説明

ミキシング装置

【課題】 コンテナを回転駆動機構へ装着する手間があまりかからず、小型で構造のシンプルなミキシング装置を提供する。
【解決手段】 ミキシング装置1は、容器本体11と、容器本体11の外面に突設されたフランジ部15を備える。さらに、フランジ部15の上面に当接する位置固定の上アーム31と、下面に当接する下アーム33を備える。下アーム33は、上アーム31に設けられたエアシリンダ40により昇降可能である。上アーム31にはモータ38に連結されたコンテナ回転軸37が設けられている。下アーム33を、フランジ部15の下方まで下降させた状態で、コンテナ10を上アーム31間に進入させる。そして、下アーム33をエアシリンダ40により上昇させてフランジ部15の上面を上アーム31に当接させ、上下アーム31、33間にフランジ部15を挟持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉粒体を収容したコンテナを回転させて、内部の粉流体を混合・撹拌するミキシング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コンテナ回転型のミキシング装置は、一般に、コンテナと、このコンテナ自体を回転駆動する機構とから構成される。コンテナは単体で移動や保管ができるものである。このようなミキシング装置においては、コンテナを回転駆動するためにはコンテナを床面から持ち上げる必要があるため、コンテナをフォークリフトなどの搬送装置で回転駆動機構に持ち上げるものがある(例えば、特許文献1参照)。また、コンテナ回転機構として、コンテナ全体が収容されるケージ(ケーシング)を備え、ケージごとコンテナを回転させるものがある(例えば、特許文献2参照)。
【0003】
前述の、コンテナの持ち上げにフォークリフトなどが必要なタイプにおいては、作業毎にフォークリフトを操作する必要がある。このため、コンテナの搬送や混合・攪拌作業を省略化するのが困難である。
また、コンテナ全体をケージに収容するタイプのものは、装置全体が大型化してしまう。
さらに、コンテナを回転駆動機構に装着する際に、ボルトやフェルールを使用するものもある。この場合、人手での作業となり、自動化が困難となる。
【0004】
【特許文献1】特開平3−38235号公報
【特許文献2】特開平5−168887号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであって、コンテナを回転駆動機構へ装着する手間があまりかからず、小型で構造のシンプルなミキシング装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のミキシング装置は、 以下ア)〜ウ)を有するコンテナを回転させて前記粉粒体を混合するミキシング装置であって、ア)内部に粉粒体を収容する容器本体、イ)該容器本体の外面に突設されたフランジ部、ウ)該容器本体から下方に延びる車輪付きの脚、 前記フランジ部の上面に当接する位置固定の上アームと、 該上アームに連結されたコンテナ回転軸と、 該回転軸の回転駆動手段と、 前記上アームと対向し、昇降可能であって、前記フランジ部の下面に当接する下アームと、 該下アームの昇降手段と、 該下アームと前記フランジ部との間に設けられた位置決め手段と、 を備え、 前記コンテナを前記ミキシング装置に載せる際に、 前記コンテナのフランジ部が、下降位置にある前記下アームの上方に進入し、 該下アームが上昇するとともに、前記フランジ部が該アームに対して位置決めされ、 該フランジ部の上面が前記上アームに当接して、該フランジ部が上下アームに挟持されることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、コンテナのフランジ部をコンテナ回転駆動機構の上下アームで挟んで把持するので、コンテナを回転駆動機構へ固定するボルトやフェルールなどが不要である。また、コンテナを把持するアームにコンテナの昇降機構を備えるので、フォークリフトなどでコンテナを回転軸に装着する必要がない。したがって、コンテナの回転駆動機構への装着操作をほぼ自動化できる。さらに、コンテナを把持するが昇降しない(位置固定の)上アームにコンテナ回転軸が連結されており、コンテナを片持ち式に支持した状態で回転させるので、装置が小型化できる。また、上アームの回転駆動機構は上下させる必要がないので、装置構造を簡略にできる。
【0008】
