説明

マッサージ装置

【課題】マッサージ装置において、マッサージ効果を決して落とすことなく、消費電力の抑制や構造の簡潔化、部品点数の少数化、ひいてはそれらの総合的な結果としてのコストダウン等の要請に応え、また騒音の低減などをも可能にする。
【解決手段】本発明のマッサージ装置は、施療部Lを挟み込むように配備された固定側マッサージ部材15と可動側マッサージ部材16とを有するマッサージ部7が左右に並ぶ状態に左右一対設けられて成る揉み機構8と、揉み機構8に対して左右のマッサージ部7,7における可動側マッサージ部材16を左右に亘って貫通するように設けられた1本の回転軸9と、回転軸9を回転駆動する駆動部10と、回転軸9の回転力を前記可動側マッサージ部材16によるマッサージ動作に変換する左右一対の変換部11,11とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者の下肢等を好適にマッサージできるマッサージ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ふくはらぎや足等の下肢をマッサージする下肢用のマッサージ装置として、例えば、特許文献1で開示されたものがある。
特許文献1のマッサージ装置は、板状に形成された左右一対のマッサージ部材を具備する揉み手段が、左右方向に並んで一対設けられた構成となっている。
左右の各揉み手段において、左右一対のマッサージ部材は下肢をマッサージするためのものであって、下肢の長さ方向に対して互いに逆向きに傾斜した状態で配備されている。また、これら左右のマッサージ部材を貫通するようにして、軸心を左右に向けた回転軸が設けられており、この回転軸が回転すると、両マッサージ部材の一端部同士が近づくと共に他端部同士が遠ざかり、続けて、両マッサージ部材の一端部同士が遠ざかると共に他端部同士が近づくといった動作を繰り返すようになっている。
【0003】
従って、これら左右のマッサージ部材間に下肢を入れると、下肢の長手方向に亘りその左右両側を左右のマッサージ部材が押圧する動きを繰り返すようになり、使用者は、揉みマッサージを受ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第01/76527号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、特許文献1で開示されたような従来のマッサージ装置に対しても、消費電力の抑制や構造の簡潔化、部品点数の少数化、ひいてはそれらの結果としてのコストダウン等が要請されるところとなってきている。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、マッサージ効果を落とすことなく、消費電力の抑制や構造の簡潔化、部品点数の少数化、コストダウン等の要請に応えたマッサージ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明においては以下の技術的手段を講じた。
すなわち、本発明におけるマッサージ装置は、施療部を挟み込むように配備された固定側マッサージ部材及び可動側マッサージ部材を備えたマッサージ部と、前記マッサージ部の可動側マッサージ部材の基端側を貫通するように設けられた回転軸と、前記回転軸を回転駆動する駆動部と、前記回転軸の回転力を前記固定側マッサージ部材に対する可動側マッサージ部材の近接離反動作に変換する変換部と、を有することを特徴とする。
【0007】
このように一方のマッサージ部材を固定部材とすることで、マッサージ部材を駆動させるための部品点数がほぼ半減することになり、消費電力の抑制や構造の簡潔化、部品点数の少数化、コストダウン等の要請に応えることができるようになる。なお、このようにマッサージ部材の一方を固定することによっても施療部に対する押圧の効果(マッサージ感)は何ら低下するものではない。
【0008】
なお、前記変換部は、回転軸の軸方向中途部に固定され且つ回転軸に対して傾斜した無端状のカム面が周縁に形成された回転ボス部と、前記可動側マッサージ部材の貫通部に形成されて回転ボス部の周縁に摺動自在に嵌り込むハウジング部と、前記回転ボス部に対してハウジング部が供回りすることを規制する規制部と、を有する構造とするとよい。
