説明

マットセンサー

【課題】 同一形状の分割マットを複数使用して様々な大きさや形状に対応したマットセンサーを形成できるようにする。
【解決手段】 分割マットの正方形の1辺の側面に信号出力部4を形成し、その他の3辺の側面に信号入力部5を形成する。そして、分割マットの表面部分1の正方形の4辺から突出した突出片2の裏面側に面ファスナーの第一の面6を形成し、分割マットの裏面部分3の正方形の4辺の近傍に面ファスナーの第二の面7を形成するようにしている。そして、分割マットの正方形の3辺の側面の任意の信号入力部5に裏返した他の分割マットの信号出力部4を接続し、分割マットの信号入力部5が形成されている1辺から突出している突出片2の裏面側の面ファスナーの第一の面6と、裏返した他の分割マットの信号出力部4が形成されている1辺の近傍に形成された面ファスナーの第二の面7とを接続することで、分割マットを複数接続している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者がベッドを離床したことや、患者がベッドから転倒/転落したことを検出するためのマットセンサーに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、病院や介護施設などでは、ナースコールシステムが用いられている。ナースコールシステムは、病院の患者が看護師のサポートを必要とする際、または介護施設の被介護者が介護師のサポートを必要とする際に、患者や被介護者(以下、患者と記載する)が呼出ボタンを押下することによって看護師や介護師(以下、医療従事者と記載する)を呼び出すことができるように成されたシステムである。
【0003】
多くのナースコールシステムは、病室のベッド近傍やトイレ、浴室などに設置されるナースコール子機と、ナースセンターに設置されるナースコール親機と、病室や介護室等の各部屋の入口付近に設置される廊下灯と、通話やデータの送受信に関する制御を行う制御機とを備えて構成されている。また、上述した構成に加えて、医療従事者が携行する携帯端末(例えば、PHS(Personal Handy phone System)端末など)とPBX(Private Branch Exchange:電話交換機)とを備えたナースコールシステムも提供されている。ここで、ナースコール子機としては、呼出ボタンなどの呼出操作部を有するものがある。
【0004】
そして、このようなナースコールシステムは、患者がナースコール子機の呼出ボタンを操作した場合に、ナースコール子機からナースコール親機へ呼出信号を出力し、呼出信号を入力したナースコール親機にて呼び出しの報知するように構成されている。
【0005】
ところで、ナースコール子機には、上述した呼出ボタンを備えたものだけではなく、荷重を検出するマットセンサーによって構成されるものも存在する。このマットセンサーをベッド近傍の床に敷き、患者が乗ったことを検出することにより、患者の離床やベッドからの転倒/転落を示す呼出信号をナースコール親機へ出力するようにしたナースコールシステムも知られている(例えば、特許文献1など)。
【0006】
特許文献1などに記載されている従来のマットセンサーは、ベッド近傍の床に設置されるため、ベッドの大きさ、ベッドと他のベッドや壁などとの間隔、マットセンサーを設置する施設の担当者などの判断などにより、求められる大きさが異なる。すなわち、ベッドの大きさが大きい場合には、マットセンサーが大きいことが好ましく、ベッドの大きさが小さい場合には、マットセンサーが小さいことが好ましい。また、ベッドと他のベッドや壁などとの間隔が広い場合には、マットセンサーが大きいことが好ましく、ベッドと他のベッドや壁などとの間隔が狭い場合には、マットセンサーが小さいことが好ましい。また、施設の担当者が患者の離床やベッドからの転倒/転落を確実に検出したいと判断する場合には、マットセンサーが大きいことが好ましく、患者の離床やベッドからの転倒/転落の検出精度と医療従事者や他の患者がマットセンサーに乗ることによる誤報とのバランスを考慮した場合には、マットセンサーが小さいことが好ましい。
【0007】
このように、マットセンサーは様々な大きさであることが好ましいが、様々な大きさのマットセンサーを用意することは、メーカーにとっては負担がかかってしまうという問題があった。これを解決するための技術として、マットセンサーに関する技術ではないが、同一形状の分割マットを面ファスナーにより接続し、接続パイプを接続チューブで接続する床擦れ防止用マットが知られている(例えば、特許文献2など)。
【0008】
しかしながら、上述した特許文献2に記載の複数の分割マットを接続する方法を、特許文献1に記載のマットセンサーに適用した場合、次のような問題が生じてしまう。すなわち、分割マットは、一組の面ファスナーと一組の接続パイプにより他の分割マットを接続しているので、分割マットを連結する方向が決まってしまい、限られた方向にしかマットセンサーを大きくすることができない。そのため、特許文献2に記載の技術を適用したマットセンサーでは、様々な大きさや形状に対応したマットセンサーを形成することが困難になってしまうという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平11−213266号公報
