説明

マルチワイヤ配線板用の布線装置およびマルチワイヤ配線板の製造方法

【課題】 高密度のマルチワイヤ配線板を断線を発生させることなく製造できる布線装置を提供する。
【解決手段】 絶縁被覆電線を接着剤付き絶縁基板上にはわせると同時に溶着することによって、多重配線パターンを形成する布線装置は、絶縁被覆電線を供給するフィーダと、絶縁被覆電線を絶縁基板上に押圧しつつ所定の方向にはわせてゆくスタイラスと、前記スタイラスとフィーダの間に位置し、絶縁被覆電線にこの絶縁被覆電線の外径の6倍以上のたるみを持たせるダンサローラと、たるみ量を検出するエンコーダと、検出されたたたるみ量に応じてフィーダの回転速度を制御するコントローラとを備える。コントローラは、検出されたたるみ量が小さくなると、フィーダの回転数を上げ、たるみ量が大きくなると、フィーダの回転数を下げ、フィーダとスタイラスの間のたるみ量が絶縁被覆電線の外径の6倍以上であるように制御する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、基板上に多重配線(マルチワイヤ)を形成するための布線装置およびマルチワイヤ配線板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】通常、マルチワイヤ配線板は、接着剤付きの絶縁基板上に、絶縁被覆した金属配線をはわせると同時に、接着してゆき、配線パターンを形成することによって製造される。このとき、複数の配線が交差する場合、先に配線された既配線を乗り越えて、新たな配線が敷かれる。
【0003】図6は、このような従来の方法でマルチワイヤ配線板を製造する様子を示す。図6の例では、すでに三重に交差して接着されている絶縁被覆された銅線61を乗り越えて、現在接着中の絶縁被覆銅線62を敷いてゆく。絶縁被覆銅線61はフィータ603からワイヤガイド604によって案内され、スタイラス601によってその配線方向が制御される。具体的には、基板上の位置を特定するXY座標上の位置データに基づき、X軸移動テーブル(図示せず)とY軸移動機構(図示せず)を制御して、新たな配線を敷くための始点603に布線装置のヘッドを合わせる。図6に示すスタイラス601やフィーダ603は、ヘッド内に含まれている。その位置から配線を敷いてゆく方向を、たとえば、配線レイアウトデータなどから割り出し、ヘッドの向きを設定する。その後、ヘッドを所定位置まで下げて、スタイラス601で絶縁被覆銅線62を押圧して、銅線62のうち、接着剤付き基板と接触する側の面を基板上に固定してゆく。このとき、スタイラス601に超音波振動を加えると、基板上の接着剤が振動によって加熱され、活性化されて接着力が高まる。必要な長さの絶縁被覆銅線62をフィーダ603によって供給しつつ、所定の方向に向けて絶縁被覆銅線62をスタイラス601で基板上に押圧、接着してゆく。終点65に達したなら、カッタ605によって絶縁被覆銅線2を切断する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】フィーダ603は、移動量の1〜2倍の長さを押し出せる力で絶縁被覆銅線を供給しているが、既配線が交差している交差部64では、高さ方向の長さが余分に必要となる。スタイラス601が交差部64を通過する時間は、通常2〜3msecであり、このわずかな時間に高さ方向で必要となる絶縁被覆銅線62をフィーダ603で供給するには装置の応答性の面で難しい。このため、交差部64で絶縁被覆銅線62が引き伸ばされ、それが過大になると、断線してしまう。断線は、図6に示すように、張力が最大となるスタイラス601による押圧点と交差部64の頂上との間で発生する。断線は、交差が二重、三重、四重と増えるにつれて、頻繁に発生するようになる。
【0005】従来の布線装置で用いているフィーダ603は、その回転力は配線速度に応じて変調制御されている。すなわち、配線速度が速い場合は回転力を高くし、配線速度が遅い場合は、回転力を低くする。フィーダ603に用いているモータの応答性は、4〜5msecが限界である。フィーダ603からスタイラス601に絶縁被覆銅線62を導くためにワイヤガイド604を用いているが、この間にたるみはなく、絶縁被覆銅線62には常に0〜2グラム程度の張力が加わっている。
