マッサージ装置
【課題】簡易な構造で使用者に付与するマッサージ感の硬さを変更することのできるマッサージ装置を提供する。
【解決手段】マッサージ装置は、使用者に押し付けられる揉み玉32および揉み玉32を支持する回転軸31Aを有するとともに施療動作を行う施療子30を備える。揉み玉32は、回転軸31Aの軸方向において硬さが異なるものであり、使用者に対する揉み玉32の接触位置を変更することにより、使用者に付与するマッサージの硬さを変更する。
【解決手段】マッサージ装置は、使用者に押し付けられる揉み玉32および揉み玉32を支持する回転軸31Aを有するとともに施療動作を行う施療子30を備える。揉み玉32は、回転軸31Aの軸方向において硬さが異なるものであり、使用者に対する揉み玉32の接触位置を変更することにより、使用者に付与するマッサージの硬さを変更する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者に押し付けられる接触部材およびこの接触部材を支持する回転軸を有するとともに施療動作を行う施療子を備えるマッサージ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1のマッサージ装置の揉み玉においては、可撓性を有する中空状の表皮部内部に磁性粘性流体が充填されている。そして、使用者に付与するマッサージ感の硬さを変更するときには、磁性粘性流体の硬度が変更される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−24523号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のマッサージ装置では、揉み玉に磁性粘性流体および電磁石を設ける必要があるため、揉み玉の構造が複雑なものとなる。
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡易な構造の揉み玉で使用者に付与するマッサージ感の硬さを変更することのできるマッサージ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下、上記目的を達成するための手段について記載する。
・本発明のマッサージ装置は、使用者に押し付けられる接触部材およびこの接触部材を支持する回転軸を有するとともに施療動作を行う施療子を備えるマッサージ装置において、前記接触部材は、前記回転軸の軸方向において硬さが異なるものであり、使用者に対する前記接触部材の接触位置を変更することにより使用者に付与するマッサージ感の硬さを変更することを特徴としている。
【0006】
・このマッサージ装置においては、前記接触部材は、硬さの異なる複数の部材が重ね合わせられた構造を有することにより前記回転軸の軸方向の硬さが異なることが好ましい。
・このマッサージ装置においては、前記接触部材は、前記回転軸の軸方向と直交する方向の断面の形状が円形であり、硬い部分の径の大きさと軟らかい部分の径の大きさとが互いに異なることが好ましい。
【0007】
・このマッサージ装置においては、前記接触部材は、1つの部材の構造変化により前記回転軸の軸方向において連続的に硬さが異なることが好ましい。
・このマッサージ装置においては、前記接触部材は、発泡材からなる部分を含むものであり、前記回転軸の軸方向において前記発泡材の発泡倍率が異なることにより前記回転軸の軸方向において硬さが異なることが好ましい。
【0008】
・このマッサージ装置においては、前記接触部材は、無発泡材からなる外周層を備えることが好ましい。
・このマッサージ装置においては、前記接触部材は、前記回転軸の軸方向の端部の硬さが前記回転軸の軸方向の内側の硬さよりも軟らかいことが好ましい。
【0009】
・このマッサージ装置においては、このマッサージ装置は背もたれを備える椅子型のものであり、
前記背もたれは、前記背もたれに対する前記接触部材の奥行方向の位置、および前記背もたれに対する前記接触部材の高さ方向の位置、および前記背もたれに対する前記接触部材の幅方向の位置の少なくとも1つを変更することにより、使用者に対する前記接触部材の接触位置を変更するマッサージ機構を備えるものであり、前記マッサージ機構は、使用者に対して前記接触部材の前記回転軸の軸方向の端部を押し付けることにより使用者に付与するマッサージ感の硬さを柔らかくし、使用者に対して前記接触部材の径方向の端部を押し付けることにより使用者に付与するマッサージ感の硬さを硬くすることが好ましい。
【0010】
・このマッサージ装置においては、使用者に対する前記接触部材の押付力を変更することにより、使用者に付与するマッサージ感の硬さを変更することが好ましい。
・このマッサージ装置においては、使用者に対する前記接触部材の押付力を検出する圧力センサを備え、この圧力センサの検出値に基づいて前記押付力を制御することが好ましい。
【0011】
・このマッサージ装置においては、使用者までの距離を検出する距離センサが前記回転軸に設けられ、この距離センサの検出値に基づいて前記距離を制御することが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、簡易な構造の揉み玉で使用者に付与するマッサージ感の硬さを変更することのできる備えるマッサージ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1実施形態のマッサージ装置について、(a)はその側面構造を示す側面図、(b)はその正面構造を示す正面図。
【図2】同実施形態のマッサージ装置について、その電気的構成を示すブロック図。
【図3】同実施形態のマッサージ装置について、(a)は施療子の側面構造を示す側面図、(b)はアームを取り外した状態の施療子の正面構造を示す正面図。
【図4】本発明の第2実施形態のマッサージ装置について、アームを取り外した状態の施療子の正面構造を示す正面図。
【図5】同実施形態について、揉み玉の押付力と、揉み玉の変位量との関係を示すグラフ。
【図6】本発明のその他の実施形態のマッサージ装置について、アームを取り外した状態の施療子の正面構造を示す正面図。
【図7】本発明のその他の実施形態のマッサージ装置について、アームを取り外した状態の施療子の正面構造を示す正面図。
【図8】本発明のその他の実施形態のマッサージ装置について、アームを取り外した状態の施療子の正面構造を示す正面図。
【図9】本発明のその他の実施形態のマッサージ装置について、アームを取り外した状態の施療子の正面構造を示す正面図。
【図10】本発明のその他の実施形態のマッサージ装置について、アームを取り外した状態の施療子の正面構造を示す正面図。
【図11】本発明のその他の実施形態のマッサージ装置について、アームを取り外した状態の施療子の断面構造を示す断面図。
【図12】本発明のその他の実施形態のマッサージ装置について、揉み玉と使用者との関係を模式的に示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1実施形態)
図1〜図3を参照して、本発明の第1実施形態について説明する。
図1に示されるように、マッサージ装置10は背もたれ13を備える椅子型のものである。以下では、マッサージ装置10についての各方向をそれぞれ次のように示す。
【0015】
床面Aに垂直な方向を「高さ方向Y」とする。また、高さ方向Yにおいて床面Aから使用者100に向かう方向を「上方」とする。また、高さ方向Yにおいて使用者100から床面Aに向かう方向を「下方」とする。
【0016】
床面Aに平行な方向かつマッサージ装置10の長手方向を「奥行方向Z」とする。また、奥行方向Zにおいて使用者100の背面側から正面側に向かう方向を「前方」とする。また、奥行方向Zにおいて使用者100の正面側から背面側に向かう方向を「後方」とする。
【0017】
奥行方向Zおよび高さ方向Yに直交するマッサージ装置10の短手方向を「幅方向X」とする。また、幅方向Xにおいて使用者100の右手側から左手側に向かう方向を「左方」とする。また、幅方向Xにおいて使用者100の左手側から右手側に向かう方向を「右方」とする。
【0018】
図1(a)に示されるように、マッサージ装置10の座部12は、左右一対の支持脚11により支持されている。座部12の後方の端部には、座部12に対して傾けることができるように背もたれ13が設けられている。座部12の前方の端部には、座部12に対して傾けることができるようにオットマン14が設けられている。座部12の左方の端部および右方の端部には、奥行方向Zに延びる肘掛15が設けられている。
【0019】
背もたれ13の幅方向Xの中央部には、使用者100の背中のマッサージを行うマッサージ機構20が設けられている。
マッサージ機構20は、使用者100に押し付けられる接触部材としての揉み玉32を備える2つの施療子30を含む。また、使用者100に対する施療子30の位置を変更することのできる上下駆動部21および前後駆動部22および左右駆動部23を含む。
【0020】
