説明

マッサージ機

【課題】降下するマッサージユニットと座部とで、人体の一部などを含む物体が挟み込まれることを回避するマッサージ機を提供する。
【解決手段】座部(12)と背もたれ部(13)とを有し、前記背もたれ部(13)に施療体(例えば、もみ玉14a,14b)を具備するマッサージユニット(11)を上下昇降自在に取付けた椅子式のマッサージ機において、前記マッサージユニット(11)の昇降動作を制御する制御手段(例えば、制御ユニットG)と、前記マッサージユニット(11)の下部に設けられ、当該マッサージユニット(11)と前記座部(12)との間での物体の挟み込みを検知する検知手段(例えば、リミットスイッチ16,21,25)と、を備え、前記制御手段は、前記検知手段により物体の検知がなされた場合、前記マッサージユニット(11)の動作を停止するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はマッサージ機、詳しくは施療体を備えた椅子式のマッサージ機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、椅子式のマッサージ機は、被施療者が腰掛ける座部と、その座部の後部に背もたれ部とを備え、この背もたれ部には施療体を備えたマッサージユニットが、上下に昇降可能に設けられている。マッサージユニットの施療体は、一般に、一対のもみ玉を備えており、これにより、被施療者が椅子に座った状態で、もみ玉の動作とマッサージユニットの昇降によりマッサージを受けることができる。
例えば、特許文献1には、1対のもみ玉を備えたマッサージユニットを上下に昇降可能に設けたマッサージ機が開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開2007−007208号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
椅子式のマッサージ機は、通常、大人の被施療者が腰掛けてマッサージを受けることを想定して設計されている。しかし、子供などをマッサージ機に座らせたり、子供が勝手にマッサージ機で遊んだりする場合も考えられる。
すると、マッサージユニットが降下中に、マッサージユニットと座部との間で、子供の頭部や手足など他身の一部を挟み込んでしまう場合が考えられる。
また、ペットや物などをマッサージ機の座部に置いた状態であっても、マッサージユニットが降下すると、ペットや物にダメージが加わったり、マッサージユニットにも損傷を与えてしまったりするという問題が生じる。
【0005】
この発明は、前記問題を解決するためになされたもので、降下するマッサージユニットと座部とで人体の一部を含む物体が挟み込まれることを回避することのできるマッサージ機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明では、座部と背もたれ部とを有し、前記背もたれ部に施療体を具備するマッサージユニットを上下昇降自在に取付けた椅子式のマッサージ機において、前記マッサージユニットの昇降を含む各種動作を制御する制御手段と、前記マッサージユニットの下部に設けられ、当該マッサージユニットと前記座部との間での物体の挟み込みを検知する検知手段と、を備え、前記制御手段は、前記検知手段により物体の検知がなされた場合、前記マッサージユニットの動作を停止することを特徴とする。
【0007】
(2)本発明は、上記(1)において、前記制御手段は、前記マッサージユニットが前記背もたれ部の所定移動領域内における所定位置よりも下方位置にある時、及び/又は上昇中以外の時に前記検知手段により物体の検知がなされた場合、前記マッサージユニットを一旦上昇させた後、動作を停止することを特徴とする。
【0008】
(3)本発明は、上記(1)又は(2)において、前記検知手段は、前記マッサージユニットの下方に配設されていることを特徴とする。
【0009】
(4)本発明は、上記(1)〜(3)のいずれかにおいて、前記検知手段は、枢軸を中心に上下回動自在に取付けた回動ケースと、この回動ケースの先端部側に、ケースの長手方向に沿って、一端を片持ち支持されて収納配設された板ばねと、前記回動ケースの回動により、前記板ばねの他端部に押圧されることによって物体を検知するマイクロスイッチと、を備えることを特徴とする。
【0010】
(5)本発明は、上記(1)〜(3)のいずれかにおいて、前記検知手段は、枢軸を中心に上下回動自在に取付けた回動ケースと、この回動ケースの略中央位置を下方向に付勢するコイルばねと、前記回動ケース内に配設され、取付基端部を前記コイルばねに近接配置して片持ち支持するとともに、自由端先端部を前記回動ケースの長手方向に一旦伸延させて折り返した略U字状に形成した板ばねと、前記コイルばねに近接配置され、前記回動ケースの回動により、前記板ばねの自由端部で押圧されることによって物体を検知するマイクロスイッチと、を備えることを特徴とする。
【0011】
(6)本発明は、上記(4)又は(5)において、前記枢軸を、前記座部に対して、前記マイクロスイッチよりも後方に設けたことを特徴とする。
【0012】
(7)本発明は、上記(1)〜(3)のいずれかにおいて、前記検知手段は、進退自在に配設された押圧ボタンと、この押圧ボタンをマッサージユニットの下方向に付勢する弾性体と、前記押圧ボタンの後退により押圧されることによって物体を検知するマイクロスイッチと、を備えた押圧式のスイッチであることを特徴とする。
【0013】
(8)本発明は、上記(1)〜(7)のいずれかにおいて、物体が前記座部の後端よりも後方へ突出したことを検知する突出検出手段をさらに備え、前記制御手段は、前記突出検出手段が物体を検出した場合、前記マッサージユニットの降下を停止することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、座部と背もたれ部とを備え、この背もたれ部に施療体を具備するマッサージユニットが上下昇降自在に取付けられた椅子式のマッサージ機にあって、マッサージユニットの降下中に、当該マッサージユニットと座部との間で、物体が挟み込まれるのを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本実施形態に係るマッサージ機は、座部と背もたれ部とを有し、前記背もたれ部に施療体を具備するマッサージユニットを上下昇降自在に取付けた椅子式のマッサージ機であり、前記マッサージユニットの昇降を含む各種動作を制御する制御手段と、前記マッサージユニットの下部に設けられ、当該マッサージユニットと前記座部との間での物体の挟み込みを検知する検知手段とを備えている。なお、マッサージユニットに配設される施療体としては、例えば、1対のもみ玉が挙げられる。