【0006】上述したように、スタイラスが601が交差部64を通過する時間は2〜3msecであり、この間に、高さ方向の増量分に見合った絶縁被覆銅線64を供給すること、すなわち、供給速度を瞬時に増大させて供給することは非常に困難であり、交差部64における断線を免れられなかった。
【0007】そこで、本発明は、基板上に絶縁被覆銅線を配線する際に、交差部においても、絶縁被覆銅線が断線することなく、かつ、高密度の配線パターンを実現することのできる布線装置を提供することを第1の目的とする。
【0008】また、このような布線装置を用いたマルチワイヤ配線板の製造方法の提供を第2の目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明の布線装置は、絶縁被覆電線を接着剤付き絶縁基板上にはわせてゆくと同時に溶着し、配線パターンを形成するマルチワイヤ配線板の製造に使用される。この布線装置は、絶縁被覆電線を供給するフィーダと、絶縁被覆電線を絶縁基板上に押圧しつつ所定の方向にはわせてゆくスタイラスと、前記スタイラスとフィーダの間に位置し、絶縁被覆電線にこの絶縁被覆電線の外径の6倍以上のたるみを持たせるダンサローラと、たるみ量を検出するエンコーダと、検出されたたたるみ量に応じてフィーダの回転速度を制御するコントローラとを備える。
【0010】コントローラは、検出されたたるみ量が小さくなると、フィーダの回転数を上げ、たるみ量が大きくなると、フィーダの回転数を下げ、フィーダとスタイラスの間のたるみ量が常に絶縁被覆電線の外径の6倍以上であるように制御する。
【0011】本発明の別の特徴として、布線装置は、絶縁被覆電線を供給するフィーダと、フィーダから供給された絶縁被覆電線を絶縁基板上に押圧しつつ所定の方向にはわせてゆくスタイラスと、前記フィーダとスタイラスの間に位置し、絶縁被覆電線をその外径の6倍以上のたるみ量でたるませてスタイラスに送る送りローラと、前記たるませた絶縁被覆電線の最下端位置を検出するセンサと、検出した位置に応じてフィーダの回転速度を制御するコントローラとを備える。位置検出レーザとして、たとえば、光センサやレーザセンサを用いる。
【0012】このように、絶縁被覆電線を供給するフィーダと、絶縁被覆電線を基板上に溶着してゆくスタイラスの間に、常時十分なたるみがもたせてあるので、絶縁被覆電線が交差する部分での高さ方向の増分量を、補償することができる。また、あらかじめ十分なたるみを持たせてあるため、交差を乗り越える場合にも、フィーダとスタイラスの間に異常な張力が生じることはなく、配線の際の伸びや変形を最小にすることができる。さらに、従来の装置で問題になっていた断線を解消し、配線の品質を向上することができる。
【0013】本発明のさらに別の特徴として、マルチワイヤ配線板の製造方法は、まず、絶縁被覆された電線を、その外径の6倍以上のたるみ量を有するようにして、接着剤付き絶縁基板上に供給する。絶縁被覆電線を、接着剤付き絶縁基板上に押圧しつつ所定の方向にはわせてゆく。絶縁被覆電線のたるみ量を継続的あるいは断続的に検出する。そして、接着剤付き絶縁基板上にすでに敷かれている配線の交差部を乗り越える際に、前記検出されたたるみ量に基づき、絶縁被覆電線のたるみ量がその外径の6倍以上に維持されるように、絶縁被覆電線の送り速度を調節する。
【0014】このようなマルチワイヤ配線板の製造方法によれば、配線途中で断線が起こることもなく、配線の信頼性を高めることができる。
【0015】本発明のその他の特徴、効果は、以下で図面を参照して述べる詳細な説明によりさらに明確になる。
【0016】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の一実施形態にかかる布線装置10を示す。布線装置10は、ヘッド100と、Y軸移動機構111と、X軸移動テーブル112と、超音波発振器113を有する。ヘッド100内に、スタイラス101と、絶縁被覆銅線114を供給するフィーダ103と、フィーダ103とスタイラス101の間に位置し、絶縁被覆銅線114に所定量のたるみを与えるダンサロール107と、ダンサロールの垂直位置を測定することによって絶縁被覆銅線114のたるみ量を検出するエンコーダ108を有する。ヘッダ内には、さらに、絶縁被覆電線114をフィーダ103からスタイラス101に導くワイヤガイド104と、スタイラス101に加圧力を与えるトルクモータ102と、絶縁被覆電線を適宜切断するカッタ105が収容される。
