説明

マルチメディアケーブル

マルチメディアケーブルであって、特に、中央導体コアの周りに配置された導体コアの2つ以上の同心リングを含む、HDMI規格に従ってデジタル信号を搬送するよう設計されたマルチメディアケーブルである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互参照
本願は、2010年1月5日に出願された米国仮特許出願第61/292,376号の利益を主張する。当該仮出願の開示全体はここに引用により援用される。
【0002】
発明の背景
1.発明の分野
この開示は電子ケーブルの分野に関する。特に、デジタル情報の転送用の高速ケーブルに関する。具体的には、ここに説明されるケーブルは、より一般的には高精細マルチメディアインターフェイス(HDMI)ケーブルと呼ばれるマルチメディアケーブルであり、それらの間で一般的に使用されている伝送規格に基づくものである。それらのサイズに基づき、ここに説明される実施例は小型HDMIケーブルとして説明され得る。
【背景技術】
【0003】
2.関連技術の説明
家庭用娯楽機器の分野は飛躍的に成長している。映像最前線では、白黒のアナログ信号は100年前の最新技術であった。現在、高精細カラーが標準となってきている。また、放送信号への依存は、デジタルケーブル、ブルーレイ(登録商標)映像ソース、およびデジタルレコーダに置き換えられてきた。今日の映像画面は、膨大な色彩を信じられないほどの解像度で再生できる。また、それらは概して、占有空間は依然として小さいながら、はるかにより大きい(そして異なる比率の)画面を有している。
【0004】
家庭用娯楽システムの映像ディスプレイの改良とともに、音声再生に主要な変更および改良が加えられてきた。今日の音声も、関連付けられた映像とともに、またはそれ自体で、デジタルで保存および転送可能である。また、もはやたった1つのスピーカが画面に配置されるよう限定されることはない。音声は多数のチャネルで提供され、これまで不可能だったくらいに視聴者を番組に没頭させる。
【0005】
音声および映像再生におけるこれらの改良とともに、インターネットの台頭およびデータのコンピュータ保存も、娯楽を得る新しい方法を作り出してきた。娯楽番組のデジタル保存および伝送により、ユーザは、劣化することなくほぼ無限の回数再生可能であり、異なる機器間で自由に転送され「オンデマンド」で視聴することが可能である、ある特定の娯楽番組の複製を得ることができる。
【0006】
しかしながら、あらゆるこの新しい機能性では、より多くの異なる装置間でデータを転送できるようにするための要件が生じる。20年前では、テレビは、音声、映像およびコンテンツを供給する自己完結型の装置であったが、今日では、より良いソースおよび再生に対する需要が、いくつかのコア装置と多くの異なる周辺装置とを含む平均的なホームシアターをもたらしてきた。これらの異なる装置間でデータを転送することは、多くの娯楽システムが異なる規格および品質のネズミの巣のようなケーブルを有する結果を招いている。
【0007】
音声および映像データの伝送に使用される規格はたくさんあり、したがってケーブルもたくさんある。コンポーネントビデオ、S−ビデオ、光ファイバなどはすべて、長所と短所とを有する技術である。しかしながら、これらの技術の多くに対する主な懸念のうちの1つは、ケーブルの急増、および、コンポーネント同士を接続するために多数の物理的ケーブルを有する必要性である。また、セットアップの優劣がその最も弱いリンク次第で決まることがしばしばある。
【0008】
ケーブルの問題を簡潔にするために、高精細マルチメディアインターフェイス(HDMI)規格が、以前に提案された。この規格は、この規格を用いるよう設計されたケーブル間での音声、映像、およびデータの完全デジタル伝送を提供する。これらのHDMIケーブルは、要件を満たすよう、ひいては、3つの音声チャネルと、3つの映像チャネル(1つのカラー信号の3つの構成要素に対応)と、指示(家庭用電化製品チャネル(CEC))、コンポーネントが追加されているかまたは取り外されているかどうかを判断するためのホットプラグ検出、ならびに、暗号化および関連する装置情報のためのディスプレイデータチャネル(DDC)を装置が交換できるようにするものを含む多数の他の支持信号とを搬送する導体を提供するよう、設計されている。より新しい規格(HDMI1.4)は、イーサネット(登録商標)データおよび音声リターンチャネル(HEAC)も含んでいる。HDMIの規格は、HDMIジャックでのケーブルの終端方法とともに、www.hdmi.orgで公的に入手可能であり、その開示全体はここに引用により援用される。
【0009】