そして、このマッサージ機の特徴的な機能としては、前記制御手段は、前記検知手段により物体の検知がなされた場合、前記マッサージユニットの動作を停止するようにしたことにある。
【0016】
ここで、物体という概念は、人体の一部を含むものであり、したがって、本実施形態によれば、例えばマッサージ機で子供が遊んでいる最中に、何らかの操作ボタンに触れ、マッサージユニットが下降してきた場合に子供の頭や手足などが座部の後端から突出している状態であっても、前記検知手段によりその頭や手足を検出して、マッサージユニットの下降動作が停止され、頭や手足を座部とマッサージユニットとの間で挟み込むような事態を回避できる。
【0017】
いち早く物体を検知するために、前記検知手段は、マッサージユニットの下方に配設しておくことが好ましい。
【0018】
また、前記制御手段は、前記マッサージユニットが前記背もたれ部の所定移動領域内における所定位置よりも下方位置にあり、及び/又は上昇中以外のときに前記検知手段により物体の検知がなされた場合、前記マッサージユニットの動作を停止することが好ましい。ここで、マッサージユニットの動作は、マッサージ動作をも含むものとすることができる。
【0019】
また、上記上昇中以外の時とは、マッサージユニットが下降している時、又は、停止している時を含む。また、マッサージユニットを一旦上昇させるとは、下降中の場合であれば、当然ながら上昇する直前には下降動作は一旦停止するものとする。
【0020】
また、所定移動領域内における所定位置とは、座部とマッサージユニットとで物体を挟み込むおそれのある領域の上限を指すもので、通常、座部から上方へ10〜50cm程度の間に定められている。この所定位置よりも下方の移動領域を特定領域とすると、この特定領域にマッサージユニットが位置している時、及び/又は上昇中以外の時に検知手段により物体の検知がなされた時、マッサージユニットを一旦所定距離だけ上昇させて動作を停止するのである。
【0021】
また、前記検知手段は、前記マッサージユニットにおいて、前記背もたれ部の背もたれ面に近接するように配設するとよい。
すなわち、前記検知手段は、子供の頭部や手足などが、背もたれ部側に深く入り込まず、わずかに入り込んだ状態であっても、確実にその存在を検出してマッサージユニットの下降を停止することができる。
【0022】
さらに、前記検知手段は、枢軸を中心に上下回動自在に取付けた回動ケースと、この回動ケースの先端部側に、ケースの長手方向に沿って、一端を片持ち支持されて収納配設された板ばねと、前記回動ケースの回動により、前記板ばねの他端部に押圧されることによって物体を検知するマイクロスイッチと、を備える構成とすることができる。すなわち、検知手段を、その基端部を枢軸回りに上下に回動する回動式のスイッチとするものである。
【0023】
かかる構成とすれば、マイクロスイッチは一端を片持ち支持された板ばねの他端部によって押圧されるため、回動ケースが急激に上方回動しても、板ばねの撓みによってマイクロスイッチに大きな負荷が加わることを防止でき、マイクロスイッチの破損を可及的に防止することができる。
【0024】
また、回動式のスイッチとした検知手段の変形例として、枢軸を中心に上下回動自在に取付けた回動ケースと、この回動ケースの略中央位置を下方向に付勢するコイルばねと、前記回動ケース内に配設され、取付基端部を前記コイルばねに近接配置して片持ち支持するとともに、自由端先端部を前記回動ケースの長手方向に一旦伸延させて折り返した略U字状(J字状も含む)に形成した板ばねと、前記コイルばねに近接配置され、前記回動ケースの回動により、前記板ばねの自由端部で押圧されることによって物体を検知するマイクロスイッチとを備える構成とすることもできる。
【0025】
かかる構成とすれば、略U(J)字形状の板ばねは、細長いだけの板ばねに比べて、自重による先端側の経時的な変形が少ないため、長期に亘り応答性を良好に維持することができる。また、板ばねを略U字形状にすることにより、可撓性の程度は前記細長の板ばねと同等にしてマイクロスイッチの破損を可及的に防止することができる性能はそのままに板ばねの収納空間を小さくすることができる。したがって、コンパクトな構成と成し得るため、椅子式のマッサージ機の設計自由度も損なうことがない。
【0026】
また、回動ケースは、コイルばねによって中央部分が付勢されるために、枢軸を中心として円滑に回動させることができる。しかも、回動ケースの中央位置を付勢するように配設したコイルばねにマイクロスイッチを近接させて配置し、取付基端部をコイルばねに近接させて回動ケースに取付けた板バネも、その先端である自由端を折り返してコイルばねに可及的に近接させた位置でマイクロスイッチを押圧するようにしているため、板ばねのマイクロスイッチへの作用点もコイルばねに可及的に近接することになり、回動ケースの回動と、この回動動作に伴う板ばねによるマイクロスイッチの押圧とのバランスが良好となる。
【0027】
また、検知手段を上述したような移動式のスイッチとした場合、前記枢軸を、前記座部に対して、前記マイクロスイッチよりも後方に設けるとよい。
すなわち、子供などの頭部や手足が背もたれ側に深く入り挟み込まないでも、いち早く回動ケースがその当接によって回動し、マイクロスイッチをオンすることができるため、速やかな挟み込み防止措置が実現できる。
【0028】
ところで、前記検知手段の構成としては、進退自在に配設された押圧ボタンと、この押圧ボタンをマッサージユニットの下方向に付勢する弾性体と、前記押圧ボタンの後退により押圧されることによって物体を検知するマイクロスイッチと、を備えた押圧式のスイッチとすることもできる。
【0029】
この場合、押圧ボタンを、マッサージ機の座部の幅方向に長辺を有する矩形形状のボタンとし、前記マイクロスイッチは、この矩形ボタンの左右両端部側にそれぞれ設けるとよい。かかる構成とすれば、例えば座部から後方へ突出した物体が細いもの(手足を含む)であって、ボタンの左右いずれかに偏った位置に当接した場合でも、マイクロスイッチのオン入力が迅速かつ確実に行われる。また、この構造は簡単であり、コスト的にも有利である。
【0030】
また、上述してきたように、座部とマッサージユニットとの間で物体を検知する検出手段を備えたマッサージ機において、物体が前記座部の後端よりも後方へ突出したことを検出する突出検出手段をさらに備え、前記制御手段は、前記突出検出手段が物体を検出した場合、前記マッサージユニットの降下を停止するように構成することもできる。
