説明

マルチプロジェクションシステム、及び、プロジェクター

【課題】複数のプロジェクターが互いの投射範囲が重なるように投射する場合に、プロジェクターの投射範囲のずれを調整する作業の負担を軽減する。
【解決手段】複数のプロジェクター2A、2Bが互いの投射範囲の少なくとも一部が重畳領域111を形成するようにスクリーンSCに投射画像を投射するマルチプロジェクションシステム1は、プロジェクター2A、2Bが検出用画像を投射した状態で、スクリーンSCの重畳領域を含む範囲を撮影する撮像手段と、撮像手段の撮影画像に基づいて、重畳領域に投射しているプロジェクター2A、2Bの投射範囲のずれを検出する検出手段と、検出手段が検出したずれ量に応じてプロジェクター2A、2Bが投射する投射画像を変化させ、プロジェクターが備える画素ずれ補正手段の機能によってずれを補正するずれ補正手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のプロジェクターを備えたマルチプロジェクションシステム、及び、このマルチプロジェクションシステムを構成するプロジェクターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のプロジェクターにより1つの画像を投射するマルチプロジェクションシステムが知られている。この種のシステムでは、複数のプロジェクターの投射範囲を重ねることで境界を目立たないようにする。また、この重なりの部分が周囲と違和感なく見えるように、重畳領域の明るさの調整等を行う(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−134396号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来のマルチプロジェクションシステムにおいては、複数のプロジェクターの投写範囲がずれていると重畳領域に投射される画像がずれてしまう。このため、投射範囲がずれないように設置位置や投射角度が細かく調整されていたが、設置容易性をより高めるためには調整作業を簡略化することが望ましい。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、複数のプロジェクターが互いの投射範囲が重なるように投射する場合に、プロジェクターの投射範囲のずれを調整する作業の負担を軽減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明は、複数のプロジェクターが互いの投射範囲の少なくとも一部が重畳領域を形成するように投射面に投射画像を投射するマルチプロジェクションシステムであって、前記プロジェクターが検出用画像を投射した状態で、前記投射面の前記重畳領域を含む範囲を撮影する撮像手段と、前記撮像手段の撮影画像に基づいて、前記重畳領域に投射している複数の前記プロジェクターの投射範囲のずれを検出する検出手段と、前記検出手段が検出したずれ量に応じて前記プロジェクターが投射する投射画像を変化させ、ずれを補正するずれ補正手段と、を備え、前記プロジェクターは、光源と、前記光源が発した第1の色光を変調する第1の変調手段と、前記光源が発した第2の色光を変調する第2の変調手段と、前記第1の変調手段及び前記第2の変調手段により変調された光を投射する投射光学系と、前記第1の色光に対応する第1の画像の表示位置、及び前記第2の色光に対応する第2の画像の表示位置のずれを、前記投射画像の画像信号を処理することにより補正する画素ずれ補正手段とを備え、前記ずれ補正手段は、前記プロジェクターが備える前記画素ずれ補正手段の機能によってずれを補正することを特徴とする。
本発明によれば、互いの投射範囲が重なるように投射する複数のプロジェクターの投写範囲がずれている場合に、このずれを検出して、プロジェクターが備える画素ずれ補正の機能を利用して補正するので、回路構成を追加することなく、投射範囲のずれを正すためにプロジェクターの設置状態を調整する作業を減らし、作業の負担を軽減できる。従って、プロジェクターの構成を複雑化することなく、低コストで高精度のずれの補正を行える。
【0006】
また、本発明は、上記マルチプロジェクションシステムにおいて、前記検出手段は、前記変調手段における画素の配列方向におけるずれを検出することを特徴とする。
本発明によれば、画素ずれを補正する機能と同様の処理によって投写範囲のずれを補正するので、特別な処理機能を追加する必要がなく、容易に実現できる。
【0007】
また、本発明は、上記マルチプロジェクションシステムにおいて、前記撮像手段は、少なくともいずれかの前記プロジェクターに設けられたことを特徴とする。
本発明によれば、プロジェクターが撮像手段を備え、撮影画像に基づいてずれを検出して補正を行うので、プロジェクター単体の機能によって、当該プロジェクターの投写範囲のずれを補正できる。
【0008】
また、本発明は、上記マルチプロジェクションシステムにおいて、前記プロジェクターとは別体として構成され、前記撮像手段と、前記ずれ検出手段とを備え、前記ずれ検出手段により検出したずれ量に応じて、各々の前記プロジェクターが備えるずれ補正手段により補正を行わせる補正制御装置を備えることを特徴とする。
本発明によれば、プロジェクターとは別体の補正制御装置により、投写範囲が撮影され、撮影画像に基づいて投写範囲のずれ量が検出され、各プロジェクターが制御されるので、複数のプロジェクターを統合的に制御して効率よく投写範囲のずれを補正できる。また、撮像手段を持たないプロジェクターを用いたマルチプロジェクションシステムにおいても補正制御装置を設けることで、投写範囲のずれ補正を自動化できる。
