説明

マルチ渦流量計

【課題】 微少流量から大流量まで精度よく計測することが可能なマルチ渦流量計を提供する。
【解決手段】 流管9の流路に設けられて被測定流体を通過させる測定管12と、被測定流体の流れに対向するように測定管12に設けられる渦発生体13と、渦発生体13により生じるカルマン渦に基づく変化を検出する渦検出器14とを有する渦式検出手段15を備えるとともに、流路9に突出する感温センサ16及び加熱感温センサ17を有する熱式検出手段18を備え、さらには、感温センサ16と加熱感温センサ17との温度差を一定にするための加熱側温度センサ17の加熱に係る電力供給量制御を行い、その電力量から被測定流体の流量を算出及び渦検出器14の検出値から被測定流体の流量を算出する流量変換器8を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、渦流量計の機能と熱式流量計の機能とを兼ね備えたマルチ渦流量計に関する。
【背景技術】
【0002】
流管に流れる被測定流体の流量を計測するために、渦流量計や熱式流量計が用いられている。渦流量計は、周知のように、流体の流れの中に渦発生体を配設したとき、所定のレイノルズ数範囲では、渦発生体から単位時間内に発生するカルマン渦の数(渦周波数)が気体、液体に関係なく流量に比例することを利用したもので、この比例定数はストローハル数と呼ばれている。渦検出器としては、熱センサ、歪みセンサ、光センサ、圧力センサ、超音波センサ等が挙げられ、これらは渦による熱変化、揚力変化等を検出することが可能である。渦流量計は、被測定流体の物性に影響されずに流量を測定できる簡易な流量計であって、気体や流体の流量計測に広く使用されている(例えば特許文献1参照)。一方、熱式流量計は、流体温度検出センサと加熱側温度センサとを備えて構成されており、温度センサと加熱センサの機能を有する加熱側温度センサ(流速センサ(ヒータ))の温度が流体温度検出センサで計測される温度に対して一定の温度差になるように制御されている。これは、被測定流体を流した時にヒータから奪われる熱量が質量流量と相関があるからであって、ヒータに対する加熱電力量から質量流量が算出されるようになっている(例えば特許文献2参照)。
【特許文献1】特許第2869054号公報 (第3頁、第1図)
【特許文献2】特開2004−12220号公報 (第6頁、第4図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
渦流量計は、微少流量計測や低流量計測が不向きであることが知られている。また、熱式流量計では、高流量計測が不向きであることが知られている。従って、微少流量から大流量まで幅広い範囲で流量が変化するような被測定流体を計測対象にする場合、いずれか一方の流量計のみを用いるだけでは計測範囲が不十分になってしまうという問題点を有している。
【0004】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、微少流量から大流量まで精度よく計測することが可能なマルチ渦流量計を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためになされた請求項1記載の本発明のマルチ渦流量計は、流管の流路に設けられて被測定流体を通過させる測定管と、前記被測定流体の流れに対向するように前記測定管に設けられる渦発生体と、該渦発生体により生じるカルマン渦に基づく変化を検出する渦検出器とを有する渦式検出手段を備えるとともに、前記流路に突出する感温センサ及び加熱感温センサを有する熱式検出手段を備え、さらには、前記感温センサと前記加熱感温センサとの温度差を一定にするための前記加熱感温センサの加熱に係る電力供給量制御を行い、その電力量から前記被測定流体の流量を算出及び前記渦検出器の検出値から前記被測定流体の流量を算出する流量変換器を備えることを特徴としている。
【0006】
このような特徴を有する本発明によれば、渦流量計の機能と熱式流量計の機能とを兼ね備えた構成の流量計が提供される。微少流量域や低流量域では、熱式流量計の機能によって計測がなされ、高流量域では、渦流量計の機能によって計測がなされる。熱式流量計の機能における高流量域計測と、渦流量計の機能における低流量域計測とをある程度ラップさせて流量変換器で切り換えを行うようにすれば、微少流量から大流量まで精度よく計測することが可能になる。流量変換器では演算表示や出力等が行われる。
【0007】
請求項2記載の本発明のマルチ渦流量計は、請求項1に記載のマルチ渦流量計において、前記感温センサ及び前記加熱感温センサを前記測定管の近傍に配置するとともに、該測定管には前記感温センサ及び前記加熱感温センサを保持する温度センサ保持部を設けることを特徴としている。
【0008】
