説明

マンコンベアの照明信号電源装置

【課題】 客先電源設備から照明信号用電源の供給を不要にでき、運転、休止の状態に関係なく照明信号回路、装置に電源が供給でき、省エネルギーを可能とするマンコンベアの照明信号電源装置を得る。
【解決手段】 動力用電源と照明信号電源の二種類の電源を必要とするマンコンベアにおいて、マンコンベアの駆動機の回転部に設けられた発電機19と、発電機が発生する電力を蓄電する蓄電装置21と、蓄電装置に設けられ、照明信号回路および装置に電力を供給する電力供給手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、エスカレータ、移動歩道等のマンコンベアの照明や信号に使用する電源装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のマンコンベアの電源装置においては、動力用電源には三相交流電源AC200VまたはAC400Vを、また照明信号用電源には単相交流電源AC100Vを必要とし、それら二種類の電源を客先から供給するという構成にしている(例えば、特許文献1参照)。客先電源設備から動力用電源と照明信号用電源をマンコンベアに供給し、客先から照明信号用電源の供給がない場合は、マンコンベア内部で動力用電源から変圧器を設けて照明信号用電源を作っている。動力用電源は運転制御回路を経由してステップや移動手摺の駆動に使用している。また照明信号用電源は、照明信号回路を経由して手摺下照明、コムライト、ステップ下照明、アナウンス装置、給油装置、表示灯、保守用電源等に使用している。
【0003】
【特許文献1】特開平3−26695号公報(第2頁、第4図、第5図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、マンコンベアは客先から動力用電源と照明信号用電源の二種類の電源を供給することになっているので、客先では二種類の電源設備を備える必要があり、このため、設備費用や配線の問題があった。また二種類の電源を供給できない客先においては、マンコンベア内部に変圧器を設けなければならないため、マンコンベアの変圧器設置スペースやコスト増加の問題があった。
さらに休止中に照明や表示灯を点灯させる場合、客先電源設備からの電力供給が必要であるため、省エネルギーが困難である。特許文献1記載のものでは、発電体が回転しているマンコンベア運転中のみ照明が点灯する構成となっているため、休止中の点灯が要求された場合は対応することができなかった。
【0005】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、その目的は、客先電源設備から照明信号用電源の供給を不要にでき、運転、休止の状態に関係なく照明信号回路、装置に電源が供給でき、省エネルギーを可能とするマンコンベアの照明信号電源装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係るマンコンベアの照明信号電源装置においては、動力用電源と照明信号電源の二種類の電源を必要とするマンコンベアにおいて、マンコンベアの駆動機の回転部に設けられた発電機と、発電機が発生する電力を蓄電する蓄電装置と、蓄電装置に設けられ、照明信号回路および装置に電力を供給する電力供給手段とを備えたものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、客先電源設備から照明信号用電源の供給を不要にでき、運転、休止の状態に関係なく照明信号回路、装置に電源が供給でき、省エネルギーを図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1におけるマンコンベアの照明信号電源装置を示す概略図、図2はこの発明の実施の形態1におけるマンコンベアの照明信号電源装置の蓄電装置を示す詳細図である。
