説明

マットレス装置

【課題】この発明は利用者の臀部を支持する硬さを調整できるようにしたマットレス装置を提供することにある。
【解決手段】スプリングユニット3と、スプリングユニットの少なくとも上面に設けられるクッション体11と、クッション体とスプリングユニットを被覆する外装体12とを具備し、
クッション体は、スプリングユニットの幅寸法とほぼ同じ長さ寸法を有しスプリングユニットの長手方向に対して幅方向に沿う空間部21を介して所定間隔で配置され帯状シート19により連結された複数の柱状弾性部材18と、スプリングユニットの長手方向の中途部に位置する複数の空間部にそれぞれ設けられたエアーチューブ23と、エアーチューブに対する圧縮空気の供給と排出を制御して上記エアーチューブを所定の圧力で膨張させる給排気制御装置とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は利用者の臀部を支持する硬さを調整することができるマットレス装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、マットレス装置はスプリングユニットを有し、このスプリングユニットの上下面にはウレタンフォームなどの弾性シートが積層されていて、この弾性シートとスプリングユニットの積層体は布地を袋状に縫製した外装体によって被覆されている。
【0003】
このような構成のマットレス装置においては、その上面に利用者が仰臥すると、利用者の背面の凹凸形状及び重量分布に応じて上記スプリングユニット及び弾性シートが弾性変形して荷重を受けることになる。
【0004】
すなわち、マットレス装置は、利用者の背面側に最も大きく突出して重たい部分である、臀部に対応する部分が大きく弾性変形して利用者の身体を支持することになる。そのため、利用者は臀部が大きく落ち込み、腰部の脊柱の曲がりが大きくなるから、腰部に掛かる負担が大きくなり、腰痛の利用者には好ましくないということがある。
【0005】
そこで、従来はスプリングユニットやこのスプリングユニットに積層される弾性シートの利用者の臀部を支持する部分を他の部分よりも硬くすることで、利用者の臀部の落ち込みを少なくするということが行なわれている。このような従来技術は特許文献1に示されている。
【特許文献1】特開平9−75176号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、利用者の臀部の落ち込みを少なくするために、スプリングユニットや弾性シートの利用者の臀部を支持する部分の硬さを変えるようにしたのでは、その硬さが一定となってしまう。そのため、そのマットレス装置を体重や体形の異なる利用者が購入すると、その利用者の臀部を最適な状態で支持することができないということがあった。
【0007】
この発明は仰臥した利用者の臀部を支持する硬さを、利用者の体重や体形に応じて調整することができるようにしたマットレス装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、利用者が仰臥するためのマットレス装置であって、
スプリングユニットと、
このスプリングユニットの少なくとも上面に設けられるクッション体と、
このクッション体と上記スプリングユニットを被覆する外装体とを具備し、
上記クッション体は、
上記スプリングユニットの幅寸法とほぼ同じ長さ寸法を有しこのスプリングユニットの長手方向に対して幅方向に沿う空間部を介して所定間隔で配置され帯状シートにより連結された複数の柱状弾性部材と、
上記スプリングユニットの長手方向の中途部に位置する複数の上記空間部にそれぞれ設けられたエアーチューブと、
このエアーチューブに対する圧縮空気の供給と排出を制御して上記エアーチューブを所定の圧力で膨張させる給排気手段と
を具備したことを特徴とするマットレス装置にある。
【0009】
上記スプリングユニットにはバイブレータが設けられていることが好ましい。
【0010】
上記スプリングユニットの上面には弾性材料によってこのスプリングユニットとほぼ同じ大きさに形成された枠状部材が設けられ、この枠状部材の内部に上記クッション体が設けられることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、スプリングユニットの上面の長手方向中途部にエアーチューブを設け、このエアーチューブに圧縮空気を出し入れできるようにしたから、エアーチューブに供給される圧縮空気の圧力によって利用者の身体の臀部を支持する硬さを、利用者の体重や体形に応じて設定することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、この発明の一実施の形態を図面を参照して説明する。
図1に示すこの発明のマットレス装置はマットレス1と、圧縮空気の給排気制御装置2とによって構成されている。上記マットレス1は図2に示すようにスプリングユニット3を有する。このスプリングユニット3は、多数のコイルスプリング4を行列状に配置し、これらコイルスプリング4の隣り合う上下端面をヘリカル線5によって連結して形成されている。スプリングユニット3の長手方向中央部及び両端部の三箇所には高さ方向の上部にそれぞれ図1に鎖線で示すバイブレータ9が上記スプリングユニット3に保持されて設けられている。