上下駆動部21は、背もたれ13内において背もたれ13の上下方向に延びるガイドレール24を含む。上下駆動部21に設けられる駆動モータの駆動により、施療子30がガイドレール24に沿って背もたれ13の上方および下方に移動する。また、前後駆動部22に設けられる駆動モータの駆動により、施療子30は、奥行方向Zにおいて前方および後方に移動する。また、左右駆動部23に設けられる駆動モータの駆動により、施療子30は、幅方向Xにおいて右方および左方に移動する。
【0021】
ここで、揉み玉32の表面が使用者に接触し、かつ変形していないときの揉み玉32の中心、すなわち回転軸31Aの中心軸から使用者100までの距離を「基準距離」とする。この基準距離よりも回転軸31Aの中心軸から使用者100までの距離が近づいたときの距離の差を揉み玉32の「変位量」とする。
【0022】
揉み玉32が基準位置にあるときの変位量は「0」となる。また、背もたれ13から揉み玉32の中心までの距離を揉み玉32の「突出量」とする。また、揉み玉32を使用者100に押し付ける力の大きさを揉み玉32の「押付力」とする。
【0023】
揉み玉32が使用者100に押し付けられることにより、揉み玉32は弾性変形する。これにともない、揉み玉32が基準位置よりも使用者100までの距離が小さくなるため、揉み玉32の変位量が大きくなる。すなわち、揉み玉32の押付力が大きくなるにつれて、揉み玉32の変形量および揉み玉32の変位量は大きくなる。
【0024】
図2に示されるように、制御部40は、上下駆動部21および前後駆動部22および左右駆動部23の駆動を制御する。また、揉み玉32には、圧力検出手段としてのロードセル41が設けられている。ロードセル41は、揉み玉32の押付力に応じた信号を制御部40に対して出力する。
【0025】
制御部40は、マッサージ機構20の各駆動部25〜27を駆動することにより、施療子30に施療動作をさせる。なお、施療動作とは、使用者100の身体すなわち肩および背中および腰等の施療部位に、揉みや叩きのマッサージを施す施療子30の動作を示す。
【0026】
制御部40は、施療動作を行うとき、予めプログラムされたマッサージコースに従って使用者100に付与する押付力が目標値となるように、ロードセル41の出力信号に応じてマッサージ機構20のフィードバック制御を実施する。
【0027】
制御部40によるフィードバック制御について説明する。
制御部40は、ロードセル41の検出値と、マッサージコースに従った所望の押付力との差分を算出する。制御部40は、算出された差に予めプログラムされた係数を乗じた数値を算出するとともに、この算出した数値に基づいて施療子30の前後駆動部22による突出量を変更する。これにより、揉み玉32の押付力がマッサージコースに対応した所望の押付力となる。
【0028】
図3を参照して、施療子30の構造について説明する。なお、図3(b)は、施療子30からアーム31を取り除いた状態の施療子30の正面構造を示している。
図3(a)に示されるように、施療子30は、マッサージ機構20の本体部から背もたれ13に対して前方に延びるアーム31と、アーム31対して回転できるようにアーム31の先端部に取り付けられる回転軸31Aとを含む。また、この回転軸31Aに取り付けられる揉み玉32を含む。なお、回転軸31Aの軸方向は幅方向Xと一致している。
【0029】
図3(b)に示されるように、揉み玉32は、幅方向Xすなわち回転軸31Aの軸方向において、円筒形状の可撓性の部材を層状に重ね合わせて接着した構造を有する。揉み玉32の軸方向の中央部には、硬質部32Bが設けられている。硬質部32Bに対して、軸方向の右側および左側には、それぞれ硬質部32Bよりも軟かい軟質部32Aが設けられている。なお、図3(b)においては、揉み玉32の硬さの違いをドットの濃度で表現している。ドットの濃度が薄い部分は軟らかい部分を、またドットの濃度が濃い部分は硬い部分を示している。
【0030】
制御部40によるマッサージについて説明する。
使用者100の首に対してマッサージを行うとき、揉み玉32の軸方向の端面が首に押し付けられるとともに、揉み玉32が軸方向に変位するように制御される。首の右側には、右側の揉み玉32の右方の端部の軟質部32Aが押し付けられる。また、首の左側には、左側の揉み玉32の左方の端部の軟質部32Aが押し付けられる。すなわち、2つの揉み玉32の軟質部32Aが首を幅方向Xの両側から挟み込んだ状態でマッサージが行われる。これにより、使用者100には軟質部32Aの硬さに対応した柔らかいマッサージ感が付与される。
【0031】
使用者100の背中や肩等の施療部位に対してマッサージを行うとき、揉み玉32の径方向の端面が施療部位に押し付けられるとともに、揉み玉32が径方向に変位するように制御される。すなわち、施療部位には、軟質部32Aおよび硬質部32Bが押し付けられる。これにより、使用者には硬質部32Bの硬さに対応した硬いマッサージ感が付与される。
【0032】
本実施形態によれば、以下に示す効果が得られる。
(1)マッサージ装置10の揉み玉32は、回転軸31Aの軸方向において硬さが異なる。また、使用者100に対する揉み玉32の接触位置を変更することにより、使用者100に付与するマッサージ感の硬さを変更する。これにより、揉み玉32の回転軸31Aの軸方向の端面を使用者100に押し付けたとき、使用者100に付与されるマッサージ感の硬さが柔らかくなる。また、揉み玉32の径方向の端面を使用者100に押し付けたとき、使用者100に付与されるマッサージ感の硬さが硬くなる。すなわち、使用者100に対する揉み玉32の接触位置を変更することにより、1つの揉み玉32で変化に富んだマッサージを行うことができる。このように、マッサージ装置10によれば、簡易な構造の揉み玉32により使用者100に付与するマッサージ感の硬さを変更することができる。
【0033】
(2)マッサージ装置10の揉み玉32は、硬さの異なる複数の部材(軟質部32Aおよび硬質部32B)が重ね合わせられた構造を有することにより、回転軸31Aの軸方向の硬さが異なる。これにより、硬質部32Bと軟質部32Aとの境界が明確になるため、使用者100に対する揉み玉32の接触位置を変化させることにより、マッサージ感の硬さの違いを使用者100に明確に認識させることができる。
【0034】
(3)マッサージ装置10の揉み玉32は、回転軸31Aの軸方向の端部である軟質部32Aの硬さが硬質部32Bの硬さよりも軟らかい。このため、揉み玉32の右方の端面を使用者100に押し付けたとき、および揉み玉32の左方の端面を使用者100に押し付けたときのいずれにおいても、軟質部32Aの硬さに対応したマッサージ感を使用者100に付与することができる。
【0035】
(4)マッサージ装置10は、背もたれ13を備えている。背もたれ13には、背もたれ13に対する揉み玉32の奥行方向Zの位置、および背もたれ13に対する揉み玉32の高さ方向Yの位置、および背もたれ13に対する揉み玉32の幅方向Xの位置の位置を変更することができるマッサージ機構20が設けられている。そしてマッサージ機構20は、使用者100に対して揉み玉32の径方向の端部を押し付けることにより使用者100に付与するマッサージ感の硬さを硬くする。また、使用者100に対して揉み玉32の軸方向の端部を押し付けることにより使用者100に付与するマッサージ感の硬さを柔らかくする。このようにマッサージ装置10によれば、簡易な構造の揉み玉32により使用者100に付与するマッサージ感の硬さを変更することができる。
【0036】
(5)マッサージ機構20は、揉み玉32の押付力を変更することにより、使用者100に付与するマッサージ感の硬さを変更する。揉み玉32の回転軸31Aの軸方向の端面を使用者100に押し付けている状態において、左右駆動部23の力が小さいときには揉み玉32の押付力が小さくなる。このとき、主に軟質部32Aが弾性変形することにより、使用者100に付与されるマッサージ感は柔らかくなる。また、揉み玉32の回転軸31Aの軸方向の端面を使用者100に押し付けている状態において、左右駆動部23の力が大きいときには、揉み玉32の押付力が大きくなる。このとき、主に硬質部32Bが弾性変形することにより、使用者100に付与されるマッサージ感は硬くなる。
【0037】
(6)マッサージ装置10は、使用者100の揉み玉32が押し付けられるときの押付力を検出するロードセル41を備える。そして、ロードセル41の検出値に基づいて押付力を制御する。これにより、揉み玉32の回転軸31Aの軸方向の端面を使用者100に押し付けている状態において、揉み玉32の押付力の制御により軟質部32Aと硬質部32Bとを使い分けることができる。このため、揉み玉32の押付力の制御により使用者100に付与するマッサージ感の硬さを適切に制御することができる。
【0038】
(第2実施形態)
図4および図5を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。
