説明

マンホールの地震などによる突上げ浮上の防止構造

【課題】 本発明が解決しようとする課題は、地震などに伴う揺れと液状化によりコンクリートマンホールが突上げ浮上すること、下水道等の流水管が破損することを解消して管路を維持させることにある。
【解決手段】 本発明はコンクリートマンホールの垂直形筒部の外表に外方に向けて水平張出しする突上げ浮上防止用のひれを全周または部分的に1乃至複数段にて設けて、地震などによるマンホールの突上げ浮上を解消するようにしたことにある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はコンクリートマンホールの地震などによる突上げ浮上の防止構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、コンクリートマンホールとしては特開2000−110187号公報がある。該公報は地震等により組立式マンホールの継手部分が破壊された場合に地下水および土砂の進入を防止するために継手部分の外周に不透水性の可撓バンドを巻着して、該バンドの上部と下部をステンレススチールベルトにて固定することを開示している。
【特許文献1】特開2000−110187号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、該公報を含めてコンクリートマンホールは、開削土内に垂直インロー積み重ねして据え付けたあとに地震などに遭遇して埋め戻し土砂を含む周辺が震動し、さらには液状化現象を生ずるときはコンクリートマンホールを突き上げ浮上させるという事故が多発している。またコンクリートマンホールの浮上がりにより下水道などの流水管を破断させるという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、コンクリートマンホールの垂直形筒部の外周に突き上げ浮上防止用のひれを突設して、かかる課題を解決するようにしたのである。
【発明の効果】
【0005】
本発明は、コンクリートマンホールの垂直形筒部の外表に、側方に張り出す突上げ浮上防止用のひれを1乃至複数段にて突設したので、地震などにより周辺土砂に液状化現象などが生じても該ひれの地中張り出しに伴う浮上抑止作用によりコンクリートマンホールの突上げ浮上が防止されるという効果を生ずる。あらかじめインサートナットを埋込みんでおくことでひれのボルト止め突設を容易にするという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明は、コンクリートマンホールの垂直形筒部の外表に水平突出形をした突上げ浮上防止用のひれを1乃至複数段において取付けて地震等による揺れと液状化が生じてもコンクリートマンホールを該ひれの地中における水平張り出しにて突上げ浮上が生じないようにしたのである。
【実施例1】
【0007】
図1に示すようにインロー積み重ね形をしたコンクリートマンホール1を形成する。各層のコンクリートマンホール1は製造時に所定位置の外周に入口のあるインサートナット2を取付けた鋼製カラー3をあらかじめ埋込み取付けする。突上げ浮上防止用のひれ4はカラー体4aの下端より水平に突き出す外方突出形のひれ部4bと両者をつなぐ三角形などの補強板4cにて形成して、埋込みしたインサートナット2の入口にボルト5を螺挿し螺着して取付ける。4dは連結用のボルトナット、6はインロー継手部、7は緊結プレート、8は流水管9の継ぎ孔である。
【0008】
なお図1のコンクリートマンホールにおいては、下段は図2に示すように突上げ浮上防止用のひれ4を無端環状にて周設し、中段は図3に示すように突上げ浮上防止用のひれ4を外周に対称して2個乃至数個づつ取付け、上段は図4に示すようにさらに上下に段差を設けて取付けた実施例を示し、最上段の傾斜壁にもひれ4を取付けた例を示している。
【0009】
図5はインサートナット2付きの鋼製カラー3を示すもので、インサートナット2付きの鋼製カラー3をあらかじめ埋込みしていない既設のコンクリートマンホールなどには図6に示すように突上げ浮上防止用のひれ4をアンカー10止めして取付けるのである。なお鋼製カラー3の内面に水膨張性ゴムを取付けることもある。
【0010】
突上げ浮上防止用のひれ4の張出し幅はコンクリートマンホール1の大きさによって異なるが、おおむね15〜30cmである。
【実施例2】
【0011】
図7はひれ4の周囲を直線形に形成した例を示し、図8は四角筒形のコンクリートマンホール1aの外表に突上げ浮上防止用のひれ4を取付けた実施例を示している。
【産業上の利用可能性】
【0012】
本発明は以上のようにして、新設のコンクリートマンホールのほか既設のマンホールにも容易に突上げ浮上防止用のひれを取付けて地震などによるマンホールの突上げ浮上を防止して管路を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の突上げ浮上の防止構造を施したコンクリートマンホールの1例を示す断面図
【図2】突上げ浮上防止用のひれを無端環状にて周設した部分の横断面図
【図3】同、4分の1分割にて対称に取付けた例の横断面図
【図4】同、上下に段差を設けた取付け例を示す部分縦断面図
【図5】鋼製カラーの平面図とインサートナット部分の拡大図
【図6】アンカーボルトによる取付け例を示す部分拡大横断面図
【図7】ひれの周囲を直線状に形成した例を示す平面図
【図8】四角筒形のコンクリートマンホールの実施例を示す平面図
【符号の説明】
【0014】
1はコンクリートマンホール
2はインサートナット
3は鋼製カラー
4は突上げ浮上防止用のひれ
4aカラー体
4bはひれ部
4cは補強板
4dは連結用のボルトナット
5はボルト
6はインロー継手
7は緊結プレート
8は流水管の継ぎ孔
9は流水管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリートマンホールの垂直形筒部の外表に浮上防止用のひれを1乃至複数層において取付けて地震などによる突上げ浮上を防止するようにしたことを特徴とするマンホールの地震などによる浮上防止構造。
【請求項2】
浮上防止用のひれは無端環状形または2乃至複数個に区分して取付け、上下の間に段差を置いて交互にずらして取付けする請求項1記載の浮上防止構造。
【請求項3】
コンクリートマンホールの製造時に浮上防止用のひれをボルト止め取付けするためのインサートナット付きの鋼製カラーを垂直形筒部の外周にあらかじめ埋込み取り付けしておく請求項1または2に記載の浮上防止構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−152542(P2006−152542A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−340011(P2004−340011)
【出願日】平成16年11月25日(2004.11.25)
【出願人】(000146582)株式会社信明産業 (17)
【Fターム(参考)】