説明

ミシン

【課題】ユーザによる送り歯の切替の忘れによる不具合を未然に抑えることができるミシンを提供する。
【解決手段】ミシンは、針板11をもつミシン本体1と、ミシン本体1に設けられた通常縫い時に、針板11の上面よりも上方に突出して布を送る送りモードに維持される送り歯35と、布を押さえる押さえ棒13を昇降させるためにユーザにより複数の操作位置に手動切替操作可能な押さえ上げレバー2とを有する。さらに、リンク機構5がミシン本体1において押さえ上げレバー2と送り歯35との間に設けられている。リンク機構5は、通常縫い操作位置以外の操作位置への押さえ上げレバー2の手動切替操作に伴い機械的に連動させて、送り歯35を針板11の上面よりも下方に沈下させる沈下モードに維持させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は縫い時に布等の被縫製物を送る送り歯をもつミシンに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、送り歯の操作位置を切り替えるドロップフィード操作機構および操作レバーが配置され、ユーザがその操作レバーを操作すると、送り歯が針板の上面よりも沈下させる沈下モードに切り替えるミシンが開示されている。特許文献2には、刺繍装置をミシンのベッド部に装着させた場合には、送り歯を針板よりも下方に沈下させるドロップフィード操作機構が配置されたミシンが開示されている。特許文献3には、電動アクチュエータ駆動のドロップフィード操作機構、昇降操作位置検出装置が付いた押さえ足操作レバーが配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−114254号公報
【特許文献2】特開2006−34561号公報
【特許文献3】特開2007−244721号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1,2によれば、通常状態では、送り歯は、布送りが可能となるように送り歯が針板よりも上方になり得るように送りモードに維持されている。そして、作業前の準備動作によっては、ユーザが操作レバーを操作して送り歯を針板よりも沈下させる沈下モードにさせることがある。この沈下モードでは、送り歯は針板の上面よりも上方に突出せず、布を送らなくすることができる。また刺繍の際には、布や刺繍枠を突き上げることが無くなる。しかしながら、ユーザは、ドロップフィード操作機構の操作レバーの操作を忘れるおそれがある。この場合、ユーザは、送り歯を針板よりも突出させる送りモードにさせたまま刺繍を行うおそれがある。この場合、送り歯が針板よりも上方に上昇するとき、押さえの上下動により、布の突き上げ作業が困難であり、送り歯が刺繍枠に当たる等して、刺繍を邪魔するおそれがある。また、特許文献3によれば、ユーザが通常体の準備動作を行うとき、電動アクチュエータによりドロップフィード操作機構を作動させることにしているため、ミシンの電源が投入されていないときには、送り歯を針操作位置よりも沈下させる沈下モードにさせることができない。
【0005】
本発明は上記した実情に鑑みてなされたものであり、電源が投入されていないときであっても、押さえ上げレバーと送り歯とを連動させ、ユーザによる送り歯のモードの切り替え忘れによる不具合を抑えることができるミシンを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
様相1の本発明に係るミシンは、(i)針板をもつミシン本体と、(ii)ミシン本体に設けられた通常縫い時に、針板の上面よりも上方に突出して布を送るための送りモードに維持される送り歯と、ミシン本体に設けられ、布を押さえる押さえ棒を昇降させるためにユーザにより複数の操作位置に手動切替操作可能な押さえ上げレバーと、(iii)ミシン本体において押さえ上げレバーと送り歯との間に設けられ、通常縫い操作位置以外の操作位置への押さえ上げレバーの手動切替操作に伴い機械的に連動させて送り歯を針板の上面よりも下方に沈下させる沈下モードに維持させるリンク機構とを具備する。
【0007】