【0009】
また、本発明は、上記マルチプロジェクションシステムにおいて、前記ずれ補正手段によって、隣接する複数の前記プロジェクターのいずれか一方の投射画像が変化することにより、ずれが補正されることを特徴とする。
本発明によれば、隣接するプロジェクターのいずれか一方が投写範囲のずれを補正するので、ずれの補正を行うプロジェクターを少なくすることにより、ずれを補正する処理を簡略化し、速やかに補正を完了できる。また、投写範囲のずれを補正する機能を有するプロジェクターと、この機能を持たないプロジェクターとを混在させてマルチプロジェクションシステムを構成すれば、より一層の低コスト化が期待できる。
【0010】
また、上記課題を解決するため、本発明は、他のプロジェクターとともに互いの投射範囲の少なくとも一部が重畳領域を形成するように投射面に投射画像を投射するプロジェクターであって、光源と、前記光源が発した第1の色光を変調する第1の変調手段と、前記光源が発した第2の色光を変調する第2の変調手段と、前記第1の変調手段及び前記第2の変調手段により変調された光を投射する投射光学系と、前記第1の色光に対応する第1の画像の表示位置、及び前記第2の色光に対応する第2の画像の表示位置のずれを、前記投射画像の画像信号を処理することにより補正する画素ずれ補正手段と、検出用画像を投射した状態で、前記投射面の前記重畳領域を含む範囲を撮影する撮像手段と、前記撮像手段の撮影画像に基づいて、前記重畳領域に投射している他の前記プロジェクターとの投射範囲のずれを検出する検出手段と、前記画素ずれ補正手段の機能によって、前記検出手段が検出したずれ量に応じて前記投射面に投射する投射画像を変化させ、ずれを補正するずれ補正手段とを備えることを特徴とする。
本発明によれば、複数のプロジェクターが互いの投射範囲が重なるように投射する構成とした場合に、相互のプロジェクターの投写範囲のずれをプロジェクターが検出して、画素ずれ補正の機能を利用して補正するので、プロジェクターの構成を複雑化することなく、投射範囲のずれを正すためにプロジェクターの設置状態を調整する作業を減らして、作業の負担を軽減できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、投射範囲のずれを正すためにプロジェクターの設置状態を調整する作業を減らし、作業の負担を軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1の実施形態におけるマルチプロジェクションシステムの概略構成を示す図である。
【図2】プロジェクター及び画像処理装置の構成を示す図である。
【図3】マルチプロジェクションシステムの動作を示すフローチャートである。
【図4】第2の実施形態におけるプロジェクター及び画像処理装置の構成を示す図である。
【図5】第2の実施形態におけるマルチプロジェクションシステムの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[第1の実施形態]
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明を適用した第1の実施形態に係るマルチプロジェクションシステム1の概略構成を示す図である。
この図1に示すマルチプロジェクションシステム1は、複数のプロジェクター2を並べて配置し、これら複数のプロジェクター2による投射画像を組み合わせて、スクリーンSC(投射面)上にタイリング表示による一つの大画面画像を投射するシステムである。本実施形態では、2台のプロジェクター2(以下、プロジェクター2A、2Bと呼ぶ)を横並びに配置した構成を例に挙げて説明する。
各プロジェクター2A、2Bには、投射される画像の画像データを出力する画像処理装置10が、画像送信ケーブル41を介して接続される。
画像処理装置10は、マルチプロジェクションシステム1により投射される上記大画面画像の原画像を、使用するプロジェクター2の数(ここでは2台)に対応する部分画像に分割し、各プロジェクター2A、2Bが投射すべき部分画像を表す画像データ(部分画像データ)を生成する。画像処理装置10は、生成した各部分画像データを各部分画像に対応する位置に配置されたプロジェクター2A、2Bに対し、画像送信ケーブル41を介して出力する。プロジェクター2A、2Bが画像処理装置10から入力される画像データを投射するだけで、マルチプロジェクションシステム1全体としてタイリングによる画像投射を行える。
【0014】
図1の例では、2台のプロジェクター2を用いて一つの投射画像100を投射している。この例では、スクリーンSCの左にプロジェクター2Aが投射し、スクリーンSCの右にプロジェクター2Bが投射する。タイリングによる境界がスクリーンSCで目立たないように、プロジェクター2Aが投射する投射画像101と、その右隣にプロジェクター2Bが投射する投射画像102とは、図中に示すように互いの縁が重ね合わされ、重畳領域111が形成されている。スクリーンSC上にプロジェクター2A、2Bが画像を投射する範囲は、スクリーンSCとプロジェクター2A、2Bとの距離、隣接するプロジェクター2A、2Bの間隔、及び、スクリーンSCに対するプロジェクター2A、2Bの光軸の角度により決定される。つまり、プロジェクター2A、2BはスクリーンSC上で重畳領域111を形成する位置及び角度に、予め設置されている。
