マンホール構造体およびその構築方法
【課題】工場で製作された複数のコンクリートパネルを現場で組み立てることにより構築でき、作業の標準化および工期の短縮を図ることができるマンホール構造体を提供する。
【解決手段】コンクリートパネル同士を接合する接合具1は、複数個のスリーブ分割片6aが略円筒状に配置され、コンクリートパネル2Cのスリーブ収容部5aに径方向外方に拡張可能でかつ該スリーブケースから抜け出し不可能に設けられているとともに、外周には各スリーブ分割片を径方向内方に付勢する付勢部材6Dが設けられ、内周面には係合溝6bが設けられているスリーブに、大径部14aと小径部14bとを備え、コンクリートパネル2Aのピン収容部5aに大径部が径方向に移動可能にかつ該ピンケースから抜け出し不可能に設けられているとともに、小径部の先端部に突条14cが設けられているピンが圧入され、係合溝に突条が係合されている。
【解決手段】コンクリートパネル同士を接合する接合具1は、複数個のスリーブ分割片6aが略円筒状に配置され、コンクリートパネル2Cのスリーブ収容部5aに径方向外方に拡張可能でかつ該スリーブケースから抜け出し不可能に設けられているとともに、外周には各スリーブ分割片を径方向内方に付勢する付勢部材6Dが設けられ、内周面には係合溝6bが設けられているスリーブに、大径部14aと小径部14bとを備え、コンクリートパネル2Aのピン収容部5aに大径部が径方向に移動可能にかつ該ピンケースから抜け出し不可能に設けられているとともに、小径部の先端部に突条14cが設けられているピンが圧入され、係合溝に突条が係合されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下水道施設等の管渠の管理を行なうために付設されるマンホール構造体およびその構築方法に関する。
【背景技術】
【0002】
下水道設備のマンホールは、地下の下水道から上方に延びる矩形箱型の筒状部分(以下、「マンホール構造体」という。)によって構成され、このマンホール構造体は、現場においてコンクリート型枠を構築してコンクリートを打設することにより構築するのが一般的であった。しかしながら、工期の短縮や耐震性への要求が高まり、予め筒状あるいは箱型に成形したプレキャストコンクリート部品を現場で組み立てる工法が実施されている。この方法では、例えば、下水道と接続される箱型部分と、それから上方に延びる筒状部分、地表との連絡部分等の構成要素を個別に製造し、組み立てて行く工程を採用する。地中深くにある大型のマンホールの場合には、筒状部分を更にいくつかの筒状のブロックに分割する。
【0003】
しかしながら、このような筒状あるいは箱型のプレキャスト要素部品を予め用意して組み立てる方法では、プレキャストして製造された要素部品が三次元的で寸法が大きく、重量も大きいので、その搬送と現場でのハンドリングのために、大型の搬送車や重機が必要となり、施工コストが上昇する。また、部品をストックしておくために多大のスペースが必要となる。また、組み立てる際に構成要素の継目部の目地処理が必要であり、そのための経費が嵩むという問題も有る。さらに、現場の状況に応じて寸法や形状を調整することも困難であった。
【0004】
そこで、プレキャスト部品を使用することによる施工の容易さや高強度であるという利点を享有しつつ、部品のストックや搬送・ハンドリングのコストを低減させることを目的として、工場で製作された複数のコンクリートパネルを現場で組み立て、その縁部にコンクリートを打設してコンクリートパネルどうしを結合する構築方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2005−42376号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の構築方法では、部分的とはいえコンクリートの現場打ち作業を伴うので、型枠設置工程や養生工程が必要となるため、作業を標準化するのが困難であり、また工期を短縮することができない。
【0007】
本発明は、こうした事情に鑑みて為されたもので、工場で製作された複数のコンクリートパネルを現場で組み立てることにより構築でき、作業の標準化および工期の短縮を図ることができるマンホール構造体とその構築方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1に記載のマンホール構造体は、コンクリートパネル同士が接合具で接合されたマンホール構造体であって、
前記接合具は、
一方のコンクリートパネルに設けられ、このコンクリートパネルの接合面側に開口しているスリーブケースと、
複数個のスリーブ分割片が略円筒状に配置され、前記スリーブケースのスリーブ収容部に径方向外方に拡張可能でかつ該スリーブケースから抜け出し不可能に設けられているとともに、外周には前記各スリーブ分割片を径方向内方に付勢する付勢部材が設けられ、内周面には係合溝が設けられているスリーブと、
他方のコンクリートパネルに設けられ、このコンクリートパネルの接合面側に開口しているピンケースと、
大径部と小径部とを備え、前記ピンケースのピン収容部に前記大径部が径方向に移動可能にかつ該ピンケースから抜け出し不可能に設けられているとともに、前記小径部が前記他方のコンクリートパネルの接合面から突出し、かつ前記小径部の先端部に前記スリーブの前記係合溝に係合可能な突条が設けられているピンと、
を備えており、
前記スリーブに前記ピンの前記小径部が圧入され、前記スリーブの係合溝に前記ピンの突条が係合されていることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載のマンホール構造体は、請求項1に記載の発明において、前記スリーブケースおよび前記ピンケースの開口側にはそれぞれ、前記スリーブおよび前記ピンの前記大径部が抜け出るのを規制する筒状の蓋が螺合されていることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載のマンホール構造体は、請求項1または請求項2に記載の発明において、前記スリーブケースと前記ピンケースとは、同一に構成されていることを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載のマンホール構造体の構築方法は、コンクリートパネル同士を接合するマンホール構造体の構築方法であって、
一方のコンクリートパネルにその接合面側に開口しているスリーブケースを設け、このスリーブケースのスリーブ収容部に、複数個のスリーブ分割片を略円筒状に配置してなり、内周面に係合溝が設けられているスリーブを、径方向外方に拡張可能でかつ該スリーブケースから抜け出し不可能に設けるとともに、前記スリーブの外周には前記各スリーブ分割片を径方向内方に付勢する付勢部材を設け、
他方のコンクリートパネルにその接合面側に開口しているピンケースを設け、
前記ピンケースのピン収容部に、大径部と小径部とを備えたピンを、前記大径部が径方向に移動可能にかつ該ピンケースから抜け出し不可能に設けるとともに、前記小径部を前記他方のコンクリートパネルの接合面から突出させ、かつ前記小径部の先端部に前記スリーブの前記係合溝に係合可能な突条を設け、
前記ピンの前記小径部を前記スリーブ内に圧入し、前記ピンの前記突条を前記スリーブの前記係合溝に係合させることを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載のマンホール構造体の構築方法は、請求項4に記載の発明において、前記スリーブケースおよび前記ピンケースの開口側にはそれぞれ、前記スリーブおよび前記ピンの前記大径部が抜け出るのを規制する筒状の蓋が螺合されていることを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載のマンホール構造体の構築方法は、請求項4または請求項5に記載の発明において、前記スリーブケースと前記ピンケースとは、同一に構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載のマンホール構造体および請求項4に記載のマンホール構造体の構築方法によれば、工場で製作された複数のコンクリートパネルを、現場で組み立てることにより構築できるので、作業の標準化および工期の短縮を図ることができる。
