説明

マルチリーフコリメータおよび放射線治療装置組立方法

【課題】設置されるスペースの省スペース化。
【解決手段】被検体の放射線が照射される照射野の形状を変更するために放射線を遮蔽するリーフ62と、移動可能にリーフ62を支持するガイド71〜78、71’〜78’と、リーフ62に形成されるラック97に噛み合うピニオン96を回転させる駆動装置64とを備えている。このとき、マルチリーフコリメータ56は、リーフ62が移動する方向以外の側に、駆動装置64を配置することができる。この結果、マルチリーフコリメータ56は、リーフ62が移動する方向の長さをより小さくすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチリーフコリメータおよび放射線治療装置組立方法に関し、特に、放射線を被検体に照射するときの照射野の形状を変更するマルチリーフコリメータおよびそのマルチリーフコリメータを備える放射線治療装置を製造する放射線治療装置組立方法に関する。
【背景技術】
【0002】
患部(腫瘍)に治療用放射線を照射することにより患者を治療する放射線治療が知られている。その放射線治療は、治療効果が高いことが望まれ、その治療用放射線は、患部の細胞に照射される線量に比較して、正常な細胞に照射される線量がより小さいことが望まれている。
【0003】
複数のリーフを用いて放射線を遮蔽するマルチリーフコリメータが知られている。このようなマルチリーフコリメータは、その複数のリーフを所定の位置に配置することにより、その治療用放射線が患者に照射するときの照射野の形状を変更することができる。このようなマルチリーフコリメータによれば、正常な細胞に照射される線量をより小さくすることができる。そのマルチリーフコリメータは、照射位置制御が容易になるように、小型化、軽量化が望まれている。
【0004】
特開2002−224230号公報には、多数のリーフ板を用い高精度の照射野を形成するときの位置決め時間を短縮し、患者の肉体的・精神的負担の軽減を図れるマルチリーフコリメータが開示されている。そのマルチリーフコリメータは、複数のリーフ板をそれぞれ可動に配設したリーフ板駆動体を一方側及び他方側に備え、前記一方側のリーフ板駆動体の複数のリーフ板と前記他方側のリーフ板駆動体の複数のリーフ板とを対向させその間に放射線ビームの照射野を形成するマルチリーフコリメータにおいて、各リーフ板駆動体は、前記複数のリーフ板に対し共通に設けた1つの駆動手段と、前記1つの駆動手段の駆動力を、前記複数のリーフ板に対し同時に伝達可能であるとともに各リーフ板で自在に遮断可能な駆動力伝達・遮断手段とを備えることを特徴とする。
【0005】
特表平11−512824号公報には、より迅速に調整することができ、全体的にみてより単純で、従って操作上メンテナンスをほとんど必要としない、より信頼性のあるデザインを有する、一般的な種類の輪郭コリメータが開示されている。その放射線治療用輪郭コリメータは、ガイドブロック内に設けられ、かつ互いに可動的に配置され、コリメータに向けて放射線源によって放射される放射線ビームに対して輪郭隔壁を形成する、多数の板状隔壁エレメント、及び隔壁エレメントを動かすための少なくとも1つの駆動装置を含み、駆動装置が各隔壁エレメントと接続され、隔壁エレメントの1群の駆動装置が実質的に他のものと隣接して配置され、駆動伝動装置が各駆動装置とその接続された隔壁エレメントとの間に配設されていることを特徴とする。
【0006】
特開2004−097646号公報には、放射線の照射治療中においても、リアルタイムに治療野の状態をモニタすることが可能な放射線治療装置が開示されている。その放射線治療装置は、被検体の治療野へ治療用放射線を照射する放射線照射ヘッドと、前記被検体の前記治療野に診断用X線を照射するX線源と、前記被検体を透過した前記診断用X線の透過X線を検出して、診断画像データとして出力するセンサアレイと、を具備し、前記センサアレイは、前記放射線照射ヘッドの移動に連動して動く。
【0007】
特許2892983号公報には、扇形断面にわたり放射線強度分布の高精度の制御を可能にすることにより処置における分解能および精度を向上させる放射線処理方法が開示されている。その方法は、照射処理装置であって、照射ソースをして、第一の平面内に二次元放射扇形ビームを放出せしめる段階と、前記扇形ビームの平面に垂直なラインにそって処理されるべき物体が可動であるように、前記扇形ビームによる照射により処理されるべき前記物体の位置を制御する段階と、ビームを成形し、かつ照射されるべき前記物体と前記照射ソースとの間のビーム強度を制御するための調節可能手段を介在させる段階と、前記物体に当たる扇形ビーム放射線が、予め選択された強度分布で前記物体の予め選択された体積を選択的に照射するように、前記ラインにそった前記物体の各位置に対して前記物体に当たる前記扇形ビームの部分に対する所望の形状および強度分布を計算する段階と、ビームを成形し、かつビーム強度を制御するための前記調節可能手段をして、成形され、変調されたビームを成形すべく、前記計算された所望のビーム形状に応答して調節せしめる段階と、前記照射ソースをして、放射せしめることにより、前記成形され、かつ調節されたビームにより前記平面内の前記物体を照射する段階と、から成る。
【0008】
特許2543373号公報には、本発明の一目的は、扇形断面にわたり放射線強度分布の高精度の制御を可能にすることにより処置における分解能および精度を向上させる放射線処理方法が開示されている。その装置は、放射線場を長方形限界に限定するため、ジョーフレーム内に取付けられたジョーを有する放射線治療機械内でコリメータとして機能する装置であって、放射線場を長方形限界内に限定し成形するためのリーフ手段であって、X線に対して不透明な複数のリーフを含むリーフ手段と、該リーフ手段をジョーフレームに取付けるための、リーフ支持フレーム組立体を含む取付け手段と、前記リーフ支持フレームに対する前記リーフ手段の移動、および前記ジョーフレームに対する前記リーフ支持フレームの移動をもたらす駆動手段と、から成る。
【0009】
【特許文献1】特開2002−224230号公報
【特許文献2】特表平11−512824号公報
【特許文献3】特開2004−097646号公報
