説明

マークチューブ及びマークチューブの印字装置並びにマークチューブの印字方法

【課題】 マークチューブを装着してなる電線が、直線状に配線される場合に限らず、U字状に配線又は配線替えされる場合等であっても、該マークチューブに表示された識別標識を容易に読み取ることができる新規なマークチューブ及びマークチューブの印字装置並びにマークチューブの印字方法を提供する。
【解決手段】 配線用のケーブル等の電線を識別するために該電線に外嵌挿されるマークチューブ27であって、チューブ26の外周面には、文字,記号又は図形若しくはこれらの結合からなる一方の識別標識「RC−2.」ないし「W2.」が印字されてなるとともに、この一方の識別標識が印字された部位よりも上記チューブ26の周回り方向の任意の部位には、該一方の識別標識と同一の識別標識が、上下及び左右反転された状態となされた他方の識別標識「RC−2.」ないし「W2.」が印字されてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配電盤や制御盤に多数配線される電線の種類若しくは機能等を明瞭に識別するために該電線に外嵌挿されるマークチューブ及びマークチューブの印字装置並びにマークチューブの印字方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
配電盤、制御盤等の配線に用いるケーブル等の電線(以下、電線という)には、該電線の一端側及び他端側の両端近傍に、回路の識別のための文字,記号又は図形若しくはこれらの結合からなる識別標識(以下、識別標識という)が印字されたマークチューブ27を事前に装着するとともに、一端側及び他端側の両端に圧着端子Tを圧着してから配線される(図8(c)参照)。ところで、このマークチューブ27は、図8(a)に示すように、長尺のチューブ26の外周面の所定長でなる単位区間内の一方の部位に識別のための識別標識(RC−1,RC−3・・・W1)がそれぞれ印字されるとともに、前記単位区間ごとに切離して図8(b)に示すマークチューブ27を得るためにチューブ断面の一部を残した切れ込み26cが形成されている。
【0003】
そして、このように長尺のチューブ26に印字されたマークチューブ27を電線Wに装着する際には、単位区間ごとに切り込まれた切れ込み26cから切り離して図8(b)に示すマークチューブ27とし、図8(c)に示す電線Wの一端側及び他端側の両端近傍に装着した後、電線Wの両端に圧着端子を圧着して配線用の電線Wが作成される。したがって、こうした構成からなるマークチューブ27では、電線Wが図8(c)に示す直線状に配線された場合おいて、一方側からのみ一端側(図示の左端側)の「RC−1」と他端側(図示の右端側)「RC−3」との識別標識が読み取ることができる。
【0004】
また、マークチューブの印字装置としては、図4に示すように、プラテンローラ15と、プラテンローラ15に対して進退自在としインクリボン6及びチューブ26を押圧するサーマルヘッド14と、前記チューブ26をサーマルヘッド14から次の工程に搬送すべくサーマルヘッド14のチューブ搬送方向下流側に位置するチューブ搬送手段と、このチューブ搬送手段のチューブ搬送方向下流側に位置しチューブ26を部分的に切断するチューブ26のハーフカット(切り込み)手段18とを備え、チューブ26の搬送を停止し、チューブのハーフカット(切り込み)処理を行うチューブ用印字装置において、チューブ26の連続印字中にチューブ26の一部が切り込み位置まで搬送されたときに、前記チューブ26の搬送を停止し、特定時間経過後、次/前の印字データと同じデータを印字させる印字制御手段を具えたものが提案されている(特許文献1参照)。
【0005】
上記の構成でなるマークチューブの印字装置では、印字制御手段によって、チューブ26の連続印字中にチューブ26の一部が切り込まれる位置まで搬送されたときに、チューブ26の搬送停止後、特定時間間隔を空けた後印字しているので、チューブ26が縮み印字位置が移動した後に次/前の印字データと同じデータを印字でき、切り込み処理時のチューブ26の縮みによる印字位置のずれ分を埋めるようにして印字がされる。
【0006】
また、マークチューブの印字装置の印字方法としては、上記構成でなるチューブ用印字装置の連続印字中において、チューブが切り込まれる位置まで搬送されたかを判断し、切り込まれる位置のときはチューブの搬送を特定時間停止し、次/前の印字データと同じデータを印字し、チューブを切り込み、切り込み終了後チューブを再び搬送し印字するものが提案されている(特許文献1参照)。
【0007】
上記のようなチューブ用印字装置の印字方法で印字を行うと、チューブの搬送停止後、特定時間間隔を空けた後印字しているので、チューブが縮み印字位置が移動した後に次/前の印字データと同じデータを印字したことになり、切り込み処理時のチューブの縮みによる印字位置のずれ分を埋めるようにして印字がされる。
【特許文献1】特開平9−290524号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記構成でなるマークチューブ27では、外周面の一方の部位のみに識別標識(RC−1,RC−3・・・W1)が印字されているので、このマークチューブ27を装着してなる電線Wが直線状に配線される場合には、印字された一方側からは各識別標識を容易に読み取ることができる。しかしながら、電線Wに装着されたマークチューブ27の印字された一方側の反対側である他方側からは識別標識の読み取りが不可能であるとともに、例えば、直線状に配線された電線を、図8(d)に示すように、U字状に配線又は配線替えされる場合には、他端側の識別標識「RC−3」に対して、一端側の識別標識「RC−1」が逆向きになって読み取ることが困難であることから、このような配線又は配線替えの場合には、電線Wの一端側を切断して圧着端子Tを切り離した後、マークチューブ27を引く抜き、識別標識「RC−1」の向きを読み取り可能な方向に変更し、新たな圧着端子Tを圧着しなければならないという問題があった。
【0009】
そこで、本発明は、上述したマークチューブ及びマークチューブの印字装置並びにマークチューブの印字方法が有する課題を解決するために提案されたものであって、マークチューブを装着してなる電線が、直線状に配線される場合に限らず、U字状に配線又は配線替えされる場合等、観察する方向性が180度変更される場合であっても、該マークチューブに表示された識別標識を容易に読み取ることができる新規なマークチューブ及びマークチューブの印字装置並びにマークチューブの印字方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した目的を達成するため、第1の発明(請求項1記載の発明)は、配線用のケーブル等の電線を識別するために該電線に外嵌挿されるマークチューブであって、チューブの外周面には、文字,記号又は図形若しくはこれらの結合からなる一方の識別標識が印字されてなるとともに、この一方の識別標識が印字された部位よりも上記チューブの周回り方向の任意の部位には、該一方の識別標識と同一の識別標識が、上下及び左右反転された状態となされた他方の識別標識が印字されてなることを特徴とするものである。
【0011】
この第1の発明に係るマークチューブによれば、チューブの外周面には、文字,記号又は図形若しくはこれらの結合からなる一方の識別標識が印字されてなるとともに、この一方の識別標識が印字された部位よりも上記チューブの周回り方向の任意の部位には、該一方の識別標識と同一の識別標識が、上下及び左右反転された状態となされた他方の識別標識が印字されてなることから、電線に装着した後であっても、作業者が手指で回転させることにより、極めて容易に複数配線された電線にそれぞれ装着された全ての識別標識の方向性を同一の状態とする(統一させる)ことができる。
【0012】
したがって、例えば、上記直線状に配線した電線をU字状に配線し直したり、逆にU字状に配線されていた電線を直線状に配線し直したりした場合、その他如何なる配線の変更がされた場合であっても、このマークチューブを回転させ、手前に表示されていた一方の識別標識から他方の識別標識に変更することにより、極めて簡便に配線の変更に対応して一方及び他方の識別標識の方向性を統一させることができる。
【0013】
また、従来のように、識別標識の方向性を統一するために、一旦電線に装着したマークチューブを装着し直す際に、該電線の端部に固定した圧着端子を取り外し、マークチューブを装着し直した後に、新たな圧着端子を圧着し直すという極めて面倒な作業を解消することができ、ひいては配線工事ないし作業の迅速化を図ることができる。したがって、この発明に係るマークチューブによれば、作業者は、かなりの緻密性が要求される配線作業を行うに際し、マークチューブの方向性に注意を払うことなく、該配線作業に意識を集中することができ、誤配線の危険性を有効に解消することができる。
【0014】
さらに、マークチューブの外周には、一方の識別標識及び該一方の識別標識と上下及び左右が反転された他方の識別標識が印字されてなることから、観察する方向性が180度変更される場合であっても、該マークチューブに表示された識別標識を容易に読み取ることができる。
【0015】
また、第2の発明(請求項2記載の発明)は、上記第1の発明において、前記一方及び他方の識別標識の末尾の隣位置、又は該識別標識を構成する文字,記号又は図形の各隣位置には、ドット記号「.」が印字されてなることを特徴とするものである。
【0016】
この第2の発明に係るマークチューブによれば、前記一方及び他方の識別標識の末尾の隣位置、又は該識別標識を構成する文字,記号又は図形の各隣位置には、ドット記号「.」が印字されてなることから、例えば、数字の6や9などのように、天地方向のどちらかも文字や図形として認識することはできるものの、天地方向の何れかで異なる文字や図形であり、読み取り間違い(誤認)を生じやすい文字や図形が印字される場合であっても、読み違い(誤認)を防ぐことができる。