また、本発明に係るピンとスリーブとを備えた接合具を用いる接合では、ピンケースのピン収容部にピンの大径部が径方向に移動可能に設けられているので、ピンとスリーブとの間に多少の芯ずれがあっても、ピンをスリーブ内に圧入することができる。したがって、コンクリートパネル同士を接合する際に、ピンとスリーブとの間の多少芯ずれを許容して作業できるので、接合作業を迅速に行うことができる。また、コンクリートパネルに対するスリーブケースやピンケースの取付精度を緩和することができるのでコンクリートパネルの製作コストを低減することができる。
【0015】
請求項2に記載のマンホール構造体および請求項5に記載のマンホール構造体の構築方法によれば、接後具のスリーブケースおよびピンケースに蓋を螺合するようにしたので、コンクリートパネル同士を接合する前に、蓋を外して、スリーブ収納部およびピン収容部を掃除することができる。
【0016】
請求項3に記載のマンホール構造体および請求項6に記載のマンホール構造体の構築方法によれば、接合具のスリーブケースとピンケースとを同一に構成したので、これらの製作コストを低減することができ、ひいてはこれらのスリーブケースあるいはピンケースを設けているコンクリートパネルの製作コストを低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
マンホール構造体Mは、図8および図9に示すように、プレキャストコンクリート製の底版ブロック21と、プレキャストコンクリート製の頂版ブロック22と、プレキャストコンクリート製の4枚の壁ブロック23(2枚の第1の壁ブロック23A、23B、1枚の第2の壁ブロック23C、1枚の第3の壁ブロック23D)の6枚のプレキャストコンクリートパネル(以下、「コンクリートパネル」という。)とから全体として箱型に構築されている。
【0018】
ここで、底版ブロック21は、図10に示すように、平板状に形成されている。
また、頂版ブロック22は、図11に示すように、平板状の基板22aを有している。基板22aにはマンホール接続孔22bが形成されており、マンホール接続孔22bには昇降用の足掛金物22cが取り付けられている。さらに、マンホール接続孔22bの上側には、図8および図9に示すように、円形マンホール25が取り付けられている。
【0019】
また、第1の壁ブロック23A、23Bは、図12に示すように、平板状の基板23aを有しており、基板23aにはボックスカルバート接続孔23bが形成されている。ボックスカルバート接続孔23bには、図8および図9に示すように、ボックスカルバート(接続管)26が接続されている。なお、第1の壁ブロック23A、23Bとボックスカルバート26との接続部には、図15に示すように、目地材29が充填されているとともに、厚肉帯状のゴム製の可撓性シートからなる可とう継手30がボルト31で取り付けられている。ここで、可とう継手30は中央部が内向きに突出するように撓ませて取り付けられており、第1の壁ブロック23A、23Bに対するボックスカルバート26の位置が多少ずれても接続部から液漏れしないようになっている。
【0020】
また、第2の壁ブロック23Cは、図13に示すように、コの字断面の基板23aを有しており、基板23aにはボックスカルバート接続孔23bが形成されている。ボックスカルバート接続孔23bには、図8に示すように、ボックスカルバート(接続管)27が接続されている。
【0021】
また、第3の壁ブロック23Dは、図14に示すように、コの字断面の基板23aを有しており、基板23aには昇降用の足掛金物23cが多数取り付けられている。
【0022】
なお、マンホール構造体Mを構成する各コンクリートパネル(底版ブロック21、頂版ブロック22、第1の壁ブロック23A、23B、第2の壁ブロック23C、第3の壁ブロック23D)は、工場において所定の型枠にコンクリートを打設し、養生して製造したものを現場に搬入して使用する。異なる寸法のコンクリートパネルをストックとして用意しておけば、需要に対して迅速に応答することができる。コンクリートパネルは板状であり、ストックしておいても大きなスペースを必要としない。また、箱型や筒状のプレキャストコンクリート部材と比較すると、コンクリートパネルの方が寸法が小さく、軽量であり、したがって、現場への搬入や現場でのハンドリングが容易であり、施工のためのクレーン等の重機の小型化を図ることができる。
【0023】
そして、2枚の第1の壁ブロック23A、23Bは、第2の壁ブロック23Cおよび第3の壁ブロック23Dとそれぞれ接合具1で接合されている。以下、第1の壁ブロック23A、23Bと第2の壁ブロック23Cとの接合状態を説明するが、第1の壁ブロック23A、23Bと第3の壁ブロック23Dとの接合状態についても同様である。
【0024】
すなわち、第2の壁ブロック23Cには、図1に示すように、接合具1の異形鉄筋(アンカー筋)3付きケース5が埋設されている。図3に示すように、ケース5は、円筒状に形成されたもので、内側の中間部および両端部にそれぞれ、円柱状の収容部5aおよび雌ねじ部5b、5cが形成されている。後端部の雌ねじ部5bの内径は、収容部5aの内径より小さく、前端部の雌ねじ部5cの内径は、収容部5aの内径と同程度の大きさに設定されている。図1に示すように、ケース5の後端部の雌ねじ部5bに異形鉄筋3の一端部に形成された雄ねじ部3bが螺合している。
【0025】
第2の壁ブロック23Cのケース5の収容部5a内には、スリーブ6が収容されている。図4に示すように、このスリーブ6は、両端部外周が少し大径の円筒を周方向に120°で3等分した円弧断面状の3個のスリーブ分割片6aからなるもので、各スリーブ分割片6aの内周面にはそれぞれ、周方向に延びる係合溝6bが複数形成されている。さらに、これらのスリーブ分割片6aの外周にはゴムバンド(付勢部材)6Dが設けられており、このゴムバンド6Dにより各スリーブ分割片6aがスリーブ6の径方向内方に付勢され、スリーブ6が円筒形状になっている。
【0026】
また、図1に示すように、このケース5の開口側には、蓋7が第2の壁ブロック23Cの接合面とほぼ面一になるように装着され、これによりスリーブ6がケース5の開口側から抜け出ないようになっている。すなわち、図5に示すように、蓋7は、ほぼ円筒状の部材であって、鍔部7aと雄ねじ部7bと備えている。そして、蓋7の雄ねじ部7bがケース5の前端部の雌ねじ部5cに螺合している。図1に示すように、スリーブ6の外径は、蓋7の内径より大きく、かつケース5の後端部の雌ねじ部5bの内径より大きく設定されている。そのため、スリーブ6は、蓋7の雄ねじ部7bの先端部と、ケース5の雌ねじ部5b側の収容部5aの側面(雌ねじ部5bと収容部5aとの段差面)とによって前後から挟まれた状態となっており、スリーブ6がケース5の収容部5aから抜け出ないようになっている。なお、スリーブ6の一部は、雌ねじ部5cの内側まで延びている。
【0027】
また、スリーブ6の外径は、ケース5の収容部5aの内径および雌ねじ部5cの内径よりも小さく設定されており、したがってスリーブ6の外周面と収容部5aの内周面および雌ねじ部5cとの間には隙間があり、スリーブ6は、ゴムバンド6Dの付勢力に抗して径方向外方に拡張できるようになっている。
【0028】
