ミクロ細孔とメソ・マクロ細孔を有する結晶性ケイ素含有酸化物の製造方法
【課題】結晶性ケイ素含有酸化物構造とメソ・マクロ細孔構造を併せ持った材料の、新規な製造技術を提供する。
【解決手段】以下の工程1、工程2、工程3を含む、ミクロ細孔とメソ・マクロ細孔を有する結晶性ケイ素含有酸化物の製造方法:
工程1:エポキシ樹脂、ケイ素アルコキシド及び酸無水物を含有する混合物を反応させてケイ素含有酸化物−エポキシ樹脂複合体を形成する工程、
工程2:得られた複合体をアルカリ性条件下で水熱処理してケイ素含有酸化物を結晶化させる工程、
工程3:工程2で得られた結晶性ケイ素含有酸化物−エポキシ樹脂複合体から有機成分を除去する工程。
【解決手段】以下の工程1、工程2、工程3を含む、ミクロ細孔とメソ・マクロ細孔を有する結晶性ケイ素含有酸化物の製造方法:
工程1:エポキシ樹脂、ケイ素アルコキシド及び酸無水物を含有する混合物を反応させてケイ素含有酸化物−エポキシ樹脂複合体を形成する工程、
工程2:得られた複合体をアルカリ性条件下で水熱処理してケイ素含有酸化物を結晶化させる工程、
工程3:工程2で得られた結晶性ケイ素含有酸化物−エポキシ樹脂複合体から有機成分を除去する工程。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミクロ細孔とメソ・マクロ細孔を有するケイ素系酸化物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ゼオライト及び関連する多孔性材料は、それらの微細な規則的な構造や強い酸特性およびイオン交換能力等のため、幅広く使用されている。これらの特性や応用例は、種々の非特許文献に紹介されている(非特許文献1、2)
ゼオライト材料の2nm以下、その中でも特に1nmのミクロ細孔は、分子ふるい、形状選択性等の優れた機能を発現させることができる一方、ミクロ細孔のマトリックス内からの外部への拡散が極度に抑制されるという欠点を持つ。特に、これらのゼオライト材料を固体触媒として用いた場合は、反応原料が生成物へと変換される触媒反応の速度よりも、反応原料の触媒活性点への到達や生成物の固体触媒からの放出が遅くなることがある。この場合、反応プロセスは反応律速ではなく、反応原料や生成物の拡散律速となってしまうため、プロセス全体の効率が著しく低下するという問題になる。そのために、同一固体材料内にゼオライト部分と、反応原料や生成物の拡散を迅速に行える大きな細孔であるメソ孔やマクロ孔部分を併せ持つ材料の開発が活発に行われている。
【0003】
例えば、ゼオライト粒子を用いてメソ細孔を持つMCM−41型のシリカを合成する例がある(特許文献1)。また、炭水化物または炭水化物溶液を鋳型として、ゼオライト前駆体を合成し、その後に結晶化させる技術もある(特許文献2)。カーボンエアロジェルを分子鋳型として用いてメソ細孔を作り出す技術もある(特許文献3)。反応性粒子とゼオライトとの直接的又は間接的な反応によりゼオライトの結晶の内部にメソ細孔を形成させる方法も報告されている(特許文献4)。四級アンモニウム塩テンプレートとケイ酸化合物(シリカゾル等)との比率を最適化することで、メソ孔も有するMFI型ゼオライトを合成する方法も知られている(特許文献5)。様々な方法が検討されている(特許文献6、特許文献7、特許文献8)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2007-534589
【特許文献2】特開2008- 19161
【特許文献3】WO03/104148
【特許文献4】特開2004-269276
【特許文献5】特開平11-226391
【特許文献6】特表2007-522066
【特許文献7】特開2006-8510
【特許文献8】特開2004-269276
【特許文献9】特許第4035609号
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】A. Corma, Chem. Rev., 1997, 97, 2373-2419.
【非特許文献2】M. E. Davis, Nature, 2002, 417, 813-8 2 1.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、結晶性ケイ素含有酸化物構造とメソ・マクロ細孔構造を併せ持った材料の、新規な製造技術を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ケイ素アルコキシドと酸無水物の重縮合反応による無機酸化物と、エポキシ樹脂と酸無水物の硬化反応によるエポキシ樹脂を同一系内で反応させることによってエポキシ樹脂−ケイ素酸化物からなる有機−無機酸化物複合体を製造する技術は特許となっている(特許文献9)。この特許では、ガラス転移点を持たない材料の製造方法や熱安定性、電気絶縁性に優れ、塗料などのコーティング剤、接着剤、シーリング剤など材料として有用であるとは言及されているが、エポキシ樹脂部を鋳型として応用することは開示されていない。本発明者らは、このエポキシ樹脂部を構造規定剤として、得られた有機−無機酸化物複合体を使用して水熱処理することにより無機酸化物を結晶性ケイ素含有酸化物構造にした後、焼成処理等によって有機物(エポキシ樹脂等)を除去することで、ミクロ孔とメソ・マクロ細孔をも併せ持った結晶性ケイ素含有酸化物材料が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。図1に概念図を示す。
【0008】
本発明は、以下のミクロ細孔とメソ・マクロ細孔を有する結晶性ケイ素含有酸化物の製造方法を提供するものである。
項1. 以下の工程1、工程2、工程3を含む、ミクロ細孔とメソ細孔及び/又はマクロ細孔を有する結晶性ケイ素含有酸化物の製造方法:
工程1:エポキシ樹脂、ケイ素アルコキシド及び酸無水物を含有する混合物を反応させてケイ素含有酸化物−エポキシ樹脂複合体を形成する工程、
工程2:得られた複合体をアルカリ性条件下で水熱処理してケイ素含有酸化物を結晶化させる工程、
工程3:工程2で得られた結晶性ケイ素含有酸化物−エポキシ樹脂複合体から有機成分を除去する工程。
項2.
エポキシ樹脂がビスフェノール型エポキシ樹脂であることを特徴とする項1に記載の製造方法。
項3.
ケイ素アルコキシドがテトラメトキシシラン及びテトラエトキシシランからなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする項1または2に記載の製造方法。
項4.
工程2において、ミクロ細孔の構造規定剤となる水溶性有機化合物を共存させることを特徴とする、項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
項5.
水溶性有機化合物が、アンモニウム化合物であることを特徴とする、項4に記載の製造方法。
項6.
工程3において、有機成分を除去する工程が焼成であることを特徴とする、項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
項7.
酸無水物が多価カルボン酸無水物であることを特徴とする項1〜6のいずれかに記載の製造方法。
項8.
結晶性ケイ素含有酸化物がシリカライトであることを特徴とする項1〜7のいずれかに記載の製造方法。
項9.