【0015】
画像処理装置10は、投射画像101と投射画像102とが重畳領域111で同じ画像となるように部分画像データを生成する。このため重畳領域111にはプロジェクター2Aとプロジェクター2Bの各々から同じ画像が重ねて投射される。
プロジェクター2Aが投射する画像とプロジェクター2Bが投射する画像とがずれている場合、重畳領域111の投射画像がぼやけてしまう。例えば、プロジェクター2A、2Bが同機種であっても、あおり角が異なると投射画像101、102が高さ方向にずれてしまい、プロジェクター2A、2Bの水平方向の設置角がずれると、重畳領域111において投射画像101、102が横方向にずれてしまう。
そこで、マルチプロジェクションシステム1は、プロジェクター2A、2Bの機能により投射画像101、102のずれを補正する機能を有する。具体的には、プロジェクター2A、2Bが、重畳領域111の同じ位置に、それぞれずれ検出用パターン115A、115Bを投射して、これらずれ検出用パターン115A、115Bの投射位置のずれに基づき、投射画像101、102の投射範囲のずれが検出され、検出されたずれを補正するようにプロジェクター2A、2Bが画像信号を処理する。この一連の動作は後に詳述する。
【0016】
図2は、マルチプロジェクションシステム1を構成するプロジェクター2Aの機能的構成を示す図であり、合わせてプロジェクター2Aのハードウェア構成を模式的に図示する。プロジェクター2Bはプロジェクター2Aと同様に構成されるため、プロジェクター2Aについてのみ図示及び説明する。
画像処理装置10は、プロジェクター2A、2Bが投射する投射画像の画像データを取得する画像取得部11と、プロジェクター2A、2Bの投射位置が設定された投射位置設定部12と、重畳領域の位置および大きさが設定されたオーバーラップ量設定部13と、プロジェクター2A、2Bにより投射する部分画像データを生成する部分画像生成部14と、を備える。画像取得部11は、内蔵する記憶装置(図示略)に記憶した画像データまたは外部の映像ソース機器から入力される画像データを取得する。プロジェクター2A、2Bには固有の識別情報が付与されており、投射位置設定部12には、プロジェクター2A、2Bの識別情報と、プロジェクター2A、2Bの位置関係が設定され、この設定状態を示す情報が投射位置設定部12からオーバーラップ量設定部13へ出力される。
【0017】
オーバーラップ量設定部13には、プロジェクター2A、2Bの識別情報と、プロジェクター2A、2Bが投射する画像における重畳領域の位置及びサイズが対応付けて設定されている。この設定は、外部の装置からオーバーラップ量設定部13に予め入力され、オーバーラップ量設定部13が記憶していても良いし、投射位置設定部12から入力される情報に基づいてオーバーラップ量設定部13が算出する構成としてもよい。オーバーラップ量設定部13は、投射位置設定部12から入力される情報と、プロジェクター2が投射する画像における重畳領域の位置及びサイズを示す情報とを、部分画像生成部14に出力する。
【0018】
部分画像生成部14は、オーバーラップ量設定部13から入力される情報に基づいて、画像取得部11が取得した画像データをプロジェクター2A、2Bの数に分割し、分割した各画像データを重畳領域の分だけ拡張して部分画像データを生成する。部分画像生成部14は、生成した各部分画像データをプロジェクター2A、2Bに出力する。
【0019】
プロジェクター2Aは、リフレクター22Aを備えた光源としてのランプ22、ランプ22が発した光をR成分、G成分及びB成分に分離するミラー23、ミラー23が分離したR成分、G成分及びB成分の光を変調する変調手段としての光変調装置24、光変調装置24によって変調された光をスクリーンSCに向けて投射する投射光学系25、及び、これらの各部を制御する制御装置21とを本体20に具備している。
ランプ22は、例えば、キセノンランプ、超高圧水銀ランプ、LED等を用いることができ、リフレクター22Aの他に、投射光の光学特性を高めるためのレンズ群(図示略)、偏光板、補助リフレクター(図示略)等を備えたものとしてもよい。
ミラー23は、ランプ22が発した光に含まれるR成分の光を反射してG成分及びB成分を透過させるR用ダイクロイックミラー、及び、G成分の光を反射してB成分を透過させるG用ダイクロイックミラーを備えて構成される。ミラー23に、R成分、G成分及びB成分の成分毎の光路長の差を吸収するリレーレンズ群を設けてもよい。
【0020】
光変調装置24は、R成分の光(第1の色光)を変調する光変調装置(第1の変調手段)、G成分の光(第2の色光)を変調する光変調装置(第2の変調手段)、及びB成分の光(第3の色光)を変調する光変調装置(第3の変調手段)を含む。
より具体的には、光変調装置24は、RGBの各色に対応した3枚の透過型または反射型の液晶ライトバルブを用いた方式、3枚のデジタルミラーデバイスを用いた方式等により構成され、ミラー23により分離されたR成分、G成分及びB成分の光をそれぞれ変調する。また、光変調装置24は、光源が発した白色光に含まれる光のうちRGBの光を時間順次に透過するカラーホイールと、1枚のデジタルミラーデバイスとを組み合わせたDMD方式で構成してもよい。なおカラーホイールと1枚のデジタルミラーデバイスとを組み合わせた方式においては、1枚のデジタルミラーデバイスが第1の変調手段、第2の変調手段及び第3の変調手段のそれぞれに対応する。