【0031】
例えば、人体の一部やその他の物体が座部よりも後方へ突出していることを検出する一対の光センサを備えた構成とするとことができる。
光センサとしては、マッサージユニットが上下昇降する所定移動領域の座部近傍であって、移動領域を挟んで対向する位置に設けられる発光素子と受光素子とからなるものとすればよく、通常は発光素子からの光は遮られないが、物体が突出してくると、光が遮られることにより、何らかの物体が座部の後端から後方へ突出したことを検出することができる。
そして、制御手段は、その検出結果に基づいて、マッサージユニットの降下を停止させたり、あるいは下降速度を緩めたり、あるいは上昇に転じたりするなど、物体を座部とマッサージユニットとの間で挟み込まないように未然に防止するのである。
これにより、マッサージユニットの降下中において、そのマッサージユニットと座部とによる子供の頭部や手足などの挟み込みを、より確実に回避することができる。
【0032】
以下、本願発明の実施の形態について、図面を参照しながらより具体的に説明する。図1は本実施形態に係るマッサージ機の全体構成を示す側面図、図3は同マッサージ機の背もたれ部に配設されたマッサージユニットの構成を示す説明図、図4は本実施形態に係る検知手段を示す説明図、図5は検知手段の他の実施形態を示す断面視による説明図、図6は本実施形態に係るマッサージ機の制御ブロック図である。
【0033】
図1に示すように、本実施形態に係るマッサージ機10は、被施療者が着座する座部12と、その座部12を支持する基台部35を有している。さらに、前記座部12の後側に倒伏自在にリクライニングできるように連結され、左右両側に体側施療部として機能する側壁部36を取付けた背もたれ部13を有している。さらに、座部12の前側上部近傍に設けた枢支部37を中心に、上下方向へ揺動可能に連結した脚載部31とを有している。
【0034】
また、前記基台部35を除いて各部については、必要に応じて合成皮革などからなるカバーにより直接被覆するか、あるいは同じくカバーで被覆したクッション部材を配設している。
【0035】
図1に示すように、背もたれ部13は、縦に伸延する左右の縦フレーム38を具備しており、この縦フレーム38の前側に、略中央に所定幅の長孔を形成した背もたれ板39を取付けるとともに、後側には背面カバー体40を取付け、この背面カバー体40と前記背もたれ板39との間にユニット配設空間を形成している。
【0036】
そして、このユニット配設空間に、被施療者を押圧によってマッサージするための左右一対のもみ玉14a、14bを備え、このもみ玉14a、14bを前記長孔に臨ませた状態で昇降可能とした機械式のマッサージユニット11を配設している(図3参照)。なお、このマッサージユニット11については後に詳述する。
【0037】
また、前記背もたれ部13の長孔を挟んで、背もたれ板39の左右側上部には背中部用エアバッグ(図1では図示省略)を、左右側下部に腰部用エアバッグ(図1では図示省略)をそれぞれ配設し、エアポンプ(図1では図示省略)から供給されるエアによって背中や腰を押圧するエアマッサージを実行可能としている(図6参照)。
【0038】
また、図1に示すように、前記座部12には、その左右側に肘掛部34を設けている。さらに、座部12の後部側には臀下部用エアバッグ(図1では図示省略)を、前部側には腿部用エアバッグ(図1では図示省略)を、左右側には臀側部用エアバッグ(図1では図示省略)をそれぞれ取付けている。
【0039】
前記脚載部31は、左右の脚を受ける半円筒状の左右脚受部を並設した本体部32と、同本体部32の先端に連設するとともに左右の足裏を受ける半円筒状の左右足裏受を並設した足裏受部33とから構成されている。前記本体部32の各脚受部の両内側面には、左右で対をなす脚上部用エアバッグ(図1では図示省略)を取付けている。また、前記足裏受部33の各足裏受の両内側面にも、左右で対をなす脚下部用エアバッグ(図1では図示省略)を取付けている(図6参照)。
【0040】
次に、マッサージユニット11の構造について図3を参照して説明する。図3(a)はマッサージユニット11の正面図、図3(b)は同背面図、図3(c)は同左側面図である。
【0041】
マッサージユニット11は、施療体駆動ユニットとしてのもみ玉駆動ユニットを収納したものである。そのもみ玉駆動ユニットは、施療体として配設した左右一対のもみ玉14a、14bをたたき方向に揺動させることによってたたき作動を行わせるたたき機構と、前記もみ玉14a、14bを偏心回動させることによってもみ作動を行わせるもみ機構とを具備している。そして、マッサージユニット11は、背もたれ部13の表側、すなわち背もたれ面側(被施療者と接する側)に向けて進退移動可能に構成され、進退した位置によって、もみ玉14a、14bによる被施療者への押圧力を変え、マッサージ強度を変えるようにしている。
【0042】
図3示すように、マッサージユニット11には、そのマッサージユニット11を昇降させるため昇降用モータm1が配設されている。また、前記昇降用モータm1と連動連結するとともに、前記もみ玉駆動ユニットを前後揺動自在に支持した昇降軸28と、その昇降軸28の両端に取り付けたピニオンギヤ29とを備え、このピニオンギヤ29が前記背もたれ部13に配設した縦フレーム38に形成したラック歯と噛合している。
【0043】
また、マッサージユニット11には、前記もみ玉駆動ユニットを前後方向へ進退移動させるための進退用モータm2が配設されている。その進退用モータm2の駆動により、進退軸43を回転させ、円弧状ラック46上を、前記進退軸43に取り付けたピニオン44を前後方向に移動させてもみ玉駆動ユニットを揺動させて進退可能としている。49は前記進退軸43を回動自在に支持するための軸受である。
【0044】
さらに、マッサージユニット11には、前記もみ機構の主構成要素であるもみ用モータm3が配設されている。そのもみ用モータm3は、もみ用回動軸(図示せず)を介してもみ玉14a、14bと連動連結している。
また、このもみ用モータm3にはたたき用モータm4が並設されている。このたたき用モータm4は、たたき用回動軸(図示せず)を介してもみ玉14a、14bと連動連結している。
【0045】
前記もみ用モータm3の動作を制御することによって、もみ玉14a、14bの間の距離を拡縮させることができ、もみ玉14a、14bの間の距離を例えば「幅広」、「普通」、「幅狭」の内のいずれかの状態に設定して、もみマッサージなどを実行することができるようになっている。