結晶性ケイ素含有酸化物が、メタロシリケートであることを特徴とする項1〜7のいずれかに記載の製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によればミクロ孔(直径が2nm以下、特に0.1〜1nm)とメソ孔ないしマクロ孔(直径が2nm以上150nm以下、特に10nmから150nmの細孔)を併せ持つ結晶性ケイ素含有酸化物を得ることができる。本発明の方法により得られる結晶性ケイ素含有酸化物は、均一な孔分布を有し、ミクロ孔とメソ孔ないしマクロ孔が連通した構造を有するため、反応触媒などの応用に適している。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】エポキシ樹脂複合体を用いたミクロ細孔とメソ・マクロ細孔を有するケイ素系酸化物の製造方法の概念図
【図2】最終材料の粉末X線回折パターン
【図3】最終材料の窒素の吸脱着等温線
【図4】最終材料のBJH法で解析した細孔分布
【図5】最終材料の粉末X線回折パターン
【図6】最終材料の窒素の吸脱着等温線
【図7】最終材料のBJH法で解析した細孔分布
【図8】最終材料の粉末X線回折パターン
【図9】最終材料の窒素の吸脱着等温線
【図10】最終材料のBJH法で解析した細孔分布
【図11】最終材料の粉末X線回折パターン
【図12】最終材料の窒素の吸脱着等温線
【図13】最終材料のBJH法で解析した細孔分布
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書において、ミクロ孔とは、直径が2nm未満の孔(例えば直径0.1〜2nmの孔)を意
味し、メソ孔とは直径が2〜50nmの孔を意味し、マクロ孔とは直径が50nmを超える孔(例えば直径が50nmを超えて150nm以下の孔)を意味する。
【0012】
本発明の製造方法において、工程1では、エポキシ樹脂と酸無水物が反応・硬化してエポキシ樹脂由来の疎水性のポリマーからなる細孔部分を形成する。ここで細孔部分とは、後で有機成分を除去することによりメソ孔、マクロ孔などの細孔に変換され得る部分のことである。この細孔部分が非晶質のケイ素含有酸化物からなるマトリクスに均一に分布する。ケイ素含有酸化物はケイ素アルコキシドのみを使用した場合にはケイ素酸化物になり、金属錯体を併用した場合には、ケイ素と他の金属の複合酸化物になる。
【0013】
工程2において、得られた複合体をアルカリ性条件化で、必要に応じて鋳型となる構造規定剤(例えば水溶性有機化合物)共存下、水熱処理すると、非晶質のケイ素含有酸化物が結晶化すると同時に、エポキシ樹脂と酸無水物の反応生成物はエステル結合が一部分解して細孔部分が融合してメソ孔ないしマクロ孔が生成する。工程3で有機成分を除去することで、メソ孔/マクロ孔とミクロ孔が混在する、結晶性ケイ素含有酸化物複合体が生成す
る。本発明で得られる結晶性ケイ素含有酸化物は、ミクロ孔とメソ孔ないしマクロ孔が結晶性ケイ素含有酸化物マトリクスに均一に分布し、かつ、ミクロ孔はメソ孔ないしマクロ孔と連通しているため、例えばミクロ孔で触媒反応を生じさせる場合、ミクロ孔の反応生成物がメソ孔ないしマクロ孔を通って外部に放出されるので、効率よく触媒反応を行うことができる。
【0014】
工程3は、工程2で得られた結晶性ケイ素含有酸化物−エポキシ樹脂複合体から有機成分を除去すると、有機成分があった場所が孔に変わるので、目的とするミクロ細孔とメソ・マクロ細孔を有する結晶性ケイ素含有酸化物を得ることができる。
【0015】
本発明の製造方法において使用されるケイ素アルコキシドとしては、特に制限されないが、オルトケイ酸テトラメチル、オルトケイ酸テトラエチル、オルトケイ酸テトラブチル等のオルトケイ酸テトラアルキル(アルキルの炭素数は1〜6が好ましい)、フェニルトリエトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、シクロペンチルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等が例示される。アルコキシシランは単独又は2種以上組み合わせて使用することができる。好ましいのは、オルトケイ酸テトラアルキル、アルキルトリアルコキシシランであり、より好ましいのは、オルトケイ酸テトラメチル、オルトケイ酸テトラエチルである。
【0016】
本発明の製造方法において使用されるエポキシ樹脂は、例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂をはじめとする、フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF等のフェノール類及び/又はα−ナフトール、β−ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等のナフトール類とホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド等のアルデヒド基を有する化合物とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるノボラック樹脂をエポキシ化したもの;ビスフェノールA、ビスフェノールF、アルキル置換又は非置換のビフェノール等のジグリシジルエーテルなどのグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;スチルベン型エポキシ樹脂;ハイドロキノン型エポキシ樹脂;フタル酸、ダイマー酸等の多塩基酸とエピクロルヒドリンの反応により得られるグリシジルエステル型エポキシ樹脂;ジアミノジフェニルメタン、イソシアヌル酸等のポリアミンとエピクロルヒドリンの反応により得られるグリシジルアミン型エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエンとフェノール類及び/又はナフトール類との共縮合樹脂のエポキシ化物;ナフタレン環を有するエポキシ樹脂;フェノール・アラルキル樹脂、ナフトール・アラルキル樹脂等のアラルキル型フェノール樹脂のエポキシ化物;トリメチロールプロパン型エポキシ樹脂;テルペン変性エポキシ樹脂;オレフィン結合を過酢酸等の過酸で酸化して得られる線状脂肪族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂などが挙げられ、これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0017】
エポキシ樹脂の具体例としては、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、ヘキサヒドロビスフェノールAジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、フタル酸ジグリシジルエステル、ダイマー酸ジグリシジルエステル、トリグリシジルイソシアヌレート、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、テトラグリシジルメタキシレンジアミン、クレゾールノボラックポリグリシジルエーテル、エポキシ化ポリブタジエン、エポキシ化大豆油、これらの二量体、三量体、オリゴマー、ポリマー等が挙げられる。
【0018】
これらの中で好ましいのは、ビスフェノールA、ビスフェノールF、アルキル置換又は非置換のビフェノール等のジグリシジルエーテルなどのグリシジルエーテル型エポキシ樹脂である。この樹脂における置換基としてのアルキルは炭素数が1〜6個が好ましい。
さらに好ましくは、ビスフェノール型エポキシ樹脂であり、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、これらの二量体、三量体、オリゴマー、ポリマー等である。最も好ましくはビスフェノールAジグリシジルエーテル、その二量体、三量体、オリゴマー、ポリマーである。エポキシ樹脂のプレポリマ−を好ましく使用することができる。
【0019】
