マッサージ機
【課題】動作するマッサージ部の切り替わりと音響信号の変化とを関連付けてマッサージ効果を高める。
【解決手段】 マッサージ動作を行う複数のマッサージ部5と、前記マッサージ部5を制御する制御部12と、を備え、前記制御部12は、音響信号の変化に基づいて、複数のマッサージ部のうち動作状態とする前記マッサージ部5を選択する。
【解決手段】 マッサージ動作を行う複数のマッサージ部5と、前記マッサージ部5を制御する制御部12と、を備え、前記制御部12は、音響信号の変化に基づいて、複数のマッサージ部のうち動作状態とする前記マッサージ部5を選択する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マッサージ機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、音響信号に基づいてマッサージを行うマッサージ機を開示している。
特許文献1は、空気袋と、該空気袋に対して給気及び排気を行う給排気装置と、該給排気装置の動作を制御する制御装置とを備え、音響信号に基づいて制御信号を生成し、生成した制御信号によって給排気装置の動作を制御する空気マッサージ機を開示している。
【0003】
特許文献1に記載の空気マッサージ機は、複数の空気袋を備えており、ロータリバルブによって空気が供給される空気袋が順次切り替えられるように構成されている。
【特許文献1】特開2003−79687号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の空気マッサージ機では、空気が供給される空気袋(エアセル)が音響信号の変化とは無関係に切り替えられるため、膨張する空気袋の切り替わりと音楽のリズムとは無関係であった。
【0005】
そこで、本発明は、動作するマッサージ部の切り替わりと音響信号の変化とを関連付けてマッサージ効果を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、マッサージ動作を行う複数のマッサージ部と、前記マッサージ部を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、音響信号の変化に基づいて、複数のマッサージ部のうち動作状態とする前記マッサージ部を選択することを特徴とするマッサージ機である。
本発明によれば、音響信号の変化に基づいて、複数のマッサージ部のうち動作状態となるマッサージ部が選択されるため、使用者は動作するマッサージ部の変化からも音響信号の変化を感じることができ、音響信号とマッサージ関連性を高めることができる。
なお、前記動作制御信号は、音響信号の信号レベルがしきい値を超えた場合に生成される信号であるのが好ましい。
【0007】
前記制御部は、音響信号の変化に基づいて前記マッサージ部の動作制御信号を生成する動作制御信号生成部と、動作制御信号が生成される毎に、複数のマッサージ部のうち動作状態とする前記マッサージ部を選択する選択部と、を備えているのが好ましい。
【0008】
前記選択部は、動作状態とするマッサージ部を選択するための複数の選択ルールのうちの1つの選択ルールによって動作状態とするマッサージ部を選択するのが好ましい。
【0009】
前記複数のマッサージ部の動作に同期して点滅する発光手段を備えているのが好ましい。この場合、音響信号の変化を、マッサージ部による刺激として体感できるだけでなく、目で光として感じることもでき、より高い癒し効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、音響信号の変化に基づいて、複数のマッサージ部のうち動作状態となるマッサージ部が選択されるため、使用者は動作するマッサージ部の変化からも音響信号の変化を感じることができ、音響信号とマッサージ関連性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すマッサージ機1は、座部2及び背もたれ部3を備えた椅子型マッサージ機として構成されている。なお、脚を載せるフットレストを座部2の前部に備えていてもよい。また、マッサージ機1は、マッサージ機1への各種操作を行う操作装置4を備えている。
【0012】
背もたれ部3には、複数のマッサージ部5とスピーカ6が備わっている。本実施形態のマッサージ部5は、マッサージアクチュエータとして、空気の給排気によって膨張収縮して使用者の身体を押圧するエアセル5A−1,5A−2,5B−1,5B−2,5C−15C−2,5D−1,5D−2が採用されている。なお、マッサージ部5は、背もたれ部3以外に、座部2に設けても良い。また、使用者の脚又は腕をマッサージするマッサージ部をフットレストや肘掛けに備えても良い。
【0013】
図2に示すように、マッサージ機1は、CD、MD、DVD、ハードディスク等の記録媒体に記録された音響信号(楽曲信号)を再生するための楽曲再生器8を備えている。なお、楽曲再生器8は、操作装置4と一体的に設けても良いし、操作装置4とは別に設けても良い。なお、音響信号は、マッサージ機に備わった楽曲再生器8から得るのではなく、マッサージ機1に設けられた外部入力端子に接続された音源装置(オーディオ装置、マイク等)から得ても良い。
【0014】
楽曲再生器8から出力された音響信号(アナログ信号又はデジタル信号)は、遅延装置10及び制御回路(制御部)12に与えられる。遅延装置10は、制御回路12における音響信号処理の際に生じる遅延(例えば,60msec)分に応じて、楽曲再生器8の音響信号を遅延させて、スピーカ6に出力するものである。この遅延により、スピーカから出力される音とマッサージ動作の時間的ズレとを解消することができる。
【0015】
音響信号が入力される制御回路12は、音響信号に基づいてマッサージ動作制御信号を生成するものである。
また、制御回路12は、前記操作装置4と接続されている。操作装置4は、マッサージ機への操作を行う操作部と、マッサージ機の状態等を表示する表示部とを備えている。
図3に示すように、操作装置4は、操作部として、電源スイッチ4a、感度調節スイッチ4b、動作モード切替スイッチ4c、周波数域切替スイッチ4d、給気時間(マッサージ動作時間)切替スイッチ4iを備えている。
また、操作装置4は、表示部として、電源ランプ4e、判定ランプ4f、給気ランプ4g−A,4g−B,4g−C,4g−D、液晶表示部4hを備えている。
【0016】
電源スイッチ4aは、マッサージ機1の電源スイッチであり、これをONにすると電源ランプ4eが点灯する。
感度調節スイッチ4bは、後述の増幅器121による音響信号の増幅度合いを調節するためのものであり、「低い」にすると音響信号の信号レベルが全体的に小さくなって、マッサージ動作数が減り、「高い」にすると音響信号の信号レベルが全体的に高くなって、マッサージ動作数が増える。
【0017】
また、判定ランプ4fは、音響信号の適切さの判定をする電圧レベル判定回路121aによる判定結果を表示するものであり、青色、黄色、赤色の各色の表示が行える。青色が表示されている場合、マッサージ動作ができる程度に大きい信号レベルの音響信号が入力されており、適正な音響信号であることを示す。黄色が表示されている場合、音響信号が入力されているが信号レベル(電圧)が低いためマッサージ動作が適切に行えないことを示している。黄色が表示された場合には、感度調節スイッチ4bを操作(「高い」側へ操作)して、判定ランプ4fを青色にすればよい。なお、赤色が表示されている場合は、音響信号が入力されていないことを示す。
【0018】
動作モード切替スイッチ4cは、マッサージの動作モードを切替選択するためのものである。動作モードとしては、動作するマッサージ部5の選択ルールが異なるものが複数用意されており、具体的には「ランダム」モード、「レベル」モード、「順」モード、「SKIP」モードが用意されている。動作モード切替スイッチ4cの状態は、コンピュータ130に入力される。各モードの詳細については後述する。
【0019】
周波数域切替スイッチ4dは、後述の周波数フィルタ122中の複数のフィルタのうちの1つを選択するためのものであり、感知する音の周波数を調整することができる。例えば、低音域にするとドラム音などの低音に反応したマッサージ動作が得られ、高音域にすると幅広い周波数に反応したマッサージ動作が得られる。
【0020】
給気時間切替スイッチ4iは、後述の第1マッサージ動作時間制御信号生成部131又は第2マッサージ動作時間制御信号生成部132において生成されるマッサージ動作時間制御信号の時間長さ(マッサージ動作時間)を調整するためのものである。マッサージ動作時間を調整することで、エアセルへの給気時間が長くなり、より強い押圧マッサージが行える。
【0021】
給気ランプ4g−A,4g−B,4g−C,4g−Dは、給気されているエアセル(動作しているマッサージ部)を表示するためのものであり、液晶表示部4hは、マッサージ機の操作に関連した各種表示が行われる。
【0022】
