説明

マッサージ機

【課題】複数設けられるロック機構によるロックの解除を容易に行うことができるマッサージ機を提供する。
【解決手段】オットマン14は、座部に対して前後方向にスライドさせるスライド機構30によって前後方向にスライド移動される。オットマン14が座部の下部に収納された収納状態において前方へのスライド移動をロックする収納状態ロック機構40と、オットマン14が座部の前方に露出された使用状態において後方へのスライド移動をロックする使用状態ロック機構と、各ロック機構40によるスライド移動のロックを一つの操作部材としての引っ張り部材64にて解除可能な解除機構60とが備えられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、座部の前部にオットマンを備えたマッサージ機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、使用者が着座可能な座部の前部にオットマンを設け、そのオットマンに使用者の脚部をマッサージする膨縮動作可能なエアバッグを内蔵したマッサージ機が知られている。
【0003】
このようにマッサージ機に設けられるオットマンにおいては、そのオットマンがマッサージ時以外には邪魔となることも多く、その場合にはオットマンを収納できることが望まれている。これに対し、例えば特許文献1のマッサージ機では、例えば座部下部の収容空間を利用してオットマンを収容する構成が開示されている。
【0004】
特許文献1のマッサージ機では、オットマンが座部の前後方向においてスライド可能に構成されることで、座部下部の収容空間にオットマンを収容する収容状態と、オットマンを座部の前方に露出させて使用する使用状態とに切り替え可能とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−75590号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のようなマッサージ機では、オットマンがスライド可能に構成されているため、収容状態と使用状態との少なくとも2位置でロックするロック機構を設けることが望ましい。このように、ロック機構を設ける構成においては、通常、前記各状態の2位置でロックする場合にはそれぞれのロック機構が設けられ、各ロック機構によるロックを解除する際にはそれぞれのロック機構に対応した複数の解除機構を設けて各解除機構の各操作部材を使用者が操作する必要が生じる。しかし、各ロック機構のロック状態を解除する場合において別体の各操作部材を使用者が操作しなければならず、使用者にとってその操作が煩わしいといった問題が考えられる。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、複数設けられるロック機構によるロックの解除を容易に行うことができるマッサージ機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、使用者が着座可能な座部と、該座部の前部に使用者の脚部を載置可能なオットマンとを備え、該オットマンは、前記使用者の脚部を挿入配置可能な脚部用保持部と、前記使用者の足部を足裏から支持可能な足部用保持部とを別体となるよう有し、前記脚部用保持部及び前記足部用保持部の少なくとも一方にマッサージ手段が設けられ、該マッサージ手段にて前記使用者の脚をマッサージするマッサージ機であって、前記オットマンを前記座部の前後方向にスライドさせるスライド機構と、前記オットマンが前記座部の下部に収納された収納状態において前記オットマンの前方へのスライド移動を規制すべくロックする収納状態ロック機構と、前記オットマンが前記座部の前方に露出された使用状態において前記オットマンの後方へのスライド移動を規制すべくロックする使用状態ロック機構と、前記使用者による操作が可能な一つの操作部材にて前記各ロック機構によるスライド移動のロック状態を解除する解除機構とを備えたことをその要旨とする。
【0009】
