マルチリブドプーリ及びシステム
ベルトが張力負荷を受けるときベルト形状と協調するプーリリブ(101)及び溝(102)形状構成を有するマルチリブドプーリ並びにプーリ及びベルトシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチリブドプーリ並びにプーリ及びベルトシステムに関し、より適切には、ベルトが張力負荷を受けるときベルト形状と協調するプーリリブ及び溝形状構成を有するマルチリブドプーリ並びにプーリ及びベルトシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
Vベルトドライブの適切な動作は、ベルトを対となるプーリの溝に置くこと、及びベルトに張力を加えることを必要とする。
【0003】
多くのVベルトドライブは、相対的に少量なベルトの伸びを有しながら動作する。しかしながら、張力がシステムに加えられたとき、ベルトは長手方向に伸ばされる。Vベルトの伸びが増加すると、ベルトの幅及び厚さが減少する。ベルトの外側端は、ベルトの中央部よりも、幅における変化をより多く経験する。マルチストランドベルトの場合、外側ストランドは、中央ストランドとは異なる幅方向寸法を有する。全てのプーリの溝は同じ寸法かつ等間隔であるため、それらは、張力を受けるベルトの形状及び間隔と一致しない。
【0004】
プーリとベルトとの間の形状におけるこの不一致は、騒音をもたらし、ベルトの摩耗を加速し、ベルトの耐久力を減少させる。
【0005】
この技術を示すものは、無端動力伝達ベルト構造と、回転可能なプーリとを開示し、これにより、ベルト構造及びプーリの組合せと、同じものを製造する方法とが提供され、ベルト構造は、対向側方端を有し、そして回転可能なプーリの外側周辺リブ付き面と噛み合うため等間隔に離間して複数の長手方向に並べられる突起及び溝の同等物を規定する内側面を有し、ベルト構造の各突起は、突起の頂点に対する突起の対向面上にあるベルト構造の溝の各頂点から収束する2つの略直線側方端により規定される略V形状の幅方向断面構成を有し、ベルト構造の各突起の側面は、角度が約40°である類似のベルト構造の厚さと実質的に同じであるベルト構造の厚さと共に、そして類似のベルト構造における同様の距離よりも長い突起の対向面上にあるベルト構造の溝の中心の線どうしの距離と共に、その間の約60°の角度を規定する、ホワイト(1991)らに付与された米国特許第4,981,462号明細書である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
要求されるものは、ベルトが張力負荷を受けるときベルト形状と協調するプーリリブ及び溝形状構成を有するマルチリブドプーリ及びプーリ/ベルトシステムである。本発明はこの要求に合致する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願発明の第1の特徴は、ベルトが張力負荷を受けるときベルト形状と協調するプーリリブ及び溝形状構成を有するマルチリブドプーリ及びプーリ/ベルトシステムを提供することである。
【0008】
本願発明の他の側面は、本発明に関する以下の詳細な説明及び図面により指摘され、あるいは明らかにされる。
【0009】
本発明は、ベルトが張力負荷を受けるときベルト形状と協調するプーリリブ及び溝形状構成を有するマルチリブドプーリ並びにプーリ及びベルトシステムを備える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
この明細書に含まれ、そして一部を形成する付随する図面は、本発明の好ましい実施形態を表し、この明細書と共に本発明の原理を説明するために役立つ。
【0011】
本発明は、ベルトが動作張力(張力負荷)にさらされるときベルト形状を補完するように構成されるリブ及び溝構成を有するマルチリブドプーリ、並びにプーリ及びベルトシステムの組合せを備えるシステムを備える。
【0012】