エポキシ樹脂の平均分子量は特に制限されないが、200〜5000程度、好ましくは200〜2000程度、より好ましくは200〜500程度である。
【0020】
本発明の製造方法において使用される酸無水物は、特に制限されないが、一般的にはエポキシ樹脂の硬化剤として使用される酸無水物である。これら酸無水物は、化学構造の点から脂肪族、芳香族および脂環族に分けられ、硬化性の点から1官能性型、2官能性型および遊離酸型に分けられるが、いずれも本発明において単独又は2種以上を混合して使用することができる。
【0021】
これら酸無水物としては、シス(又はトランス)−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物(ヘキサヒドロ無水フタル酸(HHPA)))、無水フタル酸(PA)、テトラヒドロ無水フタル酸(THPA)、メチルテトラヒドロ無水フタル酸(MeTHPA)、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸(MeHHPA)、無水メチルナジック酸(MNA)、ドデシル無水コハク酸(DDSA)、無水クロレンディック酸(HET)、無水ピロメリット酸(PMDA)、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物(BTDA)、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメート)(TMEG)、メチルシクロヘキセンテトラカルボン酸無水物(MCTC)、無水トリメリット酸(TMA)、ポリアゼライン酸無水物(PAPA)、無水マレイン酸等の多価カルボン酸無水物が例示される。
【0022】
好ましいのは、多価カルボン酸の酸無水物であり、例えば、芳香環又は脂肪族環を有する酸無水物、無水マレイン酸等である。より好ましくは芳香環および脂環族環を有する酸無水物である。
【0023】
エポキシ樹脂の使用量は、反応が阻害されない限り制限されないが、ケイ素アルコキシド1モルに対し、0.05〜2モル、好ましくは0.1〜0.5モルである。また、酸無水物の使用量は、反応が阻害されない限り特に制限されないが、ケイ素アルコキシド1モルに対し、1.5〜3モル、好ましくは1.8〜2.5モルが好ましい。
【0024】
ケイ素酸化物−金属酸化物−エポキシ樹脂複合体を合成する際の加熱温度は、反応が阻害されない限り特に制限されないが、80〜250℃、好ましくは120〜200℃である。加熱に際してはオートクレーブを使用することが好ましい。オートクレーブの使用により、原料、特にアルコキシシランの蒸発等による減少を抑制することができる。
【0025】
ケイ素アルコキシド、エポキシ樹脂、酸無水物の総反応時間は、特に制限されないが、5〜500時間、好ましくは20〜200時間である。
【0026】
ケイ素酸化物−金属酸化物−エポキシ樹脂複合体を合成する際、ゾル状態のケイ素アルコキシド/ケイ素酸化物に添加する金属錯体としては、金属と有機配位子の錯体が挙げら
れる。金属としてはチタン、ジルコニウム、アルミニウム、スズ、マンガン、アンチモン、鉄、ガリウム、ゲルマニウム、インジウム、クロム、バナジウム、ニオブ、タンタル、ビスマスなどが挙げられ、有機配位子としては、アセチルアセトン、アルコキシド、アルキル、有機カルボン酸(酢酸、プロピオン酸、乳酸、グリコール酸、蟻酸など)、アセト酢酸、ヒドロキシ酢酸などが挙げられる。好ましい金属錯体としては、チタンアルコキシド類、ジルコニウムアルコキシド類、アルミニウムアルコキシド類などの金属アルコキシド類、チタンアセチルアセトン錯体、ジルコニウムアセチルアセトン錯体、アルミニウムアセチルアセトン錯体などの金属アセチルアセトン錯体、酢酸チタン、酢酸ジルコニウム、酢酸アルミニウムなどの金属酢酸塩/金属カルボン酸塩、金属硫酸塩、金属硝酸塩、有機
金属化合物などが挙げられる。
【0027】
ケイ素酸化物−金属酸化物−エポキシ樹脂複合体を合成する際、ゾル状態のケイ素アルコキシド/ケイ素酸化物に添加する金属錯体の使用量は、反応が阻害されない限り制限さ
れないがケイ素アルコキシド1モルに対し、0.005モル〜0.1モル、好ましくは0
.1〜0.3モルである。
【0028】
ケイ素酸化物−金属酸化物−エポキシ樹脂複合体を水熱合成する際に使用することができる構造規定剤は、水溶性有機化合物が好ましい。より好ましい水溶性有機化合物として、アンモニウム化合物を例示することができる。構造規定剤は、アルカリ性の条件化での水熱反応により、非晶質のケイ素含有酸化物の結晶化を可能にする。
【0029】
アンモニウム化合物としては、水酸化テトラアルキルアンモニウム、臭化テトラアルキルアンモニウム、塩化テトラアルキルアンモニウム、ヨウ化テトラアルキルアンモニウム等が例示される。好ましくは水酸化テトラアルキルアンモニウムである。
【0030】
ケイ素酸化物−金属酸化物−エポキシ樹脂複合体を水熱合成する際の加熱温度は、反応が阻害されない限り特に制限されないが、80〜250℃、好ましくは100〜200℃である。加熱に際してはオートクレーブ等の密閉容器を使用することが好ましい。
【0031】
ケイ素酸化物−金属酸化物−エポキシ樹脂複合体を水熱合成する際の反応時間は、反応が阻害されない限り特に制限されないが、5〜100時間、好ましくは10〜50時間である。
【0032】
ケイ素酸化物−金属酸化物−エポキシ樹脂複合体を水熱合成する際のケイ素酸化物−金属酸化物−エポキシ樹脂複合体と構造規定剤の比率は、特に限定されないが、ケイ素酸化物−金属酸化物−エポキシ樹脂複合体に1gに対して、0.5g〜5g、好ましくは2g〜3gである。
【0033】
ケイ素酸化物−金属酸化物−エポキシ樹脂複合体から有機成分を除去する方法は、有機成分を有効に除去できる方法ならば特に限定されないが、焼成処理を例示することができる。焼成温度は、300〜800℃が好ましく、より好ましくは400〜600℃である。焼成時間は特に限定されないが1〜10時間が好ましく、より好ましくは2〜6時間である。
【実施例】
【0034】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。
【0035】
実施例1
オルトケイ酸テトラメチル3.0g、プレポリマー状態のビスフェノールA型エポキシ樹脂0.6g、シス−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物6.7gを、それぞれポリテトラフルオロエチレン内筒型ステンレス耐圧容器に入れ、密封し170℃で加熱し、360時間反応させた。
【0036】
反応終了後、耐圧容器を室温で冷却し、生成物をアセトンでよく洗浄した後、80℃で乾燥させ、ケイ素酸化物−エポキシ樹脂複合体を2.4g得た。
【0037】
このケイ素酸化物−エポキシ樹脂複合体1.0gに対し、水酸化テトラプロピルアンモニウム水溶液(1mol/L)2.0gをポリテトラフルオロエチレン内筒型ステンレス耐
圧容器内で混合し、密封し、170℃24時間加熱し、耐圧容器を室温で冷却した。その後、遠心分離によって沈殿させ、沈殿物を60℃の恒温槽に一晩入れることで充分に水分を乾燥させ、550℃で4時間焼成処理し、メソ・マクロ細孔を含有するケイ素酸化物を0.4g得た。図2には、最終的に得られた材料の粉末X線回折パターンを示す。また、図3、4には、それぞれ窒素の吸脱着等温線、およびその吸着等温線よりBJH法で解析
した細孔分布を示す。なお、本最終材料のBET比表面積は153.0 m2/g、BJH細孔容積は0.3424 mL/gであった。
【0038】
実施例2
オルトケイ酸テトラメチルを3.0g、プレポリマー状態のビスフェノールA型エポキシ樹脂を1.2g、シス−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物を7.1g、それぞれポリテトラフルオロエチレン内筒型ステンレス耐圧容器に入れ、密封し、170℃で加熱した。加熱開始から48時間後に反応容器を空気中で冷却した後、アルミニウムアセチルアセトン錯体0.25gを加え、反応容器内でよく攪拌した後、再び密封し170℃で加熱し、120時間反応させた。