このような特徴を有する本発明によれば、感温センサ及び加熱感温センサが測定管の温度センサ保持部で保持される。感温センサ及び加熱感温センサが保持されることにより、大流量時における感温センサ及び加熱感温センサに生じる応力集中が緩和される。
【0009】
請求項3記載の本発明のマルチ渦流量計は、請求項2に記載のマルチ渦流量計において、前記測定管と前記温度センサ保持部とを一体化し一部品で形成することを特徴としている。
【0010】
このような特徴を有する本発明によれば、部品を新設せずに感温センサ及び加熱感温センサを保持することが可能になる。
【0011】
請求項4記載の本発明のマルチ渦流量計は、請求項1ないし請求項3いずれか記載のマルチ渦流量計において、前記感温センサと前記加熱感温センサの各先端の配置を、前記流管の中央又は中央周辺部分にすることを特徴としている。
【0012】
このような特徴を有する本発明によれば、感温センサ及び加熱感温センサの各感温部分が流管の壁から離れて配置される。外部から流管に伝わる熱は、感温センサ及び加熱感温センサの各感温部分に作用し難くなる。
【0013】
請求項5記載の本発明のマルチ渦流量計は、請求項1ないし請求項4いずれか記載のマルチ渦流量計において、前記流管にあけた穴に対して前記渦式検出手段及び前記熱式検出手段を挿抜自在に形成することを特徴としている。
【0014】
このような特徴を有する本発明によれば、流量計を小さく構成することが可能になる。また、渦式検出手段及び熱式検出手段が挿抜自在であることから、取り付け及びメンテナンス等が容易に行えるようになる。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載された本発明によれば、微少流量から大流量まで精度よく被測定流体の流量を計測することができるという効果を奏する。本発明のマルチ渦流量計は、渦流量計と熱式流量計とを各々別個に設けるよりも、コスト、設置スペース等の面で効果的なものになる。
【0016】
請求項2に記載された本発明によれば、感温センサ及び加熱感温センサの大流量時における応力集中を緩和することができるという効果を奏する。従って、感温センサ及び加熱感温センサの耐久性を向上させることができるという効果を奏する。
【0017】
請求項3に記載された本発明によれば、部品点数の増大を抑えることができるという効果を奏する。安価な流量計を提供することができるという効果を奏する。
【0018】
請求項4に記載された本発明によれば、より一層、計測精度を高めることができるという効果を奏する。
【0019】
請求項5に記載された本発明によれば、構成を小さくして安価な流量計を提供することができるという効果を奏する。また、取り付け及びメンテナンス等を容易にすることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら説明する。
図1は本発明のマルチ渦流量計の一実施の形態を示す断面図である。また、図2は図1の要部拡大図、図3〜図5は検出部の側面図、断面図、底面図である。
【0021】
図1において、引用符号1は本発明のマルチ渦流量計を示している。そのマルチ渦流量計1は、渦流量計の機能と熱式流量計の機能とを兼ね備えて構成されている。また、マルチ渦流量計1は、流管2に貫通形成した穴3に検出部4を差し込む挿入式の流量計として構成されている。本発明のマルチ渦流量計1は、検出部4、軸部5、及び固定部6を有するプローブ部7と、流量変換器8とを備えて構成されている。以下、図1ないし図5を参照しながら各構成部材について説明する。
【0022】
流管2は、円筒形のものであって、本形態においては、水平方向に伸びるように配管されている(垂直方向に伸びるように配管してもよいものとする)。流管2の内部には、被測定流体が矢線P方向に流れる流路9が形成されている。流管2の上部には、円形の穴3が形成されている。穴3には、円筒形状のプローブ案内筒10の一端が固着されている。プローブ案内筒10には、検出部4や軸部5が差し込まれるようになっている。プローブ案内筒10の他端には、円形のフランジ11が固着されている。本形態においては、流管2とプローブ部7とがフランジ接合により接合されるようになっているが、この限りではないものとする。すなわち、ねじ込み継ぎ手やくい込み継ぎ手を用いるようにしてもよいものとする。
【0023】
検出部4は、測定管12と渦発生体13と渦検出器14とを有する渦式検出手段15、及び、感温センサ16と加熱感温センサ17とを有する熱式検出手段18の各流量検出部分を総称するものであって、このような検出部4は、図1に示されるように、例えば流路9の上部に配置されている。検出部4は、流管2の管断面の全体でなく、管断面の一部に存在するように構成されている。本発明のマルチ渦流量計1は、渦流量計の機能と熱式流量計の機能とを兼ね備えているのにもかかわらず、検出部4が小型になるように形成されている。
【0024】