本実施形態のマッサージ装置10は、第1実施形態のマッサージ装置10の揉み玉32を次のように変更したものとして構成されている。すなわち、本実施形態のマッサージ装置10においては、揉み玉32として、軟質部32Aの径方向の大きさを硬質部32Bの径方向の大きさよりも大きくしたものが設けられている。
【0039】
以下、この変更された部分についての詳細を示す。なお、その他の点については第1実施形態と同様の構成が採用されているため、共通する構成については同一の符号を付してその説明の一部または全部を適宜省略する。
【0040】
図4(a)は、揉み玉32の径方向の端面を使用者100に押し付けた状態、かつ揉み玉32が径方向に変位するように小さい押付力で使用者100に押し付けている状態を示している。この場合、軟質部32Aおよび硬質部32Bのうちの軟質部32Aのみが使用者100に押し付けられる。このため、軟質部32Aが弾性変形する。これにより、使用者100に対して柔らかいマッサージ感を付与することができる。
【0041】
図4(b)は、揉み玉32の径方向の端面を使用者100に対して押し付けた状態、かつ揉み玉32が径方向に変位するように図4(a)の状態よりも強い押付力で使用者100に対して押し付けられた状態を示している。この場合、軟質部32Aおよび硬質部32Bの両方が使用者100に押し付けられる。このため、軟質部32Aおよび硬質部32Bが弾性変形する。これにより、使用者100に対して硬いマッサージ感を付与することができる。
【0042】
図5に、揉み玉32の径方向の端面を押し付け、かつ揉み玉32が径方向の変位するように制御されるときの押付力と揉み玉32の変位量との関係をグラフに示す。
軟質部32Aと使用者100とが接触する状態(図4(a)参照)から、硬質部32Bが使用者100に接触しはじめる状態(図4(b)参照)までは、揉み玉32の変位にともない主に軟質部32Aが変形する。
【0043】
硬質部32Bが使用者100に接触しはじめる状態(図4(b)参照)よりも押付力が大きくなると、硬質部32Bが変形しはじめる(図4(c)参照)。
このように、軟質部32Aと硬質部32Bとの径方向の大きさが互いに異なることにより、押付力に応じて使用者に対して硬さが互いに異なる2種類のマッサージ感を付与することができる。
【0044】
本実施形態によれば、第1実施形態の(1)の効果、すなわち簡単な構造の揉み玉で使用者100に付与するマッサージ感の硬さを変更することができる旨の効果、および(2)〜(6)の効果に加えて以下に示す効果が得られる。
【0045】
(7)マッサージ装置10の揉み玉32は、回転軸31Aの軸方向と直交する方向の断面の形状が円形であり、硬質部32Bの径の大きさと軟質部32Aの径の大きさとが互いに異なる。これにより、揉み玉32の使用者100に対する押付力に応じて、使用者100に付与するマッサージ感の硬さを変更することができる。
【0046】
(8)マッサージ機構20は、揉み玉32の押付力を変更することにより、使用者100に付与するマッサージ感の硬さを変更する。そして、マッサージ機構20を通じて押付力を変更することにより、使用者100に付与するマッサージ感の硬さを変更する。揉み玉32の径方向の端面を使用者100に押し付けている状態において、揉み玉32の押付力が小さいとき、すなわち前後駆動部22の突出量が小さいとき、主に軟質部32Aが弾性変形することにより、使用者100に付与されるマッサージ感は柔らかくなる。また、揉み玉32の押付力が大きいとき、すなわち前後駆動部22の突出量が大きいとき、主に硬質部32Bが弾性変形することにより、使用者100に付与されるマッサージ感は硬くなる。
【0047】
(9)また、揉み玉32の径方向の端面を使用者100に押し付けている状態において、揉み玉32の押付力の制御により軟質部32Aが主に変形する状態および硬質部32Bが主に変形する状態のいずれでマッサージを行うかの選択ができる。このため、使用者100に付与するマッサージ感の硬さを適切に制御することができる。
【0048】
(その他の実施形態)
なお、本発明の実施態様は上記各実施形態に限られるものではなく、例えば以下に示すように変更することもできる。また以下の各変形例は、上記各実施形態についてのみ適用されるものではなく、異なる変形例同士を互いに組み合わせて実施することもできる。
【0049】
・上記第1実施形態では、揉み玉32として軟質部32Aおよび硬質部32Bの2つの部材により構成されるものを採用したが、1つの部材により構成される揉み玉32を採用することもできる。具体的には、図6(a)に示されるように、1つの部材の構造変化により軸方向(放射方向)の硬さが変化する揉み玉32を採用することもできる。この場合、軸方向の外側から内側に向かうにつれて揉み玉32の硬さが次第に大きくなる。
【0050】
軸方向の硬さを変化させるための構造変化としては、例えば揉み玉32の素材として発泡材を用いるとともにこの発泡材の発泡倍率を変化させるものが挙げられる。なお、発泡材としては、ニトリルゴム(NBR)、天然ゴム(NR)、クロロプレンゴム(CR)、エチレンプロピレンゴム(EPDM)またはポリウレタン等を発泡剤により発泡させたものを用いることができる。
【0051】
・上記の変形例において、図6(b)に示されるように、揉み玉32の外周の全体に無発泡材からなる薄い外周層32Fを設けることもできる。また、図6(a)に示される形態以外の揉み玉32、例えば、図3に示される揉み玉32、または図4に示される揉み玉32の軟質部32Aおよび硬質部32Bの少なくとも一方に上記外周層32Fを設けることもできる。この場合には、外周部として軟質部32Aよりも硬いものを設けることが好ましい。なお、外周層32Fは、無発泡かつ弾性を有する材料をディッピングによりコーティングして製造することができる。コーティングの材料としては、ポリウレタンやニトリルゴム(NBR)等を用いることができる。
【0052】
外周層32Fを有する揉み玉32においては、外周層32Fが設けられていない場合よりも揉み玉32の外周が硬くなる。このため、使用者100に対して揉み玉32を接触させる時間を変更することにより、次のように異なるマッサージ感を使用者100に付与することができる。すなわち、揉み玉32を接触させる時間を比較的短くした場合には、揉み玉32により叩かれている感覚が使用者100に付与される。また、揉み玉32を接触させる時間を比較的長くした場合には、揉み玉32により揉まれている感覚が使用者100に付与される。
【0053】
・上記各実施形態では、軟質部32Aおよび硬質部32Bの境界部が回転軸31Aの軸方向に対して直交するように揉み玉32を構成しているが、軟質部32Aおよび硬質部32Bの境界部の形状を次のように変更することもできる。すなわち、図7に示されるように、揉み玉32の正面視において軟質部32Aおよび硬質部32Bの境界部の少なくとも一方が軸方向に対して傾斜するように揉み玉32を構成することもできる。
【0054】
・上記第2実施形態では、揉み玉32として径の大きさが互いに異なる軟質部32Aおよび硬質部32Bにより構成されるものを採用したが、軟質部32Aおよび硬質部32Bの少なくとも一方の径の大きさが連続的に変化する揉み玉32を採用することもできる。その一例としては以下の(A)および(B)が挙げられる。なお、ここでは、軟質部32Aの軸方向の最も外側の部分の径を軟質径R1とし、軟質部32Aの軸方向の最も内側の径を軟質径R2とする。また、硬質部32Bの軸方向の最も外側の部分の径を硬質径R3とし、硬質部32Bの軸方向の中央部の径を硬質径R4とする。
【0055】
(A)軟質部32Aについて、軟質径R1を軟質径R2よりも小さくするとともに、軟質径R1の部分から軟質径R2の部分に向かうにつれて径を次第に大きくする。また硬質部32Bについて、硬質径R3および硬質径R4を互い同じ大きさにするとともに、軟質径R2よりも小さくする。また、硬質径R3の部分から硬質径R4の部分までの部分もこれら硬質径と同じ大きさにする。
【0056】
(B)上記(A)の形態において、硬質部32Bの径を次のように変更する。すなわち、硬質径R3を軟質径R2と同じ大きさにするとともに、硬質径R4を硬質径R3よりも大きくする。また、硬質径R3の部分から硬質径R4の部分までにわたり径を次第に大きくする。
【0057】
・上記第2実施形態では、揉み玉32として互いに径および硬さが異なる2種類の部材、すなわち軟質部32Aおよび硬質部32Bにより構成されるものを採用したが、さらに別の部材を含めて揉み玉32を構成することもできる。すなわち、図8に示されるように、軟質部32Aよりも径が小さくかつ硬質部32Bよりも径が大きいとともに、軟質部32Aよりも硬くかつ硬質部32Bよりも軟らかい中間部32Cを軟質部32Aと硬質部32Bとの間に設けることもできる。
【0058】
・上記第2実施形態では、揉み玉32として1つの硬質部32Bの両側に軟質部32Aが配置されたものを採用したが、揉み玉32の構成を例えば以下の(A)または(B)のように変更することもできる。
【0059】
