説明

マッサージ機

【課題】足をマッサージするマッサージ機能を有する本体部をベース部にリクライニング可能に搭載したマッサージ機において、本体部を無段階にリクライニング可能とする。
【解決手段】足のマッサージ機能を具えた本体部1と、該本体1を搭載したベース部2の両方に、本体部1のリクライニング軌跡を一定にするためのレール部3、3aを設け、本体部1とベース部2の両方に相手レール部3、3aに突っ張って無理に嵌まるスライド部材4、4aを設け、スライド部材4、4aの突っ張り力によって、無段階で本体部1のリクライニング姿勢を設定可能にできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、足用のマッサージ機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
被施療者の足先及びふくらはぎをマッサージする足用マッサージ機が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1の足用マッサージ機は、図17に示す如く、ベース部(2)と該ベース部(2)に前方へスライドしながらリクライニング可能に本体部(1)を取り付け、本体部(1)に被施療者の足先を挿入する凹状受部(11)と、被施療者のふくらはぎを挿入する脚受部(12)を具えている。
【0004】
上記足用マッサージ機は、実線で示す様に、本体部(1)を起立させた状態では被験者は椅子に座ってマッサージを受けることができ、二点鎖線で示す様に、本体部(1)をリクライニングさせると、被施療者が寝転んだ状態でも、マッサージを受けることができる。
【0005】
又、本体部(1)をリクライニングしても、凹状受部(11)と脚受部(12)との成す角度が一定のままであるから、ふくらはぎに対して足先が伸びてしまうことがない。本体部(1)を倒しても、ふくらはぎや足先の筋、筋肉が突っ張ることはなく、筋、筋肉が弛緩し、リラックスした状態を維持できる。
【0006】
従って、血管が圧迫されたり、血流が阻害されることはなく、マッサージ効果を高い状態で受けることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−268002公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1の足用マッサージ機は、本体部(1)を所望のリクライニング角度に保持することはできず、被施療者の好むリクライニング角度を維持したまま、マッサージを受けることはできない。この様に、足の位置が決まらぬ不安定な状態でマッサージを受けると、マッサージ効果が多少損なわれる。
【0009】
本発明は、本体部を無段階、或いは多段階にリクライニング角度を調整して保持することにより、特許文献1の問題点を解決できる、足用のマッサージ機を明らかにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1のマッサージ機は、足をマッサージするマッサージ機能を有する本体部(1)を、ベース部(2)上にリクライニング可能に具えたマッサージ機において、本体部(1)とベース部(2)の両方、又は一方に、リクライニング軌跡を一定にするためのレール部(3)(3a)を設け、他方又は両方に、該レール部(3)(3a)に該レール部内面に突っ張って嵌まるスライド部材(4)(4a)を設け、レール部(3)(3a)とスライド部材(4)(4a)の突っ張り力によって、無段階で本体部(1)のリクライニング姿勢を設定可能である。
【0011】
請求項2は、請求項1のマッサージ機において、本体部(1)は被施療者の足先を挿入する凹状受部(11)と、被施療者のふくらはぎを挿入する脚受部(12)を有し、凹状受部(11)及び脚受部(12)の側面及び/又は底面にマッサージ手段を有する。
【0012】
請求項3は、請求項1又は2に記載のベース部(2)の左右両側の夫々にレール部(3)(3)とスライド部材(4)(4)が設けられ、本体部(1)の左右両側の夫々に、前記ベース部(2)のレール部(3)(3)とスライド部材(4)(4)に係合するスライド部材(4a)(4a)とレール部(3a)(3a)が設けられている。
【0013】
