説明

マンコンベアシステム

【課題】マンコンベアおよび固定通路の下を有効に活用できるとともに、固定通路があたかも空中に浮いているような外観を得ることができ、意匠的な面でも優れているマンコンベアシステムを得ることにある。
【解決手段】マンコンベアシステムは、マンコンベア1および固定通路2を備えている。マンコンベア1は、左側トラス10および右側トラス11を有する架台3と、複数の可動ステップ24を無端走行体を介して無端状に連結することにより構成され、駆動装置からの動力伝達により左側トラス10と右側トラス11との間で無端走行する可動ステップ列23とを備えている。固定ステップ31は、マンコンベア1の架台3から架台3の側方に向けて水平に突出するとともに、可動ステップ列23の走行方向に沿って配列されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人を運搬するエスカレータおよび移動歩道のようなマンコンベアに、階段あるいは歩道のような固定通路を付設したマンコンベアシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば百貨店、ストアのような商業施設あるいは交通機関のターミナルのような不特定多数の人が利用する施設では、マンコンベアとしてのエスカレータの脇に階段を付設することが多い。
【0003】
従来のエスカレータは、例えば特許文献1に開示されているように、基礎構造体となる架台と、この架台に沿って無端走行する可動ステップ列と、上記架台に支持された欄干とを備えている。
【0004】
架台は、左側トラスおよび右側トラスを有するとともに、建屋の下階と上階との間に亘って斜めに架け渡されている。可動ステップ列は、人が乗る複数の踏段を有し、これら踏段が踏段チェーンを介して無端状に連結されている。可動ステップ列は、架台の上部に設置した駆動装置からの動力伝達により、架台の左側トラスと右側トラスとの間を上り方向又は下り方向に無端走行するようになっている。
【0005】
さらに、欄干は、左側トラスの上端および右側トラスの上端から立ち上がるとともに、架台の全長に亘って延びている。欄干の外周縁部に手すりベルトが装着されている。手すりベルトは、可動ステップ列に乗り込んだ人が掴まれるように可動ステップ列と同期して無端走行する。
【0006】
一方、階段は、複数の踏板を有している。踏板は、建屋の下階から上階に向けて所定の段差を有して配列されている。従来の階段は、下階のフロアから起立する複数の支柱により支えられて、エスカレータの可動ステップ列と略同じ高さ位置で下階と上階との間を結んでいる。
【0007】
したがって、エスカレータの脇に位置する階段は、エスカレータとは荷重的に切り離された状態にあり、階段を上り下りする人の荷重の多くは、踏板および支柱が受け止めるようになっている。
【特許文献1】特開2002−68650号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
エスカレータは、その基礎構造体となる架台が建屋の下階のフロアと上階のフロアとの間に跨って架け渡されている。そのため、エスカレータの下は、人が自由に往来できるような何もない空間となっている。
【0009】
これに対し、エスカレータの脇に位置する階段は、下階のフロアから突出する複数の支柱によって支えられている。言い換えると、下階のフロアとの階段との間に複数の支柱が位置するので、これら支柱の存在により階段の下の開放感が失われるのを否めない。
【0010】
この結果、階段の下のスペースを有効に活用することができなくなるとともに、階段周りの意匠的な面からしても今一歩改善の余地が残されている。
【0011】
本発明の目的は、マンコンベアおよび固定通路の下を有効に活用できるとともに、固定通路があたかも空中に浮いているような外観を得ることができ、意匠的な面でも優れているマンコンベアシステムを得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、本発明の一つの形態に係るマンコンベアシステムは、
マンコンベアおよび固定通路を含んでいる。マンコンベアは、(1)左側トラスおよび右側トラスを有する架台と、(2)複数の可動ステップを無端走行体を介して無端状に連結することにより構成され、駆動装置からの動力伝達により上記左側トラスと上記右側トラスとの間で無端走行する可動ステップ列と、を備えている。
固定通路は、上記マンコンベアの架台から上記架台の側方に向けて水平に突出する複数の固定ステップを有し、これら固定ステップが上記可動ステップ列の走行方向に沿って配列されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、固定通路をマンコンベアの架台で支えることができる。そのため、マンコンベアおよび固定通路の下を有効に活用できるとともに、固定通路があたかも空中に浮いているような不思議な外観を得ることができ、意匠的な面でも好都合となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下本発明の第1の実施の形態を、図1ないし図6に基づいて説明する。
【0015】
マンコンベアシステムは、マンコンベアの一例であるエスカレータ1と、固定通路としての固定階段2とを備えている。図1に概略的に示すように、エスカレータ1は、基礎構造体としての架台3を備えている。架台3は、下階のフロア1Fに据え付けられる下階側水平部4と、上階のフロア2Fに据え付けられる上階側水平部5と、下階側水平部4と上階側水平部5との間を結ぶ傾斜部6とで構成されている。
【0016】
下階側水平部4の端部に第1の支持金具7が固定されている。第1の支持金具7は、架台3の幅方向に延びるとともに、下階のフロア1Fに支持されている。上階側水平部5の端部に第2の支持金具8が固定されている。第2の支持金具8は、架台3の幅方向に延びるとともに、上階のフロア2Fに支持されている。
【0017】
さらに、図1および図2に示すように、架台3の上階側水平部5および傾斜部6は、下階のフロア1Fと上階のフロア2Fとの間の空間Sに位置している。架台3の左側面、右側面および底面は、夫々外装パネル9によって覆われている。
【0018】
図2および図4に示すように、架台3は、左側トラス10および右側トラス11を有している。左側トラス10および右側トラス11は、エスカレータ1の幅方向に所定の間隔を存して向かい合っている。