【0046】
次に、本実施形態に係るマッサージ機10における動作全般を制御する制御ユニットG(制御手段)の構成について説明する。
本実施形態に係る制御ユニットGは、例えば、基台部35内の所定箇所に配設され、図6に示すように、CPUと、個別マッサージ設定情報やコース情報やその他各種プログラムなどを記憶する記憶手段としてのメモリ部G1と、各種モータなどの駆動制御を行う駆動制御部G2とを備えている。
【0047】
そして、CPUは、インターフェイスG3を介してリモコンR(図1)と、ロータリエンコーダE1,E3,E4とに接続している。また、CPUはインターフェイスG4を介して前記マッサージユニット11内に配設した昇降用モータm1、進退用モータm2、もみ用モータm3、及びたたき用モータm4、さらにはエアバッグ用エアポンプを接続している。
【0048】
また、前記メモリ部G1には、複数のマッサージプログラムが格納されており、前記リモコンRに設けた操作部からの指令信号に基づき、疲労回復、リフレッシュ、リラックスなどを目的として様々なマッサージモードを組合わせた複数の自動コースを実行可能としている。
すなわち、指圧、もみ、たたき、さすり、バイブ、ストレッチなどの基本マッサージ、さらにはローリング、エアマッサージなどの種類の異なったマッサージモードを、前記マッサージユニット11を駆動して実行させることができ、これらを適宜組合わせた多様なマッサージを実行する複数の自動コースが予めプログラミングされている。
【0049】
また、前記もみ玉駆動ユニットによるメカ的なマッサージとして、叩き、指圧、もみ(もみ上げ/もみ下げ)、さざなみ(もみ下げとたたきの複合動作)、深もみ上げ/深もみ下げと、さらに、極もみ、極たたき、及び首ほぐしの特別マッサージを実行可能とし、特に被施療者の肩部については、前記進退用モータm2を駆動してもみ玉駆動ユニットを前方へ進出させ、肩部をその上方からあたかも整体師が行うような本格的マッサージが行えるようにしている。
【0050】
このように、制御ユニットGは、もみ玉7,7の動作やマッサージユニット11の昇降動作を制御して、もみ玉7,7による機械的マッサージを実行させるとともに、エアバッグの膨縮に関わるエアポンプのオン・オフ動作を制御している。
なお、図示しないが、前記制御ユニットGは、インターフェイスG3を介して、背もたれ部13のリクライニング角度を検出するリクライニング角度検出センサと接続するとともに、リモコンRに設けた液晶表示部の表示についても制御する。
【0051】
上記構成において、本実施形態では、図2に示すように、前記マッサージユニット11の下方に、当該マッサージユニット11と座部12との間で、例えば人体の一部などを含む物体の挟み込みを検知する検知手段を備え、前記制御ユニットGは、前記マッサージユニット11が背もたれ部13に規定されたマッサージユニット移動領域内における所定位置よりも下方位置にあり、かつ降下中のときに検知手段によって物体の検知がなされた場合に限り、マッサージユニット11の降下を停止する制御を実行するようにしている。
【0052】
ここで、マッサージユニット移動領域とは、図2に示すように、背もたれ部13の上端部から下方に所定距離離れた位置を始点とし、マッサージユニット11のピニオンギヤ29がそのラック歯と噛合している縦フレーム38の最下端部を終点として、マッサージユニット11が背もたれ面に沿って移動する領域である。
また、特定領域とは、図2に示すように、マッサージユニット11が昇降する移動領域内にあって、子供の頭部や手足などの所定の物体が、座部12とマッサージユニット11との間で挟み込まれる可能性のある移動領域のことであり、本実施形態では、座部12の表面から上方の略200mmまでの領域をいう。
【0053】
ここで、マッサージユニット11の下部に配設される検知手段の構成について説明する。本実施形態に係る検知手段は、図4に示すように、回動式の構造を有するリミットスイッチとしている。
【0054】
図4(a)は検知手段となるリミットスイッチ16の側面断面視による説明図、図4(b)は正面断面視による説明図である。
図示するように、本実施形態に係る回動式のリミットスイッチ16は、主として、マッサージユニット11にビスなどにより取付けられる上ケース42と、物体に当接して回動する回動ケースとして機能する下ケース41とで構成されている。
上ケース42は、座部12の幅方向に伸延する細長の略箱形状を有し、その下端部が開放された空間を備えている。この上ケース42は、背もたれ部13の背もたれ面側(被施療者側)部分が高さ方向に深く形成されてスイッチ配設空間42aが形成され、背もたれ部13の背面側の部分が高さ方向に浅く形成されている。そして、前記スイッチ配設空間42aにマイクロスイッチ18が吊設されている。このマイクロスイッチ18は、例えばヒンジ型のアクチュエータ22を備えたものである。
【0055】
一方、回動ケースである下ケース41は、図示するように、上端面が開放され、断面視階段状に形成されており、前端部分に板ばね収納空間41aが形成されている。
また、下ケース41の長手側の左右端部が前記上ケース42内において枢軸42bに枢支されて回動自在に取付けられるとともに、その枢軸42bには付勢コイル54が巻き付けられて当該下ケース41を下方に付勢している。
また、下ケース41の前記板ばね収納空間41aには、上方に向かって突出した支持部材53に一端を片持ち支持された帯板形状の板ばね17が配設されている。
【0056】
また、上ケース42の前記スイッチ配設空間42aには、上ケース42の前壁から内側へ膨出した段部50を形成し、下ケース41が上方へ回動した際に、当該下ケース41の先端側上端部41bが前記段部50aと当接して、下ケース41がマイクロスイッチ18を押圧する押圧点よりも上方に回動するのを規制するストッパーとして機能させている。
【0057】
かかる構成の検知手段(リミットスイッチ16)を、本実施形態ではマッサージユニット11の下部における前記背もたれ部13の背もたれ面に近接するように取付けて、マッサージユニット11が下降中に下ケース41が何らかの物体に当接した場合、当該下ケース41が上ケース42内に押し込まれ、板ばね17を介してマイクロスイッチ18が押圧されてオン入力となって物体検知がなされることになる。
【0058】
このように、リミットスイッチ16を背もたれ部13の背もたれ面に近接させたことで、例えば子供の頭部や手足などが、背もたれ部13側に深く入り込まず、わずかに入り込んだ状態であっても、確実にその存在を検知することができる。