一方、第1の壁ブロック23A、23Bには、図1に示すように、接合具1の異形鉄筋(アンカー筋)3付きケース5が埋設されており、このケース5内には、ピン14が挿入されている。図6に示すように、このピン14は、円柱状の大径部14aと、この大径部14aから軸線を一致させて延びる円柱状の小径部14bとを備えており、小径部14bの先端部の外周面には、周方向に延びる突条14cが複数形成されている。さらに、小径部14bの先端にはテーパ面14dが形成されている。図1に示すように、このピン14は、大径部14aがケース5の収容部5a内に収容され、小径部14bが第1の壁ブロック23A、23Bの接合面から外方に突出している。そして、蓋7の雄ねじ部7bがケース5の前端部の雌ねじ部5cに螺合されることにより、このケース5の開口側に蓋7が第1の壁ブロック23A、23Bの接合面とほぼ面一になるように装着され、これにより大径部14aがケース5の開口側から抜け出ないようになっている。大径部14aの外径は、蓋7の内径より大きく、かつケース5の後端部の雌ねじ部5bの内径より大きく設定されている。そのため、大径部14aは、蓋7の雄ねじ部7bの先端部と、ケース5の雌ねじ部5b側の収容部5aの側面(雌ねじ部5bと収容部5aとの段差面)とによって前後から挟まれた状態となっており、大径部14aがケース5の収容部5aから抜け出ないようになっている。なお、大径部14aの一部は、雌ねじ部5cの内側まで延びている。
【0029】
そして、第1の壁ブロック23A、23Bの接合面から外方に突出している小径部14bが、第1の壁ブロック23A、23Bのケース5内に挿入され、先端部の突条14cがスリーブ6の係合溝6bに係合されている。
【0030】
次に、図16に基づき、マンホール構造体Mを構築する工程について説明する。
まず、土工事を行う(ステップST1)。すなわち、土留め工を行い(ステップST1a)、掘削工を行う(ステップST1b)。その後、排水工を行い(ステップST1c)、基礎工を行う(ステップST1d)。この基礎工では、図9に示すように、基礎砕石32の上に基礎コンクリート33を敷設する。これで、土工事が完了する。
【0031】
次いで、製品運搬工を行う(ステップST2)。すなわち、マンホール構造体Mを構成する各コンクリートパネルなどを現場に搬入する。
次いで、マンホール構造体Mを据え付ける(ステップST3)。
すなわち、まず準備作業を行う(ステップST3a)。この準備作業では、基礎コンクリート33の天端高さおよび仕上がり状況を点検するとともに、養生期間を確認する。その後、基礎コンクリート33上にマンホールを設置する位置を確認する(ステップST3b)。その後、基礎コンクリート33上に敷きモルタル(図示せず)を平らに敷き均す(ステップST3c)。その後、各コンクリートパネルの接合面にパッキン材が貼り付けられているかを確認する(ステップST3d)。
【0032】
そして、底版ブロック21を建て込む(ステップST3e)。それには、図17に示すように、底版ブロック21をクレーンのワイヤーロープ34で吊り下げ、敷きモルタル上に平面性を確保して載置する。
【0033】
次いで、4枚の壁ブロック23を建て込む(ステップST3f)。それには、図18(a)に示すように、底版ブロック21上に第2の壁ブロック23Cを立設し、垂直度を確保しながら仮固定する。その後、図18(b)に示すように、底版ブロック21上に第2の壁ブロック23Cを立設し、第1の壁ブロック23Aに接合する。同様に、図18(c)に示すように、底版ブロック21上に第1の壁ブロック23Bを第1の壁ブロック23Aと平行に立設し、第2の壁ブロック23Cに接合する。その後、図18(d)に示すように、底版ブロック21上に第3の壁ブロック23Dを第2の壁ブロック23Cと平行に立設し、第1の壁ブロック23A、23Bに接合する。
【0034】
ここで、接合具1を用いて、第1の壁ブロック23A、23Bを第2の壁ブロック23Cに接合するには、まず、第2の壁ブロック23Cに埋設されたケース5にスリーブ6を挿入し、収納部5aにスリーブ6を収納した後、蓋7をケース5に装着して、スリーブ6が収納部5aから抜け出ないようにする。また、第1の壁ブロック23A、23Bに埋設されたケース5にピン14を挿入し、収納部5aに大径部14aを位置させた後、蓋7をケース5に装着して、大径部14aが収納部5aから抜け出ないようにする。
【0035】
次いで、ピン14の小径部14bを第2の壁ブロック23Cのケース5内に挿入した後、第1の壁ブロック23A、23Bを第2の壁ブロック23Cに接近させて行き、接合面同士を当接させる。この場合、ピン14の小径部14bを第2の壁ブロック23Cのケース5内に挿入した後、接合面間の隙間がなくなるまで、ボルトボックスのボルトにより所定のトルクで締め付けて、接合面同士を当接させる。
【0036】
そうすると、ピン14の大径部14aの後端面がケース5の雌ねじ部5b側の収容部5aの側面(雌ねじ部5bと収容部5aとの段差面)により押されて、ピン14の小径部14bがスリーブ6内に圧入される。これにより、小径部14bの先端部が、ゴムバンド6Dの付勢力に抗してスリーブ6を径方向外方に拡張しながら、スリーブ6内を前進して行き、前進移動が終了した時点で、突条14cがスリーブ分割片6aの係合溝6bに係合されるとともに、ゴムバンド6Dにより径方向内方に締め付けられる。なお、ピン14の前進時に、スリーブ6(各スリーブ分割片6a)はピン14により雌ねじ部5b側に押されるが、スリーブ6の雌ねじ部5b側の端面がケース5の雌ねじ部5b側の収容部5aの側面(雌ねじ部5bと収容部5aとの段差面)に当接し、スリーブ6の移動が規制される。
【0037】
このようにしてピン14の突状14cがスリーブ6の係合溝6bに係合されると、ピン14は、スリーブ6に対して蓋7側に移動できなくなり、これにより第1の壁ブロック23A、23Bが第2の壁ブロック23Cに接合される。なお、ピン14が蓋7側に移動しようとすると、スリーブ6がピン14とともに移動しようとするが、スリーブ6の雌ねじ部5c側の端面がケース5の雌ねじ部5c側の収容部5aの側面(雌ねじ部5cと収容部5aとの段差面)に当接し、スリーブ6の移動が規制される。
【0038】
また、接合具1を用いて、第3の壁ブロック23Dを第1の壁ブロック23A、23Bに接合するには、第1の壁ブロック23A、23Bに取り付けられたスリーブ6に対して、第3の壁ブロック23Dに取り付けられたピン14を圧入する。
各壁ブロック23A、23B、23C、23Dは、底版ブロック21にボルトにより接合する。
【0039】
次いで、頂版ブロック22を建て込む(ステップST3g)。それには、図19に示すように、頂版ブロック22をクレーンのワイヤーロープ34で吊り下げ、4枚の壁ブロック23上に載置し、ボルトで強固に締め付けて固定する。
ここで、マンホール構造体Mの据付けが完了する。
【0040】
次いで、図15に示すように、第1の壁ブロック23A、23Bとボックスカルバート26との接続部に目地材29を充填する(ステップST4)。さらに、第1の壁ブロック23A、23Bとボックスカルバート26とを跨ぐようにして可とう継手30を取り付ける(ステップST5)。
【0041】
次いで、埋戻し工を行う(ステップST6)。この埋戻し工では、マンホール構造体Mの周囲に埋戻し材料を埋め込み、ランマー等で十分に締め固める。
最後に、土留め材を引き抜き(ステップST7)、出来形管理を行い(ステップST8)、安全管理を行う(ステップST9)。
ここで、マンホール構造体Mの構築工程が完了する。
【0042】
このようなマンホール構造体Mおよびマンホール構造体Mの構築方法にあっては、工場で製作された複数のコンクリートパネル(底版ブロック21、頂版ブロック22、壁ブロック23A、23B、23C、23D)を、接合具1およびボルトを用いて、現場で組み立てることにより構築できるので、作業の標準化および工期の短縮を図ることができる。