前記回転軸は、固定側マッサージ部材を貫通すると共に、当該固定側マッサージ部材に対して回転自在に保持されているとよい。
【0009】
好ましくは、前記マッサージ部は左右に並ぶ状態で一対に設けられており、前記左右一対のマッサージ部において固定側マッサージ部材同士を左右方向で内側に配設し、可動側マッサージ部材を左右方向で外側に配設している構成とするとよい。
前記固定側マッサージ部材は、前記回転軸から離れるにしたがって可動側マッサージ部材の配備側へ漸近するように傾斜して設けられているとよい。
【0010】
このようにすることで、マッサージ中に固定側マッサージ部材と可動側マッサージ部材との相互間で施療部をしっかりと抱持できるようになり、施療部に対して、より効果的なマッサージが受けられるものとなる。
前記固定側マッサージ部材及び可動側マッサージ部材は、厚み方向に弾性変形可能な板材で形成されているとよい。
【0011】
前記固定側マッサージ部材と可動側マッサージ部材との間であって両部材の基端側に、施療部を支える支持部材が配備されているとよい。
こうすることで、マッサージ中において、施療部をこの支持部材に預け置くことができ、使用者にとって姿勢の安定化及び安楽化が図れることになる。
前記施療部は下肢とされているとよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るマッサージ装置によれば、マッサージ効果を落とすことなく、消費電力の抑制や構造の簡潔化、部品点数の少数化、コストダウン等の要請に応えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係るマッサージ装置の外観を示す斜視図である。
【図2】本発明に係るマッサージ装置の内部構造を示す斜視図である。
【図3】本発明に係るマッサージ装置の内部構造を示したものであり、図の左半部は正面断面図である。
【図4】図3のB−B線断面図である。
【図5】本発明に係るマッサージ装置の動作説明図(正面図)である。
【図6】本発明に係るマッサージ装置の動作説明図(平面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づき説明する。
図1〜図6は、本発明に係るマッサージ装置1の一実施形態を示している。
本実施形態においてマッサージ装置1は、ふくらはぎ等の下肢Lを施療部としてマッサージ施術を行うものである。
以下の説明では、説明の便宜上、図3の左右方向を実際の装置での右左方向と呼び、図3の紙面に垂直な方向(図4の左右方向)を実際の装置での前後方向と呼ぶ。これら装置説明における左右方向及び前後方向を図1及び図2に矢符によって付記する。また、図3の上下方向を装置説明における上下方向と呼ぶ。
【0015】
図1に示すように、マッサージ装置1は箱形のケーシング3によって覆われており、このケーシング3には、前後方向へ貫通し、且つ上方へ開放するように形成された切欠部2が左右に並んで配備されている。これら左右の切欠部2,2に対し、使用者の下肢Lを、その長手方向が前後に向く状態で差し入れることが可能となっている。
なお、実際の装置としては、ケーシング3の外側に更に、クッション材等を配備し布地などによるカバー材を被覆させるようにする。ケーシング3は金属製又はプラスチック製として、上下方向等で分割及び組み立てができる構造にしておけばよい。
【0016】
図2〜図4に示すように、ケーシング3内には、ケーシング3の底部と一体形成するか又は別部材として収納したベース板6が設けられており、このベース板6上に、左右方向に所定間隔をおいて左右のマッサージ部7,7が配備されている。これら左右のマッサージ部7,7は、ケーシング3内で左右の切欠部2,2に各対応した配置とされており、これによって揉み機構8が構成されている。
【0017】
また、ケーシング3内には、揉み機構8に加え、揉み機構8を左右方向に貫通するようにして設けられた1本の回転軸9と、この回転軸9を回転駆動する駆動部10と、回転軸9の回転を左右のマッサージ部7,7へ伝える部分で所定のマッサージ動作(固定側マッサージ部材15に対する可動側マッサージ部材16の近接離反動作)へと変換させる左右一対の変換部11,11とが設けられている。
【0018】
以下、各部構成について詳細に述べる。