【0059】
しかも、このとき、マイクロスイッチ18は一端を片持ち支持された板ばね17の他端部によって押圧されるため、下ケース41が急激に上方回動しても、板ばね17の撓みによってマイクロスイッチ18に大きな負荷が加わることがなく、当該マイクロスイッチ18を破損させてしまうおそれがない。
【0060】
ここで、本実施形態に係る制御ユニットGがリミットスイッチ16の検知に基いて実行する挟み込み回避機能について説明する。
例えば、図1に示すように、マッサージユニット11が降下し、マッサージユニット11と座部12との間で子供の頭部に当接したとすると、マッサージユニット11の下部に設けられた前述した構成のリミットスイッチ16は、頭部の存在を即座に検知することができる。
【0061】
すなわち、マッサージユニット11の下部に設けられたリミットスイッチの下ケース41が上ケース42に向けて回動し、これに伴い、下ケース41に収納配設された板ばね17も上方に回動する。そして、板ばね17の表面がマイクロスイッチ18のヒンジ型のアクチュエータ22を押し込む。これにより、マイクロスイッチ18が挟み込みを検知して信号を発する。マイクロスイッチ18から発せられた信号は、制御ユニットGに送信される。
【0062】
そして、制御ユニットGは、前記マイクロスイッチ18から発した信号を受けると、マッサージユニット11のもみ玉14a,14bが動作中であるか否かを判定するとともに、後述するように、マッサージユニット11が特定領域内にあるか否かを判定して、もみ玉14a,14bが動作中でなく、かつマッサージユニット11が特定領域内にあると判定された場合に限り、マッサージユニット11の降下を停止するように制御する。
【0063】
又は、マッサージユニット11の降下を停止して、所定距離だけマッサージユニット11を上方に上昇させ、座部12とマッサージユニット11との間に位置した挟み込み寸前の頭部を抜き出しやすくするように昇降用モータm1の駆動制御を行う。このように、本実施形態に係るマッサージ機10では、座部12とマッサージユニット11とでの頭部などの挟み込みを未然に回避することができる。
【0064】
このように、本実施形態に係る制御ユニットGでは、施療体となるもみ玉14a,14bが動作している場合を除いてマッサージユニット11の降下を停止するようにしている。なお、もみ玉14a,14bが作動しているか否かは、制御ユニットGと接続されたロータリエンコーダE3,E4(図6)からの信号により検出することができる。
【0065】
次に、図7及び図8に示すフローチャートを参照して、上述したマッサージユニット挟み込み防止機能について説明する。なお、ここでは、マッサージユニット11は、もみ玉14a,14bが動作していない非マッサージ動作中に降下している場合としている。
【0066】
例えば、図7に示すように、制御ユニットGの制御によって昇降用モータm1が駆動され、マッサージユニット11が背もたれ部13上を下方に降している(S1工程)際に、制御ユニットGのCPUは、先ず、マッサージユニット11が特定領域にあるか否かを判定する(S2工程)。
特定領域とは、前述したように、マッサージユニット11が昇降する移動領域内にあって、子供の頭部や手足などの所定の物体が、座部12とマッサージユニット11との間で挟み込まれる可能性のある移動領域のことであり、本実施形態では、座部12の表面から上方の略200mmまでの範囲に設定されている。
【0067】
マッサージユニット11がその特定領域にあるか否かは、制御ユニットGにおいて、マッサージユニット11のロータリエンコーダE1によって検出することができる。あるいは、図示しないセンサなどを前記特定領域に配置して、そのセンサがマッサージユニット11を感知することにより、制御ユニットGが前記特定領域にあるか否かを判定することもできる。
【0068】
前記S2工程において、マッサージユニット11が前記特定領域に存在すると判定された場合、CPUは次のS3工程に処理を移す。他方、マッサージユニット11が前記特定領域に存在しないと判定された場合には、前記S1工程に戻り、マッサージユニット11の降下を継続する。
そして、前記特定領域内において、前記リミットスイッチ16に例えば子供の頭部が当接すると、このリミットスイッチ16から検知信号が前記制御ユニットGに送信される。すなわち、挟み込み検出がオンとなる(S3工程)。
【0069】
制御ユニットGのCPUは、リミットスイッチ16からの検知信号を受けて、マッサージユニット11の昇降用モータm1を緊急停止させるとともに、昇降用モータm1を反対に回転させて一旦上昇するように制御する(S4工程、)。そして、制御ユニットGのCPUは、マッサージユニット11が所定距離だけ(例えば数10mm)上昇したか否かを判定し(S5工程)、所定距離だけ上昇したと判定されると、マッサージユニット11の上昇を停止するように昇降用モータm1を制御する(S6工程)。
【0070】
この結果、物体とマッサージユニット11との間には適当な間隙が生じるため、物体が子供の頭部や手足、あるいは犬、猫などのペットであれば自力でも簡単に抜け出すことができる。また、物体がその他の無機物であった場合、発見した者が簡単に抜き取ることができる。
【0071】
また、制御ユニットGによるマッサージユニット挟み込み防止機能の他の制御フローについて、図8を用いて説明する。
図8に示すように、S3工程までは前述の制御と同じであるが、リミットスイッチ16により物体を検出したS3工程の後は、制御ユニットGのCPUは、即座に昇降用モータm1を停止させて、マッサージユニット11の降下を緊急停止させるのである。
この場合でも、マッサージユニット11の降下が停止され、例えば子供の頭部であればその挟み込みを回避することができる。また、硬い物体を挟み込んだりして、マッサージユニット11自体が損傷を受けることも回避できる。
【0072】
なお、上述してきた例では、マッサージユニット11が降下中の場合について、その下降動作を停止する制御について説明したが、制御ユニットGは、マッサージユニット11の下降動作のみならず、もみ玉駆動ユニットによるマッサージ動作などについても停止制御するようにしてもよい。また、マッサージ動作の停止タイミングとしては、下降動作の停止タイミングと同期させてもよいし、前後にずれていても構わない。
【0073】
ところで、本実施形態では、検知手段として回動式のリミットスイッチ16を用いたが、これに代えて、押圧式のリミットスイッチ21を用いることもできる。以下、図5を参照して、押圧式のリミットスイッチ21について説明する。なお、図5で用いた符号は、図4に示したリミットスイッチ16と同じ構成要素については同一のものを用いている。