【0043】
また、接合具1を用いる壁ブロック同士の接合においては、ピンケース5のピン収容部5aにピン14の大径部14aが径方向に移動可能に設けられているので、ピン14とスリーブ6との間に多少の芯ずれがあっても、ピン14をスリーブ6内に圧入することができる。したがって、壁ブロック同士を接合する際に、ピン14とスリーブ6との間の多少芯ずれを気にすることなく作業できるので、接合作業を迅速に行うことができる。また、壁ブロックに対するスリーブケース5やピンケース5の取付精度を緩和することができるので、壁ブロックの製作コストを低減することができる。
【0044】
また、接合具1のスリーブケース5およびピンケース5に蓋7を螺合するようにしたので、壁ブロック同士を接合する前に、蓋7を外して、スリーブ収納部5aおよびピン収容部5aを掃除することができる。
【0045】
さらに、接合具1のスリーブケース5とピンケース5とを同一に構成したので、これらの製作コストを低減することができ、ひいてはこれらのスリーブケース5あるいはピンケース5を埋設している壁ブロック23A,23B,23C,23Dの製作コストを低減することができる。加えて、スリーブケース5およびピンケース5にそれぞれ螺合する蓋7も同一に構成したので、スリーブケース5とピンケース5との間で装着する蓋7を取り違えることがない。
【0046】
なお、上述の実施形態においては、スリーブ6を120°で3等分されたスリーブ分割片6aにより構成したが、必ずしも3等分されている必要はなく、例えば、180°、90°、90°で3分割されたスリーブ分割片を用いてもよい。また、3分割の代わりに2分割や4分割されたスリーブ分割片などを採用することも可能である。
【0047】
また、上述の実施形態においては、付勢部材としてゴムバンド6Dを用いる場合について説明したが、本発明はこれに限らず、付勢部材は各スリーブ分割片6aを径方向内方に付勢するものであればよく、例えば、ゴムや合成樹脂等の弾性材からなるリング状の部材、コイルばね等のばね部材、または環状でないC字状等のばね部材などを適宜、用いることができる。
【0048】
また、上述の実施形態においては、スリーブケース5とピンケース5とを同一に構成したが、これらは違う構成にしてもよい。また、スリーブケース5、ピンケース5に蓋7を螺合するようにしたが、これに代えて、例えば、スリーブケース5、ピンケース5に蓋7を溶接等により固着するようにしてもよいし、さらには、蓋7を設けずに、スリーブ6やピン14の大径部14aを抜け出し不可能スリーブケース、ピンケースに構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の実施の形態に係るマンホール構造体の接合具の使用状態を示す断面図である。
【図2】異形鉄筋の側面図である。
【図3】ケースを示す図であって、上半分を断面で示す側面図である。
【図4】スリーブを示す図であって、(a)は上半分を断面で示す側面図であり、(b)は(a)の右側面図である。
【図5】蓋を示す図であって、(a)は正面図であり、(b)は(a)のA−A線に沿う断面図である。
【図6】ピンを示す側面図である。
【図7】本発明の実施の形態に係るマンホール構造体の接合具の他の使用状態を示す断面図である。
【図8】マンホール構造体とボックスカルバートとの繋がりを示す平面図である。
【図9】図8のB−B線に沿う断面図である。
【図10】底版ブロックを示す図であって、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【図11】頂版ブロックを示す図であって、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【図12】第1の壁ブロックを示す図であって、(a)は正面図、(b)は平面図である。
【図13】第2の壁ブロックを示す図であって、(a)は正面図、(b)は平面図である。
【図14】第3の壁ブロックを示す図であって、(a)は正面図、(b)は平面図である。
【図15】マンホール構造体とボックスカルバートとの継手部の拡大図である。
【図16】マンホール構造体を構築する施工フロー図である。
【図17】底版ブロックの建込み工程を示す斜視図である。
【図18】壁ブロックの建込み工程を示す斜視図である。
【図19】頂版ブロックの建込み工程を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0050】
1 接合具
5 スリーブケース、ピンケース
5a スリーブ収容部、ピン収容部
6 スリーブ
6a スリーブ分割片
6b 係合溝
6D ゴムバンド(付勢部材)
7 蓋
14 ピン
14a 大径部
14b 小径部
14c 突条
21 底版ブロック(コンクリートパネル)
22 頂版ブロック(コンクリートパネル)
23A、23B、23C、23D 壁ブロック(コンクリートパネル)
M マンホール構造体
【技術分野】
【0001】
本発明は、下水道施設等の管渠の管理を行なうために付設されるマンホール構造体およびその構築方法に関する。
【背景技術】
【0002】
下水道設備のマンホールは、地下の下水道から上方に延びる矩形箱型の筒状部分(以下、「マンホール構造体」という。)によって構成され、このマンホール構造体は、現場においてコンクリート型枠を構築してコンクリートを打設することにより構築するのが一般的であった。しかしながら、工期の短縮や耐震性への要求が高まり、予め筒状あるいは箱型に成形したプレキャストコンクリート部品を現場で組み立てる工法が実施されている。この方法では、例えば、下水道と接続される箱型部分と、それから上方に延びる筒状部分、地表との連絡部分等の構成要素を個別に製造し、組み立てて行く工程を採用する。地中深くにある大型のマンホールの場合には、筒状部分を更にいくつかの筒状のブロックに分割する。
【0003】
しかしながら、このような筒状あるいは箱型のプレキャスト要素部品を予め用意して組み立てる方法では、プレキャストして製造された要素部品が三次元的で寸法が大きく、重量も大きいので、その搬送と現場でのハンドリングのために、大型の搬送車や重機が必要となり、施工コストが上昇する。また、部品をストックしておくために多大のスペースが必要となる。また、組み立てる際に構成要素の継目部の目地処理が必要であり、そのための経費が嵩むという問題も有る。さらに、現場の状況に応じて寸法や形状を調整することも困難であった。
【0004】
そこで、プレキャスト部品を使用することによる施工の容易さや高強度であるという利点を享有しつつ、部品のストックや搬送・ハンドリングのコストを低減させることを目的として、工場で製作された複数のコンクリートパネルを現場で組み立て、その縁部にコンクリートを打設してコンクリートパネルどうしを結合する構築方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2005−42376号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の構築方法では、部分的とはいえコンクリートの現場打ち作業を伴うので、型枠設置工程や養生工程が必要となるため、作業を標準化するのが困難であり、また工期を短縮することができない。
【0007】
本発明は、こうした事情に鑑みて為されたもので、工場で製作された複数のコンクリートパネルを現場で組み立てることにより構築でき、作業の標準化および工期の短縮を図ることができるマンホール構造体とその構築方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1に記載のマンホール構造体は、コンクリートパネル同士が接合具で接合されたマンホール構造体であって、