HDMIケーブルは、現行の(バージョン1.3)HDMI規格で必要とされる信号をすべて搬送するために、少なくとも18個の別個の導体を含む必要があるであろう。そのようなケーブル(900)の一実施例を、図1に示す。導体のうちの12個は個々に被覆され(図1の中空円によって示されるケーブルコアを形成)、4個のツイストペアグループ(901)、(903)、(905)および(907)(各々、被覆されていない接地(斜線付きの円によって表わされる)を有する)となるよう構成されて、音声および映像の3つのチャネルとクロック信号とを搬送する。ツイストペアグループの各々はその場合、専用の被覆材(991)、(993)、(995)および(997)を含む。2個の導体(1つのコアと1つの被覆されていない接地)が電力および一般接地(911)を形成し、一方、残りの4個のコアは特殊チャネルとして機能する。具体的には、DDC(2個のコアを使用)(921)、CEC(923)、ホットプラグ検出(925)、および将来の規格によって使用するために取ってある未使用のコア(927)である。どの目的のために特定のコア(923)、(925)および(927)のうちのどれを使用するかは、製造業者がコア(923)、(925)および(927)をどのように接続するよう選択するかに基づいて変更可能である。
【0010】
標準HDMIケーブルはしたがって、4個の構成要素ツイストペアケーブル(901)、(903)、(905)および(907)(各々、それ自体のシールド材を有する)と、接地付き電力ケーブル(911)と、特殊コア(921)、(923)、(925)および(927)とを含む。この束全体が次に、マイラーテープ(952)、ワイヤブレードシールド材(954)、および絶縁性被覆材(956)の内部に配置されて、代表的なHDMIケーブルを形成する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
この構成は良好な信号品質と簡略化された接続とを提供するが、いくつかの問題も提供する。第1に、ツイストペアケーブル(901)、(903)、(905)および(907)の使用は、捩じれを収容する追加の空間と、各ツイストペア(901)、(903)、(905)および(907)に個々のシールド材(991)、(993)、(995)および(997)を含めることとを必要とする。これにより、ケーブル(900)は必要以上にかさ高くなり、(たとえば内部配線または携帯機器において)小さいケーブルが必要とされるような用途には合わなくなるおそれがある。
【0012】
また、並列伝送を利用するHDMI規格は、ツイストペア(901)、(903)、(905)および(907)間の漏話をもたらおそれがある。このため、速度を増加させる必要が高まるにつれて、またケーブル長が増加するにつれて、一般にコアにおけるワイヤゲージを増加させる必要があり、さもなければ信号劣化が起こるおそれがある。信号はアナログではなくデジタルであるため、信号劣化は信号の一部の損失をもたらし、それは次に信号品質の大規模な劣化をもたらすおそれがある。HDMI規格は(イーサネット(登録商標)接続などでのたいていの標準データ送信とは対照的に)リアルタイムであるため、より長いケーブル長に関して多数の問題も発生し、信頼性のあるHDMI伝送は通常、ほんの数フィートに限定されてきた。
【0013】
多くの場合、これは受入れ可能である。なぜなら、ホームシアターにおけるコンポーネント間の距離は、これらの距離の範囲内に十分あり得るためである。しかしながら、用途によっては、長さの限定が重大となり得る。特に小さい直径のケーブルが必要とされる場合(たとえば、空間が貴重である携帯機器または機器内部の接続など)、伝統的なHDMIケーブルは、信頼性のある性能をまったく提供できないかもしれない。
【0014】
当業者には公知である上述のおよび他の理由により、伝統的なツイストペア構造を排除しつつ信号品質を依然として維持する内部導体の同軸構成を提供する、HDMI規格(HDMI1.3および1.4など、ただしこれらに限定されない)で使用するために設計されたマルチメディアケーブルが、ここに説明される。
【課題を解決するための手段】
【0015】
発明の概要
以下は、この発明のいくつかの局面の基本的な理解を提供するための、この発明の概要である。この概要は、この発明の主なまたは重要な要素を特定するよう、もしくはこの発明の範囲を詳述するよう意図されてはいない。この項目の唯一の目的は、後で提示されるより詳細な説明の前置きとして、この発明のいくつかの概念を簡略化された形で提示することである。
【0016】
