説明

ミシン用ボビンにおける糸解れ防止用の保持具

【課題】ボビンに巻着されている糸の解れを未然に防止することで、ボビンの取り扱いを極めて容易にする、ミシン用ボビンにおける糸解れ防止用の保持具を提供する。
【解決手段】筒状の軸部11と、軸部11の両端に付設した円形状のフランジ部12とを有して成るミシン用ボビンPにおける糸解れ防止用の保持具1であって、当該保持具1は、ミシン用ボビンPのフランジ部12の外周縁に装着可能となるよう、内周にスリット部2を有する略C環状のパイプ部材により形成され、その一端には、軸部11に巻かれている糸の繰出し端部を保持するための保持先端部3を備えている。また、保持先端部3は、パイプ部材の一端側を閉塞した状態で、軸部11に沿う方向に一部を突出させた突起部4と、突起部4の先端に形成した、糸繰出し端部挟着用の割溝部5とから成る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミシンによる縫合において下糸を繰り出すために使用される、ミシン用ボビンにおける糸解れ防止用の保持具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来において、ミシンを使用する際は、下糸が巻着されているボビンをボビンケースに入れ、このボビンケースをミシンの縫着部下側に装着して縫合作業を行っていた。
【0003】
そして、ミシンを使用しないときや、下糸の種類を変えるときには、ミシンの縫着部下側からボビンケースを取り出し、このボビンケースからボビンを抜き取ってから、所定のケース内にボビンを収納して保管するのが一般的であった。
【特許文献1】特になし
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のように、ボビンをそのままの状態で所定のケースに収納して保管したり、或るいは、ケースからボビンを取り出してボビンケースに取り付ける等の際には、ボビンからの糸繰出し端部がフリーな状態になっているため、ボビンに巻着されている糸が簡単に解れてしまい、糸がからまる等して、ボビンの取り扱いが非常に面倒なものとなっていた。
【0005】
そこで、本発明は如上のような従来存した諸事情に鑑み創出されたもので、ボビンに巻着されている糸の解れを未然に防止することで、ボビンの取り扱いを極めて容易にする、ミシン用ボビンにおける糸解れ防止用の保持具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、筒状の軸部と、軸部の両端に付設した円形状のフランジ部とを有して成るミシン用ボビンにおける糸解れ防止用の保持具であって、当該保持具は、ミシン用ボビンのフランジ部の外周縁に装着可能となるよう、内周にスリット部を有する略C環状のパイプ部材により形成され、その一端には、軸部に巻かれている糸の繰出し端部を保持するための保持先端部を備えていることによって、上述した課題を解決した。
【0007】
また、保持先端部は、パイプ部材の一端側を閉塞した状態で、軸部に沿う方向に一部を突出させた突起部と、突起部の先端に形成した、糸繰出し端部挟着用の割溝部とから成ることで、同じく上述した課題を解決した。
【0008】
さらに、保持具のパイプ部材の周面には、糸の太さ番号や糸の色番等の識別番号を布置したことで、同じく上述した課題を解決した。
【0009】
以上のように構成された本発明に係るミシン用ボビンにおける糸解れ防止用の保持具においては、パイプ部材の内周に形成されたスリット部を介して、ミシン用ボビンのフランジ部の外周縁に、保持具を装着可能にしている。
【0010】
また、ミシン用ボビンのフランジ部の外周縁に保持具が装着された際には、保持先端部の突起部が、ミシン用ボビンの軸部に沿う方向に向けられ、突起部の先端に形成した割溝部に糸繰出し端部を挟着させることにより、糸の解れを阻止させている。
【0011】
さらに、糸の太さ番号や糸の色番等の識別番号を布置した保持具は、所定のケースに収納されているボビンに巻かれている糸の種類を、容易に判別させている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ボビンに巻着されている糸の解れを未然に防止でき、ミシンの使用時におけるボビンの取り扱いが極めて容易となる。
【0013】
すなわち、ボビンを収納しているケースからボビンを取り出したり、ボビンケースへボビンを取り付ける等に際し、本発明に係る保持具を予めボビンに装着しておくことで、ボビンに巻着されている糸の解れを未然に防止することができる。
【0014】
しかも、保持具は、パイプ部材の内周に形成されたスリット部を介して、ミシン用ボビンのフランジ部の外周縁に装着されるため、ミシン用ボビンのフランジ部に対する保持具の着脱が極めて容易である。
【0015】
また、ミシン用ボビンのフランジ部の外周縁に保持具が装着された際には、保持先端部の突起部がミシン用ボビンの軸部に沿う方向に向けられ、この突起部の先端に形成した割溝部に糸繰出し端部を挟着させることにより、糸の解れを確実に防止することができる。
【0016】
さらに、保持具のパイプ部材の周面に、糸の太さ番号や糸の色番等の識別番号を布置してあるので、所定のケースに収納されているボビンに巻かれている糸の種類を、容易に判別することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に、本発明を実施するための最良の形態を、図面を参照して説明する。
【0018】
本発明は、図1・図3に示すように、ミシンによる縫合において、下糸を繰り出すためのミシン用ボビンPに装着して使用される、ミシン用ボビンPにおける糸解れ防止用の保持具1である。