請求項4は、請求項1乃至3のマッサージ機において、スライド部材(4)(4a)は軸体(41)の両端に摺接部(42)(42)を有し、該摺接部(42)は押圧片(43)を有し、該押圧片(43)は摺接部(42)が無理にレール部(3)(3a)に嵌め込まれたことによる、弾性復帰によってレール部(3)(3a)の内面を押圧している。
【0014】
請求項5は、請求項4のマッサージ機において、摺接部(42)の輪郭は略矩形を呈し、長手方向に沿う両辺の内、少なくとも一方の辺の内側は、該辺に沿って表裏に貫通する長孔(44)が開設され、該辺は中央部が外側へ少し膨らんで押圧片(43)を形成している。
【0015】
請求項6は、請求項5のマッサージ機において、前記長孔(44)内には、前記押圧片(43)を外側へ付勢するバネ(50)を内装したものである。
【0016】
請求項7は、請求項6のマッサージ機において、前記バネ(50)は板バネからなり、板バネの両端部(51)を前記長孔(44)の両端部に係止させたものである。
【0017】
請求項8は、請求項4のマッサージ機において、摺接部(42)の輪郭は略円形であり、外周に直径線と略平行に、且つ点対称に表裏に貫通する切欠(46)(46)を施して、該切欠(46)から外側部分を押圧片(43)となしている。
【0018】
請求項9は、請求項1乃至3の何れかのマッサージ機において、スライド部材(4)(4a)は軸体(41)の両端に摺接部(42)(42)を有し、少なくとも一方の摺接部(42)の外端面に摺接部(42)とは別体の押圧片(43)を具え、該押圧片(43)をバネ(47)で外向きに付勢してレール部(3)(3a)の内面に突っ張っている。
【0019】
請求項10は、請求項1乃至3のマッサージ機において、レール部(3)(3a)の内面に、本体部(1)のリクライニング範囲に対応する長さ範囲に、摩擦係数が大で弾性を有する抵抗部材(48)が装着され、該抵抗部材(48)がスライド部材(4)(4a)に対して突っ張り力を付与している。
【0020】
請求項11は、請求項1乃至3の何れかのマッサージ機において、スライド部材(4)(4a)のレール部(3)(3a)との摺接面に、摩擦係数が大で弾性を有する抵抗部材(48)が装着され、該抵抗部材(48)の弾性変形でスライド部材(4)(4a)を突っ張り状態に保持する。
【0021】
請求項12のマッサージ機は、足をマッサージするマッサージ機能を有する本体部(1)を、ベース部(2)にリクライニング可能に搭載したマッサージ機において、本体部(1)とベース部(2)の両方、又は一方に、リクライニング軌跡を規制するレール部(3)(3a)を設け、他方又は両方に、該レール部(3)(3a)に嵌まって相対的に無理にスライド可能に係合するスライド部材(4)(4a)を設け、レール部(3)(3a)の内面には、スライド部材(4)(4a)のスライドに強い抵抗となる凸部(49)が等間隔に列状に多数個設けられ、隣り合う凸部(49)の間隔は、スライド部材(4)(4a)をスライド方向に余裕なく位置決めできる程度に開いており、スライド部材(4)(4a)が凸部(49)間に位置する多段階で本体部(1)のリクライニング姿勢を設定可能である。
【発明の効果】
【0022】
請求項1のマッサージ機は、マッサージ機能を有する本体部(1)のリクライニング軌跡を一定にするためのレール部(3)(3a)に、スライド部材(4)(4a)を相対的にスライドさせて本体部(1)をリクライニングさせるものであるが、スライド部材(4)(4a)は常時レール部(3)(3a)内面に突っ張り状態であるから、ベース部(2)に対して本体部(1)を強引に傾けない限り、本体部(1)のリクライニング角度は維持される。足を本体部(1)に載せた程度では本体部(1)のリクライニング姿勢は変わらない。
【0023】
従って、本体部(1)を所望の傾き姿勢に設定すると、その姿勢を維持したまま、足のマッサージを受けることができる。即ち、本体部(1)を任意の角度にリクライニングさせても、足の位置を安定させることができるから、マッサージ効果を損なうことはない。
【0024】
本体部(1)の傾き姿勢を変えるには、スライド部材(4)(4a)の突っ張り力に打ち勝つ力で、スライド部材(4)(4a)をレール部(3)(3a)内でスライドさせればよい。
【0025】
請求項2のマッサージ機は、本体部(1)の凹状受部(11)に足先を、脚受部(12)にふくらはぎを挿入できるから、足の姿勢を一層安定させてマッサージを受けることができる。