揉み機構8である左右の各マッサージ部7は、それぞれ、下肢Lを挟み込むように互いに所定間隔をおいて配備された固定側マッサージ部材15と可動側マッサージ部材16とを有している。左右のマッサージ部7,7間において、固定側マッサージ部材15同士が左右方向の内側に寄り合うようにして配備されており、可動側マッサージ部材16同士が左右方向の外側に離れて配備されている。
【0019】
そのため、ケーシング3の各切欠部2,2へ下肢Lを入れたとき、下肢Lにおける左右方向の内側面に固定側マッサージ部材15が対面し、下肢Lにおける左右方向の外側面に可動側マッサージ部材16が対面する状態となる。すなわち、下肢Lは、固定側マッサージ部材15と可動側マッサージ部材との間に挟み込まれるようになる。
固定側マッサージ部材15、可動側マッサージ部材16は、いずれもナイロン板又は板バネなどの板材で形成されており、厚み方向に弾性変形可能となっている。また、これら固定側マッサージ部材15、可動側マッサージ部材16には、互いに対向する面で突出する複数の押圧突起14が設けられている。これら押圧突起14は、固定側マッサージ部材15と可動側マッサージ部材16との間に下肢Lが入れられたときに、下肢Lに当接して適度なマッサージ圧(刺激)を感じさせたり、下肢Lに対する滑止め作用を生じたりする。
【0020】
固定側マッサージ部材15には、その下端側にスタンド部17が一体形成されており、このスタンド部17はベース板6に固定されている。また、この固定側マッサージ部材15は、下部から上方へ向けて左右方向の外側へ傾斜して設けられている。すなわち、固定側マッサージ部材15は、回転軸9から離れるにしたがって(先端部に向かうにしたがって)可動側マッサージ部材16側へ漸近するように傾斜して設けられている、すなわち、固定側マッサージ部材15は、下肢Lの差し入れ側(図3の上側)へ向けて徐々に、可動側マッサージ部材16側へ近接するように傾斜している。
【0021】
これに対し、可動側マッサージ部材16は、その下端側(基端側)に変換部11が設けられており、この変換部11に回転軸9が貫通することで、ベース板6から浮き上がった状態に保持されている。
駆動部10は、電動モータ20と、この電動モータ20に連結された減速機21とを有している。減速機21は、ベース板6における左右方向の中央部であって、且つ、左右のマッサージ部7,7間に挟まれる配置で設けられている。すなわち、減速機21の左右両側には、左右のマッサージ部7,7における固定側マッサージ部材15が近接し、且つ背を向けるようにして配置されている。
【0022】
減速機21内にはウォームギア及びウォームホイル等の歯車機構22が内蔵されており、電動モータ20による出力回転がこの歯車機構22によって減速され、また電動モータ20の駆動軸に対して軸心を平面直交させた状態として、回転軸9に伝えられるようになっている。すなわち、この減速機21を左右方向に貫通した状態でその左右両側へ向けて回転軸9が突出し、回転可能に支持されている。
【0023】
回転軸9は、駆動部10の減速機21から左方及び右方へ突出すると、揉み機構8における左右のマッサージ部7,7に対し、まず固定側マッサージ部材15を左右方向に亘って貫通し、次いで可動側マッサージ部材16の変換部11を左右に亘って貫通し、最後に左右方向の軸端部が、それぞれベース板6の左右両端部に一体形成又は別体で取り付けられた軸受台23により保持される。
【0024】
回転軸9が固定側マッサージ部材15を貫通する部分では、回転軸9は固定側マッサージ部材15に対して回転自在(摺動自在)に保持されている。また軸受台23にはベアリングなどの軸受具24が取り付けられており、この軸受具24により、回転軸9は回転自在とされている。従って、回転軸9は、駆動部10(減速機21)と軸受具24との間が両端支持状態とされ、この両端支持間が、更に固定側マッサージ部材15により保持された状態として、回転が保持される構造となっていると言える。
【0025】
なお、回転軸9は、揉み機構8における左右のマッサージ部7,7間において、それらの可動側マッサージ部材16,16へ駆動を伝える構成として、1本だけが設けられている。
さらに、本実施形態において、回転軸9には、固定側マッサージ部材15と可動側マッサージ部材16との間を亘る部分に支持部材25が設けられたものとしている。
【0026】