【0017】
また、第3の発明(請求項3記載の発明)は、前記請求項1記載のマークチューブの印字方法であって、チューブの先端側を、マークチューブの印字装置を構成するチューブ供給部から供給し、該チューブ印字装置を構成する印字手段により、該チューブの外周面に請求項1記載のマークチューブを構成する一方の識別標識を印字する第1の印字工程と、上記第1の印字工程の終了後、該チューブの後端側を再度上記チューブ供給口から該チューブを反転した状態で供給し、上記一方の識別標識を印字した印字手段と同じ印字手段により、該チューブの外周面に請求項1記載のマークチューブを構成する他方の識別標識を印字する第2の印字工程と、を備えてなることを特徴とするものである。
【0018】
この第3の発明に係るマークチューブの印字方法によれば、上記第1の印字工程の終了後、該チューブの後端側を再度上記チューブ供給口から該チューブを反転した状態で供給し、上記一方の識別標識を印字した印字手段と同じ印字手段により、該チューブの外周面に請求項1記載のマークチューブを構成する他方の識別標識を印字するようにしたことから、これまで使用されてきたマークチューブの印字装置をそのまま使用することができるとともに、こうした印字方法により得られたマークチューブによれば、電線に装着した後であっても、作業者が手指で回転させることにより、極めて容易に複数配線された電線にそれぞれ装着された全ての識別標識の方向性を同一の状態とする(統一させる)ことができる。
【0019】
したがって、この第3の発明により印字されたマークチューブによれば、上記マークチューブを装着した電線をU字状に配線又は配線替えされても識別標識が容易に読み取ることができるとともに、一方の識別標識側からも他方の識別標識側からも容易に読み取ることができる。
【0020】
また、この第3の発明により印字されたマークチューブによれば、従来のように、識別標識の方向性を統一するために、一旦電線に装着したマークチューブを装着し直す際に、該電線の端部に固定した圧着端子を取り外し、マークチューブを装着し直した後に、新たな圧着端子を圧着し直すという極めて面倒な作業を解消することができ、ひいては配線工事ないし作業の迅速化を図ることができる。また、この発明に係るマークチューブによれば、作業者は、かなりの緻密性が要求される配線作業を行う場合であっても、マークチューブの方向性に注意を払うことなく、該配線作業に意識を集中することができ、誤配線の危険性を有効に解消することができる。
【0021】
また、第4の発明(請求項4記載の発明)は、上記第3の発明において、前記チューブの外周面に請求項1記載のマークチューブを構成する一方の識別標識を印字する第1の工程と、前記チューブの外周面に請求項1記載のマークチューブを構成する他方の識別標識を印字する第2の工程とにおいて、前記マークチューブの一方及び他方の識別標識の末尾の隣位置、又は該識別標識を構成する文字,記号又は図形の各隣位置には、ドット記号「.」を印字するようにしたことを特徴とするものである。
【0022】
この第4の発明に係るマークチューブの印字方法によれば、前記マークチューブの一方及び他方の識別標識の末尾の隣位置、又は該識別標識を構成する文字,記号又は図形の各隣位置には、ドット記号「.」を印字するようにしたことから、数字の6,9,などのように天地逆の方向から読み取り間違いを生じやすい場合であっても、末尾にドット記号「.」を印字することにより読み違いを防ぐことができる。また、前記入力手段により一方及び他方の識別標識を入力する際に、作業者が一々ドット記号「.」を入力する必要がない。
【0023】
また、第5の発明(請求項5記載の発明)は、前記請求項1又は2記載のマークチューブの印字装置であって、チューブの外周面に印字される文字,記号又は図形を入力する入力手段と、この入力手段により入力された文字,記号又は図形若しくはこれらの結合を表示する表示手段と、上記入力手段により入力された文字,記号又は図形若しくはこれらの結合を記憶する記憶手段と、チューブを内部に供給するチューブ供給部と、このチューブ供給部から供給されたチューブを外部に排出するチューブ排出部と、上記チューブ供給部からチューブ排出部に亘ってチューブを移送するチューブ移送手段と、上記チューブ移送手段により移送されるチューブの外周面に、前記請求項1記載のマークチューブを構成する一方の識別標識を印字する第1の印字手段と、該チューブの外周面であって上記第1の印字手段により印字された又は印字される一方の識別標識の印字位置とは反対側に、前記請求項1記載のマークチューブを構成する他方の識別標識を印字する第2の印字手段と、上記入力手段,表示手段,記憶手段,チューブ移送手段,第1の印字手段,第2の印字手段を制御する制御手段と、を備えてなることを特徴とするものである。
【0024】
この第5の発明に係るマークチューブの印字装置によれば、チューブの一端が上記チューブ供給部から供給されると、上記移送手段により上記チューブ排出部側に順次移送される。そして、この移送手段による移送途中において、上記チューブの外周面に、上記第1の印字手段によって上記一方の識別標識が印字されるとともに、上記第2の印字手段により上記他方の識別標識が印字され、上記チューブ排出部から外部に排出される。
【0025】
したがって、このマークチューブの印字装置によれば、第1の発明に係るマークチューブを得ることができるばかりか、前述した第3又は第4の発明のように、2度に亘って印字装置を操作する必要ななく、膨大な数に上るマークチューブを短時間で作成することができる。
【0026】
なお、上記移送手段は、少なくとも上記チューブ供給部からチューブ排出部側にチューブを移送できる構造であれば良く、例えば、従来のマークチューブ印字装置のように、モータにより駆動する駆動プーリ(ローラ)と、従動プーリ(ローラ)とによりチューブを挟持しながら該駆動プーリの回転駆動により移送する構造としても良いし、チューブの一端を把持しながら直動装置の駆動によりチューブ排出部側に引く構造であっても良い。
【0027】
また、上記第1の印字手段と第2の印字手段とは、共に熱溶融するインクが塗布されたインクリボンをサーマルヘッドにより加熱させ、チューブの外周面に文字や記号等を転写させる従来の印字装置に用いられている構造を採用することができるが、それ以外にも所謂ドット式の印字手段であっても良い。そして、この発明では、上記第1の印字手段と第2の印字手段とは、移送されるチューブを間に介して互いに対向する位置に配置されているものであっても良いし、チューブの移送方向の上流側に上記第1の印字手段を配置し、下流側のチューブを挟む反対位置に第2の印字手段を配置したものであっても良い。
【0028】
なお、この印字装置には、上記チューブ排出口の配置位置の上流側に、上記第1及び第2の印字手段により一方及び他方の識別標識が印字されたチューブであって、該一方及び他方の識別標識の印字位置と印字位置との間において、上記チューブからそれぞれのマークチューブを切り離すための切れ込みを入れる切り込み手段が設けられているものであって良い。
【0029】
また、第6の発明(請求項6記載の発明)は、上記第5の発明において、前記制御手段には、前記マークチューブの一方及び他方の識別標識の末尾の隣位置、又は該識別標識を構成する文字,記号又は図形の各隣位置にドット記号「.」を印字させるべく、前記入力手段により入力された文字,記号又は図形の各隣位置に若しくはこれらの結合の隣位置に前記ドット記号「.」を自動的に入力するドット入力手段を備え、このドット入力手段により前記ドット記号「.」が入力された情報が前記記憶手段に記憶され、この記憶手段は、前記サーマルヘッドを制御する制御回路に接続されてなることを特徴とするものである。
【0030】
この第6の発明に係るマークチューブの印字装置によれば、前記マークチューブの一方及び他方の識別標識の末尾の隣位置、又は該識別標識を構成する文字,記号又は図形の各隣位置にドット記号「.」を印字させるべく、前記サーマルヘッドを制御する制御回路を設けてなることから、前記マークチューブの一方及び他方の識別標識の末尾の隣位置、又は該識別標識を構成する文字,記号又は図形の各隣位置には、ドット記号「.」を自動的に印字することができ、数字の6,9などのように天地逆の方向から読み取り間違いを生じやすい場合であっても、末尾にドット記号「.」を印字することにより読み違いを防ぐことができる。また、前記入力手段により一方及び他方の識別標識を入力する際に、作業者が一々ドット記号「.」を入力する必要がない。
【0031】
また、第7の発明(請求項7記載の発明)は、請求項1記載のマークチューブの印字方法であって、チューブ移送手段により移送されるチューブの外周面に、第1の印字手段により請求項1記載のマークチューブを構成する一方の識別標識を印字するとともに、該チューブの外周面であって上記第1の印字手段により印字された一方の識別標識の印字位置とは反対側に、第2の印字手段により請求項1記載のマークチューブを構成する他方の識別標識を印字するようにしたことを特徴とするものである。
【0032】
この第7の発明に係るマークチューブの印字方法によれば、チューブ移送手段により移送されるチューブの外周面に、第1の印字手段により請求項1記載のマークチューブを構成する一方の識別標識を印字するとともに、該チューブの外周面であって上記第1の印字手段により印字された一方の識別標識の印字位置とは反対側に、第2の印字手段により請求項1記載のマークチューブを構成する他方の識別標識を印字するようにしたことから、電線に装着した後であっても、作業者が手指で回転させることにより、極めて容易に複数配線された電線にそれぞれ装着された全ての識別標識の方向性を同一の状態とする(統一させる)ことができる。