図1はベルト及びプーリの断面図である。ベルト100はリブ101及び溝102を備える。リブ101は、ベルト100上で長手方向に走る。張力心線103もまた、ベルトの長手方向に走る。ベルト100もまた、Vリブド、マルチリブド、又はマルチプルリブドベルトとして参照される。
【0013】
プーリ100は、リブ201及び溝204を有するベルト受け面を備える。ベルト100のリブ101は、プーリ200の溝202と係合する。プーリ200のリブ201は、ベルト100の溝102と係合する。ウェブ300は、ハブ301にベルト受け面を接続する。ハブ301は、シャフト(図示しない)にプーリを接続するために用いられる。
【0014】
ベルトは、従来公知の材料及び手段を用いて構成される。ベルトは、ポリブタジエン、EPDM、HNBR、SBR、ポリクロロプレン、天然ゴム、及びイソブタンイソプレンゴム、又はこれらの複数の組合せを含むポリマ材料を備える。張力心線は、アラミド、ポリエステル、グラスファイバ、ナイロン、ポリオレフィン、PBO、PEN、カーボン、金属ワイヤ/ケーブル、綿及びレーヨン、又はこれらの複数の組合せを備える。
【0015】
そのようなベルトは、自動車のエンジンの補機ベルト駆動システムに典型的に用いられるが、それらは、ポンプ、コンプレッサ及びエンジン、すなわちベルトによる動力伝達が望まれる任意の装置のために力を伝達することを含む様々な工業用アプリケーションにおいて用いられてもよい。図1に示されるベルトは、最小又は無張力負荷を受け、そして幅W1を有する。
【0016】
図2は、プーリと係合する張力負荷を受けるベルトの断面図である。この図2において、ベルト100は、運転状況において通常経験されるような張力負荷を受ける。張力負荷に従い、最も外側のリブ101、104がベルト100の中心線CLに向けてわずかに引き寄せられ、すなわちベルトがわずかに引き延ばされ、それによる張力負荷のためやや狭くなる。ベルトは、幅W1よりも短い動作幅W2を有する。幅が狭くなったベルトの形状は、プーリの外形に重ね合わせられて示される。
【0017】
プーリにおけるベルトの最適な噛み合いは、効果が最も顕著である外側リブ101及び104と溝202、204との関係に特に関連して、負荷を受けるベルトの幅が狭くなることによって不利な影響を受ける。
【0018】
本発明は、ベルトが動作するとき及び負荷を受けるとき、全てのプーリと適切な噛み合いを達成するように、ベルトの幅を狭くすることを可能にするような寸法でプーリを構成する。改善された噛み合いがベルトの耐用年数を増加する一方で、ベルトリブのプーリ溝との不適切な係合により騒音を引き起こす傾向を減少する。本発明によるプーリは、プーリ中心線CLから溝までの距離の関数により減少する近接する溝との間隔を有する溝を備える。
【0019】
本発明によるプーリの概略断面図である図3を参照すると、プーリ中心線CLから外側(すなわち回転軸A−Aに対して平行)方向における本発明によるプーリに対するリブの間隔は、式1を用いて算出される。
【0020】
本発明によるプーリでは、ベルト受け面が複数のプーリリブ及びプーリ溝を有する。近接するプーリリブどうしの間のプーリリブ間隔は、各プーリリブの距離(D)がプーリ中心線(CL)から増加するにつれて、減少する。さらに、プーリ溝角度は、各プーリ溝の距離(D2)がプーリ中心線(CL)から増加するにつれて、減少する。
【0021】
式1−プーリリブ間隔
【0022】
注記:これらの式において、リブは、プーリの中心線から開始しプーリの外側端に向けて番号が付けられ、中心線CLに対し対称である。全ての溝の数が偶数であるプーリでは、プーリの中心線CLリブに(またがって)隣接する2つの「第1番」溝が存在する。複数の溝を有するプーリにおいて、隣り合う「第1番」溝どうしの間にあるリブのプーリリブ角度は、「第1番」溝角度に等しい。全ての溝の数が奇数であるプーリでは、「第1番」溝が1つだけ存在し、それはプーリの中心線CLに中心を置く。
【0023】