当該技術分野における上述のおよび他の問題のため、ここに説明されるのは、とりわけ、マルチメディアケーブル、特に、中央導体コアの周りに配置された導体コアの2つ以上の同心リングを含む、HDMI規格に従ってデジタル信号を搬送するよう設計されたマルチメディアケーブルである。
【0017】
一実施例では、マルチメディアケーブルは、中央ケーブルコアと、中央ケーブルコアの周りに同心円状に配置された第1の複数のケーブルコアから形成された第1のリングと、ケーブルコアにおける同心の第1のリングの周りに配置された第2の複数のケーブルコアから形成された第2のリングとを含み、中央ケーブルコア、第1の複数のケーブルコア、および第2の複数のケーブルコアは、全部で少なくとも19個のケーブルコアを含み、第1の複数のケーブルコアは互いに概して平行に配置され、第2の複数のケーブルコアは互いに概して平行に配置されている。
【0018】
マルチメディアケーブルの一実施例では、ケーブルは、HDMI規格バージョン1.3または1.4に従って信号を搬送するのに好適である。
【0019】
マルチメディアケーブルの一実施例では、少なくとも19個のケーブルコアおよびおそらくはちょうど19個のコアは、少なくとも14個の個々にシールドされたケーブルコアと、少なくとも5個のシールドされていないケーブルコアとを含む。第1の複数のケーブルコアは1個のシールドされていないケーブルコアを含んでいてもよく、第2の複数のケーブルコアは4個のシールドされていないケーブルコアを含んでいてもよい。
【0020】
マルチメディアケーブルの一実施例では、少なくとも19個のケーブルコアは、少なくとも22個のケーブルコアを含み、それらは、少なくともまたはちょうど17個の個々にシールドされたケーブルコアと、少なくともまたはちょうど5個のシールドされていないケーブルコアとを含んでいてもよい。個々にシールドされたケーブルコアのうちの8個とシールドされていないケーブルコアのうちの1個とが第1の複数のケーブルコアを形成してもよく、シールドされたケーブルコアのうちの8個とシールドされていないケーブルコアのうちの4個とが第2の複数のケーブルコアを形成してもよい。第2の複数のケーブルコアは繰返しパターンの組を形成してもよく、各組は、1個のシールドされていないケーブルコアと2個の個々にシールドされたケーブルコアとから形成されている。第1の複数のケーブルコアは少なくとも8個のケーブルコアを含んでいてもよく、第2の複数のケーブルコアは少なくとも15個のケーブルコアを含んでいてもよい。第1の複数のケーブルコアはひいては、少なくとも7個の個々にシールドされたケーブルコアを含んでいてもよく、第2の複数のケーブルコアはひいては、少なくとも10個の個々にシールドされたケーブルコアを含んでいてもよい。
【0021】
一実施例では、マルチメディアケーブルは、第1のリングと第2のリングとの間に配置されたシールド材をさらに含む。それはまた、第1のリングと第2のリングとの間に配置されたAl−マイラーテープをさらに含んでいてもよい。一実施例では、マルチメディアケーブルは、第2のリングを包囲するシールド材をさらに含み、また、第2のリングを包囲するAl−マイラーテープ、および/または第2のリングを包囲するシールド材を包囲する絶縁性被覆材をさらに含んでいてもよい。
【0022】
一実施例では、中央ケーブルコアと、中央ケーブルコアの周りに配置された8個の個々にシールドされたケーブルコアと1個のシールドされていないケーブルコアとから形成された第1の同心リングと、第1の同心リングを包囲する第1のシールド材と、第1の同心リングの周りに配置された8個の個々にシールドされたケーブルコアと4個のシールドされていないケーブルコアとから形成された第2の同心リングと、第2の同心リングを包囲する第2のシールド材と、第2のシールド材を包囲する絶縁性被覆材とを含み、第1の同心リングを形成するケーブルコアは互いに概して平行に配置され、第2の同心リングを形成するケーブルコアは互いに概して平行に配置されている、マルチメディアケーブルも、ここに説明される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】HDMIプロトコルで使用される先行技術のケーブルの一実施例の図式化された断面図である。
【図2A】マルチメディアケーブルの第1の実施例の図式化された断面図である。
【図2B】図2Aの例示的な「ツイストペア」グループを示す標示を有する図2Aの実施例の図である。
【図3】マルチメディアケーブルの第2の実施例の図式化された断面図である。
【図4】マルチメディアケーブルの第3の実施例の図式化された断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
好ましい実施例の説明
