説明

マッハツェンダ干渉型光変調器の駆動方法及び光変調装置

【課題】高い消光比及び高いQ値が得られるマッハツェンダ干渉型光変調器の駆動方法を提供する。
【解決手段】MZ変調器10の駆動方法は、第1及び第2変調信号が、電圧振幅が第1レベルにある第1時間Toff1、Toff2と、第1レベルから第2レベルへ移行する第1移行時間Tr1、Tr2と、第2レベルにある第2時間Ton1、Ton2と、第2レベルから第1レベルへ移行する第2移行時間Tf1、Tf2とを有し、Tr1とTr2とは時間軸上で重なっており、且つTf1とTf2とは時間軸上で重なっており、第1及び前記第2変調信号が共に第2レベルにあるときに出力光がオンとなり、第2変調信号の第1レベルと第2レベルとの電圧振幅の差を、第1変調信号の第1レベルと第2レベルとの電圧振幅の差よりも小さくし、且つTr2<Tr1、且つ、Tf2<Tf1、且つ、Toff2がToff1+(Tr1-Tr2)+(Tf1-Tf2)>=Toff2>Toff1+(Tr1-Tr2)×0.5+(Tf1-Tf2)×0.5なる関係を満足する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マッハツェンダ干渉型光変調器の駆動方法及び光変調装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、大容量の情報を長距離にわたって伝送する光通信システムでは、半導体レーザ等の光源から出力された光を光変調器を用いて変調することによって、デジタル化された光信号を伝送している。
【0003】
このような光変調器としては、例えば、マッハツェンダ(Mach−Zehnder)干渉計型光変調器(以下、MZ光変調器ともいう)が用いられている。MZ光変調器は、光源から出力された連続光が入力されると、その入力光が2つの光導波路に分岐される。そして、少なくとも一方の光導波路上に設けられた電極に変調信号を印加することで、光導波路の屈折率が変化して、各光導波路の伝搬光を合波した光出力が変調信号に従って強度変調されて、変調された光信号が出力される。
【0004】
この種のMZ光変調器としては、例えば、非線形光学結晶であるニオブ酸リチウム(LiNbO3:LN)の電気光学効果を利用したMZ光変調器(以下、LN−MZ光変調器ともいう)がある。また、上下のクラッド層にコア層が挟まれた積層構造を有する半導体マッハツェンダ干渉計型光変調器(以下、半導体MZ光変調器ともいう)も用いられている。
【0005】
光ファイバを長距離伝送された光信号は、光ファイバの波長分散の影響を受けて波形劣化が生じてしまう。そのため、MZ光変調器では、波長分散を補償するために、変調時に意図的に出力光に周波数変動を起こさせる負チャープ動作(又は正チャープ動作)を利用して、伝送後の光信号波形の劣化を抑える技術が用いられている。この技術は、プリチャーピング法とも呼ばれる。
【0006】
MZ干渉型光変調器において、負チャープ動作(又は正チャープ動作)は、一方の光導波路を伝搬する伝搬光の位相変化量を、他方の光導波路を伝搬する伝搬光のものよりも大きくすることによって行われる。これは、例えば、一方の光導波路に印加する高周波の変調信号の振幅電圧を、他方に対して大きくすることによって実現される。
【0007】
また、光変調器の特性としては、伝送後の光信号波形が、消光比が高く、且つ、アイパターンの開口の広さを表すQ値が大きいことが求められる。
【0008】
MZ光変調器において、高い消光比を得るためには、入力光が2つの光導波路に分岐される光分岐比を0.5として、同じ光強度で分岐されることが望ましい。このような分岐比を用いると、各光導波路を伝搬した伝搬光が干渉して合波した光信号では、理想的には光強度がゼロのオフ状態が実現される。
【0009】
図1に、従来の例によるLN−MZ光変調器の特性を示す図である。消光比は、光分岐比が0.5である場合に最も大きくなる。一方、入力光の光分岐比が0.5から離れるに従って、消光比は減少する。また、Q値も、光分岐比が0.5である場合に最大となる。
【0010】
図1には、光変調器を用いた光伝送に対して求められる消光比及びQ値の下限値の例が示されており、これらの下限値を満足する光分岐比の範囲LA,QAが示されている。
【0011】
MZ光変調器は、製造過程の変動等によって、個々の特性のばらつきを有しており、光分岐比は必ずしも0.5丁度にはならず、個々のMZ光変調器によって異なってくる。このような製造誤差などによる光分岐比のばらつきを含めて十分な変調特性を得るためには、LA,QAを両方満たす光分岐比の範囲が広いことが望ましい。従って、求められる消光比を満足する光分岐比の範囲LAと、求められるQ値を満足する光分岐比の範囲QAとは、重なり合う範囲が広いことが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2003−322831号公報
【特許文献2】特開平7−84227号公報
【特許文献3】特開2002−214573号公報
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】JOURNAL OF LIGHTWAVE TECHNOLOGY, VOL.22, NO.2,FEBRUARY 2004,pp605−611
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
一方、Q値を改善するための技術として、入力光の分岐比を意図的に0.5からずらす技術が開示されている。しかし、この技術では分岐比が0.5ではない構造を用いるため、高い消光比が得難いという問題がある。
【0015】
また、半導体MZ光変調器は、伝搬光の位相を変えるために光導波路に電圧を印加した場合に、位相を変化させると同時に、伝搬光に対する損失が増加する。そのため、印加する変調信号の電圧の差に起因して2つの光導波路を通過する伝搬光の損失差が発生する。
【0016】
即ち、2つの光導波路への光分岐比を0.5としても、2つの光導波路には異なる電圧が印加されるので、最大の消光比が得られる光分岐比は、0.5からずれることになる。
【0017】
図2は、従来の例による半導体MZ光変調器の特性を示す図である。図2に示す例では、最大の消光比が得られる光分岐比は、約0.49になっている。
【0018】
一方、最大のQ値を示す光分岐比は0.5となっている。従って、半導体MZ光変調器では、求められる消光比を満足する光分岐比の範囲LAと、求められるQ値を満足する光分岐比の範囲QAとが重なり合う範囲が、LN−MZ光変調器よりも狭くなる。図2を図1と比較すると、図2におけるLAとQAとが重なる範囲は、図1の約半分となっている。
【0019】
本明細書は、高い消光比及び高いQ値が得られるマッハツェンダ干渉型光変調器の駆動方法及び光変調装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記課題を解決するために、本明細書で開示するマッハツェンダ干渉型光変調器の駆動方法の一形態によれば、入力光を分岐して第1光導波路及び第2光導波路に送り、上記第1光導波路及び第2光導波路それぞれを伝搬した光を合波して、オンレベルとオフレベルとを有する光信号を出力するマッハツェンダ型の光導波路と、上記第1光導波路に第1変調信号を印加する第1電極と、上記第2光導波路に第2変調信号を印加する第2電極と、を備え、上記第1変調信号は、電圧が第1レベルにある第1時間Toff1と、電圧が第1レベルから第2レベルへ移行する第1移行時間Tr1と、電圧が第2レベルにある第2時間Ton1と、電圧が第2レベルから第1レベルへ移行する第2移行時間Tf1とを有し、上記第2変調信号は、電圧が第1レベルにある第1時間Toff2と、電圧が第1レベルから第2レベルへ移行する第1移行時間Tr2と、電圧が第2レベルにある第2時間Ton2と、電圧が第2レベルから第1レベルへ移行する第2移行時間Tf2と、を有し、上記第1変調信号の電圧が第1レベルにある第1時間Toff1と、上記第2変調信号の電圧が第1レベルにある第1時間Toff2とは時間軸上で少なくとも一部分が重なっており、且つ、上記第1変調信号の電圧が第2レベルにある第2時間Ton1と、上記第2変調信号の電圧が第2レベルにある第2時間Ton2とは時間軸上で少なくとも一部分が重なっており、上記第1変調信号及び上記第2変調信号が共に第2レベルにあるときに、上記光信号がオンレベルとなる、マッハツェンダ型光変調器の駆動方法であって、上記第2変調信号の第1レベルと第2レベルとの電圧の差である第2振幅を、上記第1変調信号の第1レベルと第2レベルとの電圧の差である第1振幅よりも小さくし、上記第2変調信号の第1移行時間Tr2を、上記第1変調信号の第1移行時間Tr1よりも短くし、且つ、上記第2変調信号の第2移行時間Tf2を、上記第1変調信号の第2移行時間Tf1よりも短くし、Toff2が、Toff1+(Tr1−Tr2)+(Tf1−Tf2) >= Toff2 > Toff1+(Tr1−Tr2)×0.5+(Tf1−Tf2)×0.5なる関係を満足する。なお、ここで第1レベルと第2レベルの間を電圧を百分率にし、第1レベルを0%、第2レベルを100%とした場合に、Toffは電圧が10%以下の時間、Tonは電圧が90%以上の時間、Trは電圧が10%から90%に遷移するのに掛かる時間、Tfは電圧が90%から10%に遷移するのに掛かる時間と定義する。
【0021】