本発明においては、 前記位置決め手段が、前記フランジ部の下面に形成された位置決め穴と、前記下アームの上面に形成された位置決め突起からなり、 前記下アームの上昇時に位置決め突起が前記フランジ部の位置決め穴に係合することにより、前記下アームと前記フランジ部とが位置決めされることが好ましい。
【0009】
本発明によれば、下アームを昇降手段により上昇させる際に、同アームとコンテナのフランジ部とを位置決めできる。さらに、位置決め突起によりコンテナとアームとが固定されることにより、アームがコンテナにより補強される。
【0010】
さらに、本発明においては、 前記昇降手段が、 前記上アームに固定されたシリンダバレル、及び、前記下アームに固定されたピストンロッドを有するシリンダと、 前記下アームと前記上アームとの間に配設されたガイド機構と、を備えることとすれば、コンテナを水平な状態で昇降させることができる。
【発明の効果】
【0011】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、コンテナのフランジ部を上下アームで挟んで把持するので、コンテナを回転駆動機構へ固定するボルトやフェルールなどが不要である。また、コンテナを把持するアームに、コンテナの昇降機構を備えるので、フォークリフトなどでコンテナを回転軸に装着する必要がない。したがって、コンテナの回転駆動機構への装着操作をほぼ自動化できる。さらに、コンテナを片持ち式に支持した状態で回転させるので、装置が小型化できる。さらには、コンテナ回転駆動を上下させる必要がないので、装置構造を簡略にできる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係るミキシング装置の全体を示す側面図である。
図2は、図1のミキシング装置の平面図である。
図3は、図1のA−A断面の拡大図である。
ミキシング装置1は、図1、図2に示すように、攪拌・混合される中身が収容されるコンテナ10と、同コンテナ10を回転する回転装置30とを有する。
【0013】
まず、コンテナ10を説明する。
コンテナ10は、粉粒体を収容する容器本体11(例えば、SUS304製)を有する。容器本体11は、平面形状が正方形の直方体状の胴部11aと、四角錐状の排出部11bとを有する。胴部11aの上面中央には、投入口11cが設けられている。同投入口11cは蓋12で開閉される。排出部11bの先端には、排出口11dが設けられている。同排出口11dはバタフライバルブ13で開閉可能となっている。一例として、容器本体11は、一辺の長さが1000mm、高さが1570mm、容積が800リットル、重量が200kgである。
【0014】
胴部11aの外面の下方には、全周にわたってハチマキ状にフランジ15が突設されている。フランジは図3に示すように、内面側(コンテナ胴部側)に開口したコの字状の突部15aと、突部15aの上下の端縁から上方向及び下方向に張り出した上縁部15bと下縁部15cとを有する。上縁部15bと下縁部15cとは胴部11aの外面に溶接などにより固定されている。詳しくは後述するが、突部15aの下面には、コンテナ回転装置30の下アーム33と位置決めされる位置決め穴15dが開けられている。
【0015】
排出部11bの上部の四隅には、下方に延びる支持脚17が設けられている。隣接する支持脚17間には、フレーム18が架け渡されている。各支持脚17の下端には車輪19が取り付けられている。このような構造により、コンテナ10は単体で設置することができるとともに、移動可能となっている。
【0016】
次に、回転装置30を説明する。
回転装置30は、コンテナ10を把持する、対向する上アーム31及び下アーム33と、上アーム31に連結されたコンテナ回転軸37と、同コンテナ回転軸37の回転駆動手段(減速機付きモータ)38と、を有する。
【0017】
上アーム31は、角パイプからなる、平面形状がコの字状(図2参照)の部材で、対向する側枠部31aと、正面枠部31bとを有する。同上アーム31は、側面視(図1、図4)においては、水平な姿勢である。対向する両側枠部31a間の間隔は、コンテナ10の容器本体11の胴部11aの一辺の長さよりやや大きい。側枠部31aの長さは、コンテナ11の胴部11aの一辺の長さよりもやや短い。また、側枠部31aの幅は、コンテナ10のフランジ突部15aの幅よりも広い。つまり、図2や図3に示すように、コンテナ10が上下アーム31、33に把持された状態では、側枠部31aはコンテナ10のフランジ突部15aより外側に張り出す。
【0018】