【0026】
又、つま先に強い踏み込み力を加えると、本体部(1)を起立方向に姿勢を変えることが出来、ふくらはぎで脚受部(12)を下方に強い力で押し込むと、本体部(1)を倒れ方向に姿勢を変えることができ、マッサージを中断することなく、本体部(1)を所望のリクライニング姿勢に変えることができる。
【0027】
請求項3のマッサージ機は、本体部(1)の左右両側にて、夫々2箇所でレール部(3)(3a)とスライド部材(4)(4a)が係合しているから、本体部(1)のリクライニング動作を安定して行うことができる。
【0028】
請求項4のマッサージ機は、スライド部材(4)(4a)は軸体(41)の両端に設けた摺接部(42)(42)がレール部(3)(3a)内面を押圧しているから、スライド部材(4)(4a)とレール部(3)(3a)の相対的スライドが安定する。即ち、本体部(1)のリクライニング動作が安定する。
【0029】
請求項5のマッサージ機は、摺接部(42)の輪郭は略矩形を呈しているから、摺接部(42)がレール部(3)(3a)内で無駄に回転することを防止できる。
【0030】
請求項6のマッサージ機は、摺接部(42)の長孔(44)内に、押圧片(43)を外側へ付勢するバネ(50)を内装したから、押圧片(43)の弾性にばらつきが発生し、そのバネ圧がばらついたり、過荷重が加わって押圧片(43)のバネ特性が失われたりしても、バネ(50)により安定した押圧片(43)のバネ特性が確保でき、本体部(1)がリクライニングする際の任意の角度での保持力が安定し、また耐久性能も向上する。
【0031】
請求項7のマッサージ機は、長孔(44)内に内装するバネ(50)は板バネで、その両端を長孔(44)の両端部(51)に係止させているので、板バネ(50)の取り付けが簡単である。
【0032】
請求項8のマッサージ機は、摺接部(42)の輪郭は略円形であるが、外周に直径線と略平行に、且つ点対称に切欠(46)(46)を施して、該切欠(46)から外側部分を押圧片(43)となしている。従って、押圧片(43)(43)がレール部(3)(3a)内面に当たる様に、摺接部(42)を無理にレール部(3)(3a)に嵌め込むと、切欠(46)(46)が閉じる様に押圧片(43)(43)が弾性変形して摺接部(42)の円形が崩れる。このため、摺接部(42)がレール部(3)(3a)内で回転することを防止できる。
【0033】
請求項9のマッサージ機は、バネ(47)の種類やバネ強さの選択で、摺接部(42)のレール部(3)(3a)に対する突っ張り強さ変えることができる。
【0034】
請求項10のマッサージ機は、スライド部材(4)(4a)を弾性変形させる必要はないから、スライド部材(4)(4a)の材質の選択や、形状の選択に幅がある。
【0035】
請求項11のマッサージ機は、スライド部材(4)(4a)のレール部(3)(3a)との摺接面に抵抗部材(48)を装着すればよいから、レール部(3)(3a)に抵抗部材(48)を装着することに較べて、抵抗部材(48)の使用量は少なく、且つ抵抗部材(48)の装着も容易である。
【0036】
請求項12のマッサージ機は、レール部(3)(3a)上に並んだ凸部列の隣り合う凸部(49)(49)間にスライド部材(4)(4a)を落とし込んで、スライド部材(4)(4a)の位置決め、即ち、本体部(1)のリクライニング姿勢の保持を行うから、本体部(1)のリクライニング姿勢を変える際に、クリック間があり、所望の姿勢より行きすぎることを防止する効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の第1発明の第1実施例の足用マッサージ機を、本体部が起立した状態で斜め前方から見た斜視図である。
【図2】足用マッサージ機を、本体部が後傾した状態で斜め前方から見た斜視図である。
【図3】ベース部と本体部を分離した状態を斜め後方から見た斜視図である。
【図4】レール部とスライド部材の関係を示す説明図である。
【図5】スライド部材とレール部の係合状態を示す斜視図である。
【図6】図5A−A線に沿う断面図である。
【図7】レール部内でスライド部材が突っ張っている状態を示す説明図である。
【図8】本発明の第1実施例の異なる態様を示し、レール部内でスライド部材が突っ張っている状態を示す説明図である。
【図9】同異なる態様のスライド部材の側面図である。
