説明

マルチ電池パックシステム及び制御方法、電池パック

【課題】本発明は、マルチ電池パックシステムに備えられる多数の電池パックが自らマスターとスレーブとを設定するマルチ電池パックシステム及び制御方法、電池パックを提供することをその目的とする。
【解決手段】上記した本発明によるマルチ電池パックシステムを構成する電池パックの制御方法は、起動信号またはマスター設定メッセージの受信に応じて上記通信ラインのレベルが第1所定時間第1レベルを維持するかをチェックする第1段階;上記通信ラインのレベルが第1所定時間第1レベルを維持すれば、第2所定時間第2レベルの信号を上記通信ラインに出力し自らをマスター電池パックに設定する第2段階を含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池パックに関するものであって、さらに詳しくは、多数の電池パックが自らマスター電池パックとスレーブ電池パックとに設定するマルチ電池パックシステム及び制御方法、電池パックに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、携帯電話やノートPC、デジタルカメラなどの携帯型電子機器は電源として充電式の複数のセルを内蔵した電池パックを用いる。
【0003】
最近、複数の電池パックを並列連結して携帯型電子機器の安定した動作を保証するための十分な用量を提供するとともに、種々の携帯型電子機器に対応できるようにするマルチ電池パックシステムが提案されている。
【0004】
上記マルチ電池パックシステムは内蔵される電池パックの数を可変可能に具現されることによって上記マルチ電池パックシステムの制御が複雑な問題があった。
【0005】
このような問題を解消するための多様な方案が提示されており、例えば、日本特許第3405526号に開示された複数電池パックの電源装置がある。上記複数電池パックの電源装置は複数の電池パックそれぞれが複数のセルと充放電状態の検出や充放電の制御を行うための回路を内蔵し、一つをマスター電池パック、その残りをスレーブ電池パックに構成して、上記マスター電池パックは上記スレーブ電池パックに対して通信により上記充放電状態を示すデータを送信要求し、全体のデータを管理し、上記充放電状態を判定し、コマンドを送信し、充放電制御を行い、上記スレーブ電池パックはデータ要求に従って充放電状態を示すデータを送信し、コマンドを受信し、充放電を行うことを特徴とする。
【0006】
上述した従来技術によれば、マスター電池パックが複数のスレーブ電池パックに対する充放電を制御するように構成されているので、上記マスター電池パックが脱着またはマスター電池パックの完全放電などを理由にしてマスター電池パックが正常動作しない場合には、上記マスター電池パックだけでなくスレーブ電池パックの制御まで不可能になる問題があった。また誤ってマスター電池パックを多数設定する場合にも、該当するマルチ電池パックシステムが正常に動作しない問題があった。
【0007】
またマスター電池パックの設置位置を固定した場合にも、上記マスター電池パックの設置位置に設けられた上記マスター電池パックが脱着またはマスター電池パックの完全放電などを理由にしてマスター電池パックが正常動作しない場合には、上記マスター電池パックだけでなくスレーブ電池パックの制御まで不可能になる問題があった。
【0008】
これによってマルチ電池パックシステムに備えられる多数の電池パックが自らマスターとスレーブとを設定することができるようにする技術の開発が切実に要望された。
【0009】
また上記マスター電池パックの不在または誤動作時にも多数の電池パックが自らマスターとスレーブとを再設定しマルチ電池パックシステムが正常動作できるようにする技術の開発が切実に要望された。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上述した従来の問題点を克服するためのものであって、マルチ電池パックシステムに備えられる多数の電池パックが自らマスターとスレーブとを設定するマルチ電池パックシステム及び制御方法、電池パックを提供することをその目的とする。
【0011】
本発明の他の目的は、マスター電池パックの不在または誤動作時にも多数の電池パックが自らマスターとスレーブとを再設定しマルチ電池パックシステムが正常動作できるようにするマルチ電池パックシステム及び制御方法、電池パックを提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成し従来技術の問題点を解決するための本発明によるマルチ電池パックシステムを構成する電池パックの制御方法は、起動信号またはマスター設定メッセージの受信に応じて上記通信ラインのレベルが第1所定時間第1レベルを維持するかをチェックする第1段階;上記通信ラインのレベルが第1所定時間第1レベルを維持すれば、第2所定時間第2レベルの信号を上記通信ラインに出力し自らをマスター電池パックに設定する第2段階を含むことを特徴とする。