(A)図9に示されるように、4つの軟質部32Aを設けるとともに、隣り合う軟質部32Aの間にそれぞれ硬質部32Bを設けることもできる。この場合、軸方向において隣り合う軟質部32A同士の間隔として、使用者100による各軟質部32Aの弁別が不可能となる間隔を設定することもできる。各軟質部32Aの間隔がこのように設定されているとき、左端の軟質部32Aから右端の軟質部32Aまでにわたり軟質部32Aが面で接触している感覚が使用者100に付与される。
【0060】
(B)図10に示されるように、回転軸31Aの軸方向において1つの軟質部32Aの両側に硬質部32Bを配置することもできる。この場合、軟質部32Aの外周面を使用者100に接触させるとともに揉み玉32を径方向に移動させることにより、柔らかいマッサージ感を使用者100に付与することができる。また、硬質部32Bの軸方向の端面を使用者100に接触させるとともに揉み玉32を軸方向に移動させることにより、硬いマッサージ感を使用者100に付与することができる。
【0061】
・上記各実施形態では、揉み玉32として軟質部32Aおよび硬質部32Bが回転軸31Aの軸方向において層状に配置されるものを採用したが、図11に示されるように、軟質部32Aにより覆われるようにその内部に硬質部32Bを配置することもできる。
【0062】
・上記各実施形態では、背もたれ13の中心線に対して左右対称の構造を有する2つの揉み玉32を設けたが、2つの揉み玉32の構造を左右非対称にすることもできる。例えば、右側の揉み玉32のうちの右端の軟質部32Aを省略し、左側の揉み玉32のうちの左端の軟質部32Aを省略することもできる。
【0063】
・上記各実施形態では、揉み玉32として円筒形状のものを採用したが、これに代えて球状の揉み玉を採用することもできる。この場合、回転軸31Aの軸方向の内側部分に硬質部32Bに相当する弾性部材を設け、この弾性部材に対して軸方向の外側に軟質部32Aに相当する弾性部材を設けることにより、上記各実施形態の効果に準じた効果を得ることができる。
【0064】
・上記各実施形態では、幅方向Xにおいて隣り合う態様で2つの施療子30を設けているが、施療子30を1つのみ設けること、または3つ以上の施療子30を設けることもできる。また、上記各実施形態も含めて2つ以上の施療子30が設けられる場合には、例えば以下の(A)および(B)の少なくとも一方の構成を採用することもできる。
(A)一の施療子30と他の施療子30との間において、幅方向Xおよび高さ方向Yの位置の少なくとも一方を互いに異なるものにする。
(B)一の施療子30と他の施療子30との間において、施療子30の形状および材質の少なくとも一方を互いに異なるものにする。
【0065】
・上記各実施形態では、揉み玉32の押付力を検出するためのセンサとしてロードセル41を採用したが、これに代えてまたは加えて、他の圧力センサを用いることもできる。
・上記各実施形態では、ロードセル41により検出される揉み玉32の押付力に基づいて前後駆動部22による施療子30の突出量を制御したが、施療子30の突出量の制御態様はこれに限られない。例えば、図12に示されるように、揉み玉32の中心に距離センサとしてのレーザ変位計42を設け、揉み玉32の変位量に基づいて前後駆動部22による施療子30の突出量を制御することもできる。
【0066】
この場合、具体的には制御部40により次のように制御が行われる。
レーザ変位計42の検出値、すなわちレーザ変位計42から使用者100までの距離L1と、判定値としての距離L0未満か否かを判定する。距離L0としては、揉み玉32が使用者100に接触する直前の位置にあるときを基準の状態として、このときのレーザ変位計42から使用者100までの距離に相当するものが採用される。
【0067】
そして、距離L1が距離L0未満のときには、揉み玉32が使用者100に接触してない旨判定する。また、距離L1が距離L0以上のときには、揉み玉32が使用者100に接触している旨判定する。このとき、距離L0から距離L1を減算した値(距離L2)を揉み玉32の変位量として算出することができる。
【0068】
制御部40は、算出した距離L2が距離L0未満のとき、揉み玉32が使用者100に接触するように突出量を調整する。また距離L2が距離L1以上のとき、揉み玉32の変位量が目標の変位量となるように突出量を調整する。
【0069】
・上記各実施形態では、座部12の後部に背もたれ13を備えるマッサージ装置10に対して本発明を適用したが、使用者100が寝た状態でマッサージを行うことができるベッドタイプのマッサージ装置に本発明を適用することもできる。また、使用者が把持するための把持部に施療子30が設けられた手持ちタイプのマッサージ装置に対して本発明を適用することもできる。すなわち、使用者の身体に押し付けられる施療子30(揉み玉32)を含むマッサージ装置であればいずれのマッサージ装置に対しても本発明の適用が可能であり、その場合にも上記各実施形態の効果に準じた効果が得られる。
【符号の説明】
【0070】
10…マッサージ機、13…背もたれ、20…マッサージ機構、30…施療子、31A…回転軸、32…揉み玉(接触部材)、41…ロードセル(圧力センサ)、42…レーザ変位計(距離センサ)。
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者に押し付けられる接触部材およびこの接触部材を支持する回転軸を有するとともに施療動作を行う施療子を備えるマッサージ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1のマッサージ装置の揉み玉においては、可撓性を有する中空状の表皮部内部に磁性粘性流体が充填されている。そして、使用者に付与するマッサージ感の硬さを変更するときには、磁性粘性流体の硬度が変更される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−24523号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のマッサージ装置では、揉み玉に磁性粘性流体および電磁石を設ける必要があるため、揉み玉の構造が複雑なものとなる。
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡易な構造の揉み玉で使用者に付与するマッサージ感の硬さを変更することのできるマッサージ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下、上記目的を達成するための手段について記載する。
・本発明のマッサージ装置は、使用者に押し付けられる接触部材およびこの接触部材を支持する回転軸を有するとともに施療動作を行う施療子を備えるマッサージ装置において、前記接触部材は、前記回転軸の軸方向において硬さが異なるものであり、使用者に対する前記接触部材の接触位置を変更することにより使用者に付与するマッサージ感の硬さを変更することを特徴としている。
【0006】
・このマッサージ装置においては、前記接触部材は、硬さの異なる複数の部材が重ね合わせられた構造を有することにより前記回転軸の軸方向の硬さが異なることが好ましい。
・このマッサージ装置においては、前記接触部材は、前記回転軸の軸方向と直交する方向の断面の形状が円形であり、硬い部分の径の大きさと軟らかい部分の径の大きさとが互いに異なることが好ましい。
【0007】
・このマッサージ装置においては、前記接触部材は、1つの部材の構造変化により前記回転軸の軸方向において連続的に硬さが異なることが好ましい。
・このマッサージ装置においては、前記接触部材は、発泡材からなる部分を含むものであり、前記回転軸の軸方向において前記発泡材の発泡倍率が異なることにより前記回転軸の軸方向において硬さが異なることが好ましい。
【0008】
・このマッサージ装置においては、前記接触部材は、無発泡材からなる外周層を備えることが好ましい。
・このマッサージ装置においては、前記接触部材は、前記回転軸の軸方向の端部の硬さが前記回転軸の軸方向の内側の硬さよりも軟らかいことが好ましい。
【0009】
・このマッサージ装置においては、このマッサージ装置は背もたれを備える椅子型のものであり、
前記背もたれは、前記背もたれに対する前記接触部材の奥行方向の位置、および前記背もたれに対する前記接触部材の高さ方向の位置、および前記背もたれに対する前記接触部材の幅方向の位置の少なくとも1つを変更することにより、使用者に対する前記接触部材の接触位置を変更するマッサージ機構を備えるものであり、前記マッサージ機構は、使用者に対して前記接触部材の前記回転軸の軸方向の端部を押し付けることにより使用者に付与するマッサージ感の硬さを柔らかくし、使用者に対して前記接触部材の径方向の端部を押し付けることにより使用者に付与するマッサージ感の硬さを硬くすることが好ましい。
【0010】
・このマッサージ装置においては、使用者に対する前記接触部材の押付力を変更することにより、使用者に付与するマッサージ感の硬さを変更することが好ましい。
・このマッサージ装置においては、使用者に対する前記接触部材の押付力を検出する圧力センサを備え、この圧力センサの検出値に基づいて前記押付力を制御することが好ましい。