図3に示されるように、リブ間隔及びリブ角度は、中央リブから外側に向けて配置された各リブに対し減少する。図3は10の溝と9つのリブのベルトを示す。これは、単なる例示であって、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。本発明によるプーリは、同等の成功と共に、3以上のリブを有するベルトに対して用いられても良い。
【0024】
さらに、本発明によるプーリは、ベルトが張力負荷を受けるとき、リブ角度の歪曲を補償する。ベルトリブは、負荷を受けベルト長手方向中心線に向けてわずかに内側へ引き寄せられるため、プーリの中心線からそれらが偏倚するにつれて、プーリ溝の角度が次第に減少する。
【0025】
改良されたプーリのプーリ溝の角度は、式2から算出される。
式2−プーリ溝角度
【0026】
例1:プーリの寸法は、表1において算出され、0.0625”(1.59mm)の標準ボール直径(dB)を用いて、10%の伸びとなる張力負荷で動作する、40°の公称ベルトリブ角度(θ)、0.092”(2.34mm)の公称ベルトリブ間隔(S9)を有するマルチリブドベルト、10個のリブと係合するため図3に示される。改善されたベルト/プーリ組み合わせ溝及びリブ関係が図4に示される。
【0027】
表1−プーリ溝寸法
【0028】
例2:プーリの寸法は、表2において算出され、0.0625”(1.59mm)の標準ボール直径(dB)を用いて、10%の伸びとなる張力負荷で動作する、40°の公称ベルトリブ角度(θ)、0.092”(2.34mm)の公称ベルトリブ間隔(S9)を有するマルチリブドベルト、9個のリブと係合するため図5に示される。%stretchは、ベルト負荷により引き起こされる全長における増加を示す。
【0029】
表2−プーリ溝寸法−例
【0030】
図6は、本発明によるプーリと係合する張力負荷ベルトの断面図である。リブ及び溝の間隔は、ベルトの全幅に渡りベルトとプーリとの間の適切な接触を確実にする。
【0031】
標準プーリに設けられたとき、ベルトの外側部分は、ベルト中央よりも高い動作張力下にある。この一様でない負荷は、均一に負荷が掛けられたベルトと比較したとき、力を伝達するベルトの能力を減少する。それゆえ、本発明によるプーリの効率をさらに拡張するため、ベルト心線の負荷がベルト部分全体の幅に渡り一致するように、プーリの形状がわずかに曲げられる。複数のリブの頂点(A)の位置により決定されるプーリ形状の曲率は、楕円によって定義される。図7参照。プーリ溝間隔及びプーリ溝角度は、式1及び2により、それぞれ決定される。図7を参照すると、楕円の寸法及び方向は以下のように説明される。
長直径=1.5×ベルトの公称幅
短直径=2×公称リブ間隔
長直径方向:長直径方向は回転軸(A−A)とほぼ平行であり、頂点(A)の曲率はプーリ軸(A−A)方向に対して略凹形である。
【0032】
例えば、提案されるプーリと共に用いられる典型的なベルトに関するベルト特性は、表1に示されるそれらに近似する長手方向伸縮特性、及び実用張力範囲、すなわち約8%変形(伸び)における1530lbs/rib(6800N/rib)の公称係数を有する。公称幅はリブの数により決定される。すなわち、
公称ベルト幅=ベルトリブの数×2.34mm
【0033】
グラフ1−代表的な複合リブに関する長手方向伸縮特性
【0034】
図8は、本発明による湾曲プーリ形状の概略断面図である。例として示されるベルトは、23.4mmの公称幅を有する。前述の式を用いると、長直径=23.4mm×1.5=35.1mmである。短直径=2×公称プーリリブ間隔=2×0.092”(2.34mm)=4.68mmである。前述のベルト及び式は単なる例示としてのみ提供され、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【0035】
ベルトの湾曲は、プーリリブの湾曲形状と実質上協調する。図8は、図7に示されるプーリ頂部の円弧形状を示す。このプーリ形状は、ベルトがプーリと完全に接触することを保証し、これにより、ベルトとプーリとの間の動力伝達を最大化する。図8において示されるプーリは、図7において説明されるようなプーリの湾曲に対する楕円関係のみならず、図3において説明されるようなリブ間隔を備える。