制御回路12が生成したマッサージ動作制御信号は、エアアクチュエータ5であるエアセルの駆動回路14に与えられる。図4に示すように、駆動回路14は、マッサージ動作制御信号(High信号)が入力されると、スイッチング素子(トランジスタ)14aがON状態となって、駆動電源電力Vによって電磁弁(切替弁)SVのソレノイドを励磁して給気状態に切り替えるものである。一方、駆動回路14に、マッサージ動作制御信号が入力されていないとき(駆動回路への入力がLowであるとき)は、スイッチング素子14aはOFF状態となって、電磁弁SVが排気状態(図4の状態)となる。
【0023】
なお、エアセル5を動作させるための空気回路は、エアポンプ等からなる空気圧源(空気供給源)16(必要であればアキュムレータを具備したもの)及び前記電磁弁SVを具備しており、電磁弁SVを供給状態にすれば、空気圧源16から空気がエアセル5に供給されて、エアセル5が膨張して、使用者を押圧する。一方、電磁弁SVのソレノイドが消磁して排気状態になると、エアセル5内の空気が排気(大気へ排気)されて、エアセル5が収縮する。
【0024】
図1に示すように、本実施形態では、エアセル5は、左右に対をなす2個のエアセルが縦方向に4組配置され、計8個設けられている。対をなす2個のエアセルに対し、1つの共通した電磁弁によって給排気切替が行われる(図1,4,5参照)。
【0025】
なお、以下では、エアセルの組を、背もたれ部2の上から順に、第1エアセル群5A(エアセル5A−1,5A−2の組)、第2エアセル群5B(エアセル5B−1,5B−2の組)、第3エアセル群5C(エアセル5C−1,5C−2の組)、第4エアセル群5D(エアセル5D−1,5D−2の組)という(図5参照)。
また、第1エアセル群5Aの給排切替を行う電磁弁を第1電磁弁SV−A、第2エアセル群5Bの給排切替を行う電磁弁を第2電磁弁SV−B、第3エアセル群5Cの給排切替を行う電磁弁を第3電磁弁SV−C、第4エアセル群5Dの給排切替を行う電磁弁を第4電磁弁SV−Dという(図5参照)。
さらに、第1電磁弁SV−Aの駆動回路を第1駆動回路14A、第2電磁弁SV−Bの駆動回路を第2駆動回路14B、第3電磁弁SV−Cの駆動回路を第3駆動回路14C、第4電磁弁SV−Cの駆動回路を第4駆動回路14Dという(図5参照)。
【0026】
図5及び図6に基づき、制御回路12の詳細について説明する。制御回路12は、入力された音響信号の増幅を行う増幅器121、音響信号のうち低音域を取り出すための周波数フィルタ(アクティブフィルタ)122、音響信号を整流する整流部123、音響信号の信号レベルの第1しきい値(Lowしきい値)を設定する第1しきい値設定部124、音響信号の信号レベルの第2しきい値(Highしきい値)を設定する第2しきい値設定部125、第1しきい値を超えた場合にパルスを生成する第1パルス発生部126、第2しきい値を超えた場合にパルスを生成する第2パルス発生部第127、第1パルス発生部126によって発生したパルスをラッチする第1ラッチ部128、第2パルス発生部127によって発生したパルスをラッチする第2ラッチ部129、各種処理を行うコンピュータ130、第1マッサージ動作制御信号を生成する第1マッサージ動作制御信号生成部131、第2マッサージ動作制御信号を生成する第2マッサージ動作制御信号生成部132、マッサージ動作制御信号を与える駆動回路14A〜14D(マッサージ部5)を選択する選択回路(選択部)133等を有している。
【0027】
前記増幅器121は、音響信号の増幅度を調整自在とされており、音源によって異なる音響信号の信号レベル(電圧)に応じて増幅度を調整することにより、適切にマッサージ開始制御信号ないしマッサージ動作制御信号を生成することができる。なお、増幅度の調整は、操作装置4の感度調節スイッチ4bを操作することによって行える。
【0028】
周波数フィルタ122は、ローパスフィルタによって構成されており、音響信号(音楽信号)のリズムを構成する低音域を検出するためのものである。周波数フィルタ122は、カットオフ周波数を調整することができる。すなわち、周波数フィルタ122は、カットオフ周波数が約20Hz、50Hz、100Hz、200Hzのローパスフィルタを備えており、操作装置4の周波数域切替スイッチ4dを操作することによって、フィルタを選択することができる。カットオフ周波数を下げると、低音域だけに追従したマッサージ動作が得られ、カットオフ周波数を挙げると、比較的高音域にも追従したマッサージ動作を得ることができる。
【0029】
整流部123は、音響信号を半波整流するためのものであり、ダイオードによって構成されている。
第1及び第2しきい値設定部124,125は、それぞれ、可変抵抗によって構成されており、Low側しいき値及びHigh側しきい値を調整自在に構成されている。
【0030】
第1パルス発生部126は、入力された音響信号が、第1しきい値設定部124によって設定されたLow側しきい値を超えたことを検出するとパルスを発生するコンパレータ(比較器)によって構成されている。
第2パルス発生部127は、入力された音響信号が、第2しきい値設定部125によって設定されたHigh側しきい値を超えたことを検出するとパルスを発生するコンパレータ(比較器)によって構成されている。
【0031】
本実施形態では、音響信号が所定のしきい値を超えた場合を、マッサージ動作が開始する状態としており、各パルス発生部126,127によって発生するパルスが発生しているときは、音響信号がマッサージ開始状態になったことを示している。すなわち、パルス発生部126,127によって発生するパルスが、マッサージ開始制御信号となっている。
ただし、各パルス発生部126,127によって発生するパルスは、音響信号の信号レベルが極めて頻繁に変化することから、短時間にON/OFFを繰り返す振動的なパルスとなる(図7(b)(c)参照)。
【0032】
第1及び第2ラッチ部128,129は、音響信号の信号レベルの変化に応じて頻繁に変化する第1及び第2パルス発生部126,127の出力を、それぞれラッチするためのものでありDフリップフロップによって構成されている。ラッチ部128,129は、パルス発生部126,127によって発生するパルスが振動的であることから、パルス発生部126,127において一旦、パルスが発生すれば、コンピュータ130によってラッチ部出力がリセットされるまで、出力のHigh状態を維持する(図7(d)(e)参照、詳細は後述)。
ラッチ部128,129によってパルスのHigh状態を維持することで振動的なパルスが安定的なパルスとなり、音響信号がマッサージ開始状態になったことを、コンピュータ130が検出し易くなる。
【0033】
コンピュータ130は、8bitマイクロコンピュータによって構成されており、図示しないメモリに格納されたコンピュータプログラムによって、各種処理を行う。コンピュータ130は、例えば、ラッチ部128,129の出力に基づき、音響信号がしきい値(Low側しきい値、High側しきい値)を超えているか否かの判定処理を行い、音響信号のレベル(HighかLowか)に応じた信号を出力する(図7(f)(g)参照)。
より具体的には、コンピュータ130は、音響信号がLow側しきい値未満、音響信号がLow側しきい値以上でHigh側しきい値未満、音響信号がHigh側しきい値以上、のいずれであるかを判定する。コンピュータ130は判定の結果、音響信号がLow側しきい値以上でHigh側しきい値未満であればLow判定信号を出力し、音響信号がHigh側しきい値以上であればHigh判定信号を出力する。
【0034】
第1マッサージ動作制御信号生成部131は、パルス長を外付け抵抗及びコンデンサによって調整できるワンショットマルチバイブレータ(74LS123)によって構成されている。この第1マッサージ動作制御信号生成部131に、コンピュータ130からLow判定信号が与えられると、パルス長(時間長さ)が第1パルス長(例えば、0.08[s])に設定された第1マッサージ動作制御信号が発生する(図7(i)参照)。
第2マッサージ動作制御信号生成部132も、パルス長を外付け抵抗及びコンデンサによって調整できるワンショットマルチバイブレータ(74LS123)によって構成されている。この第2マッサージ動作制御信号生成部132に、コンピュータ130からHigh判定信号が与えられると、パルス長(時間長さ)が第2パルス長(例えば、0.12[s])に設定された第2マッサージ動作制御信号が発生する(図7(h)参照)。
なお、マッサージ動作制御信号生成部131,132のパルス長は、給気時間切替スイッチ4iによって、その長さを調整自在である。
【0035】
両マッサージ動作制御信号の時間長さが異なることで、音響信号の信号レベルに応じて、エアセルへの給気時間(マッサージ動作時間)を異ならせることができる。すなわち、音響信号の信号レベルが比較的低い場合(Low)には、エアセルへの給気時間が比較的短く、音響信号の信号レベルが比較的高い場合(High)には、エアセルへの給気時間が比較的長くなる。
この結果、音響信号の信号レベルが比較的低い場合には、弱い押圧マッサージが発生し、音響信号の信号レベルが比較的高い場合には、強い押圧マッサージが発生する。