【0074】
図5に示すように、押圧式のリミットスイッチ21は、主にマッサージユニット11に取付けられる下面開放とした細長い略箱状に形成された上ケース42と、人体の一部などを含む物体と当接する押圧ボタン19とから構成されている。
この押圧ボタン19は、略平板形状を有し、その両端に連結された2つのコイルばね45,45により、上ケース42内でマッサージユニット11の下方に付勢するように配設されており、物体と当接すると、上ケース42内に容易に押し込まれる。すなわち、コイルばね45,45によって、押圧ボタン19は上ケース42に対して進退自在に取り付けられている。
一方、前記上ケース42内には、前記押圧ボタン19による押圧を検知するマイクロスイッチ18,18が左右に所定距離を離して配設されている。これらのマイクロスイッチ18も、先に説明したリミットスイッチ16に用いられたものと同様に、例えばマイクロスイッチ18は、例えばリーフレバーのアクチュエータ22を備えたものである。
【0075】
このリミットスイッチ21では、押圧ボタン19を、マッサージ機10の座部12の幅方向に長辺を有する矩形形状とし、前記2つのマイクロスイッチ18,18は、この矩形の押圧ボタン19の左右両端部側にそれぞれ設けられているために、例えば、座部12から後方へ突出した物体が細いもの(手足を含む)であって、これが押圧ボタン19の左右いずれかに偏った位置に当接した場合でも、押圧ボタン19が傾いた状態で押し込まれ(後退し)、いずれかのマイクロスイッチ18が確実にオン入力する。したがって、物体の検知が迅速かつ確実に行われることになる。しかも、このリミットスイッチ21の構造は、前述したリミットスイッチ16よりも比較的に簡単であるため、コスト的にも有利となる。
【0076】
この押圧式のリミットスイッチ21を使用した場合について簡単に説明すると、マッサージユニット11が降下し、座部12とマッサージユニット11の下部とで例えば子供の頭部に当接すると、リミットスイッチ21の押圧ボタン19がコイルばね45に抗して後退し、押圧ボタン19の上面に配設されたマイクロスイッチ18のアクチュエータ22が押し込まれる。
これにより、マイクロスイッチ18が物体を検知して信号を発する。マイクロスイッチ18から発せられた検知信号は、制御ユニットGに送信され、前記回動式のリミットスイッチ16の場合と同様に、制御ユニットGによるマッサージユニット11の降下停止制御がなされ、物体挟み込み回避機能が実現される。
【0077】
ここで、前述した回動式のリミットスイッチ16の変形例について説明する。この変形例に係る回動式のリミットスイッチは、回動ケースの略中央位置を下方向に付勢するようにコイルばねを配設し、回動ケース内には、その取付基端部を前記コイルばねに近接配置して片持ち支持とするとともに、自由端先端部を前記回動ケースの長手方向に一旦伸延させて折り返して略U字状に形成した板ばねを配設して、この板ばねの自由端部でマイクロスイッチを押圧できるように、マイクロスイッチも前記コイルばねに可及的に近接させて配置したものである。
【0078】
なお、略U字状とはJ字状も含む概念であり、ここでは、自由端先端部の伸延長さが取付基端部まで達しないJ字状にしている。
【0079】
かかる構成により、コイルばねによる回動ケースの付勢位置、回動ケースに配設した板ばねによるマイクロスイッチの押圧位置がリミットスイッチ16の略中央に集中することになり、リミットスイッチ16としての構成上のバランスが良好となり、また、回動ケースの回動も円滑となる。そして、板ばねをJ字状に形成したため、板ばねの先端側が、ばねの自重により経時的に変形が生じ、元の状態に戻る復元力がなくなってしまうおそれを防止して、長期に亘って可撓性を維持可能としている。
また、前述の板ばね17を用いる場合は、これを収納する細長の収納空間を形成する必要があったが、ここでは収納空間も小さくて済むというメリットがある。
【0080】
以下、図10〜図13を参照して、回動式のリミットスイッチの変形例に係るリミットスイッチ25について説明する。なお、図10〜図13で用いた符号は、図4に示したリミットスイッチ16と同じ構成要素については同一のものを用いている。図10はリミットスイッチ25の全体構成を示す斜視図、図11は同リミットスイッチ25の背面断面視による説明図、図12は図11のA−A線における断面図、図13はリミットスイッチ25の分解斜視図である。
【0081】
図示するように、本変形例に係るリミットスイッチ25は、主として、マッサージユニット11にビスなどにより取付けられる上ケース42と、物体に当接して回動する回動ケースとして機能する下ケース41とで構成されている。
上ケース42は、座部12の幅方向に伸延する細長の略箱形状を有し、その下端部が開放された空間を備えている。この上ケース42は、背もたれ部13の背もたれ面側(被施療者側)部分を高さ方向に深く形成したスイッチ配設空間42aを形成している。
【0082】
そして、前記スイッチ配設空間42aに、プリント基板61上に配設されたマイクロスイッチ18を、後述する上ケース42の中央位置に配設した付勢コイル54に可及的に近接するように設けている。このマイクロスイッチ18は、例えばヒンジ型のアクチュエータ22を備えたものであり、このマイクロスイッチ18の検知信号は、プリント基板61上に配設されたコネクタ62とハーネス63とを介して、制御ユニットGに送信される。
【0083】
また、下ケース41の長手側の左右端部は、前記上ケース42内において、被施療者側から遠くなるビスからなる枢軸42bに枢支されて回動自在に取付けられている。また、上ケース42の中央部には、付勢コイル収納空間66が形成されており、その付勢コイル収納空間66にコイルばねからなる付勢コイル54が収納配設されている。この付勢コイル54は、下ケース41の略中央位置を下方に付勢するように配設しているため、下ケース41の回動動作は極めて円滑になる。
【0084】
一方、回動ケースである下ケース41は、図示するように、上端面が開放され、略箱形状に形成されている。また、下ケース41の背面視左半部に板ばね収納空間41aが形成されている(図11及び図12)。そして、この板ばね収納空間41aには、ボス状に突設した支持部材53に基端をねじ64で固着されて片持ち支持されたJ字形状の板ばね26が配設されている。