【特許文献2】特開平8−255789号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、製造コストを削減するために、同一形状の分割マットを複数使用して様々な大きさや形状に対応したマットセンサーを形成できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決するために、本発明では、荷重を検出することで検出信号を出力する略正方形状の分割マットの正方形の1辺の側面に検出信号を出力する信号出力部を形成し、その他の3辺の側面に他の分割マットの信号出力部に接続されて検出信号を入力する信号入力部を形成する。そして、分割マットの一方の面の正方形の4辺から突出した突出片の裏面に面ファスナーの第一の面を形成し、分割マットの他方の面の正方形の4辺の近傍に面ファスナーの第一の面に着脱可能に接続される第二の面を形成するようにしている。
【発明の効果】
【0012】
上記のように構成した本発明によれば、分割マットの信号入力部が形成されている3辺の側面の任意の信号入力部に裏返した他の分割マットの信号出力部を接続する。そして、分割マットの信号入力部が形成されている1辺(他の分割マットの信号出力部が接続されている1辺)から突出している突出片の面ファスナーの第一の面に対して、裏返した他の分割マットの信号出力部が形成されている1辺(分割マットの信号入力部が接続されている1辺)の近傍に形成された面ファスナーの第二の面を接続し、分割マットの信号入力部が形成されている1辺の近傍に形成された面ファスナーの第二の面に対して、裏返した他の分割マットの信号出力部が形成されている1辺から突出している突出片の面ファスナーの第一の面を接続することで、略正方形状の分割マットの2倍の大きさのマットセンサーを形成することができる。
【0013】
また、分割マットの信号入力部が形成されている3辺の全てに他の分割マットを接続し、他の分割マットに対しても同様に他の分割マットを接続することで、略正方形状の分割マットを複数使用した様々な大きさや形状のマットセンサーを形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施形態によるマットセンサーを形成する分割マットの構成例を示す図である。
【図2】本実施形態によるマットセンサーの例を示す図である。
【図3】本実施形態によるマットセンサーを形成する分割マットの変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態によるマットセンサーを形成する分割マットの構成例を示す図である。同図において、分割マットは、荷重を検出して呼出信号を出力するものであり、略正方形状の表面(特許請求の範囲の一方の面に該当する)部分1と、その表面部分1の正方形の4辺から突出した突出片2とを備えている。また、分割マットは、表面部分1の裏側に略正方形状の裏面(特許請求の範囲の他方の面に該当する)部分3を備えている。ここで、分割マットの内部には、2枚の導電性電極板が弾性のある絶縁材料を挟んで分割マットの全域に渡って形成されている。分割マットの上から荷重がかかると、電極板が接触して導通し、検出信号を生成する。
【0016】
また、分割マットは、裏面部分3の正方形状の1辺の側面に信号出力部4を形成し、その他の3辺の側面に信号入力部5を形成している。ここで、信号出力部4は、分割マットの上から荷重がかかることにより生成された検出信号を出力する。また、信号入力部5は、他の分割マットの信号出力部4に接続され、他の分割マットにより生成された検出信号を入力する。また、分割マットは、信号入力部5から入力した他の分割マットの検出信号を信号出力部4から出力する。
【0017】
また、分割マットは、突出片2の裏面に面ファスナーの第一の面6を形成し、裏面部分3の正方形の4辺の近傍に面ファスナーの第二の面7を形成している。ここで、面ファスナーの第一の面6と第二の面7とは着脱自在である。なお、面ファスナーの構造については、周知であるため、説明を省略する。
【0018】
このように構成された分割マットを1枚使用してマットセンサーを形成する場合、信号入力部5が形成された3辺の突出片2を、面ファスナーの第一の面6が内側になるように分割マットの裏面側に折り込んで、同一辺に存在する面ファスナーの第二の面7に接続する。一方、信号出力部4にコードを接続し、マットセンサーを使用する病室内の壁面などに設けられた壁面ユニットにコードを接続する。これにより、分割マットに荷重がかかると、検出信号が壁面ユニットを介してナースセンターなどに送られるようになる。
【0019】
また、分割マットを6枚使用してマットセンサーを形成する場合、図2に示すように、分割マットの正方形の3辺の側面に形成された信号入力部5に、裏返した他の分割マット(裏面部分3を表面に向けている)の信号出力部4を接続し、分割マットの信号入力部5が形成された3辺の突出片2の裏面に形成された面ファスナーの第一の面6と、裏返した他の分割マットの信号出力部4を接続した辺の近傍に形成された面ファスナーの第二の面7とを接続する。また、分割マットの信号入力部5が形成された3辺の近傍に形成された面ファスナーの第二の面7と、裏返した他の分割マットの信号出力部4を接続した辺の突出辺2の裏面に形成された面ファスナーの第一の面6とを接続する。
【0020】