この支持部材25は、左右両端部から中央部となるほど径大化されたドラム形(中膨れ円柱状)に形成され、且つ、ドラム中心が回転軸9に対して偏心したものとされている。この支持部材25は回転軸9に対し一体に回転するように取り付けられている。
従って、固定側マッサージ部材15と可動側マッサージ部材16との間に下肢Lを入れたとき、この下肢Lを支持部材25上へ預け置くことができ、使用者は安楽な姿勢をとれることになる。その上、回転軸9を回転させたとき、支持部材25は回転軸9の軸心を中心とした偏心回転をするので、下肢Lには下から押し上げるようなマッサージ作用が加わる。
【0027】
変換部11は、回転軸9の軸方向中途部(可動側マッサージ部材16を貫通している部分)で、この回転軸9と一体回転するように固定された回転ボス部30と、この回転ボス部30の外周部に対して相対回転自在に嵌り込むハウジング部31と、回転ボス部30の回転に連れられてハウジング部31が一緒に回転するのを阻止する規制部32とを有している。
【0028】
ハウジング部31は、可動側マッサージ部材16に対して一体に形成されるか又は別体として取り付けられている。
回転ボス部30には、当該回転ボス部30の端面に対し垂直ではなく所定角度で傾いた軸孔33が貫通形成されている。軸孔33に回転軸9が貫通しており、この回転軸9と回転ボス部30とは一体回転可能となっている。回転ボス部30の周縁には、回転軸9に対して傾斜状の無端軌道(カム面)34が形成されている。このカム面34の軸芯Pは回転軸9の軸芯に対して傾斜している。
【0029】
この無端軌道34にベアリング35が嵌め込まれ、このベアリング35を介して、ハウジング部31が回転ボス部30と相対回転するようになっている。なお、回転ボス部30には、ベアリング35を抜け止めするための止め部材36が取り付けられている。
左右のマッサージ部7,7に設けられる可動側マッサージ部材16(変換部11)の相互間において、それぞれの回転ボス部30は、軸孔33の傾斜方向が互いに逆向きとなるようにして回転軸9に固定されている。そのため、無端軌道34及びベアリング35についても、それぞれの回転ボス部30間で互いに逆向きに傾斜する関係とされている。
【0030】
規制部32は、ハウジング部31からベース板6へ向けて突出する係合突起40と、係合突起40を摺動自在とする左右方向を向いた摺動溝41とを有している。この摺動溝41は、ベース板6に対し、係合突起40が左右移動する範囲を前後から挟んでガイドするように設けられた前後一対のリブ42によって形成するとよい。なお、ベース板6に対し、その上下を貫通するようにして長手方向を左右方向へ向けた長孔を形成することで、この長孔内を摺動溝41として利用することも可能である。
【0031】
すなわち、前後のリブ42(摺動溝41内)に邪魔されて係合突起40が左右移動のみを許容されるようになることで、可動側マッサージ部材16は、回転軸9の回転に連れて一緒に回転することが阻止される。その結果、回転軸9と一体回転する回転ボス部30と、この回転ボス部30にベアリング35を介して嵌り込むハウジング部31との間に空転が生じ、ハウジング部31には、回転軸9の周りで左右方向へ振れ回転するような動きが伝えられることになる。このような動きが、可動側マッサージ部材16に左右方向の揺動を生じさせ、これが固定側マッサージ部材15との間でマッサージ動作(可動側マッサージ部材16の近接離反動作)となる。
【0032】
なお、このような構成のマッサージ装置1を椅子型マッサージ装置のフットレストとして実施する場合には、図1に示したように、ケーシング3の左右両側面に、左右方向で一軸配置となるようにして取付部45を設けておけばよい。すなわち、これら両取付部45を左右両外側から支持枠で挟持して、椅子型マッサージ装置の座部前方へ前後揺動自在に取り付ければよい。このような取り付けを行った際には、図1で示す装置前側は、当該フットレストを上昇させたとき、先端側となり、図1で示す装置後側は、当該フットレストを上昇させたとき、基端側(椅子型マッサージ装置に近い側)となる。勿論、本発明に係るマッサージ装置1を据え置き型として実施する場合では、このような取付部45は不要である。
【0033】
次に、本発明に係るマッサージ装置1の動作状況を説明する。図5及び図6は、揉み機構8における左右のマッサージ部7,7の動きを示している。