測定管12は、管断面が四角形状となる筒状に形成されている。測定管12は、被測定流体が流れる矢線P方向に沿って伸びるように配置形成されている。測定管12は、連結筒部19を介して軸部5の底壁に連成されている。連結筒部19は、測定管12の上壁中央に連成されている。このような連結筒部19には、渦発生体13と温度センサ保持部20とが形成されている(本形態では一体に形成されているが、この限りでないものとする)。
【0025】
渦発生体13は、測定管12の内部に渦を発生させるための部分であって、被測定流体の流れに対向するように、その形状が形成されている。渦発生体13は、本形態において、三角柱形状に形成されている(形状は一例であるものとする。特許文献1の特許第2869054号公報には幾つかの例が開示されている)。渦発生体13は、測定管12の被測定流体が流入する側の開口部分に形成されている。また、渦発生体13は、その開口部分の中央に位置するように形成されている。さらに、渦発生体13は、測定管12の上記上壁及び下壁に一体となるように形成されている。
【0026】
ここで、渦発生体13により生じる渦について説明する。渦は、測定管12の上記開口部分に流入する被測定流体が渦発生体13に沿って流れる流れによって生じる運動量変化の大きい位置から剥離するもので、渦発生体13の断面が本形態のように三角形状の場合は、三角形エッジ部が剥離点となる。渦発生体13から剥離し流出する渦は、カルマンの安定渦条件に従って、千鳥状に交互に発生し、一定の渦間距離及び渦列間距離を保った渦列を形成しながら流出する。渦間距離は、単位時間当たりに発生する渦の数、すなわち、渦周波数と、所定時間内に、例えば、基準タンク等の基準容器に流入した流体から求めた流量に基づいて算出された単位時間当たりの流速とから求めることができる。
【0027】
温度センサ保持部20は、測定管12の下壁から水平方向に、言い換えれば測定管12の両側壁からそれぞれ突出するように形成されている。温度センサ保持部20は、平面視の形状が三角形となるように形成されている。温度センサ保持部20は、測定管12に恰もヒレがあるような形状に形成されている。このような温度センサ保持部20の三角形頂部近傍には、感温センサ16、加熱感温センサ17の各先端が差し込まれる穴(符号省略)が形成されている。温度センサ保持部20は、渦検出器14の両側に感温センサ16と加熱感温センサ17とが位置するように配置形成されている。
【0028】
渦検出器14は、渦検出のためのセンサであって、ここでは受圧センサが用いられている。渦検出器14は、測定管12内の渦発生体13の下流側に配置される受圧板(センサ受圧板)21を有している。渦検出器14は、振動管22内に圧電素子或いは歪みゲージを有する圧力検出素子板を備えている。渦検出器14は、渦発生体13により生じるカルマン渦に基づく変動圧力(交番圧力)を受圧板21において検出するように構成されている。受圧板21は、振動管22の一端から伸びるように配置形成されている。振動管22は、連結筒部19に差し込まれ、受圧板21のみが測定管12内に突出するように取り付けられている。受圧板21の配置は一例であるものとする。
【0029】
振動管22の他端には、鍔部23が形成されている。鍔部23は、軸部5の内部に差し込まれた渦検出器14を固定するために形成されている。鍔部23と軸部5との間には、Oリング24が挟まれている。Oリング24は、軸部5の内部への被測定流体の浸入を防ぐために設けられている。渦検出器14には、渦検出器14からの信号を出力するための伝送線25が設けられている。伝送線25の一端は、モールド材でモールドされたモールド部26によって渦検出器14の端部に固定されるとともに保護されている。伝送線25は、電力を得るため、及び流量変換器8側にセンサ出力を伝送するために設けられている。
【0030】
軸部5の内部には、リング状の間座27及びさらバネ28と、筒状の間座29とが設けられている。これらは、渦検出器14を押さえ付けるために設けられており、軸部5の開口部に螺合する貫通タイプの止めネジ30によって保持されている。軸部5には、周側壁を軸方向に貫通する貫通孔31が二つ形成されている。尚、貫通孔31については後述する。軸部5には、プローブ案内筒10のフランジ11に合わせて円形の固定部6が固着されている。固定部6は、本発明のマルチ渦流量計1を流管2に対して固定するための部分であって、プローブ案内筒10のフランジ11との間にパッキン32を挟み込んだ状態でボルト33により締め付けられるように形成されている。固定部6には、流量変換器8に対する取付筒部34が形成されている。
【0031】