【0036】
図9は、従来技術によるプーリの形状と本発明によるプーリの形状とを比較する断面図である。本発明による組合せと比較したベルトとプーリとの間の従来技術による係合における特筆すべき相違点は、明瞭に明らかである。
【0037】
ここに本発明の複数の実施形態が説明されたが、記載された発明の範囲と精神から逸脱することなく、変形が各部の関係と構造に施されることは、当業者にとって自明である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】ベルト及びプーリの断面図である。
【図2】プーリと係合する張力負荷を受けるベルトの断面図である。
【図3】プーリ溝の概略断面図である。
【図4】本発明によるプーリと係合する張力負荷ベルトの断面図である。
【図5】プーリ溝の概略断面図である。
【図6】本発明によるプーリと係合する張力負荷ベルトの断面図である。
【図7】本発明によるプーリリブ形状の概略断面図である。
【図8】本発明によるプーリと係合する張力負荷ベルトの断面図である。
【図9】従来技術によるプーリの形状と本発明によるプーリの形状とを比較する断面図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチリブドプーリ並びにプーリ及びベルトシステムに関し、より適切には、ベルトが張力負荷を受けるときベルト形状と協調するプーリリブ及び溝形状構成を有するマルチリブドプーリ並びにプーリ及びベルトシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
Vベルトドライブの適切な動作は、ベルトを対となるプーリの溝に置くこと、及びベルトに張力を加えることを必要とする。
【0003】
多くのVベルトドライブは、相対的に少量なベルトの伸びを有しながら動作する。しかしながら、張力がシステムに加えられたとき、ベルトは長手方向に伸ばされる。Vベルトの伸びが増加すると、ベルトの幅及び厚さが減少する。ベルトの外側端は、ベルトの中央部よりも、幅における変化をより多く経験する。マルチストランドベルトの場合、外側ストランドは、中央ストランドとは異なる幅方向寸法を有する。全てのプーリの溝は同じ寸法かつ等間隔であるため、それらは、張力を受けるベルトの形状及び間隔と一致しない。
【0004】
プーリとベルトとの間の形状におけるこの不一致は、騒音をもたらし、ベルトの摩耗を加速し、ベルトの耐久力を減少させる。
【0005】
この技術を示すものは、無端動力伝達ベルト構造と、回転可能なプーリとを開示し、これにより、ベルト構造及びプーリの組合せと、同じものを製造する方法とが提供され、ベルト構造は、対向側方端を有し、そして回転可能なプーリの外側周辺リブ付き面と噛み合うため等間隔に離間して複数の長手方向に並べられる突起及び溝の同等物を規定する内側面を有し、ベルト構造の各突起は、突起の頂点に対する突起の対向面上にあるベルト構造の溝の各頂点から収束する2つの略直線側方端により規定される略V形状の幅方向断面構成を有し、ベルト構造の各突起の側面は、角度が約40°である類似のベルト構造の厚さと実質的に同じであるベルト構造の厚さと共に、そして類似のベルト構造における同様の距離よりも長い突起の対向面上にあるベルト構造の溝の中心の線どうしの距離と共に、その間の約60°の角度を規定する、ホワイト(1991)らに付与された米国特許第4,981,462号明細書である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
要求されるものは、ベルトが張力負荷を受けるときベルト形状と協調するプーリリブ及び溝形状構成を有するマルチリブドプーリ及びプーリ/ベルトシステムである。本発明はこの要求に合致する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願発明の第1の特徴は、ベルトが張力負荷を受けるときベルト形状と協調するプーリリブ及び溝形状構成を有するマルチリブドプーリ及びプーリ/ベルトシステムを提供することである。