図5(a)及び図6(a)に示すように、左右のマッサージ部7,7において、固定側マッサージ部材15と可動側マッサージ部材16とが、上方ほど左右方向の外側へ向かうように傾斜しつつ、互いにほぼ並行する状態を、回転軸9の回転角度としての0°位置とおく。この状態から駆動部10の電動モータ20を駆動させ、回転軸9を回転させるものとする。
【0034】
回転軸9が回転を始めて、45°、90°、135°へと回転角度が変化してゆくと、図5(a)〜(d)及び図6(a)〜(d)に示すように、可動側マッサージ部材16はその前方上端部を固定側マッサージ部材15へ徐々に近接させるように動作する。またこの動きに合わせて、可動側マッサージ部材16の後方上端部は、反対に固定側マッサージ部材15から遠ざかるように動作する。
【0035】
回転軸9が更に回転して、180°、225°、270°、315°へと回転角度が変化してゆくと、図5(e)〜(h)及び図6(e)〜(h)に示すように、可動側マッサージ部材16はその前方上端部を固定側マッサージ部材15から徐々に遠ざけるように動作する。またこの動きに合わせて、可動側マッサージ部材16の後方上端部は、反対に固定側マッサージ部材15に近接するように動作する。
【0036】
回転軸9が図5(h)及び図6(h)に示す315°の位置を超えて回転すると図5(a)及び図6(a)に示す0°の位置へと戻り、可動側マッサージ部材16の動きも動作開始時に戻る。
このような動きの繰り返しとして、可動側マッサージ部材16は前方上端部を左右方向の内方、すなわち、固定側マッサージ部材15の配備側へ近接したり、反対に、左右方向の外方、すなわち、固定側マッサージ部材15の配備側から離反する揺動を行うものである。この間、可動側マッサージ部材16は、その前方上端部が僅かながら下降したり上昇したりを繰り返すので、可動側マッサージ部材16の長手方向に沿った揺動は、うねり状の立体的な動きを伴ったものとなる。
【0037】
言うまでもなく、固定側マッサージ部材15は固定されているので、上記したような可動側マッサージ部材16の動きとは無関係に不動状態を維持する。
このようなことから、左右のマッサージ部7,7へ下肢Lを入れると、使用者は、下肢Lが押圧されたり押圧力が緩められたり(解放されたり)するようなマッサージを受けることができる。すなわち、下肢Lは長手方向に沿った揉みマッサージを受けることになる。
【0038】
なお、固定側マッサージ部材15及び可動側マッサージ部材16は厚み方向に弾性変形可能であるので、押圧力が強すぎるという感じを受けることはない。また、これら固定側マッサージ部材15及び可動側マッサージ部材16には複数の押圧突起14が設けられているので、固定側マッサージ部材15及び可動側マッサージ部材16の弾性変形作用が、これら押圧突起14を介して下肢Lに点在的な刺激を与えるものとなり、使用者には快感となる。
【0039】
固定側マッサージ部材15が可動側マッサージ部材16の配備側へ向けて傾斜している点や、固定側マッサージ部材15及び可動側マッサージ部材16には複数の押圧突起14が設けられている構成により、下肢Lが固定側マッサージ部材15と可動側マッサージ部材16との間でしっかり抱持されるため、下肢Lの位置ズレは起きづらいものとなっている。
【0040】
以上詳説したところから明らかなように、本発明に係るマッサージ装置1では、一方のマッサージ部材(即ち、固定側マッサージ部材15)を固定しているので、駆動部10としては他方のマッサージ部材(即ち、可動側マッサージ部材16)だけを駆動すればよく、その結果、部品点数がほぼ半減している。そのため、消費電力の抑制や構造の簡潔化、部品点数の少数化、コストダウン等の要請に応えることができるようになる。また騒音の低減などをも可能になる。
【0041】
しかも、可動側マッサージ部材16を1本の回転軸9で駆動するため、回転軸9を駆動するための駆動部分の配置スペースも小さくすることができる。なお、このようにマッサージ部材の一方を固定することによっても下肢Lに対する押圧の効果(マッサージ感)は何ら低下するものではない。
ところで、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0042】