前記接合具は、
一方のコンクリートパネルに設けられ、このコンクリートパネルの接合面側に開口しているスリーブケースと、
複数個のスリーブ分割片が略円筒状に配置され、前記スリーブケースのスリーブ収容部に径方向外方に拡張可能でかつ該スリーブケースから抜け出し不可能に設けられているとともに、外周には前記各スリーブ分割片を径方向内方に付勢する付勢部材が設けられ、内周面には係合溝が設けられているスリーブと、
他方のコンクリートパネルに設けられ、このコンクリートパネルの接合面側に開口しているピンケースと、
大径部と小径部とを備え、前記ピンケースのピン収容部に前記大径部が径方向に移動可能にかつ該ピンケースから抜け出し不可能に設けられているとともに、前記小径部が前記他方のコンクリートパネルの接合面から突出し、かつ前記小径部の先端部に前記スリーブの前記係合溝に係合可能な突条が設けられているピンと、
を備えており、
前記スリーブに前記ピンの前記小径部が圧入され、前記スリーブの係合溝に前記ピンの突条が係合されていることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載のマンホール構造体は、請求項1に記載の発明において、前記スリーブケースおよび前記ピンケースの開口側にはそれぞれ、前記スリーブおよび前記ピンの前記大径部が抜け出るのを規制する筒状の蓋が螺合されていることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載のマンホール構造体は、請求項1または請求項2に記載の発明において、前記スリーブケースと前記ピンケースとは、同一に構成されていることを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載のマンホール構造体の構築方法は、コンクリートパネル同士を接合するマンホール構造体の構築方法であって、
一方のコンクリートパネルにその接合面側に開口しているスリーブケースを設け、このスリーブケースのスリーブ収容部に、複数個のスリーブ分割片を略円筒状に配置してなり、内周面に係合溝が設けられているスリーブを、径方向外方に拡張可能でかつ該スリーブケースから抜け出し不可能に設けるとともに、前記スリーブの外周には前記各スリーブ分割片を径方向内方に付勢する付勢部材を設け、
他方のコンクリートパネルにその接合面側に開口しているピンケースを設け、
前記ピンケースのピン収容部に、大径部と小径部とを備えたピンを、前記大径部が径方向に移動可能にかつ該ピンケースから抜け出し不可能に設けるとともに、前記小径部を前記他方のコンクリートパネルの接合面から突出させ、かつ前記小径部の先端部に前記スリーブの前記係合溝に係合可能な突条を設け、
前記ピンの前記小径部を前記スリーブ内に圧入し、前記ピンの前記突条を前記スリーブの前記係合溝に係合させることを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載のマンホール構造体の構築方法は、請求項4に記載の発明において、前記スリーブケースおよび前記ピンケースの開口側にはそれぞれ、前記スリーブおよび前記ピンの前記大径部が抜け出るのを規制する筒状の蓋が螺合されていることを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載のマンホール構造体の構築方法は、請求項4または請求項5に記載の発明において、前記スリーブケースと前記ピンケースとは、同一に構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載のマンホール構造体および請求項4に記載のマンホール構造体の構築方法によれば、工場で製作された複数のコンクリートパネルを、現場で組み立てることにより構築できるので、作業の標準化および工期の短縮を図ることができる。
また、本発明に係るピンとスリーブとを備えた接合具を用いる接合では、ピンケースのピン収容部にピンの大径部が径方向に移動可能に設けられているので、ピンとスリーブとの間に多少の芯ずれがあっても、ピンをスリーブ内に圧入することができる。したがって、コンクリートパネル同士を接合する際に、ピンとスリーブとの間の多少芯ずれを許容して作業できるので、接合作業を迅速に行うことができる。また、コンクリートパネルに対するスリーブケースやピンケースの取付精度を緩和することができるのでコンクリートパネルの製作コストを低減することができる。
【0015】
請求項2に記載のマンホール構造体および請求項5に記載のマンホール構造体の構築方法によれば、接後具のスリーブケースおよびピンケースに蓋を螺合するようにしたので、コンクリートパネル同士を接合する前に、蓋を外して、スリーブ収納部およびピン収容部を掃除することができる。
【0016】
請求項3に記載のマンホール構造体および請求項6に記載のマンホール構造体の構築方法によれば、接合具のスリーブケースとピンケースとを同一に構成したので、これらの製作コストを低減することができ、ひいてはこれらのスリーブケースあるいはピンケースを設けているコンクリートパネルの製作コストを低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
マンホール構造体Mは、図8および図9に示すように、プレキャストコンクリート製の底版ブロック21と、プレキャストコンクリート製の頂版ブロック22と、プレキャストコンクリート製の4枚の壁ブロック23(2枚の第1の壁ブロック23A、23B、1枚の第2の壁ブロック23C、1枚の第3の壁ブロック23D)の6枚のプレキャストコンクリートパネル(以下、「コンクリートパネル」という。)とから全体として箱型に構築されている。
【0018】
ここで、底版ブロック21は、図10に示すように、平板状に形成されている。
また、頂版ブロック22は、図11に示すように、平板状の基板22aを有している。基板22aにはマンホール接続孔22bが形成されており、マンホール接続孔22bには昇降用の足掛金物22cが取り付けられている。さらに、マンホール接続孔22bの上側には、図8および図9に示すように、円形マンホール25が取り付けられている。
【0019】
また、第1の壁ブロック23A、23Bは、図12に示すように、平板状の基板23aを有しており、基板23aにはボックスカルバート接続孔23bが形成されている。ボックスカルバート接続孔23bには、図8および図9に示すように、ボックスカルバート(接続管)26が接続されている。なお、第1の壁ブロック23A、23Bとボックスカルバート26との接続部には、図15に示すように、目地材29が充填されているとともに、厚肉帯状のゴム製の可撓性シートからなる可とう継手30がボルト31で取り付けられている。ここで、可とう継手30は中央部が内向きに突出するように撓ませて取り付けられており、第1の壁ブロック23A、23Bに対するボックスカルバート26の位置が多少ずれても接続部から液漏れしないようになっている。
【0020】
また、第2の壁ブロック23Cは、図13に示すように、コの字断面の基板23aを有しており、基板23aにはボックスカルバート接続孔23bが形成されている。ボックスカルバート接続孔23bには、図8に示すように、ボックスカルバート(接続管)27が接続されている。
【0021】
また、第3の壁ブロック23Dは、図14に示すように、コの字断面の基板23aを有しており、基板23aには昇降用の足掛金物23cが多数取り付けられている。
【0022】