【0019】
このミシン用ボビンPは、図3・図4に示すように、筒状の軸部11と、軸部11の両端に付設した円形状のフランジ部12とを有して成る。そして、下糸が巻着されているミシン用ボビンPを、不図示のボビンケースに入れてから、ミシンの縫着部下側に装着して縫合作業を行うものである。
【0020】
また、ミシンを使用しないときや、下糸の種類を変えるときには、ミシンの縫着部下側からボビンケースを取り出し、このボビンケースからミシン用ボビンPを抜き取ってから、不図示のケース内に、ミシン用ボビンPを収納しておくものである。
【0021】
保持具1は、図1に示すように、帯電防止措置を施し且つ低摩擦係数を有する、例えば、合成樹脂製材または金属製材等を、略C環状に成形して成るパイプ部材により形成されている。また、パイプ部材の内周には、フランジ部12の外周縁に装着可能となるよう、スリット部2が形成されている。
【0022】
さらに、保持具1の一端には、図2に示すように、軸部11に巻かれている糸の繰出し端部を保持するための保持先端部3を設けている。この保持先端部3は、パイプ部材の一端側を閉塞した状態で、ミシン用ボビンPの軸部11に沿う方向に、一部を円弧突起状に突出させることで、突起部4が形成されている。この突起部4の先端には、軸部11に巻かれている糸における糸繰出し端部を挟着させるために、略V字形状の割溝部5が形成されている。
【0023】
尚、この保持先端部3の突起部4の他の形態としては、先端にアール部分を備えた略円錐状の角型が、左右に隣接配置されるように形成し、これによって、割溝部5が形成されるようにしても良い。
【0024】
さらに、図1・図3に示すように、保持具1のパイプ部材の周面には、糸の太さ番号や糸の色番等の識別番号6を布置してあり、ボビンに巻かれている糸の種類を、容易に判別することができるようにしてある。
【0025】
次に、以上のように構成された本発明の最良の形態について、使用・組立・動作の一例を説明する。
【0026】
まず、ミシンを使用しないときには、ミシンの縫着部下側からボビンケースを取り出し、このボビンケースからミシン用ボビンPを抜き取る。
【0027】
その後、図3に示すように、保持具1のパイプ部材の内周に形成されたスリット部2を、ミシン用ボビンPのフランジ部12の外周縁に嵌着させ、ミシン用ボビンPのフランジ部12に保持具1を装着する。このとき、図3・図4に示すように、保持具1の保持先端部3における突起部4が、ミシン用ボビンPの軸部11に沿う方向に向けられた状態となるように配置する。
【0028】
そして、図3・図4に示すように、突起部4の先端に形成した割溝部5に、糸繰出し端部を挟着させる。これによって、下糸が巻着されているミシン用ボビンPを、不図示のボビンケースから抜き取った後に、ミシン用ボビンPの軸部11に巻着されている糸が解れずに、しっかりと糸繰出し端部が保持されている状態となる。
【0029】
この状態において、不図示のケース内にミシン用ボビンPを収納しておく。このとき、糸の太さ番号や糸の色番等の識別番号6を布置した保持具1により、ミシン用ボビンPに巻かれている糸の種類が容易に区別される。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明は、ボビンに巻着されている糸の解れを未然に防止することで、ボビンの取り扱いを極めて容易にする、ミシン用ボビンにおける糸解れ防止用の保持具として、種々のミシン用ボビンに広く利用されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明を実施するための最良の形態における保持具の全体構成を示す斜視図である。
【図2】保持具の保持先端部の構成を示す拡大斜視図である。
【図3】ミシン用ボビンのフランジ部に保持具を装着している状態を示す斜視図である。
【図4】ミシン用ボビンのフランジ部に保持具を装着している状態を示す側面図である。
【符号の説明】
【0032】
P…ミシン用ボビン
1…保持具 2…スリット部
3…保持先端部 4…突起部
5…割溝部 6…識別番号
11…軸部 12…フランジ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の軸部と、軸部の両端に付設した円形状のフランジ部とを有して成るミシン用ボビンにおける糸解れ防止用の保持具であって、当該保持具は、ミシン用ボビンのフランジ部の外周縁に装着可能となるよう、内周にスリット部を有する略C環状のパイプ部材により形成され、その一端には、軸部に巻かれている糸の繰出し端部を保持するための保持先端部を備えていることを特徴とする、ミシン用ボビンにおける糸解れ防止用の保持具。
【請求項2】
保持先端部は、パイプ部材の一端側を閉塞した状態で、軸部に沿う方向に一部を突出させた突起部と、突起部の先端に形成した、糸繰出し端部挟着用の割溝部とから成る請求項1に記載の、ミシン用ボビンにおける糸解れ防止用の保持具。
【請求項3】
保持具のパイプ部材の周面には、糸の太さ番号や糸の色番等の識別番号を布置した請求項1または2に記載の、ミシン用ボビンにおける糸解れ防止用の保持具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−271502(P2006−271502A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−91770(P2005−91770)
【出願日】平成17年3月28日(2005.3.28)
【出願人】(500455331)
【Fターム(参考)】