【0033】
したがって、この第7の発明に係るマークチューブの印字方法により印字されたマークチューブによれば、上記マークチューブを装着した電線をU字状に配線又は配線替えされても識別標識が容易に読み取ることができるとともに、一方の識別標識側からも他方の識別標識側からも容易に読み取ることができる。
【0034】
また、このマークチューブによれば、従来のように、識別標識の方向性を統一するために、一旦電線に装着したマークチューブを装着し直し、該電線の端部に固定した圧着端子を取り外すという極めて面倒な作業を解消することができ、ひいては配線工事ないし作業の迅速化を図ることができる。また、この発明に係るマークチューブによれば、作業者は、かなりの緻密性が要求される配線作業を行うに際し、マークチューブの方向性に注意を払うことなく、該配線作業に意識を集中することができ、誤配線の危険性を有効に解消することができる。
【0035】
また、第8の発明(請求項8記載の発明)は、上記第7の発明において、前記マークチューブの一方及び他方の識別標識の末尾の隣位置、又は該識別標識を構成する文字,記号又は図形の各隣位置には、ドット記号「.」を印字するようにしたことを特徴とするものである。
【0036】
この第8の発明に係るマークチューブの印字方法によれば、前記マークチューブの一方及び他方の識別標識の末尾の隣位置、又は該識別標識を構成する文字,記号又は図形の各隣位置には、ドット記号「.」を印字するようにしたことから、数字の6,9,などのように天地逆の方向から読み取り間違いを生じやすい場合であっても、末尾にドット記号「.」を印字することにより読み違いを防ぐことができる。また、前記入力手段により一方及び他方の識別標識を入力する際に、作業者が一々ドット記号「.」を入力する必要がない。
【発明の効果】
【0037】
上記第1の発明(請求項1記載の発明)に係るマークチューブによれば、電線に装着した後であっても、作業者が手指で回転させることにより、極めて容易に複数配線された電線にそれぞれ装着された全ての識別標識の方向性を同一の状態とする(統一させる)ことができ、例えば、上記直線状に配線した電線をU字状に配線し直したり、逆にU字状に配線されていた電線を直線状に配線し直したりした場合、その他如何なる配線の変更がされた場合であっても、このマークチューブを回転させ、手前に表示されていた一方の識別標識から他方の識別標識に変更することにより、極めて簡便に配線の変更に対応することができることから、配線作業の簡略化により作業時間の短縮とともに、製造原価の低減を図ることができる。
【0038】
また、従来のように、識別標識の方向性を同一の状態とする(統一させる)ために、一旦電線に装着したマークチューブを装着し直す際に、該電線の端部に固定した圧着端子を取り外し、新たに印字したマークチューブを装着し直した後に、新たな圧着端子を圧着し直すという極めて面倒な作業を解消することができ、ひいては配線工事ないし作業の迅速化を図ることができるとともに、圧着端子の無駄使いを回避することができる。また、この発明に係るマークチューブによれば、作業者は、かなりの緻密性が要求される配線作業を行うに際し、マークチューブの方向性に注意を払うことなく、該配線作業に意識を集中することができ、誤配線の危険性を有効に解消することができる。
【0039】
また、第2の発明(請求項2記載の発明)に係るマークチューブによれば、前記一方及び他方の識別標識の末尾の隣位置、又は該識別標識を構成する文字,記号又は図形の各隣位置には、ドット記号「.」が印字されてなることから、例えば、数字の6や9などのように、天地方向のどちらかも文字や図形として認識することはできるものの、天地方向の何れかで異なる文字や図形であり、読み取り間違い(誤認)を生じやすい場合であっても、読み違い(誤認)を防ぐことができる。
【0040】
また、第3の発明(請求項3記載の発明)に係るマークチューブの印字方法によれば、これまで使用されてきたマークチューブの印字装置をそのまま使用することができるとともに、こうした印字方法により得られたマークチューブによれば、電線に装着した後であっても、作業者が手指で回転させることにより、極めて容易に複数配線された電線にそれぞれ装着された全ての識別標識の方向性を同一の状態とする(統一させる)ことができ、例えば、上記マークチューブを装着した電線をU字状に配線又は配線替えされても識別標識が容易に読み取ることができるとともに、一方の識別標識側からも他方の識別標識側からも容易に読み取ることができる。
【0041】
また、従来のように、識別標識の方向性を同一の状態とする(統一させる)ために、一旦電線に装着したマークチューブを装着し直す際に、該電線の端部に固定した圧着端子を取り外し、マークチューブを装着し直した後に、新たな圧着端子を圧着し直すという極めて面倒な作業を解消することができ、ひいては配線工事ないし配線作業の迅速化が容易にできることから、製造原価の低減を図ることができる。また、この発明に係るマークチューブによれば、作業者は、かなりの緻密性が要求される配線作業を行う場合であっても、マークチューブの方向性に注意を払うことなく、該配線作業にのみ意識を集中することができ、誤配線の危険性を有効に解消することができることから、配電盤、制御盤などの品質を向上させることができる。
【0042】
また、第4の発明(請求項4記載の発明)に係るマークチューブの印字方法によれば、前記マークチューブの一方及び他方の識別標識の末尾の隣位置、又は該識別標識を構成する文字,記号又は図形の各隣位置には、ドット記号「.」を印字するようにしたことから、数字の6,9,などのように天地逆の方向から読み取り間違いを生じやすい場合であっても、末尾にドット記号「.」を印字することにより読み違いを防ぐことができる。また、前記入力手段により一方及び他方の識別標識を入力する際に、作業者が一々ドット記号「.」を入力する必要がない。
【0043】
また、第5の発明(請求項5記載の発明)に係るマークチューブの印字装置によれば、第1の発明に係るマークチューブを得ることができるばかりか、前述した第3又は第4の発明のように、2度に亘って印字装置を操作する必要ななく、膨大な数に登るマークチューブを短時間で作成することができることから、製造原価の低減を図ることができる。
【0044】
また、第6の発明(請求項6記載の発明)に係るマークチューブの印字装置によれば、前記マークチューブの一方及び他方の識別標識の末尾の隣位置、又は該識別標識を構成する文字,記号又は図形の各隣位置にドット記号「.」を印字させるべく、前記サーマルヘッドを制御する制御回路を設けてなることから、前記マークチューブの一方及び他方の識別標識の末尾の隣位置、又は該識別標識を構成する文字,記号又は図形の各隣位置には、ドット記号「.」を自動的に印字することができ、数字の6,9などのように天地逆の方向から読み取り間違いを生じやすい場合であっても、末尾にドット記号「.」を印字することにより読み違いを防ぐことができる。また、前記入力手段により一方及び他方の識別標識を入力する際に、作業者が一々ドット記号「.」を入力する必要がない。
【0045】
また、第7の発明(請求項7記載の発明)に係るマークチューブの印字方法によれば、
チューブ移送手段により移送されるチューブの外周面に、第1の印字手段により請求項1記載のマークチューブを構成する一方の識別標識を印字するとともに、該チューブの外周面であって上記第1の印字手段により印字された一方の識別標識の印字位置とは反対側に、第2の印字手段により請求項1記載のマークチューブを構成する他方の識別標識を印字するようにしたことから、電線に装着した後であっても、作業者が手指で回転させることにより、極めて容易に複数配線された電線にそれぞれ装着された全ての識別標識の方向性を同一の状態とする(統一させる)ことができる。また、この発明によれば、請求項3記載の発明のように、2度に亘って印字装置を操作する必要ななく、膨大な数に登るマークチューブを短時間で作成することができることから、製造原価の低減を図ることができる。
【0046】
したがって、この方法により印字されたマークチューブによれば、上記マークチューブを装着した電線をU字状に配線又は配線替えされても識別標識が容易に読み取ることができるとともに、一方の識別標識側からも他方の識別標識側からも容易に読み取ることができる。
【0047】
また、従来のように、識別標識の方向性を統一するために、一旦電線に装着したマークチューブを装着し直し、該電線の端部に固定した圧着端子を取り外すという極めて面倒な作業を解消することができ、ひいては配線工事ないし作業の迅速化を図ることができるとともに、圧着端子の無駄使いを回避することができる。また、この発明により印字されたマークチューブによれば、作業者は、かなりの緻密性が要求される配線作業を行うに際し、マークチューブの方向性に注意を払うことなく、該配線作業に意識を集中することができ、誤配線の危険性を有効に解消することができる。
【0048】
また、第8の発明(請求項8記載の発明)に係るマークチューブの印字方法によれば、前記マークチューブの一方及び他方の識別標識の末尾の隣位置、又は該識別標識を構成する文字,記号又は図形の各隣位置には、ドット記号「.」を印字するようにしたことから、数字の6,9,などのように天地逆の方向から読み取り間違いを生じやすい場合であっても、末尾にドット記号「.」を印字することにより読み違いを防ぐことができる。また、前記入力手段により一方及び他方の識別標識を入力する際に、作業者が一々ドット記号「.」を入力する必要がない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0049】