図1において、1は客先電源設備から供給されるマンコンベアの動力用電源、3は動力用電源1に接続されたマンコンベア制御装置、5は動力遮断器、6は動力遮断器5に接続された運転制御回路、6aはモータ回路開閉器、7はモータ回路開閉器6aに接続されたマンコンベア駆動用モータ、8はマンコンベア駆動機減速機、9は速度検出器、10は照明信号回路遮断器、11は照明信号制御回路、11aは給油装置開閉器、11bはアナウンス装置開閉器、11cはコムライト開閉器、11dは手摺下照明開閉器、11eはステップ下照明開閉器、11fは表示灯開閉器であり、各開閉器11a〜11fは照明信号回路遮断器10に接続されている。12は手摺下照明、13はコムライト照明、14はステップ下照明、15はアナウンス装置、16は給油装置、17は表示灯であり、それぞれの開閉器11a〜11fに接続されている。18は保守用電源、19はマンコンベア駆動機減速機8の回転軸にベルト20を介して設けられた発電機である。この発電機19の出力は蓄電装置21に接続され、蓄電装置21の出力は照明信号電源回路の遮断器10に接続されている。
このように構成されたマンコンベアの照明信号電源装置においては、マンコンベアに運転指令が入り、駆動用モータ7が始動すると、モータ7と連結された減速機8が回転することにより、ベルト20を介して発電機19が回転して電力を出す。この電力は蓄電装置21を経由して照明信号回路に供給されると共に蓄電装置21内部のバッテリーに蓄電される。
【0009】
上記蓄電装置21は、図2に示すように、発電供給リレー21a、充電器21b、バッテリー21c、インバータ21d、給電切換リレー21e、蓄電制御回路21fから構成されている。この蓄電装置21においては、駆動機減速機8に付加されている速度検出器9から得られる運転速度信号9aに基づいて、照明信号回路への供給ならびにバッテリー21cの充電と照明信号回路への給電(バッテリー21cの放電)を発電供給リレー21aと給電切換リレー21eとで切り換えている。なお、上記発電供給リレー21a、給電切換リレー21e及び蓄電制御回路21fは、照明信号回路および装置に電力を供給する電力供給手段を構成している。
運転制御回路6から運転指令が出力され、速度検出器9の速度検出値が所定速度に達しているか否かを運転制御回路6で判定し、判定結果である運転休止信号22が運転制御回路6から蓄電装置21の蓄電制御回路21fに伝達される。蓄電制御回路21fは、運転休止信号22に基づいて、発電供給リレー21aと給電切換リレー21eを動作させることにより、照明信号回路への供給ならびにバッテリー21cの充電と照明信号回路への給電(バッテリー21cの放電)を行う。
【0010】
運転制御回路6から運転指令が出力され、速度検出器9の速度検出値が所定速度に達している場合は、運転休止信号22が運転となるため、蓄電制御回路21fは発電供給リレー21aと給電切換リレー21eをオンさせて、発電機19の電力を照明信号回路へ供給すると共に、充電器21bを動作させてバッテリー21cを充電する。また運転制御回路6から運転指令が出力され、速度検出器9からの速度検出値が所定速度に達していなければ、運転休止信号22が休止となるため、蓄電制御回路21fは発電供給リレー21aと給電切換リレー21eをオフさせると共に、充電器21bの動作を止めて、インバータ21dを動作させることにより、バッテリー21cの電力を照明信号回路へ供給する。
【0011】
したがって、マンコンベアが休止中、照明信号回路の電力が蓄電装置21のバッテリー21cから供給されるため、手摺下照明12やコムライト照明13やステップ下照明14を点灯させることができ、アナウンス装置15からのアナウンス発報や表示灯17を点灯させることができる。さらに保守作業中の保守用電源18を有効に使用することもできる。
【0012】
以上説明した通り、マンコンベア運転中の発電機19による電力を照明信号回路に供給すると共に、畜電装置21のバッテリー21cに充電するため、客先電源設備からの照明信号電源の供給は不要にでき、運転、休止に拘らずマンコンベアの照明信号回路、機器を有効に使うことができる。さらにマンコンベアで発生した回転エネルギーを照明信号回路、機器の電力に活用することにより省エネルギーが可能となる。
【0013】
実施の形態2.