押さえ上げレバーは、押さえ棒を昇降させるためにユーザにより複数の操作位置に手動切替操作可能である。通常の状態では、押さえ棒には布押さえが取り付けられる。作業前の準備動作として、通常縫い操作位置以外の操作位置へ押さえ上げレバーを切り替える。ユーザによる切り替えの操作に伴い、リンク機構は押さえ上げレバーに連動して送り歯を沈下モードに維持させる。沈下モードでは、送り歯は、針板の上面よりも下方に沈下されて退避され、針板の上面よりも上方には突出しない。このようにユーザによる押さえ上げレバーの操作に連動して送り歯が自動的に沈下モードとなるため、準備動作として、送り歯を沈下モードとさせることをユーザが忘れることを未然に防止できる。
【0008】
押さえ上げレバーを通常縫い操作位置に切り替えると、操作レバーに連動してリンク機構が作動し、送り歯を送りモードに切り替える。ここで、リンク機構は、少なくとも一つのリンクを有すれば良く、押さえ上げレバーの動作を送り歯に連動させるものである。
【0009】
様相2の本発明に係るミシンによれば、上記様相において、押さえ上げレバーは、通常縫い時に維持される第1操作位置と、上糸を緩める第2操作位置と、刺繍を行う第3操作位置とに切り替え可能であり、押さえ上げレバーは、第1操作位置または第2操作位置から第3操作位置に切り替わるとき、押さえ上げレバーの操作に伴いリンク機構を機械的に連動させて送り歯を針板の上面よりも下方に沈下させる。このように作業前の準備動作として、押さえ上げレバーが第1操作位置または第2操作位置から第3操作位置に切り替わるときに連動して送り歯が沈下モードとなる。このため、作業前の準備動作として、ユーザが送り歯を沈下モードとさせることを忘れることを未然に防止できる。
【0010】
様相3の本発明に係るミシンによれば、上記様相において、押さえ上げレバーは、通常縫い時に維持される第1操作位置と、上糸を緩める第2操作位置とに切り替え可能であり、押さえ上げレバーは、第1操作位置から第2操作位置に切り替わるとき、押さえ上げレバーの操作に伴いリンク機構を機械的に連動させて送り歯を針板の上面よりも下方に沈下させる沈下モードとさせる。このように作業前の準備動作として、押さえ上げレバーが第1操作位置から第2操作位置に切り替わるときに連動して送り歯が沈下モードとなるため、ユーザが送り歯を沈下モードとさせることを忘れることを未然に防止できる。
【0011】
様相4の本発明に係るミシンによれば、上記様相において、送り歯を針板の上面よりも上方に突出させる送りモードに付勢させる付勢力を発揮するリターンバネが設けられており、リンク機構はリターンバネの付勢力に抗して送り歯を沈下モードとさせる。押さえ上げレバーが第1操作位置に復帰すれば、リターンバネの付勢力で送り歯は沈下モードから送りモードに自動的に復帰し、針板の上面から上方に突出し、布等の被縫製物を送り可能とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、作業の準備動作として、ユーザが押さえ上げレバーを操作すれば、ユーザによる押さえ上げレバーの操作に機械的に連動して送り歯が自動的に沈下モードとなり、針板の上面よりも沈下する。このため、作業の準備動作において、送り歯を針板の上面よりも沈下させることをユーザが忘れることを防止できる。ミシンへ電源が投入されていないときであっても、ユーザが押さえ上げレバーを操作すれば、ユーザによる押さえ上げレバーの操作に機械的に連動して送り歯を自動的に沈下モードにできる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施形態1に係り、ミシン手前側の下方からミシンの内部構造を視認する斜視図である。
【図2】実施形態1に係り、ミシン枠に取り付けられるリンク機構等をミシンの裏側から視認する斜視図である。
【図3】実施形態1に係り、リンク機構をミシンの裏側から視認する正面図である。
【図4】実施形態1に係り、押さえ上げレバーの作動をミシンの裏側から示す正面図である。
【図5】実施形態2に係り、リンク機構をミシンの裏側から視認する正面図である。
【図6】実施形態3に係り、押さえ上げレバーの作動をミシンの裏側から示す正面図である。
【図7】実施形態4に係り、押さえ上げレバーの作動をミシンの裏側から示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