以下の説明は、限定のためではなく例示のために例証する。上述のように、HDMI規格は、何個の導体がどのデータをどのレートおよび品質で提供するかというさまざまな仕様を提供する。HDMI規格は、多くの点で、ケーブルの物理的設計を定めていないが、代わりに、ケーブルがどのように終端するか、およびケーブルがどのように機能するかを定めている。このため、標準HDMIという用語がこの明細書全体を通して一般に使用されるが、伝統的なHDMIが伝統的なツイストペアグループを使用する一方、このケーブルは、1対の導体を含むグループを依然として使用しながら、それらを標準ツイストペアとして提供していない、ということを認識すべきである。また、この開示のHDMIケーブルは、HDMI規格に従って動作し、終端されるよう設計されているが、伝統的にHDMIケーブルと呼ばれているものとは完全に異なる内部設計を有している。
【0025】
図2は、HDMIプロトコルでの使用のために設計されたケーブル(100)の一実施例の断面を表図である。このケーブルは、導体とそれ自体の専用の被覆材とを各々含む17個のケーブルコア(1〜17)を、構成要素が被覆されていない5個の導体(21)、(23)、(25)、(27)および(29)とともに含む。これらは、標準HDMIケーブルの14個のシールドされた導体および5個の接地として機能する(余分の3個のコアは、後の拡張用に、または追加の伝送コンポーネントでの使用のために利用可能である)。コア(1〜17)ならびに導体(21)、(23)、(25)、(27)および(29)は、ツイストペアとなるよう構成されてはいない。なぜなら、ケーブル(100)は、中央電力ケーブル(101)の周りに導体の2つの同心リング(103)および(105)を含むためである。
【0026】
図2の実施例では、ケーブル(100)の中心である導体(101)は通常、ケーブル(100)の電力輸送能力を提供するために使用される。次に、コア(101)を包囲するよう配置された導体の第1のリング(103)がある。導体の第1のリング(103)は、複数の概して平行なコア(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(8)、および(9)を、概して単一の接地(29)とともに含む。接地(29)は、この内側リング(103)および電力(101)用のドレインとして機能し、残りの導体は、HDMIプロトコルのさまざまな多岐にわたるプロトコル(CDCなど)コアとして機能するであろう。これらの構成要素は通常、隣り合って配置され、また、ケーブル(100)と平行であってもよく、またはその周りに概して均一にゆっくりと捩じれていてもよい。
【0027】
見てわかるように、内側リング(103)には8個のコア(プラス接地)が示されており、それは、現行のHDMIケーブルで非音声/映像/クロック信号を搬送するために使用される5つのコアおよび接地よりも多い。余分の3個の導体(たとえば(7)、(8)、および(9)、ただし、HDMIコネクタのどのピンでどのコアを終端させるかという選択は設置業者に委ねられており、内側リング(103)のどのコア(2〜9)もHDMIプロトコルのどのチャネルに割当てられてもよい)は、あるサイズのコアを使用する際に完全な内側リング(103)が生成されることを確実にするために提供されてもよい。具体的には、これらの余分のコアは、材料の完全なリングが存在するよう、かつ、内側リング(103)が間隙または空間を含まず、概して一貫性があり、中実であるよう、提供される。それらはまた、十分なかさを有し、その上に外側リング(105)が配置される、固定したサイズの内側リング(103)外径も提供する。これらの余分のコアは、現行のHDMIプロトコルでは特定の用途を有していないものの、将来のプロトコルの必要性のために使用可能であり、プロトコルの一部ではない固有の転送のために使用可能であり、または、当業者には公知であるような他の目的のために提供されてもよい。
【0028】
代替的な一実施例では、内側リング(103)における余分のコアは、ケーブル(100)がHDMIケーブルとして動作するのに厳密には必要ではないため、排除されてもよい、ということが認識されるべきである。しかしながら、そのような実施例では、内側リング(103)の構成要素(5個のコアプラスドレインであり得る)は、より大きいゲージのワイヤで構成されてもよく、および/または、それらをより大きくして提供するために被覆材の厚さが増加されてもよい。このように、内側リング(103)はここでも、電力コア(101)の周りで完全である。また、これに代えて、余分のコアの代わりに充填材(プラスチックロッドまたは同様の材料など)を使用して、完全なリング(103)を提供してもよい。さらに別の実施例では、リング(103)は単に間隙を有していてもよく、Al−マイラーテープ(109)およびシールド材(107)を使用して、リング(103)の外面を概して滑らかにし、第2のリング(105)が配置される面を提供してもよい。見てわかるように、内側リング(103)および外側リング(105)の双方が各々、余分の間隙を有することなく、同心リング状に配置されたコアおよび接地を含むことを確実にし、かつ、リング(103)または(105)がその中に含まれるすべてのコアおよび導体を収容するのに十分な円周を有することを確実にする上で、サイズの検討が有益となり得る。