【0017】超音波発振器113は、スリップリング121を介して発振コイル106に直流電流と交流電流を与える。スタイラス101は、発振コイル106による振動を受けて、25KHzで超音波振動する。
【0018】ヘッド100は、Y軸移動機構111上に位置するヘッド取り付け部117に取り付けられている。ヘッド取り付け部117は、上下移動機構110と、回転機構119を有する。X軸移動テーブル112上には、接着剤付き絶縁基板115が設置され、この基板115上に、絶縁被覆電線が、所定の配線パターンで形成されることになる。
【0019】X軸移動テーブル112と、Y軸移動機構111は、絶縁基板115上の位置をXY座標で表わした位置データに基づいて制御される。X軸移動テーブル112は、スタイラス101の先端が、絶縁基板115上で配線を開始すべき点に位置するように、絶縁基板115をヘッド100に対して相対移動させる。ヘッド取り付け部117内の回転機構119は、配線パターンの設計データから絶縁被覆電線114を敷いてゆく方向を割り出し、ヘッド100の向きをその方向に合わせる。その後、上下移動機構110は、ヘッド100を所定位置まで下げる。これにより、スタイラス101が絶縁被覆銅線114を押圧し、絶縁被覆銅線114が絶縁基板115と接触する側の端面を、接着剤付き絶縁基板115に押しつける。この状態で、超音波発振器113によりスタイラス101に超音波振動を与えると、絶縁基板115上の接着剤が振動により加熱され、活性化されて接着力が高められる。
【0020】X軸テーブル112を配線設計データに基づいて移動させることにより、スタイラス101が絶縁基板115に対して相対的に移動し、絶縁被覆銅線114をはわせると同時に、溶着してゆく。
【0021】図2は、絶縁基板上にすでに配線されている既配線の交差部4を乗り越えて、絶縁被覆銅線114を基板上に配線してゆく様子を示す。図6に示す従来の装置と異なり、スタイラス101とフィーダ103の間にダンサロール107が配置され、スタイラス101に導かれる絶縁被覆銅線114にあらかじめ充分なたるみを持たせている。このたるみ量は、絶縁被覆銅線114の外径の6倍以上の長さである。
【0022】いま、スタイラスが3重に交差している既配線の交差部4を乗り越える場合、基板の平坦面上にはわせるために供給する配線分量に加えて、交差部4の高さに対応する垂直方向の分量が必要になる。このとき、絶縁被覆銅線114は、フィーダ103とスタイラス101の間であらかじめ十分な量のたるみを有するので、交差部4の垂直方向の2倍に対応する分量を、フィーダ103の送り速度(すなわち回転数)を瞬時に変えなくとも、スタイラス101の先端部に供給することができる。
【0023】ダンサロール107による絶縁被覆銅線114のたるみ分から、交差部4の高さの2倍に対応する分量が補給されたので、ダンサロール107の位置は、図2で点線で示す位置まで上昇し、たるみ量が減少する。エンコーダ108は、ダンサロール107に接続されており、ダンサロール107の垂直位置からたるみ量を検出する。検出されたたるみ量は、コントローラ109に供給され、コントローラ109は、検出されたたるみ量に応じて送りモータ123を制御し、たるみ量がもと通り外径の6倍以上になるようにフィーダ103の回転数を調整する。
【0024】すなわち、たるみ量が小さくなれば、フィーダ103へのモータ出力を大きくし、たるみ量が大きくなれば、フィーダ103へのモータ出力を小さくする。これにより、常時、フィーダ103とスタイラス101との間で絶縁被覆銅線114のたるみ量を6倍以上に維持することができる。また、たるみ量をもとの量にもどすためにモータ出力を調整するだけなので、交差部4の通過と同時にフィーダ103の送り速度を変化させるような急峻な応答性を必要としない。すなわち、装置の従来通りの応答性を利用しつつ、絶縁被覆銅線114を絶縁基板115上に良好に配線することができる。
【0025】スタイラス101が、次の交差部を通過するときには、すでにたるみ量は外径の6倍の量にもどっているので、ここでも、交差部の高さ方向の増分量をたるみでまかなうことができるので、絶縁被覆銅線114の張力が急激に増大することを回避することができる。
【0026】絶縁被覆銅線114が終点5に達したら、上下移動機構110を制御して、カッタ105を絶縁基板115の接着剤と絶縁被覆銅線114の界面まで降下させ、絶縁被覆銅線114を切断する。