また、上記課題を解決するために、本明細書で開示する光変調装置の一形態によれば、入力光を分岐して第1光導波路及び第2光導波路に送り、上記第1光導波路及び第2光導波路それぞれを伝搬した光を合波して、オンレベルとオフレベルとを有する光信号を出力するマッハツェンダ型の光導波路と、上記第1光導波路に第1変調信号を印加する第1電極と、上記第2光導波路に第2変調信号を印加する第2電極と、を有するマッハツェンダ型光変調器と、上記第1変調信号を生成する第1変調信号源及び上記第2変調信号を生成する第2変調信号源と、を備え、上記第1変調信号は、電圧が第1レベルにある第1時間Toff1と、電圧が第1レベルから第2レベルへ移行する第1移行時間Tr1と、電圧が第2レベルにある第2時間Ton1と、電圧が第2レベルから第1レベルへ移行する第2移行時間Tf1とを有し、上記第2変調信号は、電圧が第1レベルにある第1時間Toff2と、電圧が第1レベルから第2レベルへ移行する第1移行時間Tr2と、電圧が第2レベルにある第2時間Ton2と、電圧が第2レベルから第1レベルへ移行する第2移行時間Tf2と、を有し、上記第1変調信号の電圧が第1レベルにある第1時間Toff1と、上記第2変調信号の電圧が第1レベルにある第1時間Toff2とは時間軸上で少なくとも一部分が重なっており、且つ、上記第1変調信号の電圧が第2レベルにある第2時間Ton1と、と上記第2変調信号の電圧が第2レベルにある第2時間Ton2とは時間軸上で少なくとも一部分が重なっており、上記第1変調信号及び上記第2変調信号が共に第2レベルにあるときに、上記光信号がオンレベルとなる、光変調装置であって、上記第1変調信号源及び上記第2変調信号源は、上記第2変調信号の第1レベルと第2レベルとの電圧の差である第2振幅を、上記第1変調信号の第1レベルと第2レベルとの電圧の差である第1振幅よりも小さくし、且つ、上記第2変調信号の第1移行時間Tr2を、上記第1変調信号の第1移行時間Tr1よりも短くし、且つ、上記第2変調信号の第2移行時間Tf2を、上記第1変調信号の第2移行時間Tf1よりも短くし、且つ、Toff2が、Toff1+(Tr1−Tr2)+(Tf1−Tf2) >= Toff2 > Toff1+(Tr1−Tr2)×0.5+(Tf1−Tf2)×0.5なる関係を満足するように、上記第1変調信号及び上記第2変調信号を、上記第1電極及び上記第2電極に印加する。
【発明の効果】
【0022】
本明細書に開示する開示するマッハツェンダ干渉型光変調器の駆動方法の一形態によれば、高い消光比及び高いQ値が得られる。
【0023】
また、本明細書に開示する開示する光変調装置の一形態によれば、高い消光比及び高いQ値が得られる。
【0024】
本発明の目的及び効果は、特に請求項において指摘される構成要素及び組み合わせを用いることによって認識され且つ得られるだろう。
【0025】
前述の一般的な説明及び後述の詳細な説明の両方は、例示的及び説明的なものであり、クレームされている本発明を制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】従来の例によるLiNbO3マッハツェンダ干渉型光変調器の特性を示す図である。
【図2】従来の例による半導体マッハツェンダ干渉型光変調器の特性を示す図である。
【図3】本明細書に開示する光変調装置の第1実施形態を示す図である。
【図4】図3のLiNbO3マッハツェンダ干渉型光変調器を示す平面図である。
【図5】図4のX−X線拡大断面図である。
【図6】第1変調信号の波形及び第2変調信号の波形の例を示す図である。
【図7】第1変調信号の振幅Vpp1と第2変調信号の振幅Vpp2との関係と、伝送後の光信号のアイパターンとの関係を示しており、(A)はVpp1:Vpp2=1:1の場合であり、(B)はVpp1:Vpp2=17:3の場合であり、(C)はVpp2がゼロの場合である。
【図8】第1変調信号及び第2変調信号の波形の他の例を示す図である。
【図9】(A)は、図6の第1変調信号のアイパターンを示す図であり、(B)は、図6の第2変調信号のアイパターンを示す図である。
【図10】アイパターンモニタ装置を用いて制御部を調整する図である。
【図11】(A)は、図8の第1変調信号のアイパターンを示す図であり、(B)は、図8の第2変調信号のアイパターンを示す図である。
【図12】図3に示す光変調装置により伝送された信号のQ値とTr2/Tr1との関係を示す図である。
【図13】第1変調信号及び第2変調信号の波形のまた他の例を示す図である。
【図14】本明細書に開示する光変調装置の第2実施形態を示す図である。
【図15】図14の半導体マッハツェンダ干渉型光変調器を示す平面図である。
【図16】図15のY−Y線拡大断面図である。
【図17】図14の第2変調信号源を説明する図である。
【図18】第2変調信号源の動作を説明する図である。
【図19】図14に示す光変調装置により伝送された光信号のQ値とTr2/Tr1との関係を示す図である。
【図20】図14に示す光変調装置により伝送された光信号の光分岐比のなかでQ値と消光比が十分に得られる範囲と、Tr2/Tr1との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本明細書で開示する光変調装置の好ましい第1実施形態を、図面を参照して説明する。但し、本発明の技術範囲はそれらの実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【0028】
図3は、本明細書に開示する光変調装置の第1実施形態を示す図である。図4は、図3のLiNbO3マッハツェンダ干渉型光変調器を示す平面図である。図5は、図4のX−X線拡大断面図である。
【0029】
本実施形態の光変調装置1は、マッハツェンダ干渉型光変調器10(以下、単にMZ光変調器10ともいう)と、MZ光変調器10に印加する第1変調信号を生成する第1変調信号源RF1及び第2変調信号を生成する第2変調信号源RF2とを備える。
【0030】
また、光変調装置1は、第1変調信号をバイアスするための第1直流電圧源DC1と、第2変調信号をバイアスするための第2直流電圧源DC2と、を有する。更に、光変調装置1は、第1変調信号源RF1と、第2変調信号源RF2と、第1直流電圧源DC1と、第2直流電圧源DC2と、を制御する制御部CONを備える。
【0031】
光変調装置1は、MZ光変調器10に入力光を導波する光ファイバ3を有する。光ファイバ3は、例えば、連続光を導波する。光ファイバ3を導波してきた入力光は、レンズ2aを介して、MZ光変調器10に入射する。
【0032】
また、光変調装置1は、MZ光変調器10によって変調された出力光を導波する光ファイバ4を有する。MZ光変調器10から出力された出力光は、レンズ2bを介して、光ファイバ4に入射する。
【0033】
MZ光変調器10は、入力光を分岐して第1光導波路11及び第2光導波路12に送り、第1光導波路11及び第2光導波路12それぞれを伝搬した光を合波して、オンレベルとオフレベルとを有する光信号としての出力光を出力するマッハツェンダ型の光導波路13を有する。また、MZ光変調器10は、第1光導波路11に第1変調信号を印加する第1電極14と、第2光導波路12に第2変調信号を印加する第2電極15と、を有する。
【0034】
第1変調信号源RF1及び第1直流電圧源DC1から出力された電気信号は、合わされて、MZ光変調器10上の配線部を介して、第1電極14に印加される。同様に、第2変調信号源RF2及び第2直流電圧源DC2から出力された電気信号は、合わされて、MZ光変調器10上の配線部を介して、第2電極15に印加される。
【0035】
次に、MZ光変調器10について、図4及び図5を参照して、以下に更に説明する。
【0036】
光変調装置1のMZ光変調器10は、LiNbO3マッハツェンダ干渉型光変調器である。
【0037】
MZ光変調器10は、LiNbO3結晶により形成された基板17と、基板17内にTi等の拡散によって形成された入出力導波路、入力側光カプラ、第1光導波路11及び第2光導波路12および出力側カプラで構成されるマッハツェンダ型の光導波路13を有する。この光導波路13内に光路13aが形成される。また、MZ光変調器10は、基板17上に形成された第1電極14及び第2電極15と、3つのグランド電極16a、16b、16cとを有する。
【0038】
第1電極14は、第1光導波路11の上に形成される。また、第2電極15は、第2光導波路12の上に形成される。このように、光変調装置1は、いわゆるZ−cutタイプの構造を有する。
【0039】
図5に示すように、第1電極14は、グランド電極16aとグランド電極16bとの間に配置される。第2電極15は、グランド電極16bとグランド電極16cとの間に配置される。
【0040】
図5の矢印に示すように、第1変調信号及び直流バイアス電圧が印加された第1電極14から電場が発生して、基板17内を通って、グランド電極16aとグランド電極16bに向かう電気力線が発生する。
【0041】
電場が印加された第1光導波路11では、電場の大きさ及び向きに対応して屈折率が変化するので、この屈折率の変化に対応して第1光導波路11を伝搬する伝搬光の位相が変化する。
【0042】
同様に、第2変調信号及び直流バイアス電圧が印加された第2電極15から電場が発生して、基板17内を通って、グランド電極16bとグランド電極16cに逆向きに向かう電気力線が発生する。電場が印加された第2光導波路12では、電場の大きさ及び向きに対応して伝搬光の位相が変化する。
【0043】
なお、図5に示す電気力線の向きは、一例であり、第1電極14又は第2電極15に印加される電圧の向きによって、電気力線の向きは変わり得る。
【0044】
制御部CONによって制御される第1変調信号源RF1及び第1直流電圧源DC1によって生成された第1変調信号S1の波形と、第2変調信号源RF2及び第2直流電圧源DC2によって生成された第2変調信号S2の波形の一例を、図6に示す。ここでは、第1変調信号S1と第2変調信号S2は互いに電圧変化の方向が反転している信号であり、その信号の形状の詳細は以下に説明するようになっている。
【0045】
第1変調信号S1は、電圧が第1レベルにある第1時間Toff1と、電圧が第1レベルから第2レベルへ移行する第1移行時間Tr1と、電圧が第2レベルにある第2時間Ton1と、電圧が第2レベルから第1レベルへ移行する第2移行時間Tf1とを有する。
【0046】
第1変調信号S1は、第1時間Toff1及び第2時間Ton1では、電圧は一定である。また、第1変調信号S1は、第1移行時間Tr1では、正の一定の傾きを有している。また、第1変調信号S1は、第2移行時間Tf1では、負の一定の傾きを有している。
【0047】
第2変調信号S2は、電圧が第1レベルにある第1時間Toff2と、電圧が第1レベルから第2レベルへ移行する第1移行時間Tr2と、電圧が第2レベルにある第2時間Ton2と、電圧が第2レベルから第1レベルへ移行する第2移行時間Tf2とを有する。