【0019】
左側トラス10は、上部主弦材12、下部主弦材13および複数の縦桟14を互いに溶接又はボルト締めすることで組み立てられている。上部主弦材12および下部主弦材13は、架台3の高さ方向に間隔を存して並んでいる。縦桟14は、上部主弦材12と下部主弦材13との間に架け渡されている。
【0020】
同様に、右側トラス11は、上部主弦材15、下部主弦材16および複数の縦桟17を互いに溶接又はボルト締めすることで組み立てられている。上部主弦材15および下部主弦材16は、架台3の高さ方向に間隔を存して並んでいる。縦桟17は、上部主弦材15と下部主弦材16との間に架け渡されている。
【0021】
左右のトラス10,11の縦桟17としては、棒材、パネル材あるいは棒材とパネル材を組み合わせた構造体を用いることができる。特に下階と上階との間に跨る架台3の傾斜部6では、曲げ荷重に対抗するため、棒材とパネル材とを組み合わせた縦桟17を用いることが望ましい。
【0022】
図5および図6に示すように、左側トラス10の下部主弦材13にステップ受け材18aが取り付けられている。同様に、右側トラス11の下部主弦材16にステップ受け材18bが取り付けられている。ステップ受け材18a,18bは、架台3の傾斜部6に対応する箇所に設けられているとともに、傾斜部6に沿って真っ直ぐに延びている。ステップ受け材18a,18bは、溶接あるいはボルト締め等のような公知の手段で下部主弦材13,16の側面に固定されて、下部主弦材13,16の下方に張り出している。そのため、ステップ受け材18a,18bは、左右のトラス10,11を構成する要素の一部となっている。
【0023】
図1に示すように、架台3の下階側水平部4に左右の従動スプロケット19(一方のみを図示)が支持されている。架台3の上階側水平部5にモータおよび減速機を有する駆動装置20と左右の駆動スプロケット21(一方のみを図示)が支持されている。駆動装置20の出力端と一方の駆動スプロケット21との間に駆動チェーン22が巻き掛けられている。駆動装置20から出力されるトルクは、駆動チェーン22を介して駆動スプロケット21に伝達され、これにより駆動スプロケット21が回転する。
【0024】
架台3の左側トラス10と右側トラス11との間に可動ステップ列23が収容されている。可動ステップ列23は、人が乗り込む複数の踏段24と、これら踏段24を等間隔に連結する左右の踏段チェーン25(一方のみを図示)とを備えている。
【0025】
踏段24は、可動ステップの一例であって、夫々左右の前輪26a,26bおよび左右の後輪(図示せず)を備えている。前輪26a,26bおよび後輪は、踏段24の左右の側面の外側に位置している。踏段チェーン25は、無端走行体の一例であって、従動スプロケット19と駆動スプロケット21との間に無端状に巻き掛けられている。
【0026】
そのため、可動ステップ列23は、人を運搬する往路23aと、往路23aの下を通る復路23bとを有し、これら往路23aと復路23bとの間に架台3の高さ方向に沿う隙間Gが形成されている。
【0027】
図4ないし図6に示すように、左側トラス10の内側および右側トラス11の内側に、夫々前輪26a,26bが接するガイドレール27a,27bと、後輪が接するガイドレール(図示せず)が支持されている。ガイドレール27a,27bは、可動ステップ列23の往路23aおよび復路23bに沿って延びている。
【0028】
駆動スプロケット21が駆動装置20からのトルクを受けて回転すると、踏段チェーン25が無端走行する。これにより、踏段24がガイドレール27a,27bに沿って走行し、踏段24の上に乗り込んだ人を下階のフロアF1から上階のフロアF2又は上階のフロアF2から下階のフロアF1に向けて運搬するようになっている。
【0029】
なお、従動スプロケット19の代わりに、円弧状に湾曲された反転レール(図示せず)を架台3の下階側水平部4に設置してもよい。反転レールは、踏段チェーン25に摺動可能に接することにより、踏段チェ−ン25の走行方向を反転させる。
【0030】
図1および図2に示すように、左側トラス10の上縁および右側トラス11の上縁に夫々欄干28が固定されている。欄干28は、左右のトラス10,11から立ち上がるとともに、架台3の全長に亘って延びている。
【0031】
欄干28の外周部に手すりベルト29が装着されている。手すりベルトは、可動ステップ列23の往路23aに乗り込んだ人が掴まれるように,可動ステップ列23と同期して無端走行する。
【0032】
図2に示すように、上記固定階段2は、例えばエスカレータ1の右側において下階のフロア1Fと上階のフロアF2との間を結んでいる。固定階段2は、複数の固定ステップ31を有している。固定ステップ31は、架台3の傾斜に対応するような角度で階段状に配列されている。
【0033】
言い換えると、複数の固定ステップ31は、エスカレータ1の可動ステップ列23の走行方向に沿って階段状に配列されており、隣り合う固定ステップ31の間に架台3の高さ方向に沿う段差が形成されている。
【0034】
図3は、固定階段2を構成する固定ステップ31の一例を開示している。各固定ステップ31は、例えば第1の踏板支持材32a、第2の踏板支持材32b、踏板33、枠体34および底板35を備えている。
【0035】
第1および第2の踏板支持材32a,32bは、夫々四角い断面形状を有する棒状をなすとともに、固定ステップ31の前後方向に間隔を存して互いに平行に配置されている。第1および第2の踏板支持材32a,32bとしては、例えばH形鋼を用いてもよく、その断面形状は任意である。
【0036】
踏板33は、第1および第2の踏板支持材32a,32bの上に跨るように固定されている。枠体34は、踏板33の下面の外周部に固定されて、第1および第2の踏板支持材32a,32bを取り囲んでいる。底板35は、第1の踏板支持材32a、第2踏板支持材32bおよび踏板33を下方から覆うように枠体34の下面に固定されている。第1および第2の踏板支持材32a,32bの一端は、枠体34を貫通して踏板33よりも架台3に向けて突出している。
【0037】
