的に維持するものである。
【0028】
なお、本発明は上記構成のマッサージ機に限定されるものではなく、アームブロック1やリンク部45、叩きクランク軸41等の各構成が本発明の主旨を逸脱しない範囲内で適宜設計変更可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施形態における一例のマッサージ機内の可動ユニットに組み込まれるリンク部の分解斜視図である。
【図2】同上のリンク部を示しており、(a)は側面図、(b)は(a)のX−X線断面図である。
【図3】同上のリンク部内に組み込まれるグリス保持部の正面図である。
【図4】同上の可動ユニットの主要部を示す斜視図である。
【図5】同上の可動ユニットの主要部を示す正面図である。
【図6】同上の可動ユニットの主要部を示す側面図である。
【図7】同上のマッサージ機全体を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0030】
1 アームブロック
1a 施療子
1b 施療子
41 叩きクランク軸
45 リンク部
50 筒型連結体
55 段部
61 内周面
70 ホルダ
80 グリス保持部
81 切欠
E1 端部
E2 端部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
施療子を有するアームブロックと、偏心回転駆動される叩きクランク軸と、アームブロックと叩きクランク軸とを連結させてアームブロックに叩き動作を行わせるリンク部とを具備するマッサージ機であって、上記リンク部の叩きクランク軸が嵌入する筒型連結体内に、叩きクランク軸と接触するようにフェルト或いは含油フェルトから成るグリス保持部材を組み込んで成ることを特徴とするマッサージ機。
【請求項2】
リンク部の筒型連結体の端部内周面を段部を介して大径に形成するとともに、筒型連結体の端部に装着されて該段部との間でグリス保持部材を保持するホルダを備えることを特徴とする請求項1に記載のマッサージ機。
【請求項3】
上記段部を筒型連結体の両端側に形成するとともに上記ホルダを両端側に備えることで、筒型連結体の両端部にグリス保持部材を組み込んで成ることを特徴とする請求項2に記載のマッサージ機。
【請求項4】
グリス保持部材の内周面に切欠を設けることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のマッサージ機。
【請求項1】
施療子を有するアームブロックと、偏心回転駆動される叩きクランク軸と、アームブロックと叩きクランク軸とを連結させてアームブロックに叩き動作を行わせるリンク部とを具備するマッサージ機であって、上記リンク部の叩きクランク軸が嵌入する筒型連結体内に、叩きクランク軸と接触するようにフェルト或いは含油フェルトから成るグリス保持部材を組み込んで成ることを特徴とするマッサージ機。
【請求項2】
リンク部の筒型連結体の端部内周面を段部を介して大径に形成するとともに、筒型連結体の端部に装着されて該段部との間でグリス保持部材を保持するホルダを備えることを特徴とする請求項1に記載のマッサージ機。
【請求項3】
上記段部を筒型連結体の両端側に形成するとともに上記ホルダを両端側に備えることで、筒型連結体の両端部にグリス保持部材を組み込んで成ることを特徴とする請求項2に記載のマッサージ機。
【請求項4】
グリス保持部材の内周面に切欠を設けることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のマッサージ機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【公開番号】特開2007−117321(P2007−117321A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−312024(P2005−312024)
【出願日】平成17年10月26日(2005.10.26)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年10月26日(2005.10.26)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
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