説明

マーク検知システム

【課題】本発明は、帳票体に形成された磁性体マークのうち、着磁された磁性体マークを非接触で検知するマーク検知システムに関し、搬送される帳票体の垂直方向の位置変化に対しても着磁された磁性体マークを確実に検知可能とすることを目的とする。
【解決手段】帳票体32に、複数の磁性体マーク33A〜33Fが後に搬送手段12により搬送される際の搬送方向に対する垂直方向に連設状態で形成され、所定の磁性体マークが当該垂直方向に極を形成するように着磁されたものであり、搬送される帳票体32に形成された複数の磁性体マーク33A〜33Fの各磁性体マークに対し、着磁されたときの磁性体マークの極切り替わり目近傍で磁力低下により検知不能となる非検知範囲の距離を設けて少なくとも2つを一つとした磁気センサを配置させる構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帳票体に形成された磁性体マークのうち、着磁された磁性体マークを非接触で検知するマーク検知システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば帳票体を封緘体に封入した後に、個別先に配送することが行われ、封緘体に、実際に個別先毎の帳票体が封入されているか、異なる帳票体が混在していないかを検査することが行われている。このような場合も含めて帳票体を検査するにあたって各帳票体を確実に認識する必要がある。
【0003】
従来、封緘体に封入した帳票体のマッチングを行うために、当該帳票体にそれぞれマッチングのためのマークや符号を付しておき、マークや符号を認識することでマッチングの正否を判別することが一般的に行われている。このような帳票体に付すマッチングのためのマークや符号について、以下の特許文献1で提案されているものがある。
【0004】
上記特許文献1では、シートに照合記号(バーコード)を付すもので、当該照合記号が金属または金属粉入りインキで印刷し、当該照合記号をX線透過による検査装置により読み取ってマッチング検査を行うことが提案されている。また、インキの他に、導電粉末入りのトナーを定着させる技術も提案されている。
【0005】
しかしながら、上記特許文献1で提案されているように、シートに照合記号(バーコード)を形成させるに際して、X線で検出可能な金属または金属粉入りインキで印刷を行うことによって可変的データを容易に照合記号として形成させることができるものであるが、インキ内に含ませる金属または金属粉の量はインキという特性上限度があって形成シート上に何枚かの介在物があると、下層の照合記号が認識されないか、または誤認識する場合も生じてくると共に、X線を使用するシステムは高価となる。
【0006】
一方、X線ではなく、磁性体で内容物を検知する技術が以下の特許文献2で提案されている。当該特許文献2は、自己の有する保磁力を越える交番磁界を与えたときに急峻な磁化反転を生じる強磁性体粉末を含有したインキまたは塗料を、包装用箱に収納される内容物に印刷または塗布して検知用マークを設けるというものである。
【0007】
上記特許文献2で提案されているものは、内容物に設けた検知用マークに対して、両側に当該強磁性体の保持力を超える交番磁界を印加する発生用コイルと検知用コイルとを配置して検知用マークを検知するものであるから、これを帳票体のマッチング等に適用することは高価になることもあって現実的ではない。
【0008】
【特許文献1】特許第3098557号公報
【特許文献2】特開2003−285808号公報
【0009】
上記特許文献1、2に鑑みて、本出願人は、マッチング用マークを磁性体で形成し、これを磁気センサにより非接触で検知することを想到したものである。
【0010】
そこで、図3に本発明の前提となる帳票体の一例の説明図を示すと共に、図4に図3における帳票体のマーク検知の説明図を示す。図3は、封緘体に封入させる複数の帳票体を示したもので、図3(A)において、連続帳票体101が搬送方向両側にマージナル部102A,102Bを形成させ、個片帳票体103A〜103Cで構成する一の帳票体103が連続させたものであって、個片帳票体103A〜103Cの何れかに、その一方端のマーク形成領域に、磁性体粉が混入されたインキで印刷により例えば6つの磁性体マーク111A〜111Fが搬送方向に対する垂直方向(幅方向)に連設され、帳票体103毎に何れかの磁性体マーク111A〜111Fが着磁される。また、何れかの個片帳票体103A〜103Cの所定箇所に住所、氏名、識別符号等が印刷される。