【特許文献4】特許2892983号公報
【特許文献5】特許2543373号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の課題は、設置されるスペースを低減するマルチリーフコリメータを提供することにある。
本発明の他の課題は、より軽量であるマルチリーフコリメータを提供することにある。
本発明のさらに他の課題は、照射野の形状を変更するために放射線を遮蔽するリーフをより低駆動力で駆動するマルチリーフコリメータを提供することにある。
本発明のさらに他の課題は、照射野の形状を変更するために放射線を遮蔽するリーフを駆動させる駆動装置の位置の調整を容易にするマルチリーフコリメータを提供することにある。
本発明のさらに他の課題は、放射線治療装置の保守をより容易にする放射線治療装置組立方法を提供することにある。
本発明のさらに他の課題は、照射野の形状をより高精度に制御する放射線治療装置をより速く組立可能なる放射線治療装置組立方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
以下に、発明を実施するための最良の形態・実施例で使用される符号を括弧付きで用いて、課題を解決するための手段を記載する。この符号は、特許請求の範囲の記載と発明を実施するための最良の形態・実施例の記載との対応を明らかにするために付加されたものであり、特許請求の範囲に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
【0012】
本発明によるマルチリーフコリメータ(56)は、被検体の放射線が照射される照射野の形状を変更するために放射線を遮蔽するリーフ(62)と、移動可能にリーフ(62)を支持するガイド(71〜78、71’〜78’)と、リーフ(62)に形成されるラック(97)に噛み合うピニオン(96)を回転させる駆動装置(64)とを備えている。このとき、マルチリーフコリメータ(56)は、リーフ(62)が移動する方向以外の側に、駆動装置(64)を配置することができる。この結果、マルチリーフコリメータ(56)は、リーフ(62)が移動する方向の長さをより小さくすることができる。
【0013】
ラック(97)は、リーフ(62)に形成される切り欠き(83、84)の縁(85〜88)に形成される。このとき、リーフ(62)は、切り欠き(83、84)が形成されないものより軽く形成することができる。この結果、マルチリーフコリメータ(56)は、より軽くなり、好ましい。その切り欠き(83、84)は、リーフ(62)の縁(85〜88)に連続していても、リーフ(62)の縁(85〜88)に連続していなくてもよい。
【0014】
本発明によるマルチリーフコリメータ(56)は、照射野の形状を変更するために放射線を遮蔽する他のリーフ(62)を更に備えている。ガイド(71〜78、71’〜78’)は、更に、移動可能に他のリーフ(62)を支持し、駆動装置(64)は、他のリーフ(62)に近接する部分(94)に凹み(100)が形成される。このような駆動装置(64)は、他のリーフ(62)の移動を阻害しない点で好ましい。
【0015】
本発明によるマルチリーフコリメータ(56)は、ガイド(71〜78、71’〜78’)を支持するフレーム(61)と、位置調整可能にフレーム(61)に支持される複数のベース(63)とを更に備えている。リーフ(62)は、複数リーフ(62−1〜62−30、62−1’〜62−30’)から形成され、駆動装置(64)は、複数リーフ(62−1〜62−30、62−1’〜62−30’)をそれぞれ移動させる複数駆動装置(64−1〜64−30、64−1’〜64−30’)から形成され、複数のベース(63)の各々は、複数駆動装置(64−1〜64−30、64−1’〜64−30’)のうちの複数を支持する。駆動装置(64)のベース(63)に支持される部位とピニオン(96)の回転軸とが固定されているときに、ユーザは、ベース(63)の位置を調整して、ラック(97)とピニオン(96)の複数の対に関して同時に、ピニオン(96)の歯にラック(97)の歯をより確実に噛み合わせることができる。
【0016】
本発明によるマルチリーフコリメータ(56)は、ガイド(71〜78、71’〜78’)を支持するフレーム(61)を更に備えている。リーフ(62)は、複数リーフ(62−1〜62−30、62−1’〜62−30’)から形成され、駆動装置(64)は、複数リーフ(62−1〜62−30、62−1’〜62−30’)をそれぞれ移動させる複数駆動装置(64−1〜64−30、64−1’〜64−30’)から形成され、複数駆動装置(64−1〜64−30、64−1’〜64−30’)は、各々が位置調整可能にフレーム(61)に支持される。駆動装置(64)のベース(63)に支持される部位とピニオン(96)の回転軸とが固定されているときに、ユーザは、駆動装置(64)の位置を調整して、ラック(97)とピニオン(96)の対毎にピニオン(96)の歯にラック(97)の歯をより確実に噛み合わせることができる。
【0017】
本発明による放射線治療装置(3)は、本発明によるマルチリーフコリメータ(56)と、放射線を放射する照射装置(51〜55)とを備えている。
【0018】
本発明による放射線治療装置組立方法は、本発明によるマルチリーフコリメータ(56)を作製するステップ(S2)と、放射線を放射する放射線治療装置本体を作製するステップ(S1)と、放射線治療装置本体にマルチリーフコリメータ(56)を取り付けるステップ(S3)とを備えている。このような放射線治療装置組立方法によれば、マルチリーフコリメータ(56)は、より高精度に作製されることができ、放射線治療装置は、照射野の形状をより高精度に制御することができる。このような放射線治療装置組立方法は、さらに、容易であり、放射線治療装置をより速く製造することができる。
【0019】