また、ここでは、この板ばね26の前記支持部材53への取付基端を前記付勢コイル54にできるだけ近接させ、この取付基端からJ字状に折り返された先端までの長さを先に説明したリミットスイッチ16に設けた細長の板ばね17と略同等としているため、マイクロスイッチ18を押圧する際の撓み量は変わらず、この場合においてもマイクロスイッチ18を破損させてしまうおそれはない。しかも、板ばね26のマイクロスイッチ18への作用点も、付勢コイル54に可及的に近接することになり、下ケース41の回動と、この回動動作に伴う板ばね26によるマイクロスイッチ18の押圧とのバランスも極めて良好となっている。
【0085】
また、上ケース42の前記スイッチ配設空間42aには、先に説明した回動式のリミットスイッチ16(図4参照)と同様に、段部50aが形成されており、この段部50aと下ケース41の先端側上端部とが当接して、下ケース41がマイクロスイッチ18を押圧する押圧点よりも上方に回動するのを規制するストッパーとして機能させている。
【0086】
このように、本変形例に係るリミットスイッチ25で用いた板ばね26は、J字状に形成されているため、先に説明したリミットスイッチ16に設けた細長の板ばね17に比べて、その実質長さは略同等であるにもかかわらず、取付基端から先端までの直線距離は短くなっているため、自重によって、経時的に先端側が垂れてしまうような変形を防止でき、マイクロスイッチ18のオン・オフの応答性を損なうおそれがない。さらに、板ばね26をJ字形状にして全長を短くしたことにより、板ばね収納空間41aを小さくすることができるため、例えばこの板ばね収納空間41aの反対側に他の装置類を配設することが可能になるなど、椅子式のマッサージ機10の設計自由度も損なうことがない。
【0087】
上述してきたマッサージ機10において、さらに、物体突出検知手段を備える構成とすることができる。
この物体突出検知手段は、人体の一部やその他の物体が座部12よりも後方へ突出していることを検出するもので、図示しないが、例えば、一対の光センサを備えた構成とするとことができる。
光センサとしては赤外線センサなどを用いることができ、マッサージユニット11が上下昇降する背もたれ部13の移動領域における下部側で、座部12の近傍に設けるとよい。そして、移動領域を挟んで対向する位置に発光素子と受光素子とを配設し、通常は発光素子からの光は遮られないが、物体が突出してくると、光が遮られることにより、何らかの物体が座部12の後端から後方へ突出したことを検出するように構成するのである。
そして、制御ユニットGがその検出結果に基づいて、マッサージユニット11の降下を停止させたり、あるいは下降速度を緩めたり、あるいは上昇に転じたりするなど適宜制御して、物体を座部12とマッサージユニット11との間で挟み込んでしまうことを、未然に防止するのである。
かかる物体突出検知手段を設けることによって、当該マッサージユニット11と座部12との間で子供の頭部や手足などを挟み込んだりするおそれを、より確実に解消することが可能となる。
【0088】
ところで、上述してきた実施形態では、マッサージユニット11の移動領域中に設定された特定領域を、座部12の上面から略200mmの範囲に定めたものとして説明したが、例えば図9に示すように、特定領域の範囲を拡大してもよい。
【0089】
図9は、マッサージユニット11の移動領域中に定められる特定領域の他の例を示しており、図示するように、例えば、子供が背もたれ部13にもたれかかって眠っている場合などに、何らかの理由でマッサージ機10が起動し、背もたれ部13の上部に位置していたマッサージユニット11が下降してきた場合、座部12とマッサージユニット11との間で、子供が挟み込まれるおそれがある。
【0090】
そこで、前記特定領域を、例えば座部12の上面から略500mmの範囲に設定しておけば、前述してきた制御によって、マッサージユニット11の下降が停止され、子供の頭部を保護することができるようになる。
【0091】
特定領域の設定は、工場出荷の時点でデフォルト値を定めておき、これを固定的に用いても構わないが、例えば、リモコンRなどを介して、使用者の方で適宜設定可能な構成にしてもよい。
【0092】
上述してきた実施形態より、以下のマッサージ機が実現する。
座部(12)と背もたれ部(13)とを有し、前記背もたれ部(13)に施療体(例えば、もみ玉14a,14b)を具備するマッサージユニット(11)を上下昇降自在に取付けた椅子式のマッサージ機において、前記マッサージユニット(11)の昇降動作を制御する制御手段(例えば、制御ユニットG)と、前記マッサージユニット(11)の下部に設けられ、当該マッサージユニット(11)と前記座部(12)との間での物体の挟み込みを検知する検知手段(例えば、リミットスイッチ16,21,25)と、を備え、前記制御手段(G)は、前記検知手段(16,21,25)により物体の検知がなされた場合、前記マッサージユニット(11)の動作を停止するマッサージ機。
【0093】
前記制御手段(例えば、制御ユニットG)は、前記マッサージユニット(11)が前記背もたれ部(12)の所定移動領域内における所定位置よりも下方位置にある時、及び/又は上昇中以外の時に前記検知手段(例えば、リミットスイッチ16,21,25)により物体の検知がなされた場合、前記マッサージユニット(11)を一旦上昇させた後、動作を停止するマッサージ機。
【0094】
前記検知手段(例えば、リミットスイッチ16,21,25)は、前記マッサージユニット(11)の下方に配設されているマッサージ機。
【0095】
前記検知手段(例えば、リミットスイッチ16)は、枢軸(42b)を中心に上下回動自在に取付けた回動ケース(例えば、下ケース41)と、この回動ケース(41)の先端部側に、ケース(41)の長手方向に沿って、一端を片持ち支持されて収納配設された板ばね(17)と、前記回動ケース(41)の回動により、前記板ばね(17)の他端部に押圧されることによって物体を検知するマイクロスイッチ(18)とを備えるマッサージ機。
【0096】
前記検知手段(例えば、リミットスイッチ25)は、枢軸(42b)を中心に上下回動自在に取付けた回動ケース(例えば、下ケース41)と、この回動ケースの略中央位置を下方向に付勢するコイルばね(例えば、付勢コイル54)と、前記回動ケース内に配設され、取付基端部を前記コイルばねに近接配置して片持ち支持するとともに、自由端先端部を前記回動ケースの長手方向に一旦伸延させて折り返した略U字状に形成した板ばね(26)と、前記コイルばねに近接配置され、前記回動ケースの回動により、前記板ばねの自由端部で押圧されることによって物体を検知するマイクロスイッチ(18)と、を備えるマッサージ機。