【0027】図2の例では、既配線が3重に交差する例を示しているが、二重交差あるいは交差しない配線上に新たな配線を行う場合にも、本発明の布線装置は良好に適用される。図4は、交差配線の例を図4に示す。現状では、四重交差が交差配線の限界とされており、断線発生の確率ももっとも高くなる。本発明の布線装置によれば、四重交差配線を行う場合にも、断線が生じることなく、良好に配線することができる。
【0028】図3は、図2に示したヘッダ内の構成の変形例を示す。図3の例では、ダンサロールを用いずに、フィーダ103と、送りローラ302とにより、絶縁被覆銅線114を単に空中でたるませている。この場合も、絶縁被覆銅線114のたるみ量は、その外径の6倍以上の量を確保する。絶縁被覆銅線114のたるみ量を検出するために、エンコーダに代えて、光センサ301を用いる。光センサ301は、下方に垂れ下がったたるみ部分の最下端の垂直位置を光学的に検出する。検出された垂直位置に基づいて、コントローラ109は送りモータ123を制御し、たるみ量が外径の6倍以上に維持されるようにフィーダ103の回転数を調整する。すなわち、検出された絶縁被覆銅線114のたるみ部の最下端位置が、基準位置より高くなると、モータ出力を増大させてフィーダ103の送り量を増やす。最下端位置が基準位置より下がると、モータ出力を下げる。これにより、常時、たるみ量を絶縁被覆銅線114の外径の6倍以上となるように維持することができる。この構成においても、図2の構成で達成されるのと同様の効果が達成される。
【0029】このような布線装置を使用して、マルチワイヤ配線板を製造する場合は、まず、絶縁被覆された電線114を、その外径の6倍以上のたるみ量を有するようにして、接着剤付き絶縁基板115上に供給する。次に、この絶縁被覆電線114を、接着剤付き絶縁基板115上に押圧しつつ、所定の方向にはわせてゆく。絶縁被覆電線14のたるみ量を継続的あるいは所定間隔で検出する。接着剤付き絶縁基板上にすでに敷かれている配線の交差部を乗り越える際に、検出されたたるみ量に基づいて、絶縁被覆電線114のたるみ量が、その外径の6倍以上に維持されるように、絶縁被覆電線114の送り速度を調節する。
【0030】この方法で製造されるマルチワイヤ配線板は、交差部においても断線がなく、配線板の信頼性が向上する。
【0031】<実験例>上述した本発明の布線装置を用いて、マルチワイヤ配線板を作成する場合の、たるみ量と断線発生率との関係を調べた。
【0032】絶縁基板として、厚さ0.3mmのI−671(日立化成工業株式会社製、商品名)に厚さ80μmの接着材AS−U01(日立化成工業株式会社製、商品名)を120℃でロールラミネートしたものを用いた。絶縁被覆銅線として、直径80μmの銅線に、ポリイミド樹脂であるPyre‐ML-RC5057(デュポン社製、商品名)を塗布してから350℃で8分間乾燥する工程を繰り返し、最終的に23μmの厚さにコーティングした。さらにその表面に接着剤であるHAW−216D(日立化成工業株式会社製、商品名)を塗布し、200℃で1分間乾燥する工程を繰り返し、厚さ15μmの外皮を形成した。このような絶縁被覆銅線の外径は、約0.15mmである。
【0033】図5は、上述した絶縁被覆銅線と、図2に示すダンサロールを用いた構成の布線装置とを使用し、たるみ量を変化させて、断線発生率を調べた結果を示す。図中、たるみ量(mm)が0というのは、従来の布線装置に対応する。各たるみ量ごとに、1万個のマルチ配線板を形成して、その四重交差部での断線発生をカウントした。
【0034】図5の表から明らかなように、たるみ量がゼロの場合、1万個中、121でl段線が発生した。絶縁被覆銅線の外径(0.15mm)の3倍強のたるみ量(すなわち0.5mmのたるみ量)では、まだ13個の断線が発生する。外径の6倍である0.9mmのたるみ量をもたせた場合に、断線がまったく発生しなかった。この実験結果から、絶縁被覆銅線を常にその外径の6倍以上のたるみをもたせてスタイラスに供給することにより、多重交差部を有するマルチワイヤ配線を良好に形成できることがわかる。したがって、布線装置の応答性を極端に向上させなくとも、マルチワイヤ配線板の品質および信頼性を向上することが可能になる。
【0035】