渦式検出手段15は、測定管12と渦発生体13と渦検出器14の受圧板21とを流管2に挿入して、流管2内を流動する被測定流体の流速又は流量を求めるために設けられている。流管2内を流動する被測定流体の流速又は流量は、測定管12内を流れる被測定流体の流速又は流量を、流管2の部分流速又は部分流量として算出することにより求められている。これは、流管2の管断面の全体ではなく、その一部について測定しても、流れが均一ならば、その全体流量を推定することができることに基づいている。すなわち、直管を流れる整流された流体の流速分布は、レイノルズ数の関数として与えられるので、流管2の中心部から或る距離の位置での流速を流管2内の平均流速に換算することができる。
【0032】
熱式検出手段18を構成する感温センサ16及び加熱感温センサ17は、共に既知のものが用いられている。ここでは、具体的な構成について、その説明を省略する。本形態の感温センサ16は、棒状の温度センサであり、同じく棒状の加熱感温センサ17は、温度センサと加熱センサの機能を有する流速センサ(ヒータ)であるものとする。感温センサ16及び加熱感温センサ17は、その先端側が感温部分35、中間が固定部分36として構成されている。感温センサ16及び加熱感温センサ17は、軸部5の貫通孔31にそれぞれ差し込まれて固定されている。
【0033】
感温センサ16及び加熱感温センサ17の各感温部分35は、流管2の流路9に突出しており、最先端部分は温度センサ保持部20によって保持されている。各感温部分35は、測定管12の近傍に配置されている。感温センサ16及び加熱感温センサ17は、渦検出器14と共に横一列に並んで配置されている(配置は一例であるものとする。渦検出に影響を来さないように配置すれば他でもよいものとする)。尚、感温センサ16及び加熱感温センサ17の各感温部分35を温度センサ保持部20から更に突出するように長くしてもよいものとする(外部から流管2に伝わる熱の作用を避けるため)。
【0034】
感温センサ16及び加熱感温センサ17の後端側は、固定部6における取付筒部34の内側から突出して流量変換器8の内部に差し込まれている。感温センサ16及び加熱感温センサ17は、貫通孔31の開口縁部に取り付けたOリング(符号省略)によってシールされている。引用符号37はOリング押さえを示している。Oリング押さえ37は、ネジ止めによって取付筒部34の内側に固定されている。Oリング押さえ37には、特に符号を付さないが、感温センサ16及び加熱感温センサ17に対する貫通孔と、伝送線25に対する引き出し用の貫通孔とが形成されている。
【0035】
流量変換器8は、アダプタ38を介して取付筒部34の端部に取り付けられている。流量変換器8は、変換器ケース39を有している。その変換器ケース39の内部には、アンプボード40が取り付けられている。アンプボード40には、感温センサ16及び加熱感温センサ17の各リードと、渦検出器14の伝送線25とが接続されている。感温センサ16及び加熱感温センサ17と伝送線25は、変換器ケース39を貫通して内部に引き込まれている。感温センサ16及び加熱感温センサ17と伝送線25は、Oリング(符号省略)によってシールされている。引用符号41はネジ止めによって変換器ケース39の内側に固定されるOリング押さえを示している。感温センサ16及び加熱感温センサ17と渦検出器14とアンプボード40は、流量計測部及び流量演算部としての機能を有している。変換器ケース39の開口部分には、スイッチボード42やディスプレイボード43を有する本体カバー44がパッキン(符号省略)を挟んだ状態で取り付けられている。変換器ケース39の一側壁には、伝送ケーブル45が接続されている。
【0036】
上記構成及び構造において、本発明のマルチ渦流量計1は、流管2の流路9を流れる被測定流体の流れの状況に応じて渦流量計の機能と熱式流量計の機能とが使い分けられるようになっている。すなわち、微少流量域や低流量域では、熱式流量計の機能によって計測がなされ、高流量域では、渦流量計の機能によって計測がなされるようになっている。尚、本発明のマルチ渦流量計1は、熱式流量計の機能における高流量域計測と、渦流量計の機能における低流量域計測とがある程度ラップするようになっており、流量変換器8で切り換えが行われるようになっている。
【0037】
先ず、微少流量域や低流量域を計測する際の作用、すなわち、熱式流量計の機能によって計測を行う場合の作用を説明する。加熱感温センサ17は、感温センサ16で検出された温度に基づいて流量計測を行う。すなわち、本発明のマルチ渦流量計1の流量計測部及び流量演算部では、感温センサ16と加熱感温センサ17との温度差が一定(例えば+30℃)になるように、加熱感温センサ17を加熱する(電流を流す)とともに、その加熱に係る電流値から質量流量を算出する。算出された質量流量は、所定の単位に換算された後に、本体カバー44の上部に設けられた表示部に表示、又は伝送ケーブル45で送信されて図示しない表示装置に表示される。
【0038】
上記質量流量の算出について補足説明すると、被測定流体(図示省略)を矢線P方向に流したときに、加熱感温センサ17は被測定流体によって冷やされる。感温センサ16との温度差を一定に制御するためには、さらに加熱感温センサ17に電流を流す必要がある。この時、加熱感温センサ17に流れる電流は、質量流量に比例することが知られており、これを利用して質量流量が算出される。