本発明による放射線治療装置組立方法は、被検体に放射線を照射する放射線治療装置本体を作製するステップ(S1)と、放射線を遮蔽する複数のリーフ(62)を用いて被検体の放射線が照射される照射野の形状を変更するマルチリーフコリメータ(56)を作製するステップ(S2)と、放射線治療装置本体にマルチリーフコリメータ(56)を取り付けるステップ(S3)とを備えている。このような放射線治療装置組立方法によれば、マルチリーフコリメータ(56)は、より高精度に作製されることができ、放射線治療装置は、照射野の形状をより高精度に制御することができる。このような放射線治療装置組立方法は、さらに、容易であり、放射線治療装置をより速く製造することができる。
【0020】
本発明による放射線治療装置(3)は、放射線を放射する放射線治療装置本体と、被検体の放射線が照射される照射野の形状を変更するマルチリーフコリメータ(56)と、照射野の形状が一定になるように放射線を遮蔽するコリメータとを備えている。放射線治療装置本体は、マルチリーフコリメータ(56)またはコリメータの一方が取り付けられる取り付け部分を有している。
【0021】
本発明による放射線治療装置(3)は、放射線を放射する放射線治療装置本体と、被検体の前記放射線が照射される照射野の形状を変更するマルチリーフコリメータ(56)とを備えている。その放射線治療装置本体は、本体側嵌合部分が形成されている。マルチリーフコリメータ(56)は、コリメータ側嵌合部分が形成されている。このとき、その本体側嵌合部分とコリメータ側嵌合部分とは、その放射線治療装置本体にマルチリーフコリメータ(56)が取り付けられるときに、嵌合する。このような放射線治療装置(3)によれば、ユーザは、その放射線治療装置本体の所定の位置にマルチリーフコリメータ(56)をより容易に取り付けることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によるマルチリーフコリメータは、設置されるスペースを低減することができる。
本発明によるマルチリーフコリメータは、より軽量化することができる。
本発明によるマルチリーフコリメータは、照射野の形状を変更するために放射線を遮蔽するリーフをより低駆動力で駆動することができる。
本発明によるマルチリーフコリメータは、照射野の形状を変更するために放射線を遮蔽するリーフを駆動させる駆動装置の位置の調整を容易にすることができる。
本発明による放射線治療装置組立方法は、照射野の形状をより高精度に制御する放射線治療装置をより速く組立することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
図面を参照して、本発明による放射線治療装置の実施の形態を記載する。その放射線治療装置3は、図1に示されているように、放射線治療システム1に適用されている。その放射線治療システム1は、放射線治療装置制御装置2と放射線治療装置3とを備えている。放射線治療装置制御装置2は、パーソナルコンピュータに例示されるコンピュータである。放射線治療装置制御装置2は、双方向に情報を伝送することができるように放射線治療装置3に接続されている。
【0024】
図2は、放射線治療装置3を示している。放射線治療装置3は、旋回駆動装置11とOリング12と走行ガントリ14と治療用放射線照射装置16とを備えている。旋回駆動装置11は、回転軸17を中心に回転可能にOリング12を土台に支持し、放射線治療装置制御装置2により制御されて回転軸17を中心にOリング12を回転させる。回転軸17は、鉛直方向に平行である。Oリング12は、回転軸18を中心とするリング状に形成され、回転軸18を中心に回転可能に走行ガントリ14を支持している。回転軸18は、鉛直方向に垂直であり、回転軸17に含まれるアイソセンタ19を通る。回転軸18は、さらに、Oリング12に対して固定され、すなわち、Oリング12とともに回転軸17を中心に回転する。走行ガントリ14は、回転軸18を中心とするリング状に形成され、Oリング12のリングと同心円になるように配置されている。放射線治療装置3は、さらに、図示されていない走行駆動装置を備えている。その走行駆動装置は、放射線治療装置制御装置2により制御されて回転軸18を中心に走行ガントリ14を回転させる。
【0025】
治療用放射線照射装置16は、放射線治療装置制御装置2により制御されて、治療用放射線23を放射する。治療用放射線照射装置16は、治療用放射線23がアイソセンタ19を通るように、走行ガントリ14に支持されている。治療用放射線23は、このように治療用放射線照射装置16が走行ガントリ14に支持されることにより、旋回駆動装置11によりOリング12が回転し、または、その走行駆動装置により走行ガントリ14が回転しても、常に概ねアイソセンタ19を通る。即ち、走行・旋回を行うことで任意方向からアイソセンタ19に向けて治療用放射線23の照射が可能になる。
【0026】
放射線治療装置3は、さらに、複数のイメージャシステムを備えている。すなわち、放射線治療装置3は、診断用X線源24、25とセンサアレイ32、33とを備えている。診断用X線源24は、走行ガントリ14に支持されている。診断用X線源24は、走行ガントリ14のリングの内側に配置され、アイソセンタ19から診断用X線源24を結ぶ線分とアイソセンタ19から治療用放射線照射装置16を結ぶ線分とがなす角が鋭角になるような位置に配置されている。診断用X線源24は、放射線治療装置制御装置2により制御されてアイソセンタ19に向けて診断用X線35を放射する。診断用X線35は、診断用X線源24が有する1点から放射され、その1点を頂点とする円錐状のコーンビームである。診断用X線源25は、走行ガントリ14に支持されている。診断用X線源25は、走行ガントリ14のリングの内側に配置され、アイソセンタ19から診断用X線源25を結ぶ線分とアイソセンタ19から治療用放射線照射装置16を結ぶ線分とがなす角が鋭角になるような位置に配置されている。診断用X線源25は、放射線治療装置制御装置2により制御されてアイソセンタ19に向けて診断用X線36を放射する。診断用X線36は、診断用X線源25が有する1点から放射され、その1点を頂点とする円錐状のコーンビームである。
【0027】
センサアレイ32は、走行ガントリ14に支持されている。センサアレイ32は、診断用X線源24により放射されてアイソセンタ19の周辺の被写体を透過した診断用X線35を受光して、その被写体の透過画像を生成する。センサアレイ33は、走行ガントリ14に支持されている。センサアレイ33は、診断用X線源25により放射されてアイソセンタ19の周辺の被写体を透過した診断用X線36を受光して、その被写体の透過画像を生成する。センサアレイ32、33としては、FPD(Flat Panel Detector)、X線II(Image Intensifier)が例示される。