【0008】
本願発明の他の側面は、本発明に関する以下の詳細な説明及び図面により指摘され、あるいは明らかにされる。
【0009】
本発明は、ベルトが張力負荷を受けるときベルト形状と協調するプーリリブ及び溝形状構成を有するマルチリブドプーリ並びにプーリ及びベルトシステムを備える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
この明細書に含まれ、そして一部を形成する付随する図面は、本発明の好ましい実施形態を表し、この明細書と共に本発明の原理を説明するために役立つ。
【0011】
本発明は、ベルトが動作張力(張力負荷)にさらされるときベルト形状を補完するように構成されるリブ及び溝構成を有するマルチリブドプーリ、並びにプーリ及びベルトシステムの組合せを備えるシステムを備える。
【0012】
図1はベルト及びプーリの断面図である。ベルト100はリブ101及び溝102を備える。リブ101は、ベルト100上で長手方向に走る。張力心線103もまた、ベルトの長手方向に走る。ベルト100もまた、Vリブド、マルチリブド、又はマルチプルリブドベルトとして参照される。
【0013】
プーリ100は、リブ201及び溝204を有するベルト受け面を備える。ベルト100のリブ101は、プーリ200の溝202と係合する。プーリ200のリブ201は、ベルト100の溝102と係合する。ウェブ300は、ハブ301にベルト受け面を接続する。ハブ301は、シャフト(図示しない)にプーリを接続するために用いられる。
【0014】
ベルトは、従来公知の材料及び手段を用いて構成される。ベルトは、ポリブタジエン、EPDM、HNBR、SBR、ポリクロロプレン、天然ゴム、及びイソブタンイソプレンゴム、又はこれらの複数の組合せを含むポリマ材料を備える。張力心線は、アラミド、ポリエステル、グラスファイバ、ナイロン、ポリオレフィン、PBO、PEN、カーボン、金属ワイヤ/ケーブル、綿及びレーヨン、又はこれらの複数の組合せを備える。
【0015】
そのようなベルトは、自動車のエンジンの補機ベルト駆動システムに典型的に用いられるが、それらは、ポンプ、コンプレッサ及びエンジン、すなわちベルトによる動力伝達が望まれる任意の装置のために力を伝達することを含む様々な工業用アプリケーションにおいて用いられてもよい。図1に示されるベルトは、最小又は無張力負荷を受け、そして幅W1を有する。
【0016】
図2は、プーリと係合する張力負荷を受けるベルトの断面図である。この図2において、ベルト100は、運転状況において通常経験されるような張力負荷を受ける。張力負荷に従い、最も外側のリブ101、104がベルト100の中心線CLに向けてわずかに引き寄せられ、すなわちベルトがわずかに引き延ばされ、それによる張力負荷のためやや狭くなる。ベルトは、幅W1よりも短い動作幅W2を有する。幅が狭くなったベルトの形状は、プーリの外形に重ね合わせられて示される。
【0017】
プーリにおけるベルトの最適な噛み合いは、効果が最も顕著である外側リブ101及び104と溝202、204との関係に特に関連して、負荷を受けるベルトの幅が狭くなることによって不利な影響を受ける。
【0018】
本発明は、ベルトが動作するとき及び負荷を受けるとき、全てのプーリと適切な噛み合いを達成するように、ベルトの幅を狭くすることを可能にするような寸法でプーリを構成する。改善された噛み合いがベルトの耐用年数を増加する一方で、ベルトリブのプーリ溝との不適切な係合により騒音を引き起こす傾向を減少する。本発明によるプーリは、プーリ中心線CLから溝までの距離の関数により減少する近接する溝との間隔を有する溝を備える。
【0019】
本発明によるプーリの概略断面図である図3を参照すると、プーリ中心線CLから外側(すなわち回転軸A−Aに対して平行)方向における本発明によるプーリに対するリブの間隔は、式1を用いて算出される。
【0020】