【0011】
上記連続帳票体101は、搬送中の一工程でマージナル部102A,102Bが除去され、また、単一の帳票体103に切断されて、折込線104で例えばZ折りで折曲される。このような折曲された帳票体103が、図3(B)に示されるように、封緘体105に封入されるもので、このときに当該封緘体105の窓部106に上記印刷した住所、氏名、識別符号等が表出されるように帳票体103が封入される。この状態で当該帳票体103に形成された磁性体マーク111A〜111Fの何れかに着磁された磁性体マーク(以下、磁気マークという)の位置と、当該封緘体105の窓部106より表出される認識符号を認識してマッチングが行われるものである。
【0012】
上記マッチングは、図4(A)に示すように、封入工程の後に搬送手段121により図示しない撮像位置まで搬送されて窓部106より表出された識別符号が撮像、認識され、さらにマーク検出位置まで搬送されて配置されたマーク検知部123により何れかの着磁された磁性体マーク111A〜111Fの磁気マークが検知され、認識された識別符号と検知された磁気マークの位置でマッチングが行われるものである。
【0013】
すなわち、上記マーク検知部123は、搬送されてくる封緘体105に封入された帳票体103の磁性体マーク111A〜111Fに対してそれぞれ磁気センサ131〜136で対応されており、何れかの磁気センサ131〜136が検知することで磁気マークの位置が判別されるものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
ところで、着磁された磁性体マーク(ここでは、磁気マーク111Aとする)は、図4(B)に示すように、N極端部とS極端部とにおいて磁力が最大となり、各端部からの距離にしたがって徐々に磁力が低下し、N極とS極との切り替わり目で磁力が最小(ゼロ)となる。したがって、磁気マーク111Aは、磁気センサ(ここでは、対応の磁気センサ131とする)に対して、検知可能な検知可能範囲X,X’と、上記切り替わり目近傍において検知困難となる非検知範囲Yとを有することとなる。
【0015】
しかしながら、図4(A)に示すように、搬送手段121上で帳票体103が搬送されたときに、搬送方向に対して垂直方向(幅方向)にいわゆるアバレを生じ、固定配置された磁気センサ131(132〜136も同様)が上記非検知範囲Y内に位置されると当該磁気センサの出力値がノイズと判別不能状態となって、対応の磁気マークを検知することができない場合があるという問題がある。
【0016】
そこで、本発明は上記課題に鑑みなされたもので、搬送される帳票体の垂直方向の位置変化に対しても着磁された磁性体マークを確実に検知可能とするマーク検知システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題を解決するために、請求項1の発明では、複数の磁性体マークが後に搬送される際の搬送方向に対する垂直方向に連設状態で形成され、所定の磁性体マークが当該垂直方向に極を形成するように着磁させた帳票体に対して、着磁された磁性体マーク検知するマーク検知システムであって、搬送される前記帳票体に形成された前記複数の磁性体マークの各磁性体マークに対し、それぞれ複数の磁気センサが配置される構成とする。
【0018】
請求項2の発明では、配置される前記複数の磁気センサのうち、2つの磁気センサが着磁されたときの磁性体マークの極切り替わり目近傍で磁力低下により検知不能となる非検知範囲の距離を設けて配置される構成である。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、帳票体に、複数の磁性体マークが後に搬送される際の搬送方向に対する垂直方向に連設状態で形成され、所定の磁性体マークが当該垂直方向に極を形成するように着磁されたものであり、搬送される帳票体に形成された複数の磁性体マークの各磁性体マークに対し、それぞれ複数の磁気センサを配置させる構成とすることにより、搬送される帳票体にアバレが生じて垂直方向に位置変化しても複数の磁気センサの何れかが確実に着磁された磁性体マークを検知することとなることから、搬送される帳票体の垂直方向の位置変化に対して着磁された磁性体マークを確実に検知可能とすることができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の最良の実施形態を図により説明する。