なお、上記実施の形態1では、マンコンベアの照明信号電源装置の蓄電装置21を運転休止信号に基づいて動作するように構成したが、図3のように構成してもよく、このような構成によっても同様の動作を行わせることができる。
【0014】
図3はこの発明の実施の形態2におけるマンコンベアの照明信号電源装置の蓄電装置を示す詳細図である。
図3において、21a〜21fは実施の形態1の場合と同一の構成である。23は電圧検出回路である。発電機19の出力は蓄電装置21の電圧検出回路23に接続され、発電機19の出力電圧が所定電圧に達しているか否かを電圧検出回路23で検出判定し、判定した結果が蓄電制御回路21fに伝達される。蓄電制御回路21fは電圧検出回路23の判定結果に基づいて、発電供給リレー21aと給電切換リレー21eを動作させることにより、照明信号回路への供給ならびにバッテリー21cの充電と照明信号回路への給電(バッテリー21cの放電)を行う。
【0015】
発電機19の出力電圧が所定電圧に達している場合は、蓄電制御回路21fは発電供給リレー21aと給電切換リレー21eをオンさせて、発電機19の電力を照明信号回路へ供給すると共に、充電器21bを動作させてバッテリー21cを充電する。また発電機19の出力電圧が所定電圧に達していなければ、蓄電制御回路21fは発電供給リレー21aと給電切換リレー21eをオフさせると共に、充電器21bの動作を止めて、インバータ21dを動作させることにより、バッテリー21cの電力を照明信号回路へ供給する。
【0016】
このような構成では、発電機19の出力をチェックしているため、発電機19が故障して出力不能となった場合でも照明信号回路への給電ができる。
【0017】
ところで上記説明では、この発明をマンコンベアにおける商用電源によるモータ運転回路に利用する場合について述べたが、その他の電力変換器によるモータ運転回路にも利用できることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】この発明の実施の形態1におけるマンコンベアの照明信号電源装置を示す概略図である。
【図2】この発明の実施の形態1におけるマンコンベアの照明信号電源装置の蓄電装置を示す詳細図である。
【図3】この発明の実施の形態2におけるマンコンベアの照明信号電源装置の蓄電装置を示す詳細図である。
【符号の説明】
【0019】
1 動力用電源
3 マンコンベア制御装置
5 動力遮断器
6 運転制御回路
6a モータ回路開閉器
7 マンコンベア駆動用モータ
8 マンコンベア駆動機減速機
9 速度検出器
10 照明信号回路遮断器
11 照明信号制御回路
11a 給油装置開閉器
11b アナウンス装置開閉器
11c コムライト開閉器
11d 手摺下照明開閉器
11e ステップ下照明開閉器
11f 表示灯開閉器
12 手摺下照明
13 コムライト照明
14 ステップ下照明
15 アナウンス装置
16 給油装置
17 表示灯
18 保守用電源
19 発電機
20 ベルト
21 蓄電装置
21a 発電供給リレー
21b 充電器
21c バッテリー
21d インバータ
21e 給電切換リレー
21f 蓄電制御回路
22 運転休止信号
23 電圧検出回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動力用電源と照明信号電源の二種類の電源を必要とするマンコンベアにおいて、
マンコンベアの駆動機の回転部に設けられた発電機と、
前記発電機が発生する電力を蓄電する蓄電装置と、
前記蓄電装置に設けられ、照明信号回路および装置に電力を供給する電力供給手段と、 を備えたことを特徴とするマンコンベアの照明信号電源装置。
【請求項2】
蓄電装置は、蓄電器、バッテリー、インバータを備えていることを特徴とする請求項1記載のマンコンベアの照明信号電源装置。
【請求項3】
蓄電装置は、駆動機の回転部に付加する速度検出器から得られる速度信号を基に、照明信号回路への給電、およびバッテリーの充放電を切換えることを特徴とする請求項2記載のマンコンベアの照明信号電源装置。
【請求項4】
蓄電装置は、蓄電器、バッテリー、インバータ、発電機の出力電圧を検出する電圧検出装置を備えていることを特徴とする請求項1記載のマンコンベアの照明信号電源装置。
【請求項5】
蓄電装置は、発電機の出力電圧を基に、照明信号回路への給電、およびバッテリーの充放電を切換えることを特徴とする請求項4記載のマンコンベアの照明信号電源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−137507(P2006−137507A)
【公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−326438(P2004−326438)
【出願日】平成16年11月10日(2004.11.10)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】