例えば、揉み機構8における左右のマッサージ部7,7は、固定側マッサージ部材15と可動側マッサージ部材16との左右の配置関係を逆にしてもよい。すなわち、左右一対のマッサージ部7,7間において、固定側マッサージ部材15同士を左右方向外側に配備させ、可動側マッサージ部材16同士を左右方向内側に配備させて設けられたものとすることができる。
【0043】
また、固定側マッサージ部材15及び可動側マッサージ部材16を側面視ブーツ形(長靴形)に形成して、ふくらはぎと足との両方をマッサージできるようにしてもよい。
本実施形態におけるマッサージ装置1の施療部は下肢Lに限定されない。腕などをマッサージすることも可能である。
【符号の説明】
【0044】
1 マッサージ装置
2 切欠部
3 ケーシング
6 ベース板
7 マッサージ部
8 揉み機構
9 回転軸
10 駆動部
11 変換部
14 押圧突起
15 固定側マッサージ部材
16 可動側マッサージ部材
17 スタンド部
20 電動モータ
21 減速機
22 歯車機構
23 軸受台
24 軸受具
25 支持部材
30 回転ボス部
31 ハウジング部
32 規制部
33 軸孔
34 無端軌道
35 ベアリング
36 止め部材
40 係合突起
41 摺動溝
42 リブ
45 取付部
L 下肢

【特許請求の範囲】
【請求項1】
施療部を挟み込むように配備された固定側マッサージ部材及び可動側マッサージ部材を備えたマッサージ部と、
前記マッサージ部の可動側マッサージ部材の基端側を貫通するように設けられた回転軸と、
前記回転軸を回転駆動する駆動部と、
前記回転軸の回転力を前記固定側マッサージ部材に対する可動側マッサージ部材の近接離反動作に変換する変換部と、
を有することを特徴とするマッサージ装置。
【請求項2】
前記変換部は、回転軸の軸方向中途部に固定され且つ回転軸に対して傾斜した無端状のカム面が周縁に形成された回転ボス部と、
前記可動側マッサージ部材の貫通部に形成されて回転ボス部の周縁に摺動自在に嵌り込むハウジング部と、
前記回転ボス部に対してハウジング部が供回りすることを規制する規制部と、
を有していることを特徴とする請求項1に記載のマッサージ装置。
【請求項3】
前記回転軸は、固定側マッサージ部材を貫通すると共に、当該固定側マッサージ部材に対して回転自在に保持されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のマッサージ装置。
【請求項4】
前記マッサージ部は左右に並ぶ状態で一対に設けられており、
前記左右一対のマッサージ部において固定側マッサージ部材同士を左右方向で内側に配設し、可動側マッサージ部材を左右方向で外側に配設していることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のマッサージ装置。
【請求項5】
前記固定側マッサージ部材は、前記回転軸から離れるにしたがって可動側マッサージ部材の配備側へ漸近するように傾斜して設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のマッサージ装置。
【請求項6】
前記固定側マッサージ部材及び可動側マッサージ部材は、厚み方向に弾性変形可能な板材で形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のマッサージ装置。
【請求項7】
前記固定側マッサージ部材と可動側マッサージ部材との間であって両部材の基端側に、施療部を支える支持部材が配備されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のマッサージ装置。
【請求項8】
前記施療部は下肢とされていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のマッサージ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−194142(P2011−194142A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−66462(P2010−66462)
【出願日】平成22年3月23日(2010.3.23)
【出願人】(592009214)大東電機工業株式会社 (106)
【Fターム(参考)】