図2および図4に示すように、固定階段2は、架台3の上階側水平部5から傾斜部6に至る範囲において、架台3に片持ち状態で支持されている。図4は、架台3の上側水平部5の脇に位置する複数の固定ステップ31と架台3との関係を開示している。上側水平部5の脇に位置する複数の固定ステップ31では、第1および第2の踏板支持材32a,32bの一端が外装パネル9を貫通して右側トラス11を構成する縦桟17の中間部に直接突き当てられている。第1および第2の踏板支持材32a,32bの一端と縦桟17との突き当て部分は、例えば溶接あるいはボルト締め等のような手段により強固に固定されている。
【0038】
そのため、第1および第2の踏板支持材32a,32bは、右側トラス11の縦桟17から架台3の右側方に向けて水平に突出するとともに、人が乗り込む踏板33を水平に支持している。
【0039】
図5および図6は、架台3の傾斜部6の脇に位置する複数の固定ステップ31と架台3との関係を開示している。傾斜部6の脇に位置する複数の固定ステップ31は、右側トラス11のステップ受け材18bの右側方で階段状に並んでいる。
【0040】
各固定ステップ31では、例えば固定階段2を上階の方向から見た時に、第1の踏板支持材32aが踏板33の前端に位置し、第2の踏板支持板32bが踏板33の後端に位置している。
【0041】
第1の踏板支持材32aの一端は、外装パネル9を貫通してステップ受け材18bに開けた嵌合孔37に嵌め込まれている。第1の踏板支持材32aの一端とステップ受け材18bの嵌合孔37との嵌合部分は、例えば溶接等の手段により強固に固定されている。このため、図5に示すように、第1の踏板支持材32aは、右側トラス11のステップ受け材18bから架台3の右側方に向けて水平に突出している。
【0042】
図6に示すように、第2の踏板支持材32bは、架台3の下方に同軸状に進出する延長部38を有している。延長部38は、左側トラス10のステップ受け材18aと右側トラス11のステップ受け材18bとの間に跨るような長さを有している。そのため、延長部38を含む第2の踏板支持材32bは、踏板33の反対側に位置する固定端39aと、この固定端39aと踏板33との間に位置する中間部39bとを含んでいる。固定端39aは、延長部38の先端によって規定されている。中間部39bは、延長部38の始端によって規定されている。
【0043】
第2の踏板支持材32bの中間部39bは、外装パネル9および右側トラス11のステップ受け材18bの嵌合孔37を貫通するとともに、ステップ受け材18bに溶接等の手段により強固に固定されている。第2の踏板支持材32bの固定端39aは、左側トラス10のステップ受け材18aに開けた嵌合孔40に嵌め込まれている。固定端39aとステップ受け材18aの嵌合孔40との嵌合部分は、例えば溶接等の手段により強固に固定されている。
【0044】
したがって、第2の踏板支持材32bは、左右のトラス10,11のステップ受け材18a,18bから架台3の右側方に向けて水平に突出するとともに、上記第1の踏板支持材32aと協働して踏板33を水平に支持している。
【0045】
本実施の形態では、架台3の傾斜部6の下部に位置する数段の固定ステップ31は、図示を省略するが、その第1および第2の踏板支持材32a,32bの一端が右側トラス11を構成する縦桟14の中間部に溶接されている。そのため、架台3の傾斜部6の下部に位置する数段の固定ステップ31は、架台3の上階側水平部5に位置する数段の固定ステップ31と同様の構造で右側トラス11に片持ち支持されている。
【0046】
このような構成の第1の実施の形態によれば、エスカレータ1の右側に付設された固定階段2は、エスカレータ1の架台3に片持ち状態で直接的に支持されている。言い換えると、エスカレータ1の基礎構造体となる架台3を利用して下階と上階との間を結ぶ固定階段2を支えることができる。
【0047】
このため、下階のフロア1Fの上に固定階段2を支える支柱を配置する必要はなく、エスカレータ1および固定階段2の下を例えば人が通る通路等として有効に活用することができる。それとともに、固定階段2を下から支える支柱が無いので、固定階段2があたかも下階と上階との間の空間に浮いているような不思議な外観を得ることができ、意匠的な面でも好都合となるといった利点がある。
【0048】
さらに、上記構成によると、架台3の傾斜部6の脇に位置する複数の固定ステップ31は、踏板33の前端部を支える第1の踏板支持材32aが架台3の右側トラス11に固定され、踏板33の後端部を支える第2の踏板支持材32bが右側トラス11および左側トラス10の双方に固定されている。このため、エスカレータ1の架台3で固定階段2の重量および固定階段2に乗り込んだ人の重量の多くを受け止めるに当たって、固定階段2の側から架台3に伝わる荷重を左側トラス10と右側トラス11の双方に分散することができる。
【0049】
したがって、固定階段2と隣り合う右側トラス11の荷重負担を軽減することができ、架台3の捩じれを防止することができる。
【0050】
なお、架台3の上階側水平部5の脇に位置する複数の固定ステップ31では、各固定ステップ31の第1および第2の踏板支持材32a,32bが右側トラス11のみに固定されている。そのため、右側トラス11に固定ステップ31からの荷重が集中して加わることになり、右側トラス11の捩じれが問題となる。
【0051】
この場合には、固定ステップ31からの荷重に対抗するため、例えば上部主弦材15と下部主弦材16との間に跨る複数の補強材を設置したり、上部主弦材15の側面および下部主弦材16の側面にフラットバーのような強度部材を取り付けることが望ましい。
【0052】
その他にも、例えば上階側水平部5の高さ寸法(深さ寸法)を大きくすることで、上階側水平部5の断面係数を高め、上階側水平部5を捩じれ難い構成としてもよい。
【0053】
本発明は、上記第1の実施の形態に特定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々変形して実施可能である。
【0054】
例えば、上記第1の実施の形態によると、架台3の傾斜部6に対応する位置では、固定ステップ31の第1の踏板支持材32aは、右側トラス11のステップ受け材18bに片持ち状態で支持されている。
【0055】
しかしながら、本発明はこれに限らず、例えば左右のステップ受け材18a,18bを架台3の下方に延長するとともに、架台3に対する固定階段2の位置を少し下げることで、第1および第2の踏板支持材32a,32bを左右のステップ受け材18a,18bの間に架け渡すようにしてもよい。
【0056】
この構成によれば、固定ステップ31の側から架台3の傾斜部6に伝わる荷重を、左側トラス10と右側トラス11の双方に分散することができる。よって、架台3の傾斜部6の捩じれを防止する上でより好都合となる。
