説明

マルチ軸ワークピースチャック

【課題】多次元で調節可能な材料ワークピースのチャックの必要性が存在する。
【解決手段】マルチ軸チャックを位置決めする方法である。マルチ軸チャックを第1位置に対して回転する信号を受ける工程;マルチ軸チャックを第2位置に対して回転する工程;第1位置に対する該第2位置を比較する工程;および第2位置が第1位置でないと決定がなされた場合には、マルチ軸チャックを再び位置決めする工程;を包含する。前記回転する工程が、少なくとも一つのモータを使用すること、を包含する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、ワークピースを保持し、それを切断のため異なる方向に配向する装置に関する。より詳細には、本発明は、マイクロトームなどの切断装置での組織標本を保持するためなどのチャックに関する。そのチャックは、少なくとも2つの実質的に直交する軸回りに回転可能である。
【背景技術】
【0002】
切断のために、組織のワークピースを保持するマイクロトームチャックの種々の形態が知られている。例えば、公知のマイクロトームは、組織標本のブロックを切断操作のため特定の配向に保持するチャックを組み込んでいる。一実施例では、該チャックは、別の固定された配向に、マウントされた組織標本を保持しながら、ブレードに対して移動する。
【0003】
公知のマイクロトームチャックの一つの欠点は、保持された組織標本ブロックの位置ぎめが限定されることである。不均一な組織標本が提供されるところでは、これは、所望の組織切片を順番に得るために、チャック上での組織標本ブロックの除去および手動の再配向を要求し得る。これは、同様に材料の浪費につながる。
【0004】
いくつかの公知のマイクロトームチャックは、仮に回転可能であるとしても、一つの方向にだけ回転可能である。さらに、仮に、実験室作業者が、組織チャックを当初の又は以前の位置へ戻すことを望む場合には、組織チャックを当初の又は以前の位置へ正確に戻すことは難しい。
【0005】
典型的な公知のマイクロトームチャックの他の欠点は、回転可能なチャックの回転中心が、チャックにて位置決めされており、それは切断面からかなりの距離離れていることである。このことは、組織チャックの調節の際に、組織標本を切断ブレードから向きを変えることになる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、多次元で調節可能な材料ワークピースのチャックの必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のマルチ軸チャックは、表面を受ける基板を有する第1部であって、該基板は切断領域回りに回転可能な表面を受ける第1部;該第1部に操作可能に連結される第2部;および該第2部に操作可能に連結される第3部;を有し、該第1部は該第1軸回りに実質的に回転可能であり、該第2部は該第2軸回りに実質的に回転可能である。
【0008】
一実施形態では、前記切断領域回りに第1部の回転度数を示す第1程度スケール、および該第1程度スケール上で、該切断領域回りに第1部の回転度数を示す第1程度指示器を、さらに有する。
【0009】
一実施形態では、前記第1程度スケールが前記第2部上に配置され、前記第1程度指示器が前記第1部上に配置されている。
【0010】
一実施形態では、前記第1部および前記切断領域回りの第2部の回転度数を示す第2程度スケール、および前記第1部および前記切断領域回りの第2部の回転度数を、該第2程度スケール上で示す第2程度指示器、をさらに有する。
【0011】
一実施形態では、前記第2程度スケールが前記第3部上に配置され、前記第2程度指示器が前記第2部上に配置されている。
【0012】
一実施形態では、前記第1軸に実質的に平行である第1部の第2平面の少なくとも一部に沿って配置された第1合致部;および該第1軸に実質的に平行である第2部の一方の側面の少なくとも一部に沿って配置された第2合致部をさらに有し、該第1合致部が該第2合致部に合致する。
【0013】
一実施形態では、前記第1合致部は突出する湾曲トラックを有し、前記第2合致部は凹部湾曲トラックを有する。
【0014】
一実施形態では、前記第2軸に平行である第2部の第2の側面の少なくとも一部に沿って配置された第3合致部;および該第2軸に平行である第3部の側面の一方の側面の少なくとも一部に沿って配置された第4合致部をさらに有し、該第3合致部が該第4合致部に合致する。
【0015】
一実施形態では、前記第3合致部は突出する湾曲トラックを有し、前記第4合致部は凹部湾曲トラックを有する。
【0016】
一実施形態では、前記切断領域は、実質的にマルチ軸チャックの切断平面に配置されている。
【0017】
一実施形態では、前記切断領域の回りに前記第1部および前記第2部を回転させる少なくとも一つのモータをさらに有する。
【0018】