なお、マンホール構造体Mを構成する各コンクリートパネル(底版ブロック21、頂版ブロック22、第1の壁ブロック23A、23B、第2の壁ブロック23C、第3の壁ブロック23D)は、工場において所定の型枠にコンクリートを打設し、養生して製造したものを現場に搬入して使用する。異なる寸法のコンクリートパネルをストックとして用意しておけば、需要に対して迅速に応答することができる。コンクリートパネルは板状であり、ストックしておいても大きなスペースを必要としない。また、箱型や筒状のプレキャストコンクリート部材と比較すると、コンクリートパネルの方が寸法が小さく、軽量であり、したがって、現場への搬入や現場でのハンドリングが容易であり、施工のためのクレーン等の重機の小型化を図ることができる。
【0023】
そして、2枚の第1の壁ブロック23A、23Bは、第2の壁ブロック23Cおよび第3の壁ブロック23Dとそれぞれ接合具1で接合されている。以下、第1の壁ブロック23A、23Bと第2の壁ブロック23Cとの接合状態を説明するが、第1の壁ブロック23A、23Bと第3の壁ブロック23Dとの接合状態についても同様である。
【0024】
すなわち、第2の壁ブロック23Cには、図1に示すように、接合具1の異形鉄筋(アンカー筋)3付きケース5が埋設されている。図3に示すように、ケース5は、円筒状に形成されたもので、内側の中間部および両端部にそれぞれ、円柱状の収容部5aおよび雌ねじ部5b、5cが形成されている。後端部の雌ねじ部5bの内径は、収容部5aの内径より小さく、前端部の雌ねじ部5cの内径は、収容部5aの内径と同程度の大きさに設定されている。図1に示すように、ケース5の後端部の雌ねじ部5bに異形鉄筋3の一端部に形成された雄ねじ部3bが螺合している。
【0025】
第2の壁ブロック23Cのケース5の収容部5a内には、スリーブ6が収容されている。図4に示すように、このスリーブ6は、両端部外周が少し大径の円筒を周方向に120°で3等分した円弧断面状の3個のスリーブ分割片6aからなるもので、各スリーブ分割片6aの内周面にはそれぞれ、周方向に延びる係合溝6bが複数形成されている。さらに、これらのスリーブ分割片6aの外周にはゴムバンド(付勢部材)6Dが設けられており、このゴムバンド6Dにより各スリーブ分割片6aがスリーブ6の径方向内方に付勢され、スリーブ6が円筒形状になっている。
【0026】
また、図1に示すように、このケース5の開口側には、蓋7が第2の壁ブロック23Cの接合面とほぼ面一になるように装着され、これによりスリーブ6がケース5の開口側から抜け出ないようになっている。すなわち、図5に示すように、蓋7は、ほぼ円筒状の部材であって、鍔部7aと雄ねじ部7bと備えている。そして、蓋7の雄ねじ部7bがケース5の前端部の雌ねじ部5cに螺合している。図1に示すように、スリーブ6の外径は、蓋7の内径より大きく、かつケース5の後端部の雌ねじ部5bの内径より大きく設定されている。そのため、スリーブ6は、蓋7の雄ねじ部7bの先端部と、ケース5の雌ねじ部5b側の収容部5aの側面(雌ねじ部5bと収容部5aとの段差面)とによって前後から挟まれた状態となっており、スリーブ6がケース5の収容部5aから抜け出ないようになっている。なお、スリーブ6の一部は、雌ねじ部5cの内側まで延びている。
【0027】
また、スリーブ6の外径は、ケース5の収容部5aの内径および雌ねじ部5cの内径よりも小さく設定されており、したがってスリーブ6の外周面と収容部5aの内周面および雌ねじ部5cとの間には隙間があり、スリーブ6は、ゴムバンド6Dの付勢力に抗して径方向外方に拡張できるようになっている。
【0028】
一方、第1の壁ブロック23A、23Bには、図1に示すように、接合具1の異形鉄筋(アンカー筋)3付きケース5が埋設されており、このケース5内には、ピン14が挿入されている。図6に示すように、このピン14は、円柱状の大径部14aと、この大径部14aから軸線を一致させて延びる円柱状の小径部14bとを備えており、小径部14bの先端部の外周面には、周方向に延びる突条14cが複数形成されている。さらに、小径部14bの先端にはテーパ面14dが形成されている。図1に示すように、このピン14は、大径部14aがケース5の収容部5a内に収容され、小径部14bが第1の壁ブロック23A、23Bの接合面から外方に突出している。そして、蓋7の雄ねじ部7bがケース5の前端部の雌ねじ部5cに螺合されることにより、このケース5の開口側に蓋7が第1の壁ブロック23A、23Bの接合面とほぼ面一になるように装着され、これにより大径部14aがケース5の開口側から抜け出ないようになっている。大径部14aの外径は、蓋7の内径より大きく、かつケース5の後端部の雌ねじ部5bの内径より大きく設定されている。そのため、大径部14aは、蓋7の雄ねじ部7bの先端部と、ケース5の雌ねじ部5b側の収容部5aの側面(雌ねじ部5bと収容部5aとの段差面)とによって前後から挟まれた状態となっており、大径部14aがケース5の収容部5aから抜け出ないようになっている。なお、大径部14aの一部は、雌ねじ部5cの内側まで延びている。
【0029】
そして、第1の壁ブロック23A、23Bの接合面から外方に突出している小径部14bが、第1の壁ブロック23A、23Bのケース5内に挿入され、先端部の突条14cがスリーブ6の係合溝6bに係合されている。
【0030】
次に、図16に基づき、マンホール構造体Mを構築する工程について説明する。
まず、土工事を行う(ステップST1)。すなわち、土留め工を行い(ステップST1a)、掘削工を行う(ステップST1b)。その後、排水工を行い(ステップST1c)、基礎工を行う(ステップST1d)。この基礎工では、図9に示すように、基礎砕石32の上に基礎コンクリート33を敷設する。これで、土工事が完了する。
【0031】
次いで、製品運搬工を行う(ステップST2)。すなわち、マンホール構造体Mを構成する各コンクリートパネルなどを現場に搬入する。
次いで、マンホール構造体Mを据え付ける(ステップST3)。
すなわち、まず準備作業を行う(ステップST3a)。この準備作業では、基礎コンクリート33の天端高さおよび仕上がり状況を点検するとともに、養生期間を確認する。その後、基礎コンクリート33上にマンホールを設置する位置を確認する(ステップST3b)。その後、基礎コンクリート33上に敷きモルタル(図示せず)を平らに敷き均す(ステップST3c)。その後、各コンクリートパネルの接合面にパッキン材が貼り付けられているかを確認する(ステップST3d)。
【0032】
そして、底版ブロック21を建て込む(ステップST3e)。それには、図17に示すように、底版ブロック21をクレーンのワイヤーロープ34で吊り下げ、敷きモルタル上に平面性を確保して載置する。
【0033】
次いで、4枚の壁ブロック23を建て込む(ステップST3f)。それには、図18(a)に示すように、底版ブロック21上に第2の壁ブロック23Cを立設し、垂直度を確保しながら仮固定する。その後、図18(b)に示すように、底版ブロック21上に第2の壁ブロック23Cを立設し、第1の壁ブロック23Aに接合する。同様に、図18(c)に示すように、底版ブロック21上に第1の壁ブロック23Bを第1の壁ブロック23Aと平行に立設し、第2の壁ブロック23Cに接合する。その後、図18(d)に示すように、底版ブロック21上に第3の壁ブロック23Dを第2の壁ブロック23Cと平行に立設し、第1の壁ブロック23A、23Bに接合する。
【0034】
ここで、接合具1を用いて、第1の壁ブロック23A、23Bを第2の壁ブロック23Cに接合するには、まず、第2の壁ブロック23Cに埋設されたケース5にスリーブ6を挿入し、収納部5aにスリーブ6を収納した後、蓋7をケース5に装着して、スリーブ6が収納部5aから抜け出ないようにする。また、第1の壁ブロック23A、23Bに埋設されたケース5にピン14を挿入し、収納部5aに大径部14aを位置させた後、蓋7をケース5に装着して、大径部14aが収納部5aから抜け出ないようにする。
【0035】