【0028】
このようなイメージャシステムによれば、センサアレイ32、33により得た画像信号に基づき、アイソセンタ19を中心とする透過画像を生成することができる。
【0029】
なお、診断用X線源24は、アイソセンタ19から診断用X線源24を結ぶ線分とアイソセンタ19から治療用放射線照射装置16を結ぶ線分とがなす角が鈍角になるような位置に配置されることもできる。すなわち、センサアレイ32は、アイソセンタ19からセンサアレイ32を結ぶ線分とアイソセンタ19から治療用放射線照射装置16を結ぶ線分とがなす角が鋭角になるような位置に配置される。診断用X線源25は、アイソセンタ19から診断用X線源25を結ぶ線分とアイソセンタ19から治療用放射線照射装置16を結ぶ線分とがなす角が鈍角になるような位置に配置されることもできる。すなわち、センサアレイ33は、アイソセンタ19からセンサアレイ33を結ぶ線分とアイソセンタ19から治療用放射線照射装置16を結ぶ線分とがなす角が鋭角になるような位置に配置される。このとき、センサアレイ32、33は、治療用放射線照射装置16から放射される治療用放射線23に照射されにくく、好ましい。
【0030】
放射線治療装置3は、さらに、カウチ41とカウチ駆動装置42とを備えている。カウチ41は、放射線治療システム1により治療される患者43が横臥することに利用される。カウチ41は、図示されていない固定具を備えている。その固定具は、その患者が動かないように、その患者をカウチ41に固定する。カウチ駆動装置42は、カウチ41を土台に支持し、放射線治療装置制御装置2により制御されてカウチ41を移動させる。
【0031】
図3は、治療用放射線照射装置16を示している。治療用放射線照射装置16は、電子ビーム加速装置51とX線ターゲット52と1次コリメータ53とフラットニングフィルタ54と2次コリメータ55とマルチリーフコリメータ56とを備えている。電子ビーム加速装置51は、電子を加速して生成される電子ビーム57をX線ターゲット52に照射する。X線ターゲット52は、高原子番号材(タングステン、タングステン合金等)から形成され、電子ビーム57が照射された際の制動放射により生成される放射線59を放出する。放射線59は、X線ターゲット52が内部に有する点である仮想的点線源58を通る直線に概ね沿って放射される。1次コリメータ53は、高原子番号材(鉛、タングステン等)から形成され、所望の部位以外に放射線59が照射されないように放射線59を遮蔽する。フラットニングフィルタ54は、アルミニウム等から形成され、概ね円錐形の突起が形成される板に形成されている。フラットニングフィルタ54は、前記突起部がX線ターゲット側に面するように配置される。フラットニングフィルタ形状は、本フラットニングフィルタを通過した後に、その放射方向に垂直である平面の所定領域における線量が概ね一様に分布するように形成される。2次コリメータ55は、高原子番号材(鉛、タングステン等)から形成され、放射線60が所望の部位以外に照射されないように放射線60を遮蔽する。このようにして形成された一様強度分布を持つ放射線60は、放射線治療装置制御装置2により制御を受けたマルチリーフコリメータ56により、一部が遮蔽されて、別途構築した治療計画に基づく性状である治療用放射線23を生成することになる。
【0032】
図4は、マルチリーフコリメータ56を示している。マルチリーフコリメータ56は、フレーム61と複数のリーフ62とベース63と駆動装置64とストッパ68とフランジ70とを備えている。フレーム61は、直方体状の筐体に形成されており、上下方向に対して貫通した開口部69を有している。フレーム61は、放射線59が開口部69を通過するように、医療用放射線照射装置16に対して配される。複数のリーフ62は、それぞれ、高原子番号材(タングステン、タングステン合金等)から形成され、概ね長方形の板に形成されている。複数のリーフ62は、それぞれ、フレーム61の内部に配置されている。ベース63は、フレーム61に対して脱着可能であり、フレーム61に対して移動可能な位置に固定を行い得る。駆動装置64は、複数のリーフ毎に用意されており、それぞれ、ベース63に支持されている。駆動装置64は、ユーザにより調整されて個々にベース63に対してその固定位置が調整可能である。駆動装置64は、放射線治療装置制御装置2により制御されて、それぞれ、リーフ62を任意の位置に移動することが可能である。ストッパ68は、それぞれ、フレーム61に同体に接合されている。フランジ70は、フレーム61の上面に同体に接合されている。フランジ70には、凹凸形状の嵌合部65が形成されている。治療用放射線照射装置16の本体部分(電子ビーム加速装置51とX線ターゲット52と1次コリメータ53とフラットニングフィルタ54と2次コリメータ55と)には、嵌合部65に嵌合する接続部(図示されていない)が形成されている。このような嵌合は、マルチリーフコリメータ56を治療用放射線照射装置16の本体部分の所定の位置に設置することを容易になる点で望ましい。フランジ70には、さらに、図示されていない複数の穴が形成されている。マルチリーフコリメータ56は、その複数の穴にボルトが通されて、治療用放射線照射装置16の他の部品(電子ビーム加速装置51とX線ターゲット52と1次コリメータ53とフラットニングフィルタ54と2次コリメータ55と)に同体に接合されている。なお、フランジ70は、さらに、ピンを備えることができる。このとき、治療用放射線照射装置16の本体部分には、その合いピンに嵌合する接続部が形成されている。このような嵌合は、嵌合部65と同様にして、マルチリーフコリメータ56を治療用放射線照射装置16の本体部分の所定の位置に設置することを容易になる点で望ましい。
【0033】