【発明の効果】以上、説明したように、本発明の布線装置によれば、断線を排除して高密度のマルチワイヤ配線板を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかる布線装置の概略構成図である。
【図2】図1に示す布線装置のフィーダとスタイラスとの間の構造を示す図である。
【図3】図2の構造の変形例を示す図である。
【図4】マルチワイヤ配線の交差配線例を示す図である。
【図5】図1の布線装置を用い、絶縁被覆銅線のたるみ量と断線発生率との関係を示す表である。
【図6】従来の布線装置のフィーダとスタイラスとの間の構造を示す図である。
【符号の説明】
4 配線交差部
10 布線装置
100 ヘッド
101 スタイラス
102 トルクモータ
103 フィーダ
104 ワイヤガイド
105 カッタ
106 発振コイル
107 ダンサロール
108 エンコーダ
109 コントローラ
110 上下移動機構
111 Y軸移動機構
112 X軸移動テーブル
113 超音波発振器
114 絶縁被覆銅線
115 接着剤付き絶縁基板
117 ヘッド取り付け部
301 光センサ
302 送りローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】 絶縁被覆電線を接着剤付きの絶縁基板上に供給するフィーダと、前記絶縁被覆電線を、前記接着剤付き絶縁基板上に押圧しつつ所定の方向にはわせてゆくスタイラスと、前記スタイラスとフィーダの間に位置し、前記絶縁被覆電線に絶縁被覆電線の外径の6倍以上のたるみを持たせるダンサローラと、前記絶縁被覆電線のたるみ量を検出するエンコーダと、検出されたたたるみ量に応じて、前記フィーダの回転数を制御するコントローラとを備えることを特徴とするマルチワイヤ配線板用の布線装置。
【請求項2】 前記コントローラは、検出されたたるみ量が小さくなると、フィーダの回転数を上げ、たるみ量が大きくなると、フィーダの回転数を下げ、フィーダとスタイラスの間のたるみ量が絶縁被覆電線の外径の6倍以上であるように制御することを特徴とする請求項1に記載のマルチワイヤ配線板用の布線装置。
【請求項3】 絶縁被覆電線を接着剤付きの絶縁基板上に供給するフィーダと、前記絶縁被覆電線を、前記接着剤付き絶縁基板上に押圧しつつ所定の方向にはわせてゆくスタイラスと、前記スタイラスとフィーダの間に位置し、絶縁被覆電線をその外径の6倍以上のたるみ量でたるませてスタイラスに送る送りローラと、前記たるませた絶縁被覆電線の最下端位置を検出するセンサと、検出位置に応じて、前記フィーダの回転数を制御するコントローラとを備えることを特徴とするマルチワイヤ配線板用の布線装置。
【請求項4】 前記コントローラは、検出位置が基準位置より高くなるとフィーダの回転数を上げ、検出位置が基準位置より下がるとフィーダの回転数を下げて、フィーダとスタイラスの間のたるみ量が絶縁被覆電線の外径の6倍以上であるように制御することを特徴とする請求項3に記載のマルチワイヤ配線板用の布線装置。
【請求項5】 絶縁被覆された電線を、その外径の6倍以上のたるみ量を有するようにして、接着剤付き絶縁基板上に供給するステップと、前記絶縁被覆電線を、前記接着剤付き絶縁基板上に押圧しつつ所定の方向にはわせるステップと、前記絶縁被覆電線のたるみ量を検出するステップと、前記接着剤付き絶縁基板上にすでに敷かれている配線の交差部を乗り越える際に、前記検出されたたるみ量に基づき、絶縁被覆電線のたるみ量がその外径の6倍以上に維持されるように、絶縁被覆電線の送り速度を調節するステップとを含むマルチワイヤ配線板の製造方法。
【請求項6】 前記絶縁被覆電線を接着剤付き絶縁基板上にはわせるステップは、絶縁被覆電線に超音波振動を与えながら絶縁基板上に押圧し、所定の方向に溶着してゆくことを特徴とする請求項5に記載のマルチワイヤ配線板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2001−352149(P2001−352149A)
【公開日】平成13年12月21日(2001.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−168021(P2000−168021)
【出願日】平成12年6月5日(2000.6.5)
【出願人】(000004455)日立化成工業株式会社 (4,649)
【Fターム(参考)】