この発明では、オットマンを座部の前後方向にスライドさせるスライド機構と、オットマンが座部の下部に収納された収納状態においてオットマンの前方へのスライド移動を規制すべくロックする収納状態ロック機構と、オットマンが座部の前方に露出された使用状態においてオットマンの後方へのスライド移動を規制すべくロックする使用状態ロック機構と、使用者による操作が可能な一つの操作部材にて各ロック機構によるスライド移動のロック状態を解除する解除機構とが備えられる。このように、1つの操作部材にて各ロック機構によるロックを解除することができるため、ロック機構によるロックの解除を容易に行うことができる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のマッサージ機において、前記解除機構は、前記各ロック機構毎にストッパ及びアーム部材を有し、前記操作部材の操作に基づいて回動軸を中心として各アーム部材を回動させることで、前記オットマン側のスライド部材との各ロック状態を解除するものであり、前記各アーム部材は1つの回動軸を中心に前記スライド方向両側に向けて回動可能に構成されたことをその要旨とする。
【0011】
この発明では、解除機構は、各ロック機構毎にストッパ及びアーム部材を有し、操作部材の操作に基づいて回動軸を中心として各アーム部材を回動させることで、オットマン側のスライド部材との各ロック状態を解除するものであり、各アーム部材は1つの回動軸を中心にスライド方向両側に向けて回動可能に構成される。このように、ロック状態を解除する際には、ストッパを有する各アーム部材を1つの回動軸を中心として回動されてアームが移動されるため、簡素な構成にて解除機構を構成することができる。また、回動軸が1つであるため、例えば各アーム部材に対応する個数だけ回動軸を設ける場合と構成して、部品点数を抑えることができる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のマッサージ機において、前記回動軸周りに装着され、前記各ロック機構毎のアーム部材を各ロック状態側に付勢する1つのねじりコイルばねを備えたことをその要旨とする。
【0013】
この発明では、回動軸周りに装着され、各ロック機構毎のアーム部材を各ロック状態側に付勢する1つのねじりコイルばねが備えられる。このように1つのねじりコイルばねにて各アームをロック状態側に付勢する簡素な構成とすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、複数設けられるロック機構によるロックの解除を容易に行うことができるマッサージ機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施形態におけるマッサージ機の概略構成を説明するための側面図である。
【図2】オットマンの収納状態について説明するための側面図である。
【図3】収納状態ロック機構及び使用状態ロック機構について説明するための側面図である。
【図4】(a)はオットマンの使用状態における脚載可能状態ついて説明するための側面図であり、(b)は使用状態ロック機構について説明するための要部拡大図である。
【図5】オットマンの使用状態におけるマッサージ可能状態について説明するための側面図。
【図6】リンク部材を連結する連結部材について説明するための斜視図である。
【図7】オットマンの回動を任意の位置でロックする回動ロック機構について説明するための側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1は、マッサージ機の側面を示す。椅子型マッサージ機10の椅子本体10aは、左右一対の支持脚部11にて支持された座部12の後端に背もたれ部13が組み付けられるとともに、座部12の前端にオットマン14が組み付けられてなる。また、着座した使用者の腕部を置くことのできる肘掛け部16が座部12の左右に設けられている。
【0017】
背もたれ部13には、施療子17aを有するマッサージ機構17が内装されるとともに、背もたれ部13の上下方向及び左右方向にマッサージ機構17(施療子17a)を所定量移動可能に構成されている。
【0018】
オットマン14は、使用者の脚部のうち下腿部分を保持するための脚部用保持部21と、足先部分の足裏部分を保持するための足部用保持部22とを別体に設けたものである。ここでの「下腿部分」は膝から足首までの部分を意味し、「足先部分」は足首から先の部分を意味する。
【0019】
図6に示すように、オットマン14の脚部用保持部21は、使用者の下腿部分の裏側(脹脛)から保持可能な2つの下腿保持面21a(図1等では1つのみ図示)と、各下腿保持面21aの左右両側から延出する側壁21bとを有している。このため、各側壁21b間に使用者の脚部(下腿)を挿入可能となっている。また、オットマン14の足部用保持部22は、使用者の足裏部分を保持可能な1つの足裏保持面22aと、この足裏保持面22aの左右方向両側から延出する側壁22bと、足裏保持面22aの裏側に位置する脚載面22cとを有している。脚部用保持部21の側壁21b及び足部用保持部22の足裏保持面22aには膨収動作が可能なエアバッグ23,24が設けられている。