投射光学系25は、光変調装置24により変調されたRGB3色の変調光を合成するプリズム26と、プリズム26により合成された投射画像をスクリーンSCで結像させる投射レンズ27を備えている。プリズム26は光変調装置24の構成に合わせて、1または複数の光学プリズムやミラーを組み合わせて構成される。本実施形態では光変調装置24として3枚の液晶ライトバルブを備え、これら3枚の液晶ライトバルブにより変調された光をプリズム26で合成する構成とする。投射レンズ27は、例えば複数のレンズ群で構成され、ズーム及びフォーカスを調整する駆動機構(図示略)により駆動される。
そして、投射光学系25が投射光を投射する投射窓20Aの周辺には遮光板31が配置され、遮光板31を個々に駆動する遮光部30が設けられている。
【0021】
図1を参照して説明したように、重畳領域111には2台分の投射光が重ねて投射されているので、重畳領域111の光量は他の部分より多く、そのままでは他の部分より輝度が高くなってしまう。このため、プロジェクター2A、2Bは、投射光学系25から投射される投射光を遮光装置3によって部分的に減光する。遮光装置3が有する遮光板31は、投射光学系25が投射光を出力する投射窓20Aの周囲に配置された、不透明または透光性の低い矩形の板で構成され、遮光部30により駆動される。遮光板31はプロジェクター2が投射する矩形の投射画像の各辺に対応して4枚設けられ、各遮光板31は遮光部30によって独立してスライドされ、投射光学系25の前側に進出して投射画像を遮ることも、投射画像に影響を与えないように投射光学系25を遮らない位置まで後退させることも可能である。
【0022】
制御装置21は、プロジェクター2Bとの間で制御情報を受信する通信制御部212と、ランプ22に電力を供給してランプ22を点灯させる光源駆動部213と、通信制御部212が受信した制御情報に基づいて各部を制御する制御部211とを備える。制御部211は、光源駆動部213によるランプ22の点灯制御、光変調装置24における描画制御、遮光装置3による遮光制御等を行う。
また、制御装置21は、画像処理装置10から入力される部分画像データを受信する画像受信部214と、画像受信部214が受信した部分画像データを解析して、光変調装置24の表示画素数に対応した投射画像データを生成し、この投射画像データに基づいて光変調装置24を駆動する画像信号を生成する画像処理部217と、画像処理部217が出力した画像信号に基づいて光変調装置24を駆動し、投射光を変調させる光変調装置駆動部218とを備える。
また、制御装置21は、制御部211の制御に従って遮光装置3を動作させるための駆動信号を生成するとともに、現在の遮光板31の遮光位置を記憶する遮光装置制御部219と、遮光装置制御部219が生成した駆動信号に基づいて遮光部30を駆動する遮光装置駆動部220と、を備えている。これら制御部211、遮光装置制御部219及び遮光装置駆動部220が動作することにより、制御装置21は遮光制御装置として機能する。
【0023】
遮光装置駆動部220は、上述した遮光部30が備えるステッピングモーター(図示略)に対して駆動パルスを出力することで、遮光装置3の遮光板31をスライド移動させるとともに、ステッピングモーターの動作量に基づいて遮光板31の位置を算出し、記憶する。なお、遮光部30がモーターまたはアクチュエーターと、遮光板31の位置を検出するリニアエンコーダーとを備えた構成としてもよく、この場合、遮光装置駆動部220は、遮光部30のモーターまたはアクチュエーターに駆動電流を供給するとともに、リニアエンコーダーにより遮光板31の位置を検出する。
【0024】
制御装置21は、画像処理部217から出力される画像信号を処理することにより、画素ずれを補正する画素ずれ補正部223を備えている。画素ずれ補正部223により処理された画像信号は光変調装置駆動部218に入力される。
上述のように、光変調装置24は、3枚の液晶表示パネルによって、ミラー23において分離されたR成分、G成分及びB成分の光を成分毎に変調する。プロジェクター2Aが投射する投射画像の1画素は、光変調装置24の3枚の液晶表示パネルで変調されるR成分、G成分及びB成分のサブ画素で構成されている。R成分の光を変調する液晶表示パネルを透過したR成分のサブ画素と、G成分の光を変調する液晶表示パネルを透過したG成分のサブ画素と、B成分の光を変調する液晶表示パネルを透過したB成分のサブ画素とが、プリズム26により合成されて一つの画素を構成し、全体として規定の画素数の投射画像101となる。
光変調装置24の3枚の液晶表示パネルの位置のずれや、プリズム26及び投射レンズ27の色収差が原因で、スクリーンSC上に結像した画素においてR成分、G成分及びB成分のサブ画素間のずれが発生することがある。このずれは画素ずれと呼ばれ、画素ずれ補正部223は、画素ずれの量に応じて画像信号を補正することにより、スクリーンSC上の画素ずれを解消する。すなわち、画素ずれ補正部223は、予め、画素ずれのずれ量に対応して処理対象の画素のサブ画素であるR成分、G成分及びB成分のサブ画素を、周辺の他の画素のサブ画素を用いて補間するためのテーブルを記憶しており、このテーブルに従って、R成分、G成分及びB成分のそれぞれについて画像信号を補正する処理を行う。画素ずれ補正部223は、画素およびこれを構成するサブ画素が縦横にマトリクス状に配置された光変調装置24について、サブ画素を縦横方向に移動させて補正する処理を行う。換言すれば、画素ずれ補正部223は、スクリーンSCにおけるR成分の光(第1の色光)に対応する第1の画像の表示位置、及びG成分(第2の色光)に対応する第2の画像の表示位置、及びB成分(第3の色光)に対応する第3の画像の表示位置のずれを、投射画像の画像信号を処理することにより補正する。