送り歯は、ミシン本体に設けられており、通常縫い時において針板の上面よりも上方に突出して布を送るための送りモードに維持される。押さえ上げレバーは、押さえ棒を昇降させるためにユーザにより複数の操作位置に手動切替操作可能なレバーである。リンク機構は、ミシン本体において押さえ上げレバーと送り歯との間に設けられており、押さえ上げレバーの動作を送り歯に連動させるものである。リンク機構は、通常縫い操作位置以外の操作位置への押さえ上げレバーの手動切替操作に伴い機械的に連動させ、送り歯を針板の上面よりも下方に沈下させる沈下モードに維持させる。リンク機構は複数の回動可能なリンクを有することが好ましい。リンク機構の構造は、押さえ上げレバーの動作を送り歯に連動させるものであれば、特に限定されない。
【0015】
(実施形態1)
図1〜図4は実施形態1の概念を示す。図1および図2はミシン本体1を示す。図3において、矢印X1,X2方向は左右方向を示し、矢印Y1,Y2方向は高さ方向を示す。図1,図2に示すように、ミシン本体1は、複数の脚19を有するミシン枠10と、針板11と、上糸張力調整装置12と、押さえ棒13と、押さえ棒13を昇降させるためにユーザが指先等で操作するための押さえ上げレバー2と、送り装置3と、上軸17と、下軸18とを有する。ミシン枠10は、枠部10a,10b,10c等をもつ。
【0016】
図2に示すように、送り装置3は針板11上の布を送るためのものであり、トップフィード操作用のスライダ30と、引張コイルバネで形成された付勢要素として機能するリターンバネ4と、上下送り接触指レバー34とを有する。スライダ30(可動子)が一方向(図示右方,矢印W1方向)に操作位置するとき、送り歯35は送りモードとなり、針板11の上面よりも上昇状態となり、針板11上に存在する布の送りを可能とさせるように送り装置3は設定されている。これに対して、スライダ30が他方向(図示左方,矢印W2方向)に操作位置するとき、スライダ30のテーパ部30cが上下送り接触指レバー34に接触し、上下送り接触指レバー34は図2の手前側にスライドし、上下送り接触指レバー34の接触部分が上下送りカムから外れ、送り歯35は、沈下モードとなり、針板11の上面よりも下方に沈下した状態となり、被縫製物である布の送りが発生しない。
【0017】
このため従来では、通常縫いを行なうときには、準備操作として、ユーザの手動にてスライダ30を一方向(矢印W1方向,送り歯35を針板11の上面よりも突出させる方向)に逐一スライドさせ、送り歯35を送りモードとさせていた。また従来では、フリーハンド刺繍等の刺繍を行うときには、準備動作として、ユーザは手動によりスライダ30を他方向(図示左方,矢印W2方向,送り歯35を沈下させる方向)に逐一スライドさせることにしていた。
【0018】
この点本実施形態によれば、送り歯35を送り操作位置に復帰させる方向(矢印W1方向)にスライダ30を付勢させるコイルバネで形成されたリターンバネ4が設けられている。図2に示すように、リターンバネ4の一端部はスライダ30の第1フック31に着座されており、リターンバネ4の他端部はミシン枠10c(図1に示す)の第2フック32に着座されている。リターンバネ4の付勢力により、スライダ30は常時、矢印W1方向(送り歯35を送りモードささせる方向)に付勢されており、従って、通常縫いの状態では、送り歯35は、針板11の上面から突出できる送りモードとされている。従って、矢印W1方向は、送り歯35を針板11の上面から突出させるための送りモードに送り歯35を切り替える方向を意味する。矢印W2方向は、送り歯35を針板11の上面よりも沈下させるための沈下モードに送り歯35を切り替える方向を意味する。
【0019】
図2に示すように、送り歯35はミシン本体1に設けられており、通常縫い時において、針板11の上面よりも上方に突出して布(被縫製物)を送るために作動する。押さえ上げレバー2は、被縫製物として機能する布を押さえる押さえ棒13(図1参照)を昇降させるためにユーザにより複数の操作位置に手動切替操作可能とされている。通常縫い時には、押さえ棒13(図1参照)の下端に布押さえが着脱可能に取り付けられる。押さえ上げレバー2は、水平方向に延びる軸線をもつ主回動軸70を介してミシン本体1のミシン枠10に矢印B方向に回動可能に枢支されており、主ピン20と、ユーザの指先等により回動操作される操作部22とを有する。図3に示すように、主回動軸70と主ピン20との距離よりも、主回動軸70と操作部22との距離は大きくされており、指先で回動操作される操作部22が発生させる作動モーメントを増加できる。
【0020】