【0048】
第2変調信号S2は、第1時間Toff2及び第2時間Ton2では、電圧は一定である。また、第2変調信号S2は、第1移行時間Tr2では、負の一定の傾きを有している。また、第2変調信号S2は、第2移行時間Tf2では、正の一定の傾きを有している。
【0049】
図6に示す例では、Tr1=Tf1であり、第1変調信号S1の第1移行時間Tr1と第2移行時間Tf1とが同じである。また、Tr2=Tf2であり、第2変調信号S2の第1移行時間Tr2と第2移行時間Tf2とが同じである。
【0050】
また、第1変調信号の電圧が第1レベルにある第1時間Toff1と、第2変調信号の電圧が第1レベルにある第1時間Toff2とは時間軸上で少なくとも一部分が重なっており、且つ、前記第1変調信号の電圧が第2レベルにある第2時間Ton1と、前記第2変調信号の電圧が第2レベルにある第2時間Ton2とは時間軸上で少なくとも一部分が重なっている。
【0051】
また、第1変調信号S1の第1移行時間Tr1と第2変調信号S2の第1移行時間Tr2とは時間軸上で少なくとも一部分が重なっている。同様に、第1変調信号S1の第2移行時間Tf1と第2変調信号S2の第2移行時間Tf2とは時間軸上で少なくとも一部分が重なっている。
【0052】
また、第1変調信号S1と第2変調信号S2は互いに電圧の変化の方向が反転している同じビットレートの信号であるため、第1変調信号S1の一周期T=Toff1+Tr1+Ton1+Tf1の時間は、第2変調信号S2の一周期T=Toff2+Tr2+Ton2+Tf2と同じ時間である。
【0053】
第1変調信号S1及び第2変調信号S2が共に第1レベルにあるときに、出力光がオフレベルの状態(出力光オフ状態)となる。この出力光オフ状態では、第1光導波路を伝搬した伝搬光と、第2光導波路を伝搬した伝搬光とが、干渉によって互いに打ち消し合う結果、MZ変調器から出力される光強度が最も減少した状態にある。
【0054】
一方、第1変調信号S1及び第2変調信号S2が共に第2レベルにあるときに、出力光がオンレベルの状態(出力光オン状態)となる、出力光オン状態では、第1光導波路を伝搬した伝搬光と、第2光導波路を伝搬した伝搬光とが、干渉によって互いに強め合う結果、光強度が最も増加した状態にある。
【0055】
図6に示す例では、Ton1=Ton2である。即ち、制御部CONは、出力光をオンレベルにする際に、第1変調信号S1が第2レベルにある第2時間Ton1と、第2変調信号S2が第2レベルにある第2時間Ton2とを、時間軸上で一致させるように、第1変調信号源RF1及び第2変調信号源RF2を制御している。
【0056】
本明細書では、出力光のオン状態における光強度Ponと、オフ状態における光強度Poffとの比Pon/Poffを消光比という。
【0057】
2つの光導波路を伝搬する伝搬光の干渉によって消光比を大きくする上で、第1変調信号S1と第2変調信号S2によって発生する第1の光導波路と第2の光導波路を伝播した光の位相差をオフレベルにおいて180°にすることが好ましい。図6に示す例では、第1変調信号S1の電圧が低いレベルと第2変調信号S2の電圧の高いレベルがオフレベルとなっているが、これらの電圧は光の位相差が180°となるように調整される。
【0058】
また、図6では第1変調信号S1の電圧変化の向きと、第2変調信号の電圧変化の向きとは逆向きになっている。この場合、図5に示すように、第1光導波路11と第2光導波路12とでは、電場の向きが逆向きになるので、光導波路における屈折率の変化の方向が反対になるため、それぞれの伝搬光の位相が逆向きに変化する。
【0059】
また、MZ光変調器は、製造過程の変動等によって、第1光導波路11と第2光導波路12を通過した場合の光の位相差にばらつきを有しており、この位相差を補償するために、制御部CONは、第1直流電圧源DC1及び第2直流電圧源DC2の直流バイアス電圧それぞれを変化させることによって、前記の第1レベルにおいて位相差が180°に、第2レベルにおいて位相差が0となるように調整する。
【0060】
制御部CONは、第2変調信号S2の第1レベルと第2レベルとの電圧の差である第2振幅Vpp2を、第1変調信号S1の第1レベルと第2レベルとの電圧の差である第1振幅Vpp1よりも小さくするように、第1変調信号源RF1及び第2変調信号源RF2を制御する。
【0061】
図6に示す例では、第1変調信号S1が、出力光オン状態において、正の方向に大きい電圧を有しており、光変調装置1は負チャープ動作をさせている。
【0062】
また、制御部CONは、出力光をオフレベルからオンレベルへ移行させる際に、第2変調信号S2の第1移行時間Tr2を、第1変調信号S1の第1移行時間Tr1よりも短くし、且つ、出力光をオンレベルからオフレベルへ移行させる際に、第2変調信号S2の第2移行時間Tf2を、第1変調信号S1の第2移行時間Tf1よりも短くするように、第1変調信号源RF1及び第2変調信号源RF2を制御する。
【0063】
更に、制御部CONは、第2変調信号S2の電圧が第1レベルにある第1時間Toff2が、下式(1)を満足するように、第1変調信号源RF1及び第2変調信号源RF2を制御する。
Toff1+(Tr1−Tr2)+(Tf1−Tf2) >= Toff2 > Toff1+(Tr1−Tr2)×0.5+(Tf1−Tf2)×0.5 (1)
【0064】
図6に示す例は、Toff2に対して、上記式(1)の左辺との等号が成り立つ場合を示している。この場合には、上述したように、出力光をオンレベルにする際に、第1変調信号S1が第2レベルにある第2時間Ton1と、第2変調信号S2が第2レベルにある第2時間Ton2と、が等しくなる。後述するようにこの条件で最もQ値改善の効果が得られる。
【0065】
このように、図6に示す例では、第1変調信号S1と第2変調信号S2とが、上述した関係を有しているので、第1変調信号S1が第1レベルから第2レベルへ移行し始めた後のΔTr=Tr1−Tr2の間は、第2変調信号S2は電圧が一定のままである。即ち、第1移行時間Tr1における出力光オフ状態に近い部分(ΔTrの部分)では、第2変調信号S2の時間変化率R2(R2=0/ΔTr)がゼロであるのに対して、第1変調信号の時間変化率R1(R1=Vpp1/Tr1)は有限の正の値を有している。そこで、第1移行時間Tr1における出力光オフ状態に近い部分(ΔTrの部分)では、第1変調信号の時間変化率R1と、第2変調信号の時間変化率R2との比率を、R1を基準として、R1:R2=1:0と表す。
【0066】
そして、第2変調信号S2は、第1変調信号S1よりもΔTr遅れて、第1レベルから第2レベルへ移行し始める。従って、第2移行時間Tr2における出力オン状態に近い部分(Tr2のΔTrを除いた部分)では、第2変調信号の時間変化率R2(R2=Vpp2/Tr2)は、Tr2がTr1より小さい分、第1変調信号の時間変化率R1に近い値を有している。本明細書では、時間変化率R1,R2は、その絶対値を意味することとする。そこで、図6に示す例において、第1移行時間Tr2における出力光オン状態に近い部分では、R1とR2との関係は、R1を基準として、R1:R2=1:1に近い状態ということができる。
【0067】
図6では、Tr1>Tr2の場合が示されているが、次に、第2移行時間Tr2が、第1移行時間T1と同じである場合を以下に述べる(Tr1=Tr2の場合)。また、ここでは、第1変調信号S1の第1振幅Vpp1と、第2変調信号S2の第2振幅Vpp2との比を、Vpp1:Vpp2=17:3として話をする。この場合、第1移行時間Tr1、Tr2における第1変調信号の時間変化率R1と第2変調時間の時間変化率R2との比は、Tr1=Tr2なので、第1振幅Vpp1と第2振幅Vpp2との比と同じになり、R1:R2=17:3となる。また、2つの導波路における伝搬光の位相変化の効率の比率は、第1変調信号の時間変化率R1と第2変調時間の時間変化率R2との比と同じになるので、第1振幅Vpp1と第2振幅Vpp2との比と同じになる。即ち、Tr1=Tr2の場合、第1光導波路11における伝搬光の位相変化の効率P1と、第2光導波路12における伝搬光の位相変化の効率P2との比率は、P1:P2=17:3となる。
【0068】
次に、(1)図6における第1移行時間Tr1における出力光オフ状態に近い部分(ΔTrの部分)のP1とP2との比率と、(2)図6における第1移行時間Tr2における出力光オン状態に近い部分のP1とP2との比率について説明する。
【0069】
まず、図6における第1移行時間Tr1における出力光オフ状態に近い部分(ΔTrの部分)のP1とP2との比率について以下に述べる。
【0070】
第1移行時間Tr1における出力光オフ状態に近い部分(ΔTrの部分)では、第1変調信号の時間変化率R1と、第2変調信号の時間変化率R2との比率を、R1を基準として、R1:R2=1:0と表せる。したがって、第1移行時間Tr1における出力光オフ状態に近い部分(ΔTrの部分)では、第1光導波路11の伝搬光の位相変化の効率P1と、第2光導波路12の伝搬光の位相変化の効率P2との比率を、P1を基準として、P1:P2=1:0と表すことができる。
【0071】
次に、図6における第1移行時間Tr2における出力光オン状態に近い部分のP1とP2との比率について以下に述べる。
【0072】
第1移行時間Tr2における出力光オン状態に近い部分では、第2変調信号の位相変化の効率P2は、Tr1=Tr2の場合と比べて、大きな値を有する。これは、第2変調信号S2が、より短い時間で第2振幅Vpp2の変化を達成するからである。そして、第1移行時間Tr2における出力光オン状態に近い部分では、R1とR2との関係は、R1を基準として、R1:R2=17:3よりもR1:R2=1:1に近い状態ということができる。従って、第1移行時間Tr2における出力光オン状態に近い部分では、Tr1=Tr2の場合と比べて、P1とP2との関係は、第1変調信号S1の位相変化の効率P1を基準として、P1:P2=17:3よりもP1:P2=1:1に近い状態ということができる。
【0073】