以下、本発明を実施するためのマークチューブ及びマークチューブの印字装置並びにマークチューブの印字方法に係る最良の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0050】
この実施の形態に係るマークチューブ27は、配電盤や制御盤に多数配線される電線の種類若しくは機能等を明瞭に識別するために図6に示す電線Wに外嵌挿されるものである。このマークチューブ27は、後述する樹脂製のチューブ26が所定長に切断されたものであって、図5(e),(f)に示すように、外周面の一方の部位27aと、その反対側の他方の部位27bとには、それぞれ識別標識(図示の例は「RC−2.」)が印字されている。上記一方の部位27aに印字された「RC−2.」は、本発明を構成する一方の識別標識であり、上記他方の部位27bに印字された「RC−2.」は、本発明を構成する他方の識別標識である。
【0051】
この図5(e),(f)に示すマークチューブ27は、図5(a)ないし(d)に示すチューブ26が、各切れ込み26cを介して切り離された後の(図5(b)及び(c)の最も左側の)ものである。そこで、以下、上記マークチューブ27が切り離される前の状態であるチューブ26の構成を説明する。なお、図5中、(27)又は(27a)は、何れも切り離された際にマークチューブ27となる部位である。
【0052】
図5に示すマークチューブ27は、長尺のチューブ26の外周面の図5(a)に示す一方の部位26aと反対側の他方の部位26bとの両面に、配電盤や制御盤の回路を識別するための文字,記号又は図形若しくはこれらの結合からなる識別標識(以下、識別標識という)が印字されているものであって、該チューブ26の長手方向には、図5(b),(c)又は(d)に示す所定長でなる単位区間k1ないしk6がそれぞれ等間隔に設定されているとともに、これら単位区間ごとに切り離して使用するための切れ込み26cが、チューブ26の断面の一部を残して形成されている。
【0053】
このチューブ26の単位区間k1ないしk6の図5(a)に示す一方の部位26aには、図5(b)に示すように、前記単位区間ごとに一方の識別標識「RC−2.」ないし「W2.」がそれぞれ印字されてなるとともに、これら一方の識別標識が印字された部位よりもチューブ26の周回り方向の反対側の部位(他方の部位)26bには、図5(a)に示すように、前記一方の部位26a側とそれぞれ同一の単位区間k1ないしk6内において、前記一方の識別標識と同一の識別標識「RC−2.」ないし「W2.」が、図5(a)に示す他方の部位26bを矢印Arのように180度回転させて一方の部位26aと同一側から見た図5(c)において、上下及び左右反転された状態となされた他方の識別標識が印字されている。
【0054】
すなわち、マークチューブ27の他方の部位27bに印字された他方の識別標識を図5(a)に示すチューブ26の他方の部位26b側から見た場合には、図5(d)に示すように、図5(b)に示す一方の部位27aに印字された一方の識別標識と同一の読み取り方向で読み取ることができる。また、マークチューブ27の一方の部位27a及び他方の部位27bに印字される識別標識の末尾には、印字される識別標識のうち例えば、数字の6や9などのように天地逆読みによる誤認の恐れを解消すべく、天地を明瞭にするためのドット記号「.」が印字されている。
【0055】
このように印字された上記それぞれのマークチューブ27は、チューブ26に切り込まれた各切れ込み26cの部分を引きちぎることにより切り離されることにより、図6(b)に示すように、電線Wの両端近傍に回路の識別に供するそれぞれのマークチューブ27として、該電線Wに外嵌挿される。これらのマークチューブ27が装着された電線Wの両端には、圧着端子Tがそれぞれ圧着されて配線用の電線Wが構成される。
【0056】
ところで、それぞれのマークチューブ27は、多くの場合、配線をしながらその都度電線Wに装着されるものではなく、配線作業の前に各配線用の電線Wの両端側にそれぞれの予め装着される。この場合、マークチューブ27の装着方向は、配線後の方向は考慮せずに、例えば、図5に示すマークチューブ27のうち、「RC−2.」と「RC−4.」とを装着する場合において、図6(b)に示すように、識別標識の印字が同一部位同士(図示は一方の部位27a同士)において、一端側(図示左端側)の「RC−2.」と他端側(図示右端側)の「RC−4.」とが同一方向であるように装着されている。この組み合わせにおいて、配線後に両端側のマークチューブ27の何れかの読み取り方向が逆になる場合には、配線後において互いの読み取り方向を揃えるべく、逆側のマークチューブ27の向きを変更する。
【0057】
すなわち、例えば、配線用の電線Wが図6(b)に示す直線状に配線される場合には、マークチューブ27の一端側の「RC−2.」と他端側の「RC−4.」との印字面が、図示のように一方の部位27a同士が視認できる状態であれば、互いの読み取り方向が同一であるとともに、図6(a)に示す一方の部位27aとは反対側に位置する他方の部位27b側からも同一方向で読み取ることができる。もし、マークチューブ27の一端側又は他端側の一方の読み取り方向が逆向きになっている場合には、逆向きになっている側のマークチューブ27を、図6(a)に示す周回り方向に180度回転させることにより、容易に他方の読み取り方向と同一の方向にすることがきる(すなわち、各識別標識の方向性を統一することができる)。
【0058】
また、例えば、図6(c)に示すように、配線用の電線WがU字状に配線される場合には、電線Wの一端側に装着されたマークチューブ27から視認される「RC−2.」と、該電線Wの他端側に装着されたマークチューブ27から視認される「RC−4.」との印字面が図示のように一方の部位27a同士であれば、一端側の「RC−2.」の読み取り方向が逆向きであるとともに、この一方の部位27aの図6(a)に示す反対側の他方の部位27b側からも逆向きの読み取り方向となる。
【0059】
この場合には、電線Wの一端側に装着されたマークチューブ27を、図6(a)に示す周回り方向に180度回転させて、図6(d)に示すように、他方の部位27bが視認できるように変更すれば、電線Wの他端側に装着されたマークチューブ27から視認される「RC−4.」と同一の読み取り方向にすることができる。なお、この図6(d)に示す状態においては、反対側から視認した場合においても各識別標識である「RC−2.」と「RC−4.」との読み取り方向は同一である。したがって、この実施の形態に係るマークチューブ27によれば、従来のマークチューブを使用する場合のように、圧着端子Tをその都度切り離した後、マークチューブ27を引く抜き、識別標識の向きを読み取り可能な方向に変更し、新たな圧着端子Tを圧着するという無駄な作業が不要となる。
【0060】
次に、上記マークチューブ27を製造する際に使用されるマークチューブの印字方法(第1の印字方法)について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0061】
なお、このマークチューブの印字方法を実施するために使用されるマークチューブの印字装置1は、背景の技術で引用した特許文献1に記載の印字装置(従来の印字装置)を利用することができる。このマークチューブの印字装置(以下、印字装置という)1は、図4に示すように入力部2が構成要素とされている。この入力部2は、ワードプロセッサやパーソナルコンピュータ等を構成するキーボードと同じように、図示しない入力用のキーが多数配置されてなるものであり、これらのキー操作により、上記印字する文字(図形、記号を含む。以下文字等という)、文字等の書体、文字等のサイズ、印刷本数などが入力できるように構成されているとともに、文字等の入力する際に使用される印字入力モードや、この印字モードで入力され記憶されたデータに基づき印字する際にその印字条件を設定するための印字モードに変換することができるようにされている。
【0062】
そして、この入力部2は、この印字装置1全体の電気的制御を行う制御部であるCPUに接続され、このCPUには、上記入力部2以外にも、後述する表示部3、第1のセンサ20及び第2のセンサ21、標識入力用プログラム(ワープロ入力用プログラム)及びプリント制御のプログラム等を記憶するROM、入力部2より入力されたデータを記憶し、あるいはビットマップ化したフォントデータを展開するRAM、文字などのキャラクターデータを記憶するキャラクタジェネレータに接続されている。また、このCPUには、後述するサーマルヘッド14への通電量を制御するサーマルヘッド制御回路、各ステップモータ11,16の回転量を制御するモータ制御回路に接続されている。
【0063】
また、表示部3の右側には、移送されるチューブ26に識別標識を印字する印字部5が配置されている。この印字部5の右側には、チューブ26を下流側に配置された内部に案内するチューブ案内部材4が配置され、このチューブ案内部材4の下流側には、第1のステップモータ11により図示しない歯車などの機構を介して回転駆動される供給ローラ10と、回転自在な従動ローラ12とがそれぞれ対向した状態で配置されており、これら供給ローラ10と従動ローラ12とによりチューブ26を挟持して内部に供給するように構成されている。なお、これら供給ローラ10と従動ローラ12とは、チューブ26を内部に供給する供給部である。
【0064】
そして、この供給部の下流側の下方には、インクリボンカセット7が着脱自在に配置されている。このインクリボンカセット7は、樹脂により成形された筺体と、この筺体内に配置されてなる駆動リール7A及び従動リール7Bと、インクリボン6とを備えている。上記従動リール7Bには、帯状に形成され表面に熱溶融性塗料が塗布されたインクリボン6の一端が固定されてなるとともに中途部は外周面に多数巻回されている。
【0065】