リーフ62は、図5に示されているように、リーフ62−1〜62−30、62−1’〜62−30’から形成されている。リーフ62−1〜62−30、62−1’〜61−30’は、それぞれ、概ね長方形状に形成され、前方縁79と後方縁80と上縁81と下縁82とを有している。リーフ62−1〜62−30とリーフ62−1’〜61−30’とは、前方縁79が向かい合うように配置されている。各リーフ62−i(i=1,2,3,…,30,1’,2’,3’,…,30’)は、切り欠き83、84が形成されている。切り欠き83、84は、リーフ62−iのうちの放射線60に照射されない中央の部分に形成されている。すなわち、切り欠き83、84の縁は、前方縁79と後方縁80と上縁81と下縁82とに繋がっていない。リーフ自身には、後述するように駆動系が接続される箇所を要するが、当該箇所で遮蔽機能を備える必要がない箇所は、当該切り欠きを設けることで当該リーフ自身の軽量化を図り得る。このため、当該リーフは、より低駆動力にて任意位置に設定することが可能になる。リーフ62−iは、切り欠き83が形成されている部分に第1縁85と第2縁86とを有している。リーフ62−iは、切り欠き84が形成されている部分に第3縁87と第4縁88とを有している。上縁81と下縁82と第1縁85と第2縁86と第3縁87と第4縁88とは、互いに平行である複数の直線に沿って配置されている。
【0034】
マルチリーフコリメータ56は、さらに、ガイド71〜78、71’〜78’を備えている。ガイド71〜74とガイド71’〜74’とは、アイソセンタ19と仮想的点線源58とを結ぶ直線を含む対称面90に対して対称に配置されている。ガイド71〜74、71’〜74’は、フレーム61の内部の上面側に配置され、フレーム61に支持されている。ガイド72は、ガイド71の近傍に配置されている。ガイド73は、ガイド72より対称面90から遠い位置に配置されている。ガイド74は、ガイド73の近傍に配置されている。ガイド72とガイド73との距離は、ガイド71とガイド72との距離またはガイド73とガイド74との距離に比較して十分に大きい。ガイド72’は、ガイド71’の近傍に配置されている。ガイド73’は、ガイド72’より対称面90から遠い位置に配置されている。ガイド74’は、ガイド73’の近傍に配置されている。ガイド72’とガイド73’との距離は、ガイド71’とガイド72’との距離またはガイド73’とガイド74’との距離に比較して十分に大きい。ガイド75〜78、75’〜78’は、フレーム61の内部の下面側に配置され、フレーム61に支持されている。ガイド76は、ガイド75の近傍に配置されている。ガイド77は、ガイド76より対称面90から遠い位置に配置されている。ガイド78は、ガイド77の近傍に配置されている。ガイド76とガイド77との距離は、ガイド75とガイド76との距離またはガイド77とガイド78との距離に比較して十分に大きい。ガイド76’は、ガイド75’の近傍に配置されている。ガイド77’は、ガイド76’より対称面90から遠い位置に配置されている。ガイド78’は、ガイド77’の近傍に配置されている。ガイド76’とガイド77’との距離は、ガイド75’とガイド76’との距離またはガイド77’とガイド78’との距離に比較して十分に大きい。
【0035】
ガイド71〜78、71’〜78’は、それぞれ、転がり軸受に形成されている。その転がり軸受は、複数の外輪と内輪とを備えている。その内輪は、フレーム61に同体に接合され、その外輪は、対称面90に平行である回転軸を中心に回転可能にその内輪に支持されている。ガイド71〜78は、ガイド71〜74の外輪がリーフ62−1〜62−30の上縁81に接触し、ガイド75〜78の外輪がリーフ62−1〜62−30の下縁82に接触することにより、リーフ62−1〜62−30をそれぞれ案内面に沿うように支持している。ガイド71’〜78’は、ガイド71’〜74’の外輪がリーフ62−1’〜62−30’の上縁81に接触し、ガイド75’〜78’の外輪がリーフ62−1’〜62−30’の下縁82に接触することにより、リーフ62−1’〜62−30’をそれぞれ案内面に沿うように支持している。その案内面は、それぞれ、対称面90に垂直である平面であり、仮想的点線源58を通るように配置されている。リーフ62−k(k=1,2,3,…,30)が案内される案内面は、リーフ62−k’が案内される案内面に一致している。
【0036】
すなわち、ガイド71〜78は、転がり摩擦により、リーフ62−1〜62−30をそれぞれその案内面に沿って直線的に移動することができるように支持している。ガイド71’〜78’は、転がり摩擦により、リーフ62−1’〜62−30’をそれぞれその案内面に沿って直線的に移動することができるように支持している。このとき、ガイド71〜78は、リーフ62−1〜62−30、62−1’〜61−30’の前方縁79が対称面90に常時に平行になるように支持することができる。
【0037】
ストッパ68は、ストッパ68−1〜68−30、68−1’〜68−30’から形成されている。ストッパ68−iは、リーフ62−iの後方縁80に対向する壁面を形成している。ストッパ68−iの壁面は、リーフ62−i以外のリーフ62−j(j≠i)に接触しない位置に配置され、その壁面の位置は、ユーザにより他のストッパ68−jの壁面の位置に独立に調節されることできる。ストッパ68−iは、その壁面をリーフ62−iに衝突させて、所定の位置より対称面90から遠い側に移動しないように、リーフ62−iの可動域を制限している。ストッパ68−iは、フレーム61から落下することを防止することができると共に、リーフ62−iの移動位置の原点位置とし得る。
【0038】