なお、エアセル5は、1つのマッサージ動作制御信号によるマッサージ動作時間(0.12[s]又は0.08[s])中における空気の供給でほぼ完全な膨張状態が得られるように、従来のマッサージ用エアセルに比べて小さく形成されている。
【0036】
選択回路133は、コンピュータ130から出力される選択信号(詳細は後述)に基づいて、発生した第1マッサージ動作制御信号又は第2マッサージ動作制御信号を、いずれの駆動回路14A〜14Dに与えるかの選択を行う。選択回路133によって選択された駆動回路14A〜14Dには、前記第1マッサージ動作制御信号又は第2マッサージ動作制御信号が与えられ、各動作制御信号のパルス長に応じた時間ほど、選択された電磁弁SV−A〜SV−Dが給気状態に切り替わり、選択されたエアセル群5−A〜5−Dが膨張動作する。
【0037】
以下、図7も参照しつつ、音響信号に基づくマッサージ動作制御処理の流れを説明する。まず、電源スイッチ4aをONにし、動作モード切替スイッチ4cにて動作モードを選択し、楽曲再生器8にて音響信号を発生させる。また、必要に応じて、感度調節スイッチ4b、周波数域切替スイッチ4dにて調節を行う。
楽曲再生器8から制御回路12に音響信号が与えられると、増幅器121にて信号増幅が行われる。そして、周波数フィルタ122によって、増幅された音響信号から低周波数域の信号が抽出され、楽曲のリズム部分の信号等が取り出される。
【0038】
フィルタリングが施された音響信号は整流部123によって半波整流される。半波整流された音響信号を図7(a)に示す。図7(a)は、図6の(a)点の波形である。
また、図7(a)には、第1しきい値設定部124によって設定されたLow側しきい値と、第2しきい値設定部125によって設定されたHigh側しきい値も示している。
【0039】
図7(a)の音響信号は、第1及び第2パルス発生部126,127に入力される。
まず、図7(a)の音響信号のうちW1の部分が入力された場合について説明する。図7(b)に示すように、第1パルス発生部126では、音響信号のW1の部分がLow側しきい値を超えている間がHighで、Low側しきい値未満のきはLowとなるパルスを発生する。なお、図7(b)は、図6の(b)点の波形である。
また、図7(c)に示すように、第2パルス発生部127では、音響信号のW1の部分がHigh側しきい値を超えている間がHighで、High側しきい値未満のときはLowとなるパルスを発生する。なお、図7(c)は、図6の(c)点の波形である。
【0040】
前述のように、本実施形態では、音響信号がしきい値を超えた状態にあるときをマッサージ開始状態としており、図7(b)(c)においてパルスが振動的であうことから明らかなように、音響信号は、マッサージ開始状態になった直後に、非マッサージ開始状態となってしまうことが頻繁に起こることがわかる。
【0041】
第1ラッチ部128の出力がLowの状態で、図7(b)のパルスが第1ラッチ部128に入力されると、第1ラッチ部128の出力は、Highにラッチされる(図7(d)参照;図7(d)は図6の(d)点の波形)。
また、第2ラッチ部129の出力がLowの状態で、図7(c)のパルスが第2ラッチ部129に入力されると、第2ラッチ部129の出力は、Highにラッチされる(図7(e)参照;図7(e)は図6の(e)点の波形)。
【0042】
コンピュータ130の第1入力部P1は第1ラッチ部128の出力に、コンピュータの第2入力部P2は第2ラッチ部129の出力に接続されており、第1入力部P1及び第2入力部P2への入力信号に基づき、音響信号の信号レベル判定処理を行う。
信号レベル判定処理は、まず、第2入力部P2への入力信号がHighであるか、すなわち、音響信号の信号レベルがhigh側しきい値を超えているか否かを判定し、第2入力部P2の入力信号がHighであれば、High判定信号を出力する。
もし、第2入力部P2への入力信号がLowであれば、続いて、第1入力部P1への入力信号がHighであるか、すなわち、音響信号の信号レベルがLow側しきい値を超えているか否かを判定し、第1入力部の入力信号がHighであれば、Low判定信号を出力する。
もし、第1入力部P1への入力信号もLowであれば、なにも出力しない。
【0043】
ここでは、音響信号のW1の部分に関しては、第2入力部P2への入力信号がHighであるため、コンピュータ130は、High判定信号出力部P6からHigh判定信号を出力する(図7(f)参照;図7(f)は図6の(f)点の波形)。
コンピュータ130からHigh判定信号(パルス)が出力されると、第2マッサージ動作制御信号生成部132は、当該High判定信号の立ち上がりをワンショットトリガとして、パルス長が0.12[s]の第2マッサージ動作制御信号を生成する(図7(h)参照;図7(h)は図6の(h)点の波形)。
第2マッサージ動作制御信号は、OR回路135を介して選択回路133に与えられ、選択回路133によって選択された駆動回路14A〜14Dを動作させる。なお、OR回路の出力を図7(j)に示す。図7(j)は、図6の(j)点の波形である。
この結果、音響信号の比較的信号レベルの高いW1の部分に対応して、0.12[s]の間続く第2マッサージ動作制御信号が生成され、選択されたエアセル群5A〜5Dが0.12[s]の間膨張して使用者を押圧する。そして、第2マッサージ動作制御信号が終了すると、膨張したエアセルは収縮する。
【0044】
さらに、コンピュータ130は、前記OR回路の出力(第1マッサージ動作制御信号と第2マッサージ動作制御信号の論理和をとったもの)を受け付け、第1ラッチ部128及び第2ラッチ部129の出力をリセットする(Lowにする)ためのリセット(RS)信号発生処理を行う。
リセット信号は、前記OR回路の出力の立ち下がり(第1マッサージ動作制御信号の立ち下がり、又は第2マッサージ動作制御信号の立ち下がり)をトリガとし、当該トリガから所定時間Dほど遅延して発生する(図7(k)参照;図7(k)は、図6の(k)点の波形)。
【0045】
リセット信号が、マッサージ動作制御信号の終了より遅れて発生することで、ラッチ部128,129の出力のHigh状態が、マッサージ動作制御信号よりも長く継続する。
ここで、コンピュータ130は、ラッチ部128,129の出力がLowからHighへ変化したときにHigh判定信号又はLow判定信号を出力するよう構成されているため、ラッチ部128,129の出力がHighに維持されていると、音響信号が変化しても、コンピュータ130において音響信号レベルの判定処理は行われない。
つまり、ラッチ部128,129の出力がHighのときは、音響信号の変化に対して、処理装置たるコンピュータ130は不感状態にある。
【0046】
本実施形態では、第1マッサージ動作制御信号又は第2マッサージ動作制御信号が発生しているときだけでなく、マッサージ動作制御信号が終了したあとの所定遅延時間Dも、不感状態となっている。
この不感状態では、音響信号がマッサージ開始状態(しきい値を超えた状態)になっても、マッサージ動作制御信号が生成されず、したがって、マッサージ動作も行われない。すなわち、所定のマッサージ動作時間(0.12[s]又は0.008[s])を持つマッサージ動作制御信号が終了した直後の遅延時間D相当分の時間は、マッサージ部5が動作しない非動作時間帯Dとなっている。
【0047】
さて、音響信号のW1の部分の後に続いて、W2の部分がきた場合について説明する。W2の部分は、ラッチ部128,129の出力がリセットされた状態で出現するため(図7(d)(e)参照)、ラッチ部128,129によるラッチの対象となる。
すなわち、音響信号のW2の部分は、Low側しきい値を超えるもののHigh側しきい値は超えていないので(図7(a)参照)、第1ラッチ部128の出力だけがHighとなり(図7(d)参照;図7(d)は図6の(d)点の波形)、コンピュータ130の判定処理によって、Low判定信号が出力される(図7(g)参照;図7(g)は図6の(g)点の波形)。
【0048】
Low判定信号を受けた第1マッサージ動作制御信号生成部131は、当該Low判定信号の立ち上がりをワンショットトリガとして、パルス長が0.08[s]の第1マッサージ動作制御信号を生成する(図7(i)参照;図7(i)は図6の(i)点の波形)。
第1マッサージ動作制御信号は、OR回路135を介して選択回路133に与えられ、選択された駆動回路14A〜14Dを動作させる。
この結果、音響信号の比較的信号レベルの低いW2の部分に対応して、比較的短い0.08[s]の間続く第1マッサージ動作制御信号が生成され、選択されたエアセル群5A〜5Dが0.08[s]の間膨張する。
【0049】
第1マッサージ動作制御信号の場合は、第2マッサージ動作制御信号に比べて、時間が短いため、エアセルへの給気時間が短く、比較的小さな膨張しか得られず、より弱い押圧マッサージが発生する。逆に、第2マッサージ動作制御信号の場合は、時間が長いため、より強い押圧マッサージが発生する。
【0050】
さらに、音響信号のW2の部分の後に続いて、W3、W4,W5の部分がきた場合について説明する。
図7に示すように、音響信号のW3の部分によって、第1ラッチ部128及び第2ラッチ部129の出力がいずれもHighになるため、コンピュータ130は、音響信号がHigh側しきい値を超えていると判定して、High判定信号を出力し、第2マッサージ動作制御信号を出力する。