【図10】第2実施例のスライド部材の斜視図である。
【図11】図8A−A線に沿う断面図である。
【図12】同上のスライド部材がレール部内で突っ張っている状態を示す説明図である。
【図13】a図は第3実施例のスライド部材がレール部に嵌まっている状態の説明図、b図は右半分はa図の側面図、左半分はa図のA−A線に沿う断面図である。
【図14】a図は第4実施例のスライド部材がレール部に嵌まっている状態の説明図、b図は右半分はa図の側面図、左半分はa図のA−A線に沿う断面図である。
【図15】a図は第5実施例のスライド部材がレール部に嵌まっている状態の説明図、b図は右半分はa図の側面図、左半分はa図のA−A線に沿う断面図である。
【図16】a図は第2発明におけるスライド部材がレール部に係合している状態の説明図、b図は右半分はa図の側面図、左半分はa図のA−A線に沿う断面図である。
【図17】特許文献1のマッサージ機の本体部のリクライニングの動きを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の足用マッサージ機について、図面に沿って説明する。
<第1発明>
図1乃至図9は、第1発明の第1実施例を示す。図1は、本発明の足用マッサージ機を、本体部(1)が起立した状態で斜め前方から見た斜視図、図2は、本体部(1)が後傾した状態で斜め前方から見た斜視図である。
【0039】
足用マッサージ機は、床面に載置されるベース部(2)と、該ベース部にリクライニング可能に支持される本体部(1)から構成される。
【0040】
ベース部(2)は、中空の樹脂製ケーシング(20)から形成される。ベース部(2)の内部には、後記する本体部(1)にマッサージ手段として配備されるエアバッグに圧縮空気を送給するエアポンプ、制御基板、電源ユニット(何れも図示せず)が収容される。
【0041】
ベース部(2)の前側の左右上部には、図3及び図4に示すように、前後方向に伸びる左右一対のレール部(以下、「第1レール部」)(3)(3)が形成されている。 第1レール部(3)は、下向きに円弧状に湾曲した断面矩形の中空体であり、上面中央には、長手方向に沿って幅狭のスリット(31)が開設されている。第1レール部(3)には、後述する本体部(1)上のスライド部材(以下、「第2スライド部材」)(4a)が嵌まっている。
【0042】
ベース部(2)の後側の上部には、上向きに左右一対のブラケット(21)(21)が突設されており、該ブラケット(21)(21)の上端には、後述する本体部(1)のレール部(以下「第2レール部」)(3a)(3a)に嵌まるスライド部材(以下「第1スライド部材」)(4)(4)が回動自由に軸支されている。
【0043】
本体部(1)は、中空の樹脂製ケーシング(10)から形成される。該ケーシングは、下側が前方に向けて突出し、後端側が上向きに突出している。ケーシング(10)には、図1に示すように、被施療者の足先を挿入する左右一対の凹状受部(11)(11)と、各凹状受部(11)(11)の後端から連続し、被施療者のふくらはぎを挿入する脚受部(12)(12)が凹設されている。左右の凹状受部(11)(11)間及び脚受部(12)(12))間には、仕切り部(13)が立設されている。凹状受部(11)(11)及び脚受部(12)(12)には、被施療者にマッサージを施すマッサージ手段が配備される。
【0044】
実施例のマッサージ手段は、エアバッグによる公知のものであるが、これに限定されるものではない。
【0045】
本体部(1)の後端左右には、図3、図4に示すように、前記ベース部(2)の第1スライド部材(4)が嵌まる第2レール部(3a)(3a)が形成されている。第2レール部(3a)は、外向きに円弧状に湾曲した断面矩形の中空体であり、後面側に長手方向に沿う幅狭のスリット(31a)が開設されている。
【0046】
第2レール部(3a)と前記ベース部(2)上の第1レール部(3)の曲率中心は同軸上に位置している。
【0047】
また、本体部(1)の前後方向における中央の左右には、下向きにブラケット(21a)(21a)を突設し、該ブラケット(21a)(21a)の先端に前記ベース部(2)の第1レール部(3)(3)に嵌まる第2スライド部材(4a)(4a)を回動自在に軸支している。
【0048】
