説明

マンホール受枠用浮上り防止金具

【課題】 マンホール施工時において、補強板を使用することにより、簡単・確実に施工することができると共に、後付・先付等、両方施工可能であるマンホール受枠川浮上り防止金具を提供する。
【解決手段】 補強板に、マンホールふたを固定するアンカーボルトを挿入するアンカーボルト挿入孔を設けると共に、アンカーボルトの近傍位置に設ける少なくとも1本の補強ボルトを挿入する補強ボルト挿入孔を設けてなることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マンホール内の圧力の上昇によるマンホールふたの浮上りを防止するためのマンホール受枠用浮上り防止金具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の技術として、現状の施工例について説明する。
図10・11に示すように、斜壁Sの上部にインサートIを埋め込み、その上方に調整リングTRを施工し、アンカーボルトABをインサート内に螺入し、調整モルタルMを施工し、最後にマンホール受枠Uを設置し、アンカーボルトABをナットNaにて固定するものである。
【0003】
また、別の従来技術として、上方に開口する開口縁部を有するプレキャストコンクリート製の筒状のブロック本体と、前記ブロック本体の開口縁部に沿うように湾曲して当該開口縁部に埋設された複数のアンカーフレームと、ねじ込み方向が上下方向に揃うように前記アンカーフレームのそれぞれに固定されたアンカー部材とを備えていることを特徴とするマンホールブロックがある。(特許文献1参照)
【特許文献1】 特開2005−146571号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
下水道用のマンホールふたに関する規格として、日本下水道協会規格JSWAS G−4・2005があり、これによると、マンホール内に発生する内圧に対して60kN〜106kNの荷重強さが必要との考えかたが示されている。斜壁に埋め込まれているインサートの引抜強度が60kN〜106kN以下であれば、インサートは斜壁から離脱し、マンホールふたは浮上ることになる。
上記前者においては、インサートにねじ込まれたアンカーボルトのみで支持固定しているため、インサートの引抜強度のみで浮上りを防止しており、日本下水道協会規格に適合する受枠の浮上り防止金具の開発が望まれている。
【0005】
上記後者においては、マンホールの大きさに合わせてマンホールブロックを作成しなければならず、多大な在庫と費用が掛るものである。
また、先付けとしては使用できるが、後付けとしては使用できず、施工が限定される不合理がある。
【0006】
本発明は、上記のような問題点に鑑みなされたもので、その目的は、マンホール施工時において、補強板を使用することにより、簡単・確実に施工することができると共に、後付・先付等、両方施工可能であるマンホール受枠用浮上り防止金具を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記目的を達成する手段として、補強板に、マンホールふたを固定するアンカーボルトを挿入するアンカーボルト挿入孔を設けると共に、アンカーボルトの近傍位置に設ける少なくとも1本の補強ボルトを挿入する補強ボルト挿入孔を設けてなる。
また、補強板の中央に、アンカーボルト挿入孔を設けると共に、アンカーボルト挿入孔の両側に補強ボルト挿入孔を設けてなる。
そして、補強板の一側に、アンカーボルト挿入孔を、他側に補強ボルト挿入孔を設けてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
発明の効果としては、以下のものである。
1)、補強板に、アンカーボルト挿入孔及び補強ボルト挿入孔を設けることにより、アンカーボルト及び補強ボルトを挿入し、固定することにより、簡単・確実に浮上りを防止することができる。
2)、補強板の中央にアンカーボルト挿入孔を、両側に補強ボルト挿入孔を設けることにより、3点支持にて強固に固定できる。
3)補強板の一側にアンカーボルト挿入孔を、他側に補強ボルト挿入孔を設けることにより、コストダウン効果と、補強効果を有するものである。
4)、先付および後付にも対応できるものであり、既築や新規の施工にも対応できる。
【発明の実施するための最良の形態】
【0009】
つぎに、本発明の実施例について述べる。
マンホール受枠用浮上り防止金具1は、鋳鉄製等により補強リブ2aを設ける共に、R状に形成した補強板本体2の中央に、アンカーボルト挿入孔3を設け、両側に補強ボルト挿入孔4・4を設けてなるものであり、アンカーボルト挿入孔3の下部にロックナットを収納する収納部3aを設けてある。