そして、この第2マッサージ動作制御信号発生中に音響信号の次の山の部分W4がくるが、ラッチ部128,129の出力がラッチされているため、コンピュータ130は、信号判定処理を行わなず、マッサージ動作時間の延長はされない。
【0051】
さらに、音響信号の山の部分W5は、第2マッサージ動作制御信号の終了後において、Low側しきい値を超える信号(マッサージ開始状態)となっているが、W5は、ラッチ部128,129の出力がリセットされる前の非動作時間帯に出現しているため、コンピュータ130は、信号判定処理を行わない。したがって、W5があっても、マッサージ動作制御信号は発生しない。
このように、マッサージ動作制御信号終了(マッサージ動作時間の終了)直後に、音響信号がしきい値を超えても(マッサージ開始状態となっても)、非動作時間帯Dの間は、マッサージ部5が動作しない。すなわち、非動作時間帯Dにおいて、エアセル5からの排気時間(マッサージ部後退時間)を確保でき、メリハリのある押圧動作が行える。
【0052】
図8は、動作モード切替スイッチ4cによって選択された各動作モードでの動作を示している。コンピュータ130は、動作モード切替スイッチ4cでの選択に応じて、各動作モードでの選択信号を生成するコンピュータプログラムを有しており、このプログラムに基づいて、各動作モードでの選択信号がコンピュータ130から出力され、選択回路133に与えられる。
また、コンピュータは、第1マッサージ動作制御信号又は第2マッサージ動作制御信号が生成される度に、4つのエアセル群5A〜5Dから動作させるエアセル群を選択することで、音響信号の変化に応じたマッサージ部の選択を行う。
【0053】
「ランダム」動作モードの場合、4つのマッサージ群5A〜5Dからランダムに選択されたエアセル群を動作させるよう構成されている。すなわち、1つ目の動作制御信号ではエアセル群Aを選択し、2つ目の動作制御信号ではエアセル群Cを選択し、3つ目の動作制御信号ではエアセル群Dを選択し、・・・というように、ランダムに選択対象を決定する。
【0054】
「SKIP」動作モードの場合、背もたれ部3の上から1つ飛ばしで、順に、エアセル群を選択して、選択されたマッサージ群を動作させる。すなわち、1つ目の動作制御信号ではエアセル群Aを選択し、2つ目の動作制御信号ではエアセル群Aから1つ飛んだエアセル群Cを選択し、3つ目の動作制御信号ではエアセル群Bを選択し、4つ目の動作制御信号ではエアセル群Bから1つ飛んだエアセル群Dを選択し、・・・というように、1つ飛ばしで順に選択対象を決定する。
【0055】
「順」動作モードの場合、背もたれ部の上から順にエアセルを選択して、選択されたエアセル群を動作させるよう構成されている。すなわち、1つ目の動作制御信号ではエアセル群Aを選択し、2つ目の動作制御信号ではエアセル群Bを選択し、3つ目の動作制御信号ではエアセル群Cを選択し、4つ目の動作制御信号ではエアセル群Dを選択し、・・・というように、上から順に選択対象を決定する。
【0056】
上記3つの動作モードでは、一度に選択されるエアセル群は1つだけであったが、「レベル」動作モードの場合、音響信号の信号レベルに応じて選択されるエアセル群(マッサージ部)の数も変化する。すなわち、例えば、低い音響信号に対応する第1マッサージ動作制御信号の場合は、2つのエアセル群(例えば、エアセル群A及びエアセル群C)を動作させ、強い音響信号に対応する第2マッサージ動作制御信号の場合は、4つのエアセル群を動作せるというように、選択対象を決定する。
「レベル」動作モードのように、音響信号の状態に応じて、動作するマッサージ部の数も変化させることで、音楽とマッサージ動作との同期感が一層高まる。
【0057】
図9は、「レベル」動作モードの変形例を示している。図9に示すように、レベルを4段階とするときは、楽曲の整流信号をコンピュータ130へ取り込み(図5及び図6のポートP8参照)、これを解析して用いることもできる。
そして、この図9に示す変形例では、音響信号のしきい値として信号レベルが低い方から順に、レベル1,レベル2,レベル3,レベル4の4種類を設定し、4種類のレベルに応じて時間長さの異なる動作制御信号が生成されるようにした場合において、レベル1の場合は1つのエアセル群Aが選択され、レベル2の場合は2つのエアセル群A,Bが選択され、レベル3の場合は3つのエアセル群が選択され、レベル4の場合は4つのエアセル群が選択されるようにしている。
【0058】
上記モードのようなモードに応じて、コンピュータ130から選択回路133に選択信号が与えられると、選択回路(ANDゲート)133では、選択されたエアセル群に対応する駆動回路14A〜14Dにマッサージ動作制御信号を与える。
また、選択回路133を通過したマッサージ動作制御信号は、操作装置4の給気ランプ4g−A(エアセル群Aに対応)、4g−B(エアセル群Bに対応)、4g−C(エアセル群Cに対応)、4g−D(エアセル群Dに対応)にも与えられ、対応するエアセル群に給気されている間、当該給気ランプが点灯する。
さらに、エアセル群(マッサージ部)に同期して点滅する発光手段は、操作装置4以外に設けられた給気ランプ以外に、マッサージ機の他の場所に設けられたランプ100A〜100Dによって構成されていてもよい。
【0059】
本実施形態のマッサージ機によれば、音響信号(音楽信号)とマッサージの同期感を高くすることができるとともに、マッサージ部の切替と音楽の変化にも同期感をもたせることができる。
また、本実施形態のマッサージ機によれば、使用者は、音響信号の変化を、耳で音として、体で押圧刺激として、目で光として感じとることができ、より高い癒し効果を得ることができる。
【0060】
図10及び図11は、マッサージ部の変形例を示している。このマッサージ部50は、ソレノイド51で駆動される施療部52を備えて構成されており、駆動回路14のスイッチング素子14aがマッサージ動作制御信号によってONになるとソレノイド51が励磁駆動されて、施療部52が前方突出して身体を押圧する(図11(b)参照)。一方、駆動回路14のスイッチング素子14aがOFFになるとソレノイド51が消磁して、施療部52が図示しないバネの付勢力によって後退する(図11(a)参照)。
【0061】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。
マッサージ機は、マット状、ブーツ状等の様々な形態のマッサージ機を採用できる。
また、マッサージ部としては、エアセルやソレノイドによる押圧タイプだけではなく、揉み・叩き・振動等のマッサージ動作を行うものや、体を揺らしてリラクゼーション効果を与えるものであっても良い。
音響信号としては、音楽に限らず、どのような音響信号であってもよい。
また、マッサージ機は、音響信号と無関係に動作するマッサージ部を有していても良い。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】マッサージ機の斜視図である。
【図2】マッサージ機のブロック図である。
【図3】操作装置の平面図である。
【図4】空気回路の要部を示す回路である。
【図5】制御回路を中心としたブロック図である。
【図6】制御回路の回路図である。
【図7】波形図である。
【図8】動作モード説明図である。
【図9】レベルモードの変形例を示す説明図である。
【図10】ソレノイド式マッサージ部の原理図である。
【図11】ソレノイド式マッサージ部の動作状態を示す図である。
【符号の説明】
【0063】
1 マッサージ機
2 座部
3 背もたれ部
4 操作装置
5 マッサージ部
12 制御回路(制御部)
133 選択回路(選択部)
131 第1マッサージ動作制御信号生成部
132 第2マッサージ動作制御信号生成部
【技術分野】
【0001】
本発明は、マッサージ機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、音響信号に基づいてマッサージを行うマッサージ機を開示している。
特許文献1は、空気袋と、該空気袋に対して給気及び排気を行う給排気装置と、該給排気装置の動作を制御する制御装置とを備え、音響信号に基づいて制御信号を生成し、生成した制御信号によって給排気装置の動作を制御する空気マッサージ機を開示している。
【0003】
特許文献1に記載の空気マッサージ機は、複数の空気袋を備えており、ロータリバルブによって空気が供給される空気袋が順次切り替えられるように構成されている。
【特許文献1】特開2003−79687号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の空気マッサージ機では、空気が供給される空気袋(エアセル)が音響信号の変化とは無関係に切り替えられるため、膨張する空気袋の切り替わりと音楽のリズムとは無関係であった。
【0005】