以上をまとめると、P1とP2との関係は、第1移行時間Tr1における出力光オフ状態に近い部分(ΔTrの部分)では、P1:P2=1:0であり、第1移行時間Tr1、Tr2における出力光オン状態に近い部分では、P1:P2=1:1に近い状態にある。
【0074】
図7(A)〜図7(C)に、光信号の伝送後の波形と、第1変調信号の位相変化の効率P1と第2変調信号の位相変化の効率P2との比との関係を示す。
【0075】
図7(A)は、光変調装置1において光変調された光信号について、100kmの光ファイバ伝送後(分散1600ps/nm相当)の波形を計算したアイパターンを示す。ここで、光変調装置1では、Tr2=Tr1とし、第1変調信号の振幅Vpp1とと第2変調信号の振幅Vpp2との比をVpp1:Vpp2=1:1、即ち、P1:P2=1:1として、入力光が光変調されている。
【0076】
図7(B)は、同様に、Tr2=Tr1とし、第1変調信号の振幅Vpp1と第2変調信号の振幅Vpp2との比をVpp1:Vpp2=17:3、即ち、P1:P2=17:3として、光変調装置1が入力光を光変調した場合の伝送後の光信号のアイパターンを示す。
【0077】
図7(C)は同様に、Tr2=Tr1とし、第2変調信号の振幅Vpp2をゼロ、即ち、P1:P2=1:0として、光変調装置1が入力光を光変調した場合の伝送後の光信号のアイパターンを示す。
【0078】
図7(A)〜(C)を比較すると、出力光オン状態における波形の分散Donが、Vpp1:Vpp2が1:1に近づくに連れて低減されることが分かる。言い換えるとP1:P2が1:1に近づくに連れてDonが低減される。従って、第1移行時間Tr1,Tr2における出力オン状態に近い部分で、P1とP2との関係を、第1変調信号の位相変化の効率P1を基準として、P1:P2=1:1に近い状態にすることによって、Q値の増加が期待できる。
【0079】
図6の例に示すような本発明の駆動方法のように、Ton1とTon2とを時間軸上において一致させることによって、完全にonレベルに達するまで、P1とP2との関係を、第1変調信号の位相変化量P1を基準として、P1:P2=1:1に最も近い状態にさせることできる。その結果、図7(A)に示される波形のようにonレベル側の波形の分散Donを低減することができる。
【0080】
また、逆にoffレベル近傍の分散Doffについて図7の(A)〜(C)で比較すると、Vpp1:Vpp2が1:0に近いほど、低減されていることが分かる。言い換えるとP1:P2が1:0に近いほど、Doffが低減される。従って、図6に示すような本発明の駆動波形のように、第1移行時間Tr1における出力光オフ状態に近い部分(ΔTrの部分)で、P1とP2との関係を、第1変調信号の位相変化量P1を基準として、P1:P2=1:0にすることによって、図7(C)のようにoffレベル近傍のアイパターンの広がりDoffを低減することができ、Q値を増加できることが分かる。
【0081】
なお、本明細書では、Q値は、アイパターンにおける消光比と、DonとDoffとの和との比である。
【0082】
以上の説明は、図6に示す例を用いて行われており、Toff2が上記式(1)の等号を満たす場合を中心にしたものである。なお、先に述べたように、上記式(1)の等号が成り立つ図6の駆動条件が、Q値改善の効果を最も大きく得られる条件である。これは、この条件が、Tr1とTr2でonレベルに完全に達する時間が一致するため、完全にonレベルに達するまでP1:P2が1:1に近い状態のままになるためである。この条件では、Ton1とTon2が一致する。言い換えると、Ton1とTon2が同じである条件が最もQ値改善の効果が得られるようになる。
次に、Toff2が、上記式(1)の不等号の関係を満たす場合について、以下に説明する。これらの条件でも、上記式(1)の等号が成り立つ条件ほどではないが、Q値の改善の効果が見られる。
【0083】
図8は、第1変調信号及び第2変調信号の電圧の波形の他の例を示す図であり、Q値改善の効果が見られるToff2の値の下限(Toff2=Toff1+(Tr1−Tr2)×0.5+(Tf1−Tf2)×0.5)の場合の電圧の波形を示している。
【0084】
図8に示す例では、第2変調信号S2の第1移行時間Tr2の部分が、図6の例に対して時間軸の左側にずれており、第1移行時間Tr2の中点Pr2が、第1変調信号S1の第1移行時間Tr1の中点Pr1と一致している。ここで、Tr1=Tr2+ΔTra+ΔTrbである。
【0085】
同様に、第2変調信号S2の第2移行時間Tf2の部分が、図6に対して時間軸の右側にずれており、第2移行時間Tf2の中点Pf2が、第1変調信号S1の第2移行時間Tf1の中点Pf1と一致している。図8のToff2は、図6のToff2よりも短くなっている。ここで、Tf1=Tf2+ΔTfa+ΔTfbである。
【0086】
その結果、第2変調信号S2の第2時間Ton2は、第1変調信号S1の第2時間Ton1よりも長くなっている。
【0087】
Toff2が、上記式(1)の右側の不等号の関係を満たす場合には、第2変調信号S2の中点Pr2が中点Pr1よりも時間軸の右側に位置し、且つ、第2変調信号S2の中点Pf2が中点Pf1よりも時間軸の左側に位置する場合に対応する。
【0088】
また、Toff2が、式(1)の左側の不等号の関係を満たす場合は、Tr2の時間軸上の位置が図6に示す位置よりも左側に位置し、且つTf2の時間軸上の位置が図6に示す位置よりも右側に位置する場合に対応する。
【0089】
従って、Toff2が、上記式(1)の不等号の関係を満たす場合は、Tr2の時間軸上の位置が図6に示す位置と図8に示す位置との間に位置し、且つTf2の時間軸上の位置が図6に示す位置と図8に示す位置との間に位置する。この条件範囲は、Tr2の時間がTr1の時間範囲のなかで、on側に近いほうによっている範囲であり、Tf2の時間がTf1の時間範囲の中で、on側に近いほうによっている範囲である。この条件の範囲内では、on側に近いほうでP1:P2が1:1に近く、off側に近いほうでP1:P2が1:0に近くなるため、Q値の改善の効果が得られる。
逆に、この範囲を外れてToff2<Toff1+(Tr1−Tr2)×0.5+(Tf1−Tf2)×0.5となる条件では、on側に近いほうでP1:P2が1:0に近く、off側に近いほうでP1:P2が1:1に近くなるためQ値の改善の効果が得られない。
【0090】
図9(A)は、図6の第1変調信号のアイパターンを示す図であり、図9(B)は、図6の第2変調信号のアイパターンを示す図である。図9(A)および図9(B)のアイパターンは2ビット分の時間幅のパターンを表示している。
【0091】
上述したように、制御部CONが、Toff2が式(1)の関係を満足するように、第1変調信号源RF1及び第2変調信号源RF2を制御する。その結果、第2変調信号から形成したアイパターンのクロスポイントの位置Cr2と、そのアイパターンにおける出力光のオフレベルに対応する第2変調信号の第1レベル(第2変調信号では電圧が高い側)との間の距離が、第1変調信号から形成したアイパターンのクロスポイントの位置Cr1と、そのアイパターンにおける出力光のオフレベルに対応する第1変調信号の第1レベル(第1変調信号では電圧が低い側)との間の距離よりも短くなる。
【0092】
図9(A)に示す第1変調信号のアイパターンは、例えば、図10に示すように、第1電極14に印加される信号を、アイパターンモニタ装置IPM(具体的にサンプリングオシロなどの装置)を用いて、モニタしながら必要な波形が得られるように調整される。また、図9(B)に示す第2変調信号のアイパターンも、同様に、第2電極15に印加される信号を、アイパターンモニタ装置IPMを用いて、モニタしながら必要な波形が得られるように調整される。
【0093】
各アイパターン上のクロスポイントの位置を、出力光オフ状態の信号レベルを0%とし、出力光オン状態に対応する信号レベルを100%として、百分率の値で表すことができる。この場合、第2変調信号から形成したアイパターン上のクロスポイントCr2の百分率の値を、第1変調信号から形成したアイパターン上のクロスポイントCr1の百分率の値よりも、0%に近くすることになる。
【0094】
このような第1変調信号及び第2変調信号に対するアイパターン上のクロスポイントの位置の調整は、上述した図10に示すように、アイパターンモニタ装置IPMを用いて、制御部CONを調整することによって行うことができる。
【0095】
図10は、アイパターンモニタ装置を用いて制御部を調整する図である。制御部CONは、第2変調信号から形成したアイパターン上のクロスポイントCr2の位置を、第1変調信号から形成したアイパターン上のクロスポイントCr1の位置よりも、アイパターン上の出力光オフ状態に対応する信号レベルに近づけるように調整する。
【0096】
次に、第1変調信号及び第2変調信号の電圧の他の波形のアイパターンを示す。
【0097】
図11(A)は、上述した図8の第1変調信号のアイパターンを示す図であり、図11(B)は、図8の第2変調信号のアイパターンを示す図である。
【0098】
図11(A)及び図11(B)に示す例では、第2変調信号から形成したアイパターン上のクロスポイントCr2の位置は、第1変調信号から形成したアイパターン上のクロスポイントCr1の位置と一致している。
【0099】
光変調装置1では、制御部CONが、Toff2が式(1)の関係を満足するように、第1変調信号源RF1及び第2変調信号源RF2を制御するので、第2変調信号から形成したアイパターン上のクロスポイントCr2の位置は、図11(B)に示される位置よりも、アイパターン上の出力光オフ状態に対応する信号レベルに近づいた位置に制御される。
【0100】
Toff2が式(1)の不等号の関係を満足する場合には、第2変調信号から形成したアイパターン上のクロスポイントCr2の位置は、図10(B)に示される位置と、図11(B)に示される位置との間に位置することになる。
【0101】