【0025】
また、制御装置21には、通信制御部212に撮像装置5(撮像手段)が接続されている。撮像装置5は、プロジェクター2Aの投射範囲(図1に示す投射画像101)を撮影可能な画角を有するカメラ51と、カメラ51により撮影を実行させて撮影画像データを取得し、制御装置21に出力する撮影制御部53とを備えている。この撮像装置5は、撮像装置5は、USB(Universal Serial Bus)ケーブル、IEEE1394規格に準じたケーブル、或いは、Bluetooth(登録商標)、Wireless USB、無線LAN等の無線通信インターフェイスを介して制御装置21に接続され、制御装置21から入力される制御情報に基づいて動作する。
【0026】
制御装置21は、後述するずれ補正処理において、プロジェクター2A、2BがスクリーンSCにずれ検出用パターン115A、115Bを投射している状態で撮像装置5に撮影を実行させ、撮像装置5から撮影画像データが入力されると、入力された撮影画像データを解析してプロジェクター2Bとの投射領域のずれ量を検出する。制御装置21は、検出したずれ量に基づき、画素ずれ補正部223の機能によって画像信号を処理し、投射範囲のずれを補正し、投射光学系25によって補正後の投射画像を投射する。このずれ量の検出は、投射範囲に対する縦横方向、すなわち光変調装置24の画素の配列方向であることが、投写範囲のずれを画素ずれ補正部223によって補正する上で、好ましい。この動作において制御装置21は検出手段に相当する。また、画素ずれ補正部223は画素ずれ補正手段、及び、ずれ補正手段に相当する。
【0027】
このように構成されるマルチプロジェクションシステム1において、プロジェクター2A、2Bは、互いの投射画像101、102の投射位置が相対的にずれている場合に、ずれ量を検出して補正するずれ補正処理を実行する。ずれ補正処理では、プロジェクター2Aまたはプロジェクター2Bのいずれか一方が主制御側、他方が従属側となって動作する。プロジェクター2A、2Bはどちらも主制御側および従属側として動作可能であり、以下ではプロジェクター2Aが主制御側となる場合を例として説明する。この動作では、プロジェクター2A、2Bの各々がずれ検出用パターンをスクリーンに投射した状態で、主制御側のプロジェクターがスクリーンを撮影し、ずれ検出用パターンの位置関係を検出する。例えば、図1に示したように、プロジェクター2Aは複数の○からなるずれ検出用パターン115AをスクリーンSCに投射し、プロジェクター2Bは複数の×からなるずれ検出用パターン115Bを投射する。ずれ検出用パターンのデータは、予め、プロジェクター2A、2Bの制御装置21が複数記憶しており、1つのずれ検出用パターンを選択して投射する。そして、主制御側のプロジェクターが、これらずれ検出用パターン115A、115Bの位置のずれを解消するように補正を行う。
【0028】
2台のプロジェクター2A、2Bがそれぞれ自律的にずれ補正処理を行うと、同じずれ検出用パターンを投射してしまい、プロジェクター2A、2Bのずれ検出用パターンを区別できなくなる可能性や、2台のプロジェクター2A、2Bが互いに投射範囲をずらしてしまうことで相対位置が安定せず、結果としてずれを補正できない可能性がある。このため、本第1の実施形態では、プロジェクター2A、2Bの一方を主制御側と決め、他方の従属側と異なる動作をさせる。
【0029】
図3は、マルチプロジェクションシステム1の動作を示すフローチャートであり、特に、プロジェクター2Aによるずれ補正処理を示す。
この図3に示すずれ補正処理は、プロジェクター2Aとプロジェクター2Bとが相互に通信を行い、プロジェクター2Aが主制御側として動作する場合の例である。上記のようにプロジェクター2Bが主制御側として動作することも可能であるが、その場合は全く同じ動作となるので説明を省略する。
【0030】
プロジェクター2Aは、ずれ補正処理を開始すると、通信制御部212に接続されたプロジェクター2Bを検出し(ステップS11)、プロジェクター2Bと相互に通信を行ってどちらが主制御側のプロジェクターとして動作するかを決定する(ステップS12)。ステップS12ではランダムに主制御側を決めてもよいし、プロジェクター2A、2Bに割り当てられた固有の識別情報をもとに決定してもよい。
主制御側となったプロジェクター2Aは、ずれ補正処理を開始することをプロジェクター2Bに通知し(ステップS13)、プロジェクター2Aが投射するずれ検出用パターンを選択するとともに、選択したずれ検出用パターンを特定する情報をプロジェクター2Bに通知する(ステップS14)。プロジェクター2Bは、プロジェクター2Aから通知されたずれ検出用パターン以外を、自己がスクリーンSCに投射するずれ検出用パターンとして選択する。この動作により、プロジェクター2A、2Bが異なるずれ検出用パターンを選択する。
【0031】
プロジェクター2Aはずれ検出用パターンの投射を開始し(ステップS15)、これとほぼ同時にプロジェクター2Bもずれ検出用パターンの投射を開始する。