一方、上記駆動リール7Aは、上記インクリボン6の他端が固定されてなるとともに、中心には、この印字装置1に配置された図示しない回転駆動軸が嵌合される図示しない嵌合穴が形成されている。また、このインクリボンカセット7には、上記従動リール7Bから駆動リール7Aに亘って走行するインクリボン6をガイドする複数のガイドピン(符号は省略する)を備えている。また、このインクリボンカセット7には、後述するサーマルヘッド14が挿通される開口を有してなるとともに、チューブ26が挿通されガイドされるガイド部材13が形成されている。
【0066】
したがって、この印字装置1を構成する上記回転駆動軸が駆動を開始すると、従動リール7Bの外周面に巻回されていたインクリボン6は、上記複数のガイドピンにガイドされながら駆動リール7A方向に走行するとともに該駆動リール7Aの外周面に巻回されて行く。なお、上記回転駆動軸は、後述する第1のステップモータ11により図示しない歯車などの機構を介して駆動される。
【0067】
そして、上記インクリボン6が走行する走行ルートの中途部には、サーマルヘッド14が配置されている。このサーマルヘッド14は、該インクリボン6に塗布された塗料を部分的に加熱することにより上記供給部から供給されたチューブ26の外周面に識別標識を印字するものであり、上記インクリボンカセット7に形成された開口内に位置している。また、このサーマルヘッド14は、走行する上記インクリボン6の一面(塗料が塗布された面)に圧接するよう自動的に前進するとともにインクリボン6から離間するように自動的に後退するように構成されてなるものである。なお、上記サーマルヘッド14の進退動作は、図4中破線で示す第2のステップモータ16により図示しない伝達機構を介して行われる。
【0068】
また、上記サーマルヘッド14の前進方向には、該サーマルヘッド14と協同して外周面によりチューブ26を介してインクリボン6を挟むプラテンローラ15が配置されている。このプラテンローラ15は、図4において破線で示す第1のステップモータ11により図示しない歯車などの機構を介して回転駆動するものである。なお、上記ステップモータ16、プラテンローラ15、サーマルヘッド14は、チューブ26に識別標識を印字する印字手段29である。
【0069】
また、上記インクリボンカセット7を構成する上記ガイド部13と上記チューブ案内部材4との間には、上記第1のステップモータ11により回転駆動する供給ローラ10と、この供給ローラ10に対向してなるとともに、供給されたチューブ26を挟みながら転動する従動ローラ12とが配置されている。なお、この供給ローラ10と従動ローラ12の配置位置よりも僅かに上流側には、移送されるチューブ26の後端を検知する第1のセンサ20が配置されている。この第1のセンサ20は、図示しないセンサ光を発光する発光部と、この発光部から発行されたセンサ光を受光する受光部とからなり、該発光部と受光部とは互いに対峙している。
【0070】
また、この印字装置1は、上記サーマルヘッド14の配置位置よりも下流側には、該サーマルヘッド14により印字されたチューブ26を、上記プラテンローラ15と協同して下流側に移送する移送用従動ローラ17が回転自在に配置され、この移送用従動ローラ17の下流側には、チューブ26の断面の一部を残して図7(c)に示す切れ込み26cを入れるための切り込み手段18が、着脱自在に配置されている。この切り込み手段18は、上記第2のステップモータ16の駆動により図示しない伝達機構を介して進退自在となされた刃具18Aにより構成されている。
【0071】
なお、上記刃具18Aの配置位置よりも上流側には、第2のセンサ21が配置されている。この第2のセンサ21は、チューブ移送時のチューブ26の先端を検知するものであって、チューブ26の先端がセンサ21を通過していないと、ステップモータ11及び16が駆動されず印字装置1による印字をすることができない。一方、上記刃具18Aの配置位置よりも下流側には、移動カッタ19Aが図示しないレバーの手動操作により進退自在に配置されているとともに、チューブ26を挟む対向位置に固定カッタ19Bが配置されてなり、前記レバーの手動操作により、所定の印字が終了したチューブ26の全長は剪断される。
【0072】
次に、上記構成からなる従来の印字装置1によりチューブ26に識別標識を印字する作業方法(工程)を説明する。先ず、予めチューブ26の先端が、図4に示すチューブ案内部材4を経て、供給ローラ10と従動ローラ12との入口まで至るよう手指で供給した後、入力部2に配置された押釦の手動操作により第1のステップモータ11を間欠駆動させ、供給ローラ10及びプラテンローラ15の間欠送りにより、チューブ26の先端を少なくともセンサ21に差し掛かる位置まで送り出しておく。
【0073】
この送り出しの後、入力部2の操作により、チューブ26の外周面の一方の部位27aに印字すべき識別標識、文字の書体、文字サイズ、印刷本数などのデータを表示部3により確認しながら入力するとともに、個々の識別標識を構成する最後の文字の隣位置に、ドット記号「.」を入力する。すなわち、上記入力部2の操作により、図7(b)に示すように、「RC−2. RC−4. RC−6. U2. V2. W2.」を入力する。そして、こうした識別標識の入力作業が終了すると、入力部2を構成する図示しないキーの押圧操作することにより、チューブ26の外周面に、図7(b)に示す一方の識別標識を印字する第1の印字工程を開始する。なお、この第1の印字工程においては、単位区間k1ないしk6ごとに切り離すための切れ込み26cは入れないことから、図4に示す切り込み手段18としての刃具18Aは事前に印字装置1から除去しておく。
【0074】
そして、上記キーの押圧操作がされると(第1の印字工程による印字開始の指令が出されると)、図4に示す第2のステップモータ16の駆動によりサーマルヘッド14が前進され、インクリボン6及びチューブ26を押圧することによりプラテンローラ15の外周面と協同して該インクリボン6を挟むとともに、図示しない記憶手段に記憶されたデータに基づき、図7(b)に示すチューブ26の外周面であって一方の部位27a(図4に示すサーマルヘッド14と対向する外周面)の先頭の単位区間k1内に、一方の識別標識「RC−2.」が印字される。また、この印字速度と同期して、上記プラテンローラ15及び供給ローラ10の回転駆動により、チューブ26が連続的に下流側に供給される。
【0075】
この単位区間k1の印字が終えた後においても、チューブ26は引き続き下流側に連続的に移送され、次の単位区間k2が印字位置に供給される時期と同期して、上記単位区間k1の識別標識「RC−2.」と同様の手順により図7(b)に示す単位区間k2内に、一方の識別標識「RC−4.」がチューブ26に印字される。また、上記の単位区間k1,k2に後続する単位区間k3ないしk6についても、同様の手順により一方の識別標識「RC−6.」ないし「W2.」が印字された時点で印字装置1は停止される。
【0076】
このように印字装置1が停止すると、次いで、上記第1のステップモータ11の手動の間欠駆動による供給ローラ10及びプラテンローラ15の間欠的回転により、チューブ26に印字された最終の識別標識である「W2.」が印字された位置が、移動カッタ19Aを通過する位置まで送り出し、図示しないレバーの手動操作により移動カッタ19Aを前進させてチューブ26の後端を切断する。こうした作業により、図7(b)に示す一方の部位27aに一方の識別標識「RC−2.」ないし「W2.」が印字されたチューブ26(この状態では、各単位区間の切れ込み26cは形成されていないので、単位区間別のマークチューブ27としての形態は備えていない)が作成され、第1の印字工程は終了する。なお、次の第2の印字工程の準備として、この第1の印字工程においては切れ込み26cを入れないために除去されていた図4に示す切り込み手段18の刃具18Aを装着しておく。
【0077】
こうした準備が終了すると、次いで、次の第2の印字工程を行う。この第2の印字工程では、上記第1の印字工程により図7(b)に示す一方の部位27aに一方の識別標識「RC−2.」ないし「W2.」が印字されたチューブ26を印字装置1から取り出し、該チューブ26の上記第1の印字工程により印字された一方の部位27aの反対側の他方の部位27bが、図4に示すサーマルヘッド14と対向するべくチューブ26を反転させるとともに、単位区間k6側の後端を先頭にしてチューブ案内部材4から予め供給する。次に、再度、入力部2の操作により、上記他方の部位27bに印字されるべき識別標識を入力する。但し、この識別標識を入力する順番は、先に印字した識別標識の順番とは逆にする。すなわち、入力部2により入力する識別標識の順番は、「W2. V2. U2. RC−6. RC−4. RC−2.」とする。
【0078】
そして、こうした二回目の入力操作が終了すると、次いで、入力部2に設けられたキーの操作により、第2の印字工程による印字開始の指令を出す。こうした操作により、先に説明した印字装置1の動作と同じ動作により、図7(a)に示す他方の部位26bに対して、同図(c)に示すように、他方の識別標識が印字される。なお、この第2の印字工程では、上記工程により印字されたチューブ26の先頭の単位区間k6の前方側が切り込み手段18である刃具18Aの配置位置に差し掛かると、ステップモータ16の駆動により該刃具18Aが前進して、図7(c)に示す切れ込み26cが切り込まれ、この切れ込み26cは、後続する単位区間ごとに切り込まれる。
【0079】
この単位区間k6の印字が終えた後においても、チューブ26は引き続き連続的に供給され、次の単位区間k5が印字位置に供給される時期と同期して、上記単位区間k6の識別標識「W2.」と同様の手順により図7(c)に示す単位区間k5内に、他方の識別標識「V2.」が印字される。また、上記の単位区間k6,k5に後続する単位区間k4ないしk1についても、同様の手順により他方の識別標識「U2.」ないし「RC−2.」が印字されるとともに、最後の切れ込み26cが入れられた時点で印字装置1は停止される。