【0013】
本発明は、マルチ電池パックシステムに備えられる多数の電池パックが自らマスターとスレーブとを設定しマスター電池パックの脱着または誤動作などが発生してもマルチ電池パックシステムが正常動作できる。
【0014】
また本発明は、マルチ電池パックシステムの使用中にマスター電池パックが脱着または誤動作する場合にマスターとスレーブとの設定を再実行することで、マルチ電池パックシステムが安定して動作できる。
【発明の効果】
【0015】
上述のように本発明は、マルチ電池パックシステムに備えられる多数の電池パックが起動時またはマスター及びスレーブ設定要求時に自らマスターとスレーブとを決めるので、マスターとスレーブとを固定させておくことで発生する諸問題を予め防止することができる。
【0016】
上述した本発明は、マルチ電池パックシステムの使用中にマスター電池パックが脱着されるか誤動作する場合にも速かにマスターとスレーブとを再設定することで、マルチ電池パックを補修しなくてもマルチ電池パックが正常に動作できる。
【0017】
このように本発明は、マルチ電池パックシステムに備えられる多数の電池パックが自らマスター及びスレーブを設定するので、電池パックの装着または脱着の柔軟性を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の上記及びその他目的、特徴及び長所は、以下に添付する図面と詳細な説明とによってより明確になる。
【0019】
以下、本発明の望ましい実施例を図面を参照しながら詳しく説明する。
【0020】
このような本発明の望ましい実施例によるマルチ電池パックシステムの構成を図1を参照しながら説明する。
【0021】
上記マルチ電池パックシステムは、第1ないし第N電池パック100〜Nから構成される。
【0022】
第1ないし第N電池パック100〜Nは、起動時またはマスター再設定要求メッセージの受信時に本発明の望ましい実施例によるマスター及びスレーブ設定プロセスを行う。
【0023】
上記マスター及びスレーブ設定プロセスに従ってマスター電池パックに設定された電池パックは通信ラインを通じてスレーブ電池パックと通信し、スレーブ電池パックの制御を行う。
【0024】
さらに詳しくは、マスター電池パックは所定時間が経過する度にスレーブ電池パックに全体電圧(TTLV)を要請し、上記要請に従って上記スレーブ電池パックが全体電圧(TTLV)を提供すれば、自らの全体電圧(TTLV)と上記スレーブ電池パックの全体電圧(TTLV)とに基づいて目標電圧(TGTTLV)を算出し、上記目標電圧(TGTTLV)をスレーブ電池パックに伝送する。
【0025】
以後、上記マスター電池パックは上記目標電圧(TGTTLV)と自らの全体電圧(TTLV)とを比べその結果に従ってセルグループと出力端子間を連結または解除する。特にマスター電池パックは、充電または放電モードに従ってスイッチング部のスイッチング素子を選択的に制御する。
【0026】
そして、スレーブ電池パックはマスター電池パックから目標電圧(TGTTLV)が提供されれば、上記目標電圧(TGTTLV)と自らの全体電圧(TTLV)とを比べその結果に従ってセルグループと出力端子間を連結または解除する。特にスレーブ電池パックは、充電または放電モードに従ってスイッチング部のスイッチング素子を選択的に制御する。
【0027】
ここで、マスター電池パック及びスレーブ電池パック自らのスイッチング部がセルグループと出力端子(V+、V−)間を連結するときに、各電池パックは出力端子(V+、V−)を基準にして並列接続される。
【0028】
上記した第1ないし第N電池パック100〜Nの構成及び動作は同一であるので、以下何れか一つの電池パックに対する構成のみを図2を参照しながら詳しく説明する。
【0029】
電池パックの制御部200は、起動時またはマスター再設定メッセージの受信時に、通信ラインのレベルが第1所定時間(RXTH)第1レベル(ハイ)であるかをチェックする。第1所定時間(RXTH)第1レベル(ハイ)であれば制御部200はマスター電池パックが不在していると判断し、自らがマスターであることを示す第2レベル(ロー)の信号を第2所定時間(TXLTA)通信ラインに出力する。上記第2レベル(ロー)の信号を第2所定時間(TXLTA)通信ラインに出力した後、制御部200はまた第1レベル(ハイ)の信号を通信ラインに出力し、通信ラインのレベルが第1レベル(ハイ)であるかをチェックする。上記通信ラインのレベルが第1レベル(ハイ)であれば、制御部200は他の電池パックによるマスター設定試みがないと判断し、自らをマスター電池パックに設定し、マスター電池パック設定メッセージを他の電池パックに通知する。