【0039】
反応終了後、耐圧容器を室温で冷却し、生成物をアセトンでよく洗浄した後、80℃で乾燥させ、ケイ素酸化物−アルミニウム酸化物−エポキシ樹脂複合体を2.5g得た。
【0040】
このケイ素酸化物−アルミニウム酸化物−エポキシ樹脂複合体1.0gに対し、水酸化テトラプロピルアンモニウム水溶液(1mol/L)2.5gをポリテトラフルオロエチレ
ン内筒型ステンレス耐圧容器内で混合し、密封し、170℃で24時間加熱し、耐圧容器を室温で冷却した。その後、遠心分離によって沈殿させ、沈殿物を60℃の恒温槽に一晩入れることで水分を乾燥させ、550℃で4時間焼成処理し、メソ細孔を含有するケイ素酸化物−アルミニウム酸化物からなるゼオライト材料を0.4g得た。図5には、最終的に得られた材料の粉末X線回折パターンを示す。また、図6、7には、それぞれ窒素の吸脱着等温線、およびその吸着等温線よりBJH法で解析した細孔分布を示す。なお、本最終材料のBET比表面積は304.8 m2/g、BJH細孔容積は0.5205 mL/gであった。
【0041】
実施例3
実施例1と同様な方法を用い、オルトケイ酸テトラメチル3.0g、プレポリマー状態のビスフェノールA型エポキシ樹脂1.2g、シス−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物7.1gをポリテトラフルオロエチレン内筒型ステンレス耐圧容器に入れ、密封し、170℃で加熱した。加熱開始から48時間後に反応容器を空気中で冷却した後、ビス(2,4−ペンタンジオナト)チタン(IV)オキシド0.10gを加え、反応容器内でよく攪拌した後、密封し170℃で加熱し、120時間反応させた。
【0042】
反応終了後、耐圧容器を室温で冷却し、生成物をアセトンでよく洗浄した後、80℃で乾燥させ、ケイ素酸化物−チタン酸化物−エポキシ樹脂複合体を2.5g得た。
【0043】
このケイ素酸化物−チタン酸化物−エポキシ樹脂複合体1.0gに対し、水酸化テトラプロピルアンモニウム水溶液(1mol/L)2.5gをポリテトラフルオロエチレン内筒
型ステンレス耐圧容器内で混合し、密封し、170℃24時間加熱し、耐圧容器を室温で冷却した。その後、遠心分離によって沈殿させ、沈殿物を60℃の恒温槽に一晩入れることで充分に水分を乾燥させ、550℃で4時間焼成処理し、メソ細孔を含有するケイ素酸化物−チタン酸化物からなるゼオライトを0.4g得た。図8には、最終的に得られた材料の粉末X線回折パターンを示す。また、図9、10には、それぞれ窒素の吸脱着等温線、およびその吸着等温線よりBJH法で解析した細孔分布を示す。なお、本最終材料のBET比表面積は301.3 m2/g、BJH細孔容積は0.2798 mL/gであった。
【0044】
実施例4
実施例1と同様な方法を用い、オルトケイ酸テトラメチル3.0g、プレポリマー状態のビスフェノールA型エポキシ樹脂1.2g、シス−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物7.1gをポリテトラフルオロエチレン内筒型ステンレス耐圧容器に入れ、密封し、170℃で加熱した。加熱開始から48時間後に反応容器を空気中で冷却した後、ジル
コニウムアセチルアセトン錯体0.19gを加え、反応容器内でよく攪拌した後、密封し170℃で加熱し、120時間反応させた。
【0045】
反応終了後、耐圧容器を室温で冷却し、生成物をアセトンでよく洗浄した後、80℃で乾燥させ、ケイ素酸化物−ジルコニウム酸化物−エポキシ樹脂複合体を2.6g得た。
このケイ素酸化物−ジルコニウム酸化物−エポキシ樹脂複合体1.0gに対し、水酸化テトラプロピルアンモニウム水溶液(1mol/L)2.5gをポリテトラフルオロエチレン
内筒型ステンレス耐圧容器内で混合し、密封し、170℃24時間加熱し、耐圧容器を室温で冷却した。その後、遠心分離によって沈殿させ、沈殿物を60℃の恒温槽に一晩入れることで充分に水分を乾燥させ、550℃で4時間焼成処理し、メソ細孔を含有するケイ素酸化物−ジルコニウム酸化物からなるゼオライトを0.4g得た。図11には、最終的に得られた材料の粉末X線回折パターンを示す。また、図12、13には、それぞれ窒素の吸脱着等温線、およびその吸着等温線よりBJH法で解析した細孔分布を示す。なお、本最終材料のBET比表面積は363.6 m2/g、BJH細孔容積は0.6587 mL/gであった。
【産業上の利用可能性】
【0046】
結晶性ケイ素含有酸化物や類似の結晶性複合酸化物材料は、分離材料、吸着材料、固体触媒等に幅広く用いられている。特に固体触媒として用いる場合は、その形態によりそれ自体が酸触媒、塩基触媒、酸化触媒となり、また金属触媒の担体等としても用いることができる。この際に、反応原料が固体材料内へ素早く進入し、反応生成物が即座に固体材料より脱離することができれば、種々の触媒反応の速度が著しく向上し、また反応原料や生成物の細孔内での滞留を抑制することで触媒活性の劣化も防ぐことが期待される。また、迅速な分離・吸着材料としての応用も期待できる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミクロ細孔とメソ・マクロ細孔を有するケイ素系酸化物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ゼオライト及び関連する多孔性材料は、それらの微細な規則的な構造や強い酸特性およびイオン交換能力等のため、幅広く使用されている。これらの特性や応用例は、種々の非特許文献に紹介されている(非特許文献1、2)
ゼオライト材料の2nm以下、その中でも特に1nmのミクロ細孔は、分子ふるい、形状選択性等の優れた機能を発現させることができる一方、ミクロ細孔のマトリックス内からの外部への拡散が極度に抑制されるという欠点を持つ。特に、これらのゼオライト材料を固体触媒として用いた場合は、反応原料が生成物へと変換される触媒反応の速度よりも、反応原料の触媒活性点への到達や生成物の固体触媒からの放出が遅くなることがある。この場合、反応プロセスは反応律速ではなく、反応原料や生成物の拡散律速となってしまうため、プロセス全体の効率が著しく低下するという問題になる。そのために、同一固体材料内にゼオライト部分と、反応原料や生成物の拡散を迅速に行える大きな細孔であるメソ孔やマクロ孔部分を併せ持つ材料の開発が活発に行われている。
【0003】
例えば、ゼオライト粒子を用いてメソ細孔を持つMCM−41型のシリカを合成する例がある(特許文献1)。また、炭水化物または炭水化物溶液を鋳型として、ゼオライト前駆体を合成し、その後に結晶化させる技術もある(特許文献2)。カーボンエアロジェルを分子鋳型として用いてメソ細孔を作り出す技術もある(特許文献3)。反応性粒子とゼオライトとの直接的又は間接的な反応によりゼオライトの結晶の内部にメソ細孔を形成させる方法も報告されている(特許文献4)。四級アンモニウム塩テンプレートとケイ酸化合物(シリカゾル等)との比率を最適化することで、メソ孔も有するMFI型ゼオライトを合成する方法も知られている(特許文献5)。様々な方法が検討されている(特許文献6、特許文献7、特許文献8)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2007-534589
【特許文献2】特開2008- 19161
【特許文献3】WO03/104148
【特許文献4】特開2004-269276
【特許文献5】特開平11-226391
【特許文献6】特表2007-522066
【特許文献7】特開2006-8510
【特許文献8】特開2004-269276
【特許文献9】特許第4035609号
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】A. Corma, Chem. Rev., 1997, 97, 2373-2419.