一実施形態では、前記第1部および前記第2部の少なくとも一つの位置を検知する少なくとも一つのセンサをさらに有する。
【0019】
一実施形態では、使用者が、前記少なくとも一つのモータを使用して、前記切断領域の回りに前記第1部および前記第2部を回転させるコントローラをさらに有する。
【0020】
一実施形態では、前記コントローラが前記第1部および前記第2部のためのゼロ位置を記憶し、使用者からのゼロ位置の指令を受けることで前記少なくとも一つのセンサがゼロ位置を感知するまで、該第1部および該第2部を回転させる。
【0021】
一実施形態では、前記コントローラが、前記第1部および前記第2部のための少なくとも一つの位置を記憶する。
【0022】
一実施形態では、前記コントローラは、使用者が、前記第1部および前記第2部を少なくとも一つの位置へ戻すことができるようにする。
【0023】
一実施形態では、前記第1部および前記第2部を少なくとも一つの位置にロックするロック機構をさらに有する。
【0024】
一実施形態では、前記ロック機構は、永久磁石ソレノイドを有する。
【0025】
一実施形態では、前記基板が組織標本を有する。
【0026】
一実施形態では、前記切断領域が、切断領域上の実質的にポイントからなる。
【0027】
一実施形態では、前記第1軸が、前記第2軸と実質的に直交する。
【0028】
一実施形態では、前記第1軸と前記第2軸とが、前記表面を受ける基板に近接して実質的に固定された位置で交差する。
【0029】
一実施形態では、前記第1軸と前記第2軸とが、前記表面を受ける基板上に実質的に固定された位置で交差する。
【0030】
本発明のマルチ軸チャックを位置決めする方法は、マルチ軸チャックを第1位置に対して回転する信号を受ける工程;該マルチ軸チャックを第2位置に対して回転する工程;該第1位置に対する該第2位置を比較する工程;および該第2位置が該第1位置でないと決定がなされた場合には、マルチ軸チャックを再び位置決めする工程;を包含する。
【0031】
一実施形態では、前記回転する工程が、少なくとも一つのモータを使用すること、を包含する。
【0032】
一実施形態では、前記少なくとも一つのモータが、コントローラを使用する使用者によって制御される。
【0033】
一実施形態では、前記比較する工程が、前記コントローラと連係する少なくとも一つのセンサを使用する。
【0034】
本発明のマルチ軸チャックを位置決めするシステムであって、マルチ軸チャック;該マルチ軸チャックを位置決めするための該マルチ軸チャックに操作可能に連結された少なくとも一つのモータ;該少なくとも一つのモータを使用して、該マルチ軸チャックを、使用者が位置決めできるようにする、少なくとも一つのモータに操作可能に連結されたコントローラ;および該少なくとも一つのモータおよび該マルチ軸チャックの位置を検知するコントローラに操作可能に連結された少なくとも一つのセンサ;を有する。
(発明の要旨)
本発明は、マルチ軸ワークピースチャックを提供することにより、公知の組織ブロックチャックの欠点をかなりの程度軽減する。本発明によれば、チャックは、チャックに対して実質的に固定された配向で、組織標本ブロックのようなワークピースを保持する取り付けアセンブリを提供する。
【0035】
該チャックは、モータで駆動され、少なくとも二つ(2)の軸回りで回転可能である。該チャックは、好ましくは、モータと連係するコントローラを使用して好ましくは回転可能である。使用者は該コントローラを操作する。使用者は、コントローラを使用してチャックの所望の位置を入力する。一以上のセンサが、チャックの特定位置を感知するために使用され得る。一実施形態によれば、各軸は、チャックの中間の名目上の位置および最終位置を検出する三つの(3)センサを有する。使用者は、チャックを所望位置に回転させるようモータを指令するコントローラを使用して、チャックの動きを制御する。該コントローラはセンサと連係し、特定位置に到達しているか否かを決定する。使用者は、特定位置が所望とする位置に合致(マッチ)するまで、モータがチャックを回転するようにし得る。
【0036】
該チャックは、少なくとも二つの直交する軸の回りに回転可能である第1部および第2部を有する。該第1部は、第1軸回りで、かつ第2部に独立して回転する。第2軸回りの第2部の回転はまた、第1部を第2軸回りに回転させるようにする。このことが、チャックを多次元で回転できるようにする。
【0037】
本発明のこれらおよび他の特徴および利点は、以下の本発明の詳細な説明を検討し、同様な参照数字は全体を通して同じ部分に関連する添付図面をも参照することにより明らかとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
(発明の詳細な説明)