【0057】
図7は、本発明の第2の実施の形態を開示している。
【0058】
この第2の実施の形態では、各固定ステップ31の踏板33と第1および第2の踏板支持材32a,32bとの間、および踏板33と枠体34との間に防振材50が介在されている。防振シート50は、例えば踏板33と略同じ大きさを有する板状のゴム状弾性体で構成され、踏板33を第1および第2の踏板支持材32a,32bや枠体34に対し弾性的に支持している。
【0059】
このような構成によると、固定階段2を上り下りする利用者が踏板33に着地した時に、踏板33に瞬間的に加わる入力振動を防振材50によって吸収することができる。このため、踏板33から第1および第2の踏板支持材32a,32bに伝わる振動を低減することができ、架台3に片持ち支持された固定ステップ31の揺れを抑えることができる。
【0060】
特に、複数の固定ステップ31が個々に架台3に支持されていると、一つの固定ステップ31の揺れは、架台3を経由する固体伝播により他の固定ステップ31にも伝わるので、防振材50を用いた振動対策は、固定階段2の全体の揺れを抑えるための有効な手段となり得る。
【0061】
図8は、本発明の第3の実施の形態を開示している。
【0062】
この第3の実施の形態は、第2の踏板支持材32bの中間部39bを右側トラス11のステップ受け材18bに回動可能に連結した点が上記第1の実施の形態と相違している。これ以外のエスカレータ1および固定階段2の構成は、上記第1の実施の形態と同様である。そのため、第3の実施の形態において、第1の実施の形態と同一の構成部分には同一の参照符号を付して、その説明を省略する。
【0063】
図8に示すように、ステップ受け材18bの嵌合孔37は、第2の踏板支持材32bの中間部39bよりも大きな開口形状を有している。そのため、少なくとも中間部39bの上面と嵌合孔37の開口上縁との間に、第2の踏板支持材32bの回動を許容し得る隙間gが形成されている。
【0064】
さらに、第2の踏板支持材32bの中間部39bは、枢軸60を介して回動可能に支持されている。枢軸60は、第2の踏板支持材32bと直交するように踏板33の奥行き方向に沿って水平に延びている。
【0065】
このため、第2の踏板支持材32bは、ステップ受け材18bに対し枢軸60を支点として架台3の上下方向に回動可能に支持されている。
【0066】
このような構成によれば、固定階段2を上り下りする利用者が踏板33に着地すると、図8に矢印で示すように、第2の踏板支持材32bを枢軸60を中心として時計回り方向に回動させようとする力が加わる。このため、固定ステップ31の重量や固定ステップ31に乗り込んだ人の重量に起因する荷重の多くを、モーメント力として固定階段2とは反対側の左側トラス10に積極的に伝えることができる。
【0067】
したがって、固定階段2が架台3の右側に片持ち状態で支持されているにも拘らず、固定階段2の側から架台3に伝わる荷重を左側トラス10と右側トラス11の双方に分散することができる。よって、固定階段2と隣り合う右側トラス11の荷重負担を軽減して、架台3の捩じれを確実に防止することができる。
【0068】
この結果、架台3の補強度合を軽減でき、その分、架台3の構造が簡素化されて、架台3の軽量化を図ることができる。それとともに、架台3を組み立てる際の溶接工数を減らすことができ、架台3の製造コストの低減に寄与する。
【0069】
さらに、架台3の断面係数を確保するために、架台3の高さ寸法(深さ寸法)を大きくする必要もなくなる。この結果、標準の高さ寸法(深さ寸法)の架台3で対応することができ、エスカレータ1の意匠性が向上する。
【0070】
図9および図10は、本発明の第4の実施の形態を開示している。
【0071】
この第4の実施の形態は、第2の踏板支持材32bの中間部39bを右側トラス11のステップ受け材18bに移動可能に連結した点が上記第1の実施の形態と相違している。これ以外のエスカレータ1および固定階段2の構成は、上記第1の実施の形態と同様である。
【0072】
図9および図10に示すように、ステップ受け材18bの嵌合孔37は、第2の踏板支持材32bの中間部39bよりも一回り大きな開口形状を有している。そのため、中間部39bの外周面と嵌合孔37の内周面との間に、中間部39bの周方向に連続する隙間70が形成されている。
【0073】
このような構成によると、第2の踏板支持材32bは、右側トラス11のステップ受け材18bに接することなくステップ受け材18bを貫通しており、このステップ受け材18bに対し隙間70の分だけ移動可能な状態に保持されている。
【0074】
このため、固定階段2を上り下りする利用者が踏板33に着地すると、第2の踏板支持材32bをその固定端39aを支点として下向きに移動させようとする力が加わる。これにより、固定ステップ31の重量や固定ステップ31に乗り込んだ人の重量に起因する荷重の多くを、モーメント力として固定階段2とは反対側に位置する左側トラス10に積極的に伝えることができる。
【0075】
したがって、上記第3の実施の形態と同様に、固定階段2の側から架台3に伝わる荷重を左側トラス10と右側トラス11の双方に分散して、架台3の捩じれを確実に防止することができる。
【0076】
しかも、第2の踏板支持材32bは、ステップ受け材18bの嵌合孔37を貫通しているにすぎないので、構造が頗る単純であり、架台3の部品点数を削減できる。それとともに、嵌合孔37の内周面と第2の踏板支持材32bの外周面との間に隙間70が存在するので、第2の踏板支持材32bを嵌合孔37内に容易に通すことができる。このため、架台3に固定階段2を取り付ける際の作業性が良好となる。
【0077】
図11は、本発明の第5の実施の形態を開示している。
【0078】
第5の実施の形態は、上記第4の実施の形態と関連性を有している。この第5の実施の形態では、ステップ受け材18bの嵌合孔37を貫通する第2の踏板支持材32bの中間部39bの下面がステップ受け材18bに溶接されている。
【0079】
詳しく述べると、ステップ受け材18bは、固定階段2と向かい合う外側面80aと、この外側面80aの反対側に位置する内側面80bとを有している。ステップ受け材18bの外側面80aは、第2の踏板支持材32bの中間部39bの下面と直交するような位置関係にあり、これら外側面80aと中間部39bの下面との間に跨って溶接ビード81aが形成されている。