【0011】
・このマッサージ装置においては、使用者までの距離を検出する距離センサが前記回転軸に設けられ、この距離センサの検出値に基づいて前記距離を制御することが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、簡易な構造の揉み玉で使用者に付与するマッサージ感の硬さを変更することのできる備えるマッサージ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1実施形態のマッサージ装置について、(a)はその側面構造を示す側面図、(b)はその正面構造を示す正面図。
【図2】同実施形態のマッサージ装置について、その電気的構成を示すブロック図。
【図3】同実施形態のマッサージ装置について、(a)は施療子の側面構造を示す側面図、(b)はアームを取り外した状態の施療子の正面構造を示す正面図。
【図4】本発明の第2実施形態のマッサージ装置について、アームを取り外した状態の施療子の正面構造を示す正面図。
【図5】同実施形態について、揉み玉の押付力と、揉み玉の変位量との関係を示すグラフ。
【図6】本発明のその他の実施形態のマッサージ装置について、アームを取り外した状態の施療子の正面構造を示す正面図。
【図7】本発明のその他の実施形態のマッサージ装置について、アームを取り外した状態の施療子の正面構造を示す正面図。
【図8】本発明のその他の実施形態のマッサージ装置について、アームを取り外した状態の施療子の正面構造を示す正面図。
【図9】本発明のその他の実施形態のマッサージ装置について、アームを取り外した状態の施療子の正面構造を示す正面図。
【図10】本発明のその他の実施形態のマッサージ装置について、アームを取り外した状態の施療子の正面構造を示す正面図。
【図11】本発明のその他の実施形態のマッサージ装置について、アームを取り外した状態の施療子の断面構造を示す断面図。
【図12】本発明のその他の実施形態のマッサージ装置について、揉み玉と使用者との関係を模式的に示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1実施形態)
図1〜図3を参照して、本発明の第1実施形態について説明する。
図1に示されるように、マッサージ装置10は背もたれ13を備える椅子型のものである。以下では、マッサージ装置10についての各方向をそれぞれ次のように示す。
【0015】
床面Aに垂直な方向を「高さ方向Y」とする。また、高さ方向Yにおいて床面Aから使用者100に向かう方向を「上方」とする。また、高さ方向Yにおいて使用者100から床面Aに向かう方向を「下方」とする。
【0016】
床面Aに平行な方向かつマッサージ装置10の長手方向を「奥行方向Z」とする。また、奥行方向Zにおいて使用者100の背面側から正面側に向かう方向を「前方」とする。また、奥行方向Zにおいて使用者100の正面側から背面側に向かう方向を「後方」とする。
【0017】
奥行方向Zおよび高さ方向Yに直交するマッサージ装置10の短手方向を「幅方向X」とする。また、幅方向Xにおいて使用者100の右手側から左手側に向かう方向を「左方」とする。また、幅方向Xにおいて使用者100の左手側から右手側に向かう方向を「右方」とする。
【0018】
図1(a)に示されるように、マッサージ装置10の座部12は、左右一対の支持脚11により支持されている。座部12の後方の端部には、座部12に対して傾けることができるように背もたれ13が設けられている。座部12の前方の端部には、座部12に対して傾けることができるようにオットマン14が設けられている。座部12の左方の端部および右方の端部には、奥行方向Zに延びる肘掛15が設けられている。
【0019】
背もたれ13の幅方向Xの中央部には、使用者100の背中のマッサージを行うマッサージ機構20が設けられている。
マッサージ機構20は、使用者100に押し付けられる接触部材としての揉み玉32を備える2つの施療子30を含む。また、使用者100に対する施療子30の位置を変更することのできる上下駆動部21および前後駆動部22および左右駆動部23を含む。
【0020】
上下駆動部21は、背もたれ13内において背もたれ13の上下方向に延びるガイドレール24を含む。上下駆動部21に設けられる駆動モータの駆動により、施療子30がガイドレール24に沿って背もたれ13の上方および下方に移動する。また、前後駆動部22に設けられる駆動モータの駆動により、施療子30は、奥行方向Zにおいて前方および後方に移動する。また、左右駆動部23に設けられる駆動モータの駆動により、施療子30は、幅方向Xにおいて右方および左方に移動する。
【0021】
ここで、揉み玉32の表面が使用者に接触し、かつ変形していないときの揉み玉32の中心、すなわち回転軸31Aの中心軸から使用者100までの距離を「基準距離」とする。この基準距離よりも回転軸31Aの中心軸から使用者100までの距離が近づいたときの距離の差を揉み玉32の「変位量」とする。
【0022】
揉み玉32が基準位置にあるときの変位量は「0」となる。また、背もたれ13から揉み玉32の中心までの距離を揉み玉32の「突出量」とする。また、揉み玉32を使用者100に押し付ける力の大きさを揉み玉32の「押付力」とする。
【0023】
揉み玉32が使用者100に押し付けられることにより、揉み玉32は弾性変形する。これにともない、揉み玉32が基準位置よりも使用者100までの距離が小さくなるため、揉み玉32の変位量が大きくなる。すなわち、揉み玉32の押付力が大きくなるにつれて、揉み玉32の変形量および揉み玉32の変位量は大きくなる。
【0024】
図2に示されるように、制御部40は、上下駆動部21および前後駆動部22および左右駆動部23の駆動を制御する。また、揉み玉32には、圧力検出手段としてのロードセル41が設けられている。ロードセル41は、揉み玉32の押付力に応じた信号を制御部40に対して出力する。
【0025】
制御部40は、マッサージ機構20の各駆動部25〜27を駆動することにより、施療子30に施療動作をさせる。なお、施療動作とは、使用者100の身体すなわち肩および背中および腰等の施療部位に、揉みや叩きのマッサージを施す施療子30の動作を示す。
【0026】
制御部40は、施療動作を行うとき、予めプログラムされたマッサージコースに従って使用者100に付与する押付力が目標値となるように、ロードセル41の出力信号に応じてマッサージ機構20のフィードバック制御を実施する。
【0027】
制御部40によるフィードバック制御について説明する。
制御部40は、ロードセル41の検出値と、マッサージコースに従った所望の押付力との差分を算出する。制御部40は、算出された差に予めプログラムされた係数を乗じた数値を算出するとともに、この算出した数値に基づいて施療子30の前後駆動部22による突出量を変更する。これにより、揉み玉32の押付力がマッサージコースに対応した所望の押付力となる。
【0028】
図3を参照して、施療子30の構造について説明する。なお、図3(b)は、施療子30からアーム31を取り除いた状態の施療子30の正面構造を示している。
図3(a)に示されるように、施療子30は、マッサージ機構20の本体部から背もたれ13に対して前方に延びるアーム31と、アーム31対して回転できるようにアーム31の先端部に取り付けられる回転軸31Aとを含む。また、この回転軸31Aに取り付けられる揉み玉32を含む。なお、回転軸31Aの軸方向は幅方向Xと一致している。
【0029】
図3(b)に示されるように、揉み玉32は、幅方向Xすなわち回転軸31Aの軸方向において、円筒形状の可撓性の部材を層状に重ね合わせて接着した構造を有する。揉み玉32の軸方向の中央部には、硬質部32Bが設けられている。硬質部32Bに対して、軸方向の右側および左側には、それぞれ硬質部32Bよりも軟かい軟質部32Aが設けられている。なお、図3(b)においては、揉み玉32の硬さの違いをドットの濃度で表現している。ドットの濃度が薄い部分は軟らかい部分を、またドットの濃度が濃い部分は硬い部分を示している。
【0030】
制御部40によるマッサージについて説明する。
使用者100の首に対してマッサージを行うとき、揉み玉32の軸方向の端面が首に押し付けられるとともに、揉み玉32が軸方向に変位するように制御される。首の右側には、右側の揉み玉32の右方の端部の軟質部32Aが押し付けられる。また、首の左側には、左側の揉み玉32の左方の端部の軟質部32Aが押し付けられる。すなわち、2つの揉み玉32の軟質部32Aが首を幅方向Xの両側から挟み込んだ状態でマッサージが行われる。これにより、使用者100には軟質部32Aの硬さに対応した柔らかいマッサージ感が付与される。
【0031】
使用者100の背中や肩等の施療部位に対してマッサージを行うとき、揉み玉32の径方向の端面が施療部位に押し付けられるとともに、揉み玉32が径方向に変位するように制御される。すなわち、施療部位には、軟質部32Aおよび硬質部32Bが押し付けられる。これにより、使用者には硬質部32Bの硬さに対応した硬いマッサージ感が付与される。