以下の段落で、本発明を添付の図面を参照した実施例により説明する。本明細書の全体を通して、示した好ましい実施形態および実施例は、本発明を限定するというよりも、具体例として考慮されるべきである。ここで使用するように、"本発明"は、ここに記載の本発明の実施形態のいずれか及びあらゆる均等物のいずれかの一つに言及している。さらに、この明細書を通した本発明の様々な局面は、全てのクレームした実施形態および方法が参照局面を含まなければならないことを意味しない。
【0039】
図1は、本発明の一実施形態によるマルチ軸チャック10を示す。該マルチ軸チャック10は、取り付けエレメントを含み、つまり、第1部12、第2部14、および第3部16を含む。その正面部12は表面18および切断領域20を受ける基板を有する。
【0040】
第1部12の後ろ側は第2部14の正面側に近接し、第2部14の後ろ側は第3部16の正面側に近接している。該表面18を受ける基板は、例えば、組織標本を受けるために使用され得る。マルチ軸チャックは、表面18を受ける基板上および切断領域20内で、組織のスライスが顕微鏡下でスライスの試験のための公知のメカニズムを使用して組織のスライスが切断され得るように、組織標本を維持するために使用され得る。表面18を受ける基板は、前部12にスロットとして形成され得る。表面18を受ける基板は標本ホルダー22を受けることができる。
【0041】
第2部14は、好ましくは、切断領域20の第1軸回りの第1部12の回転の度数を示す第1程度スケール26を有する。第1部12は、好ましくは第1程度指示器28を有する。該第1程度指示器28は、第1程度スケール26に、切断領域20の第1軸回りの第1部12の回転の度数を示す。一実施形態では、切断領域20は、マルチ軸チャック10が回転する切断領域20に又は近接したポイントからなる。
【0042】
ロッキング機構30も提供され得る。該ロッキング機構30は、標本ホルダー22をマルチ軸チャック10にロックするために使用され得る。コントローラ(図示せず)を使用してマルチ軸チャック10を回転した後に、他のロッキング機構が所望位置にあるマルチ軸チャック10をロックするために係合し得る。このロッキング機構は、第1部、第2部および第3部12−16を、摩擦又は公知の他の方法でロックする、例えば永久磁石ソレノイド、ギヤモータ、又は回転ハンドルであり得る。
【0043】
一実施形態によれば、第2部14および第3部16に独立して、第1部12は切断領域20の第1軸の回りに回転する。すなわち、第1部12は、第2部14又は第3部16のいずれかの移動なしで回転し得る。さらに、第2部14が切断領域20の第2軸の回りで回転するとき、これは第1部12を第2部14と同じ方向へ回転するようにする。好ましくは、第3部16は静止したままである。
【0044】
第3部16は、好ましくは、切断領域20の第2軸回りの第1部12および第2部14の回転度数を示す第2程度スケール32を有する。第2部14は、好ましくは、第2程度指示器34を有する。該第2程度指示器34は、第2程度スケール32上で、切断領域20の第2軸回りの第1部12および第2部14の回転程度を示す。好ましくは、該第2軸は第1軸と直交する。
【0045】
本発明の一実施形態によれば、第1部12、第2部14、および第3部16は、それぞれ突出し、および窪んで湾曲したトラック36a−36b,38a−38bを使用し、互いに関して移動する。第1部12および第2部14の後ろ側は、突出した湾曲トラック36a,36bをそれぞれ有し、それは第2部14および第3部16の前側にそれぞれ設けられた凹んだ湾曲トラック38a、38bに一致する。その突出した湾曲トラック36aは、第1部12が第2部14および第3部16に独立して切断領域20の回りに回転し得るように、設計され得る。
【0046】
第1部12の突出した湾曲トラック36aの少なくとも一部は、第2部14の凹んだ湾曲トラック38bに入る。該突出した湾曲トラック36aは、窪んだ湾曲トラック38bに沿って移動し、第1部12が切断領域20の第1軸回りで回転するようにする。第2部14の突出した湾曲トラック36aの少なくとも一部は、第3部16の凹んだ湾曲トラック38bに入る。突出した湾曲トラック36aは、窪んだ湾曲トラック38bに沿って移動し、切断領域20の第2軸回りで第2部14が回転するようにする。しかし、第2部14および第1部12は、操作可能に連結される。従って、第2部14が回転するとき、これは第1部12をも回転させる。本発明の一実施形態によれば、第2軸は第1軸に実質的に直交する。
【0047】