【0080】
同様に、ステップ受け材18bの内側面80bは、第2の踏板支持材32bの中間部39bの下面と直交するような位置関係にあり、これら内側面80bと中間部39bの下面との間に跨って溶接ビード81bが形成されている。
【0081】
したがって、第2の踏板支持材32bの中間部39bは、架台3の下方向から右側トラス11のステップ受け材18bに溶接されており、ステップ受け材18bに対する第2の踏板支持材32bの溶接方向が一方向に限定されている。
【0082】
さらに、本実施の形態では、第2の踏板支持材32bの中間部39bの外周面と嵌合孔37の内周面との間に、第2の踏板支持材32bの移動を許容する隙間70がそのまま残されている。
【0083】
このような構成によると、第2の踏板支持材32bの中間部39bは、その下面がステップ受け材18bに溶接されているに止まっており、中間部39bの外周面と嵌合孔37の内周面との間に隙間70が存在している。言い換えると、第2の踏板支持材32bは、ステップ受け材18bに移動不能に強固に固定されておらず、ある程度の移動を許容するような仮固定の状態に保たれている。
【0084】
このため、固定階段2を上り下りする利用者が踏板33に着地すると、その衝撃により第2の踏板支持材32bが固定端39aを支点に隙間70の範囲内で動こうとする。よって、上記第4の実施の形態と同様に、固定ステップ31の重量や固定ステップ31に乗り込んだ人の重量に起因する荷重の多くを、モーメント力として固定階段2とは反対側に位置する左側トラス10に積極的に伝えることができる。
【0085】
したがって、固定階段2の側から架台3に伝わる荷重を左側トラス10と右側トラス11の双方に分散して、架台3の捩じれを確実に防止することができる。
【0086】
さらに、第2の踏板支持材32bは、溶接ビード81a,81bによって下方から支えられるような形態でステップ受け材18bに仮固定されている。そのため、固定階段2を上り下りする利用者が踏板33に着地した時に、踏板33から伝わる振動をステップ受け材18bで受け止めることができる。よって、特に第4の実施の形態との比較において、架台3に片持ち支持された固定ステップ31の揺れを抑えることができる。
【0087】
加えて、第2の踏板支持材32bの下方は広く開放されているので、ステップ受け材18bに対する第2の踏板支持材32bの溶接作業を容易に行うことができる。
【0088】
なお、第5の実施の形態では、ステップ受け材18bに対して第2の踏板支持材32bを架台3の下方から溶接している。しかしながら、本発明はこれに限らず、第2の踏板支持材32bを架台3の上方からステップ受け材18bに溶接してもよい。
【0089】
図12および図13は、本発明の第6の実施の形態を開示している。
【0090】
第6の実施の形態は、上記第4の実施の形態と関連性を有している。この第6の実施の形態では、第2の踏板支持材32bの中間部39bとステップ受け材18bの嵌合孔37との間にリング状の防振材90が介在されている。防振材90は、ゴム状弾性体で構成され、中間部39bの外周面および嵌合孔37の内周面に接している。そのため、防振材90は、第2の踏板支持材32bをステップ受け材18bに対し弾性的に支持している。
【0091】
このような構成によると、固定階段2を上り下りする利用者が踏板33に着地した時に、踏板33から第2の踏板支持材32bを経由して右側トラス11のステップ受け材18bに瞬間的に加わる入力振動を防振材90によって吸収することができる。このため、右側トラス11に伝わる振動を緩和することができ、架台3に片持ち支持された固定ステップ31の揺れを抑えることができる。
【0092】
特に、複数の固定ステップ31が個々に架台3に支持されていると、一つの固定ステップ31の揺れは、架台3を経由する固体伝播により他の固定ステップ31にも伝わるので、防振材90を用いた振動対策は、固定階段2の全体の揺れを抑えるための有効な手段となり得る。
【0093】
図14は、本発明の第7の実施の形態を開示している。
【0094】
第7の実施の形態は、固定ステップ31と架台3との位置関係が上記第1の実施の形態と相違している。それ以外のエスカレータ1および固定階段2の基本的な構成に関しては、第1の実施の形態と同様である。
【0095】
図14に示すように、左側トラス10の上部主弦材12と下部主弦材13との間に跨って複数のステップ受け材100(一つのみを図示)が溶接されている。ステップ受け材100は、左側トラス10の内側において左側トラス10の縦桟14と重なり合っている。
【0096】
同様に、右側トラス11の上部主弦材15と下部主弦材16との間に跨って複数のステップ受け材101(一つのみを図示)が溶接されている。ステップ受け材101は、右側トラス11の内側において右側トラス11の縦桟17と重なり合っている。
【0097】
固定ステップ31は、踏板33を支持する一対の踏板支持材102(一方のみを図示)を有している。踏板支持材102は、例えば四角い断面形状を有する棒状をなすとともに、踏板33の前後方向に間隔を存して互いに平行に配置されている。
【0098】
踏板支持材102は、架台3の内側に同軸状に進出する延長部103を有している。延長部103は、左側トラス10の縦桟14と右側トラス11の縦桟17との間に跨るような長さを有している。そのため、延長部103を含む踏板支持材102は、踏板33の反対側に位置する固定端104aと、この固定端104aと踏板33との間に位置する中間部104bとを含んでいる。固定端104aは、延長部103の先端によって規定されている。中間部104bは、延長部103の始端によって規定されている。
【0099】
踏板支持材102の中間部104bは、右側トラス11の縦桟17に開けた貫通孔105およびステップ受け材101に開けた貫通孔106を連続して貫通している。中間部104bの外周面と貫通孔105,106の内周面との間には、好ましい例として防振材108が介在されている。防振材108は、例えばゴム状弾性体により構成され、中間部104bの外周面および貫通孔105,106の内周面に接触することで、中間部104を右側トラス11に対し弾性的に支持している。
【0100】