図1に、本発明のマーク検知システムの一部を示した構成図を示す。図1(A)は、マーク検知システム11の一部を示したもので、例えばベルト搬送の搬送手段12上の所定位置にマーク検知部13が配置され、当該マーク検知部13は、磁気センサ21A,21Bを一対として、磁気センサ22A,22Bを一対として、磁気センサ23A,23Bを一対として、磁気センサ24A,24Bを一対として、磁気センサ25A,25Bを一対として、磁気センサ26A,26Bを一対として備える。
【0021】
一方、上記搬送手段12上では封緘体31が順次搬送されるもので、当該封緘体31には、窓部31Aが設けられて前述の図3(A)、(B)に示す帳票体と同様の帳票体32が封入されたものである。すなわち、帳票体32には、複数の矩形状の磁性体マーク33A〜33Fが後に搬送される際の搬送方向に対して垂直方向(幅方向)に連設状態で形成され、所定の磁性体マークが当該垂直方向に極(N極及びS極)を形成するように着磁されるものである。ここでは、例えば磁性体マーク33Aを着磁するものとし、当該着磁された磁性体マークを磁気マーク33Aとする。
【0022】
これに対して、マーク検知部13では、搬送される帳票体32に形成された磁性体マーク33A〜33Fの各磁性体マークに対し、それぞれ複数(本実施形態では2つ一対)の磁気センサが配置される。具体的には、磁性体マーク33Aに対して一対の磁気センサ21A,21Bが対応されて配置され、磁性体マーク33Bに対して一対の磁気センサ22A,22Bが対応されて配置され、磁性体マーク33Cに対して一対の磁気センサ23A,23Bが対応されて配置され、磁性体マーク33Dに対して一対の磁気センサ24A,24Bが対応されて配置され、磁性体マーク33Eに対して一対の磁気センサ25A,25Bが対応されて配置され、そして磁性体マーク33Fに対して一対の磁気センサ26A,26Bが対応されて配置される。
【0023】
この場合、各磁性体マーク33A〜33Fに対する、それぞれ一対の磁気センサ21〜26は、着磁されたときの磁性体マーク(磁気マーク)の極(N極及びS極)の切り替わり目近傍で磁力低下により検知不能となる非検知範囲の距離を設けて配置される。上記磁性体マーク33Aに対して配置される一対の磁性体マークセンサ21A,21Bを例にとると、図1(B)に示すように、磁気マーク33AのN極及びS極の切り替わり目近傍の磁力の低下により検知不能となる非検知範囲Yの距離が設けられて配置される。他の磁性体マーク33B〜33Fに対する磁性体マーク22〜26も同様である。
【0024】
ここでは、一例として磁性体マークセンサ21A,21B(各磁性体マークセンサ22〜26も同様である)が、磁性体マーク33A(磁性体マーク33B〜33Fも同様である)における着磁されたときのN極及びS極の各端部より矩形長辺長の1/4(共に、検知可能範囲X,X’内)に対応してそれぞれ配置されることによって、少なくとも非検知範囲Y以上の距離を設けている。
【0025】
そこで、図2に、図1における帳票体のマーク検知の説明図を示す。図2は、図1に示す帳票体32の磁性体マーク33Aのみを着磁させて磁気マーク33Aとして説明する。図2(A)は、搬送手段12上で搬送される封緘体31又は封緘体31に封入された帳票体32にいわゆるアバレを生じないとした場合であり、搬送されてくる帳票体32の磁気マーク33Aに対して磁気センサ21A,21Bの何れもが検知することとなる。
【0026】
続いて、搬送手段12上で搬送される封緘体31又は封緘体31に封入された帳票体32が、搬送方向に対して垂直方向(図1(A)における下方向、図2(B)における左方向)にいわゆるアバレを生じた場合、磁気センサ21Bは磁気マーク33Aの非検知範囲Yに位置されることとなって検知しないが、磁気センサ21Aが検知可能範囲X’の位置を逸脱せずに検知するものである。
【0027】
また、搬送手段12上で搬送される封緘体31又は封緘体31に封入された帳票体32が、搬送方向に対して垂直方向(図1(A)における上方向、図2(B)における右方向)にいわゆるアバレを生じた場合、磁気センサ21Aは磁気マーク33Aの非検知範囲Yに位置されることとなって検知しないが、磁気センサ21Bが検知可能範囲Xの位置を逸脱せずに検知するものである。