プロジェクター2Aは撮像装置5によってスクリーンSC上の重畳領域111を含む範囲を撮影し、撮影画像データを取得する(ステップS16)。ここで、取得した撮影画像データにおいてプロジェクター2Aが投射したずれ検出用パターンと、プロジェクター2Bが投射したずれ検出用パターンとを検出し(ステップS17)、その相対位置をもとにずれ量を検出する(ステップS18)。図1に示す典型例では、プロジェクター2Aが投射するずれ検出用パターン115Aを構成する記号○の中心と、ずれ検出用パターン115Bを構成する記号×の中心との拒離を検出することで、ずれ量を求めることができる。
プロジェクター2Aは、ステップS18で求めたずれ量が、予め設定されたしきい値を超えているか否かに基づいて、補正が必要か否かを判別し(ステップS19)、補正が発ようであると判別した場合は(ステップS19;Yes)、画素ずれ補正部223の機能によって投射範囲を所定量だけシフトさせる補正を行う(ステップS20)。この所定量とは、ステップS18で求めたずれ量に基づいて決定した量であってもよいし、1回分のずれ補正量として予め設定された量であってもよい。ステップS20の補正を行った後は、ステップS16に戻る。
【0032】
そして、ステップS18で求めたずれ量が小さく、補正が必要ないと判別した場合(ステップS19;No)、プロジェクター2Aはプロジェクター2Bに対し、ずれ補正処理の終了を通知する(ステップS21)。その後速やかに、プロジェクター2A、2Bはずれ検出用パターンの投射を終了し(ステップS22)、本処理を終了する。
プロジェクター2Aが図3の動作をする間、プロジェクター2Bは、プロジェクター2Aと通信してずれ検出用パターンを選択し、プロジェクター2Aからの指示によりずれ検出用パターンを投射し、その投射を終了する。
【0033】
以上のように、本発明を適用した第1の実施形態によれば、プロジェクター2A、2Bが互いの投射範囲の少なくとも一部が重畳領域を形成するようにスクリーンSCに投射画像を投射するマルチプロジェクションシステム1は、プロジェクター2A、2Bが検出用画像を投射した状態で、スクリーンSCの重畳領域を含む範囲を撮影する撮像装置5と、撮像装置5の撮影画像に基づいて、重畳領域に投射しているプロジェクター2A、2Bの投射範囲のずれを検出する制御装置21と、制御装置21が検出したずれ量に応じてプロジェクター2A、2Bが投射する投射画像を変化させ、ずれを補正する画素ずれ補正部223と、を備えるので、互いの投射範囲が重なるように投射するプロジェクター2A、2Bの投写範囲の相対位置が、本来投射するべき位置からずれている場合に、このずれを検出して補正するので、投射範囲のずれを正すためにプロジェクター2A、2Bの設置状態を調整する作業を減らし、作業の負担を軽減できる。
【0034】
また、プロジェクター2A、2Bは、ランプ22と、それぞれサブ画素で構成される複数の画素により、ランプ22が発した光を変調する光変調装置24と、光変調装置24により変調された光を投射する投射光学系25と、光変調装置24のサブ画素の表示位置のずれを、投射画像の画像信号を処理することにより補正する画素ずれ補正部223とを備えるので、プロジェクター2A、2Bが備える画素ずれ補正の機能を利用して、回路構成を追加することなく投射範囲のずれを補正できる。特に、投射画像の画像信号を処理する画素ずれ補正の機能を利用することにより、機械的機構を追加することなく、かつ、高精度でずれを補正できる。従って、プロジェクター2A、2Bの構成を複雑化することなく、低コストで高精度のずれの補正を行える。
【0035】
また、制御装置21は、光変調装置24における画素の配列方向におけるずれを検出し、画素ずれを補正する機能と同様の処理によって投写範囲のずれを補正するので、特別な処理機能を追加する必要がなく、容易に実現できる。
さらに、少なくともプロジェクター2A、2Bのいずれかに撮像装置5が設けられているので、プロジェクター2A、2B単体の機能によって、当該プロジェクター2A、2Bの投写範囲のずれを補正できる。
さらにまた、隣接するプロジェクター2A、2Bのいずれか一方の投射画像を変化させて、ずれを補正するので、ずれの補正を行うプロジェクター2A、2Bを少なくすることにより、ずれを補正する処理を簡略化し、速やかに補正を完了できる。また、投写範囲のずれを補正する機能を有するプロジェクター2A、2Bと、この機能を持たないプロジェクターと、を混在させてマルチプロジェクションシステム1を構成すれば、より一層の低コスト化が期待できる。
なお、上記第1の実施形態では、プロジェクター2A、2Bが相互に通信を行ってずれ補正処理を行う場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、プロジェクター2A、2Bとは別体の装置の制御によって、ずれ補正処理を行ってもよい。この場合について第2の実施形態として説明する。
【0036】
[第2の実施形態]
図4は、本発明を適用した第2の実施形態に係るマルチプロジェクションシステム1を構成するプロジェクター2Aの機能的構成を示す図であり、合わせてプロジェクター2Aのハードウェア構成を模式的に図示する。プロジェクター2Bはプロジェクター2Aと同様に構成されるため、プロジェクター2Aについてのみ図示及び説明する。また、マルチプロジェクションシステム1の各部の構成について上記第1の実施形態と共通する部分については、同符号を付して説明を省略する。
【0037】