【非特許文献2】M. E. Davis, Nature, 2002, 417, 813-8 2 1.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、結晶性ケイ素含有酸化物構造とメソ・マクロ細孔構造を併せ持った材料の、新規な製造技術を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ケイ素アルコキシドと酸無水物の重縮合反応による無機酸化物と、エポキシ樹脂と酸無水物の硬化反応によるエポキシ樹脂を同一系内で反応させることによってエポキシ樹脂−ケイ素酸化物からなる有機−無機酸化物複合体を製造する技術は特許となっている(特許文献9)。この特許では、ガラス転移点を持たない材料の製造方法や熱安定性、電気絶縁性に優れ、塗料などのコーティング剤、接着剤、シーリング剤など材料として有用であるとは言及されているが、エポキシ樹脂部を鋳型として応用することは開示されていない。本発明者らは、このエポキシ樹脂部を構造規定剤として、得られた有機−無機酸化物複合体を使用して水熱処理することにより無機酸化物を結晶性ケイ素含有酸化物構造にした後、焼成処理等によって有機物(エポキシ樹脂等)を除去することで、ミクロ孔とメソ・マクロ細孔をも併せ持った結晶性ケイ素含有酸化物材料が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。図1に概念図を示す。
【0008】
本発明は、以下のミクロ細孔とメソ・マクロ細孔を有する結晶性ケイ素含有酸化物の製造方法を提供するものである。
項1. 以下の工程1、工程2、工程3を含む、ミクロ細孔とメソ細孔及び/又はマクロ細孔を有する結晶性ケイ素含有酸化物の製造方法:
工程1:エポキシ樹脂、ケイ素アルコキシド及び酸無水物を含有する混合物を反応させてケイ素含有酸化物−エポキシ樹脂複合体を形成する工程、
工程2:得られた複合体をアルカリ性条件下で水熱処理してケイ素含有酸化物を結晶化させる工程、
工程3:工程2で得られた結晶性ケイ素含有酸化物−エポキシ樹脂複合体から有機成分を除去する工程。
項2.
エポキシ樹脂がビスフェノール型エポキシ樹脂であることを特徴とする項1に記載の製造方法。
項3.
ケイ素アルコキシドがテトラメトキシシラン及びテトラエトキシシランからなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする項1または2に記載の製造方法。
項4.
工程2において、ミクロ細孔の構造規定剤となる水溶性有機化合物を共存させることを特徴とする、項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
項5.
水溶性有機化合物が、アンモニウム化合物であることを特徴とする、項4に記載の製造方法。
項6.
工程3において、有機成分を除去する工程が焼成であることを特徴とする、項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
項7.
酸無水物が多価カルボン酸無水物であることを特徴とする項1〜6のいずれかに記載の製造方法。
項8.
結晶性ケイ素含有酸化物がシリカライトであることを特徴とする項1〜7のいずれかに記載の製造方法。
項9.
結晶性ケイ素含有酸化物が、メタロシリケートであることを特徴とする項1〜7のいずれかに記載の製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によればミクロ孔(直径が2nm以下、特に0.1〜1nm)とメソ孔ないしマクロ孔(直径が2nm以上150nm以下、特に10nmから150nmの細孔)を併せ持つ結晶性ケイ素含有酸化物を得ることができる。本発明の方法により得られる結晶性ケイ素含有酸化物は、均一な孔分布を有し、ミクロ孔とメソ孔ないしマクロ孔が連通した構造を有するため、反応触媒などの応用に適している。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】エポキシ樹脂複合体を用いたミクロ細孔とメソ・マクロ細孔を有するケイ素系酸化物の製造方法の概念図
【図2】最終材料の粉末X線回折パターン
【図3】最終材料の窒素の吸脱着等温線
【図4】最終材料のBJH法で解析した細孔分布
【図5】最終材料の粉末X線回折パターン
【図6】最終材料の窒素の吸脱着等温線
【図7】最終材料のBJH法で解析した細孔分布
【図8】最終材料の粉末X線回折パターン
【図9】最終材料の窒素の吸脱着等温線
【図10】最終材料のBJH法で解析した細孔分布
【図11】最終材料の粉末X線回折パターン
【図12】最終材料の窒素の吸脱着等温線
【図13】最終材料のBJH法で解析した細孔分布
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書において、ミクロ孔とは、直径が2nm未満の孔(例えば直径0.1〜2nmの孔)を意
味し、メソ孔とは直径が2〜50nmの孔を意味し、マクロ孔とは直径が50nmを超える孔(例えば直径が50nmを超えて150nm以下の孔)を意味する。
【0012】
本発明の製造方法において、工程1では、エポキシ樹脂と酸無水物が反応・硬化してエポキシ樹脂由来の疎水性のポリマーからなる細孔部分を形成する。ここで細孔部分とは、後で有機成分を除去することによりメソ孔、マクロ孔などの細孔に変換され得る部分のことである。この細孔部分が非晶質のケイ素含有酸化物からなるマトリクスに均一に分布する。ケイ素含有酸化物はケイ素アルコキシドのみを使用した場合にはケイ素酸化物になり、金属錯体を併用した場合には、ケイ素と他の金属の複合酸化物になる。
【0013】
工程2において、得られた複合体をアルカリ性条件化で、必要に応じて鋳型となる構造規定剤(例えば水溶性有機化合物)共存下、水熱処理すると、非晶質のケイ素含有酸化物が結晶化すると同時に、エポキシ樹脂と酸無水物の反応生成物はエステル結合が一部分解して細孔部分が融合してメソ孔ないしマクロ孔が生成する。工程3で有機成分を除去することで、メソ孔/マクロ孔とミクロ孔が混在する、結晶性ケイ素含有酸化物複合体が生成す
る。本発明で得られる結晶性ケイ素含有酸化物は、ミクロ孔とメソ孔ないしマクロ孔が結晶性ケイ素含有酸化物マトリクスに均一に分布し、かつ、ミクロ孔はメソ孔ないしマクロ孔と連通しているため、例えばミクロ孔で触媒反応を生じさせる場合、ミクロ孔の反応生成物がメソ孔ないしマクロ孔を通って外部に放出されるので、効率よく触媒反応を行うことができる。
【0014】
工程3は、工程2で得られた結晶性ケイ素含有酸化物−エポキシ樹脂複合体から有機成分を除去すると、有機成分があった場所が孔に変わるので、目的とするミクロ細孔とメソ・マクロ細孔を有する結晶性ケイ素含有酸化物を得ることができる。
【0015】
本発明の製造方法において使用されるケイ素アルコキシドとしては、特に制限されないが、オルトケイ酸テトラメチル、オルトケイ酸テトラエチル、オルトケイ酸テトラブチル等のオルトケイ酸テトラアルキル(アルキルの炭素数は1〜6が好ましい)、フェニルトリエトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、シクロペンチルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等が例示される。アルコキシシランは単独又は2種以上組み合わせて使用することができる。好ましいのは、オルトケイ酸テトラアルキル、アルキルトリアルコキシシランであり、より好ましいのは、オルトケイ酸テトラメチル、オルトケイ酸テトラエチルである。