本発明によるプーリでは、ベルト受け面が複数のプーリリブ及びプーリ溝を有する。近接するプーリリブどうしの間のプーリリブ間隔は、各プーリリブの距離(D)がプーリ中心線(CL)から増加するにつれて、減少する。さらに、プーリ溝角度は、各プーリ溝の距離(D2)がプーリ中心線(CL)から増加するにつれて、減少する。
【0021】
式1−プーリリブ間隔
【0022】
注記:これらの式において、リブは、プーリの中心線から開始しプーリの外側端に向けて番号が付けられ、中心線CLに対し対称である。全ての溝の数が偶数であるプーリでは、プーリの中心線CLリブに(またがって)隣接する2つの「第1番」溝が存在する。複数の溝を有するプーリにおいて、隣り合う「第1番」溝どうしの間にあるリブのプーリリブ角度は、「第1番」溝角度に等しい。全ての溝の数が奇数であるプーリでは、「第1番」溝が1つだけ存在し、それはプーリの中心線CLに中心を置く。
【0023】
図3に示されるように、リブ間隔及びリブ角度は、中央リブから外側に向けて配置された各リブに対し減少する。図3は10の溝と9つのリブのベルトを示す。これは、単なる例示であって、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。本発明によるプーリは、同等の成功と共に、3以上のリブを有するベルトに対して用いられても良い。
【0024】
さらに、本発明によるプーリは、ベルトが張力負荷を受けるとき、リブ角度の歪曲を補償する。ベルトリブは、負荷を受けベルト長手方向中心線に向けてわずかに内側へ引き寄せられるため、プーリの中心線からそれらが偏倚するにつれて、プーリ溝の角度が次第に減少する。
【0025】
改良されたプーリのプーリ溝の角度は、式2から算出される。
式2−プーリ溝角度
【0026】
例1:プーリの寸法は、表1において算出され、0.0625”(1.59mm)の標準ボール直径(dB)を用いて、10%の伸びとなる張力負荷で動作する、40°の公称ベルトリブ角度(θ)、0.092”(2.34mm)の公称ベルトリブ間隔(S9)を有するマルチリブドベルト、10個のリブと係合するため図3に示される。改善されたベルト/プーリ組み合わせ溝及びリブ関係が図4に示される。
【0027】
表1−プーリ溝寸法
【0028】
例2:プーリの寸法は、表2において算出され、0.0625”(1.59mm)の標準ボール直径(dB)を用いて、10%の伸びとなる張力負荷で動作する、40°の公称ベルトリブ角度(θ)、0.092”(2.34mm)の公称ベルトリブ間隔(S9)を有するマルチリブドベルト、9個のリブと係合するため図5に示される。%stretchは、ベルト負荷により引き起こされる全長における増加を示す。
【0029】
表2−プーリ溝寸法−例
【0030】
図6は、本発明によるプーリと係合する張力負荷ベルトの断面図である。リブ及び溝の間隔は、ベルトの全幅に渡りベルトとプーリとの間の適切な接触を確実にする。
【0031】
標準プーリに設けられたとき、ベルトの外側部分は、ベルト中央よりも高い動作張力下にある。この一様でない負荷は、均一に負荷が掛けられたベルトと比較したとき、力を伝達するベルトの能力を減少する。それゆえ、本発明によるプーリの効率をさらに拡張するため、ベルト心線の負荷がベルト部分全体の幅に渡り一致するように、プーリの形状がわずかに曲げられる。複数のリブの頂点(A)の位置により決定されるプーリ形状の曲率は、楕円によって定義される。図7参照。プーリ溝間隔及びプーリ溝角度は、式1及び2により、それぞれ決定される。図7を参照すると、楕円の寸法及び方向は以下のように説明される。
長直径=1.5×ベルトの公称幅
短直径=2×公称リブ間隔
長直径方向:長直径方向は回転軸(A−A)とほぼ平行であり、頂点(A)の曲率はプーリ軸(A−A)方向に対して略凹形である。
【0032】
例えば、提案されるプーリと共に用いられる典型的なベルトに関するベルト特性は、表1に示されるそれらに近似する長手方向伸縮特性、及び実用張力範囲、すなわち約8%変形(伸び)における1530lbs/rib(6800N/rib)の公称係数を有する。公称幅はリブの数により決定される。すなわち、