【0020】
また、本実施形態のマッサージ機10のオットマン14は、スライド機構30によってオットマン14が前後方向に移動可能に構成されるとともに、座部12の下部に収納される収納状態(図1及び図2参照)と、座部12の前方にオットマン14が露出されてオットマン14を使用可能な使用状態(図4及び図5参照)とに切り替え可能となっている。
【0021】
図2に示すようにスライド機構30は、レール部材31と、スライドフレーム32とを有している。スライド機構30を構成するレール部材31は、座部12を構成する座部フレーム12aを支持する前後左右のそれぞれに立設される支持脚フレーム12bにおいて左右一対となるように固定されている。
【0022】
スライド機構30を構成するスライドフレーム32は、レール部材31に対してコロ部材33によって前後方向に移動可能となるように左右一対のレール部材31のそれぞれに対応して配置されている。そして、各スライドフレーム32は、それぞれの前端側に一対のリンク部材35が座部12の左右方向に延びる回動軸35aにて回動可能に接続されている。
【0023】
左右一対のリンク部材35は、図6に示すように連結部材36にて各リンク部材35が一体回動するよう連結されている。そして、リンク部材35には、前記オットマン14を成す脚部用保持部21及び足部用保持部22が回動軸35b,35cにてそれぞれ回動可能に設けられている。
【0024】
更に、マッサージ機10は、座部12の下部にオットマン14を収納する前記収納状態でオットマン14の前後方向へのスライド移動をロックするための収納状態ロック機構40と、座部12の前方にオットマン14を露出させる前記使用状態でオットマン14の前後方向へのスライド移動をロックするための使用状態ロック機構50とを有している。また、マッサージ機10は、各ロック機構40,50によるロックを解除する解除機構60と、この解除機構60によって各状態におけるロックを解除した場合にオットマン14を所定量移動させる付勢機構とを備えている。
【0025】
収納状態ロック機構40は、図2に示すように、支持脚フレーム12bに固定されたレール部材31側に設けられるストッパ41と、オットマン14と連結されるスライドフレーム32側に固定されるストッパ受け42とで構成されている。ストッパ41は、レール部材31に設けられるとともにレール部材31の長手方向と直交する方向である上方に延びる支持部31aの回動軸31bを中心として回動される回動アーム43を介してレール部材31に取り付けられている。ストッパ41は、回動アーム43の回動によって、ストッパ受け42に当たる下方位置と、ストッパ受け42には当たらない上方位置との間で、切り替え自在になっている。なお、回動アーム43は、ストッパ41を下方位置に保持するようにねじりコイルばね45によって付勢されている。
【0026】
使用状態ロック機構50は、図4に示すように、支持脚フレーム12bに固定されたレール部材31側に設けられる51と、オットマン14と連結するスライドフレーム32の後端部に固定されるストッパ受け52とで構成されている。ストッパ51は、レール部材31に設けられる上方に延びる前記支持部31aの回動軸31bを中心として回動される回動アーム53を介してレール部材31に取り付けられている。ストッパ51は、回動アーム53の回動によって、ストッパ受け52に当たる下方位置と、ストッパ受け52には当たらない上方位置との間で、切り替え自在になっている。また、ストッパ受け52を有する回動アーム53は、ストッパ51を下方位置に保持するようにねじりコイルばね45によってばね付勢されている。なお、このねじりコイルばね45は、前記収納状態ロック機構40のストッパ41を付勢するコイルばね45と同一のものである。つまり、各ロック機構40,50の回動アーム43,53は同一の回動軸31bを中心として回動されるとともに、その回動軸31bに設けられるねじりコイルばね45によって各回動アーム43,53を下方に付勢してストッパ41,51を下方位置に付勢している。
【0027】