本第2の実施形態では、プロジェクター2A、2Bとは別体として構成されたずれ補正制御サーバー6(補正制御装置)が、プロジェクター2A、2Bと通信可能に接続され、このずれ補正制御サーバー6の制御によってずれ補正処理を行う。この第2の実施形態では、プロジェクター2A、2Bは撮像装置5を持たず、ずれ補正制御サーバー6に撮像装置5A(撮像手段)が接続されている。撮像装置5Aは、上述した撮像装置5と同様にカメラ51及び撮影制御部53を備え、この撮影制御部53は、ずれ補正制御サーバー6の制御に従って撮影を行い、カメラ51により撮影された撮影画像データをずれ補正制御サーバー6に送信する。撮像装置5Aとずれ補正制御サーバー6とは上述した各種の有線または無線通信インターフェイスにより接続される。
撮像装置5Aのカメラ51は、プロジェクター2A、2BがスクリーンSC上に投射する投射画像101、102(図1)のうち、少なくとも重畳領域111を含む範囲を撮影する画角を有する。このカメラ51は、キーストーン補正やスクリーン枠検出等の用途にも利用するため、投射画像101と投射画像102の全体を含む範囲を撮影する画角を有していてもよい。
【0038】
図5は、マルチプロジェクションシステム1の動作を示すフローチャートであり、特に、ずれ補正制御サーバー6の制御によるずれ補正処理を示す。
ずれ補正制御サーバー6は、ずれ補正処理を開始すると(ステップS31)、ずれ補正処理を開始することをプロジェクター2A、2Bに通知し(ステップS32)、プロジェクター2A、2Bがそれぞれ投射するずれ検出用パターンを指定してプロジェクター2A、2Bに通知する(ステップS33)。ずれ補正制御サーバー6はプロジェクター2A、2Bにずれ検出用パターンの投射を指示し、この指示に応じてプロジェクター2A、2Bがずれ検出用パターンの投射を開始する(ステップS34)。
【0039】
ずれ補正制御サーバー6は、プロジェクター2A、2Bがずれ検出用パターンの投射を開始したことを検出すると、撮像装置5AによってスクリーンSC上の重畳領域111を含む範囲を撮影させ、撮影画像データを取得する(ステップS35)。ずれ補正制御サーバー6は、取得した撮影画像データにおいてプロジェクター2Aが投射したずれ検出用パターンと、プロジェクター2Bが投射したずれ検出用パターンとを検出し(ステップS36)、その相対位置をもとにずれ量を検出する(ステップS37)。
【0040】
ずれ補正制御サーバー6は、ステップS37で求めたずれ量が、予め設定されたしきい値を超えているか否かに基づいて、補正が必要か否かを判別し(ステップS38)、補正が必要であると判別した場合は(ステップS38;Yes)、プロジェクター2Aまたはプロジェクター2Bのいずれか一方に対し、画素ずれ補正部223の機能によって投射範囲を所定量だけシフトさせる補正を行う(ステップS39)。この所定量とは、ステップS37で求めたずれ量に基づいて決定した量であってもよいし、1回分のずれ補正量として予め設定された量であってもよい。ステップS39の補正を行った後は、ステップS35に戻る。ずれ補正制御サーバー6は、ステップS39において、プロジェクター2A、2Bの両方に対して画素ずれ補正部223による補正を実行させてもよいが、この場合、プロジェクター2A、2Bがそれぞれ投射範囲を補正する方向及び補正量を適切に設定し、プロジェクター2A、2Bの両方が指定された補正をすることで投射範囲のずれが解消するよう制御を行う必要がある。この場合、投射範囲を補正する補正量がプロジェクター2A、2Bに分散し、一方に偏らないという利点がある。
【0041】
そして、ステップS37で求めたずれ量が小さく、補正が必要ないと判別した場合(ステップS38;No)、ずれ補正制御サーバー6はプロジェクター2A、2Bを制御して、ずれ検出用パターンの投射を終了させ(ステップS40)、本処理を終了する。
【0042】
以上のように、本発明を適用した第2の実施形態によれば、プロジェクター2A、2Bが互いの投射範囲の少なくとも一部が重畳領域を形成するようにスクリーンSCに投射画像を投射するマルチプロジェクションシステム1が、プロジェクター2A、2Bとは別体として構成されたずれ補正制御サーバー6を備え、このずれ補正制御サーバー6が、撮像装置5を備えるとともに、ずれ量を検出する機能と、ずれ補正量を求める機能とを有し、各々のプロジェクター2A、2Bが備える画素ずれ補正部223により補正を行わせるので、ずれ補正制御サーバー6がプロジェクター2A、2Bを統合的に制御して効率よく投写範囲のずれを補正できる。また、撮像装置5を持たないプロジェクター2A、2Bを用いたマルチプロジェクションシステム1においても補正制御装置を設けることで、投写範囲のずれ補正を自動化できる。
【0043】
なお、上記各実施形態で説明したマルチプロジェクションシステム1は、スクリーンSCの正面側にプロジェクター2A、2Bを配置し、スクリーンSCの正面に投射画像を投射する構成として説明したが、本発明はこれに限定されず、各プロジェクター2、200をスクリーンSCの背面側に配置して、スクリーンSCの背面に投射画像を投射する構成としてもよい。プロジェクター2A、2BがスクリーンSCの背面側に配置される背面投射型の構成とした場合、撮像装置5、5AのみをスクリーンSCの前面側に配置して、スクリーンSCの前面から撮影した撮影画像をもとに投写範囲のずれ量を検出してもよい。
【0044】