【0016】
本発明の製造方法において使用されるエポキシ樹脂は、例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂をはじめとする、フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF等のフェノール類及び/又はα−ナフトール、β−ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等のナフトール類とホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド等のアルデヒド基を有する化合物とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるノボラック樹脂をエポキシ化したもの;ビスフェノールA、ビスフェノールF、アルキル置換又は非置換のビフェノール等のジグリシジルエーテルなどのグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;スチルベン型エポキシ樹脂;ハイドロキノン型エポキシ樹脂;フタル酸、ダイマー酸等の多塩基酸とエピクロルヒドリンの反応により得られるグリシジルエステル型エポキシ樹脂;ジアミノジフェニルメタン、イソシアヌル酸等のポリアミンとエピクロルヒドリンの反応により得られるグリシジルアミン型エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエンとフェノール類及び/又はナフトール類との共縮合樹脂のエポキシ化物;ナフタレン環を有するエポキシ樹脂;フェノール・アラルキル樹脂、ナフトール・アラルキル樹脂等のアラルキル型フェノール樹脂のエポキシ化物;トリメチロールプロパン型エポキシ樹脂;テルペン変性エポキシ樹脂;オレフィン結合を過酢酸等の過酸で酸化して得られる線状脂肪族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂などが挙げられ、これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0017】
エポキシ樹脂の具体例としては、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、ヘキサヒドロビスフェノールAジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、フタル酸ジグリシジルエステル、ダイマー酸ジグリシジルエステル、トリグリシジルイソシアヌレート、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、テトラグリシジルメタキシレンジアミン、クレゾールノボラックポリグリシジルエーテル、エポキシ化ポリブタジエン、エポキシ化大豆油、これらの二量体、三量体、オリゴマー、ポリマー等が挙げられる。
【0018】
これらの中で好ましいのは、ビスフェノールA、ビスフェノールF、アルキル置換又は非置換のビフェノール等のジグリシジルエーテルなどのグリシジルエーテル型エポキシ樹脂である。この樹脂における置換基としてのアルキルは炭素数が1〜6個が好ましい。
さらに好ましくは、ビスフェノール型エポキシ樹脂であり、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、これらの二量体、三量体、オリゴマー、ポリマー等である。最も好ましくはビスフェノールAジグリシジルエーテル、その二量体、三量体、オリゴマー、ポリマーである。エポキシ樹脂のプレポリマ−を好ましく使用することができる。
【0019】
エポキシ樹脂の平均分子量は特に制限されないが、200〜5000程度、好ましくは200〜2000程度、より好ましくは200〜500程度である。
【0020】
本発明の製造方法において使用される酸無水物は、特に制限されないが、一般的にはエポキシ樹脂の硬化剤として使用される酸無水物である。これら酸無水物は、化学構造の点から脂肪族、芳香族および脂環族に分けられ、硬化性の点から1官能性型、2官能性型および遊離酸型に分けられるが、いずれも本発明において単独又は2種以上を混合して使用することができる。
【0021】
これら酸無水物としては、シス(又はトランス)−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物(ヘキサヒドロ無水フタル酸(HHPA)))、無水フタル酸(PA)、テトラヒドロ無水フタル酸(THPA)、メチルテトラヒドロ無水フタル酸(MeTHPA)、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸(MeHHPA)、無水メチルナジック酸(MNA)、ドデシル無水コハク酸(DDSA)、無水クロレンディック酸(HET)、無水ピロメリット酸(PMDA)、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物(BTDA)、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメート)(TMEG)、メチルシクロヘキセンテトラカルボン酸無水物(MCTC)、無水トリメリット酸(TMA)、ポリアゼライン酸無水物(PAPA)、無水マレイン酸等の多価カルボン酸無水物が例示される。
【0022】
好ましいのは、多価カルボン酸の酸無水物であり、例えば、芳香環又は脂肪族環を有する酸無水物、無水マレイン酸等である。より好ましくは芳香環および脂環族環を有する酸無水物である。
【0023】
エポキシ樹脂の使用量は、反応が阻害されない限り制限されないが、ケイ素アルコキシド1モルに対し、0.05〜2モル、好ましくは0.1〜0.5モルである。また、酸無水物の使用量は、反応が阻害されない限り特に制限されないが、ケイ素アルコキシド1モルに対し、1.5〜3モル、好ましくは1.8〜2.5モルが好ましい。
【0024】
ケイ素酸化物−金属酸化物−エポキシ樹脂複合体を合成する際の加熱温度は、反応が阻害されない限り特に制限されないが、80〜250℃、好ましくは120〜200℃である。加熱に際してはオートクレーブを使用することが好ましい。オートクレーブの使用により、原料、特にアルコキシシランの蒸発等による減少を抑制することができる。
【0025】
ケイ素アルコキシド、エポキシ樹脂、酸無水物の総反応時間は、特に制限されないが、5〜500時間、好ましくは20〜200時間である。
【0026】
ケイ素酸化物−金属酸化物−エポキシ樹脂複合体を合成する際、ゾル状態のケイ素アルコキシド/ケイ素酸化物に添加する金属錯体としては、金属と有機配位子の錯体が挙げら