解除機構60は、前記回動アーム43,53と、座部フレーム12aに設置される解除レバー61と、解除レバー61とそれぞれの回動アーム43,53とを接続する2つの線材62とを有している。解除レバー61は、座部フレーム12aに対して回動軸63aを中心として回動可能とされる解除プレート部材63と、この解除プレート部材63に設けられるとともに前記座部12及び前記肘掛け部16との間から一部が外部に露出される紐状の引っ張り部材64とを有している。そして、引っ張り部材64を上方に引っ張り上げると、解除プレート部材63が回動されて線材62を介して2本の回動アーム43,53が所定方向(本実施形態では上方)に揺動し、ストッパ41,51をストッパ受け42,52とは当たらない上方位置に移動させるようになっている。
【0028】
オットマン14を所定量移動させる付勢機構70は、レール部材31とスライドフレーム32との間に介在する引っ張りコイルばね71から成る。引っ張りコイルばね71は、オットマン14が座部12下方の収納状態にあるときにはスライドフレーム32に前方への付勢力を与えるとともに、オットマン14が使用状態にあるときにはスライドフレーム32に後方への付勢力を与えるようになっている。より具体的には、引っ張りコイルばね71は、互いの位置関係が前記収納状態及び使用状態とで相対的に変化する前記支持部31aと前記ストッパ受け42後部に設けられるとの間に接続されている。
【0029】
オットマン14が図2に示すように収納状態にあるときには、ストッパ41をストッパ受け42と係合させることでスライドフレーム32及びオットマン14の前後方向への移動がロックされている。この時、脚部用保持部21と足部用保持部22から成るオットマン14は、脚部用保持部21の一部(使用状態において上端側となる部分)が、足部用保持部22の左右の側壁22b間に収まり、小型化された状態で、座部12の下部の収容空間内に収納されて収納状態が保持されるようになっている。この収納状態において、脚部用保持部21はその下腿保持面21aを下方に向けた姿勢(以下「下向き姿勢」という)で位置し、足部用保持部22はその足裏保持面22aを後方に向けるとともに足裏保持面22aの裏側に位置する脚載面22cを前方に向けた姿勢(以下「後ろ向き姿勢」という)で位置する。なお、各保持部21,22を各姿勢に保持する手段としては、図2に示すように脚部用保持部21をスライドフレーム32側に付勢するばね80及びコイルばね81によって付勢されることで前記収容状態における下向き姿勢及び後ろ向き姿勢となるよう保持されている。そして、この下向き姿勢にある脚部用保持部21の前端部分(使用状態において上端側となる部分)を、足部用保持部22の左右の側壁22b間に収めることで、全体をコンパクト化している。
【0030】
一方、オットマン14を収納状態若しくは使用状態から他の状態に移行させる時には、図3に示すように前記引っ張りコイルばね71による付勢力が最も小さくなるロック解除状態となってから他の状態に移行されるようになっている。この場合、使用者によって引っ張り部材64が上方に引っ張られることで、解除プレート部材63が回動されて各回動アーム43,53の先端が上方に回動されることでストッパ41,51とストッパ受け42,52との係合が解除される。この解除と連動して、引っ張りコイルばね71の付勢力によってオットマン14全体を前方若しくは後方にスライド移動させるようになっている。
【0031】
また、オットマン14が図4又は図5に示すように使用状態にあるときには、ストッパ51をストッパ受け52と係合させることでスライドフレーム32及びオットマン14の前後方向への移動がロックされている。ここで、前記ロック解除状態から例えば図4に示す使用状態の内の脚載可能状態に移行させる際には、オットマン14全体を更に前方へと押し出す。すると、オットマン14は、収納状態における各姿勢を保持したまま、脚部用保持部21をスライドフレーム32側に付勢するばね80によってリンク部材35が回動軸35aを中心として回動されることで足部用保持部22の脚載面22cが座部12前方に露出される脚載可能状態となる。図4に示す脚載可能状態から図5に示す使用状態の内のマッサージ可能状態に移行させる際には、例えば足部用保持部22をコイルばね81の付勢力に抗する力で前方に回動させることで、リンク部材35によって連動されるように接続された脚部用保持部21が回動軸35bを中心として脚部用保持部21とは反対方向に回動されるようになっている。このように、各保持部21,22が連動されて回動されることで、下腿保持面21aと足裏保持面22aとが成す角度が略90度となり、使用者の脚部を載置して各エアバッグ23,24によるマッサージが可能なマッサージ可能状態となっている。