実施例では、第1レール部(3)(3)と第2レール部(3a)(3a)は、同じ断面形状であり、本体部(1)のリクライニング範囲に対応して、第1、第2スライド部材(4)(4a)をスライド案内できる様に90°〜120°の円弧長さを有し、前後に位置をずらして配置されている。
【0049】
図5、図6は、第1スライド部材(4)を示しているが、第2スライド部材(4a)も同じ形状である。
【0050】
第1スライド部材(4)は合成樹脂にて一体成形されている。第1スライド部材(4)はブラケット(21)に回転自由に支持された軸体(41)の両端に摺接部(42)(42)
を具えている。
【0051】
摺接部(42)の輪郭は、4隅が丸い略矩形を呈し、長手方向に沿う両辺(レール部(3)(3a)の長手方向に沿っている)の内側に該辺に沿って表裏に貫通する長孔(44))が開設されており、長孔(44)の両端は、摺接部(42)の短手方向の辺に沿って短く屈曲している。
【0052】
摺接部(42)の外表面には、裏面に貫通しない複数の凹み部(45)が開設されている。凹み部(45)は成形時の「ひけ」による表面変形を防止する役割と、樹脂の節約の意味がある。
【0053】
摺接部(42)の長手方向に沿う辺の中央部は少し高く膨らんで、第2レール部(3a)の内面に対して突っ張る押圧片(43)(43)を形成している。
【0054】
尚、摺接部(42)の長手方向に沿う両辺の内、一方の辺の内側だけに長孔(44)を開設して、弾性変形する押圧片(43)を一方の辺だけに設けてもよい。
【0055】
然して、ベース部(2)上の第1スライド部材(4)(4)を本体部(1)の第2レール部(3a)(3a)に、本体部(1)上の第2スライド部材(4a)(4a)をベース部(2)上の第1レール部(3)(3)に夫々レール部の端部から無理に嵌め込む。
【0056】
第1、第2スライド部材(4)(4a)の押圧片(43)(43)が、長孔(44)の孔幅を狭める様に弾性変形することによって、第1、第2スライド部材(4)(4a)の嵌込みが可能となる。しかし、押圧片(43)(43)の弾性復帰力によって、第1、第2スライド部材(4)(4a)は、常時第1,第2レール部(3)(3a)の内面に対して突っ張り状態であるから、強い力を加えない限り、スライドすることはない。
【0057】
即ち、ベース部(2)に対して本体部(1)を強引に傾けない限り、本体部(1)のリクライニング角度は維持される。足を本体部(1)に載せた程度では本体部(1)のリクライニング姿勢は変わらない。
【0058】
従って、本体部(1)を所望の傾き姿勢に設定すると、その姿勢を維持したまま、足のマッサージを受けることができる。
【0059】
本体部(1)の傾き姿勢を変えるには、スライド部材(4)(4a)の突っ張り力に打ち勝つ力で、スライド部材(4)(4a)をレール部(3)(3a)内でスライドさせればよい。
【0060】
被験者は、本体部(1)の凹状受部(11)に足先を、脚受部(12)にふくらはぎを挿入した状態でマッサージを受けるのであるが、つま先に強い踏み込み力を加えると、本体部(1)を起立方向に姿勢を変えることが出来、ふくらはぎで脚受部(12)を下方に強い力で押し込むと、本体部(1)を倒れ方向に姿勢を変えることができる。従って、マッサージを中断することなく、本体部(1)のリクライニング姿勢を所望の姿勢に変えることができる。
【0061】
本体部(1)の左右両側にて、夫々2箇所でレール部(3)(3a)とスライド部材(4)(4a)が係合しているから、本体部(1)のリクライニング動作を安定して行うことができる。
【0062】
図8及び図9は、第1実施例の異なる態様を示す。この実施態様によると、第1、第2スライド部材(4)(4a)の摺接部(42)にある長孔(44)内に、前記押圧片(43)を常に外側(図9で矢印A方向)へ付勢する板バネ(50)を内装したものである。板バネ(50)はステンレス鋼板よりなり、その両端部(51)(51)は外側へ屈曲されて、長孔(44)の両端屈曲部(44a)に係止されている。
【0063】
押圧片(43)は、成形時のばらつきによりその弾性にばらつきが発生し、押圧片(43)を外側へ付勢する力が弱くなることがある。また、過荷重が長時間加わると、クリープ現象が発生し、バネ特性が失われることがある。
【0064】