【0029】
導体の第1のリング(103)の外側にはシールド材(107)があり、それは、図示された実施例では、螺旋コイルの導電性ワイヤから形成されているが、ワイヤブレードまたはさらには鋳造金属面を含むもののそれらに限定されないどんな設計のものであってもよく、それは、内側リング(103)によって搬送される信号を外側リング(105)の信号から隔離するよう機能し、また、ケーブル長さを提供することも可能である。導体の第1のリング(103)を第2のリング(105)から分離するために、Al−マイラーテープ(109)も提供される。代替的な実施例では、Al−マイラーテープ(109)およびシールド材(107)は排除されてもよい。なぜなら、結果として生じるケーブル(100)の内部構成要素の設計および所望の特性に依存して、シールドおよび隔離が不必要となる場合があるためである。
【0030】
シールド材(107)は通常、導体の第2のリング(105)によって包囲されるであろう。この実施例では、8個のコア(10〜17)および4個のドレイン導体が、第2のリング(105)に設けられている。これらは通常、標準HDMIケーブル構成で使用される4個のツイストペアケーブルに対応するよう使用されるが、ペアが互いの周りで捩じれた状態で配置されてはいない。代わりに、各「ペア」の部材は概して互いに隣り合って配置され、各「ペア」は接地によって分離されている。
【0031】
図2Bに見えるように、コアは通常、2個のデータコアが接地によって分離されるよう、利用されるであろう。このため、8個のコアおよび4個の接地は、2個のコア(たとえば、(303a)および(303b))と1個の接地(たとえば(303g))とを各々含む4つの「組」(301)、(303)、(305)および(307)へと論理的にグループ化される。これらの4つの組(301)、(303)、(305)および(307)は、標準HDMIケーブルにおける4個のツイストペアに対応しており、したがって、グループのうちの3つ(301)、(303)および(305)は、3個の音声映像ツイストペア(および関連付けられた接地)を提供し、4番目(307)はクロック信号(および関連付けられた接地)を提供する。上述のように、コアおよびドレインの特定の終端は、HDMIコネクタをケーブル(100)に取付ける製造業者に委ねられており、このため、グループ(301)、(303)、(305)および(307)のうちのどれが、音声、視覚、またはクロック信号のうちのどれを含むかについての上述の言及は単なる例示であり、設置業者および/または製造業者の要望に依存して、異なるグループが異なる機能を持ち得る。
【0032】
導体の第2のリング(105)も、電力ケーブル(100)に対して概して平行な導体を含んでいてもよく、または、第2のリング(105)の構成要素は、電力ケーブル(100)の周りで概して螺旋状に捩じれていてもよい。第2のリング(105)も、Al−マイラーテープ(111)、およびシールド材(107)と同様の構造であり得るシールド材(113)によって概して包囲されている。次に、通常、絶縁性被覆材(115)がその上に配置されてケーブルを保護し、電気的絶縁を提供し、かつその外部構造を形成する。
【0033】
提供された図面から明らかであるように、ケーブル(100)は、伝統的に図1に示すようなHDMIケーブルの設計であったような、ツイストペアとして構成され、外側被覆材(115)の内部に独立した被覆材を有して設けられた導体またはコアを含んでいない。代わりに、4個のツイストペアは、外側リングにおける2つの概して平行な導体の4つのグループによって置き換えられ、それらのグループは接地によって分離されている。
【0034】