公称ベルト幅=ベルトリブの数×2.34mm
【0033】
グラフ1−代表的な複合リブに関する長手方向伸縮特性
【0034】
図8は、本発明による湾曲プーリ形状の概略断面図である。例として示されるベルトは、23.4mmの公称幅を有する。前述の式を用いると、長直径=23.4mm×1.5=35.1mmである。短直径=2×公称プーリリブ間隔=2×0.092”(2.34mm)=4.68mmである。前述のベルト及び式は単なる例示としてのみ提供され、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【0035】
ベルトの湾曲は、プーリリブの湾曲形状と実質上協調する。図8は、図7に示されるプーリ頂部の円弧形状を示す。このプーリ形状は、ベルトがプーリと完全に接触することを保証し、これにより、ベルトとプーリとの間の動力伝達を最大化する。図8において示されるプーリは、図7において説明されるようなプーリの湾曲に対する楕円関係のみならず、図3において説明されるようなリブ間隔を備える。
【0036】
図9は、従来技術によるプーリの形状と本発明によるプーリの形状とを比較する断面図である。本発明による組合せと比較したベルトとプーリとの間の従来技術による係合における特筆すべき相違点は、明瞭に明らかである。
【0037】
ここに本発明の複数の実施形態が説明されたが、記載された発明の範囲と精神から逸脱することなく、変形が各部の関係と構造に施されることは、当業者にとって自明である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】ベルト及びプーリの断面図である。
【図2】プーリと係合する張力負荷を受けるベルトの断面図である。
【図3】プーリ溝の概略断面図である。
【図4】本発明によるプーリと係合する張力負荷ベルトの断面図である。
【図5】プーリ溝の概略断面図である。
【図6】本発明によるプーリと係合する張力負荷ベルトの断面図である。
【図7】本発明によるプーリリブ形状の概略断面図である。
【図8】本発明によるプーリと係合する張力負荷ベルトの断面図である。
【図9】従来技術によるプーリの形状と本発明によるプーリの形状とを比較する断面図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチリブドベルトと、
ベルト受け面に接続されるハブを備えるプーリとを備え、
前記ベルト受け面はプーリリブとプーリ溝とを有し、
プーリ中心線(CL)に対する前記プーリリブの前記間隔が、以下の式に従って決定され、
各プーリ溝の前記角度は、以下の式に従って決定される
マルチリブドプーリ及びベルトシステム。
【請求項2】
長直径=約1.5×ベルト公称幅
短直径=約2×公称プーリリブ間隔
により表される楕円を実質的に描くプーリリブの頂点に関する湾曲をさらに備え、
前記長直径の方向は、プーリの回転軸(A−A)と略平行であり、その湾曲がプーリ軸(CL)上に実質的に中心を置く
請求項1に記載のマルチリブドプーリ及びベルトシステム。
【請求項3】
複数のプーリリブ及びプーリ溝を有するベルト受け面と、
プーリ中心線(CL)から距離(D)が漸次増加するにつれて漸次減少する隣接するプーリリブとの間のプーリリブ間隔と、
プーリ中心線(CL)から距離(D2)が漸次増加するにつれて漸次減少するプーリ溝角度と
を備えるマルチリブドプーリ。
【請求項4】
長直径=約1.5×ベルト公称幅
短直径=約2×公称プーリリブ間隔
を備える楕円を実質的に描くプーリリブの頂点に関する湾曲をさらに備え、
前記長直径の方向がプーリの回転軸(A−A)と略平行であり、前記頂点の湾曲が前記回転軸(A−A)の方向において実質的に凹形状である
請求項3に記載のマルチリブドプーリ。
【請求項5】
複数のプーリリブ及びプーリ溝を有するベルト受け面と、
プーリ中心線(CL)から距離(D)が漸次増加するにつれて漸次減少する隣接するプーリリブとの間のプーリリブ間隔と