しかし、押圧片(43)は板バネ(50)により、常時外側、即ち、レール部(3)(3a)の内面に向かって付勢されているので、仮にバネ特性が失われても、安定したバネ特性が確保できる。従って、本体部(1)がリクライニングする際、任意の角度での保持力が安定し、任意の角度で静止させることができる。また耐久性能も向上する。
【0065】
そしてこの板バネ(50)の長孔(44)への取り付けは、両端屈曲部(51)を長孔(44)の両端部屈曲部(44a)に係止させているだけなので、簡単に行なうことができる。である。
図10乃至図15は、第1発明の他の実施例で、第1、第2スライド部材(4)(4a)の突っ張り手段の他の例を示している。
【0066】
図10、図11、図12は第1発明の第2実施例を示し、第1、第2スライド部材(4)(4a)の摺接部(42)の輪郭は略円形であるが、外周に直径線と略平行に、且つ点対称に切欠(46)(46)を施して、該切欠(46)から外側部分を押圧片(43)となしている。
【0067】
押圧片(43)(43)がレール部(3)(3a)内面に当たる様に、摺接部(42)を無理にレール部(3)(3a)に嵌め込むと、切欠(46)(46)が閉じる様に押圧片(43)(43)が弾性変形する。押圧片(43)(43)の弾性復帰力によって、第1、第2スライド部材(4)(4a)は、常時第1,第2レール部(3)(3a)の内面に対して突っ張り状態であるから、強い力を加えない限り、スライドすることはない。
【0068】
又、上記状態ではスライド部材(4)(4a)の摺接部(42)の円形が崩れて押圧片(43)で突っ張るから、摺接部(42)がレール部(3)(3a)内で回転することを防止できる。
【0069】
図10の実施例において、摺接部(42)の外周部にて、押圧片(43)(43)の間に更に同様の押圧片を形成して、90°間隔に4つの押圧片(43)を設けることができる。この場合、万一スライド部材(4)(4a)がレール部(3)(3a)内で回転することがあっても、回転方向の次の押圧片が利いて、回転を90°に止めることができる。
【0070】
図13a、図13bは第3実施例を示し、円形のスライド部材(4)(4a)の摺接部(42)(42)の外端に、円形の凹み部(421)を有し、該凹み部(421)に両摺接部(42)とは別体の押圧片(43)を嵌め、該押圧片(43)をバネ(47)で外向きに付勢してレール部(3)(3a)の内面に突っ張る。
【0071】
バネ(47)は皿バネであるが、これに限らず、スライド部材(4)(4a)の軸体(41)を中空とし、該軸体(41)内に圧縮バネを収容して、押圧片(43)を外向き付勢することもできる。
【0072】
尚、スライド部材(4)(4a)の両摺接部(42)(42)の内、一方の摺接部(42)だけに、押圧片(43)をバネ付勢して配備しても、第1、第2スライド部材(4)(4a)を、第1、第2レール部(3)(3a)に突っ張って嵌めることができる。
【0073】
バネ(47)の種類やバネ強さの選択で、摺接部(42)のレール部(3)(3a)に対する突っ張り強さを選ぶことができる。
【0074】
図14a、図14bは第4実施例を示し、レール部(3)(3a)のスライド部材(4)(4a)との摺接面に、ゴム、ウレタン樹脂等、摩擦係数が大で弾性を有する抵抗部材(48)を、本体部(1)のリクライニング有効範囲に対応する範囲に装着している。
【0075】
スライド部材(4)(4a)を抵抗部材(48)を弾性変形させながら無理にレール部(3)(3a)へ嵌め込むことによって、該抵抗部材(48)の弾性復帰力でスライド部材(4)(4a)を突っ張り状態に保持できる。
【0076】
スライド部材(4)(4a)を弾性変形させる必要はないから、スライド部材(4)(4a)の材質の選択や、形状の選択に幅がある。
【0077】
図15a、図15bは第5実施例を示し、スライド部材(4)(4a)のレール部(3)(3a)との摺接面に、ゴム、ウレタン樹脂等、摩擦係数が大で弾性を有する抵抗部材(48)を装着している。
【0078】
スライド部材(4)(4a)を抵抗部材(48)を弾性変形させながら無理にレール部(3)(3a)へ嵌め込むことによって、該抵抗部材(48)の弾性復帰力でスライド部材(4)(4a)を突っ張り状態に保持できる。
【0079】
スライド部材(4)(4a)の摺接部(42)の周面及び外側端面に抵抗部材(48)を装着して、摺接面の面積を大きくすることが望ましい。
【0080】