そこで、本発明は、動作するマッサージ部の切り替わりと音響信号の変化とを関連付けてマッサージ効果を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、マッサージ動作を行う複数のマッサージ部と、前記マッサージ部を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、音響信号の変化に基づいて、複数のマッサージ部のうち動作状態とする前記マッサージ部を選択することを特徴とするマッサージ機である。
本発明によれば、音響信号の変化に基づいて、複数のマッサージ部のうち動作状態となるマッサージ部が選択されるため、使用者は動作するマッサージ部の変化からも音響信号の変化を感じることができ、音響信号とマッサージ関連性を高めることができる。
なお、前記動作制御信号は、音響信号の信号レベルがしきい値を超えた場合に生成される信号であるのが好ましい。
【0007】
前記制御部は、音響信号の変化に基づいて前記マッサージ部の動作制御信号を生成する動作制御信号生成部と、動作制御信号が生成される毎に、複数のマッサージ部のうち動作状態とする前記マッサージ部を選択する選択部と、を備えているのが好ましい。
【0008】
前記選択部は、動作状態とするマッサージ部を選択するための複数の選択ルールのうちの1つの選択ルールによって動作状態とするマッサージ部を選択するのが好ましい。
【0009】
前記複数のマッサージ部の動作に同期して点滅する発光手段を備えているのが好ましい。この場合、音響信号の変化を、マッサージ部による刺激として体感できるだけでなく、目で光として感じることもでき、より高い癒し効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、音響信号の変化に基づいて、複数のマッサージ部のうち動作状態となるマッサージ部が選択されるため、使用者は動作するマッサージ部の変化からも音響信号の変化を感じることができ、音響信号とマッサージ関連性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すマッサージ機1は、座部2及び背もたれ部3を備えた椅子型マッサージ機として構成されている。なお、脚を載せるフットレストを座部2の前部に備えていてもよい。また、マッサージ機1は、マッサージ機1への各種操作を行う操作装置4を備えている。
【0012】
背もたれ部3には、複数のマッサージ部5とスピーカ6が備わっている。本実施形態のマッサージ部5は、マッサージアクチュエータとして、空気の給排気によって膨張収縮して使用者の身体を押圧するエアセル5A−1,5A−2,5B−1,5B−2,5C−15C−2,5D−1,5D−2が採用されている。なお、マッサージ部5は、背もたれ部3以外に、座部2に設けても良い。また、使用者の脚又は腕をマッサージするマッサージ部をフットレストや肘掛けに備えても良い。
【0013】
図2に示すように、マッサージ機1は、CD、MD、DVD、ハードディスク等の記録媒体に記録された音響信号(楽曲信号)を再生するための楽曲再生器8を備えている。なお、楽曲再生器8は、操作装置4と一体的に設けても良いし、操作装置4とは別に設けても良い。なお、音響信号は、マッサージ機に備わった楽曲再生器8から得るのではなく、マッサージ機1に設けられた外部入力端子に接続された音源装置(オーディオ装置、マイク等)から得ても良い。
【0014】
楽曲再生器8から出力された音響信号(アナログ信号又はデジタル信号)は、遅延装置10及び制御回路(制御部)12に与えられる。遅延装置10は、制御回路12における音響信号処理の際に生じる遅延(例えば,60msec)分に応じて、楽曲再生器8の音響信号を遅延させて、スピーカ6に出力するものである。この遅延により、スピーカから出力される音とマッサージ動作の時間的ズレとを解消することができる。
【0015】
音響信号が入力される制御回路12は、音響信号に基づいてマッサージ動作制御信号を生成するものである。
また、制御回路12は、前記操作装置4と接続されている。操作装置4は、マッサージ機への操作を行う操作部と、マッサージ機の状態等を表示する表示部とを備えている。
図3に示すように、操作装置4は、操作部として、電源スイッチ4a、感度調節スイッチ4b、動作モード切替スイッチ4c、周波数域切替スイッチ4d、給気時間(マッサージ動作時間)切替スイッチ4iを備えている。
また、操作装置4は、表示部として、電源ランプ4e、判定ランプ4f、給気ランプ4g−A,4g−B,4g−C,4g−D、液晶表示部4hを備えている。
【0016】
電源スイッチ4aは、マッサージ機1の電源スイッチであり、これをONにすると電源ランプ4eが点灯する。
感度調節スイッチ4bは、後述の増幅器121による音響信号の増幅度合いを調節するためのものであり、「低い」にすると音響信号の信号レベルが全体的に小さくなって、マッサージ動作数が減り、「高い」にすると音響信号の信号レベルが全体的に高くなって、マッサージ動作数が増える。
【0017】
また、判定ランプ4fは、音響信号の適切さの判定をする電圧レベル判定回路121aによる判定結果を表示するものであり、青色、黄色、赤色の各色の表示が行える。青色が表示されている場合、マッサージ動作ができる程度に大きい信号レベルの音響信号が入力されており、適正な音響信号であることを示す。黄色が表示されている場合、音響信号が入力されているが信号レベル(電圧)が低いためマッサージ動作が適切に行えないことを示している。黄色が表示された場合には、感度調節スイッチ4bを操作(「高い」側へ操作)して、判定ランプ4fを青色にすればよい。なお、赤色が表示されている場合は、音響信号が入力されていないことを示す。
【0018】
動作モード切替スイッチ4cは、マッサージの動作モードを切替選択するためのものである。動作モードとしては、動作するマッサージ部5の選択ルールが異なるものが複数用意されており、具体的には「ランダム」モード、「レベル」モード、「順」モード、「SKIP」モードが用意されている。動作モード切替スイッチ4cの状態は、コンピュータ130に入力される。各モードの詳細については後述する。
【0019】
周波数域切替スイッチ4dは、後述の周波数フィルタ122中の複数のフィルタのうちの1つを選択するためのものであり、感知する音の周波数を調整することができる。例えば、低音域にするとドラム音などの低音に反応したマッサージ動作が得られ、高音域にすると幅広い周波数に反応したマッサージ動作が得られる。
【0020】
給気時間切替スイッチ4iは、後述の第1マッサージ動作時間制御信号生成部131又は第2マッサージ動作時間制御信号生成部132において生成されるマッサージ動作時間制御信号の時間長さ(マッサージ動作時間)を調整するためのものである。マッサージ動作時間を調整することで、エアセルへの給気時間が長くなり、より強い押圧マッサージが行える。
【0021】
給気ランプ4g−A,4g−B,4g−C,4g−Dは、給気されているエアセル(動作しているマッサージ部)を表示するためのものであり、液晶表示部4hは、マッサージ機の操作に関連した各種表示が行われる。
【0022】
制御回路12が生成したマッサージ動作制御信号は、エアアクチュエータ5であるエアセルの駆動回路14に与えられる。図4に示すように、駆動回路14は、マッサージ動作制御信号(High信号)が入力されると、スイッチング素子(トランジスタ)14aがON状態となって、駆動電源電力Vによって電磁弁(切替弁)SVのソレノイドを励磁して給気状態に切り替えるものである。一方、駆動回路14に、マッサージ動作制御信号が入力されていないとき(駆動回路への入力がLowであるとき)は、スイッチング素子14aはOFF状態となって、電磁弁SVが排気状態(図4の状態)となる。
【0023】
なお、エアセル5を動作させるための空気回路は、エアポンプ等からなる空気圧源(空気供給源)16(必要であればアキュムレータを具備したもの)及び前記電磁弁SVを具備しており、電磁弁SVを供給状態にすれば、空気圧源16から空気がエアセル5に供給されて、エアセル5が膨張して、使用者を押圧する。一方、電磁弁SVのソレノイドが消磁して排気状態になると、エアセル5内の空気が排気(大気へ排気)されて、エアセル5が収縮する。
【0024】
図1に示すように、本実施形態では、エアセル5は、左右に対をなす2個のエアセルが縦方向に4組配置され、計8個設けられている。対をなす2個のエアセルに対し、1つの共通した電磁弁によって給排気切替が行われる(図1,4,5参照)。
【0025】
なお、以下では、エアセルの組を、背もたれ部2の上から順に、第1エアセル群5A(エアセル5A−1,5A−2の組)、第2エアセル群5B(エアセル5B−1,5B−2の組)、第3エアセル群5C(エアセル5C−1,5C−2の組)、第4エアセル群5D(エアセル5D−1,5D−2の組)という(図5参照)。
また、第1エアセル群5Aの給排切替を行う電磁弁を第1電磁弁SV−A、第2エアセル群5Bの給排切替を行う電磁弁を第2電磁弁SV−B、第3エアセル群5Cの給排切替を行う電磁弁を第3電磁弁SV−C、第4エアセル群5Dの給排切替を行う電磁弁を第4電磁弁SV−Dという(図5参照)。