ツイストペアの代わりに導体の2つのリング(103)および(105)を使用することは、伝統的なHDMIケーブル構成に対し、多数の利点を提供する。特に、この構成は、ケーブル(100)が、受入れ可能なHDMIケーブルとして機能することができるよう、すなわちHDMI規格の要件を満たすことができるよう、漏話および他の干渉の十分な排除を提供可能である。第二に、ケーブル(100)は通常、はるかにより小さい設計を可能にする。まず第1に、コア(1〜17)は、HDMIケーブルで伝統的に使用されていたものよりも小さい直径を有することができ、それにより、ケーブル(100)は、伝統的に構成された設計よりも小さくなることができる。また、ツイストペアが排除され、同軸構成が効果的に使用されるため、内部被覆材が排除され、結果として生じるケーブル(100)はより小さくなる。なぜなら、被覆材料が含まれる必要がないためである。捩じる作用から生じる失われた空間も、存在しない。
【0035】
図3および図4は、上述の実施例と概して同じ2リング構成を利用するものの、若干変更された内部構成および構成要素を利用する、マルチメディアケーブルの代替的な設計を提供する。これらの設計はすべて例示的であり、他の設計も当業者には明らかであろう。
【0036】
図3は、図2の実施例と同じ数の構成要素を各リングに有する設計を提供する。しかしながら、この実施例では、特定の接地(ドレイン)導体はなく、内側(103)および外側リング(105)全体が、被覆された導体またはコア(1〜21)から形成されている。これは能力の増加を提供可能であり、シールド材(特にAl−マイラーテープ)の一部の排除を可能にする。なぜなら、ケーブルを形成する各コアが個々の被覆材を含むためである。しかしながら、この設計は漏話の増加を可能にし、通常、図2の実施例ほど好ましくない。
【0037】
図4は、HDMIバージョン1.4機能用の特定の使用の設計を提供する。HDMIバージョン1.4では、ケーブル(400)に追加された付加的機能性がある。これは、イーサネット(登録商標)および音声リターン機能(HEAC)を含む。この付加的機能性に対処するために、ケーブル(400)は、外側リング(105)に追加の2個のコア(401)および(402)と接地(403)とを含み、それらは、追加の信号を搬送する追加のツイストペアおよび関連付けられた接地として作用する。この構成の一部として、図2の「余分のコア」のうちの2個が内側リング(103)で除去され、そのリングをより小さくする。これは、ケーブル(400)の全径を実質的に増加させることなく、より大きい外側リング(105)を収容することを可能にし、また、内側リング(103)のサイズの減少により、非同心リングを作製する必要なく、外側リング(105)のサイズの増加に対処できることを提供可能である。
【0038】
図2Bから明らかなように、データを供給するコアの各「ペア」(301)、(303)、(305)および(307)が隣接するペアから接地によって分離されることが概して好ましく、これは図4の設計でも同じである。2個の隣接する接地のうちの一方は、そのペア用の接地として使用され、一方、他方は、隣の隣接ペア用の接地として使用される。
【0039】
現在好ましい実施例であると考えられているものを含むいくつかの実施例の説明とともに、この発明を開示してきたが、詳細な説明は例示的であるよう意図されており、この開示の範囲を制限すると理解されるべきではない。当業者には理解されるように、ここに詳細に説明したもの以外の実施例は、この発明に包含されている。説明された実施例の修正および変更は、この発明の精神および範囲を逸脱することなく行なわれてもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央ケーブルコアと、
前記中央ケーブルコアの周りに同心円状に配置された第1の複数のケーブルコアから形成された第1のリングと、
ケーブルコアにおける同心の前記第1のリングの周りに配置された第2の複数のケーブルコアから形成された第2のリングとを含み、
前記中央ケーブルコア、前記第1の複数のケーブルコア、および前記第2の複数のケーブルコアは、全部で少なくとも19個のケーブルコアを含み、
前記第1の複数のケーブルコアは互いに概して平行に配置され、
前記第2の複数のケーブルコアは互いに概して平行に配置されている、マルチメディアケーブル。
【請求項2】
前記ケーブルは、HDMI規格バージョン1.3に従って信号を搬送するのに好適である、請求項1に記載のマルチメディアケーブル。
【請求項3】
前記ケーブルは、HDMI規格バージョン1.4に従って信号を搬送するのに好適である、請求項1に記載のマルチメディアケーブル。
【請求項4】
前記少なくとも19個のケーブルコアは、少なくとも14個の個々にシールドされたケーブルコアと、少なくとも5個のシールドされていないケーブルコアとを含む、請求項1に記載のマルチメディアケーブル。
【請求項5】