【0030】
ここで、上記第1所定時間(RXTH)は120[msec]に設定され、レベルの持続状態を確認するための周期は通信フォーマットの1[bit]の長さより十分に短くする。
【0031】
そして、上記第2所定時間(TXLTA)は電池パックごとに相異なるように設定するが、これは同時に多数の電池パックがマスター設定試みを行っても何れか一つの電池パックのみがマスターに設定され得るようにするためである。
【0032】
もし、制御部200が通信ラインに出力する信号を第2レベル(ロー)から第1レベル(ハイ)に変更したにもかかわらず、上記通信ラインのレベルが第2レベル(ロー)であれば他の電池パックによるマスター設定試みがあると判断し、他の電池パックからのマスター電池パック設定メッセージの受信を待機してから上記メッセージに従って自らをスレーブ電池パックに設定する。
【0033】
また制御部200は、起動時またはマスター再設定メッセージの受信時に、通信ラインのレベルが第1所定時間(RXTH)第1レベル(ハイ)でなければ、他の電池パックによるマスター設定試みがあると判断し、他の電池パックからのマスター電池パック設定メッセージの受信を待機してから上記メッセージに従って自らをスレーブ電池パックに設定する。
【0034】
上述した実施例にひきかえ第2レベル(ロー)からまず第1レベル(ハイ)に切り替えたパックがマスター電池パックに設定され、上記電池パックがマスター電池パックに設定されれば残りの電池パックはマスター電池パックでの設定試みなくスレーブ電池パックに設定されるように具現できることは本発明によって当業者に自明である。
【0035】
また制御部200は、自らがマスター電池パックに設定される場合に、スレーブ電池パックから自らの全体電圧(TTLV)を提供され、マスター自らの全体電圧(TTLV)をセル電圧及び電流検出回路202から提供され、全体電池パックに対する目標電圧(TGTTLV)を算出し、上記算出された目標電圧(TGTTLV)をスレーブ電池パックに伝送するとともに、上記目標電圧(TGTTLV)に応じてスイッチング部206を制御する。
【0036】
また制御部200は、自らがスレーブ電池パックに設定される場合に、マスター電池パックの要請に従って自らの全体電圧(TTLV)を伝送し、マスター電池パックから提供される目標電圧(TGTTLV)に応じてスイッチング部206を制御する。
【0037】
また制御部200は、通信ラインを通じて他の電池パックと連結されRS232に準ずるシリアル通信を行う。
【0038】
本発明による通信フォーマットはスタート1ビット、データ8ビット、終了1ビットから構成され、通信速度は9600[bps]である。ここで、本発明の望ましい実施例においては、RS232に準ずるシリアル通信のみを例示したが、I2Cなど多様な通信方式が採用され得ることは本発明に基づいて当業者に自明である。
【0039】
また本発明の望ましい実施例においては、通信ラインを通じてマスター及びスレーブ設定プロセスを行ったが、マスター及びスレーブ設定のための専用ラインを別途で備え、本発明によるマスター及びスレーブ設定プロセスを行うようにすることも本発明に基づいて当業者に自明である。
【0040】
また制御部200は、セル電圧及び電流検出回路202からセルグループ204に属する多数のセル(Cell1〜Cell8)それぞれに対する電圧検出値を提供され合算して自らの全体電圧(TTLV)を算出する。
【0041】
また制御部200は、自らの全体電圧(TTLV)が目標電圧(TGTTLV)に対応すれば、多数のセル(Cell1〜Cell8)が直列連結されたセルグループ204の両端と出力端(V+、V−)とが連結されるようにスイッチング部206を制御する。
【0042】
スイッチング部206は、セルグループ204と出力端子(V+)との間に直列連結された充電用スイッチング素子(CFET)及び放電用スイッチング素子(DFET)と、スイッチング素子制御部208から構成される。スイッチング素子制御部208は、制御部200の制御に従って充電用スイッチング素子(CFET)と放電用スイッチング素子(DFET)とを制御する。すなわち、充電モードである場合には充電用スイッチング素子(CFET)をオンし、放電モードである場合には放電用スイッチング素子(DFET)をオンする。このように構成されるスイッチング部206の構成及び動作は電池パックにおいては既に普遍化された技術であって、日本特開平10‐321535号に開示されているのでその詳細な説明は省略する。
【0043】