れる。金属としてはチタン、ジルコニウム、アルミニウム、スズ、マンガン、アンチモン、鉄、ガリウム、ゲルマニウム、インジウム、クロム、バナジウム、ニオブ、タンタル、ビスマスなどが挙げられ、有機配位子としては、アセチルアセトン、アルコキシド、アルキル、有機カルボン酸(酢酸、プロピオン酸、乳酸、グリコール酸、蟻酸など)、アセト酢酸、ヒドロキシ酢酸などが挙げられる。好ましい金属錯体としては、チタンアルコキシド類、ジルコニウムアルコキシド類、アルミニウムアルコキシド類などの金属アルコキシド類、チタンアセチルアセトン錯体、ジルコニウムアセチルアセトン錯体、アルミニウムアセチルアセトン錯体などの金属アセチルアセトン錯体、酢酸チタン、酢酸ジルコニウム、酢酸アルミニウムなどの金属酢酸塩/金属カルボン酸塩、金属硫酸塩、金属硝酸塩、有機
金属化合物などが挙げられる。
【0027】
ケイ素酸化物−金属酸化物−エポキシ樹脂複合体を合成する際、ゾル状態のケイ素アルコキシド/ケイ素酸化物に添加する金属錯体の使用量は、反応が阻害されない限り制限さ
れないがケイ素アルコキシド1モルに対し、0.005モル〜0.1モル、好ましくは0
.1〜0.3モルである。
【0028】
ケイ素酸化物−金属酸化物−エポキシ樹脂複合体を水熱合成する際に使用することができる構造規定剤は、水溶性有機化合物が好ましい。より好ましい水溶性有機化合物として、アンモニウム化合物を例示することができる。構造規定剤は、アルカリ性の条件化での水熱反応により、非晶質のケイ素含有酸化物の結晶化を可能にする。
【0029】
アンモニウム化合物としては、水酸化テトラアルキルアンモニウム、臭化テトラアルキルアンモニウム、塩化テトラアルキルアンモニウム、ヨウ化テトラアルキルアンモニウム等が例示される。好ましくは水酸化テトラアルキルアンモニウムである。
【0030】
ケイ素酸化物−金属酸化物−エポキシ樹脂複合体を水熱合成する際の加熱温度は、反応が阻害されない限り特に制限されないが、80〜250℃、好ましくは100〜200℃である。加熱に際してはオートクレーブ等の密閉容器を使用することが好ましい。
【0031】
ケイ素酸化物−金属酸化物−エポキシ樹脂複合体を水熱合成する際の反応時間は、反応が阻害されない限り特に制限されないが、5〜100時間、好ましくは10〜50時間である。
【0032】
ケイ素酸化物−金属酸化物−エポキシ樹脂複合体を水熱合成する際のケイ素酸化物−金属酸化物−エポキシ樹脂複合体と構造規定剤の比率は、特に限定されないが、ケイ素酸化物−金属酸化物−エポキシ樹脂複合体に1gに対して、0.5g〜5g、好ましくは2g〜3gである。
【0033】
ケイ素酸化物−金属酸化物−エポキシ樹脂複合体から有機成分を除去する方法は、有機成分を有効に除去できる方法ならば特に限定されないが、焼成処理を例示することができる。焼成温度は、300〜800℃が好ましく、より好ましくは400〜600℃である。焼成時間は特に限定されないが1〜10時間が好ましく、より好ましくは2〜6時間である。
【実施例】
【0034】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。
【0035】
実施例1
オルトケイ酸テトラメチル3.0g、プレポリマー状態のビスフェノールA型エポキシ樹脂0.6g、シス−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物6.7gを、それぞれポリテトラフルオロエチレン内筒型ステンレス耐圧容器に入れ、密封し170℃で加熱し、360時間反応させた。
【0036】
反応終了後、耐圧容器を室温で冷却し、生成物をアセトンでよく洗浄した後、80℃で乾燥させ、ケイ素酸化物−エポキシ樹脂複合体を2.4g得た。
【0037】
このケイ素酸化物−エポキシ樹脂複合体1.0gに対し、水酸化テトラプロピルアンモニウム水溶液(1mol/L)2.0gをポリテトラフルオロエチレン内筒型ステンレス耐
圧容器内で混合し、密封し、170℃24時間加熱し、耐圧容器を室温で冷却した。その後、遠心分離によって沈殿させ、沈殿物を60℃の恒温槽に一晩入れることで充分に水分を乾燥させ、550℃で4時間焼成処理し、メソ・マクロ細孔を含有するケイ素酸化物を0.4g得た。図2には、最終的に得られた材料の粉末X線回折パターンを示す。また、図3、4には、それぞれ窒素の吸脱着等温線、およびその吸着等温線よりBJH法で解析
した細孔分布を示す。なお、本最終材料のBET比表面積は153.0 m2/g、BJH細孔容積は0.3424 mL/gであった。
【0038】
実施例2
オルトケイ酸テトラメチルを3.0g、プレポリマー状態のビスフェノールA型エポキシ樹脂を1.2g、シス−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物を7.1g、それぞれポリテトラフルオロエチレン内筒型ステンレス耐圧容器に入れ、密封し、170℃で加熱した。加熱開始から48時間後に反応容器を空気中で冷却した後、アルミニウムアセチルアセトン錯体0.25gを加え、反応容器内でよく攪拌した後、再び密封し170℃で加熱し、120時間反応させた。
【0039】
反応終了後、耐圧容器を室温で冷却し、生成物をアセトンでよく洗浄した後、80℃で乾燥させ、ケイ素酸化物−アルミニウム酸化物−エポキシ樹脂複合体を2.5g得た。
【0040】
このケイ素酸化物−アルミニウム酸化物−エポキシ樹脂複合体1.0gに対し、水酸化テトラプロピルアンモニウム水溶液(1mol/L)2.5gをポリテトラフルオロエチレ
ン内筒型ステンレス耐圧容器内で混合し、密封し、170℃で24時間加熱し、耐圧容器を室温で冷却した。その後、遠心分離によって沈殿させ、沈殿物を60℃の恒温槽に一晩入れることで水分を乾燥させ、550℃で4時間焼成処理し、メソ細孔を含有するケイ素酸化物−アルミニウム酸化物からなるゼオライト材料を0.4g得た。図5には、最終的に得られた材料の粉末X線回折パターンを示す。また、図6、7には、それぞれ窒素の吸脱着等温線、およびその吸着等温線よりBJH法で解析した細孔分布を示す。なお、本最終材料のBET比表面積は304.8 m2/g、BJH細孔容積は0.5205 mL/gであった。
【0041】
実施例3
実施例1と同様な方法を用い、オルトケイ酸テトラメチル3.0g、プレポリマー状態のビスフェノールA型エポキシ樹脂1.2g、シス−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物7.1gをポリテトラフルオロエチレン内筒型ステンレス耐圧容器に入れ、密封し、170℃で加熱した。加熱開始から48時間後に反応容器を空気中で冷却した後、ビス(2,4−ペンタンジオナト)チタン(IV)オキシド0.10gを加え、反応容器内でよく攪拌した後、密封し170℃で加熱し、120時間反応させた。
【0042】
反応終了後、耐圧容器を室温で冷却し、生成物をアセトンでよく洗浄した後、80℃で乾燥させ、ケイ素酸化物−チタン酸化物−エポキシ樹脂複合体を2.5g得た。
【0043】
このケイ素酸化物−チタン酸化物−エポキシ樹脂複合体1.0gに対し、水酸化テトラプロピルアンモニウム水溶液(1mol/L)2.5gをポリテトラフルオロエチレン内筒