図2は、図1で示すマルチ軸チャック10の前面/側面図である。図2は、マルチ軸チャック10を回転するために使用され得る、コントローラ42、センサ44a、44b、およびモータ46a,46bを示す。一実施形態によれば、センサ44a、44bはそれぞれ、マルチ軸チャック10の極端および中心位置を感知するために使用される三つの独立したセンサを有する。モータ46a,46bは、該コントローラ42およびセンサ44a、44bと連係している。該センサ44a、44bは、それぞれモータ46a,46bに操作可能に接続される。そのセンサ44aおよび対応するモータ46aは、第1部12に操作可能に接続される。センサ44aは、第1部12の位置を感知するために使用される。モータ46aは使用者が所望とする位置に第1軸回りで第1部12を回転するために使用される。センサ44bは第1部および第2部14の位置を感知するために使用される。モータ46bは、使用者が所望とする位置に第2軸回りで第1部12および第2部14を回転するために使用される。一実施形態によれば、マルチ軸チャック10は、第1軸および第2軸の一つの回りでマルチ軸チャック10の回転を各々制御する二つのモータを有する。好ましくは、三つのセンサが、第1軸および第2軸の回りでマルチ軸チャック10の位置を感知する第1軸および第2軸のそれぞれに沿って設けられている。
【0048】
一実施形態によれば、コントローラ42がマルチ軸チャック10のゼロ位置を記憶し得る。ゼロ位置は、例えば、ホーム位置又は開始位置であり得、そこでマルチ軸チャック10の第1部12および第2部14が、最も共通又は開始位置で位置決めされる。例えば、第1部12および第2部14が切断領域20から回転がゼロ度での位置決めされるとき、開始位置になり。ゼロ位置は、第1軸および第2軸回りの回転の度数に基づくことができる。
【0049】
他の実施形態によれば、コントローラ42は、使用者がマルチ軸チャック10を早く位置決めし得るように、コントローラ42のメモリに多数の位置を記憶し得る。モータは、コントローラ42がマルチ軸チャック10の位置を識別し、そして使用者が特定位置でマルチ軸チャック10をすばやく位置決めするためにマルチ軸チャック10の多数の位置を記憶する、エンコーダを有し得る。使用者はコントローラメモリーから、例えば、選択可能メニューなどを使用し、記録された位置を回収し得る。例えば、かりに使用者が位置(第1部12での第1軸回りの回転程度が2、および第1部12および第2部14の第2軸回りの回転程度が6)が最も頻繁に使用されることを決定すると、使用者はこの位置をコントローラ42へ記憶し得る。
【0050】
この位置は、例えば、位置へのショートカットキーを指定することにより、呼び出すことができ、おそらくその名前をショートカットキーと指定する。例えば、かりにコントローラ42が従来のコンピュータキーボードを有する場合には、F1ファンクションキーはゼロ位置に指定でき、そこでは第1部12および第2部14は、第1軸および第2軸回りの回転の度数がゼロであり、F2ファンクションキーは共通に使用される位置ショットカットキーとして指定され得る。若しくは、キーまたは数字キー入力の組み合わせが使用され得る。例えば、シフトZキーの組み合わせは、ゼロ位置ショートカットキーとして使用され得、12の入力は共通に使用された位置ショートカットキーとして使用され得る。
【0051】
一実施形態によれば、コントローラは、さらにマルチ軸チャックの極端の位置を記憶し得る。例えば、コントローラは第1軸回りの第1部の回転の最大程度を記憶し得、および第2軸回りの第1部および第2部の回転の最大程度を記憶し得る。これらの極端な位置は、使用者がこれらの極端な位置での部分をすばやく位置決めできるように、ショートカットキーとして、さらに指定し得る。
【0052】
マルチ軸チャック10の使用者は、コントローラ42を使用して、マルチ軸チャック10を所望の位置に位置決めし得る。該所望位置は、例えば、ジョイスチックコントローラ、4方向のキーパッド又はプロセッサーのキーパッドを使用する所定軸回りの回転の特定の程度を使用して入力し得る。使用者はコントローラ42を使用して第1部12及び/又は第1部および第2部14を回転し得る。使用者は、ジョイスチックを移動して、部分12,14が所望位置方向へ回転するように部分12,14の回転を開始し得る。
【0053】
若しくは、使用者はコントローラ42と連係する複数のキーパッドを使用して切断領域20回りの部分の回転の度数を入力し得る。この回転の度数は、第1程度スケール26、第2程度スケール32又は両方の数に相当することができる。例えば、使用者はコントローラ42へ、第1程度スケール26に沿って第1部12として3程度の時計回りの回転を入力でき、および第2程度スケール32に沿って第1部12および第2部14として5程度の反時計回りの回転を入力し得る。一実施形態によれば、使用者は、また、例えば、コントローラ42と関連するキーボード上での矢印キーなどの方向キーを使用して、部分12,14を回転し得る。使用者は、例えば、上記部分(単数または複数)が所望の位置となるまで、矢印キーを押圧しおよび保持し得る。
【0054】