図12は、図3に示す光変調装置1により伝送された信号のQ値とTr2/Tr1との関係を示す図である。図12は、第1変調信号及び第2変調信号が図6に示す波形を有する場合について計算した結果である。ここでは、光変調装置1において光変調された光信号について、100kmの光ファイバ伝送後(分散1600ps/nm相当)の波形のQ値が求められている。また、Vpp1:Vpp2=17:3とし、Tr1=Tf1とし、また、Tr2=Tf2とし、第1変調信号S1と第2変調信号S2は互いに電圧の変化の方向が逆であり、また、出力光のonレベルに相当する第1変調信号S1と第2変調信号S2の第2レベルにおいて、第1の光導波路と第2の光導波路を通過した光の位相差が0であり、offレベルに相当する第1レベルでの位相差が180°となるようにした。また、2つの光導波路への光分岐比は0.5とした。
【0102】
図12に示すように、Q値は、Tr2/Tr1の値が1.0から低減すると共に、大きく増加することが分かる。
【0103】
ここで、Tr2/Tr1の値が1.0から低減することは、2つの光導波路の光損失差、第1変調信号及び第2変調信号の電圧には影響しないので、出力光の消光比には影響を与えない。
【0104】
従って、Tr2/Tr1の値を低減することによって、消光比を維持しつつ、Q値を向上させることができる。
【0105】
第2変調信号S2の第1移行時間Tr2は、第1変調信号S1の第1移行時間Tr1に対して0.20〜0.95の範囲にすることが好ましい。Tr2が、Tr1に対して0.95以下であることにより、Q値を大きく向上させることができる。Tr2が、Tr1に対して0.20よりも小さいと、第2光導波路12を伝搬する伝搬光の位相変化の効率が、第1光導波路11を伝搬する伝搬光よりも大きくなる場合があり、チャープの方向が反転して負チャープ動作が不安定になるおそれがある。
【0106】
また、第2変調信号S2の第2移行時間Tf2は、第1変調信号S1の第2移行時間Tf1に対して0.20〜0.95の範囲にすることが好ましい。Tf2が、Tf1に対して0.95以下であることにより、Q値を大きく向上させることができる。Tf2が、Tf1に対して0.20よりも小さいと、第2光導波路12を伝搬する伝搬光の位相変化の効率が、第1光導波路11を伝搬する伝搬光よりも大きくなる場合があり、負チャープ動作が不安定になるおそれがある。
【0107】
光変調装置1の具体的な変調条件としては、例えば、第1変調信号の上記第1振幅Vpp1と第2変調信号の上記第2振幅Vpp2との比をVpp1:Vpp2=17:3とし、Tr2/Tr1=0.8とし、Vpp1を1〜5Vとすることができる。
【0108】
以上の説明では、光変調装置1が負チャープ動作を行う場合について説明した。光変調装置1は、正チャープ動作を行うこともできる。光変調装置1が正チャープ動作を行う場合には、図13に示すように、出力光オン状態において、第1変調信号S1の電圧が低く、第2変調信号S2の電圧が高い駆動波形、すなわち、図6に対して、第1および第2の変調信号S1,S2がそれぞれon,offが反転するような駆動波形を用いれば良い。
【0109】
この場合にも、上述したのと同様に、第2変調信号S2の第1移行時間Tr2は、第1変調信号S1の第1移行時間Tr1に対して0.20〜0.95の範囲にすることが好ましい。また、第2変調信号S2の第2移行時間Tf2は、第1変調信号S1の第2移行時間Tf1に対して0.20〜0.95の範囲にすることが好ましい。
【0110】
また、安定な負チャープ動作(又は正チャープ動作)を得る上で、Vpp1/Tr1>Vpp2/Tr2であることが好ましい。
【0111】
上述した本実施形態のLZーMZ光変調器10を有する光変調装置1によれば、伝送された光信号の高い消光比を維持しつつ、高いQ値が得られる。
【0112】
上述した図6の例では、第1移行時間Tr1における出力光オフ状態に近い部分(ΔTrの部分)では、第2変調信号S2は電圧が変化せず一定の値を有していたが、ΔTrの部分では、第2変調信号S2は、Tr1=Tr2の場合よりも、傾きが小さい範囲であれば、時間と共に電圧が変化していても良い。
【0113】
同様に、上述した図6の例では、第2移行時間Tf1における出力光オフ状態に近い部分(ΔTfの部分)では、第2変調信号S2は電圧が変化せず一定の値を有していたが、ΔTfの部分では、第2変調信号S2は、Tr1=Tr2の場合よりも、傾きが小さい範囲であれば、時間と共に電圧が変化していても良い。
【0114】
次に、本明細書に開示する第2実施形態の光変調装置を、図面を参照しながら以下に説明する。第2実施形態について特に説明しない点については、上述の第1実施形態に関して詳述した説明が適宜適用される。また、図14〜図17において、図3〜図5と同じ構成要素に同じ符号を付してある。
【0115】
図14は、本明細書に開示する光変調装置の第2実施形態を示す図である。図15は、図14の半導体マッハツェンダ干渉型光変調器を示す平面図である。図16は、図15のY−Y線拡大断面図である。図17は、図14の第2変調信号源を説明する図である。
【0116】
本明細書の光変調装置1は、MZ光変調器30として、半導体マッハツェンダ干渉型光変調器を有する。
【0117】
MZ光変調器30は、入力光を分岐して第1光導波路31及び第2光導波路32に送り、第1光導波路31及び第2光導波路32それぞれを伝搬した光を合波して、オンレベルとオフレベルとを有する光信号としての出力光を出力する光導波路33を有する。この光導波路33内に光路33aが形成される。また、MZ光変調器30は、第1光導波路31に第1変調信号を印加する第1電極34と、第2光導波路32に第2変調信号を印加する第2電極35と、を有する。
【0118】
次に、MZ光変調器30について、図15及び図16を参照して、以下に更に説明する。
【0119】
MZ光変調器30は、例えばInPなどの半導体基板により形成される下側クラッド層39と、下側クラッド層39上に配置される第1光導波路コア層31及び第2光導波路コア層32と、第1光導波路31及び第2光導波路32それぞれの上に配置される上側InPクラッド層38と、上側クラッド層38それぞれの上に配置されるコンタクト層40と、コンタクト層40それぞれの上に配置される第1電極34及び第2電極35とを有する。
【0120】
下側クラッド層39の一部分と、第1光導波路31と、上側クラッド層38と、コンタクト層40とによって一方のメサ部が形成される。また、下側クラッド層39の他の一部分と、第1光導波路32と、上側クラッド層38と、コンタクト層40とによって他方のメサ部が形成される。
【0121】
2つのメサ部は、誘電体パッシベーション層41によって、下側クラッド層39と共に覆われている。
【0122】
誘電体パッシベーション層41に覆われた2つのメサ部は、低誘電体層42の中に埋め込まれている。
【0123】
また、MZ光変調器30は、下側クラッド層39の下にグランド電極37を有する。
【0124】
第1光導波路コア層31及び第2光導波路コア層32は、例えば、厚さが数100nmのInGaAsP/InPの多層量子井戸(MQW)で形成される。
【0125】
コンタクト層40は、上側クラッド層38と第1電極34又は第2電極との間の電気抵抗を低減する。コンタクト層40は、例えば、InGaAsP/InGaAsによって形成される。
【0126】
誘電体パッシベーション層41は、例えば、SiO2やSiNなどのシリコン酸化物によって形成される。低誘電体層42は、例えば、BCB等の樹脂によって形成される。
【0127】
次に、第1変調信号源RF1及び第2変調信号源RF2について、図17及び図18を用いて、以下に説明する。図17は、図14の第2変調信号源を説明する図である。図18は、第2変調信号源の動作を説明する図である。
【0128】
第2変調信号源RF2は、変調信号を生成する変調信号生成器SGと、変調信号生成器SGが出力した変調信号の電圧を減衰させる減衰器50と、減衰器50の出力信号の電圧を制限して第2変調信号を生成するリミッタ回路51とを有している。
【0129】
制御部CONは、第1変調信号源RF1及び変調信号生成器SGに対して、同一の電圧を有し且つ電圧変化の方向が互いに逆となる変調信号を生成させる。このような変調信号源は、例えば、互いに符号が反転した2つの高周波電圧信号(DATAとDADA BAR)を生成する電源を用いて形成される。
【0130】
第1変調信号源RF1及び第1直流電圧源DC1から出力された電気信号は、合わされて、MZ光変調器30上の配線部を介して、第1電極34に印加される。
【0131】
一方、変調信号生成器SGから出力された電気信号は、減衰器50及びリミッタ回路51を経由した後、及び第2直流電圧源DC2からの出力信号と合わされた後、MZ光変調器30上の配線部を介して、第2変調信号として、第2電極35に印加される。
【0132】
図17に示すように、減衰器50は、抵抗R1と、抵抗R2と、抵抗R3とを有する。抵抗R1の一方の端部と抵抗R2の一方の端部とが接続される。抵抗R2の他方の端部と抵抗R3の一方の端部とが接続される。抵抗R1および抵抗R3の他方の端部はアースされる。抵抗R1と抵抗R3の抵抗値は同じとする。変調信号生成器SGの出力信号は、抵抗R1の両端に印加され、減衰器50の出力信号は、抵抗R3の両端部から取り出され、抵抗R1とR2の組合せで減衰率を調整することが可能である。
【0133】
リミッタ回路51は、直列に接続された抵抗R4と、ダイオードDiと、直流定電圧源Vdcとを有する。抵抗R4の一方の端部とダイオードDiのアノードである一方の端部とが接続される。ダイオードDiのカソードである他方の端部は、直流定電圧源Vdcの正極に接続される。直流定電圧源Vdcは、ダイオードDiに対して逆電圧を印加する。
【0134】
減衰器50の抵抗R3の両端部から取り出された出力信号は、抵抗R4の他方の端部と、直流定電圧源Vdcの負極とに印加される。第2変調信号であるリミッタ回路51の出力信号は、抵抗R4の一方の端部とダイオードDiの一方の端部との接続点と、直流定電圧源Vdcの負極とから取り出されて、MZ光変調器30の第2電極とグランド電極37とに印加される。
【0135】