上アーム31の正面枠部31bには、ボス36を介してコンテナ回転軸37が固定されている。コンテナ回転軸37は、架台2上に載置された減速機付きモータ38の回転軸に連結している。図2に示すように、平面視において、コンテナ回転軸37の軸芯37Xはコンテナ10の中心を通っているが、同軸芯37Xと、コンテナ10の中心軸10Xとは一致していない。この例では、両者間の角度θは20°である。
【0019】
下アーム33は、角パイプからなるバー状の部材あり、長さは、上アーム31の側枠部31aの長さよりも短く、幅は側枠部31aの幅と等しい。つまり、上アーム31と同様に、コンテナ10が上下アーム31、33に把持された状態では、図2や図3に示すように、下アーム33はコンテナ10のフランジ突部15aより外側に張り出す。
【0020】
下アーム33は、上アーム31の両側枠部31aの各々の下方に、エアシリンダ40により昇降可能に設けられている。エアシリンダ40は、図2に示すように、平面視において、コンテナ10の上下軸に平行に配置されている。図3に示すように、エアシリンダ40のシリンダバレル41は、上アーム31の側枠部31aの上面に固定されている。同エアシリンダ40のピストンロッド42は、シリンダバレル41の下端から上アーム側枠部31aを貫通して下方に延びて、下端が、下アーム33の上面の、長さ方向中央に固定されている。なお、図2や図3に示すように、エアシリンダ40のシリンダバレル41及びピストンロッド42は、それぞれ上アーム側枠部31a及び下アーム33の、コンテナ10のフランジ突部15aから外側に張り出した部分に固定されている。なお、エアシリンダ40のエア供給管(図示されず)は、架台2上に設置された供給源から、ボス36の部分で分岐して各々のエアシリンダ40に延びている。
【0021】
エアシリンダ40の両側には、下アーム33の昇降をガイドするガイド機構50が設けられている。ガイド機構50は、図1に示すように、下アーム33に固定されたリニアシャフト51と、上アーム31に固定されたリニアブッシュ52からなる。リニアシャフト51は、下アーム33の両端部の上面に固定されている。リニアブッシュ52は、上アーム31の側枠部31aの両端部を貫通して固定されており、リニアシャフト52の各々を案内する。図2に示すように、リニアシャフト51及びリニアブッシュ52は、それぞれ、下アーム33及び上アーム側枠部31aの、コンテナ10のフランジ突部15aから外側に張り出す部分に固定されている。
【0022】
さらに、下アーム33には、コンテナ10の位置決め機構が設けられている。位置決め機構は、下アーム33の上面の、ピストンロッド42と各リニアシャフト51との間に形成された上方に突出する突起55である。各突起55は、平面視においてコンテナ10のフランジ突部15aと重なる下アーム33の上面に形成されている。そして、コンテナ10のフランジ突部15aの下面には、前述のように、この突起55が係合する位置決め穴15dが開けられている。
【0023】
次に、コンテナ10のコンテナ回転装置30への装着方法を、図4と図1を参照して説明する。
図4は、コンテナの装着方法を説明する図である。
まず、図4(A)に示すように、エアシリンダ40を駆動してコンテナ回転装置30の下アーム33を、上アーム31に対して十分に下降させておく。詳細には、下アーム33を、同アーム33の突起55の高さが、コンテナ10のフランジ突部15aの下面の高さよりも十分に低い位置となるまで下降させる。そして、コンテナ10を手動あるいは自動で、上アーム31間に搬送する。このとき、上下アーム31、33間のエアシリンダ40やリニアシャフト52は、コンテナ10のフランジ突部15aの外側に配置されているので、コンテナ10は、胴部11aが上アーム31の正面枠部31bに当接するまで入り込む。また、下アーム33の位置決め突起55は、コンテナ10のフランジ突部15aの下方に位置するため、コンテナ10を上アーム31間に搬送する際、位置決め突起55は突部15aに当たらない。
【0024】
コンテナ10が上アーム31間に搬送された後、エアシリンダ40を駆動して、下アーム33を上昇させる。すると、図4(B)に示すように、下アーム33の位置決め突起55が、コンテナ10のフランジ突部15aの位置決め穴15dに係合し始め、下アーム33とコンテナ10とが位置決めされ、やがて下アーム33の上面がフランジ突部15aの下面に当接する。さらにエアシリンダ40を駆動して下アーム33を上昇させると、フランジ15は下アーム33で持ち上げられて、コンテナ10が上昇し始める。この間、下アーム33は、ガイド機構50により、上アーム31に対して平行に上昇し、コンテナ10は水平な状態で上昇する。そして、さらに下アーム33を上昇させると、やがてコンテナ10のフランジ突部15aの上面が上アーム31の側枠部31aの下面に当接する。つまり、図1に示すように、上アーム31の両側枠部31aと下アーム33間にコンテナ10のフランジ15が挟持される。そして、コンテナ10は、床面から浮いた状態で、コンテナ回転軸37に片持ち式に支持される。一例で、コンテナ10は270mm程度持ち上げられる。さらに、位置決め突起55によりコンテナ10とアーム31、33とが固定されることにより、アーム31、33がコンテナ10により補強される。