型ステンレス耐圧容器内で混合し、密封し、170℃24時間加熱し、耐圧容器を室温で冷却した。その後、遠心分離によって沈殿させ、沈殿物を60℃の恒温槽に一晩入れることで充分に水分を乾燥させ、550℃で4時間焼成処理し、メソ細孔を含有するケイ素酸化物−チタン酸化物からなるゼオライトを0.4g得た。図8には、最終的に得られた材料の粉末X線回折パターンを示す。また、図9、10には、それぞれ窒素の吸脱着等温線、およびその吸着等温線よりBJH法で解析した細孔分布を示す。なお、本最終材料のBET比表面積は301.3 m2/g、BJH細孔容積は0.2798 mL/gであった。
【0044】
実施例4
実施例1と同様な方法を用い、オルトケイ酸テトラメチル3.0g、プレポリマー状態のビスフェノールA型エポキシ樹脂1.2g、シス−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物7.1gをポリテトラフルオロエチレン内筒型ステンレス耐圧容器に入れ、密封し、170℃で加熱した。加熱開始から48時間後に反応容器を空気中で冷却した後、ジル
コニウムアセチルアセトン錯体0.19gを加え、反応容器内でよく攪拌した後、密封し170℃で加熱し、120時間反応させた。
【0045】
反応終了後、耐圧容器を室温で冷却し、生成物をアセトンでよく洗浄した後、80℃で乾燥させ、ケイ素酸化物−ジルコニウム酸化物−エポキシ樹脂複合体を2.6g得た。
このケイ素酸化物−ジルコニウム酸化物−エポキシ樹脂複合体1.0gに対し、水酸化テトラプロピルアンモニウム水溶液(1mol/L)2.5gをポリテトラフルオロエチレン
内筒型ステンレス耐圧容器内で混合し、密封し、170℃24時間加熱し、耐圧容器を室温で冷却した。その後、遠心分離によって沈殿させ、沈殿物を60℃の恒温槽に一晩入れることで充分に水分を乾燥させ、550℃で4時間焼成処理し、メソ細孔を含有するケイ素酸化物−ジルコニウム酸化物からなるゼオライトを0.4g得た。図11には、最終的に得られた材料の粉末X線回折パターンを示す。また、図12、13には、それぞれ窒素の吸脱着等温線、およびその吸着等温線よりBJH法で解析した細孔分布を示す。なお、本最終材料のBET比表面積は363.6 m2/g、BJH細孔容積は0.6587 mL/gであった。
【産業上の利用可能性】
【0046】
結晶性ケイ素含有酸化物や類似の結晶性複合酸化物材料は、分離材料、吸着材料、固体触媒等に幅広く用いられている。特に固体触媒として用いる場合は、その形態によりそれ自体が酸触媒、塩基触媒、酸化触媒となり、また金属触媒の担体等としても用いることができる。この際に、反応原料が固体材料内へ素早く進入し、反応生成物が即座に固体材料より脱離することができれば、種々の触媒反応の速度が著しく向上し、また反応原料や生成物の細孔内での滞留を抑制することで触媒活性の劣化も防ぐことが期待される。また、迅速な分離・吸着材料としての応用も期待できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程1、工程2、工程3を含む、ミクロ細孔とメソ細孔及び/又はマクロ細孔を有する結晶性ケイ素含有酸化物の製造方法:
工程1:エポキシ樹脂、ケイ素アルコキシド及び酸無水物を含有する混合物を反応させてケイ素含有酸化物−エポキシ樹脂複合体を形成する工程、
工程2:得られた複合体をアルカリ性条件下で水熱処理してケイ素含有酸化物を結晶化させる工程、
工程3:工程2で得られた結晶性ケイ素含有酸化物−エポキシ樹脂複合体から有機成分を除去する工程。
【請求項2】
エポキシ樹脂がビスフェノール型エポキシ樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
ケイ素アルコキシドがテトラメトキシシラン及びテトラエトキシシランからなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項4】
工程2において、ミクロ細孔の構造規定剤となる水溶性有機化合物を共存させることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
【請求項5】
水溶性有機化合物が、アンモニウム化合物であることを特徴とする、請求項4に記載の製造方法。
【請求項6】
工程3において、有機成分を除去する工程が焼成であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
【請求項7】
酸無水物が多価カルボン酸無水物であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法。
【請求項8】
結晶性ケイ素含有酸化物がシリカライトであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法。
【請求項9】
結晶性ケイ素含有酸化物が、メタロシリケートであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法。
【請求項1】
以下の工程1、工程2、工程3を含む、ミクロ細孔とメソ細孔及び/又はマクロ細孔を有する結晶性ケイ素含有酸化物の製造方法:
工程1:エポキシ樹脂、ケイ素アルコキシド及び酸無水物を含有する混合物を反応させてケイ素含有酸化物−エポキシ樹脂複合体を形成する工程、
工程2:得られた複合体をアルカリ性条件下で水熱処理してケイ素含有酸化物を結晶化させる工程、
工程3:工程2で得られた結晶性ケイ素含有酸化物−エポキシ樹脂複合体から有機成分を除去する工程。
【請求項2】
エポキシ樹脂がビスフェノール型エポキシ樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
ケイ素アルコキシドがテトラメトキシシラン及びテトラエトキシシランからなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項4】
工程2において、ミクロ細孔の構造規定剤となる水溶性有機化合物を共存させることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
【請求項5】
水溶性有機化合物が、アンモニウム化合物であることを特徴とする、請求項4に記載の製造方法。
【請求項6】
工程3において、有機成分を除去する工程が焼成であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
【請求項7】
酸無水物が多価カルボン酸無水物であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法。
【請求項8】
結晶性ケイ素含有酸化物がシリカライトであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法。
【請求項9】
結晶性ケイ素含有酸化物が、メタロシリケートであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−184281(P2011−184281A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−54766(P2010−54766)
【出願日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【Fターム(参考)】
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