セル電圧及び電流検出回路202は、セルグループ204に属する多数のセル(Cell1〜Cell8)それぞれに対する電圧及び電流を検出し制御部200のAD端子にそれぞれ入力する。特に、電流センシング抵抗(R)はセルグループ204と出力端子間に直列連結され、セル電圧及び電流検出回路202は電流センシング抵抗(R)の両端の電圧を通じて電流をセンシングする。
【0044】
セルグループ204は、直列連結された多数の充電可能なセル(Cell1〜Cell8)から構成される。
【0045】
以下、本発明の望ましい実施例によるマスター及びスレーブの設定方法を図3の流れ図を参照しながら説明する。
【0046】
起動(WAKE‐UP)時またはマスター再設定メッセージの受信時に第1ないし第N電池パック100〜Nの各制御部200は通信ラインのレベルが第1所定時間(RXHT)第1レベル(ハイ)であるかをチェックする(300段階)。
【0047】
上記通信ラインのレベルが第2レベル(ロー)であるか第1所定時間(RXHT)第1レベル(ハイ)でなければ、第1ないし第N電池パック100〜Nの各制御部200は他の電池パックによるマスター設定試みがあると判断し、他の電池パックからマスター電池パック設定メッセージが受信されるかをチェックし、上記マスター電池パック設定メッセージが受信されれば自らをスレーブ電池パックに設定した後終了する(312、314段階)。
【0048】
上記通信ラインのレベルが第1所定時間(RXTH)第1レベル(ハイ)であれば、第1ないし第N電池パック100〜Nの各制御部200は現在状態では他の電池パックからのマスター電池パック設定試みがないと判断し、自らに与えられた第2所定時間(TXLTA)第2レベル(ロー)の信号を通信ラインに出力し、上記第2所定時間(TXLTA)が経過すれば上記通信ラインに第1レベル(ハイ)の信号を出力する(302、304段階)。
【0049】
以後、第1ないし第N電池パック100〜Nの各制御部200は上記通信ラインのレベルが第2レベル(ロー)であるかをチェックする(306段階)。ここで、多数の電池パックが同時にマスター設定試みを行っても電池パックごとに互いに異なる第2所定時間(TXLTA)が与えられるので、他の電池パックによるマスター設定試みによって上記通信ラインのレベルが第2レベル(ロー)に維持され得る。
【0050】
上記通信ラインのレベルが第2レベル(ロー)であれば、第1ないし第N電池パック100〜Nのうち何れか一つの電池パックの制御部200は他の電池パックによるマスター設定試みがあると判断し他の電池パックからマスター電池パック設定メッセージが受信されるかをチェックし、上記マスター電池パック設定メッセージが受信されれば自らをスレーブ電池パックに設定した後終了する(312、314段階)。
【0051】
これとは異なり、上記通信ラインのレベルが第1レベル(ハイ)であれば、第1ないし第N電池パック100〜Nのうち何れか一つの電池パックの制御部200は他の電池パックによるマスター設定試みがないと判断し、自らをマスター電池パックに設定しマスター電池パック設定メッセージを他の電池パックに伝送する(308、310段階)。
【0052】
このように本発明は、マルチ電池パックシステムに備えられる多数の電池パックが起動時またはマスター及びスレーブ設定の要求時に自らマスターとスレーブとを決めるので、マスターとスレーブとを固定させておくことで発生する諸問題を予め防止することができる。
【0053】
上記した本発明はマルチ電池パックシステムの使用中にマスター電池パックが脱着されるか誤動作する場合にも、速かにマスターとスレーブとを再設定することができる。
【0054】
よって、マスター電池パックの不在を確認しマスター及びスレーブ再設定プロセスを行う過程を図4を参照しながら詳しく説明する。
【0055】
スレーブ電池パックのうち何れか一つの電池パックの制御部200は内部タイマー(図示せず)により計数された第3所定時間が経過する度にマスター電池パックにマスター確認メッセージを伝送する(400、402段階)。ここで、上記マスター確認メッセージを受信したマスター電池パックの制御部は上記マスター確認メッセージに従って第2レベルの信号を通信ラインに出力する。
【0056】
上記マスター確認メッセージを伝送した後、スレーブ電池パックのうち何れか一つの電池パックの制御部200は通信ラインのレベルが第1所定時間(RXHT)第1レベル(ハイ)であるかをチェックする(404段階)。
【0057】
上記通信ラインのレベルが第1所定時間(RXHT)第1レベル(ハイ)でなければ、スレーブ電池パックのうち何れか一つの電池パックの制御部200はマスター再設定メッセージを全体電池パック100〜Nに伝送した後、図4によるマスター再設定プロセスを行う(406、408段階)。
【0058】
このような本発明による動作を図5の波形図を参照しながら詳しく説明する。
【0059】