踏板支持材102の固定端104aは、左側トラス10の縦桟14に開けた嵌合孔109およびステップ受け材100に開けた嵌合孔110に嵌め込まれている。固定端104aと嵌合孔109,110との嵌合部分は、例えば溶接等の手段により強固に固定されている。したがって、踏板支持材102は、左右のトラス10,11から架台3の右側方に向けて水平に突出することで踏板33を水平に支持している。
【0101】
さらに、架台3の内部に進出する踏板支持材102の延長部103は、可動ステップ列23の往路23aと復路23bとの間の隙間Gを通って左右のトラス10,11の間に跨っている。
【0102】
このような構成によれば、左右のトラス10,11の間に跨る踏板支持材102は、可動ステップ列23の往路23aと復路23bとの間を通過するので、ステップ受け材100,101および踏板支持材102が架台3の下方に張り出すことはない。
【0103】
このため、架台3の高さ寸法(深さ寸法)を小さく抑えることができ、エスカレータ1の意匠性を高める上で有利な構成となる。
【0104】
なお、第7の実施の形態では、架台3の縦桟14,17にステップ受け材100,101を重ね合わせているが、縦桟14,17の厚みを増やすことで縦桟14,17にステップ受け材100,101としての機能を兼用させるようにしてもよい。
【0105】
この構成によれば、ステップ受け材100,101を省略することができ、架台3の部品点数を削減できる。
【0106】
図15は、本発明の第8の実施の形態を開示している。
【0107】
この第8の実施の形態は、固定階段2の構成が上記第1の実施の形態と相違している。図15に示すように、各固定ステップ31の枠体34は、第1の踏板支持板32aの背後に位置する後枠部120を有している。後枠部120は、踏板33の長さ方向に沿って延びるとともに、後枠部120よりも一段上に位置する固定ステップ31の下方に張り出している。
【0108】
各固定ステップ31の後枠部120の上面と、後枠部120よりも一段上に位置する固定ステップ31の底板35との間に、例えば強化ガラス製の連結材121が介在されている。連結材121は、隣り合う固定ステップ31の間の隙間を埋めるように後枠部120の上面から起立している。連結材121の下端は、後枠部120の上面に固定されているとともに、連結材121の上端は、底板35の下面に固定されている。
【0109】
したがって、上下方向に段差を有して隣り合う複数の固定ステップ31は、複数の連結材121を介して一体的に結合されている。
【0110】
このような構成によれば、隣り合う複数の固定ステップ31の間が連結材121を介して一体的に結合されているので、固定階段2の剛性が向上する。そのため、固定ステップ31がエスカレータ1の架台3に片持ち状態で支持されているにも拘らず、人が固定階段2を上り下りする時の固定ステップ31の揺れを低減することができる。
【0111】
言い換えると、固定階段2を上り下りする利用者が踏板33に着地した時に、固定ステップ31に加わる衝撃を連結材121を介して隣り合う固定ステップ31に逃すことができる。この結果、固定ステップ31の揺れを隣り合う固定ステップ31を利用して減衰させることができ、固体階段2の揺れを抑制することができる。
【0112】
図16は、本発明の第9の実施の形態を開示している。
【0113】
この第9の実施の形態は、架台3の第2の支持金具8の構成が上記第1の実施の形態と相違している。図16は、エスカレータ1の架台3および固定階段2を上から見た平面図である。この図16に示すように、架台3の第2の支持金具8は、可動ステップ列23の走行方向に沿う一端に位置している。第2の支持金具8は、延長部130と連結部131とを備えている。
【0114】
延長部130は、第2の支持金具8の一端から固定階段2の最上段に位置する固定ステップ31に向けて一直線状に延びている。延長部130の先端は、架台3とは反対側の端部に位置している。連結部131は、延長部130の先端から固定ステップ31の配列方向に沿って一直線状に延びている。そのため、延長部130と連結部131とは互いに直交するような位置関係を保っており、マンコンベアシステムを上から見た時に、第2の支持金具8はL字形に折れ曲がっている。
【0115】
連結部131は、固定ステップ列23の下を通って、その下端が固定階段2の最下段に位置する固定ステップ31に達している。さらに、連結部131は、固定ステップ31のうち架台3とは反対側の先端部に溶接あるいはボルト締め等の手段により連結されている。そのため、上下方向に段差を有して隣り合う固定ステップ31は、連結部131を介して一体的に結合されている。
【0116】
このような構成によれば、架台3の反対側に位置する複数の固定ステップ31の先端部の間が第2の支持金具8の連結部131を介して一体的に結合されているので、固定階段2の剛性が向上する。このため、固定階段2を上り下りする利用者が固定ステップ31に着地した時に、固定ステップ31に加わる衝撃を連結部131を介して隣り合う固定ステップ31に逃すことができる。この結果、上記第8の実施の形態と同様に、固定ステップ31の揺れを隣り合う固定ステップ31を利用して減衰させることができ、固体階段2の揺れを抑制することができる。
【0117】
さらに、上記構成によると、架台3の構成要素である第2の支持金具8は、固定階段2の最上段に位置する固定ステップ31に向けて延びるとともに、固定階段2に連結されている。このため、第2の支持金具8の剛性が向上し、架台3に固定階段2を付設した構成でありながら、第2の支持金具8の捩じれを低減することができる。
【0118】
図17は、本発明の第10の実施の形態を開示している。
【0119】
第10の実施の形態に係るマンコンベアシステムは、エスカレータ1、第1の固定階段140および第2の固定階段141を有している。第1の固定階段140は、架台3の傾斜部6の左側トラス10に片持ち状態で支持されている。第2の固定階段141は、傾斜部6の右側トラス11に片持ち状態で支持されている。そのため、第1および第2の固定階段140,141は、エスカレータ1の架台3を間に挟んで左右に振り分けて配置されている。
【0120】
なお、第10の実施の形態において、第1および第2の固定階段140,141の構成と、架台3に対する第1および第2の固定階段140,141の支持構造は、上記第1の実施の形態と同様であるため、第1の実施の形態と同一の参照符号を付して、その説明を省略する。
【0121】
図18は、本発明の第11の実施の形態を開示している。
【0122】