リンク機構5はミシン本体1に設けられている。図2に示すように、リンク機構5は、押さえ上げレバー2と送り装置3の送り歯35との間に設けられている。図3に示すように、リンク機構5は、横方向に沿って延びる上側ロッド51と、上側仲介腕61と、縦方向に沿って延びる中間ロッド62、下側仲介腕63と、横方向に延びる下側ロッド64とを有する。上側ロッド51は横方向(矢印E2,E3方向)に沿って移動可能とされている。上側ロッド51のうち押さえ上げレバー2側の一端部51eは、縦方向にのびており、カム部52をもつ。カム部52は、上側のカム面53および下側の退避操作位置54をもつ異形状の主カム孔55を有する。カム部52の主カム孔55は、上側に向かうにつれて拡開する開口状とされている。上側ロッド51の他端部51fは、押さえ上げレバー2から離れるにつれて下方向に向かうように傾斜しており、遊び隙間を形成する長孔状のピン孔59をもつ。上側仲介腕61は、第1回動軸71を中心として縦方向(矢印E4,E5方向)に沿って回動可能にミシン本体1のミシン枠10に設けられており、上側ロッド51のピン孔59にスライド可能に遊嵌された第1ピン611をもつ腕部612と、第1係合溝613をもつ腕部614とを有する。第1係合溝613は上向きのV形状をし、遊び隙間を形成できるように上向きに拡開する第1傾斜面613aをもつ。図3に示すように、下側仲介腕63は、第2回動軸72を中心として縦方向(矢印E8,E9方向)に沿って回動可能にミシン本体1のミシン枠10に設けられており、第2ピン632をもつ腕部634と、下向きの第2係合溝635をもつ腕部636とをもち、L形状をなす。中間ロッド62は縦方向(高さ方向、矢印Y1,Y2方向)に沿って延びており、一端部62e(上端部)は上側仲介腕61の第1係合溝613に係合していると共に、他端部62f(下端部)は下側仲介腕63の第2係合溝635に係合しており、下側仲介腕63を吊持可能としている。第2係合溝635は下向きのV形状をし、遊び隙間を形成できるように下向きに拡開する第2傾斜面635aをもつ。下側ロッド64はこれの長さ方向(矢印E10,E11方向)に沿って横方向に移動可能とされている。下側ロッド64は上側ロッド51のびる方向に沿って配置されている。下側ロッド64の一端部64eは、下側仲介腕63の第2ピン632が遊嵌する横長のピン穴640を有する。下側ロッド64の他端部64fは、送り装置3のスライダ30に接続されて固定されている。下側ロッド64が矢印E10方向に移動すると、スライダ30は矢印W2方向(送り歯35を沈下させる方向)に移動する(図3参照)。なお、主回動軸70(主枢支部)、第1回動軸71(第1枢支部)、第2回動軸72(第2枢支部)は、それぞれ水平方向に沿った軸線をもち、ミシン本体1のミシン枠10に固定されている。主回動軸70、第1回動軸71、第2回動軸72は軸状に限定されず、要するに相手部材を旋回回動させ得るような枢支構造であれば良い。
【0021】
図4に示すように、押さえ上げレバー2は、通常縫い時に維持される第1操作位置P1(通常縫いモード)と、上糸が縫いつけられている布を移動させるために上糸を緩める第2操作位置P2と、フリーモーション刺繍(刺繍)を行う第3操作位置P3(刺繍モード)とにユーザ操作により切り替え可能とされている。フリーモーション刺繍とは、布を張設させた刺繍枠を持ったユーザがほぼ水平2次元方向に刺繍枠を手動で移動させつつ、布に刺繍を行う動作をいう。ここで、図4の状態(b)に示すように、押さえ上げレバー2の回動角度が第1操作位置P1から角度B1分上方に回動すると、押さえ上げレバー2は第1操作位置P1から第2操作位置P2となる。更に、押さえ上げレバー2の回動角度が第1操作位置P1から角度C1分上方に回動すると、押さえ上げレバー2は第1操作位置P1から第3操作位置P3となる。このように押さえ上げレバー2の回動操作が進行すると、押さえ上げレバー2は主回動軸70を中心として、第1操作位置P1(通常縫いモード)→第2操作位置P2→第3操作位置P3(刺繍モード)の順に回動する。なお、押さえ上げレバー2をユーザが第2操作位置P2、第3操作位置P3に回動させたとき、押さえ上げレバー2をユーザが指先等で支えずとも、図略のカムにより、押さえ上げレバー2は自重で降下しない。
【0022】