図18は、図17の動作を説明する図である。図18(A)は、第1変調信号源RF1及び変調信号生成器SGそれぞれの出力信号の電圧を示す。図18(B)は、減衰器50の出力信号の電圧を、第1変調信号S1と共に示す。図18(C)は、リミッタ回路51の出力信号である第2変調信号S2の電圧を、第1変調信号S1と共に示す。
【0136】
第1変調信号源RF1は、第1変調信号S1を生成する。変調信号生成器SGは変調信号S2aを生成する。図18(A)に示すように、第1変調信号源RF1及び変調信号生成器SGそれぞれの出力信号は、同一の電圧を有し且つ位相が互いに電圧変化の方向が逆となっている。第1変調信号源RF1の出力信号は、そのまま第1変調信号S1として、MZ光変調器30の第1電極とグランド電極37とに印加される。
【0137】
図18(B)に示すように、減衰器50は、変調信号生成器SGが出力した変調信号S2aの電圧をVpp2aからVpp2bへ減衰させた減衰変調信号S2bを出力する。
【0138】
図18(C)に示すように、リミッタ回路51は、減衰器50の出力信号S2bの電圧の大きさをVlimit以下に制限して、第1レベルと第2レベルとの電圧の差が上記第2振幅Vpp2ある第2変調信号S2を生成する。
【0139】
このようにして、第2変調信号S2の上記第2振幅Vpp2が、第1変調信号S1の上記第1振幅Vpp1よりも小さくなる。また、第2変調信号S2の第1移行時間Tr2が、第1変調信号S1の第1移行時間Tr1よりも短くなる。また、第2変調信号S2の第2移行時間Tf2が、第1変調信号S1の第2移行時間Tf1よりも短くなる。更に、Toff2が、上記式(1)を満足する。
【0140】
制御部CONは、上述した波形を有する第1変調信号と第2変調信号を生成するように、互いに電圧変化の方向が逆であり、かつ同じ振幅の電気信号を発生させる第1変調信号源RF1及び第2変調信号源RF2と、第1直流電圧源DC1及び第2直流電圧源DC2と、を制御する。
【0141】
図19は、図14に示す光変調装置1により伝送された光信号のQ値とTr2/Tr1との関係を示す図である。図19は、第1変調信号及び第2変調信号が図6に示す波形を有する場合について計算した結果である。ここでは、半導体MZ光変調器30を有する光変調装置1において光変調された光信号について、100kmの光ファイバ伝送後(分散1600ps/nm相当)の波形のQ値が求められている。また、Vpp1:Vpp2=17:3とし、Tr1=Tf1とし、また、Tr2=Tf2とし、第1変調信号S1と第2変調信号S2は互いに電圧の変化の方向が逆であり、また、出力光のonレベルに相当する第1変調信号S1と第2変調信号S2の第2レベルにおいて、第1の光導波路と第2の光導波路を通過した光の位相差が0であり、offレベルに相当する第1レベルでの位相差が180°となるようにした。また、2つの光導波路への光分岐比は0.5とした。
【0142】
図19に示すように、Q値は、Tr2/Tr1の値が1.0から低減すると共に大きく増加することが分かる。
【0143】
図20は、図14に示す光変調装置により伝送された光信号においてQ値および消光比が十分得られる光分岐比Tr2/Tr1との関係を示す図である。
【0144】
図20の縦軸は、第1光導波路31と第2光導波路32とに入力光を分岐する分岐比を示し、横軸は、Tr2/Tr1を示す。求められる消光比を満足する光分岐比が範囲LAとして示される。範囲LAは、Tr2/Tr1の値の影響は受けないので、Tr2/Tr1に対して一定である。
【0145】
また、求められるQ値を満足する光分岐比の範囲QAが、Tr2/Tr1に対して示されている。範囲QAは、Tr2/Tr1の値が1.0から減少すると共に大きく増加することが分かる。
【0146】
そして、Tr2/Tr1の値が1.0の時には、範囲QAは、範囲LAの半分強の部分で重なっているが、Tr2/Tr1が減少すると共に、範囲QAが増加し、範囲QAと範囲LAとの重なり部分が増加する。Tr2/Tr1の値が0.8では、範囲LAが範囲QAの中に全て含まれるようになる。つまり消光比が十分取れる範囲の全てでQ値も十分に取れるようになる。
【0147】
上述した本実施形態の半導体MZ光変調器30を有する光変調装置1によれば、伝送された光信号の高い消光比を維持しつつ、高いQ値が得られる。従って、求められる消光比を満足する光分岐比の範囲LAと、求められるQ値を満足する光分岐比の範囲とが重なり合う範囲を広くすることができる。
【0148】
具体的には、半導体MZ光変調器30は、チャープ動作に起因して2つの光導波路への光分岐比を0.5としても、2つの光導波路には異なる電圧が印加されるので、最大の消光比が得られる光分岐比は、0.5からずれる。しかし、光変調装置1は、Tr2/Tr1を調整することによって、求められる消光比を満足する光分岐比の範囲LAと、求められるQ値を満足する光分岐比の範囲とが重なり合う範囲を広くすることができる。従って、半導体MZ光変調器30を有する光変調装置1によれば、伝送後の光信号に対して高い消光比及び高いQ値が得られる。
【0149】
本発明では、上述した各実施形態のマッハツェンダ干渉型光変調器の駆動方法及び光変調装置は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更が可能である。
【0150】
例えば、上述した各実施形態では、第1変調信号の第1移行時間及び第2移行時間の波形は直線であったが、これらの波形は、直線でなくても良い。例えば、第1変調信号の第1移行時間又は第2移行時間の波形は、上側に凸又は下側に凸に湾曲した曲線形状を有していても良い。例えば、第1変調信号は正弦波曲線を有していても良い。このことは、第2変調信号に対しても同様に適用される。
【0151】
また、上述した各実施形態では、図6又は図8に示すように、第1変調信号源RF1と第2変調信号源RF2とは、反対方向の位相を有する電圧波形を出力していたが、第1変調信号源RF1と第2変調信号源RF2とは、同じ位相を有する電圧波形を出力しても良い。この場合には、第1電極又は第2電極とグランド電極との配置関係を変更して、2つの光導波路に印加する電場の向きを反対の向きにすれば良い。また、一方の光導波路の形成材料を他方の光導波路のものとは変えて、同相の電圧の印加に対して、他方の光導波路とは、反対の向きに屈折率が変化するものを用いても良い。
【0152】
更に、上述した各実施形態では、1つの制御部が、第1変調信号源と、第2変調信号源と、第1直流電圧源と、第2直流電圧源の全てを制御していたが、第1変調信号源と、第2変調信号源と、第1直流電圧源と、第2直流電圧源とそれぞれが独自の制御部を有していても良い。
【0153】
ここで述べられた全ての例及び条件付きの言葉は、読者が、発明者によって寄与された発明及び概念を技術を深めて理解することを助けるための教育的な目的を意図する。ここで述べられた全ての例及び条件付きの言葉は、そのような具体的に述べられた例及び条件に限定されることなく解釈されるべきである。また、明細書のそのような例示の機構は、本発明の優越性及び劣等性を示すこととは関係しない。本発明の実施形態は詳細に説明されているが、その様々な変更、置き換え又は修正が本発明の精神及び範囲を逸脱しない限り行われ得ることが理解されるべきである。
【0154】
以上の上述した各実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
【0155】
(付記1)
入力光を分岐して第1光導波路及び第2光導波路に送り、前記第1光導波路及び第2光導波路それぞれを伝搬した光を合波して、オンレベルとオフレベルとを有する光信号を出力するマッハツェンダ型の光導波路と、
前記第1光導波路に第1変調信号を印加する第1電極と、前記第2光導波路に第2変調信号を印加する第2電極と、を備え、
前記第1変調信号は、電圧が第1レベルにある第1時間Toff1と、電圧が第1レベルから第2レベルへ移行する第1移行時間Tr1と、電圧が第2レベルにある第2時間Ton1と、電圧が第2レベルから第1レベルへ移行する第2移行時間Tf1とを有し、
前記第2変調信号は、電圧が第1レベルにある第1時間Toff2と、電圧が第1レベルから第2レベルへ移行する第1移行時間Tr2と、電圧が第2レベルにある第2時間Ton2と、電圧が第2レベルから第1レベルへ移行する第2移行時間Tf2と、を有し、
前記第1変調信号の電圧が第1レベルにある第1時間Toff1と、前記第2変調信号の電圧が第1レベルにある第1時間Toff2とは時間軸上で少なくとも一部分が重なっており、且つ、前記第1変調信号の電圧が第2レベルにある第2時間Ton1と、前記第2変調信号の電圧が第2レベルにある第2時間Ton2とは時間軸上で少なくとも一部分が重なっており、
前記第1変調信号及び前記第2変調信号が共に第2レベルにあるときに、前記光信号がオンレベルとなる、
マッハツェンダ型光変調器の駆動方法であって、
前記第2変調信号の第1レベルと第2レベルとの電圧の差である第2振幅を、前記第1変調信号の第1レベルと第2レベルとの電圧の差である第1振幅よりも小さくし、
前記第2変調信号の第1移行時間Tr2を、前記第1変調信号の第1移行時間Tr1よりも短くし、且つ、前記第2変調信号の第2移行時間Tf2を、前記第1変調信号の第2移行時間Tf1よりも短くし、
Toff2が、
Toff1+(Tr1−Tr2)+(Tf1−Tf2) >= Toff2 > Toff1+(Tr1−Tr2)×0.5+(Tf1−Tf2)×0.5なる関係を満足する、マッハツェンダ干渉型光変調器の駆動方法。
【0156】
(付記2)
入力光を分岐して第1光導波路及び第2光導波路に送り、前記第1光導波路及び第2光導波路それぞれを伝搬した光を合波して、オンレベルとオフレベルとを有する光信号を出力するマッハツェンダ型の光導波路と、
前記第1光導波路に第1変調信号を印加する第1電極と、前記第2光導波路に第2変調信号を印加する第2電極と、を備え、
前記第1変調信号は、電圧が第1レベルにある第1時間Toff1と、電圧が第1レベルから第2レベルへ移行する第1移行時間Tr1と、電圧が第2レベルにある第2時間Ton1と、電圧が第2レベルから第1レベルへ移行する第2移行時間Tf1とを有し、