一方、他の分割マット同士に囲まれた位置に、更に他の分割マット(表面部分1を表面に向けている)を接続する。そして、必要に応じて、外周部分の突出片2を折り返して面ファスナーの第一の面6と第二の面7とを接続する。また、分割マットの信号出力部4にはコード8を接続し、コード8の先端に設けたコネクタを壁面ユニットに接続する。これにより、何れの分割マットに荷重がかかっても、検出信号が壁面ユニットを介してナースセンターなどに送られるようになる。
【0021】
このように、分割マットの表面部分1と裏面部分3とを互い違いに接続することで、同一形状の分割マットを複数接続して、様々な大きさや形状のマットセンサーを形成することができる。
【0022】
以上詳しく説明したように、本実施形態によれば、荷重を検出することで検出信号を出力する略正方形状の分割マットの正方形の1辺の側面に検出信号を出力する信号出力部4を形成し、その他の3辺の側面に他の分割マットの信号出力部4に接続されて検出信号を入力する信号入力部5を形成する。そして、分割マットの表面部分1の正方形の4辺から突出した突出片2の裏面側に面ファスナーの第一の面6を形成し、分割マットの裏面部分3の正方形の4辺の近傍に面ファスナーの第一の面6に着脱可能に接続される第二の面7を形成するようにしている。
【0023】
このように構成された分割マットを接続する場合、分割マットの信号入力部5が形成されている正方形の3辺の側面の任意の信号入力部5に裏返した他の分割マットの信号出力部4を接続する。そして、分割マットの信号入力部5が形成されている正方形の1辺(他の分割マットの信号出力部4が接続されている正方形の1辺)から突出している突出片2の裏面側の面ファスナーの第一の面6に対して、裏返した他の分割マットの信号出力部4が形成されている正方形の1辺(分割マットの信号入力部4が接続されている正方形の1辺)の近傍に形成された面ファスナーの第二の面7を接続し、分割マットの信号入力部5が形成されている正方形の1辺の近傍に形成された面ファスナーの第二の面7に対して、裏返した他の分割マットの信号出力部4が形成されている正方形の1辺から突出している突出片2の裏面側の面ファスナーの第一の面6を接続することで、略正方形状の分割マットの2倍の大きさのマットセンサーを形成することができる。
【0024】
また、分割マットの信号入力部5が形成されている正方形の3辺の全てに他の分割マットを接続し、他の分割マットに対しても同様に更に他の分割マットを接続することで、略正方形状の分割マットを複数使用した様々な大きさや形状のマットセンサーを形成することができる。
【0025】
なお、前述した実施形態では、信号出力部4を分割マットの正方形の1辺の側面の中央に形成しているが、これに限定されない。例えば、図3(a)に示すように、信号出力部4を分割マットの正方形の1辺の側面の端に形成するようにしても良い。この場合、信号入力部5を分割マットの正方形の3辺の側面の中央に形成したときには、信号出力部4をコードで延長して他の分割マットと接続できるようにしている。
【0026】
また、前述した実施形態では、信号入力部5を分割マットの正方形の3辺の側面の中央に形成しているが、これに限定されない。例えば、図3(b)に示すように、信号出力部5を分割マットの正方形の3辺の側面の端に形成するようにしても良い。この場合、信号出力部4を分割マットの正方形の1辺の側面の中央に形成したときには、信号出力部4をコードで延長して他の分割マットと接続できるようにしている。
【0027】
これらの場合において、信号出力部4を延長するコードは、接続された分割マットおよび両者の突出片2で囲まれるため、使用者がコードによって足を引っ掛けたりすることは無い。
【0028】
また、前述した実施形態では、分割マットの接続に面ファスナーを使用しているが、これに限定されない。例えば、スナップボタンなどを使用するようにしても良い。
【0029】
その他、上記実施形態は、本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその精神、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0030】
1 表面部分
2 突出片
3 裏面部分
4 信号出力部
5 信号入力部
6 面ファスナーの第一の面
7 面ファスナーの第二の面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷重を検出することで検出信号を出力する略正方形状の分割マットは、
前記分割マットの正方形の1辺の側面に形成され、前記検出信号を出力する信号出力部と、
前記正方形のその他の3辺に形成され、他の分割マットの信号出力部に接続されて、前記検出信号を入力する信号入力部と、
前記分割マットの一方の面の4辺から突出し、裏面に面ファスナーの第一の面を形成した突出片と、
前記分割マットの他方の面の4辺の近傍に形成され、前記他の分割マットの面ファスナーの第一の面に着脱可能に接続される第二の面を形成した面ファスナーとを備え、
前記分割マットを1枚以上接続して形成したことを特徴とするマットセンサー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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