第11の実施の形態に係るマンコンベアシステムは、第1のエスカレータ150、第2のエスカレータ151および固定階段152を備えている。第1および第2のエスカレータ150,151の構成は、基本的に第1の実施の形態と同様であるため、第1の実施の形態と同一の参照符号を付してその説明を省略する。
【0123】
図11に示すように、第1のエスカレータ150と第2のエスカレータ151は、互いに間隔を存して並んでいるとともに、下階と上階との間で同じ方向に傾斜している。そのため、第1のエスカレータ150の右側トラス11と第2のエスカレータ151の左側トラス10との間に階段設置スペース153が設けられている。
【0124】
固定階段152は、第1および第2のエスカレータ150,151に沿うように階段設置スペース153に設置されている。固定階段152の構成は、基本的に第1の実施の形態と同様であるため、第1の実施の形態と同一の構成部分には、同一の参照符号を付してその説明を省略する。
【0125】
図18に示すように、固定階段152は、第1のエスカレータ150の右側トラス11と第2のエスカレータ151の左側トラス10との間に位置している。固定階段152の第2の踏板支持材32bは、第1のエスカレータ150の架台3の下方に進出する第1の延長部155と、第2のエスカレータ151の架台3の下方に進出する第2の延長部156とを備えている。
【0126】
第1の延長部155は、左側トラス10のステップ受け材18aと右側トラス11のステップ受け材18bとの間に跨るような長さを有している。そのため、第1の延長部155は、踏板33の反対側に位置する固定端157aと、この固定端157aと踏板33との間に位置する中間部157bとを含んでいる。固定端157aは、第1の延長部155の先端によって規定されている。中間部157bは、第1の延長部155の始端によって規定されている。
【0127】
第1の延長部155の中間部157bは、右側トラス11のステップ受け材18bの嵌合孔37を貫通している。中間部157bの外周面と嵌合孔37の内周面との間には、周方向に連続する隙間158が形成されている。第1の延長部155の固定端157aは、左側トラス10のステップ受け材18aに開けた嵌合孔40に嵌め込まれている。固定端157aとステップ受け材18aの嵌合孔40との嵌合部分は、例えば溶接等の手段により強固に固定されている。
【0128】
第2の延長部156は、左側トラス10のステップ受け材18aと右側トラス11のステップ受け材18bとの間に跨るような長さを有している。そのため、第2の延長部156は、踏板33の反対側に位置する固定端160aと、この固定端160aと踏板33との間に位置する中間部160bとを含んでいる。固定端160aは、第2の延長部156の先端によって規定されている。中間部160bは、第2の延長部156の始端によって規定されている。
【0129】
第2の延長部156の中間部160bは、左側トラス10のステップ受け材18aに開けた嵌合孔161を貫通している。中間部160bの外周面と嵌合孔161の内周面との間には、周方向に連続する隙間162が形成されている。第2の延長部156の固定端160aは、右側トラス11のステップ受け材18bに開けた嵌合孔163に嵌め込まれている。固定端160aとステップ受け材18bの嵌合孔163との嵌合部分は、例えば溶接等の手段により強固に固定されている。
【0130】
このような構成によれば、固定階段152は、第1のエスカレータ150の架台3と第2のエスカレータ151の架台3との間に設置されている。そのため、固定階段152を左右の架台3の間で支えることができ、固定階段152が揺れ難くなる。
【0131】
さらに、固定階段2を上り下りする利用者が固定ステップ31に着地した時に、固定ステップ31に加わる衝撃を第1および第2のエスカレータ150,151の双方の架台3で受け止めることができ、個々の架台3の荷重負担が減少するといった利点がある。
【0132】
本発明に係るマンコンベアシステムは、エスカレータと固定階段との組み合わせに特定されるものではない。例えば、マンコンベアはエスカレータに限らず、移動歩道でも同様に適用が可能である。それとともに、固定ステップにしても階段状に配置することに限らず、上記移動歩道に沿うように水平方向あるいはやや傾斜した同一面上に沿って一列に並べて配置してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0133】
【図1】本発明の第1の実施の形態において、エスカレータの概略的な構成を示す側面図。
【図2】本発明の第1の実施の形態において、エスカレータの右側に固定階段が付設されたマンコンベアシステムを示す側面図。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る固定ステップの断面図。
【図4】本発明の第1の実施の形態において、架台の上階側水平部に固定ステップを固定した状態を示すマンコンベアシステムの断面図。
【図5】本発明の第1の実施の形態において、架台の傾斜部に固定ステップの第1の踏板支持材を固定した状態を示すマンコンベアシステムの断面図。
【図6】本発明の第1の実施の形態において、架台の傾斜部に固定ステップの第2の踏板支持材を固定した状態を示すマンコンベアシステムの断面図。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係るマンコンベアシステムの断面図。
【図8】本発明の第3の実施の形態に係るマンコンベアシステムの断面図。
【図9】本発明の第4の実施の形態に係るマンコンベアシステムの断面図。
【図10】図9のF10-F10線に沿う断面図。
【図11】本発明の第5の実施の形態に係るマンコンベアシステムの断面図。
【図12】本発明の第6の実施の形態に係るマンコンベアシステムの断面図。
【図13】図12のF13-F13線に沿う断面図。
【図14】本発明の第7の実施の形態に係るマンコンベアシステムの断面図。
【図15】本発明の第8の実施の形態で用いる固定階段の断面図。
【図16】本発明の第9の実施の形態に係るマンコンベアシステムの平面図。
【図17】本発明の第10の実施の形態に係るマンコンベアシステムの断面図。
【図18】本発明の第11の実施の形態に係るマンコンベアシステムの断面図。
【符号の説明】
【0134】