前記第2変調信号は、電圧が第1レベルにある第1時間Toff2と、電圧が第1レベルから第2レベルへ移行する第1移行時間Tr2と、電圧が第2レベルにある第2時間Ton2と、電圧が第2レベルから第1レベルへ移行する第2移行時間Tf2と、を有し、
前記第1変調信号の電圧が第1レベルにある第1時間Toff1と、前記第2変調信号の電圧が第1レベルにある第1時間Toff2とは時間軸上で少なくとも一部分が重なっており、且つ、前記第1変調信号の電圧が第2レベルにある第1時間Ton1と、と前記第2変調信号の電圧が第2レベルにある第1時間Ton2とは時間軸上で少なくとも一部分が重なっており、
前記第1変調信号及び前記第2変調信号が共に第2レベルにあるときに、前記光信号がオンレベルとなる、
マッハツェンダ型光変調器の駆動方法であって、
前記第2変調信号の第1レベルと第2レベルとの電圧の差である第2振幅を、前記第1変調信号の第1レベルと第2レベルとの電圧の差である第1振幅よりも小さくし、
前記第2変調信号の第1移行時間Tr2を、前記第1変調信号の第1移行時間Tr1よりも短くし、且つ、前記第2変調信号の第2移行時間Tf2を、前記第1変調信号の第2移行時間Tf1よりも短くし、
前記第2変調信号から形成したアイパターンのクロスポイントの位置と、そのアイパターンにおける前記光信号のオフレベルに対応する前記第2変調信号の第1レベルとの間の距離を、前記第1変調信号から形成したアイパターンのクロスポイントの位置と、そのアイパターンにおける前記光信号のオフレベルに対応する前記第1変調信号の第1レベルとの間の距離よりも短くする、マッハツェンダ干渉型光変調器の駆動方法。
【0157】
(付記3)
前記第1変調信号が第2レベルにある前記第2時間Ton1と、前記第2変調信号が第2レベルにある前記第2時間Ton2とを時間軸上で一致させる付記1又は2に記載のマッハツェンダ干渉型光変調器の駆動方法。
【0158】
(付記4)
前記第2変調信号の第1移行時間Tr2を、前記第1変調信号の第1移行時間Tr1に対して0.20〜0.95の範囲にする付記1〜3の何れか一項に記載のマッハツェンダ干渉型光変調器の駆動方法。
【0159】
(付記5)
前記第2変調信号の第2移行時間Tf2を、前記第1変調信号の第2移行時間Tf1に対して0.20〜0.95の範囲にする付記1〜4の何れか一項に記載のマッハツェンダ干渉型光変調器の駆動方法。
【0160】
(付記6)
マッハツェンダ干渉型光変調器が、LiNbO3マッハツェンダ干渉型光変調器である付記1〜5の何れか一項に記載のマッハツェンダ干渉型光変調器の駆動方法。
【0161】
(付記7)
マッハツェンダ干渉型光変調器が、半導体マッハツェンダ干渉型光変調器である付記1〜5の何れか一項に記載のマッハツェンダ干渉型光変調器の駆動方法。
【0162】
(付記8)
入力光を分岐して第1光導波路及び第2光導波路に送り、前記第1光導波路及び第2光導波路それぞれを伝搬した光を合波して、オンレベルとオフレベルとを有する光信号を出力するマッハツェンダ型の光導波路と、
前記第1光導波路に第1変調信号を印加する第1電極と、前記第2光導波路に第2変調信号を印加する第2電極と、を有するマッハツェンダ型光変調器と、
前記第1変調信号を生成する第1変調信号源及び前記第2変調信号を生成する第2変調信号源と、
を備え、
前記第1変調信号は、電圧が第1レベルにある第1時間Toff1と、電圧が第1レベルから第2レベルへ移行する第1移行時間Tr1と、電圧が第2レベルにある第2時間Ton1と、電圧が第2レベルから第1レベルへ移行する第2移行時間Tf1とを有し、
前記第2変調信号は、電圧が第1レベルにある第1時間Toff2と、電圧が第1レベルから第2レベルへ移行する第1移行時間Tr2と、電圧が第2レベルにある第2時間Ton2と、電圧が第2レベルから第1レベルへ移行する第2移行時間Tf2と、を有し、
前記第1変調信号の電圧が第1レベルにある第1時間Toff1と、前記第2変調信号の電圧が第1レベルにある第1時間Toff2とは時間軸上で少なくとも一部分が重なっており、且つ、前記第1変調信号の電圧が第2レベルにある第2時間Ton1と、と前記第2変調信号の電圧が第2レベルにある第2時間Ton2とは時間軸上で少なくとも一部分が重なっており、
前記第1変調信号及び前記第2変調信号が共に第2レベルにあるときに、前記光信号がオンレベルとなる、
光変調装置であって、
前記第1変調信号源及び前記第2変調信号源は、
前記第2変調信号の第1レベルと第2レベルとの電圧の差である第2振幅を、前記第1変調信号の第1レベルと第2レベルとの電圧の差である第1振幅よりも小さくし、且つ、
前記第2変調信号の第1移行時間Tr2を、前記第1変調信号の第1移行時間Tr1よりも短くし、且つ、前記第2変調信号の第2移行時間Tf2を、前記第1変調信号の第2移行時間Tf1よりも短くし、且つ、
Toff2が、
Toff1+(Tr1−Tr2)+(Tf1−Tf2) >= Toff2 > Toff1+(Tr1−Tr2)×0.5+(Tf1−Tf2)×0.5なる関係を満足するように、前記第1変調信号及び前記第2変調信号を、前記第1電極及び前記第2電極に印加する光変調装置。
【0163】
(付記9)
入力光を分岐して第1光導波路及び第2光導波路に送り、前記第1光導波路及び第2光導波路それぞれを伝搬した光を合波して、オンレベルとオフレベルとを有する光信号を出力するマッハツェンダ型の光導波路と、
前記第1光導波路に第1変調信号を印加する第1電極と、前記第2光導波路に第2変調信号を印加する第2電極と、を有するマッハツェンダ型光変調器と、
前記第1変調信号を生成する第1変調信号源及び前記第2変調信号を生成する第2変調信号源と、
を備え、
前記第1変調信号は、電圧が第1レベルにある第1時間Toff1と、電圧が第1レベルから第2レベルへ移行する第1移行時間Tr1と、電圧が第2レベルにある第2時間Ton1と、電圧が第2レベルから第1レベルへ移行する第2移行時間Tf1とを有し、
前記第2変調信号は、電圧が第1レベルにある第1時間Toff2と、電圧が第1レベルから第2レベルへ移行する第1移行時間Tr2と、電圧が第2レベルにある第2時間Ton2と、電圧が第2レベルから第1レベルへ移行する第2移行時間Tf2と、を有し、
前記第1変調信号の電圧が第1レベルにある第1時間Toff1と、前記第2変調信号の電圧が第1レベルにある第1時間Toff2とは時間軸上で少なくとも一部分が重なっており、且つ、前記第1変調信号の電圧が第2レベルにある第2時間Ton1と、と前記第2変調信号の電圧が第2レベルにある第2時間Ton2とは時間軸上で少なくとも一部分が重なっており、
前記第1変調信号及び前記第2変調信号が共に第2レベルにあるときに、前記光信号がオンレベルとなる、
光変調装置であって、
前記第1変調信号源及び前記第2変調信号源は、
前記第2変調信号の第1レベルと第2レベルとの電圧の差である第2振幅を、前記第1変調信号の第1レベルと第2レベルとの電圧の差である第1振幅よりも小さくし、且つ、
前記第2変調信号の第1移行時間Tr2を、前記第1変調信号の第1移行時間Tr1よりも短くし、且つ、前記第2変調信号の第2移行時間Tf2を、前記第1変調信号の第2移行時間Tf1よりも短くし、且つ、
前記第2変調信号から形成したアイパターンのクロスポイントの位置と、そのアイパターンにおける前記光信号のオフレベルに対応する前記第2変調信号の第1レベルとの間の距離を、前記第1変調信号から形成したアイパターンのクロスポイントの位置と、そのアイパターンにおける前記光信号のオフレベルに対応する前記第1変調信号の第1レベルとの間の距離よりも短くするように、前記第1変調信号及び前記第2変調信号を、前記第1電極及び前記第2電極に印加する光変調装置。
【0164】
(付記10)
アイパターンモニタ装置を用いて、前記第2変調信号から形成したアイパターン上のクロスポイントの位置を、前記第1変調信号から形成したアイパターン上のクロスポイントの位置よりも、アイパターン上の前記光信号のオフレベルに対応する前記第1レベルに近づけるように調整される付記9に記載の光変調装置。
【0165】
(付記11)
前記第2変調信号源は、変調信号を生成する変調信号生成器と、前記変調信号生成器が出力した変調信号の電圧を減衰させる減衰器と、前記減衰器の出力信号の電圧を制限して前記第2変調信号を生成するリミッタ回路とを有し、
前記第1変調信号源及び前記変調信号生成器が、同一の電圧を有し且つ位相が互いに180°異なる変調信号を生成する付記8から10の何れか一項に記載の光変調装置。
【0166】
(付記12)
前記第1変調信号が第2レベルにある前記第2時間Ton1と、前記第2変調信号が第2レベルにある前記第2時間Ton2とが時間軸上で一致する付記8から11の何れか一項に記載の光変調装置。
【0167】
(付記13)
前記第1変調信号源及び前記第2変調信号源を制御する制御部を備える付記8から12の何れか一項に記載の光変調装置。
【符号の説明】
【0168】
1 光変調装置
2 レンズ
3 光ファイバ
4 光ファイバ
10 LiNbO3マッハツェンダ干渉型光変調器
11 第1光導波路
12 第2光導波路
13 光導波路
13a 光路
14 第1電極
15 第2電極
16a、16b、16c グランド電極
17 LiNbO3基板
30 半導体マッハツェンダ干渉型光変調器
31 第1光導波路
32 第2光導波路
33 光導波路
33a 光路
34 第1電極
35 第2電極
37 グランド電極
38 上側クラッド層
39 下側クラッド層
40 コンタクト層
41 誘電体パッシベーション層
42 低誘電体層
50 減衰器
51 リミット回路
CON 制御部
RF1 第1変調信号源
RF2 第2変調信号源
SG 変調信号生成器
DC1 第1直流電圧源
DC2 第2直流電圧源
IPM アイパターンモニタ装置
S1 第1変調信号
S2 第2変調信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力光を分岐して第1光導波路及び第2光導波路に送り、前記第1光導波路及び第2光導波路それぞれを伝搬した光を合波して、オンレベルとオフレベルとを有する光信号を出力するマッハツェンダ型の光導波路と、
前記第1光導波路に第1変調信号を印加する第1電極と、前記第2光導波路に第2変調信号を印加する第2電極と、を備え、