次いで、ピン14の小径部14bを第2の壁ブロック23Cのケース5内に挿入した後、第1の壁ブロック23A、23Bを第2の壁ブロック23Cに接近させて行き、接合面同士を当接させる。この場合、ピン14の小径部14bを第2の壁ブロック23Cのケース5内に挿入した後、接合面間の隙間がなくなるまで、ボルトボックスのボルトにより所定のトルクで締め付けて、接合面同士を当接させる。
【0036】
そうすると、ピン14の大径部14aの後端面がケース5の雌ねじ部5b側の収容部5aの側面(雌ねじ部5bと収容部5aとの段差面)により押されて、ピン14の小径部14bがスリーブ6内に圧入される。これにより、小径部14bの先端部が、ゴムバンド6Dの付勢力に抗してスリーブ6を径方向外方に拡張しながら、スリーブ6内を前進して行き、前進移動が終了した時点で、突条14cがスリーブ分割片6aの係合溝6bに係合されるとともに、ゴムバンド6Dにより径方向内方に締め付けられる。なお、ピン14の前進時に、スリーブ6(各スリーブ分割片6a)はピン14により雌ねじ部5b側に押されるが、スリーブ6の雌ねじ部5b側の端面がケース5の雌ねじ部5b側の収容部5aの側面(雌ねじ部5bと収容部5aとの段差面)に当接し、スリーブ6の移動が規制される。
【0037】
このようにしてピン14の突状14cがスリーブ6の係合溝6bに係合されると、ピン14は、スリーブ6に対して蓋7側に移動できなくなり、これにより第1の壁ブロック23A、23Bが第2の壁ブロック23Cに接合される。なお、ピン14が蓋7側に移動しようとすると、スリーブ6がピン14とともに移動しようとするが、スリーブ6の雌ねじ部5c側の端面がケース5の雌ねじ部5c側の収容部5aの側面(雌ねじ部5cと収容部5aとの段差面)に当接し、スリーブ6の移動が規制される。
【0038】
また、接合具1を用いて、第3の壁ブロック23Dを第1の壁ブロック23A、23Bに接合するには、第1の壁ブロック23A、23Bに取り付けられたスリーブ6に対して、第3の壁ブロック23Dに取り付けられたピン14を圧入する。
各壁ブロック23A、23B、23C、23Dは、底版ブロック21にボルトにより接合する。
【0039】
次いで、頂版ブロック22を建て込む(ステップST3g)。それには、図19に示すように、頂版ブロック22をクレーンのワイヤーロープ34で吊り下げ、4枚の壁ブロック23上に載置し、ボルトで強固に締め付けて固定する。
ここで、マンホール構造体Mの据付けが完了する。
【0040】
次いで、図15に示すように、第1の壁ブロック23A、23Bとボックスカルバート26との接続部に目地材29を充填する(ステップST4)。さらに、第1の壁ブロック23A、23Bとボックスカルバート26とを跨ぐようにして可とう継手30を取り付ける(ステップST5)。
【0041】
次いで、埋戻し工を行う(ステップST6)。この埋戻し工では、マンホール構造体Mの周囲に埋戻し材料を埋め込み、ランマー等で十分に締め固める。
最後に、土留め材を引き抜き(ステップST7)、出来形管理を行い(ステップST8)、安全管理を行う(ステップST9)。
ここで、マンホール構造体Mの構築工程が完了する。
【0042】
このようなマンホール構造体Mおよびマンホール構造体Mの構築方法にあっては、工場で製作された複数のコンクリートパネル(底版ブロック21、頂版ブロック22、壁ブロック23A、23B、23C、23D)を、接合具1およびボルトを用いて、現場で組み立てることにより構築できるので、作業の標準化および工期の短縮を図ることができる。
【0043】
また、接合具1を用いる壁ブロック同士の接合においては、ピンケース5のピン収容部5aにピン14の大径部14aが径方向に移動可能に設けられているので、ピン14とスリーブ6との間に多少の芯ずれがあっても、ピン14をスリーブ6内に圧入することができる。したがって、壁ブロック同士を接合する際に、ピン14とスリーブ6との間の多少芯ずれを気にすることなく作業できるので、接合作業を迅速に行うことができる。また、壁ブロックに対するスリーブケース5やピンケース5の取付精度を緩和することができるので、壁ブロックの製作コストを低減することができる。
【0044】
また、接合具1のスリーブケース5およびピンケース5に蓋7を螺合するようにしたので、壁ブロック同士を接合する前に、蓋7を外して、スリーブ収納部5aおよびピン収容部5aを掃除することができる。
【0045】
さらに、接合具1のスリーブケース5とピンケース5とを同一に構成したので、これらの製作コストを低減することができ、ひいてはこれらのスリーブケース5あるいはピンケース5を埋設している壁ブロック23A,23B,23C,23Dの製作コストを低減することができる。加えて、スリーブケース5およびピンケース5にそれぞれ螺合する蓋7も同一に構成したので、スリーブケース5とピンケース5との間で装着する蓋7を取り違えることがない。
【0046】
なお、上述の実施形態においては、スリーブ6を120°で3等分されたスリーブ分割片6aにより構成したが、必ずしも3等分されている必要はなく、例えば、180°、90°、90°で3分割されたスリーブ分割片を用いてもよい。また、3分割の代わりに2分割や4分割されたスリーブ分割片などを採用することも可能である。
【0047】
また、上述の実施形態においては、付勢部材としてゴムバンド6Dを用いる場合について説明したが、本発明はこれに限らず、付勢部材は各スリーブ分割片6aを径方向内方に付勢するものであればよく、例えば、ゴムや合成樹脂等の弾性材からなるリング状の部材、コイルばね等のばね部材、または環状でないC字状等のばね部材などを適宜、用いることができる。
【0048】
また、上述の実施形態においては、スリーブケース5とピンケース5とを同一に構成したが、これらは違う構成にしてもよい。また、スリーブケース5、ピンケース5に蓋7を螺合するようにしたが、これに代えて、例えば、スリーブケース5、ピンケース5に蓋7を溶接等により固着するようにしてもよいし、さらには、蓋7を設けずに、スリーブ6やピン14の大径部14aを抜け出し不可能スリーブケース、ピンケースに構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の実施の形態に係るマンホール構造体の接合具の使用状態を示す断面図である。
【図2】異形鉄筋の側面図である。
【図3】ケースを示す図であって、上半分を断面で示す側面図である。
【図4】スリーブを示す図であって、(a)は上半分を断面で示す側面図であり、(b)は(a)の右側面図である。
【図5】蓋を示す図であって、(a)は正面図であり、(b)は(a)のA−A線に沿う断面図である。
【図6】ピンを示す側面図である。
【図7】本発明の実施の形態に係るマンホール構造体の接合具の他の使用状態を示す断面図である。
【図8】マンホール構造体とボックスカルバートとの繋がりを示す平面図である。
【図9】図8のB−B線に沿う断面図である。
【図10】底版ブロックを示す図であって、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【図11】頂版ブロックを示す図であって、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【図12】第1の壁ブロックを示す図であって、(a)は正面図、(b)は平面図である。
【図13】第2の壁ブロックを示す図であって、(a)は正面図、(b)は平面図である。
【図14】第3の壁ブロックを示す図であって、(a)は正面図、(b)は平面図である。
【図15】マンホール構造体とボックスカルバートとの継手部の拡大図である。
【図16】マンホール構造体を構築する施工フロー図である。
【図17】底版ブロックの建込み工程を示す斜視図である。
【図18】壁ブロックの建込み工程を示す斜視図である。
【図19】頂版ブロックの建込み工程を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0050】