さらに、第1電磁弁SV−Aの駆動回路を第1駆動回路14A、第2電磁弁SV−Bの駆動回路を第2駆動回路14B、第3電磁弁SV−Cの駆動回路を第3駆動回路14C、第4電磁弁SV−Cの駆動回路を第4駆動回路14Dという(図5参照)。
【0026】
図5及び図6に基づき、制御回路12の詳細について説明する。制御回路12は、入力された音響信号の増幅を行う増幅器121、音響信号のうち低音域を取り出すための周波数フィルタ(アクティブフィルタ)122、音響信号を整流する整流部123、音響信号の信号レベルの第1しきい値(Lowしきい値)を設定する第1しきい値設定部124、音響信号の信号レベルの第2しきい値(Highしきい値)を設定する第2しきい値設定部125、第1しきい値を超えた場合にパルスを生成する第1パルス発生部126、第2しきい値を超えた場合にパルスを生成する第2パルス発生部第127、第1パルス発生部126によって発生したパルスをラッチする第1ラッチ部128、第2パルス発生部127によって発生したパルスをラッチする第2ラッチ部129、各種処理を行うコンピュータ130、第1マッサージ動作制御信号を生成する第1マッサージ動作制御信号生成部131、第2マッサージ動作制御信号を生成する第2マッサージ動作制御信号生成部132、マッサージ動作制御信号を与える駆動回路14A〜14D(マッサージ部5)を選択する選択回路(選択部)133等を有している。
【0027】
前記増幅器121は、音響信号の増幅度を調整自在とされており、音源によって異なる音響信号の信号レベル(電圧)に応じて増幅度を調整することにより、適切にマッサージ開始制御信号ないしマッサージ動作制御信号を生成することができる。なお、増幅度の調整は、操作装置4の感度調節スイッチ4bを操作することによって行える。
【0028】
周波数フィルタ122は、ローパスフィルタによって構成されており、音響信号(音楽信号)のリズムを構成する低音域を検出するためのものである。周波数フィルタ122は、カットオフ周波数を調整することができる。すなわち、周波数フィルタ122は、カットオフ周波数が約20Hz、50Hz、100Hz、200Hzのローパスフィルタを備えており、操作装置4の周波数域切替スイッチ4dを操作することによって、フィルタを選択することができる。カットオフ周波数を下げると、低音域だけに追従したマッサージ動作が得られ、カットオフ周波数を挙げると、比較的高音域にも追従したマッサージ動作を得ることができる。
【0029】
整流部123は、音響信号を半波整流するためのものであり、ダイオードによって構成されている。
第1及び第2しきい値設定部124,125は、それぞれ、可変抵抗によって構成されており、Low側しいき値及びHigh側しきい値を調整自在に構成されている。
【0030】
第1パルス発生部126は、入力された音響信号が、第1しきい値設定部124によって設定されたLow側しきい値を超えたことを検出するとパルスを発生するコンパレータ(比較器)によって構成されている。
第2パルス発生部127は、入力された音響信号が、第2しきい値設定部125によって設定されたHigh側しきい値を超えたことを検出するとパルスを発生するコンパレータ(比較器)によって構成されている。
【0031】
本実施形態では、音響信号が所定のしきい値を超えた場合を、マッサージ動作が開始する状態としており、各パルス発生部126,127によって発生するパルスが発生しているときは、音響信号がマッサージ開始状態になったことを示している。すなわち、パルス発生部126,127によって発生するパルスが、マッサージ開始制御信号となっている。
ただし、各パルス発生部126,127によって発生するパルスは、音響信号の信号レベルが極めて頻繁に変化することから、短時間にON/OFFを繰り返す振動的なパルスとなる(図7(b)(c)参照)。
【0032】
第1及び第2ラッチ部128,129は、音響信号の信号レベルの変化に応じて頻繁に変化する第1及び第2パルス発生部126,127の出力を、それぞれラッチするためのものでありDフリップフロップによって構成されている。ラッチ部128,129は、パルス発生部126,127によって発生するパルスが振動的であることから、パルス発生部126,127において一旦、パルスが発生すれば、コンピュータ130によってラッチ部出力がリセットされるまで、出力のHigh状態を維持する(図7(d)(e)参照、詳細は後述)。
ラッチ部128,129によってパルスのHigh状態を維持することで振動的なパルスが安定的なパルスとなり、音響信号がマッサージ開始状態になったことを、コンピュータ130が検出し易くなる。
【0033】
コンピュータ130は、8bitマイクロコンピュータによって構成されており、図示しないメモリに格納されたコンピュータプログラムによって、各種処理を行う。コンピュータ130は、例えば、ラッチ部128,129の出力に基づき、音響信号がしきい値(Low側しきい値、High側しきい値)を超えているか否かの判定処理を行い、音響信号のレベル(HighかLowか)に応じた信号を出力する(図7(f)(g)参照)。
より具体的には、コンピュータ130は、音響信号がLow側しきい値未満、音響信号がLow側しきい値以上でHigh側しきい値未満、音響信号がHigh側しきい値以上、のいずれであるかを判定する。コンピュータ130は判定の結果、音響信号がLow側しきい値以上でHigh側しきい値未満であればLow判定信号を出力し、音響信号がHigh側しきい値以上であればHigh判定信号を出力する。
【0034】
第1マッサージ動作制御信号生成部131は、パルス長を外付け抵抗及びコンデンサによって調整できるワンショットマルチバイブレータ(74LS123)によって構成されている。この第1マッサージ動作制御信号生成部131に、コンピュータ130からLow判定信号が与えられると、パルス長(時間長さ)が第1パルス長(例えば、0.08[s])に設定された第1マッサージ動作制御信号が発生する(図7(i)参照)。
第2マッサージ動作制御信号生成部132も、パルス長を外付け抵抗及びコンデンサによって調整できるワンショットマルチバイブレータ(74LS123)によって構成されている。この第2マッサージ動作制御信号生成部132に、コンピュータ130からHigh判定信号が与えられると、パルス長(時間長さ)が第2パルス長(例えば、0.12[s])に設定された第2マッサージ動作制御信号が発生する(図7(h)参照)。
なお、マッサージ動作制御信号生成部131,132のパルス長は、給気時間切替スイッチ4iによって、その長さを調整自在である。
【0035】
両マッサージ動作制御信号の時間長さが異なることで、音響信号の信号レベルに応じて、エアセルへの給気時間(マッサージ動作時間)を異ならせることができる。すなわち、音響信号の信号レベルが比較的低い場合(Low)には、エアセルへの給気時間が比較的短く、音響信号の信号レベルが比較的高い場合(High)には、エアセルへの給気時間が比較的長くなる。
この結果、音響信号の信号レベルが比較的低い場合には、弱い押圧マッサージが発生し、音響信号の信号レベルが比較的高い場合には、強い押圧マッサージが発生する。
なお、エアセル5は、1つのマッサージ動作制御信号によるマッサージ動作時間(0.12[s]又は0.08[s])中における空気の供給でほぼ完全な膨張状態が得られるように、従来のマッサージ用エアセルに比べて小さく形成されている。
【0036】
選択回路133は、コンピュータ130から出力される選択信号(詳細は後述)に基づいて、発生した第1マッサージ動作制御信号又は第2マッサージ動作制御信号を、いずれの駆動回路14A〜14Dに与えるかの選択を行う。選択回路133によって選択された駆動回路14A〜14Dには、前記第1マッサージ動作制御信号又は第2マッサージ動作制御信号が与えられ、各動作制御信号のパルス長に応じた時間ほど、選択された電磁弁SV−A〜SV−Dが給気状態に切り替わり、選択されたエアセル群5−A〜5−Dが膨張動作する。
【0037】
以下、図7も参照しつつ、音響信号に基づくマッサージ動作制御処理の流れを説明する。まず、電源スイッチ4aをONにし、動作モード切替スイッチ4cにて動作モードを選択し、楽曲再生器8にて音響信号を発生させる。また、必要に応じて、感度調節スイッチ4b、周波数域切替スイッチ4dにて調節を行う。
楽曲再生器8から制御回路12に音響信号が与えられると、増幅器121にて信号増幅が行われる。そして、周波数フィルタ122によって、増幅された音響信号から低周波数域の信号が抽出され、楽曲のリズム部分の信号等が取り出される。
【0038】
フィルタリングが施された音響信号は整流部123によって半波整流される。半波整流された音響信号を図7(a)に示す。図7(a)は、図6の(a)点の波形である。
また、図7(a)には、第1しきい値設定部124によって設定されたLow側しきい値と、第2しきい値設定部125によって設定されたHigh側しきい値も示している。
【0039】
図7(a)の音響信号は、第1及び第2パルス発生部126,127に入力される。
まず、図7(a)の音響信号のうちW1の部分が入力された場合について説明する。図7(b)に示すように、第1パルス発生部126では、音響信号のW1の部分がLow側しきい値を超えている間がHighで、Low側しきい値未満のきはLowとなるパルスを発生する。なお、図7(b)は、図6の(b)点の波形である。