また、上記各実施形態では、マルチプロジェクションシステム1が2台のプロジェクターを備えた構成を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、より多数のプロジェクターを縦横方向に配置したマルチプロジェクションシステムにも適用可能であり、この場合、隣接するプロジェクターどうしの各重畳領域において投写範囲のずれ量の検出と補正を行うことができる。
さらに、マルチプロジェクションシステム1が備えるプロジェクター2の数は任意であり、第1の実施形態で説明した制御装置21の機能、或いは、第2の実施形態で説明したずれ補正制御サーバー6の機能とその他の機能が一つのコンピューターによって構成されても良く、その他の細部構成についても任意に変更可能である。
また、上記各実施形態では、マルチプロジェクションシステム1が備えるプロジェクター2はそれぞれ3つの変調手段を備えた構成として説明したが、プロジェクター2が備える変調手段の数はこれに限られない。例えば、プロジェクター2は2つの変調手段を備えていても良く、4つ以上の変調手段を備えていても良い。さらに、第1の変調手段及び第2の変調手段は同一の変調手段であっても良い。
【符号の説明】
【0045】
1…マルチプロジェクションシステム、2A、2B…プロジェクター、3…遮光装置、5、5A…撮像装置(撮像手段)、6…ずれ補正制御サーバー(補正制御装置)、10…画像処理装置、20A…投射窓、21…制御装置(検出手段)、22…ランプ(光源)、24…光変調装置(第1の変調手段、第2の変調手段、第3の変調手段)、25…投射光学系、111…重畳領域、115A、115B…ずれ検出用パターン(検出用画像)、223…画素ずれ補正部(補正手段、画素ずれ補正手段)、SC…スクリーン(投射面)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のプロジェクターが互いの投射範囲の少なくとも一部が重畳領域を形成するように投射面に投射画像を投射するマルチプロジェクションシステムであって、
前記プロジェクターが検出用画像を投射した状態で、前記投射面の前記重畳領域を含む範囲を撮影する撮像手段と、
前記撮像手段の撮影画像に基づいて、前記重畳領域に投射している複数の前記プロジェクターの投射範囲のずれを検出する検出手段と、
前記検出手段が検出したずれ量に応じて前記プロジェクターが投射する投射画像を変化させ、ずれを補正するずれ補正手段と、を備え、
前記プロジェクターは、光源と、前記光源が発した第1の色光を変調する第1の変調手段と、前記光源が発した第2の色光を変調する第2の変調手段と、前記第1の変調手段及び前記第2の変調手段により変調された光を投射する投射光学系と、前記第1の色光に対応する第1の画像の表示位置、及び前記第2の色光に対応する第2の画像の表示位置のずれを、前記投射画像の画像信号を処理することにより補正する画素ずれ補正手段とを備え、
前記ずれ補正手段は、前記プロジェクターが備える前記画素ずれ補正手段の機能によってずれを補正すること
を特徴とするマルチプロジェクションシステム。
【請求項2】
前記検出手段は、前記変調手段における画素の配列方向におけるずれを検出することを特徴とする請求項1記載のマルチプロジェクションシステム。
【請求項3】
前記撮像手段は、少なくともいずれかの前記プロジェクターに設けられたことを特徴とする請求項1または2記載のマルチプロジェクションシステム。
【請求項4】
前記プロジェクターとは別体として構成され、前記撮像手段と、前記ずれ検出手段とを備え、前記ずれ検出手段により検出したずれ量に応じて、各々の前記プロジェクターが備えるずれ補正手段により補正を行わせる補正制御装置を備えることを特徴とする請求項1または2記載のマルチプロジェクションシステム。
【請求項5】
前記ずれ補正手段によって、隣接する複数の前記プロジェクターのいずれか一方の投射画像が変化することにより、ずれが補正されことを特徴とする請求項1または4記載のマルチプロジェクションシステム。
【請求項6】
他のプロジェクターとともに互いの投射範囲の少なくとも一部が重畳領域を形成するように投射面に投射画像を投射するプロジェクターであって、
光源と、
前記光源が発した第1の色光を変調する第1の変調手段と、
前記光源が発した第2の色光を変調する第2の変調手段と、
前記第1の変調手段及び前記第2の変調手段により変調された光を投射する投射光学系と、
前記第1の色光に対応する第1の画像の表示位置、及び前記第2の色光に対応する第2の画像の表示位置のずれを、前記投射画像の画像信号を処理することにより補正する画素ずれ補正手段と、
検出用画像を投射した状態で、前記投射面の前記重畳領域を含む範囲を撮影する撮像手段と、
前記撮像手段の撮影画像に基づいて、前記重畳領域に投射している他の前記プロジェクターとの投射範囲のずれを検出する検出手段と、
前記画素ずれ補正手段の機能によって、前記検出手段が検出したずれ量に応じて前記投射面に投射する投射画像を変化させ、ずれを補正するずれ補正手段と、
を備えることを特徴とするプロジェクター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−165091(P2012−165091A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−22429(P2011−22429)
【出願日】平成23年2月4日(2011.2.4)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】