【0032】
本実施形態によれば、以下に示す効果が得られる。
(1)マッサージ装置10の揉み玉32は、回転軸31Aの軸方向において硬さが異なる。また、使用者100に対する揉み玉32の接触位置を変更することにより、使用者100に付与するマッサージ感の硬さを変更する。これにより、揉み玉32の回転軸31Aの軸方向の端面を使用者100に押し付けたとき、使用者100に付与されるマッサージ感の硬さが柔らかくなる。また、揉み玉32の径方向の端面を使用者100に押し付けたとき、使用者100に付与されるマッサージ感の硬さが硬くなる。すなわち、使用者100に対する揉み玉32の接触位置を変更することにより、1つの揉み玉32で変化に富んだマッサージを行うことができる。このように、マッサージ装置10によれば、簡易な構造の揉み玉32により使用者100に付与するマッサージ感の硬さを変更することができる。
【0033】
(2)マッサージ装置10の揉み玉32は、硬さの異なる複数の部材(軟質部32Aおよび硬質部32B)が重ね合わせられた構造を有することにより、回転軸31Aの軸方向の硬さが異なる。これにより、硬質部32Bと軟質部32Aとの境界が明確になるため、使用者100に対する揉み玉32の接触位置を変化させることにより、マッサージ感の硬さの違いを使用者100に明確に認識させることができる。
【0034】
(3)マッサージ装置10の揉み玉32は、回転軸31Aの軸方向の端部である軟質部32Aの硬さが硬質部32Bの硬さよりも軟らかい。このため、揉み玉32の右方の端面を使用者100に押し付けたとき、および揉み玉32の左方の端面を使用者100に押し付けたときのいずれにおいても、軟質部32Aの硬さに対応したマッサージ感を使用者100に付与することができる。
【0035】
(4)マッサージ装置10は、背もたれ13を備えている。背もたれ13には、背もたれ13に対する揉み玉32の奥行方向Zの位置、および背もたれ13に対する揉み玉32の高さ方向Yの位置、および背もたれ13に対する揉み玉32の幅方向Xの位置の位置を変更することができるマッサージ機構20が設けられている。そしてマッサージ機構20は、使用者100に対して揉み玉32の径方向の端部を押し付けることにより使用者100に付与するマッサージ感の硬さを硬くする。また、使用者100に対して揉み玉32の軸方向の端部を押し付けることにより使用者100に付与するマッサージ感の硬さを柔らかくする。このようにマッサージ装置10によれば、簡易な構造の揉み玉32により使用者100に付与するマッサージ感の硬さを変更することができる。
【0036】
(5)マッサージ機構20は、揉み玉32の押付力を変更することにより、使用者100に付与するマッサージ感の硬さを変更する。揉み玉32の回転軸31Aの軸方向の端面を使用者100に押し付けている状態において、左右駆動部23の力が小さいときには揉み玉32の押付力が小さくなる。このとき、主に軟質部32Aが弾性変形することにより、使用者100に付与されるマッサージ感は柔らかくなる。また、揉み玉32の回転軸31Aの軸方向の端面を使用者100に押し付けている状態において、左右駆動部23の力が大きいときには、揉み玉32の押付力が大きくなる。このとき、主に硬質部32Bが弾性変形することにより、使用者100に付与されるマッサージ感は硬くなる。
【0037】
(6)マッサージ装置10は、使用者100の揉み玉32が押し付けられるときの押付力を検出するロードセル41を備える。そして、ロードセル41の検出値に基づいて押付力を制御する。これにより、揉み玉32の回転軸31Aの軸方向の端面を使用者100に押し付けている状態において、揉み玉32の押付力の制御により軟質部32Aと硬質部32Bとを使い分けることができる。このため、揉み玉32の押付力の制御により使用者100に付与するマッサージ感の硬さを適切に制御することができる。
【0038】
(第2実施形態)
図4および図5を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。
本実施形態のマッサージ装置10は、第1実施形態のマッサージ装置10の揉み玉32を次のように変更したものとして構成されている。すなわち、本実施形態のマッサージ装置10においては、揉み玉32として、軟質部32Aの径方向の大きさを硬質部32Bの径方向の大きさよりも大きくしたものが設けられている。
【0039】
以下、この変更された部分についての詳細を示す。なお、その他の点については第1実施形態と同様の構成が採用されているため、共通する構成については同一の符号を付してその説明の一部または全部を適宜省略する。
【0040】
図4(a)は、揉み玉32の径方向の端面を使用者100に押し付けた状態、かつ揉み玉32が径方向に変位するように小さい押付力で使用者100に押し付けている状態を示している。この場合、軟質部32Aおよび硬質部32Bのうちの軟質部32Aのみが使用者100に押し付けられる。このため、軟質部32Aが弾性変形する。これにより、使用者100に対して柔らかいマッサージ感を付与することができる。
【0041】
図4(b)は、揉み玉32の径方向の端面を使用者100に対して押し付けた状態、かつ揉み玉32が径方向に変位するように図4(a)の状態よりも強い押付力で使用者100に対して押し付けられた状態を示している。この場合、軟質部32Aおよび硬質部32Bの両方が使用者100に押し付けられる。このため、軟質部32Aおよび硬質部32Bが弾性変形する。これにより、使用者100に対して硬いマッサージ感を付与することができる。
【0042】
図5に、揉み玉32の径方向の端面を押し付け、かつ揉み玉32が径方向の変位するように制御されるときの押付力と揉み玉32の変位量との関係をグラフに示す。
軟質部32Aと使用者100とが接触する状態(図4(a)参照)から、硬質部32Bが使用者100に接触しはじめる状態(図4(b)参照)までは、揉み玉32の変位にともない主に軟質部32Aが変形する。
【0043】
硬質部32Bが使用者100に接触しはじめる状態(図4(b)参照)よりも押付力が大きくなると、硬質部32Bが変形しはじめる(図4(c)参照)。
このように、軟質部32Aと硬質部32Bとの径方向の大きさが互いに異なることにより、押付力に応じて使用者に対して硬さが互いに異なる2種類のマッサージ感を付与することができる。
【0044】
本実施形態によれば、第1実施形態の(1)の効果、すなわち簡単な構造の揉み玉で使用者100に付与するマッサージ感の硬さを変更することができる旨の効果、および(2)〜(6)の効果に加えて以下に示す効果が得られる。
【0045】
(7)マッサージ装置10の揉み玉32は、回転軸31Aの軸方向と直交する方向の断面の形状が円形であり、硬質部32Bの径の大きさと軟質部32Aの径の大きさとが互いに異なる。これにより、揉み玉32の使用者100に対する押付力に応じて、使用者100に付与するマッサージ感の硬さを変更することができる。
【0046】
(8)マッサージ機構20は、揉み玉32の押付力を変更することにより、使用者100に付与するマッサージ感の硬さを変更する。そして、マッサージ機構20を通じて押付力を変更することにより、使用者100に付与するマッサージ感の硬さを変更する。揉み玉32の径方向の端面を使用者100に押し付けている状態において、揉み玉32の押付力が小さいとき、すなわち前後駆動部22の突出量が小さいとき、主に軟質部32Aが弾性変形することにより、使用者100に付与されるマッサージ感は柔らかくなる。また、揉み玉32の押付力が大きいとき、すなわち前後駆動部22の突出量が大きいとき、主に硬質部32Bが弾性変形することにより、使用者100に付与されるマッサージ感は硬くなる。
【0047】
(9)また、揉み玉32の径方向の端面を使用者100に押し付けている状態において、揉み玉32の押付力の制御により軟質部32Aが主に変形する状態および硬質部32Bが主に変形する状態のいずれでマッサージを行うかの選択ができる。このため、使用者100に付与するマッサージ感の硬さを適切に制御することができる。
【0048】
(その他の実施形態)
なお、本発明の実施態様は上記各実施形態に限られるものではなく、例えば以下に示すように変更することもできる。また以下の各変形例は、上記各実施形態についてのみ適用されるものではなく、異なる変形例同士を互いに組み合わせて実施することもできる。
【0049】
・上記第1実施形態では、揉み玉32として軟質部32Aおよび硬質部32Bの2つの部材により構成されるものを採用したが、1つの部材により構成される揉み玉32を採用することもできる。具体的には、図6(a)に示されるように、1つの部材の構造変化により軸方向(放射方向)の硬さが変化する揉み玉32を採用することもできる。この場合、軸方向の外側から内側に向かうにつれて揉み玉32の硬さが次第に大きくなる。
【0050】
軸方向の硬さを変化させるための構造変化としては、例えば揉み玉32の素材として発泡材を用いるとともにこの発泡材の発泡倍率を変化させるものが挙げられる。なお、発泡材としては、ニトリルゴム(NBR)、天然ゴム(NR)、クロロプレンゴム(CR)、エチレンプロピレンゴム(EPDM)またはポリウレタン等を発泡剤により発泡させたものを用いることができる。