また、図7(c)に示すように、第2パルス発生部127では、音響信号のW1の部分がHigh側しきい値を超えている間がHighで、High側しきい値未満のときはLowとなるパルスを発生する。なお、図7(c)は、図6の(c)点の波形である。
【0040】
前述のように、本実施形態では、音響信号がしきい値を超えた状態にあるときをマッサージ開始状態としており、図7(b)(c)においてパルスが振動的であうことから明らかなように、音響信号は、マッサージ開始状態になった直後に、非マッサージ開始状態となってしまうことが頻繁に起こることがわかる。
【0041】
第1ラッチ部128の出力がLowの状態で、図7(b)のパルスが第1ラッチ部128に入力されると、第1ラッチ部128の出力は、Highにラッチされる(図7(d)参照;図7(d)は図6の(d)点の波形)。
また、第2ラッチ部129の出力がLowの状態で、図7(c)のパルスが第2ラッチ部129に入力されると、第2ラッチ部129の出力は、Highにラッチされる(図7(e)参照;図7(e)は図6の(e)点の波形)。
【0042】
コンピュータ130の第1入力部P1は第1ラッチ部128の出力に、コンピュータの第2入力部P2は第2ラッチ部129の出力に接続されており、第1入力部P1及び第2入力部P2への入力信号に基づき、音響信号の信号レベル判定処理を行う。
信号レベル判定処理は、まず、第2入力部P2への入力信号がHighであるか、すなわち、音響信号の信号レベルがhigh側しきい値を超えているか否かを判定し、第2入力部P2の入力信号がHighであれば、High判定信号を出力する。
もし、第2入力部P2への入力信号がLowであれば、続いて、第1入力部P1への入力信号がHighであるか、すなわち、音響信号の信号レベルがLow側しきい値を超えているか否かを判定し、第1入力部の入力信号がHighであれば、Low判定信号を出力する。
もし、第1入力部P1への入力信号もLowであれば、なにも出力しない。
【0043】
ここでは、音響信号のW1の部分に関しては、第2入力部P2への入力信号がHighであるため、コンピュータ130は、High判定信号出力部P6からHigh判定信号を出力する(図7(f)参照;図7(f)は図6の(f)点の波形)。
コンピュータ130からHigh判定信号(パルス)が出力されると、第2マッサージ動作制御信号生成部132は、当該High判定信号の立ち上がりをワンショットトリガとして、パルス長が0.12[s]の第2マッサージ動作制御信号を生成する(図7(h)参照;図7(h)は図6の(h)点の波形)。
第2マッサージ動作制御信号は、OR回路135を介して選択回路133に与えられ、選択回路133によって選択された駆動回路14A〜14Dを動作させる。なお、OR回路の出力を図7(j)に示す。図7(j)は、図6の(j)点の波形である。
この結果、音響信号の比較的信号レベルの高いW1の部分に対応して、0.12[s]の間続く第2マッサージ動作制御信号が生成され、選択されたエアセル群5A〜5Dが0.12[s]の間膨張して使用者を押圧する。そして、第2マッサージ動作制御信号が終了すると、膨張したエアセルは収縮する。
【0044】
さらに、コンピュータ130は、前記OR回路の出力(第1マッサージ動作制御信号と第2マッサージ動作制御信号の論理和をとったもの)を受け付け、第1ラッチ部128及び第2ラッチ部129の出力をリセットする(Lowにする)ためのリセット(RS)信号発生処理を行う。
リセット信号は、前記OR回路の出力の立ち下がり(第1マッサージ動作制御信号の立ち下がり、又は第2マッサージ動作制御信号の立ち下がり)をトリガとし、当該トリガから所定時間Dほど遅延して発生する(図7(k)参照;図7(k)は、図6の(k)点の波形)。
【0045】
リセット信号が、マッサージ動作制御信号の終了より遅れて発生することで、ラッチ部128,129の出力のHigh状態が、マッサージ動作制御信号よりも長く継続する。
ここで、コンピュータ130は、ラッチ部128,129の出力がLowからHighへ変化したときにHigh判定信号又はLow判定信号を出力するよう構成されているため、ラッチ部128,129の出力がHighに維持されていると、音響信号が変化しても、コンピュータ130において音響信号レベルの判定処理は行われない。
つまり、ラッチ部128,129の出力がHighのときは、音響信号の変化に対して、処理装置たるコンピュータ130は不感状態にある。
【0046】
本実施形態では、第1マッサージ動作制御信号又は第2マッサージ動作制御信号が発生しているときだけでなく、マッサージ動作制御信号が終了したあとの所定遅延時間Dも、不感状態となっている。
この不感状態では、音響信号がマッサージ開始状態(しきい値を超えた状態)になっても、マッサージ動作制御信号が生成されず、したがって、マッサージ動作も行われない。すなわち、所定のマッサージ動作時間(0.12[s]又は0.008[s])を持つマッサージ動作制御信号が終了した直後の遅延時間D相当分の時間は、マッサージ部5が動作しない非動作時間帯Dとなっている。
【0047】
さて、音響信号のW1の部分の後に続いて、W2の部分がきた場合について説明する。W2の部分は、ラッチ部128,129の出力がリセットされた状態で出現するため(図7(d)(e)参照)、ラッチ部128,129によるラッチの対象となる。
すなわち、音響信号のW2の部分は、Low側しきい値を超えるもののHigh側しきい値は超えていないので(図7(a)参照)、第1ラッチ部128の出力だけがHighとなり(図7(d)参照;図7(d)は図6の(d)点の波形)、コンピュータ130の判定処理によって、Low判定信号が出力される(図7(g)参照;図7(g)は図6の(g)点の波形)。
【0048】
Low判定信号を受けた第1マッサージ動作制御信号生成部131は、当該Low判定信号の立ち上がりをワンショットトリガとして、パルス長が0.08[s]の第1マッサージ動作制御信号を生成する(図7(i)参照;図7(i)は図6の(i)点の波形)。
第1マッサージ動作制御信号は、OR回路135を介して選択回路133に与えられ、選択された駆動回路14A〜14Dを動作させる。
この結果、音響信号の比較的信号レベルの低いW2の部分に対応して、比較的短い0.08[s]の間続く第1マッサージ動作制御信号が生成され、選択されたエアセル群5A〜5Dが0.08[s]の間膨張する。
【0049】
第1マッサージ動作制御信号の場合は、第2マッサージ動作制御信号に比べて、時間が短いため、エアセルへの給気時間が短く、比較的小さな膨張しか得られず、より弱い押圧マッサージが発生する。逆に、第2マッサージ動作制御信号の場合は、時間が長いため、より強い押圧マッサージが発生する。
【0050】
さらに、音響信号のW2の部分の後に続いて、W3、W4,W5の部分がきた場合について説明する。
図7に示すように、音響信号のW3の部分によって、第1ラッチ部128及び第2ラッチ部129の出力がいずれもHighになるため、コンピュータ130は、音響信号がHigh側しきい値を超えていると判定して、High判定信号を出力し、第2マッサージ動作制御信号を出力する。
そして、この第2マッサージ動作制御信号発生中に音響信号の次の山の部分W4がくるが、ラッチ部128,129の出力がラッチされているため、コンピュータ130は、信号判定処理を行わなず、マッサージ動作時間の延長はされない。
【0051】
さらに、音響信号の山の部分W5は、第2マッサージ動作制御信号の終了後において、Low側しきい値を超える信号(マッサージ開始状態)となっているが、W5は、ラッチ部128,129の出力がリセットされる前の非動作時間帯に出現しているため、コンピュータ130は、信号判定処理を行わない。したがって、W5があっても、マッサージ動作制御信号は発生しない。
このように、マッサージ動作制御信号終了(マッサージ動作時間の終了)直後に、音響信号がしきい値を超えても(マッサージ開始状態となっても)、非動作時間帯Dの間は、マッサージ部5が動作しない。すなわち、非動作時間帯Dにおいて、エアセル5からの排気時間(マッサージ部後退時間)を確保でき、メリハリのある押圧動作が行える。
【0052】
図8は、動作モード切替スイッチ4cによって選択された各動作モードでの動作を示している。コンピュータ130は、動作モード切替スイッチ4cでの選択に応じて、各動作モードでの選択信号を生成するコンピュータプログラムを有しており、このプログラムに基づいて、各動作モードでの選択信号がコンピュータ130から出力され、選択回路133に与えられる。
また、コンピュータは、第1マッサージ動作制御信号又は第2マッサージ動作制御信号が生成される度に、4つのエアセル群5A〜5Dから動作させるエアセル群を選択することで、音響信号の変化に応じたマッサージ部の選択を行う。
【0053】