【0080】
このように、第1及び第2の印字工程によりチューブ26の外周面の一方の部位27a及び他方の部位27bにそれぞれの識別標識が印字されることにより、図7(c)に示す他方の部位27bの単位区間k6ないしk1に印字された他方の識別標識「W2.」ないし「RC−2.」は、図7(b)に示す一方の部位27aの単位区間k1ないしk6に印字された一方の識別標識「RC−2.」ないし「W2.」に対して、それぞれ同一の単位区間同士の識別標識と同一の識別標識が、上下及び左右反転された状態で印字される。
【0081】
したがって、上記従来の印字装置1を使用しながら上述した第1及び第2の印字工程を経てチューブ26の外周面の二か所(一方の部位と他方の部位)に印字することにより、図5(e)及び(f)に示すマークチューブ27を得ることができる。そして、こうした方法により製造されたマークチューブ27によれば、例えば、配線用の電線Wが図6(b)に示す直線状に配線される場合には、マークチューブ27の一端側の「RC−2.」と他端側の「RC−4.」との印字面が図示のように一方の部位27a同士であれば、互いの読み取り方向が同一であるとともに、この一方の部位27aの図6(a)に示す反対側の他方の部位27b側からも同一方向で読み取ることができる。もし、マークチューブ27の一端側又は他端側の一方の読み取り方向が逆向きになっている場合には、逆向きになっている側のマークチューブ27を図6(a)に示す周回りに180度回転させることにより、他方の読み取り方向と同一にすることが容易にできる。
【0082】
また、例えば、配線用の電線Wが図6(c)に示すU字状に配線される場合には、マークチューブ27の一端側の「RC−2.」と他端側の「RC−4.」との印字面が図示のように一方の部位27a同士であれば、一端側の「RC−2.」の読み取り方向が逆向きであるとともに、この一方の部位27aの図6(a)に示す反対側の他方の部位27b側からも逆向きの読み取り方向となる。この場合には、一端側の「RC−2.」のマークチューブ27を図6(a)に示す周回りに180度回転させて、図6(d)に示すように、他方の部位27bに変更すれば、他端側の「RC−4.」と同一の読み取り方向にすることができる。
【0083】
次に、上記図5(e)及び(f)に示すマークチューブ27を製造するために使用される他のマークチューブの印字装置31(以下、印字装置という)について説明し、併せてこの印字装置31を使用して行われるマークチューブの印字方法(第2の印字方法)に付いて図面を参照しながら説明する。
【0084】
この印字装置31は、図1に示すように、第1の印字手段28と第2の印字手段29(図4に示す印字装置1では「第2の」が付されていない)を備えてなるところに特徴を有するものである。すなわち、この印字装置31は、前述した従来のマークチューブの印字装置1を構成する印字手段の上流側に第1の印字手段28を設けてなるものであり、したがって、従来のマークチューブの印字装置1と同一の構成要素については、同一の符号を付して説明する。そして、図1に示すように、この印字装置31は、チューブ26に印字する文字、文字の書体、文字サイズ、印刷本数などを入力するとともに、上記文字等を入力するモード、印字モード等に切り替える図示しない多数のキーを構成要素とする入力部32が構成要素とされ、その上方の左寄りには、入力されたデータ、操作の指示(後述するドット記号「.」を「印字する」又は「印字しない」に対する選択指示を含む)などを表示する表示部33が配置されているとともに、上方右寄りには、移送されるチューブ26の外周両面に識別標識を印字する印字部35が配置されている。
【0085】
この印字部35は、上記第1の印字手段28と第2の印字手段29とを備えてなるものであり、この第1の印字手段28は、第1のインクリボンカセット37と、第1のサーマルヘッド44とを備え、第2の印字手段29は、図4と同様の構成からなる第2のインクリボンカセット7(図4に示す印字装置1では「第2の」が付されていない)と、第2のサーマルヘッド14(図4に示す印字装置1では「第2の」が付されていない)を備えている。また、上記印字部35の右方には、チューブ26を下流側の内部に案内するチューブ案内部材34が配置され、このチューブ案内部材34の下流側には、第1のステップモータ41により図示しない歯車などの機構を介して回転駆動される第1の供給ローラ40と、この第1の供給ローラ40に対向してなり回転自在とされた第1の従動ローラ42とが配置されており、これら第1の供給ローラ40及び第1の従動ローラ42とによりチューブ26を挟持しながらこの印字装置31の内部(下流側)に供給するよう構成されている。なお、上記第1の供給ローラ40及び第1の従動ローラ42は、チューブを供給する供給部である。
【0086】
そして、この供給部の下流側の下方には、第1のインクリボンカセット37が着脱可能に配置され、該インクリボンカセット37は、第1の駆動リール37A及び第1の従動リール37Bと、第1のインクリボン36とを備えている。なお、この第1のインクリボンカセット37は、前述した印字装置1を構成するインクリボンカセット7(この印字装置31では第2のインクリボンカセット7)と同一の構成からなるものであることから詳細な説明は省略する。但し、この印字装置31には、この第1のインクリボンカセット37を構成する第1の駆動リール37Aの中心に嵌合される図示しない回転駆動軸が、第2のインクリボンカセット7を構成する第2の駆動リール7Aの中心に嵌合される回転駆動軸とは別個に配置されている。そして、上記回転駆動軸は、後述する第1のステップモータ41により図示しない歯車などの機構を介して駆動する。
【0087】
そして、上記第1のインクリボンカセット37を構成するインクリボン36(以下、第1のインクリボンという)が走行する走行ルートの中途部には、第1のサーマルヘッド44が配置されている。この第1のサーマルヘッド44は、上記供給部から供給されたチューブ26の外周面であって、図5(a)に示す他方の部位26bに他方の識別標識を印字するものであり、上記第1のインクリボンカセット37に形成された開口内に位置している。この第1のインクリボンカセット37には、チューブ26が挿通されガイドされる第1のガイド部材43が形成されている。また、この第1のサーマルヘッド44は、走行する上記第1のインクリボン36の一面(塗料が塗布された面)に圧接するよう自動的に前進するとともに該第1のインクリボン36から離間するように自動的に後退するように構成されてなるものである。なお、上記第1のサーマルヘッド44の進退動作は、図4中破線で示す第2のステップモータ46により図示しない伝達機構を介して行われる。
【0088】
また、上記第1のサーマルヘッド44の前進方向(図1中下方)には、該第1のサーマルヘッド44と協同して外周面によりチューブ26を介して第1のインクリボン36を挟む第1のプラテンローラ45が配置されている。この第1のプラテンローラ45は、図1において破線で示す第1のステップモータ41により図示しない歯車などの機構を介して回転駆動するものである。なお、上記第2のステップモータ46、第1のプラテンローラ45、第1のサーマルヘッド44及び第1のインクリボンカセット37は、チューブ26に識別標識を印字する第1の印字手段である。また、上記第1の供給ローラ40と第1の従動ローラ42の配置位置よりも僅かに上流側には、移送されるチューブ26の後端を検知する第1のセンサ38が配置されている。この第1のセンサ38は、図示しないセンサ光を発光する発光部と、この発光部から発行されたセンサ光を受光する受光部とからなり、該発光部と受光部とは互いに対峙している。
【0089】
また、この印字装置31は、上記第1のサーマルヘッド44の配置位置よりも下流側には、該第1のサーマルヘッド44により印字されたチューブ26を、下流側に移送案内する回転自在な第2の供給ローラ39と、この第2の供給ローラ39と協同して該チューブ26を挟みながら従動(転動)する回転自在な第2の従動ローラ12が配置されている。そして、これら第2の供給ローラ39と第2の従動ローラ12の配置位置よりも下流側には、前述した印字装置1を構成する(第2の)インクリボンカセット7が着脱自在に配置され、さらに、この第2のインクリボンカセット7を構成する(第2の)インクリボン6の走行位置には、前述した構成に係る(第2の)サーマルヘッド14が配置されているとともに、さらにその下流側には、刃具18A、第2のセンサ21、移動カッタ19A、固定カッタ19Bがそれぞれ配置されている。
【0090】
次に、上述した印字装置31の電気的構成を示す。この印字装置31は、図2に示すように、印字装置31全体の電気的制御を行う制御部であるCPU51が設けられ、このCPU51には、前述した入力部32、表示部33、第1のセンサ38及び第2のセンサ21、標識入力用プログラム(ワープロ入力用プログラム)及びプリント制御のプログラム等を記憶するROM52、入力部32より入力されたデータを記憶し、あるいはビットマップ化したフォントデータを展開するRAM53、文字などのキャラクターデータを記憶するキャラクタジェネレータ54に接続されている。また、このCPU51には、第1のサーマルヘッド44への通電量を制御する第1のサーマルヘッド制御回路55、第2のサーマルヘッド14への通電量を制御する第2のサーマルヘッド制御回路56、各ステップモータ41,46,11,16の回転量を制御する第1ないし第4のモータ制御回路57,58,59,60に接続されている。
【0091】
次に、上記印字装置31を用いてマークチューブ27を印字するマークチューブの印字方法(第2の印字方法)について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0092】