【0051】
・上記の変形例において、図6(b)に示されるように、揉み玉32の外周の全体に無発泡材からなる薄い外周層32Fを設けることもできる。また、図6(a)に示される形態以外の揉み玉32、例えば、図3に示される揉み玉32、または図4に示される揉み玉32の軟質部32Aおよび硬質部32Bの少なくとも一方に上記外周層32Fを設けることもできる。この場合には、外周部として軟質部32Aよりも硬いものを設けることが好ましい。なお、外周層32Fは、無発泡かつ弾性を有する材料をディッピングによりコーティングして製造することができる。コーティングの材料としては、ポリウレタンやニトリルゴム(NBR)等を用いることができる。
【0052】
外周層32Fを有する揉み玉32においては、外周層32Fが設けられていない場合よりも揉み玉32の外周が硬くなる。このため、使用者100に対して揉み玉32を接触させる時間を変更することにより、次のように異なるマッサージ感を使用者100に付与することができる。すなわち、揉み玉32を接触させる時間を比較的短くした場合には、揉み玉32により叩かれている感覚が使用者100に付与される。また、揉み玉32を接触させる時間を比較的長くした場合には、揉み玉32により揉まれている感覚が使用者100に付与される。
【0053】
・上記各実施形態では、軟質部32Aおよび硬質部32Bの境界部が回転軸31Aの軸方向に対して直交するように揉み玉32を構成しているが、軟質部32Aおよび硬質部32Bの境界部の形状を次のように変更することもできる。すなわち、図7に示されるように、揉み玉32の正面視において軟質部32Aおよび硬質部32Bの境界部の少なくとも一方が軸方向に対して傾斜するように揉み玉32を構成することもできる。
【0054】
・上記第2実施形態では、揉み玉32として径の大きさが互いに異なる軟質部32Aおよび硬質部32Bにより構成されるものを採用したが、軟質部32Aおよび硬質部32Bの少なくとも一方の径の大きさが連続的に変化する揉み玉32を採用することもできる。その一例としては以下の(A)および(B)が挙げられる。なお、ここでは、軟質部32Aの軸方向の最も外側の部分の径を軟質径R1とし、軟質部32Aの軸方向の最も内側の径を軟質径R2とする。また、硬質部32Bの軸方向の最も外側の部分の径を硬質径R3とし、硬質部32Bの軸方向の中央部の径を硬質径R4とする。
【0055】
(A)軟質部32Aについて、軟質径R1を軟質径R2よりも小さくするとともに、軟質径R1の部分から軟質径R2の部分に向かうにつれて径を次第に大きくする。また硬質部32Bについて、硬質径R3および硬質径R4を互い同じ大きさにするとともに、軟質径R2よりも小さくする。また、硬質径R3の部分から硬質径R4の部分までの部分もこれら硬質径と同じ大きさにする。
【0056】
(B)上記(A)の形態において、硬質部32Bの径を次のように変更する。すなわち、硬質径R3を軟質径R2と同じ大きさにするとともに、硬質径R4を硬質径R3よりも大きくする。また、硬質径R3の部分から硬質径R4の部分までにわたり径を次第に大きくする。
【0057】
・上記第2実施形態では、揉み玉32として互いに径および硬さが異なる2種類の部材、すなわち軟質部32Aおよび硬質部32Bにより構成されるものを採用したが、さらに別の部材を含めて揉み玉32を構成することもできる。すなわち、図8に示されるように、軟質部32Aよりも径が小さくかつ硬質部32Bよりも径が大きいとともに、軟質部32Aよりも硬くかつ硬質部32Bよりも軟らかい中間部32Cを軟質部32Aと硬質部32Bとの間に設けることもできる。
【0058】
・上記第2実施形態では、揉み玉32として1つの硬質部32Bの両側に軟質部32Aが配置されたものを採用したが、揉み玉32の構成を例えば以下の(A)または(B)のように変更することもできる。
【0059】
(A)図9に示されるように、4つの軟質部32Aを設けるとともに、隣り合う軟質部32Aの間にそれぞれ硬質部32Bを設けることもできる。この場合、軸方向において隣り合う軟質部32A同士の間隔として、使用者100による各軟質部32Aの弁別が不可能となる間隔を設定することもできる。各軟質部32Aの間隔がこのように設定されているとき、左端の軟質部32Aから右端の軟質部32Aまでにわたり軟質部32Aが面で接触している感覚が使用者100に付与される。
【0060】
(B)図10に示されるように、回転軸31Aの軸方向において1つの軟質部32Aの両側に硬質部32Bを配置することもできる。この場合、軟質部32Aの外周面を使用者100に接触させるとともに揉み玉32を径方向に移動させることにより、柔らかいマッサージ感を使用者100に付与することができる。また、硬質部32Bの軸方向の端面を使用者100に接触させるとともに揉み玉32を軸方向に移動させることにより、硬いマッサージ感を使用者100に付与することができる。
【0061】
・上記各実施形態では、揉み玉32として軟質部32Aおよび硬質部32Bが回転軸31Aの軸方向において層状に配置されるものを採用したが、図11に示されるように、軟質部32Aにより覆われるようにその内部に硬質部32Bを配置することもできる。
【0062】
・上記各実施形態では、背もたれ13の中心線に対して左右対称の構造を有する2つの揉み玉32を設けたが、2つの揉み玉32の構造を左右非対称にすることもできる。例えば、右側の揉み玉32のうちの右端の軟質部32Aを省略し、左側の揉み玉32のうちの左端の軟質部32Aを省略することもできる。
【0063】
・上記各実施形態では、揉み玉32として円筒形状のものを採用したが、これに代えて球状の揉み玉を採用することもできる。この場合、回転軸31Aの軸方向の内側部分に硬質部32Bに相当する弾性部材を設け、この弾性部材に対して軸方向の外側に軟質部32Aに相当する弾性部材を設けることにより、上記各実施形態の効果に準じた効果を得ることができる。
【0064】
・上記各実施形態では、幅方向Xにおいて隣り合う態様で2つの施療子30を設けているが、施療子30を1つのみ設けること、または3つ以上の施療子30を設けることもできる。また、上記各実施形態も含めて2つ以上の施療子30が設けられる場合には、例えば以下の(A)および(B)の少なくとも一方の構成を採用することもできる。
(A)一の施療子30と他の施療子30との間において、幅方向Xおよび高さ方向Yの位置の少なくとも一方を互いに異なるものにする。
(B)一の施療子30と他の施療子30との間において、施療子30の形状および材質の少なくとも一方を互いに異なるものにする。
【0065】
・上記各実施形態では、揉み玉32の押付力を検出するためのセンサとしてロードセル41を採用したが、これに代えてまたは加えて、他の圧力センサを用いることもできる。
・上記各実施形態では、ロードセル41により検出される揉み玉32の押付力に基づいて前後駆動部22による施療子30の突出量を制御したが、施療子30の突出量の制御態様はこれに限られない。例えば、図12に示されるように、揉み玉32の中心に距離センサとしてのレーザ変位計42を設け、揉み玉32の変位量に基づいて前後駆動部22による施療子30の突出量を制御することもできる。
【0066】
この場合、具体的には制御部40により次のように制御が行われる。
レーザ変位計42の検出値、すなわちレーザ変位計42から使用者100までの距離L1と、判定値としての距離L0未満か否かを判定する。距離L0としては、揉み玉32が使用者100に接触する直前の位置にあるときを基準の状態として、このときのレーザ変位計42から使用者100までの距離に相当するものが採用される。
【0067】
そして、距離L1が距離L0未満のときには、揉み玉32が使用者100に接触してない旨判定する。また、距離L1が距離L0以上のときには、揉み玉32が使用者100に接触している旨判定する。このとき、距離L0から距離L1を減算した値(距離L2)を揉み玉32の変位量として算出することができる。
【0068】
制御部40は、算出した距離L2が距離L0未満のとき、揉み玉32が使用者100に接触するように突出量を調整する。また距離L2が距離L1以上のとき、揉み玉32の変位量が目標の変位量となるように突出量を調整する。
【0069】
・上記各実施形態では、座部12の後部に背もたれ13を備えるマッサージ装置10に対して本発明を適用したが、使用者100が寝た状態でマッサージを行うことができるベッドタイプのマッサージ装置に本発明を適用することもできる。また、使用者が把持するための把持部に施療子30が設けられた手持ちタイプのマッサージ装置に対して本発明を適用することもできる。すなわち、使用者の身体に押し付けられる施療子30(揉み玉32)を含むマッサージ装置であればいずれのマッサージ装置に対しても本発明の適用が可能であり、その場合にも上記各実施形態の効果に準じた効果が得られる。
【符号の説明】
【0070】