「ランダム」動作モードの場合、4つのマッサージ群5A〜5Dからランダムに選択されたエアセル群を動作させるよう構成されている。すなわち、1つ目の動作制御信号ではエアセル群Aを選択し、2つ目の動作制御信号ではエアセル群Cを選択し、3つ目の動作制御信号ではエアセル群Dを選択し、・・・というように、ランダムに選択対象を決定する。
【0054】
「SKIP」動作モードの場合、背もたれ部3の上から1つ飛ばしで、順に、エアセル群を選択して、選択されたマッサージ群を動作させる。すなわち、1つ目の動作制御信号ではエアセル群Aを選択し、2つ目の動作制御信号ではエアセル群Aから1つ飛んだエアセル群Cを選択し、3つ目の動作制御信号ではエアセル群Bを選択し、4つ目の動作制御信号ではエアセル群Bから1つ飛んだエアセル群Dを選択し、・・・というように、1つ飛ばしで順に選択対象を決定する。
【0055】
「順」動作モードの場合、背もたれ部の上から順にエアセルを選択して、選択されたエアセル群を動作させるよう構成されている。すなわち、1つ目の動作制御信号ではエアセル群Aを選択し、2つ目の動作制御信号ではエアセル群Bを選択し、3つ目の動作制御信号ではエアセル群Cを選択し、4つ目の動作制御信号ではエアセル群Dを選択し、・・・というように、上から順に選択対象を決定する。
【0056】
上記3つの動作モードでは、一度に選択されるエアセル群は1つだけであったが、「レベル」動作モードの場合、音響信号の信号レベルに応じて選択されるエアセル群(マッサージ部)の数も変化する。すなわち、例えば、低い音響信号に対応する第1マッサージ動作制御信号の場合は、2つのエアセル群(例えば、エアセル群A及びエアセル群C)を動作させ、強い音響信号に対応する第2マッサージ動作制御信号の場合は、4つのエアセル群を動作せるというように、選択対象を決定する。
「レベル」動作モードのように、音響信号の状態に応じて、動作するマッサージ部の数も変化させることで、音楽とマッサージ動作との同期感が一層高まる。
【0057】
図9は、「レベル」動作モードの変形例を示している。図9に示すように、レベルを4段階とするときは、楽曲の整流信号をコンピュータ130へ取り込み(図5及び図6のポートP8参照)、これを解析して用いることもできる。
そして、この図9に示す変形例では、音響信号のしきい値として信号レベルが低い方から順に、レベル1,レベル2,レベル3,レベル4の4種類を設定し、4種類のレベルに応じて時間長さの異なる動作制御信号が生成されるようにした場合において、レベル1の場合は1つのエアセル群Aが選択され、レベル2の場合は2つのエアセル群A,Bが選択され、レベル3の場合は3つのエアセル群が選択され、レベル4の場合は4つのエアセル群が選択されるようにしている。
【0058】
上記モードのようなモードに応じて、コンピュータ130から選択回路133に選択信号が与えられると、選択回路(ANDゲート)133では、選択されたエアセル群に対応する駆動回路14A〜14Dにマッサージ動作制御信号を与える。
また、選択回路133を通過したマッサージ動作制御信号は、操作装置4の給気ランプ4g−A(エアセル群Aに対応)、4g−B(エアセル群Bに対応)、4g−C(エアセル群Cに対応)、4g−D(エアセル群Dに対応)にも与えられ、対応するエアセル群に給気されている間、当該給気ランプが点灯する。
さらに、エアセル群(マッサージ部)に同期して点滅する発光手段は、操作装置4以外に設けられた給気ランプ以外に、マッサージ機の他の場所に設けられたランプ100A〜100Dによって構成されていてもよい。
【0059】
本実施形態のマッサージ機によれば、音響信号(音楽信号)とマッサージの同期感を高くすることができるとともに、マッサージ部の切替と音楽の変化にも同期感をもたせることができる。
また、本実施形態のマッサージ機によれば、使用者は、音響信号の変化を、耳で音として、体で押圧刺激として、目で光として感じとることができ、より高い癒し効果を得ることができる。
【0060】
図10及び図11は、マッサージ部の変形例を示している。このマッサージ部50は、ソレノイド51で駆動される施療部52を備えて構成されており、駆動回路14のスイッチング素子14aがマッサージ動作制御信号によってONになるとソレノイド51が励磁駆動されて、施療部52が前方突出して身体を押圧する(図11(b)参照)。一方、駆動回路14のスイッチング素子14aがOFFになるとソレノイド51が消磁して、施療部52が図示しないバネの付勢力によって後退する(図11(a)参照)。
【0061】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。
マッサージ機は、マット状、ブーツ状等の様々な形態のマッサージ機を採用できる。
また、マッサージ部としては、エアセルやソレノイドによる押圧タイプだけではなく、揉み・叩き・振動等のマッサージ動作を行うものや、体を揺らしてリラクゼーション効果を与えるものであっても良い。
音響信号としては、音楽に限らず、どのような音響信号であってもよい。
また、マッサージ機は、音響信号と無関係に動作するマッサージ部を有していても良い。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】マッサージ機の斜視図である。
【図2】マッサージ機のブロック図である。
【図3】操作装置の平面図である。
【図4】空気回路の要部を示す回路である。
【図5】制御回路を中心としたブロック図である。
【図6】制御回路の回路図である。
【図7】波形図である。
【図8】動作モード説明図である。
【図9】レベルモードの変形例を示す説明図である。
【図10】ソレノイド式マッサージ部の原理図である。
【図11】ソレノイド式マッサージ部の動作状態を示す図である。
【符号の説明】
【0063】
1 マッサージ機
2 座部
3 背もたれ部
4 操作装置
5 マッサージ部
12 制御回路(制御部)
133 選択回路(選択部)
131 第1マッサージ動作制御信号生成部
132 第2マッサージ動作制御信号生成部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マッサージ動作を行う複数のマッサージ部と、
前記マッサージ部を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、音響信号の変化に基づいて、複数のマッサージ部のうち動作状態とする前記マッサージ部を選択することを特徴とするマッサージ機。
【請求項2】
前記制御部は、
音響信号の変化に基づいて前記マッサージ部の動作制御信号を生成する動作制御信号生成部と、
動作制御信号が生成される毎に、複数のマッサージ部のうち動作状態とする前記マッサージ部を選択する選択部と、
を備えていることを特徴とする請求項1記載のマッサージ機。
【請求項3】
前記選択部は、動作状態とするマッサージ部を選択するための複数の選択ルールのうちの1つの選択ルールによって動作状態とするマッサージ部を選択することを特徴とする請求項1又は2に記載のマッサージ機。
【請求項4】
前記複数のマッサージ部の動作に同期して点滅する発光手段を備えていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のマッサージ機。
【請求項1】
マッサージ動作を行う複数のマッサージ部と、
前記マッサージ部を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、音響信号の変化に基づいて、複数のマッサージ部のうち動作状態とする前記マッサージ部を選択することを特徴とするマッサージ機。
【請求項2】
前記制御部は、
音響信号の変化に基づいて前記マッサージ部の動作制御信号を生成する動作制御信号生成部と、
動作制御信号が生成される毎に、複数のマッサージ部のうち動作状態とする前記マッサージ部を選択する選択部と、
を備えていることを特徴とする請求項1記載のマッサージ機。
【請求項3】
前記選択部は、動作状態とするマッサージ部を選択するための複数の選択ルールのうちの1つの選択ルールによって動作状態とするマッサージ部を選択することを特徴とする請求項1又は2に記載のマッサージ機。
【請求項4】
前記複数のマッサージ部の動作に同期して点滅する発光手段を備えていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のマッサージ機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−268102(P2007−268102A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−99630(P2006−99630)
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【出願人】(000112406)ファミリー株式会社 (175)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【出願人】(000112406)ファミリー株式会社 (175)
【Fターム(参考)】
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