を備えるマルチリブドプーリ。
【請求項6】
プーリ中心線(CL)から距離(D2)が漸次増加するにつれて漸次減少するプーリ溝角度
をさらに備える請求項5に記載のマルチリブドプーリ。
【請求項7】
プーリ中心線(CL)からの方向における前記プーリリブの前記間隔が以下の式により決定される
請求項5に記載のマルチリブドプーリ。
【請求項8】
各プーリ溝の前記角度が以下の式により決定される
請求項5に記載のマルチリブドプーリ。
【請求項1】
マルチリブドベルトと、
ベルト受け面に接続されるハブを備えるプーリとを備え、
前記ベルト受け面はプーリリブとプーリ溝とを有し、
プーリ中心線(CL)に対する前記プーリリブの前記間隔が、以下の式に従って決定され、
各プーリ溝の前記角度は、以下の式に従って決定される
マルチリブドプーリ及びベルトシステム。
【請求項2】
長直径=約1.5×ベルト公称幅
短直径=約2×公称プーリリブ間隔
により表される楕円を実質的に描くプーリリブの頂点に関する湾曲をさらに備え、
前記長直径の方向は、プーリの回転軸(A−A)と略平行であり、その湾曲がプーリ軸(CL)上に実質的に中心を置く
請求項1に記載のマルチリブドプーリ及びベルトシステム。
【請求項3】
複数のプーリリブ及びプーリ溝を有するベルト受け面と、
プーリ中心線(CL)から距離(D)が漸次増加するにつれて漸次減少する隣接するプーリリブとの間のプーリリブ間隔と、
プーリ中心線(CL)から距離(D2)が漸次増加するにつれて漸次減少するプーリ溝角度と
を備えるマルチリブドプーリ。
【請求項4】
長直径=約1.5×ベルト公称幅
短直径=約2×公称プーリリブ間隔
を備える楕円を実質的に描くプーリリブの頂点に関する湾曲をさらに備え、
前記長直径の方向がプーリの回転軸(A−A)と略平行であり、前記頂点の湾曲が前記回転軸(A−A)の方向において実質的に凹形状である
請求項3に記載のマルチリブドプーリ。
【請求項5】
複数のプーリリブ及びプーリ溝を有するベルト受け面と、
プーリ中心線(CL)から距離(D)が漸次増加するにつれて漸次減少する隣接するプーリリブとの間のプーリリブ間隔と
を備えるマルチリブドプーリ。
【請求項6】
プーリ中心線(CL)から距離(D2)が漸次増加するにつれて漸次減少するプーリ溝角度
をさらに備える請求項5に記載のマルチリブドプーリ。
【請求項7】
プーリ中心線(CL)からの方向における前記プーリリブの前記間隔が以下の式により決定される
請求項5に記載のマルチリブドプーリ。
【請求項8】
各プーリ溝の前記角度が以下の式により決定される
請求項5に記載のマルチリブドプーリ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公表番号】特表2009−507201(P2009−507201A)
【公表日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−530151(P2008−530151)
【出願日】平成18年9月6日(2006.9.6)
【国際出願番号】PCT/US2006/034642
【国際公開番号】WO2007/030490
【国際公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【出願人】(504005091)ザ ゲイツ コーポレイション (103)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年9月6日(2006.9.6)
【国際出願番号】PCT/US2006/034642
【国際公開番号】WO2007/030490
【国際公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【出願人】(504005091)ザ ゲイツ コーポレイション (103)
【Fターム(参考)】
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