1,150,151…マンコンベア(エスカレータ)、2,140,141,152…固定通路(固定階段)、3…架台、10…左側トラス、11…右側トラス、20…駆動装置、23…可動ステップ列、24…可動ステップ(踏段)、25…無端走行体(踏段チェーン)、31…固定ステップ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左側トラスおよび右側トラスを有する架台と、複数の可動ステップを無端走行体を介して無端状に連結することにより構成され、駆動装置からの動力伝達により上記左側トラスと上記右側トラスとの間で無端走行する可動ステップ列と、を含むマンコンベアと、
上記マンコンベアの架台から上記架台の側方に向けて水平に突出する複数の固定ステップを有し、これら固定ステップを上記可動ステップ列の走行方向に沿って配列してなる固定通路と、を具備したことを特徴とするマンコンベアシステム。
【請求項2】
請求項1の記載において、上記固定ステップは、上記左側トラスおよび上記右側トラスのいずれか一方に支持されていることを特徴とするマンコンベアシステム。
【請求項3】
請求項1の記載において、上記固定ステップは、上記左側トラスと上記右側トラスとの間に跨るとともに、これら左右のトラスに支持されていることを特徴とするマンコンベアシステム。
【請求項4】
請求項1の記載において、上記固定ステップは、弾性変形が可能な防振材を介して上記架台に支持されていることを特徴とするマンコンベアシステム。
【請求項5】
請求項3の記載において、上記左側トラスおよび上記右側トラスは、夫々上記架台の下方に向けて突出するステップ受け材を含み、上記固定ステップは、上記左側トラスのステップ受け材と上記右側トラスのステップ受け材との間に跨っていることを特徴とするマンコンベアシステム。
【請求項6】
請求項3の記載において、上記無端走行する可動ステップ列は、人を運搬する往路と、この往路の下を通る復路とを有し、上記固定ステップは、上記往路と上記復路との間を通して上記左側トラスと上記右側トラスとの間に跨ることを特徴とするマンコンベアシステム。
【請求項7】
請求項3の記載において、上記固定ステップは、上記左側トラスおよび上記右側トラスのうちの一方のトラスに移動可能に支持された中間部と、上記左側トラスおよび上記右側トラスのうちの他方のトラスに固定された固定端とを有することを特徴とするマンコンベアシステム。
【請求項8】
請求項7の記載において、上記固定ステップの中間部は、上記一方のトラスに枢軸を介して回動可能に支持されていることを特徴とするマンコンベアシステム。
【請求項9】
請求項7の記載において、上記一方のトラスは、上記固定ステップの中間部が貫通する孔を有し、この孔の内周面と上記中間部の外周面との間に隙間が形成されていることを特徴とするマンコンベアシステム。
【請求項10】
請求項9の記載において、上記固定ステップの中間部は、上記固定ステップの上下方向に沿う一方の方向から上記一方のトラスに結合されていることを特徴とするマンコンベアシステム。
【請求項11】
請求項9の記載において、上記孔の内周面と上記中間部の外周面との間に弾性変形が可能な防振材が介在されていることを特徴とするマンコンベアシステム。
【請求項12】
請求項1の記載において、上記隣り合う固定ステップの間を連結する連結材をさらに備えていることを特徴とするマンコンベアシステム。
【請求項13】
請求項1の記載において、上記架台は、上記可動ステップ列の走行方向に沿う一端に位置する支持金具を有し、この支持金具は、上記架台の一端に対応する固定ステップに向けて延びる延長部と、この延長部の先端から固定ステップの配列方向に延びて隣り合う固定ステップの間を互いに連結する連結部と、を有することを特徴とするマンコンベアシステム。
【請求項14】
請求項13の記載において、上記支持金具の連結部は、上記固定ステップのうち上記架台とは反対側の先端部に連結されていることを特徴とするマンコンベアシステム。
【請求項15】
左側トラスおよび右側トラスを有する架台と、複数の可動ステップを無端走行体を介して無端状に連結することにより構成され、駆動装置からの動力伝達により上記左側トラスと上記右側トラスとの間で無端走行する可動ステップ列と、を含むマンコンベアと、
上記マンコンベアの架台から上記架台の側方に向けて水平に突出する複数の固定ステップを有し、これら固定ステップを上記可動ステップ列の走行方向に沿って配列してなる固定通路と、を含み、
上記固定ステップは、上記左側トラスおよび上記右側トラスのうちの一方のトラスに支持される部分と、上記左側トラスと上記右側トラスとの間に跨るとともに、これら左右のトラスに支持される部分と、を有することを特徴とするマンコンベアシステム。
【請求項16】
請求項15の記載において、上記固定ステップのうち上記左右のトラスに支持される部分は、上記左側トラスおよび上記右側トラスのうちの一方のトラスに移動可能に支持される中間部と、上記左側トラスおよび上記右側トラスのうちの他方のトラスに固定される固定端とを有することを特徴とするマンコンベアシステム。
【請求項17】
左側トラスおよび右側トラスを有する架台と、複数の可動ステップを無端走行体を介して無端状に連結することにより構成され、駆動装置からの動力伝達により上記左側トラスと右側トラスとの間で無端走行する可動ステップ列と、を含む第1のマンコンベアと、
左側トラスおよび右側トラスを有する架台と、複数の可動ステップを無端走行体を介して無端状に連結することにより構成され、駆動装置からの動力伝達により上記左側トラスと右側トラスとの間で無端走行する可動ステップ列と、を含むとともに、上記第1のマンコンベアと隣り合う第2のマンコンベアと、
上記第1のマンコンベアの架台と上記第2のマンコンベアの架台との間に水平に架け渡された複数の固定ステップを有し、これら固定ステップを上記第1および第2のマンコンベアの可動ステップ列の走行方向に沿って配列してなる固定通路と、を具備したことを特徴とするマンコンベアシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2010−37055(P2010−37055A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−201982(P2008−201982)
【出願日】平成20年8月5日(2008.8.5)
【出願人】(390025265)東芝エレベータ株式会社 (2,543)
【Fターム(参考)】