【0010】
上記マンホール受枠用浮上り防止金具1の使用例について述べる。
まず、すでに施工済の物件においては、斜壁S1に穴ANをあけると共に、ボルト孔BKをあけ、ホールインアンカーHA・HAを打ち込み、補強ボルトHB・HBを螺設する。
その後、収納部3aの内にロックナットRNを収納すべくマンホール受枠用浮上り防止金具1のアンカーボルト挿入孔3及び補強ボルト挿入孔4・4に各々アンカーボルトAB及び補強ボルトHB・HBを挿入し、ナットN1・N1にて固定し、補強を行うものである。
なお、マンホール内圧に対する強度は、最低60kN〜最高106kNとなるよう補強できるよう設定してなる。
【0011】
つぎに、他の使用例について述べる。
新たに施工する場合においては、前記の施工と同様であるが、予め調整リングTRにマンホール受枠用浮上り防止金具1を収納する溝Mを加工してなるもので、アンカーAKを通常の異形鉄筋を使用してなるものである。
【0012】
つづいて、他の実施例を説明する。
マンホール受枠用浮上り防止金具21は、前記と同様な鋳鉄製等により補強リブ22aを設けると共に、R状に形成した補強板本体22の一側にアンカーボルト挿入孔23を設け、他側に補強ボルト挿入孔24を設けてなるものであり、アンカーボルト挿入孔23の下部にロックナットを収納する収納部23aを設けてある。
【0013】
上記マンホール受枠用浮上り防止金具21の使用例について述べる。
まず、すでに施工済の物件においては、鉄壁S2に穴AN1をあけると共にボルト孔BK1をあけ、ホールインアンカーHA1を打ら込み、補助ボルトHB1を螺設する。
その後、マンホール受枠用浮上り防止金具21の収納部23a内にロックナットRN1を収納すべくアンカーボルト挿入孔23にアンカーボルトAB1を挿入すると同時に、補強ボルト挿入孔24に補強ボルトHB1を挿入し、ナットN2、ナットN3にて固定し、補強を行うものである。
【0014】
上記各実施例において、補強板の形状は、同様な機能を有するものであれば特に限定しない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第一実施例を示すマンホール受枠用浮上り防止金具の正面図。
【図2】本発明の第一実施例を示すマンホール受枠用浮上り防止金具の平面図。
【図3】本発明の第一実施例を示すマンホール受枠用浮上り防止金具の縦断側面図。
【図4】本発明の第一実施例を示すマンホール受枠用浮上り防止金具の一例の使用状態図。
【図5】本発明の第一実施例を示すマンホール受枠用浮上り防止金具の他例の使用状態図。
【図6】本発明の第二実施例を示すマンホール受枠用浮上り防止金具の平面図。
【図7】本発明の第二実施例を示すマンホール受枠用浮上り防止金具の正面図。
【図8】本発明の第二実施例を示すマンホール受枠用浮上り防止金具の縦断側面図。
【図9】本発明の第二実施例を示すマンホール受枠用浮上り防止金具の一例の使用状態図。
【図10】従来例を示す要部の使用状態図。
【符号の説明】
【0016】
1−−−マンホール受枠用浮上り防止金具
2−−−補強板
2a−−補強リブ
3−−−アンカーボルト挿入孔
3a−−収納部
4−−−補強ボルト挿入孔
5−−−アンカー孔
AB−−アンカーボルト
S−−−斜壁
I−−−インサート
M−−−調整モルタル
AN−−穴
BK−−ボルト孔
HA−−ホールインアンカー
HB−−補強ボルト
RN−−ロックナット
N−−−ナット
TR−−調整リング
M−−−溝
AK−−アンカー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
補強板に、マンホールふたを固定するアンカーボルトを挿入するアンカーボルト挿入孔を設けると共に、アンカーボルトの近傍位置に設ける少なくとも1本の補強ボルトを挿入する補強ボルト挿入孔を設けてなることを特徴とするマンホール受枠用浮上り防止金具。
【請求項2】
補強板の中央に、アンカーボルト挿入孔を設けると共に、アンカーボルト挿入孔の両側に補強ボルト挿入孔を設けてなることを特徴とする請求項1記載のマンホール受枠用浮上り防止金具。
【請求項3】
補強板の一側に、アンカーボルト挿入孔を、他側に補強ボルト挿入孔を設けてなることを特徴とする請求項1記載のマンホール受枠用浮上り防止金具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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