【0025】
その後、モータ38を所定の回転速度で回転させてコンテナ10を回転させる。一例として、回転速度は2〜30rpmである。これにより、コンテナ内部の粉粒体が混合・攪拌される。この際、前述のように、平面視においてコンテナ10は回転軸37に対して斜めに配置されているので、中身の粉粒体はコンテナ内を斜め方向に落下する。これにより、中身の落下距離が長くなるとともに、落下運動が不規則となるので、十分に攪拌される。
【0026】
攪拌作業終了後は、エアシリンダ40を駆動して下アーム33を下降させて、まず、コンテナ10を床面まで降ろす。その後、さらにエアシリンダ40を駆動して下アーム33を下降させて、位置決め突起55をコンテナ10のフランジ突部15aの位置決め穴15dから外す。これにより、コンテナ10は回転駆動装置30から外れる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施の形態に係るミキシング装置の全体を示す側面図である。
【図2】図1のミキシング装置の平面図である。
【図3】図1のA−A断面の拡大図である。
【図4】コンテナの装着方法を説明する図である。
【符号の説明】
【0028】
1 ミキシング装置 2 架台
10 コンテナ 11 容器本体
12 蓋 13 バタフライバルブ
15 フランジ部 17 支持脚
18 フレーム 19 車輪
30 回転装置 31 上アーム
33 下アーム 36 ボス
37 回転軸 38 モータ
40 エアシリンダ 41 シリンダバレル
42 ピストンロッド 50 ガイド機構
51 リニアシャフト 52 リニアブッシュ
55 位置決め穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下ア)〜ウ)を有するコンテナを回転させて前記粉粒体を混合するミキシング装置であって、
ア)内部に粉粒体を収容する容器本体、
イ)該容器本体の外面に突設されたフランジ部、
ウ)該容器本体から下方に延びる車輪付きの脚、
前記フランジ部の上面に当接する位置固定の上アームと、
該上アームに連結されたコンテナ回転軸と、
該回転軸の回転駆動手段と、
前記上アームと対向し、昇降可能であって、前記フランジ部の下面に当接する下アームと、
該下アームの昇降手段と、
該下アームと前記フランジ部との間に設けられた位置決め手段と、
を備え、
前記コンテナを前記ミキシング装置に載せる際に、
前記コンテナのフランジ部が、下降位置にある前記下アームの上方に進入し、
該下アームが上昇するとともに、前記フランジ部が該アームに対して位置決めされ、
該フランジ部の上面が前記上アームに当接して、該フランジ部が上下アームに挟持されることを特徴とするミキシング装置。
【請求項2】
前記位置決め手段が、前記フランジ部の下面に形成された位置決め穴と、前記下アームの上面に形成された位置決め突起からなり、
前記下アームの上昇時に位置決め突起が前記フランジ部の位置決め穴に係合することにより、前記下アームと前記フランジ部とが位置決めされることを特徴とする請求項1記載のミキシング装置。
【請求項3】
前記昇降手段が、
前記上アームに固定されたシリンダバレル、及び、前記下アームに固定されたピストンロッドを有するシリンダと、
前記下アームと前記上アームとの間に配設されたガイド機構と、
を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のミキシング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−58018(P2010−58018A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−224254(P2008−224254)
【出願日】平成20年9月2日(2008.9.2)
【出願人】(596013394)パシフィックサイエンス株式会社 (8)
【出願人】(506242898)
【Fターム(参考)】