図3は、本発明の一実施形態によるマルチ軸チャックを回転する方法を示す。回転信号はコントローラで受け取る、ステップ102。マルチ軸チャックは、第1位置から第2位置へ回転する、ステップ104。コントローラは、第2位置が所望位置(使用者がコントローラを使用して入力した)に合致しているか否かを決定する、ステップ106。かりに、決定が、第2位置が所望位置に合致していないとされる場合には、マルチ軸チャックは回転し得る、ステップ104。回転および決定の各ステップは、第2位置が所望位置に合致するまで繰り返される。第2位置が所望位置に合致していると決定がなされた後に、マルチ軸チャックは回転を停止する、ステップ108。
【0055】
一実施形態によれば、コントローラはマルチ軸チャックが停止した位置の予め決められた数を記憶し得る。これは、マルチ軸チャックが停止した前の位置を繰り返すために使用し得る。例えば、かりに使用者がマルチ軸チャックの位置の順序が、所望の組織標本を得るために助けになると決定する場合は、使用者はコントローラに位置の順序を繰り返すよう指示し得る。これは、例えば、開始位置と停止位置などでコントローラに指令を入力することにより、開始位置および停止位置を示し、マルチ軸チャックが停止する位置の順序をコントローラに自動的に記録させることによって、なされる。
【0056】
このようにして、マルチ軸チャックが提供されることがわかる。当業者は、本明細書に限定ではなく説明のために記載した好ましい実施形態以外でも、本発明が実施され得、本発明は特許請求の範囲のみに限定されることを理解する。本明細書に説明した具体的な実施形態の均等は本発明と同様に実施し得ることに注意される。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明のマルチ軸チャックは、様々な適用に使用され得る。例えば、マルチ軸チャックは、ベンチートップマイクロトームとの組み合わせにおいて使用し得る。マルチ軸チャックは、例えば、マイクロトームが組織の一部を平らにしかつ細かくスライスするために使用し得るなどのように、組織標本を所望位置にかつ所望角度に位置決めするために使用され得る。
【0058】
マルチ軸チャックはまた低温維持装置とともに使用され得る。マルチ軸チャックは−20℃又はそれ以下の冷凍状態で維持する必要がある組織標本を位置決めする低温維持装置内に配置され得る。マルチ軸チャックは、組織標本の平らで細かくスライスされた部分を得るために組織標本をより良く位置決めするために使用され得る。
【0059】
マルチ軸チャックは、さらに以前と実質的に同じ角度で、以前に切断されたブロックを再び切除し得る。これは、コントローラの記憶位置適合性および位置フィードバックによるものである。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】図1は本発明の一実施形態のマルチ軸チャックの平面/側面図である。
【図2】図2は本発明の一実施形態のマルチ軸チャックの正面/側面図である。
【図3】図3は本発明の一実施形態のマルチ軸チャックを回転する方法の概略ブロックダイヤグラムである。
【符号の説明】
【0061】
10 マルチ軸チャック
12 第1部
14 第2部
16 第3部
18 表面
20 切断領域
22 標本ホルダー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチ軸チャックを位置決めする方法であって、
マルチ軸チャックを第1位置に対して回転する信号を受ける工程;
該マルチ軸チャックを第2位置に対して回転する工程;
該第1位置に対する該第2位置を比較する工程;および
該第2位置が該第1位置でないと決定がなされた場合には、マルチ軸チャックを再び位置決めする工程;
を包含する方法。
【請求項2】
前記回転する工程が、少なくとも一つのモータを使用すること、を包含する請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも一つのモータが、コントローラを使用する使用者によって制御される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記比較する工程が、前記コントローラと連係する少なくとも一つのセンサを使用する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
図面に記載のように、マルチ軸チャックを位置決めする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−271049(P2009−271049A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−208788(P2008−208788)
【出願日】平成20年8月13日(2008.8.13)
【分割の表示】特願2007−242930(P2007−242930)の分割
【原出願日】平成16年12月16日(2004.12.16)
【出願人】(504462571)サクラ ファインテック ユー.エス.エー., インコーポレイテッド (19)
【Fターム(参考)】