リーフ62−iは、図6に示されているように、リーフ62−(i+1)に隣接している。リーフ62−iの上縁81は、添字iがプライム無しの奇数を示すときに、ガイド71の外輪の1つとガイド73の外輪の1つとに接触している。リーフ62−iの上縁81は、添字iがプライム無しの偶数を示すときに、ガイド72の外輪の1つとガイド74の外輪の1つとに接触している。リーフ62−iの下縁82は、添字iがプライム無しの奇数を示すときに、ガイド75の外輪の1つとガイド77の外輪の1つとに接触している。リーフ62−iの下縁82は、添字iがプライム無しの偶数を示すときに、ガイド76の外輪の1つとガイド78の外輪の1つとに接触している。リーフ62−iの上縁81は、添字iがプライム付きの奇数を示すときに、ガイド71’の外輪の1つとガイド73’の外輪の1つとに接触している。リーフ62−iの上縁81は、添字iがプライム付きの偶数を示すときに、ガイド72’の外輪の1つとガイド74’の外輪の1つとに接触している。リーフ62−iの下縁82は、添字iがプライム付きの奇数を示すときに、ガイド75’の外輪の1つとガイド77’の外輪の1つとに接触している。リーフ62−iの下縁82は、添字iがプライム付きの偶数を示すときに、ガイド76’の外輪の1つとガイド78’の外輪の1つとに接触している。このとき、隣接する2つのリーフ(リーフ62−iとリーフ62−(i+1)と)にそれぞれ接触する2つの外輪は、接触しないように配置することができ、このような外輪の配置は、リーフ62−iとリーフ62−(i+1)とをより近接して支持することに好適である。
【0039】
ベース63は、4つのベースから形成されている。その第1のベースは、フレーム61のリーフ62−1に近接する部位に配置されている。その第2のベースは、フレーム61のリーフ62−30に近接する部位に配置されている。その第3のベースは、フレーム61のリーフ62−1’に近接する部位に配置されている。その第4のベースは、フレーム61のリーフ62−30’に近接する部位に配置されている。駆動装置64は、複数の駆動装置64−1〜64−30、64−1’〜64−30’から形成されている。駆動装置64−iは、リーフ62−iを駆動する。駆動装置64−1〜64−15は、フレーム61のリーフ62−1に近接する部位に配置されるベース63に支持されている。駆動装置64−16〜64−30は、フレーム61のリーフ62−30に近接する部位に配置されるベース63に支持されている。駆動装置64−1’〜64−15’は、フレーム61のリーフ62−1’に近接する部位に配置されるベース63に支持されている。駆動装置64−16’〜64−30’は、フレーム61のリーフ62−30’に近接する部位に配置されるベース63に支持されている。
【0040】
図7は、駆動装置64−iを示している。駆動装置64−iは、モータ91とロータリエンコーダ92とカバー94と伝達軸95とピニオン96とを備えている。モータ91は、ユーザにより調整されて個々にベース63に対して移動されることができるように、ベース63に支持されている。モータ91は、放射線治療装置制御装置2により制御されて、供給される電力を用いてその伝達軸95を回転させる。ロータリエンコーダ92は、伝達軸95の回転量を測定し、その回転量を放射線治療装置制御装置2に出力する。カバー94は、中空の管状に形成され、その管の中に伝達軸95を回転可能に支持している。ピニオン96は、伝達軸95に同体に接合され、伝達軸95の回転軸に概ね平行である複数の歯を備えている。
【0041】
リーフ62−iは、第1縁85と第2縁86と第3縁87と第4縁88とのうちのいずれかの縁の一部にラック97が形成されている。ラック97は、リーフ62−iが案内される案内面に垂直である複数の歯から形成されている。
【0042】
図8は、カバー94を示している。カバー94は、軸受け130を備えている。軸受け130は、カバー94のモータ91に支持される端の反対側の端に接合されている。軸受け130は、カバー94に対して伝達軸95を回転可能に支持している。駆動装置64−iは、モータ91が支持されるベース63とリーフ62−iとの距離に応じて、カバー94と伝達軸95との長さが異なっている。カバー94は、伝達軸95が自重などにより変形することを防止し、モータ91とリーフ62−iとが離れているときでもピニオン96の歯がラック97の歯に噛み合うことをより確実にする。カバー94は、切り欠き100が形成されている。切り欠き100は、リーフ62−iよりモータ91の側に配置される他のリーフの近傍に形成されている。このとき、駆動装置64−iは、カバー94がリーフ62−iよりモータ91の側に配置される他のリーフの第1縁85と第2縁86と第3縁87と第4縁88とに接触しないで、他のリーフの移動を阻害しない点で好ましい。なお、カバー94は、他のリーフに接触する可能性がないときに、切り欠き100が形成される必要がない。
【0043】
なお、リーフ62−iは、切り欠き83、84の縁がリーフ62−iの縁(前方縁79と後方縁80と上縁81と下縁82と)に繋がるように形成されることもできる。たとえば、切り欠き83、84は、リーフ62−iの後方縁80から中央に向かって凹むように形成されることもできる。このとき、リーフ62−iは、強度が低下するが、駆動装置64によりその案内面に沿って移動することができる。
【0044】
なお、上縁81と下縁82と第1縁85と第2縁86と第3縁87と第4縁88とは、複数の曲線に沿って配置されることもできる。その曲線は、仮想的点線源58を中心とする弧である。このとき、ガイド71〜78、71’〜78’は、リーフ62−1〜62−30、62−1’〜61−30’をそれぞれその案内面に沿って仮想的点線源58を中心にして回転移動することができるように支持し、リーフ62−1〜62−30、62−1’〜61−30’の前方縁79が仮想的点線源58を通る直線に常時に沿うように支持することができる。治療用放射線23は、上縁81と下縁82と第1縁85と第2縁86と第3縁87と第4縁88とが直線であるときに、リーフ62の前方縁79に入射して下縁82から抜ける放射線を含むことがあり、すなわち、ビーム強度が中途半端な放射線の部分(半影)を含むことがある。治療用放射線23は、上縁81と下縁82と第1縁85と第2縁86と第3縁87と第4縁88とが弧であるときに、その半影を低減することができ好ましい。
【0045】