10…マッサージ機、13…背もたれ、20…マッサージ機構、30…施療子、31A…回転軸、32…揉み玉(接触部材)、41…ロードセル(圧力センサ)、42…レーザ変位計(距離センサ)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者に押し付けられる接触部材およびこの接触部材を支持する回転軸を有するとともに施療動作を行う施療子を備えるマッサージ装置において、
前記接触部材は、前記回転軸の軸方向において硬さが異なるものであり、
使用者に対する前記接触部材の接触位置を変更することにより使用者に付与するマッサージ感の硬さを変更する
ことを特徴とするマッサージ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のマッサージ装置において、
前記接触部材は、硬さの異なる複数の部材が重ね合わせられた構造を有することにより、前記回転軸の軸方向の硬さが異なる
ことを特徴とするマッサージ装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のマッサージ装置において、
前記接触部材は、前記回転軸の軸方向と直交する方向の断面の形状が円形であり、硬い部分の径の大きさと軟らかい部分の径の大きさとが互いに異なる
ことを特徴とするマッサージ装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のマッサージ装置において、
前記接触部材は、1つの部材の構造変化により前記回転軸の軸方向において連続的に硬さが異なる
ことを特徴とするマッサージ装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載のマッサージ装置において、
前記接触部材は、発泡材からなる部分を含むものであり、前記回転軸の軸方向において前記発泡材の発泡倍率が異なることにより前記回転軸の軸方向において硬さが異なる
ことを特徴とするマッサージ装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載のマッサージ装置において、
前記接触部材は、無発泡材からなる外周層を備える
ことを特徴とするマッサージ装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載のマッサージ装置において、
前記接触部材は、前記回転軸の軸方向の端部の硬さが前記回転軸の軸方向の内側の硬さよりも軟らかい
ことを特徴とするマッサージ装置。
【請求項8】
請求項7に記載のマッサージ装置において、
このマッサージ装置は背もたれを備える椅子型のものであり、
前記背もたれは、前記背もたれに対する前記接触部材の奥行方向の位置、および前記背もたれに対する前記接触部材の高さ方向の位置、および前記背もたれに対する前記接触部材の幅方向の位置の少なくとも1つを変更することにより、使用者に対する前記接触部材の接触位置を変更するマッサージ機構を備えるものであり、
前記マッサージ機構は、使用者に対して前記接触部材の前記回転軸の軸方向の端部を押し付けることにより使用者に付与するマッサージ感の硬さを柔らかくし、使用者に対して前記接触部材の径方向の端部を押し付けることにより使用者に付与するマッサージ感の硬さを硬くする
ことを特徴とするマッサージ装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載のマッサージ装置において、
使用者に対する前記接触部材の押付力を変更することにより、使用者に付与するマッサージ感の硬さを変更する
ことを特徴とするマッサージ装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載のマッサージ装置において、
使用者に対する前記接触部材の押付力を検出する圧力センサを備え、この圧力センサの検出値に基づいて前記押付力を制御する
ことを特徴とするマッサージ装置。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一項に記載のマッサージ装置において、
使用者までの距離を検出する距離センサが前記回転軸に設けられ、この距離センサの検出値に基づいて前記距離を制御する
ことを特徴とするマッサージ装置。
【請求項1】
使用者に押し付けられる接触部材およびこの接触部材を支持する回転軸を有するとともに施療動作を行う施療子を備えるマッサージ装置において、
前記接触部材は、前記回転軸の軸方向において硬さが異なるものであり、
使用者に対する前記接触部材の接触位置を変更することにより使用者に付与するマッサージ感の硬さを変更する
ことを特徴とするマッサージ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のマッサージ装置において、
前記接触部材は、硬さの異なる複数の部材が重ね合わせられた構造を有することにより、前記回転軸の軸方向の硬さが異なる
ことを特徴とするマッサージ装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のマッサージ装置において、
前記接触部材は、前記回転軸の軸方向と直交する方向の断面の形状が円形であり、硬い部分の径の大きさと軟らかい部分の径の大きさとが互いに異なる
ことを特徴とするマッサージ装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のマッサージ装置において、
前記接触部材は、1つの部材の構造変化により前記回転軸の軸方向において連続的に硬さが異なる
ことを特徴とするマッサージ装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載のマッサージ装置において、
前記接触部材は、発泡材からなる部分を含むものであり、前記回転軸の軸方向において前記発泡材の発泡倍率が異なることにより前記回転軸の軸方向において硬さが異なる
ことを特徴とするマッサージ装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載のマッサージ装置において、
前記接触部材は、無発泡材からなる外周層を備える
ことを特徴とするマッサージ装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載のマッサージ装置において、
前記接触部材は、前記回転軸の軸方向の端部の硬さが前記回転軸の軸方向の内側の硬さよりも軟らかい
ことを特徴とするマッサージ装置。
【請求項8】
請求項7に記載のマッサージ装置において、
このマッサージ装置は背もたれを備える椅子型のものであり、
前記背もたれは、前記背もたれに対する前記接触部材の奥行方向の位置、および前記背もたれに対する前記接触部材の高さ方向の位置、および前記背もたれに対する前記接触部材の幅方向の位置の少なくとも1つを変更することにより、使用者に対する前記接触部材の接触位置を変更するマッサージ機構を備えるものであり、
前記マッサージ機構は、使用者に対して前記接触部材の前記回転軸の軸方向の端部を押し付けることにより使用者に付与するマッサージ感の硬さを柔らかくし、使用者に対して前記接触部材の径方向の端部を押し付けることにより使用者に付与するマッサージ感の硬さを硬くする
ことを特徴とするマッサージ装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載のマッサージ装置において、
使用者に対する前記接触部材の押付力を変更することにより、使用者に付与するマッサージ感の硬さを変更する
ことを特徴とするマッサージ装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載のマッサージ装置において、
使用者に対する前記接触部材の押付力を検出する圧力センサを備え、この圧力センサの検出値に基づいて前記押付力を制御する
ことを特徴とするマッサージ装置。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一項に記載のマッサージ装置において、
使用者までの距離を検出する距離センサが前記回転軸に設けられ、この距離センサの検出値に基づいて前記距離を制御する
ことを特徴とするマッサージ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−70769(P2012−70769A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−215798(P2010−215798)
【出願日】平成22年9月27日(2010.9.27)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月27日(2010.9.27)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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