【0032】
上記のように構成されたマッサージ機10では、以下に述べるようにしてオットマン14を使用状態にセットして使用し、使用後はオットマン14を座部12下に容易且つコンパクトに収納させて収容状態としておくことができる。
【0033】
まず、使用者は本マッサージ機10使用に際し、オットマン14を収納させた状態のマッサージ機10の座部12上に着座する。座部12の側方からは、解除機構60の引っ張り部材64(図2等参照)を露出させており、この引っ張り部材64を上方に引っ張ることでストッパ41によるロックを解除し、引っ張りコイルばね71の付勢力によってオットマン14全体を図3に示す解除状態となる位置まで所定距離だけ前方に押し出させる。なお、オットマン14の脚部用保持部21は、特に外力が作用しない場合には前記下向き姿勢を維持するようにスライドフレーム32側にばね80により付勢されている。また、足部用保持部22は、リンク部材35との連結部位である回動軸35cにコイルばね81が設けられており、特に外力が発生しない時には、その爪先側を座部12に近づける方向に回転付勢力を与えるものである。したがって、足部用保持部22が有する足裏保持面22aを足裏で押し込むと、足部用保持部22は爪先側を前方に倒すように回転し、足裏の押し込みを戻せば、これに伴って足部用保持部22は爪先側を起こすように復帰する。このとき、足部用保持部22は使用者の足で押されることで前方に回転して使用者の足首の角度にフィットするように変位する。
【0034】
ここで、使用者がそのまま足裏を前方に押し出すと、スライドフレーム32を介して脚部用保持部21と足部用保持部22とが共に前方へ移動する。脚部用保持部21については、途中から座部フレーム12aと連結される連結部材(図示略)によってその先端側が座部12側に引っ張られることで回転駆動力を付与され、先端部分を上方に持ち上げるように回動される(図4参照)。これに伴って、リンク部材35を介して足部用保持部22が前記リンク部材35の回動軸35aを中心に各姿勢を保持したまま座部12側に回動されて、足部用保持部22の脚載面22cが使用者が着座した状態で例えば脹脛が好適に保持できる位置である脚載可能状態とされる。
【0035】
そして、使用者は図4のようにオットマン14が脚載可能状態である場合に、足部用保持部22を図4に示す状態から更に自身の足裏にフィットする角度まで座部12から遠ざかる方向に回動させると、リンク部材35にて連動される脚部用保持部21が足部用保持部22とは逆方向(座部12側)に回動される。これによって、脚部用保持部21は、その下腿保持面21aが座部12の前方に露出されて、使用者の脚部(下腿)をその保持面21aに載置させることが可能となるマッサージ可能状態(図5参照)とされる。なお、このマッサージ可能状態は前述したように各保持部21,22の保持面21a,22aがなす角度が略90度となるよう設定されているため使用者の膝下から足先を各保持面21a,22aに容易に載置することができるようになっている。このような状態において、例えば脚部用保持部21や足部用保持部22に配置したエアバッグ23,24によって脚部にマッサージを施すことができる。
【0036】
次に、本実施形態の特徴的な作用効果を記載する。
(1)オットマン14は、座部12に対して前後方向にスライドさせるスライド機構30によって前後方向にスライド移動される。オットマン14が座部の下部に収納された収納状態において前方へのスライド移動をロックする収納状態ロック機構40と、オットマン14が座部12の前方に露出された使用状態において後方へのスライド移動をロックする使用状態ロック機構50と、各ロック機構40,50によるスライド移動のロックを一つの操作部材としての引っ張り部材64にて解除可能な解除機構60とが備えられる。このように、1つの引っ張り部材64にて各ロック機構40,50によるロックを解除することができるため、ロック機構40,50によるロックの解除を容易に行うことができる。
【0037】
(2)解除機構60は、各ロック機構40,50毎にストッパ41,51及び回動アーム43,53を有し、操作部材としての引っ張り部材64の操作に基づいて回動軸31bを中心として各アーム43,53を回動させることで、オットマン14側のスライド部材との各ロック状態を解除される。この時、各アーム43,53は1つの回動軸31bを中心にスライド方向両側に向けて回動可能に構成される。このように、ストッパ受け42,52との係合状態を解除する際には、ストッパ41,51を有する各アーム43,53を1つの回動軸31bを中心として回動されてアーム43,53が移動されるため、簡素な構成にて解除機構60を構成することができる。また、回動軸31bが1つであるため、例えば各アーム43,53に対応する個数だけ回動軸を設ける場合と構成して、部品点数を抑えることができる。