図9は、本発明による放射線治療装置組立方法を示している。その放射線治療装置組立方法は、放射線治療装置3を生産するときに適用され、または、放射線治療装置3を点検保守するときに適用される。放射線治療装置3を生産するときに適用される放射線治療装置組立方法では、作業者は、まず、放射線治療装置3を設置する場所で放射線治療装置3のマルチリーフコリメータ56を除く本体部分を組み立てて設置する(ステップS1)。作業者は、その本体部分の組み立てることと別途に、マルチリーフコリメータ56を組み立てて完成させる(ステップS2)。すなわち、作業者は、ベース63の各々に駆動装置64−1〜64−30、64−1’〜64−30’のうちの15個の駆動装置を固定した後に、ベース63をフレーム61に取り付け、ピニオン96の歯がリーフ62−iに形成されるラック97の歯に噛み合うようにベース63の位置を調整する。このような調整によれば、駆動装置64−1〜64−30、64−1’〜64−30’のうちの15個の駆動装置の位置を容易に一度に調整することができる。作業者は、その本体部分にマルチリーフコリメータ56を取り付けて、放射線治療装置3を完成させる(ステップS3)。すなわち、作業者は、治療用放射線照射装置16の本体部分の接続部にフランジ70の嵌合部65が嵌合するように、マルチリーフコリメータ56を配置して、ボルトを用いて、マルチリーフコリメータ56を治療用放射線照射装置16の本体部分に同体に接合する。このような嵌合は、マルチリーフコリメータ56を治療用放射線照射装置16の本体部分の所定の位置に設置することを容易にする。
【0046】
放射線治療装置3を点検保守するときに適用される放射線治療装置組立方法では、作業者は、まず、放射線治療装置3からマルチリーフコリメータ56と取り外す。作業者は、その取り外されたマルチリーフコリメータ56と放射線治療装置3のマルチリーフコリメータ56を除く本体部分とを別途に点検する。作業者は、その点検で正常であると判別されたときに、ステップS3と同様にして、その本体部分にマルチリーフコリメータ56を取り付けて、放射線治療装置3を完成させる。
【0047】
本発明による放射線治療装置組立方法の比較例は、治療用放射線照射装置16のマルチリーフコリメータ56を除く部品(電子ビーム加速装置51とX線ターゲット52と1次コリメータ53とフラットニングフィルタ54と2次コリメータ55と)にフレーム61を取り付けた後にフレーム61にリーフ62と駆動装置64を取り付ける方法である。本発明による放射線治療装置組立方法によれば、その比較例に比較して、作業者は、放射線治療装置3のマルチリーフコリメータ56を除く本体部分に邪魔されないで、より広いスペースでフレーム61にリーフ62と駆動装置64とを取り付けることができ、リーフ62の取り付け位置と駆動装置64の取り付け位置とをより容易に調整することができ、放射線治療装置3をより容易に組立することができる。さらに、作業者は、放射線治療装置3の設置時に加え、放射線治療装置3のマルチリーフコリメータ56を除く本体部分に邪魔されないで、より広いスペースでマルチリーフコリメータ56を点検することができ、各種メンテナンスに対して短時間で且つ高精度の対応が可能になる
【0048】
放射線治療システム1を用いて治療する動作では、まず、ユーザは、治療計画で指示される姿勢に放射線治療装置3のカウチ41に患者43を固定する。放射線治療装置制御装置2は、マルチリーフコリメータ56を用いて治療用放射線23の照射野の形状をその治療計画で指示される形状に変更し、治療用放射線照射装置16を用いてその治療計画で指示される線量の治療用放射線23をその患部に照射する。
【0049】
本発明による放射線治療装置の実施の他の形態は、さらに、ペンシルビーム用コリメータを備えている。そのペンシルビーム用コリメータは、タングステンから形成され、直径が0.1mm程度の孔が形成されている。そのペンシルビーム用コリメータは、フランジを備えている。そのフランジは、ペンシルビーム用コリメータに同体に接合されている。そのフランジには、フランジ70と同様にして、複数の穴が形成されている。そのペンシルビーム用コリメータは、その複数の穴にボルトが通されて、治療用放射線照射装置16のマルチリーフコリメータ56を除く部品(電子ビーム加速装置51とX線ターゲット52と1次コリメータ53とフラットニングフィルタ54と2次コリメータ55と)に同体に接合されることができる。このとき、そのペンシルビーム用コリメータは、放射線60がその孔を通り抜けるように、治療用放射線照射装置16に同体に接合される。
【0050】
そのペンシルビーム用コリメータは、治療用放射線照射装置16に備えられるときに、放射線60の一部を遮蔽して治療用放射線を生成する。その治療用放射線は、常に直径が0.1mm程度に細く集束させたペンシルビームであり、照射野の形状が一定である。
【0051】
このような放射線治療システムを用いて治療する動作は、マルチリーフコリメータ56を用いて治療する動作とペンシルビーム用コリメータを用いて治療する動作とを含んでいる。
【0052】
マルチリーフコリメータ56を用いて治療する動作では、まず、ユーザは、治療用放射線照射装置16のマルチリーフコリメータ56を除く部品(電子ビーム加速装置51とX線ターゲット52と1次コリメータ53とフラットニングフィルタ54と2次コリメータ55と)にマルチリーフコリメータ56を接合する。次いで、ユーザは、治療計画で指示される姿勢に放射線治療装置3のカウチ41に患者43を固定し、治療計画で指示される照射角度で治療用放射線23が患者43の患部位置を照射するように、旋回駆動装置11と走行駆動装置とを用いて治療用放射線照射装置16を移動させる。放射線治療装置制御装置2は、マルチリーフコリメータ56を用いて治療用放射線23の照射野の形状をその治療計画で指示される形状に変更し、治療用放射線照射装置16を用いてその治療計画で指示される線量の治療用放射線23をその患部に照射する。
【0053】
ペンシルビーム用コリメータを用いて治療する動作では、まず、ユーザは、治療用放射線照射装置16のマルチリーフコリメータ56を除く部品(電子ビーム加速装置51とX線ターゲット52と1次コリメータ53とフラットニングフィルタ54と2次コリメータ55と)にペンシルビーム用コリメータを接合する。次いで、ユーザは、治療計画で指示される姿勢に放射線治療装置3のカウチ41に患者43を固定する。放射線治療装置制御装置2は、その追尾動作により治療用放射線照射装置16が移動した直後に治療用放射線照射装置16を用いてその治療計画で指示される線量の治療用放射線(ペンシルビーム)をその患部に照射する。
【0054】