先ず、チューブ26に識別標識を印字する前の準備として、予めチューブ26を図1に示すチューブ案内部材34を経て、第1の供給ローラ40と第1の従動ローラ42との入口に該チューブ26の先端を供給した後、入力部32に配置された押釦の手動操作により第1のステップモータ41及び第3のステップモータ11(図4に示す印字装置1では第1のステップモータ11)を間欠駆動させ、第1の供給ローラ40及び第2のプラテンローラ15の間欠送りにより、チューブ26の先端を少なくとも第2のセンサ21に差し掛かる位置まで送り出しておく。
【0093】
こうした準備作業が終了すると、次いで、上記入力部32の操作(入力モードに変換するためのキー操作)により、識別標識の入力モードとする。こうした入力モードとなった場合には、表示部33には、入力画面が表示される。以下、この入力モードにおける動作について、図3に示すフローチャートに従って説明する。この入力モードとされた場合、上記RAM53からはワープロ用のプログラムが読み出され、作業者は、上記入力部2を構成する各種のキーを使用しながら、チューブ26に印字される識別標識を入力する。例えば、「RC−2 RC−4 RC−6 U2 V2 W2」を入力する。
【0094】
そして、全ての識別標識の入力作業が終了したか否かを判別する(St.1)。こうした識別標識の入力作業が終了したか否かは、上記入力部2を構成する所定のキーであって、識別標識の入力作業が終了した旨を入力するキーの押圧操作により行う。このステップ1において、識別標識の入力作業が終了したと判別された場合には、次に、ドット記号「.」の問合せ画面が表示され(St.2)、ドット記号「.」を入力する(印字する)か否かを判別する(St.3)。この判別は、上記表示部33に、例えば「ドット記号を入力する(Y)/しない(N)」と表示され、作業者が「Y」に該当するキーを押圧操作した場合には、ドット記号「.」を入力し、「N」に該当するキーを押圧操作した場合には、入力しないものとする。
【0095】
そして、ステップ3において、ドット記号を入力すると判別された場合には、次に、各文字や図形等の隣にそれぞれドット記号を入力する(印字する)か否かを判別する(St.4)。この際にも、上記表示部33には、例えば「各文字等の隣にそれぞれドット記号を入力する(Y)しない/(N)」と表示され、作業者が「Y」に該当するキーを押圧操作した場合には、それぞれの文字等の隣にドット記号を入力し、「N」に該当するキーを押圧操作した場合には、それぞれの文字等の隣にドット記号を入力しないものとする。なお、上記ステップ3において、ドット記号を入力しないと判別された場合には、後述するステップ8に進む。
【0096】
そして、上記ステップ4において、各文字等の隣にそれぞれドット記号を入力すると判別された場合には、既に入力された上記入力データ(例えば、「RC−2 RC−4 RC−6 U2 V2 W2」)は、各文字の隣にドット記号「.」を付したデータ(例えば、「R.C.−.2. R.C.−.4. R.C.−.6. U.2. V.2. W.2.」)に自動的に変換し(St.5)、この変換されたデータをROM52に記憶させる(St.8)。一方、上記ステップ4において、各文字等の隣にそれぞれドット記号を入力しないと判別された場合には、ステップ6に進む。このステップ6においては、入力された各識別標識全体の末尾の隣にドット記号を入力する(印字する)か否かを判別する(St.6)。この際にも、上記表示部33には、例えば「各識別標識全体の隣にドット記号を入力する(Y)/しない(N)」と表示され、作業者が「Y」に該当するキーを押圧操作した場合には、それぞれの識別標識の末尾の隣にドット記号を入力し、「N」に該当するキーを押圧操作した場合には、それを入力しないものとする。
【0097】
なお、このステップ6において、それぞれの識別標識の末尾の隣にドット記号を入力しないと判別された場合には、再びステップ3に戻る。一方、ステップ6において、それぞれの識別標識の末尾の隣にドット記号を入力すると判別された場合には、既に入力された上記入力データ(例えば、「RC−2 RC−4 RC−6 U2 V2 W2」)を、各識別標識の末尾の隣にドット記号を付したデータ(例えば、「RC−2. RC−4. RC−6. U2. V2. W2.」)に自動的に変換し(St.7)、この変換されたデータをROM52に記憶させる(St.8)。
【0098】
そして、上記ステップ8においてROM52に記憶された変換後のデータは、第2のサーマルヘッド14を制御する第2のサーマルヘッド制御回路56に送られる(St.9)とともに、該第2のサーマルヘッド制御回路56に送られたデータと同一のデータは、識別標識の印字順の前後が逆向きに変換された(St.10)上で、第1のサーマルヘッド44を制御する第1のサーマルヘッド制御回路55に送られる(St.11)。
【0099】
したがって、上記第1のサーマルヘッド44では、チューブ26(マークチューブ27)の他方の部位27bに、前述した他方の識別標識が印字され、第2のサーマルヘッド14では、チューブ26(マークチューブ27)の一方の部位27aに、前述した一方の識別標識が印字される。特に、上記ステップ4において、各文字等の隣にそれぞれドット記号を入力しないと判別し、ステップ7を経た場合には、上記一方の部位27aには、図5(b)に示すように、各一方の識別標識が印字されるとともに、他方の部位27bには、図5(d)に示す他方の識別標識が印字される。
【0100】
そして、上記第1のサーマルヘッド制御回路55により、図1に示す第1の印字手段28の第1のサーマルヘッド44の通電が開始されると、第2のステップモータ46の駆動により第1のサーマルヘッド44が前進され、第1のインクリボン36及びチューブ26を押圧するとともに、第1のサーマルヘッド44への通電量が制御され、図2に示すROM52及びRAM53からのデータに基づき、図5(d)に示すチューブ26の外周面であって他方の部位27b(図1に示す第1のサーマルヘッド44と対向する外周面)の先頭の単位区間k1内に、他方の識別標識「RC−2.」が印字されるとともに、この印字速度と同期して、チューブ26が連続的に供給される。
【0101】
なお、この第1の印字手段28におけるチューブ26の送り方向は、図5(d)に示す右端側が先頭になって供給されるため、第1のサーマルヘッド44により印字される識別標識の筆順は、読み順とは逆方向の文字、記号などから印字する。例えば、単位区間k1に印字される他方の識別標識「RC−2.」の場合には、図5(d)において、右側から「.」「2」、「−」、「C」、「R」の順に印字されるが、印字結果は図示のとおりに印字される。
【0102】
この単位区間k1の印字が終えた後においても、チューブ26は引き続き連続的に供給され、次の単位区間k2が印字位置に供給される時期と同期して、上記単位区間k1の識別標識「RC−2.」と同様の手順により図5(d)に示す単位区間k2内に、他方の識別標識「RC−4.」が印字される。また、上記の単位区間k1,k2に後続する単位区間k3ないしk6についても、同様の手順により一方の識別標識「RC−6.」ないし「W2.」が印字される。なお、上記第1の印字手段28による印字の際においては、図5(d)に示す単位区間k1ないしk6ごとに切り離すための切れ込み26cは入れず、後述する第2の印字手段29による印字が終了した後に切り込み手段18により入れられる。
【0103】
そして、上記第1の印字手段28により他方の部位27bに印字されたチューブ26の先頭の単位区間k1が、第2の印字手段29の第2のサーマルヘッド14と対向する印字位置に供給されてくると、図1に示す第4のステップモータ16(図4に示す印字装置1では第2のステップモータ16)の駆動により第2のサーマルヘッド14が前進され第2のインクリボン6及びチューブ26を押圧するとともに、第2のサーマルヘッド14への通電量が制御され、図2に示すROM52及びRAM53からのデータに基づき、図5(b)に示すチューブ26の外周面であって一方の部位27a(図1に示す第2のサーマルヘッド14と対向する外周面)の先頭の単位区間k1内に、一方の識別標識「RC−2.」が印字されるとともに、この印字速度と同期して、チューブ26が連続的に供給される。
【0104】
また、上記工程ないし動作により印字されたチューブ26の先頭の単位区間k1の前方側が、上記切り込み手段18の刃具18Aに差し掛かると、第4のステップモータ16(図4に示す印字装置1では「第4の」が付されていない)の駆動により該刃具18Aが前進して、図5(b)に示す切れ込み26cが切り込まれ、この切れ込み26cは、後続する単位区間ごとに切り込まれる。
【0105】
なお、この第2の印字手段29によるチューブ26の先頭の単位区間k1への印字の開始時期は、第1の印字手段28の第1のサーマルヘッド44から第2の印字手段29の第2のサーマルヘッド14までの距離と、1単位区間の長さから演算したチューブ26の送り長さを予めROM52に記憶させておき、CPU51の制御により第2のサーマルヘッド14の印字開始を指令する。また、この他の手段として、第2のサーマルヘッド14の近傍に印字の有無を検出する図示しない印字確認センサを設けて、第2のサーマルヘッド14の印字開始を指令することもできる。
【0106】
また、この第2の印字手段29におけるチューブ26の送り方向は、図5(b)に示す左端側が先頭になって供給されるため、第2のサーマルヘッド14により印字される識別標識の筆順は、読み順と同一方向の順に印字する。例えば、単位区間k1に印字される一方の識別標識「RC−2.」の場合には、図5(b)において、左側から「R」「C」、「−」、「2」、「.」の順に印字される。
【0107】