【0038】
(3)回動軸31bには、各回動アーム43,53をストッパ41,51及びストッパ受け42,52がスライド方向において係合する位置まで付勢する1つのねじりコイルばね45が設けられる。このように1つのねじりコイルばね45にて各回動アーム43,53を付勢する簡素な構成とすることができる。
【0039】
尚、本発明の実施形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、引っ張り部材64の操作によって各アーム43,53を回動させる際に各回動アーム43,53の回動中心を1つの回動軸31bを共有する構成としたが、回動軸を複数設けて互いのアーム43,53の回動中心を共有しない構成を採用してもよい。
【0040】
・上記実施形態では、回動軸31bに1つのねじりコイルばね45を設けて各回動アーム43,53を下方向(スライドフレーム32)側に付勢するよう構成したが、各回動アーム43,53を付勢する構成はこれに限らない。
【0041】
・上記実施形態では、特に言及していないが、図7に示すようにオットマン14の脚部用保持部21の回動途中でその回動を停止させる回動ロック機構90を設ける構成を採用してもよい。
【0042】
・上記実施形態では、オットマン14の足部用保持部22と脚部用保持部21との両方にマッサージ手段としてのエアバッグ23,24を設ける構成としたが、これに限らずいずれか一方に設ける構成を採用してもよい。
【0043】
・上記実施形態では、背もたれ部13に施療子17aを有するマッサージ機構17を内蔵する構成としたが、前記マッサージ機構17を省略した構成を採用してもよい。
【符号の説明】
【0044】
10…マッサージ機、12…座部、14…オットマン、21…脚部用保持部、22…足部用保持部、23,24…マッサージ手段としてのエアバッグ、30…スライド機構、31b…回動軸、40…収納状態ロック機構、41,51…ストッパ、42,52…ストッパ受け、43,53…アーム部材としての回動アーム、45…ねじりコイルばね、50…使用状態ロック機構、60…解除機構、64…操作部材としての引っ張り部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者が着座可能な座部と、該座部の前部に使用者の脚部を載置可能なオットマンとを備え、該オットマンは、前記使用者の脚部を挿入配置可能な脚部用保持部と、前記使用者の足部を足裏から支持可能な足部用保持部とを別体となるよう有し、前記脚部用保持部及び前記足部用保持部の少なくとも一方にマッサージ手段が設けられ、該マッサージ手段にて前記使用者の脚をマッサージするマッサージ機であって、
前記オットマンを前記座部の前後方向にスライドさせるスライド機構と、
前記オットマンが前記座部の下部に収納された収納状態において前記オットマンの前方へのスライド移動を規制すべくロックする収納状態ロック機構と、
前記オットマンが前記座部の前方に露出された使用状態において前記オットマンの後方へのスライド移動を規制すべくロックする使用状態ロック機構と、
前記使用者による操作が可能な一つの操作部材にて前記各ロック機構によるスライド移動のロック状態を解除する解除機構と
を備えたことを特徴とするマッサージ機。
【請求項2】
請求項1に記載のマッサージ機において、
前記解除機構は、前記各ロック機構毎にストッパ及びアーム部材を有し、前記操作部材の操作に基づいて回動軸を中心として各アーム部材を回動させることで、前記オットマン側のスライド部材との各ロック状態を解除するものであり、
前記各アーム部材は1つの回動軸を中心に前記スライド方向両側に向けて回動可能に構成されたことを特徴とするマッサージ機。
【請求項3】
請求項2に記載のマッサージ機において、
前記回動軸周りに装着され、前記各ロック機構毎のアーム部材を各ロック状態側に付勢する1つのねじりコイルばねを備えたことを特徴とするマッサージ機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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