前記第1の複数のケーブルコアは1個のシールドされていないケーブルコアを含み、前記第2の複数のケーブルコアは4個のシールドされていないケーブルコアを含む、請求項4に記載のマルチメディアケーブル。
【請求項6】
前記少なくとも19個のケーブルコアは、ちょうど19個のケーブルコアを含む、請求項4に記載のマルチメディアケーブル。
【請求項7】
前記少なくとも19個のケーブルコアは、少なくとも22個のケーブルコアを含む、請求項1に記載のマルチメディアケーブル。
【請求項8】
前記少なくとも22個のケーブルコアは、少なくとも17個の個々にシールドされたケーブルコアと、少なくとも5個のシールドされていないケーブルコアとを含む、請求項7に記載のマルチメディアケーブル。
【請求項9】
前記少なくとも22個のケーブルコアは、少なくとも17個の個々にシールドされたケーブルコアと、少なくとも5個のシールドされていないケーブルコアとを含む、請求項8に記載のマルチメディアケーブル。
【請求項10】
前記少なくとも22個のケーブルコアは、ちょうど17個の個々にシールドされたケーブルコアと、ちょうど5個のシールドされていないケーブルコアとを含む、請求項8に記載のマルチメディアケーブル。
【請求項11】
前記個々にシールドされたケーブルコアのうちの8個と前記シールドされていないケーブルコアのうちの1個とが前記第1の複数のケーブルコアを形成し、前記シールドされたケーブルコアのうちの8個と前記シールドされていないケーブルコアのうちの4個とが前記第2の複数のケーブルコアを形成する、請求項10に記載のマルチメディアケーブル。
【請求項12】
前記第2の複数のケーブルコアは繰返しパターンの組を形成し、各組は、1個のシールドされていないケーブルコアと2個の個々にシールドされたケーブルコアとから形成されている、請求項11に記載のマルチメディアケーブル。
【請求項13】
前記第1の複数のケーブルコアは少なくとも8個のケーブルコアを含み、前記第2の複数のケーブルコアは少なくとも15個のケーブルコアを含む、請求項7に記載のマルチメディアケーブル。
【請求項14】
前記第1の複数のケーブルコアは少なくとも7個の個々にシールドされたケーブルコアを含み、前記第2の複数のケーブルコアは少なくとも10個の個々にシールドされたケーブルコアを含む、請求項13に記載のマルチメディアケーブル。
【請求項15】
前記第1のリングと前記第2のリングとの間に配置されたシールド材をさらに含む、請求項1に記載のマルチメディアケーブル。
【請求項16】
前記第1のリングと前記第2のリングとの間に配置されたAl−マイラーテープをさらに含む、請求項15に記載のマルチメディアケーブル。
【請求項17】
前記第2のリングを包囲するシールド材をさらに含む、請求項16に記載のマルチメディアケーブル。
【請求項18】
前記第2のリングを包囲するAl−マイラーテープをさらに含む、請求項17に記載のマルチメディアケーブル。
【請求項19】
前記第2のリングを包囲する前記シールド材を包囲する絶縁性被覆材を含む、請求項17に記載のマルチメディアケーブル。
【請求項20】
中央ケーブルコアと、
前記中央ケーブルコアの周りに配置された8個の個々にシールドされたケーブルコアと1個のシールドされていないケーブルコアとから形成された第1の同心リングと、
前記第1の同心リングを包囲する第1のシールド材と、
前記第1の同心リングの周りに配置された8個の個々にシールドされたケーブルコアと4個のシールドされていないケーブルコアとから形成された第2の同心リングと、
前記第2の同心リングを包囲する第2のシールド材と、
前記第2のシールド材を包囲する絶縁性被覆材とを含み、
前記第1の同心リングを形成する前記ケーブルコアは互いに概して平行に配置され、
前記第2の同心リングを形成する前記ケーブルコアは互いに概して平行に配置されている、マルチメディアケーブル。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2013−516743(P2013−516743A)
【公表日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−548099(P2012−548099)
【出願日】平成23年1月5日(2011.1.5)
【国際出願番号】PCT/US2011/020251
【国際公開番号】WO2011/085021
【国際公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(512176679)ベルデン・インコーポレイテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】BELDEN INC.
【Fターム(参考)】