【0039】
次に、渦流量計の機能によって計測を行う場合の作用を説明する。渦発生体13により生じるカルマン渦に基づく変動圧力(交番圧力)を受圧板21において検出する。そして、渦検出器14における検出値から測定管12内を流れる被測定流体の流速又は流量を、流管2の部分流速又は部分流量として算出し、流管2内を流れる被測定流体の流速又は流量(容積流量)を算出するする。算出された流速又は流量は、所定の単位に換算された後に、本体カバー44の上部に設けられた表示部に表示、又は伝送ケーブル45で送信されて図示しない表示装置に表示される。
【0040】
以上、図1ないし図5を参照しながら説明してきたように、本発明のマルチ渦流量計1は、ゼロや微少流量から大流量まで精度よく被測定流体の流量を計測することができる(流量レンジが1:500程度まで拡大することが可能)。また、本発明のマルチ渦流量計1は、渦流量計と熱式流量計とを各々別個に設けるよりも、コスト、設置スペース等の面で効果的なものになる。さらに、本発明のマルチ渦流量計1は、挿入式の流量計であることから構成を小さくすることができる。さらにまた、本発明のマルチ渦流量計1は、挿入式の流量計であることから、既存配管への設置が容易となって設置コストの低減を図ることができる。さらにまた、本発明のマルチ渦流量計1は、挿入式の流量計であることから安価に提供することができる。
【0041】
その他、本発明は本発明の主旨を変えない範囲で種々変更実施可能なことは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明のマルチ渦流量計の一実施の形態を示す断面図である。
【図2】図1の要部拡大図である。
【図3】検出部の側面図である。
【図4】検出部の断面図である。
【図5】検出部の底面図である。
【符号の説明】
【0043】
1 マルチ渦流量計
2 流管
3 穴
4 検出部
5 軸部
6 固定部
7 プローブ部
8 流量変換器
9 流路
10 プローブ案内筒
11 フランジ
12 測定管
13 渦発生体
14 渦検出器
15 渦式検出手段
16 感温センサ
17 加熱感温センサ
18 熱式検出手段
19 連結筒部
20 温度センサ保持部
21 受圧板
22 振動管
23 鍔部
24 Oリング
25 伝送線
26 モールド部
27、29 間座
28 さらバネ
30 止めネジ
31 貫通孔
32 パッキン
33 ボルト
34 取付筒部
35 感温部分
36 固定部分
37、41 Oリング押さえ
38 アダプタ
39 変換器ケース
40 アンプボード
42 スイッチボード
43 ディスプレイボード
44 本体カバー
45 伝送ケーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流管の流路に設けられて被測定流体を通過させる測定管と、前記被測定流体の流れに対向するように前記測定管に設けられる渦発生体と、該渦発生体により生じるカルマン渦に基づく変化を検出する渦検出器とを有する渦式検出手段を備えるとともに、前記流路に突出する感温センサ及び加熱感温センサを有する熱式検出手段を備え、さらには、前記感温センサと前記加熱感温センサとの温度差を一定にするための前記加熱感温センサの加熱に係る電力供給量制御を行い、その電力量から前記被測定流体の流量を算出及び前記渦検出器の検出値から前記被測定流体の流量を算出する流量変換器を備える
ことを特徴とするマルチ渦流量計。
【請求項2】
請求項1に記載のマルチ渦流量計において、
前記感温センサ及び前記加熱感温センサを前記測定管の近傍に配置するとともに、該測定管には前記感温センサ及び前記加熱感温センサを保持する温度センサ保持部を設ける
ことを特徴とするマルチ渦流量計。
【請求項3】
請求項2に記載のマルチ渦流量計において、
前記測定管と前記温度センサ保持部とを一体化し一部品で形成する
ことを特徴とするマルチ渦流量計。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3いずれか記載のマルチ渦流量計において、
前記感温センサと前記加熱感温センサの各先端の配置を、前記流管の中央又は中央周辺部分にする
ことを特徴とするマルチ渦流量計。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4いずれか記載のマルチ渦流量計において、
前記流管にあけた穴に対して前記渦式検出手段及び前記熱式検出手段を挿抜自在に形成する
ことを特徴とするマルチ渦流量計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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