図5の(A)によれば、何れか一つの電池パックは、起動後通信ラインのレベルが第1所定時間(RXHT)第1レベル(ハイ)であれば、第2所定時間(TXLTA)第2レベルの信号を出力した後通信ラインがレベルを確認した後自らをマスター電池パックに設定し、残りのスレーブ電池パックの充放電を制御する。ここで、何れか一つの電池パックは第2所定時間(TXLTA)が他の電池パックに比べて短ければスレーブ電池パックに設定され、第2所定時間(TXLTA)が他の電池パックに比べて長ければマスター電池パックに設定される。すなわち、第2所定時間(TXLTA)が最も長い電池パックがマスター電池パックに設定される。
【0060】
図5の(B)は、第1所定時間(RXTH)以内に第2レベル(ロー)に移動する電池パックの場合の通信ライン波形図である。このような場合に、何れか一つの電池パック自らが第2レベル(ロー)に移動したが、他の電池パックが第1レベル(ハイ)を維持する場合、マスター設定試みがあると判断し、自らはスレーブ電池パックに設定する。言い換えれば、第1所定時間(RXTH)第1レベル(ハイ)を維持すればマスター電池パックに設定される。
【0061】
図5の(C)は、スタートが他の電池パックより遅い場合の通信ラインの波形図である。この場合スタートが遅い電池パックは第1レベル(ハイ)期間の時間が確認できないのでスレーブに設定される。
【0062】
図5の(D)は、何れか一つの電池パックを後挿する場合の通信ラインの波形図である。
【0063】
上記後挿された電池パックは起動後通信ラインのレベルが第1所定時間(RXHT)第1レベル(ハイ)であるかを確認するが、上記後挿によって上記第1所定時間(RXHT)が経過する前に他の電池パックがマスター設定試みを行う。この場合、上記何れか一つの電池パックはスレーブ電池パックに設定する。
【0064】
図5の(E)は、何れか一つの電池パックのマスター設定試みによって通信ラインに第2レベル(ロー)の信号が出力される状態で、他の電池パックが起動した場合の通信ラインの波形図である。
【0065】
上記マスター設定試み中に起動した電池パックは起動後通信ラインのレベルが第1所定時間(RXHT)第1レベル(ハイ)であるかを確認するが、既に上記何れか一つの電池パックによって上記通信ラインのレベルが第2レベルに変更されるので、上記何れか一つの電池パックは自らをスレーブ電池パックに設定する。
【0066】
図5の(F)は、電池パック間の通信によって通信ラインのレベルが第1レベル(ハイ)になる時に何れか一つの電池パックが起動した場合の通信ラインの波形図である。
【0067】
上記電池パック間の通信によって通信ラインのレベルが第1レベル(ハイ)に持続される時間は第1所定時間及び第2所定時間より短いので、上記通信中挿入された電池パックは自らをスレーブ電池パックに設定する。
【0068】
上記した本発明の実施例は多様なコンピューターで具現される動作を行うためのプログラム命令を含むコンピューターで読み取り可能な媒体を含む。上記コンピューターで読み取り可能な媒体は、プログラム命令、データファイル、データ構造などを単独でまたは組み合わせて含むことができる。上記媒体のプログラム命令は、本発明のために特別に設計され構成されたものであるか、または、コンピューターソフトウェア当業者に公知のものであり得る。
【0069】
以上のように、本発明は、限定された実施例と図面とによって説明されたが、本発明は上記の実施例によって限定されず、本発明が属する技術分野において通常の知識を持つ者であればこのような記載から多様な修正及び変形が可能なのは言うまでもない。従って、本発明思想は以下に記載された特許請求範囲によってのみ把握されるべきであって、これの均等または等価的変形の全ては本発明思想の範囲に属する。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】図1は、本発明の望ましい実施例によるマルチ電池パックシステムの構成図である。
【図2】図2は、本発明の望ましい実施例による電池パックの詳細構成図である。
【図3】図3は、本発明の望ましい実施例によるマスター及びスレーブ設定方法の流れ図である。
【図4】図4は、本発明の望ましい実施例によるマスター不在検出方法の流れ図である。
【図5】図5は、本発明の望ましい実施例による通信ラインの波形図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数の電池パックとマルチ電池パックシステムを構成する電池パックにおいて、
上記多数の他の電池パックとの通信経路を提供する通信ライン;及び
起動信号またはマスター設定メッセージの受信に応じて上記通信ラインのレベルが第1所定時間第1レベルを維持するかをチェックし、