前記第1変調信号は、電圧が第1レベルにある第1時間Toff1と、電圧が第1レベルから第2レベルへ移行する第1移行時間Tr1と、電圧が第2レベルにある第2時間Ton1と、電圧が第2レベルから第1レベルへ移行する第2移行時間Tf1とを有し、
前記第2変調信号は、電圧が第1レベルにある第1時間Toff2と、電圧が第1レベルから第2レベルへ移行する第1移行時間Tr2と、電圧が第2レベルにある第2時間Ton2と、電圧が第2レベルから第1レベルへ移行する第2移行時間Tf2と、を有し、
前記第1変調信号の電圧が第1レベルにある第1時間Toff1と、前記第2変調信号の電圧が第1レベルにある第1時間Toff2とは時間軸上で少なくとも一部分が重なっており、且つ、前記第1変調信号の電圧が第2レベルにある第2時間Ton1と、前記第2変調信号の電圧が第2レベルにある第2時間Ton2とは時間軸上で少なくとも一部分が重なっており、
前記第1変調信号及び前記第2変調信号が共に第2レベルにあるときに、前記光信号がオンレベルとなる、
マッハツェンダ型光変調器の駆動方法であって、
前記第2変調信号の第1レベルと第2レベルとの電圧の差である第2振幅を、前記第1変調信号の第1レベルと第2レベルとの電圧の差である第1振幅よりも小さくし、
前記第2変調信号の第1移行時間Tr2を、前記第1変調信号の第1移行時間Tr1よりも短くし、且つ、前記第2変調信号の第2移行時間Tf2を、前記第1変調信号の第2移行時間Tf1よりも短くし、
Toff2が、
Toff1+(Tr1−Tr2)+(Tf1−Tf2) >= Toff2 > Toff1+(Tr1−Tr2)×0.5+(Tf1−Tf2)×0.5なる関係を満足する、マッハツェンダ干渉型光変調器の駆動方法。
【請求項2】
入力光を分岐して第1光導波路及び第2光導波路に送り、前記第1光導波路及び第2光導波路それぞれを伝搬した光を合波して、オンレベルとオフレベルとを有する光信号を出力するマッハツェンダ型の光導波路と、
前記第1光導波路に第1変調信号を印加する第1電極と、前記第2光導波路に第2変調信号を印加する第2電極と、を備え、
前記第1変調信号は、電圧が第1レベルにある第1時間Toff1と、電圧が第1レベルから第2レベルへ移行する第1移行時間Tr1と、電圧が第2レベルにある第2時間Ton1と、電圧が第2レベルから第1レベルへ移行する第2移行時間Tf1とを有し、
前記第2変調信号は、電圧が第1レベルにある第1時間Toff2と、電圧が第1レベルから第2レベルへ移行する第1移行時間Tr2と、電圧が第2レベルにある第2時間Ton2と、電圧が第2レベルから第1レベルへ移行する第2移行時間Tf2と、を有し、
前記第1変調信号の電圧が第1レベルにある第1時間Toff1と、前記第2変調信号の電圧が第1レベルにある第1時間Toff2とは時間軸上で少なくとも一部分が重なっており、且つ、前記第1変調信号の電圧が第2レベルにある第1時間Ton1と、前記第2変調信号の電圧が第2レベルにある第1時間Ton2とは時間軸上で少なくとも一部分が重なっており、
前記第1変調信号及び前記第2変調信号が共に第2レベルにあるときに、前記光信号がオンレベルとなる、
マッハツェンダ型光変調器の駆動方法であって、
前記第2変調信号の第1レベルと第2レベルとの電圧の差である第2振幅を、前記第1変調信号の第1レベルと第2レベルとの電圧の差である第1振幅よりも小さくし、
前記第2変調信号の第1移行時間Tr2を、前記第1変調信号の第1移行時間Tr1よりも短くし、且つ、前記第2変調信号の第2移行時間Tf2を、前記第1変調信号の第2移行時間Tf1よりも短くし、
前記第2変調信号から形成したアイパターンのクロスポイントの位置と、そのアイパターンにおける前記光信号のオフレベルに対応する前記第2変調信号の第1レベルとの間の距離を、前記第1変調信号から形成したアイパターンのクロスポイントの位置と、そのアイパターンにおける前記光信号のオフレベルに対応する前記第1変調信号の第1レベルとの間の距離よりも短くする、マッハツェンダ干渉型光変調器の駆動方法。
【請求項3】
前記第1変調信号が第2レベルにある前記第2時間Ton1と、前記第2変調信号が第2レベルにある前記第2時間Ton2とを時間軸上で一致させる請求項1又は2に記載のマッハツェンダ干渉型光変調器の駆動方法。
【請求項4】
前記第2変調信号の第1移行時間Tr2を、前記第1変調信号の第1移行時間Tr1に対して0.20〜0.95の範囲にする請求項1〜3の何れか一項に記載のマッハツェンダ干渉型光変調器の駆動方法。
【請求項5】
前記第2変調信号の第2移行時間Tf2を、前記第1変調信号の第2移行時間Tf1に対して0.20〜0.95の範囲にする請求項1〜4の何れか一項に記載のマッハツェンダ干渉型光変調器の駆動方法。
【請求項6】
入力光を分岐して第1光導波路及び第2光導波路に送り、前記第1光導波路及び第2光導波路それぞれを伝搬した光を合波して、オンレベルとオフレベルとを有する光信号を出力するマッハツェンダ型の光導波路と、
前記第1光導波路に第1変調信号を印加する第1電極と、前記第2光導波路に第2変調信号を印加する第2電極と、を有するマッハツェンダ型光変調器と、
前記第1変調信号を生成する第1変調信号源及び前記第2変調信号を生成する第2変調信号源と、
を備え、
前記第1変調信号は、電圧が第1レベルにある第1時間Toff1と、電圧が第1レベルから第2レベルへ移行する第1移行時間Tr1と、電圧が第2レベルにある第2時間Ton1と、電圧が第2レベルから第1レベルへ移行する第2移行時間Tf1とを有し、
前記第2変調信号は、電圧が第1レベルにある第1時間Toff2と、電圧が第1レベルから第2レベルへ移行する第1移行時間Tr2と、電圧が第2レベルにある第2時間Ton2と、電圧が第2レベルから第1レベルへ移行する第2移行時間Tf2と、を有し、
前記第1変調信号の電圧が第1レベルにある第1時間Toff1と、前記第2変調信号の電圧が第1レベルにある第1時間Toff2とは時間軸上で少なくとも一部分が重なっており、且つ、前記第1変調信号の電圧が第2レベルにある第2時間Ton1と、前記第2変調信号の電圧が第2レベルにある第2時間Ton2とは時間軸上で少なくとも一部分が重なっており、
前記第1変調信号及び前記第2変調信号が共に第2レベルにあるときに、前記光信号がオンレベルとなる、
光変調装置であって、
前記第1変調信号源及び前記第2変調信号源は、
前記第2変調信号の第1レベルと第2レベルとの電圧の差である第2振幅を、前記第1変調信号の第1レベルと第2レベルとの電圧の差である第1振幅よりも小さくし、且つ、
前記第2変調信号の第1移行時間Tr2を、前記第1変調信号の第1移行時間Tr1よりも短くし、且つ、前記第2変調信号の第2移行時間Tf2を、前記第1変調信号の第2移行時間Tf1よりも短くし、且つ、
Toff2が、
Toff1+(Tr1−Tr2)+(Tf1−Tf2) >= Toff2 > Toff1+(Tr1−Tr2)×0.5+(Tf1−Tf2)×0.5なる関係を満足するように、前記第1変調信号及び前記第2変調信号を、前記第1電極及び前記第2電極に印加する光変調装置。
【請求項7】
入力光を分岐して第1光導波路及び第2光導波路に送り、前記第1光導波路及び第2光導波路それぞれを伝搬した光を合波して、オンレベルとオフレベルとを有する光信号を出力するマッハツェンダ型の光導波路と、
前記第1光導波路に第1変調信号を印加する第1電極と、前記第2光導波路に第2変調信号を印加する第2電極と、を有するマッハツェンダ型光変調器と、
前記第1変調信号を生成する第1変調信号源及び前記第2変調信号を生成する第2変調信号源と、
を備え、
前記第1変調信号は、電圧が第1レベルにある第1時間Toff1と、電圧が第1レベルから第2レベルへ移行する第1移行時間Tr1と、電圧が第2レベルにある第2時間Ton1と、電圧が第2レベルから第1レベルへ移行する第2移行時間Tf1とを有し、
前記第2変調信号は、電圧が第1レベルにある第1時間Toff2と、電圧が第1レベルから第2レベルへ移行する第1移行時間Tr2と、電圧が第2レベルにある第2時間Ton2と、電圧が第2レベルから第1レベルへ移行する第2移行時間Tf2と、を有し、
前記第1変調信号の電圧が第1レベルにある第1時間Toff1と、前記第2変調信号の電圧が第1レベルにある第1時間Toff2とは時間軸上で少なくとも一部分が重なっており、且つ、前記第1変調信号の電圧が第2レベルにある第2時間Ton1と、前記第2変調信号の電圧が第2レベルにある第2時間Ton2とは時間軸上で少なくとも一部分が重なっており、
前記第1変調信号及び前記第2変調信号が共に第2レベルにあるときに、前記光信号がオンレベルとなる、
光変調装置であって、
前記第1変調信号源及び前記第2変調信号源は、
前記第2変調信号の第1レベルと第2レベルとの電圧の差である第2振幅を、前記第1変調信号の第1レベルと第2レベルとの電圧の差である第1振幅よりも小さくし、且つ、
前記第2変調信号の第1移行時間Tr2を、前記第1変調信号の第1移行時間Tr1よりも短くし、且つ、前記第2変調信号の第2移行時間Tf2を、前記第1変調信号の第2移行時間Tf1よりも短くし、且つ、
前記第2変調信号から形成したアイパターンのクロスポイントの位置と、そのアイパターンにおける前記光信号のオフレベルに対応する前記第2変調信号の第1レベルとの間の距離を、前記第1変調信号から形成したアイパターンのクロスポイントの位置と、そのアイパターンにおける前記光信号のオフレベルに対応する前記第1変調信号の第1レベルとの間の距離よりも短くするように、前記第1変調信号及び前記第2変調信号を、前記第1電極及び前記第2電極に印加する光変調装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2011−81080(P2011−81080A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−231623(P2009−231623)
【出願日】平成21年10月5日(2009.10.5)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】