1 接合具
5 スリーブケース、ピンケース
5a スリーブ収容部、ピン収容部
6 スリーブ
6a スリーブ分割片
6b 係合溝
6D ゴムバンド(付勢部材)
7 蓋
14 ピン
14a 大径部
14b 小径部
14c 突条
21 底版ブロック(コンクリートパネル)
22 頂版ブロック(コンクリートパネル)
23A、23B、23C、23D 壁ブロック(コンクリートパネル)
M マンホール構造体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリートパネル同士が接合具で接合されたマンホール構造体であって、
コンクリートパネル同士を接合する接合具は、
一方のコンクリートパネルに設けられ、このコンクリートパネルの接合面側に開口しているスリーブケースと、
複数個のスリーブ分割片が略円筒状に配置され、前記スリーブケースのスリーブ収容部に径方向外方に拡張可能でかつ該スリーブケースから抜け出し不可能に設けられているとともに、外周には前記各スリーブ分割片を径方向内方に付勢する付勢部材が設けられ、内周面には係合溝が設けられているスリーブと、
他方のコンクリートパネルに設けられ、このコンクリートパネルの接合面側に開口しているピンケースと、
大径部と小径部とを備え、前記ピンケースのピン収容部に前記大径部が径方向に移動可能にかつ該ピンケースから抜け出し不可能に設けられているとともに、前記小径部が前記他方のコンクリートパネルの接合面から突出し、かつ前記小径部の先端部に前記スリーブの前記係合溝に係合可能な突条が設けられているピンと、
を備えており、
前記スリーブに前記ピンの前記小径部が圧入され、前記スリーブの係合溝に前記ピンの突条が係合されていることを特徴とするマンホール構造体。
【請求項2】
前記スリーブケースおよび前記ピンケースの開口側にはそれぞれ、前記スリーブおよび前記ピンの前記大径部が抜け出るのを規制する筒状の蓋が螺合されていることを特徴とする請求項1に記載のマンホール構造体。
【請求項3】
前記スリーブケースと前記ピンケースとは、同一に構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のマンホール構造体。
【請求項4】
コンクリートパネル同士を接合するマンホール構造体の構築方法であって、
一方のコンクリートパネルにその接合面側に開口しているスリーブケースを設け、このスリーブケースのスリーブ収容部に、複数個のスリーブ分割片を略円筒状に配置してなり、内周面に係合溝が設けられているスリーブを、径方向外方に拡張可能でかつ該スリーブケースから抜け出し不可能に設けるとともに、前記スリーブの外周には前記各スリーブ分割片を径方向内方に付勢する付勢部材を設け、
他方のコンクリートパネルにその接合面側に開口しているピンケースを設け、
前記ピンケースのピン収容部に、大径部と小径部とを備えたピンを、前記大径部が径方向に移動可能にかつ該ピンケースから抜け出し不可能に設けるとともに、前記小径部を前記他方のコンクリートパネルの接合面から突出させ、かつ前記小径部の先端部に前記スリーブの前記係合溝に係合可能な突条を設け、
前記ピンの前記小径部を前記スリーブ内に圧入し、前記ピンの前記突条を前記スリーブの前記係合溝に係合させることを特徴とするマンホール構造体の構築方法。
【請求項5】
前記スリーブケースおよび前記ピンケースの開口側にはそれぞれ、前記スリーブおよび前記ピンの前記大径部が抜け出るのを規制する筒状の蓋が螺合されていることを特徴とする請求項4に記載のマンホール構造体の構築方法。
【請求項6】
前記スリーブケースと前記ピンケースとは、同一に構成されていることを特徴とする請求項4または請求項5に記載のマンホール構造体の構築方法。
【請求項1】
コンクリートパネル同士が接合具で接合されたマンホール構造体であって、
コンクリートパネル同士を接合する接合具は、
一方のコンクリートパネルに設けられ、このコンクリートパネルの接合面側に開口しているスリーブケースと、
複数個のスリーブ分割片が略円筒状に配置され、前記スリーブケースのスリーブ収容部に径方向外方に拡張可能でかつ該スリーブケースから抜け出し不可能に設けられているとともに、外周には前記各スリーブ分割片を径方向内方に付勢する付勢部材が設けられ、内周面には係合溝が設けられているスリーブと、
他方のコンクリートパネルに設けられ、このコンクリートパネルの接合面側に開口しているピンケースと、
大径部と小径部とを備え、前記ピンケースのピン収容部に前記大径部が径方向に移動可能にかつ該ピンケースから抜け出し不可能に設けられているとともに、前記小径部が前記他方のコンクリートパネルの接合面から突出し、かつ前記小径部の先端部に前記スリーブの前記係合溝に係合可能な突条が設けられているピンと、
を備えており、
前記スリーブに前記ピンの前記小径部が圧入され、前記スリーブの係合溝に前記ピンの突条が係合されていることを特徴とするマンホール構造体。
【請求項2】
前記スリーブケースおよび前記ピンケースの開口側にはそれぞれ、前記スリーブおよび前記ピンの前記大径部が抜け出るのを規制する筒状の蓋が螺合されていることを特徴とする請求項1に記載のマンホール構造体。
【請求項3】
前記スリーブケースと前記ピンケースとは、同一に構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のマンホール構造体。
【請求項4】
コンクリートパネル同士を接合するマンホール構造体の構築方法であって、
一方のコンクリートパネルにその接合面側に開口しているスリーブケースを設け、このスリーブケースのスリーブ収容部に、複数個のスリーブ分割片を略円筒状に配置してなり、内周面に係合溝が設けられているスリーブを、径方向外方に拡張可能でかつ該スリーブケースから抜け出し不可能に設けるとともに、前記スリーブの外周には前記各スリーブ分割片を径方向内方に付勢する付勢部材を設け、
他方のコンクリートパネルにその接合面側に開口しているピンケースを設け、
前記ピンケースのピン収容部に、大径部と小径部とを備えたピンを、前記大径部が径方向に移動可能にかつ該ピンケースから抜け出し不可能に設けるとともに、前記小径部を前記他方のコンクリートパネルの接合面から突出させ、かつ前記小径部の先端部に前記スリーブの前記係合溝に係合可能な突条を設け、
前記ピンの前記小径部を前記スリーブ内に圧入し、前記ピンの前記突条を前記スリーブの前記係合溝に係合させることを特徴とするマンホール構造体の構築方法。
【請求項5】
前記スリーブケースおよび前記ピンケースの開口側にはそれぞれ、前記スリーブおよび前記ピンの前記大径部が抜け出るのを規制する筒状の蓋が螺合されていることを特徴とする請求項4に記載のマンホール構造体の構築方法。
【請求項6】
前記スリーブケースと前記ピンケースとは、同一に構成されていることを特徴とする請求項4または請求項5に記載のマンホール構造体の構築方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2006−336235(P2006−336235A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−159787(P2005−159787)
【出願日】平成17年5月31日(2005.5.31)
【出願人】(593012402)SMCコンクリート株式会社 (16)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年5月31日(2005.5.31)
【出願人】(593012402)SMCコンクリート株式会社 (16)
【Fターム(参考)】
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