スライド部材(4)(4a)のレール部(3)(3a)との摺接面に抵抗部材(48)を装着すればよいから、レール部(3)(3a)に抵抗部材(48)を装着することに較べて、抵抗部材(48)の使用量は少なく、且つ抵抗部材(48)の装着も容易である。
<第2発明>
図16a、図16bは、第2発明のレール部(3)(3a)とスライド部材(4)(4a)の係合状態を示している。第2発明の基本構成は上記第1発明と同様であるが、レール部(3)(3a)に大きな違いがあり、本体部(1)を無断階ではなく、多段階にリクライニング姿勢を設定できる特徴がある。
【0081】
レール部(3)(3a)の内面には、スライド部材(4)(4a)のスライドに強い抵抗となる凸部(49)が等間隔に多数個設けられ、隣り合う凸部(49)の間隔は、スライド部材(4)(4a)の摺接部(42)をスライド方向に余裕なく位置決めできる程度に開いている。スライド部材(4)(4a)が凸部(49)間に位置する多段階で本体部(1)のリクライニング姿勢を設定できる。
【0082】
本体部(1)のリクライニング角度を設定したときに、スライド部材(4)(4a)はレール部(3)(3a)に対して突っ張っていない点が、前記実施例1とは異なる。
【0083】
レール部(3)(3a)上に並んだ凸部列の隣り合う凸部(49)(49)間にスライド部材(4)(4a)を落とし込んで、スライド部材(4)(4a)の位置決め、即ち、本体部(1)のリクライニング姿勢の保持を行うから、本体部(1)のリクライニング姿勢を変える際に、クリック感があり、所望の姿勢より行きすぎることを防止する効果がある。
【0084】
上記実施例の説明は、本発明を説明するためのものであって、特許請求の範囲に記載の発明を限定し、或は範囲を減縮する様に解すべきではない。又、本発明の各部構成は上記実施例に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能であることは勿論である。
【0085】
例えば、第1、第2レール部(3)(3a)と第1、第2スライド部材(4)(4a)の嵌合を、何れも突っ張らせているが、どちらか一方の嵌合だけを突っ張らせる様にしてもよい。
又、レール部を本体部(1)又はベース部(2)の何れか一方だけに設け、他方には、該レール部に無理にスライド可能な複数のスライド部材を配備してもよい。
【0086】
又、実施例のレール部(3)(3a)は円弧状に湾曲しているが、円弧に湾曲させることに限定されない。単に湾曲しているだけでもよい。又、一方のレール部を直線状、他方のレール部を円弧状とすることもできる。
【0087】
更に、本体部(1)のレール部をV字状として、ベース部(2)に該V字状レール部の両側に嵌まる2つのスライド部材を設けてもよい。
【0088】
或いはベース部(2)のレール部をV字状として、本体部(1)に該V字状レール部の両側に嵌まる2つのスライド部材を設けてもよい。
【0089】
要は本体部(1)のリクライニング軌跡が一定となる様に、レール部(3)(3a)とスライド部材(4)(4a)で本体部(1)を案内できればよい。
【0090】
レール部(3)(3a)の曲がりによっては、本体部(1)がリクライニングンする際に、本体部(1)を前進させることもできる。この場合、本体部(1)の後方に椅子等の障害物があっても、リクライニングする際に本体部(1)が障害物に衝突することを避けることができる。
【符号の説明】
【0091】
(1) 本体部
(11) 凹状受部
(12) 脚受部
(2) ベース部
(3) 第1レール部
(3a) 第2レール部
(4) 第1スライド部材
(4a) 第2スライド部材
(41) 軸体
(42) 摺接部
(43) 押圧片
(50) 板バネ(バネ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
足をマッサージするマッサージ機能を有する本体部(1)を、ベース部(2)上にリクライニング可能に具えたマッサージ機において、本体部(1)とベース部(2)の両方、又は一方に、リクライニング軌跡を一定にするためのレール部(3)(3a)を設け、他方又は両方に、該レール部(3)(3a)に該レール部内面に突っ張って嵌まるスライド部材(4)(4a)を設け、レール部(3)(3a)とスライド部材(4)(4a)の突っ張り力によって、無段階で本体部(1)のリクライニング姿勢を設定可能な、マッサージ機。
