説明

マルチフレーム多重方法とその装置

【課題】伝送路の同一TSを使用する各カードにタイミング信号の分配が必要。
【解決手段】マスタカード1のMF出力部11は2M伝送路2の使用するタイムスロットにMFデータを挿入する。各スレーブカード10a,…,10nのMF検出部101は2M伝送路2上の割り当てられたタイムスロットのデータを常にモニタし、マルチフレームの先頭を示すMFデータを検出することができたときは、MFデータに同期してMF検出信号111を出力タイミング生成部102に出力する。出力タイミング生成部102はMF検出信号111からマルチフレーム内の自カードの出力タイミングを示すタイミング信号112を生成する。出力制御部103はこのタイミング信号112で2M伝送路2へのデータ出力を制御し、自カードの出力タイミングで制御部104で作成されたデータを2M伝送路2に出力する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はマルチフレーム多重方法とその装置に関し、特に伝送路のオクテット単位(64kb/s単位)のタイムスロットをm個で構成したマルチフレームをn個のカードが時分割で使用して通信を行う時分割多重通信システムにおけるマルチフレーム多重方法とその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のマルチフレーム多重方式の一例として、特開平3−175835号公報に所載の「通信システム」を挙げることができる。
【0003】この公報に記載された通信システムでは、主局から各従局に基準クロックおよびマルチフレームの先頭を示すパルスを送り、各従局では送られてきた基準クロックおよびマルチフレームの先頭を示すパルスを基にタイミング信号を作成して通信を行っている。つまり、マルチフレーム多重を行うためのタイミング信号を分配する必要があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】この従来のマルチフレーム多重方式では、主局と複数の従局との間でマルチフレームを用いる同期通信を行うため、タイミング信号として基準クロック以外にマルチフレームの先頭を示すパルスを分配しており、2種類のタイミング信号を送るために2本の信号線が必要であった。
【0005】一方、装置の小型化と構成の簡易化のために、信号線の数を減らしたいという要求がある。また、既設計装置の性能向上のためにマルチフレーム化するようなときには、新たに信号線を追加することができないので、上記タイミング信号を送る信号線が2本になるのは問題であるばかりでなく、伝送路の利用効率を高められないという問題点があった。
【0006】本発明の目的は、伝送路上の同一のタイムスロットを使用する各カードが、マスタカードからのMFデータからマルチフレームの先頭を検出してタイミング信号を生成し、出力制御手段によって検出されたタイミング信号に同期してデータを出力することにより、各カードにマルチフレーム多重のためのタイミング信号を分配することなくマルチフレーム多重を実現するマルチフレーム多重方法とその装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、伝送路のオクテット単位のタイムスロットをm個で構成したマルチフレームをn個のカードが時分割で使用して通信を行う時分割多重通信システムにおいて、マスタカードが前記伝送路上の使用する前記タイムスロット内に前記マルチフレームの先頭を示すMFデータを出力し、前記伝送路上の同一のタイムスロットを使用する前記各カードが前記マスタカードからの前記MFデータから前記マルチフレームの先頭を検出し、検出されたタイミングに同期してデータを出力することを特徴とするマルチフレーム多重方法が得られる。
【0008】また、伝送路のオクテット単位のタイムスロットをm個で構成したマルチフレームをn個のカードが時分割で使用して通信を行う時分割多重通信システムにおいて、マスタカードは前記伝送路上の使用する前記タイムスロット内に前記マルチフレームの先頭を示すMFデータを挿入するMF出力手段を備え、スレーブカードはデータを出力する前記伝送路上の割り当てられた前記タイムスロット内のデータをモニタして前記MFデータを検出するMF検出手段と、このMF検出手段のMF検出信号を使用して前記伝送路へのデータ出力タイミングを生成する出力タイミング生成手段と、この出力タイミング生成手段のタイミング信号で前記伝送路へのデータ出力を制御する出力制御手段とを備えることを特徴とするマルチフレーム多重装置が得られる。
【0009】
【発明の実施の形態】次に、本発明について図面を参照して説明する。
【0010】図1は本発明のマルチフレーム多重方法とその装置の一実施形態を示す時分割多重通信システムのブロック図である。
【0011】図1を参照すると、本実施形態の時分割多重通信システムは、2M伝送路2のオクテット単位(64kb/s単位)のタイムスロットをm個で構成したマルチフレームの同一タイムスロットをマスタカード1とn個のスレーブカード10a,…,10nで使用して各カード間で時分割多重通信を行う。
【0012】マスタカード1は2M伝送路2上の使用するタイムスロット内にマルチフレームの先頭を示すMFデータを挿入するMF出力部11を備えている。
【0013】そして、各スレーブカード10a,…,10nはそれぞれ2M伝送路2に接続され2M伝送路2上に割り当てられたタイムスロット内のデータをモニタしてマルチフレームの先頭を示すMFデータを検出するMF検出部101と、MF検出部101からのMF検出信号111を使用して出力タイミングを生成する出力タイミング生成部102と、2M伝送路2に接続されこの2M伝送路2上の割り当てられたタイムスロットへのデータ出力を出力タイミング生成部102からのタイミング信号112により制御する出力制御部103と、自スレーブカード内の制御とデータの送受信とを行う制御部104とを備えている。