【0028】
このように、搬送される帳票体32にアバレが生じて搬送方向に対して垂直方向に位置変化しても磁気センサ21A,21Bの何れかが磁気マーク33Aを確実に着磁された磁性体マークを検知することとなることから、搬送される帳票体の垂直方向の位置変化に対して着磁された磁性体マークを確実に検知可能とすることができるものである。
【0029】
ところで、上記実施形態では、帳票体32に形成される例えば6つの磁性体マークのうち、一の磁性体マーク(上記説明では磁性体マーク33A)に対してのみ着磁させた場合を示したが、複数の組み合わせで着磁させても同様である。
【0030】
また、上記実施形態では、複数の磁性体マークにおけるそれぞれ一の磁性体マークに対して、2つを一対として磁気センサを配置した場合を示したが、3つ以上を一対として配置してもよく、そのうちの2つの磁気センサが、着磁されたときの磁性体マークの極切り替わり目近傍で磁力低下により検知不能となる非検知範囲の距離を設けて配置されていれば足りる。
【0031】
一方、本発明のマーク検知システム11は、封緘体31に封入された帳票体が正規のものか否かの帳票体マッチングシステムに適用することができる。例えば、前述の図3及び図4で説明したように、帳票体32に、当該帳票体32が折曲され、封緘体31に封入されたときに窓部31Aに住所、氏名、識別符号が表出されるように印刷を行い、当該帳票体32が封緘体31に封入されたときに、窓部31Aより表出した識別符号を撮像手段で読み取って認識し、当該認識した識別符号と磁気センサ21〜26で検知した磁気マーク33A〜33Fの位置とでマッチングを行わせるものである。なお、封緘体31に封入される帳票体32は単一であっても、複数であっても同様である。
【0032】
また、別の適用例として、本発明のマーク検知システム11は、複数の帳票体32を丁合して、例えば封緘体に封入し、又は製本等とする丁合システムに適用することができる。例えば、複数の帳票体32に上記のように複数の磁性体マーク33A〜33Fを形成し、丁合対象の帳票体32の磁性体マーク33A〜33Fのうち、同位置の磁性体マーク33A〜33Fに着磁させておき、丁合時に着磁された磁性体マーク33A〜33Fを検知し、その位置で正規の帳票体が丁合されているかを判別するものである。この場合、丁合対象の帳票体が、天地が逆である場合や、裏返しであった場合でも、このような状態をエラーとして検知することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明のマーク検知システムは、帳票体に形成された磁性体マークを検知する場合に適する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明のマーク検知システムの一部を示した構成図である。
【図2】図1における帳票体のマーク検知の説明図である。
【図3】本発明の前提となる帳票体の一例の説明図である。
【図4】図3における帳票体のマーク検知の説明図である。
【符号の説明】
【0035】
11 マーク検知システム
12 搬送手段
13 磁性体検出部
21〜26 磁気センサ
31 封緘体
32 帳票体
33 磁性体マーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の磁性体マークが後に搬送される際の搬送方向に対する垂直方向に連設状態で形成され、所定の磁性体マークが当該垂直方向に極を形成するように着磁させた帳票体に対して、着磁された磁性体マーク検知するマーク検知システムであって、
搬送される前記帳票体に形成された前記複数の磁性体マークの各磁性体マークに対し、それぞれ複数の磁気センサが配置されることを特徴とするマーク検知システム。
【請求項2】
請求項1記載のマーク検知システムであって、配置される前記複数の磁気センサのうち、2つの磁気センサが着磁されたときの磁性体マークの極切り替わり目近傍で磁力低下により検知不能となる非検知範囲の距離を設けて配置されることを特徴とするマーク検知システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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