上記通信ラインのレベルが第1所定時間第1レベルを維持すれば、第2所定時間第2レベルの信号を上記通信ラインに出力し、
自らをマスター電池パックに設定する制御部を含むことを特徴とする電池パック。
【請求項2】
上記制御部が、
起動信号またはマスター設定メッセージの受信に応じて上記通信ラインのレベルが第1所定時間第1レベルを維持するかをチェックし、
上記通信ラインのレベルが第1所定時間第1レベルを維持すれば、第2所定時間第2レベルの信号を上記通信ラインに出力し、
上記第2所定時間が経過すればまた第1レベルの信号を上記通信ラインに出力するとともに上記通信ラインのレベルが第1レベルであるかをチェックし、
上記通信ラインのレベルが第1レベルであれば自らをマスター電池パックに設定することを特徴とする請求項1に記載の電池パック。
【請求項3】
上記第2所定時間は電池パックごとに相異なるように設定されることを特徴とする請求項2に記載の電池パック。
【請求項4】
上記制御部が、
起動信号またはマスター設定メッセージの受信に応じて上記通信ラインのレベルが第1所定時間第1レベルが維持されなかったか、
上記第2所定時間の経過につれて第1レベルの信号を上記通信ラインに出力した場合に上記通信ラインのレベルが第1レベルでなければ、
自らをスレーブ電池パックに設定することを特徴とする請求項1ないし請求項3のうち何れか一項に記載の電池パック。
【請求項5】
上記制御部が、
上記スレーブ電池パックに設定されれば、
所定時間ごとにマスター電池パックにマスター確認メッセージを送信し、
上記マスター確認メッセージに従って通信ラインのレベルが所定レベルなのかをチェックし、
上記通信ラインのレベルが所定レベルでなければマスター再設定メッセージを上記多数の電池パックに伝送することを特徴とする請求項4に記載の電池パック。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のうち何れか一項に記載の電池パックを複数備えることを特徴とするマルチ電池パックシステム。
【請求項7】
マルチ電池パックシステムを構成する電池パックの制御方法において、
起動信号またはマスター設定メッセージの受信に応じて上記通信ラインのレベルが第1所定時間第1レベルを維持するかをチェックする第1段階;
上記通信ラインのレベルが第1所定時間第1レベルを維持すれば、第2所定時間第2レベルの信号を上記通信ラインに出力し自らをマスター電池パックに設定する第2段階を含むことを特徴とする電池パック制御方法。
【請求項8】
上記第2段階が、
上記通信ラインのレベルが第1所定時間第1レベルを維持すれば、第2所定時間第2レベルの信号を上記通信ラインに出力する段階;
上記第2所定時間が経過すればまた第1レベルの信号を上記通信ラインに出力するとともに上記通信ラインのレベルが第1レベルなのかをチェックする段階;
上記通信ラインのレベルが第1レベルであれば自らをマスター電池パックに設定する段階から構成されることを特徴とする請求項7に記載の電池パック制御方法。
【請求項9】
上記第2所定時間は電池パックごとに相異なるように設定されることを特徴とする請求項8に記載の電池パック制御方法。
【請求項10】
起動信号またはマスター設定メッセージの受信に応じて上記通信ラインのレベルが第1所定時間第1レベルが維持されなかったか、
上記第2所定時間の経過につれて第1レベルの信号を上記通信ラインに出力した場合に上記通信ラインのレベルが第1レベルでなければ、
自らをスレーブ電池パックに設定する段階をさらに含むことを特徴とする請求項7ないし請求項9のうち何れか一項に記載の電池パック制御方法。
【請求項11】
上記スレーブ電池パックに設定されれば、
所定時間ごとにマスター電池パックにマスター確認メッセージを送信し、
上記マスター確認メッセージに従って通信ラインのレベルが所定レベルなのかをチェックし、
上記通信ラインのレベルが所定レベルでなければマスター再設定メッセージを上記多数の電池パックに伝送する段階をさらに含むことを特徴とする請求項10に記載の電池パック制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2009−513095(P2009−513095A)
【公表日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−536501(P2008−536501)
【出願日】平成18年10月20日(2006.10.20)
【国際出願番号】PCT/KR2006/004280
【国際公開番号】WO2007/046657
【国際公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【出願人】(500239823)エルジー・ケム・リミテッド (1,221)
【Fターム(参考)】