このような放射線治療装置は、治療計画に応じて、マルチリーフコリメータ56とペンシルビーム用コリメータとのうちから適切なコリメータを適用させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】図1は、放射線治療システムの実施の形態を示すブロック図である。
【図2】図2は、放射線治療装置を示す斜視図である。
【図3】図3は、治療用放射線照射装置を示す断面図である。
【図4】図4は、マルチリーフコリメータを示す斜視図である。
【図5】図5は、リーフを示す図である。
【図6】図6は、マルチリーフコリメータを示す断面図である。
【図7】図7は、駆動装置を示す斜視図である。
【図8】図8は、カバーを示す斜視図である。
【図9】図9は、本発明による放射線治療装置組立方法の実施の形態を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0056】
1 :放射線治療システム
2 :放射線治療装置制御装置
3 :放射線治療装置
11:旋回駆動装置
12:Oリング
14:走行ガントリ
16:治療用放射線照射装置
17:回転軸
18:回転軸
19:アイソセンタ
23:治療用放射線
24:診断用X線源
25:診断用X線源
27:センサアレイ駆動装置
28:センサアレイ駆動装置
32:センサアレイ
33:センサアレイ
35:診断用X線
36:診断用X線
41:カウチ
42:カウチ駆動装置
43:患者
51:電子ビーム加速装置
52:X線ターゲット
53:1次コリメータ
54:フラットニングフィルタ
55:2次コリメータ
58:仮想的点線源
59:電子ビーム
59:放射線
60:放射線
61:フレーム
62:リーフ
62−1〜62−30:複数のリーフ
63:ベース
64:駆動装置
64−1〜64−30:複数の駆動装置
65:嵌合部
68:ストッパ
68−1〜68−30:ストッパ
69:開口部
70:フランジ
71:ガイド
71〜78:ガイド
79:前方縁
80:後方縁
81:上縁
82:下縁
83:切り欠き
84:切り欠き
85:第1縁
86:第2縁
87:第3縁
88:第4縁
90:対称面
91:モータ
92:ロータリエンコーダ
94:カバー
95:伝達軸
96:ピニオン
97:ラック
98:ターゲット
99:ばね機構
130:軸受け
100:切り欠き

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体の放射線が照射される照射野の形状を変更するために前記放射線を遮蔽するリーフと、
移動可能に前記リーフを支持するガイドと、
前記リーフに形成されるラックに噛み合うピニオンを回転させる駆動装置
とを具備するマルチリーフコリメータ。
【請求項2】
請求項1において、
前記ラックは、前記リーフに形成される切り欠きの縁に形成される
マルチリーフコリメータ。
【請求項3】
請求項1または請求項2のいずれかにおいて、
前記照射野の形状を変更するために前記放射線を遮蔽する他のリーフを更に具備し、
前記ガイドは、更に、移動可能に前記他のリーフを支持し、
前記駆動装置は、前記他のリーフに近接する部分に凹みが形成される
マルチリーフコリメータ。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれかにおいて、
前記ガイドを支持するフレームと、
位置調整可能に前記フレームに支持される複数のベースとを更に具備し、
前記リーフは、複数リーフから形成され、
前記駆動装置は、前記複数リーフをそれぞれ移動させる複数駆動装置から形成され、
複数のベースの各々は、複数駆動装置のうちの複数を支持する
マルチリーフコリメータ。
【請求項5】
請求項1〜請求項3のいずれかにおいて、
前記ガイドを支持するフレームを更に具備し、
前記リーフは、複数リーフから形成され、
前記駆動装置は、前記複数リーフをそれぞれ移動させる複数駆動装置から形成され、
前記複数駆動装置は、各々が位置調整可能に前記フレームに支持される
マルチリーフコリメータ。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれかに記載されるマルチリーフコリメータと、
前記放射線を放射する照射装置
とを具備する放射線治療装置。
【請求項7】
請求項1〜請求項5のいずれかに記載されるマルチリーフコリメータを作製するステップと、
前記放射線を放射する放射線治療装置本体を作製するステップと、
前記放射線治療装置本体に前記マルチリーフコリメータを取り付けるステップ
とを具備する放射線治療装置組立方法。
【請求項8】
被検体に放射線を照射する放射線治療装置本体を作製するステップと、
前記放射線を遮蔽する複数のリーフを用いて前記被検体の放射線が照射される照射野の形状を変更するマルチリーフコリメータを作製するステップと、
前記放射線治療装置本体に前記マルチリーフコリメータを取り付けるステップ
とを具備する放射線治療装置組立方法。
【請求項9】
放射線を放射する放射線治療装置本体と、
被検体の前記放射線が照射される照射野の形状を変更するマルチリーフコリメータと、
前記照射野の形状が一定になるように前記放射線を遮蔽するコリメータとを具備し、
前記放射線治療装置本体は、前記マルチリーフコリメータまたは前記コリメータの一方が取り付けられる取り付け部分を有する
放射線治療装置。
【請求項10】
放射線を放射する放射線治療装置本体と、
被検体の前記放射線が照射される照射野の形状を変更するマルチリーフコリメータとを具備し、
前記放射線治療装置本体は、本体側嵌合部分が形成され、
前記マルチリーフコリメータは、コリメータ側嵌合部分が形成され、
前記本体側嵌合部分と前記コリメータ側嵌合部分とは、前記放射線治療装置本体に前記マルチリーフコリメータが取り付けられるときに、嵌合する
放射線治療装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−319497(P2007−319497A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−154285(P2006−154285)
【出願日】平成18年6月2日(2006.6.2)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】