【請求項2】
本体部(1)は被施療者の足先を挿入する凹状受部(11)と、被施療者のふくらはぎを挿入する脚受部(12)を有し、凹状受部(11)及び脚受部(12)の側面及び/又は底面にマッサージ手段を有する、請求項1に記載のマッサージ機。
【請求項3】
ベース部(2)の左右両側の夫々にレール部(3)(3)とスライド部材(4)(4)が設けられ、本体部(1)の左右両側の夫々に、前記ベース部(2)のレール部(3)(3)とスライド部材(4)(4)に係合するスライド部材(4a)(4a)とレール部(3a)(3a)が設けられている、請求項1又2に記載のマッサージ機。
【請求項4】
スライド部材(4)(4a)は軸体(41)の両端に摺接部(42)(42)を具え、該摺接部(42)は押圧片(43)を有し、該押圧片(43)は摺接部(42)が無理にレール部(3)(3a)に嵌め込まれたことによる、弾性復帰によってレール部(3)(3a)の内面を押圧している、請求項1乃至3の何れかに記載のマッサージ機。
【請求項5】
摺接部(42)の輪郭は略矩形を呈し、長手方向に沿う両辺の内、少なくとも一方の辺の内側は、該辺に沿って表裏に貫通する長孔(44)が開設され、該辺は中央部が外側へ少し膨らんで押圧片(43)を形成している。請求項4に記載のマッサージ機。
【請求項6】
前記長孔(44)内には、前記押圧片(43)を外側へ付勢するバネ(50)を内装してなる請求項5に記載のマッサージ機。
【請求項7】
前記バネ(50)は板バネからなり、板バネの両端部(51)を前記長孔(44)の両端部に係止させてなる請求項6に記載のマッサージ機。
【請求項8】
摺接部(42)の輪郭は略円形であり、外周に直径線と略平行に、且つ点対称に表裏に貫通する切欠(46)(46)を施して、該切欠(46)から外側部分を押圧片(43)となしている、請求項4に記載のマッサージ機。
【請求項9】
スライド部材(4)(4a)は軸体(41)の両端に摺接部(42)(42)を有し、少なくとも一方の摺接部(42)の外端面に摺接部(42)とは別体の押圧片(43)を具え、該押圧片(43)をバネ(47)で外向きに付勢してレール部(3)(3a)の内面に突っ張っている、請求項1乃至3の何れかに記載のマッサージ機。
【請求項10】
レール部(3)(3a)の内面に、本体部(1)のリクライニング範囲に対応する長さ範囲に、摩擦係数が大で弾性を有する抵抗部材(48)が装着され、該抵抗部材(48)がスライド部材(4)(4a)に対して突っ張り力を付与している、請求項1乃至3の何れかに記載のマッサージ機。
【請求項11】
スライド部材(4)(4a)のレール部(3)(3a)との摺接面に、摩擦係数が大で弾性を有する抵抗部材(48)が装着され、該抵抗部材(48)の弾性変形でスライド部材(4)(4a)を突っ張り状態に保持する、請求項1乃至3の何れかに記載のマッサージ機。
【請求項12】
足をマッサージするマッサージ機能を有する本体部(1)を、ベース部(2)にリクライニング可能に搭載したマッサージ機において、本体部(1)とベース部(2)の両方、又は一方に、リクライニング軌跡を規制するレール部(3)(3a)を設け、他方又は両方に、該レール部(3)(3a)に嵌まって相対的に無理にスライド可能に係合するスライド部材(4)(4a)を設け、レール部(3)(3a)の内面には、スライド部材(4)(4a)のスライドに強い抵抗となる凸部(49)が等間隔に多数個設けられ、隣り合う凸部(49)の間隔は、スライド部材(4)(4a)をスライド方向に余裕なく位置決めできる程度に開いており、スライド部材(4)(4a)が凸部(49)間に位置する多段階で本体部(1)のリクライニング姿勢を設定可能な、マッサージ機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2010−99449(P2010−99449A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−1081(P2009−1081)
【出願日】平成21年1月6日(2009.1.6)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)三洋電機コンシューマエレクトロニクス株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】