【0097】
前記枢軸(42b)を、前記座部(12)に対して、前記マイクロスイッチ(18)よりも後方に設けたマッサージ機。
【0098】
前記検知手段(例えば、リミットスイッチ21)は、進退自在に配設された押圧ボタン(19)と、この押圧ボタン(19)をマッサージユニット(11)の下方向に付勢する弾性体(例えば、コイルばね45)と、前記押圧ボタン(19)の後退により押圧されることによって物体を検知するマイクロスイッチ(18)とを備えた押圧式のスイッチであるマッサージ機。
【0099】
物体が前記座部(12)の後端よりも後方へ突出したことを検知する突出検出手段をさらに備え、前記制御手段(例えば、制御ユニットG)は、前記突出検出手段が物体を検出した場合、前記マッサージユニット(11)の降下を停止するマッサージ機。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】本実施形態に係るマッサージ機の全体構成を示す側面図である。
【図2】本実施形態に係るマッサージ機のマッサージユニットの移動領域及び特定領域を説明する側面図である。
【図3】本実施形態に係るマッサージ機の背もたれ部に配設されたマッサージユニットの構成を示す説明図である。
【図4】本実施形態に係る検知手段を示す説明図である。
【図5】検知手段の他の実施形態を示す断面視による説明図である。
【図6】本実施形態に係るマッサージ機の制御ブロック図である。
【図7】本実施形態に係るマッサージ機のマッサージユニットの降下フローを示すフローチャートである。
【図8】図5のフローとは異なるマッサージユニットの降下フローを示すフローチャートである。
【図9】マッサージユニットの移動領域中の特定領域の他の例を示す説明図である。
【図10】検知手段の変形例に係る回転式のリミットスイッチを示す斜視図である。
【図11】同リミットスイッチの背面断面視による説明図である。
【図12】図11のA−A線における断面図である。
【図13】同リミットスイッチの分解斜視図である。
【符号の説明】
【0101】
G 制御ユニット(制御手段)
10 マッサージ機、
11 マッサージユニット、
12 座部、
13 背もたれ部
14a、14b もみ玉(施療体)
16 回動式のリミットスイッチ(検知手段)
17 板ばね、
18 マイクロスイッチ、
19 押圧ボタン、
20 コイルばね、
21 押圧式のリミットスイッチ(検知手段)
22 アクチュエータ部
25 押圧式のリミットスイッチ(検知手段)
41 下ケース(回動ケース)
42b 枢軸
45 弾性体(コイルばね)
54 付勢コイル(コイルばね)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
座部と背もたれ部とを有し、前記背もたれ部に施療体を具備するマッサージユニットを上下昇降自在に取付けた椅子式のマッサージ機において、
前記マッサージユニットの昇降を含む各種動作を制御する制御手段と、
前記マッサージユニットの下部に設けられ、当該マッサージユニットと前記座部との間での物体の挟み込みを検知する検知手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記検知手段により物体の検知がなされた場合、
前記マッサージユニットの動作を停止することを特徴とするマッサージ機。
【請求項2】
前記制御手段は、
前記マッサージユニットが前記背もたれ部の所定移動領域内における所定位置よりも下方位置にある時、及び/又は上昇中以外の時に前記検知手段により物体の検知がなされた場合、前記マッサージユニットを一旦上昇させた後、動作を停止することを特徴とする請求項1に記載のマッサージ機。
【請求項3】
前記検知手段は、
前記マッサージユニットの下方に配設されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のマッサージ機。
【請求項4】
前記検知手段は、
枢軸を中心に上下回動自在に取付けた回動ケースと、
この回動ケースの先端部側に、ケースの長手方向に沿って、一端を片持ち支持されて収納配設された板ばねと、
前記回動ケースの回動により、前記板ばねの他端部に押圧されることによって物体を検知するマイクロスイッチと、
を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のマッサージ機。
【請求項5】
前記検知手段は、
枢軸を中心に上下回動自在に取付けた回動ケースと、
この回動ケースの略中央位置を下方向に付勢するコイルばねと、
前記回動ケース内に配設され、取付基端部を前記コイルばねに近接配置して片持ち支持するとともに、自由端先端部を前記回動ケースの長手方向に一旦伸延させて折り返した略U字状に形成した板ばねと、
前記コイルばねに近接配置され、前記回動ケースの回動により、前記板ばねの自由端部で押圧されることによって物体を検知するマイクロスイッチと、
を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のマッサージ機。
【請求項6】
前記枢軸を、前記座部に対して、前記マイクロスイッチよりも後方に設けたことを特徴とする請求項4又は5に記載のマッサージ機。
【請求項7】
前記検知手段は、
進退自在に配設された押圧ボタンと、
この押圧ボタンをマッサージユニットの下方向に付勢する弾性体と、
前記押圧ボタンの後退により押圧されることによって物体を検知するマイクロスイッチと、
を備えた押圧式のスイッチであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のマッサージ機。
【請求項8】
物体が前記座部の後端よりも後方へ突出したことを検知する突出検出手段をさらに備え、
前記制御手段は、
前記突出検出手段が物体を検出した場合、前記マッサージユニットの降下を停止することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のマッサージ機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−220590(P2008−220590A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−62394(P2007−62394)
【出願日】平成19年3月12日(2007.3.12)
【出願人】(000136491)株式会社フジ医療器 (137)
【出願人】(000164461)九州日立マクセル株式会社 (338)
【Fターム(参考)】