【0013】
上記スプリングユニット3の下面にはシート状の下部保護部材6が重合され、上面にはシート状の第1の上部保護部材7と第2の上部保護部材8とが重合されている。この第2の保護部材8の上面にはウレタンフォームなどの弾性材料によって上記スプリングユニット3とほぼ同じ大きさの枠状に形成された枠状部材10が設けられている。
【0014】
上記枠状部材10の内部にはクッション体11が上記スプリングユニット3の上面に重合して設けられている。そして、スプリングユニット3、クッション体11及び各保護部材6〜8からなる重合体は布地を袋状に縫製した外装体12によって被覆されている。
【0015】
上記外装体12はスプリングユニット3の上面側に設けられる上部鏡地13、下面側に設けられる下部鏡地14及び外周面に設けられるまち地15とからなり、このまち地15の上下端に上記上部鏡地13と下部鏡地14との周縁部がテープ16によって縫合されて袋状に形成されている。
【0016】
上記上部鏡地13、下部鏡地14及びまち地15はそれぞれ表地13a,14a,15aと、裏地13b,14b,15bの間にウレタンシート13c,14c,15cを挟み、これら三者を一体にキルティングして形成されている。
【0017】
なお、上部鏡地13の周縁と、まち地15の上端とはテープ16に代わりファスナ(図示せず)によって連結し、上部鏡地13を着脱できる構成としてもよい。
【0018】
上記クッション体11は、図2乃至図4に示すようにウレタンフォームなどによって上記スプリングユニット3の幅寸法とほぼ同じ長さ寸法に形成された複数の柱状弾性部材18を有する。複数の柱状弾性部材18はスプリングユニット3の長手方向に対して所定間隔で配置されている。
【0019】
これら柱状弾性部材18は、スプリングユニット3の幅方向両端部と中央部に対応する三箇所の上下面に薄手のウレタンフォームなどからなる帯状シート19が接着されている。それによって、複数の柱状弾性部材18は空間部21を介して所定間隔で連結されている。なお、上記空間部21はスプリングユニット3の幅方向全長にわたって形成されている。
【0020】
上記クッション体11に形成された空間部21のうち、スプリングユニット3の長手方向の両端部を除く中途部、すなわちマットレス1上に仰臥した利用者の臀部と腰部とを支持する部分にはスプリングユニット3の幅寸法とほぼ同じ長さ寸法のエアーチューブ23が設けられている。
【0021】
これらエアーチューブ23の一端には給気管24が給気分岐管25を介して接続され、他端部は排気管26が排気分岐管27を介して接続されている。上記給気管24は上記給排気制御装置2の前面に設けられた給気ポート29に接続され、排気管26は排気ポート31に接続される。
【0022】
上記給排気制御装置2には上記給気ポート29に連通する図示しない給気ポンプ及び上記排気ポート31に連通する図示しない排気バルブが内蔵されている。さらに、上記給排気制御装置2の前面にはリモートコントローラ32が接続される第1の接続部33及びアダプタ34が接続される第2の接続部35が設けられている。このアダプタ34は交流電源に接続される。それによって、上記給排気制御装置2には直流電圧が供給されるようになっている。
【0023】
上記リモートコントローラ32には電源スイッチ36、上記給気ポンプを動作させてエアーチューブ23に圧縮空気を供給する運転スイッチ37及び供給を停止させる停止スイッチ38、運転された給気ポンプによって供給される圧縮空気の圧力を第1の圧力(低圧力とする)に設定して供給する第1の設定釦39、この第1の設定釦39による設定圧力よりも高い第2の圧力(高圧力とする)に設定して供給する第2の設定釦40が設けられている。
【0024】
さらに、上記給排気制御装置2には、常に閉じた状態にある上記排気バルブを開いてエアーチューブ23に供給された圧縮空気を上記排気管26を通じて排出させる開スイッチ41、上記バイブレータ9を作動及び停止させるマッサージスイッチ42などが設けられている。
【0025】
なお、エアーチューブ23に圧縮空気を供給する場合、第1、第2の設定釦39,40のいずれかによって供給圧力を設定すると、上記給気ポンプはエアーチューブ23内の圧力が設定圧力になると停止し、設定圧力よりも低くなると作動して設定圧力を維持するようになっている。
【0026】
このように構成されたマットレス装置によれば、利用者がマットレス1上に仰臥して就寝する場合、給排気制御装置2を作動させてマットレス1に設けられたクッション体11のエアーチューブ23に、第1の設定釦39によって設定される第1の設定圧力或いは第2の設定釦40によって設定される第2の設定圧力で圧縮空気を供給する。
【0027】
上記エアーチューブ23はマットレス1の長手方向中途部で、利用者の臀部及び腰部を支持する部分に設けられている。マットレス1の利用者の身体の最も重たく、しかも背面側に最も大きく突出した臀部に対応する部分は、その重さと突出度合に応じてエアーチューブ23及びスプリングユニット3が弾性変形する。