この単位区間k1の印字が終えた後においても、チューブ26は引き続き連続的に供給され、次の単位区間k2が印字位置に供給される時期と同期して、上記単位区間k1の識別標識「RC−2.」と同様の手順により図5(b)に示す単位区間k2内に、一方の識別標識「RC−4.」が印字される。また、上記の単位区間k1,k2に後続する単位区間k3ないしk6についても、同様の手順により一方の識別標識「RC−6.」ないし「W2.」が印字されるとともに、最後の切れ込み26cが入れられた時点で印字装置31は停止される。
【0108】
したがって、上記印字装置31を用いてマークチューブ27を印字するマークチューブの印字方法(第2の印字方法)によれば、第1の印字手段28により、マークチューブ27を構成する図5(d)に示す他方の識別標識を印字するとともに、この一方の識別標識の印字位置とは反対側に、第2の印字手段29により図5(b)に示す一方の識別標識を印字するようにしたことから、電線Wに装着した後であっても、作業者が手指で回転させることにより、極めて容易に複数配線された電線にそれぞれ装着された全ての識別標識の方向性を同一の状態とする(統一させる)ことができる。
【0109】
また、従来のように、識別標識の方向性を統一するために、一旦電線Wに装着したマークチューブ27を装着し直し、該電線Wの端部に固定した圧着端子Tを取り外すという極めて面倒な作業を解消することができ、ひいては配線工事ないし作業の迅速化を図ることができる。また、この発明に係るマークチューブによれば、作業者は、かなりの緻密性が要求される配線作業を行うに際し、マークチューブの方向性に注意を払うことなく、該配線作業に意識を集中することができ、誤配線の危険性を有効に解消することができる。
【0110】
なお、本実施の形態に係るマークチューブの素材は、一般には樹脂製のチューブが使用されるが、例えば、紙製のチューブを使用して製造することもできる。また、樹脂の材質についても特に限定はされず、例えば、熱収縮性の樹脂を使用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】本発明の実施の形態に係るマークチューブの印字装置を示す平面図である。
【図2】図1に示すマークチューブの印字装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】図1に示す印字装置により識別標識を印字するための入力モードにおける動作を示すフローチャートである。
【図4】従来の技術に係るマークチューブの印字装置を示す平面図である。
【図5】本発明の実施の形態に係るチューブ及びマークチューブを示し、(a)はチューブの側面図、(b)はチューブの外周の一方の部位に印字された一方の識別標識を示す正面図、(c)はチューブの外周の他方の部位に印字された他方の識別標識を円周方向に180度回転させて一方の部位と同一側から見た背面図、(d)はチューブの外周の他方の部位に印字された他方の識別標識を他方の部位側から見た背面図、(e)はマークチューブの一方の識別標識が印字された一方の部位を示す斜視図、(f)はマークチューブの他方の識別標識が印字された他方の部位を示す斜視図である。
【図6】図5(e),(f)に示すマークチューブを電線に装着した形態を示し、(a)は断面図、(b)は直線状の電線の両端に装着された形態の正面図、(c)は(b)に示す電線がU字状に配線され一端側の識別標識の読み取り方向が逆向きとなった形態を示す正面図、(d)は一端側の識別標識を円周方向に180度回転させて読み取り方向を順向きにした形態を示す正面図である。
【図7】図4に示す印字装置により一方及び他方の部位に識別標識を印字する実施の形態に係るチューブ及びマークチューブを示し、(a)は側面図、(b)は外周の一方の部位に印字された一方の識別標識を示す正面図、(c)は外周の他方の部位に印字された他方の識別標識を他方の部位側から見た背面図である。
【図8】従来の技術に係るチューブ及びマークチューブを示し、(a)はチューブの外周に印字された識別標識を示す正面図、(b)は識別標識が印字されたマークチューブを示す斜視図、(c)は直線状の電線の両端に装着された形態の正面図、(d)は(c)に示す電線がU字状に配線され一端側の識別標識の読み取り方向が逆向きとなった形態を示す正面図である。
【符号の説明】
【0112】
6 (第2の)インクリボン
7 (第2の)インクリボンカセット
14 (第2の)サーマルヘッド
15 (第2の)プラテンローラ
18 切り込み手段
26 チューブ
27 マークチューブ
27a 一方の部位
27b 他方の部位
28 第1の印字手段
29 第2の印字手段
31 マークチューブの印字装置
36 第1のインクリボン
37 第1のインクリボンカセット
41 第1のステップモータ
44 第1のサーマルヘッド
45 第1のプラテンローラ
46 第2のステップモータ
k1・・・k6 単位区間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線用のケーブル等の電線を識別するために該電線に外嵌挿されるマークチューブであって、
チューブの外周面には、文字,記号又は図形若しくはこれらの結合からなる一方の識別標識が印字されてなるとともに、
この一方の識別標識が印字された部位よりも上記チューブの周回り方向の任意の部位には、該一方の識別標識と同一の識別標識が、上下及び左右反転された状態となされた他方の識別標識が印字されてなることを特徴とするマークチューブ。
【請求項2】
前記一方及び他方の識別標識の末尾の隣位置、又は該識別標識を構成する文字,記号又は図形の各隣位置には、ドット記号「.」が印字されてなることを特徴とする請求項1記載のマークチューブ。
【請求項3】
前記請求項1記載のマークチューブの印字方法であって、
チューブの先端側を、マークチューブの印字装置を構成するチューブ供給部から供給し、該チューブ印字装置を構成する印字手段により、該チューブの外周面に請求項1記載のマークチューブを構成する一方の識別標識を印字する第1の印字工程と、
上記第1の印字工程の終了後、該チューブの後端側を再度上記チューブ供給口から該チューブを反転した状態で供給し、上記一方の識別標識を印字した印字手段と同じ印字手段により、該チューブの外周面に請求項1記載のマークチューブを構成する他方の識別標識を印字する第2の印字工程と、
を備えてなることを特徴とするマークチューブの印字方法。
【請求項4】
前記チューブの外周面に請求項1記載のマークチューブを構成する一方の識別標識を印字する第1の工程と、前記チューブの外周面に請求項1記載のマークチューブを構成する他方の識別標識を印字する第2の工程とにおいて、
前記マークチューブの一方及び他方の識別標識の末尾の隣位置、又は該識別標識を構成する文字,記号又は図形の各隣位置には、ドット記号「.」を印字するようにしたことを特徴とする請求項3記載のマークチューブの印字方法。
【請求項5】
前記請求項1又は2記載のマークチューブの印字装置であって、
チューブの外周面に印字される文字,記号又は図形を入力する入力手段と、この入力手段により入力された文字,記号又は図形若しくはこれらの結合を表示する表示手段と、上記入力手段により入力された文字,記号又は図形若しくはこれらの結合を記憶する記憶手段と、
チューブを内部に供給するチューブ供給部と、このチューブ供給部から供給されたチューブを外部に排出するチューブ排出部と、上記チューブ供給部からチューブ排出部に亘ってチューブを移送するチューブ移送手段と、
上記チューブ移送手段により移送されるチューブの外周面に、前記請求項1記載のマークチューブを構成する一方の識別標識を印字する第1の印字手段と、
該チューブの外周面であって上記第1の印字手段により印字された又は印字される一方の識別標識の印字位置とは反対側に、前記請求項1記載のマークチューブを構成する他方の識別標識を印字する第2の印字手段と、
上記入力手段,表示手段,記憶手段,チューブ移送手段,第1の印字手段,第2の印字手段を制御する制御手段と、
を備えてなることを特徴とするマークチューブの印字装置。
【請求項6】
前記制御手段には、前記マークチューブの一方及び他方の識別標識の末尾の隣位置、又は該識別標識を構成する文字,記号又は図形の各隣位置にドット記号「.」を印字させるべく、前記入力手段により入力された文字,記号又は図形の各隣位置に若しくはこれらの結合の隣位置に前記ドット記号「.」を自動的に入力するドット入力手段を備え、
このドット入力手段により前記ドット記号「.」が入力された情報が前記記憶手段に記憶され、この記憶手段は、前記サーマルヘッドを制御する制御回路に接続されてなることを特徴とする請求項5記載のマークチューブの印字装置。
【請求項7】
請求項1記載のマークチューブの印字方法であって、
チューブ移送手段により移送されるチューブの外周面に、第1の印字手段により請求項1記載のマークチューブを構成する一方の識別標識を印字するとともに、
該チューブの外周面であって上記第1の印字手段により印字された一方の識別標識の印字位置とは反対側に、第2の印字手段により請求項1記載のマークチューブを構成する他方の識別標識を印字するようにしたことを特徴とするマークチューブの印字方法。
【請求項8】
前記マークチューブを構成する一方及び他方の識別標識の末尾の隣位置、又は該識別標識を構成する文字,記号又は図形の各隣位置には、ドット記号「.」を印字するようにしたことを特徴とする請求項7記載のマークチューブの印字装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−39920(P2009−39920A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−206105(P2007−206105)
【出願日】平成19年8月8日(2007.8.8)
【出願人】(593068801)
【Fターム(参考)】