【0014】次に、図2は図1におけるマルチフレームの構成を示す図である。
【0015】図2を参照すると、2M伝送路2上の1フレーム(125μs)はタイムスロットTS0,TS1,TS2,…,TSk,…,TS31の32タイムスロットで構成されている。
【0016】マスタカード1とスレーブカード10a,…,10nは、図2に示すように、2M伝送路2上のタイムスロットTSkを使用し、1マルチフレームは320フレームで構成される。
【0017】マスタカード1のMF出力部11は2M伝送路2のタイムスロットTSkに40msごとにMFデータを挿入する。
【0018】各スレーブカード10a,…,10nのMF検出部101は2M伝送路2上の割り当てられたタイムスロットTSkのデータを常にモニタし、マルチフレームの先頭を示すMFデータが40ms周期で検出できるかどうかをサーチする。そして、MF検出部101はMFデータを40ms周期で検出することができたときは、MFデータに同期してMF検出信号111を出力タイミング生成部102に出力する。
【0019】出力タイミング生成部102はMF検出信号111からマルチフレーム内の自カードの出力タイミングを示すタイミング信号112を生成する。
【0020】ここで、スレーブカード10aの出力タイミングが図2におけるマルチフレーム構成のI1に対応するものとすれば、スレーブカード10aのタイミング生成部102はMF検出信号111からフレーム番号の#0を認識し、フレーム番号の#1,…,#319/nの間でタイミング信号112を出力制御部103に出力する。
【0021】また、スレーブカード10b,…,10nの出力タイミング生成部102はそれぞれ図2におけるマルチフレーム構成のI2,…,Inに対応するタイミングでタイミング信号112を生成する。
【0022】出力制御部103は出力タイミング生成部102からのタイミング信号112で2M伝送路2へのデータ出力を制御し、自カードの出力タイミングで制御部104で作成されたデータを2M伝送路2に出力し、自カードの出力タイミング以外では2M伝送路2への出力を切り離すように制御する。
【0023】
【発明の効果】以上説明したように本発明のマルチフレーム多重方法は、伝送路のオクテット単位のタイムスロットをm個で構成したマルチフレームをn個のカードが時分割で使用して通信を行う時分割多重通信システムにおいて、マスタカードが伝送路上の使用するタイムスロット内にマルチフレームの先頭を示すMFデータを出力し、伝送路上の同一のタイムスロットを使用する各カードがマスタカードからのMFデータからマルチフレームの先頭を検出し、検出されたタイミングに同期してデータを出力することにより、また、本発明のマルチフレーム多重装置は、伝送路のオクテット単位のタイムスロットをm個で構成したマルチフレームをn個のカードが時分割で使用して通信を行う時分割多重通信システムにおいて、マスタカードは伝送路上の使用するタイムスロット内にマルチフレームの先頭を示すMFデータを挿入するMF出力手段を備え、スレーブカードはデータを出力する伝送路上の割り当てられたタイムスロット内のデータをモニタしてMFデータを検出するMF検出手段と、このMF検出手段のMF検出信号を使用して伝送路へのデータ出力タイミングを生成する出力タイミング生成手段と、この出力タイミング生成手段のタイミング信号で伝送路へのデータ出力を制御する出力制御手段とを備えることにより、伝送路上の同一のタイムスロットを使用する各カードにマルチフレーム多重のためのタイミング信号を分配することなくマルチフレーム多重を実現することができるので、伝送路の利用効率を高めることができるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のマルチフレーム多重方法とその装置の一実施形態を示す時分割多重通信システムのブロック図である。
【図2】図1におけるマルチフレームの構成を示す図である。
【符号の説明】
1 マスタカート
2 2M伝送路
10a,…,10n スレーブカード
11 MF出力部
101 MF検出部
102 出力タイミング生成部
103 出力制御部
104 制御部
111 MF検出信号
112 タイミング信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】 伝送路のオクテット単位のタイムスロットをm個で構成したマルチフレームをn個のカードが時分割で使用して通信を行う時分割多重通信システムにおいて、マスタカードが前記伝送路上の使用する前記タイムスロット内に前記マルチフレームの先頭を示すMFデータを出力し、前記伝送路上の同一のタイムスロットを使用する前記各カードが前記マスタカードからの前記MFデータから前記マルチフレームの先頭を検出し、検出されたタイミングに同期してデータを出力することを特徴とするマルチフレーム多重方法。
【請求項2】 伝送路のオクテット単位のタイムスロットをm個で構成したマルチフレームをn個のカードが時分割で使用して通信を行う時分割多重通信システムにおいて、マスタカードは前記伝送路上の使用する前記タイムスロット内に前記マルチフレームの先頭を示すMFデータを挿入するMF出力手段を備え、スレーブカードはデータを出力する前記伝送路上の割り当てられた前記タイムスロット内のデータをモニタして前記MFデータを検出するMF検出手段と、このMF検出手段のMF検出信号を使用して前記伝送路へのデータ出力タイミングを生成する出力タイミング生成手段と、この出力タイミング生成手段のタイミング信号で前記伝送路へのデータ出力を制御する出力制御手段とを備えることを特徴とするマルチフレーム多重装置。

【図1】
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【図2】
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