【0028】
エアーチューブ23に供給する圧縮空気の圧力は、利用者の体重が重たかったり、臀部の突出度合が大きな場合には高圧力に設定し、体重が軽かったり、臀部の突出度合が小さな場合には低圧力に設定する。
【0029】
それによって、利用者の体重や体格が異なっても、エアーチューブ23に供給する圧縮空気の圧力を設定することで、利用者の臀部や腰部が落ち込むことのない状態で、利用者の身体を支持することができるから、背筋の伸びた寝姿勢を維持して寝心地の向上を図ることができる。
【0030】
利用者によってはエアーチューブ23の空圧縮空気を抜いた状態でマットレス1を使用することがある。その場合、スプリングユニット3の上面に設けられたクッション体11は、複数の柱状弾性部材18がスプリングユニット3の長手方向に対して所定間隔で設けられた状態となる。
【0031】
すなわち、エアーチューブ23から空気を抜いても、エアーチューブ23が設けられた部分にも柱状弾性体18が設けられているから、エアーチューブ23が設けられていない部分とほぼ同じクッション性能になる。つまり、クション体11はエアーチューブ23から空気を抜いたときに、全体がほぼ同じクッション性能を呈することになる。
【0032】
そのため、エアーチューブ23から空気を抜いても、利用者の臀部がクッション体11の柱状弾性体18によって弾性的に支持されるから、臀部にスプリングユニット3の硬さが伝わったり、臀部が極端に大きく落ち込むなどして寝心地が低下するのを防止することができる。
【0033】
上記クッション体11は枠状部材10の内部に設けられている。そのため、クッション体11の幅方向一端と他端とにそれぞれ給気分岐管25及び排気分岐管27を介して接続される給気管24と排気管26が上記枠状部材10の内周面を弾性変形させてこの枠状部材10内に弾性的に収容保持される。
【0034】
そのため、マットレス1の外部から加わる外力によって上記給気管24や排気管26が押し潰されてエアーチューブ23に対する給排気が円滑に行なえなくなるということがないばかりか、上記給気管24や排気管26が外装体12のまち地15を変形させてマットレス1の外観形状を損なうなどのことがない。
【0035】
さらに、スプリングユニット3にはバイブレータ9が設けられているから、利用者はマットレス1上に仰臥しながらマッサージを受けることもできる。
【0036】
なお、上記一実施の形態では、エアーチューブに供給する圧縮空気の圧力を2段階に制御する場合について説明したが、圧縮空気の圧力制御は2段階に限定されず、それ以上或いは無段階で制御するようにしてもよい。
【0037】
また、スプリングユニットの上面だけにクッション体を設けるようにしたが、下面にも設けるようにしてもよく、上下両面に設ければマットレスの上下面のいずれを上にしても同じ性能で使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】この発明の一実施の形態を示すマットレス装置の概略的構成図。
【図2】マットレスの一部分の拡大し断面図。
【図3】クッション体の平面図。
【図4】クッション体の側面図。
【符号の説明】
【0039】
1…マットレス、2…給排気制御装置、3…スプリングユニット、9…バイブレータ、11…クッション体、12…外装体、18…枠状弾性体、19…帯状シート、21…空間部、24…給気管、26…排気管、32…リモートコントローラ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者が仰臥するためのマットレス装置であって、
スプリングユニットと、
このスプリングユニットの少なくとも上面に設けられるクッション体と、
このクッション体と上記スプリングユニットを被覆する外装体とを具備し、
上記クッション体は、
上記スプリングユニットの幅寸法とほぼ同じ長さ寸法を有しこのスプリングユニットの長手方向に対して幅方向に沿う空間部を介して所定間隔で配置され帯状シートにより連結された複数の柱状弾性部材と、
上記スプリングユニットの長手方向の中途部に位置する複数の上記空間部にそれぞれ設けられたエアーチューブと、
このエアーチューブに対する圧縮空気の供給と排出を制御して上記エアーチューブを所定の圧力で膨張させる給排気手段と
を具備したことを特徴とするマットレス装置。
【請求項2】
上記スプリングユニットにはバイブレータが設けられていることを特徴とする請求項1記載のマットレス装置。
【請求項3】
上記スプリングユニットの上面には弾性材料によってこのスプリングユニットとほぼ同じ大きさに形成された枠状部材が設けられ、この枠状部材の内部に上記クッション体が設けられることを特徴とする請求項1記載のマットレス装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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