図4の状態(a)として示すように、第1操作位置P1では、押さえ上げレバー2はほぼ鉛直状態とされており、押さえ上げレバー2の主ピン20は、主カム孔55のカム面53ではなく、下端部の退避操作位置54に対面している。このため押さえ上げレバー2の主ピン20は上側ロッド51の主カム孔55の下端部に操作位置しており、主カム孔55のカム面53に非接触であり、カム面53には係合しない。このため押さえ上げレバー2の主ピン20は上側ロッド51の主カム孔55の上側のカム面53を持ち上げない。このような第1操作位置P1では、リターンバネ4の付勢力によりスライダ30は矢印W1方向(図3参照)に常時付勢されており、従って送り歯35は針板11の上面よりも上方に突出する送りモードとされ、針板11の上面上の布(被縫製物)を送り可能とされている。このような第1操作位置P1では、リターンバネ4の付勢力により上側ロッド51は矢印X2方向および矢印Y2方向の合成方向に引っ張られず、図4の(a)状態で停止される。この場合、押さえ上げレバー2の主ピン20には、これを移動させる引張力が作用しない。
【0023】
第2操作位置P2では、図4の状態(b)として示すように、押さえ上げレバー2はほぼ鉛直状態から傾斜状態に変移されており、押さえ上げレバー2の主ピン20は、主カム孔55の下端部の退避操作位置54からカム面53に接触する直前または軽く接触している。この場合、押さえ上げレバー2の主ピン20は上側ロッド51の主カム孔55の上側のカム面53に強く係合していない。このように押さえ上げレバー2が矢印B方向において角度B1分回動して第1操作位置P1から第2操作位置P2に移行するときには、主ピン20は主カム孔55内において移動するだけである。このため図4の状態(b)として示すように、押さえ上げレバー2の主ピン20は上側ロッド51の主カム孔55のカム面53を実質的に持ち上げない。この場合、リターンバネ4の付勢力によりスライダ30は矢印W1方向に付勢されており、従って送り歯35は針板11の上面よりも上方に突出する送りモードとされている。
【0024】
押さえ上げレバー2をユーザが更に上方に回動させると、図4の状態(c)として示すように、押さえ上げレバー2は第3操作位置P3となる。このような第3操作位置P3では、図4の状態(c)として示すように、押さえ上げレバー2は主回動軸70を中心としてほぼ横方向に沿って指向しており、押さえ上げレバー2の主ピン20は、主カム孔55のカム面53に作用し、上側ロッド51のカム部52を持ち上げる。即ち、カム部52は、上側ロッド51は矢印X1方向および矢印Y1方向の合成方向である矢印WA方向に移動される。この結果、上側ロッド51はほぼ矢印E2方向(矢印X1方向)に沿って移動し、上側仲介腕61は第1回動軸71を中心として矢印E4方向(送り歯35を沈下させる方向)に回動し、ひいては上側仲介腕61は中間ロッド62の一端部62eおよび他端部62fを中間ロッド62の全体と共に上方(矢印E6方向,送り歯35を沈下させる方向)に向けて持ち上げる。このように中間ロッド62の他端部62fが持ち上げられるため、下側仲介腕63は第2回動軸72を中心として矢印E9方向(送り歯35を沈下させる方向)に沿って回動する。ひいては、下側ロッド64は矢印E10方向(送り歯35沈下方向)に沿って引っ張られて移動し、下側ロッド64の他端部64fはリターンバネ4の付勢力に抗してスライダ30を矢印W2方向(送り歯35を沈下させる方向)に沿って移動させる。この結果、第3操作位置P3では、送り歯35はリターンバネ4の付勢力に抗して針板11の上面よりも下方に退避する沈下モードに維持される。押さえ上げレバー2が第1操作位置P1に維持されている限り、送り歯35はリターンバネ4の付勢力に抗して沈下モードに維持される。このような沈下モードでは、送り歯35は針板11の上面よりも上方に突出せず、下方に退避しているため、刺繍枠を針板11の上方で動作させたとしても、刺繍枠と送り歯35との干渉が防止される。
【0025】
なお、刺繍に限らず、厚肉の布、重ねた布等を縫製するときにも、ユーザは、押さえ上げレバー2を持ち上げ操作させて押さえ棒13の下端の布押さえ等が邪魔にならないように、第3操作位置P3、または、第3操作位置P3付近までに回動させることがある。この場合、ユーザが押さえ上げレバー2を第3操作位置P3に切り替えれば、前述したように、送り歯35を、これが針板11の上面よりも下方に退避して沈下する沈下モードにできるため、針板11上の厚肉の布や重ねた布と送り歯35とが干渉することが抑えられる。この場合、厚肉の布、重ねた布等を針板11上で移動させる通し性が確保される。なお、厚肉の布、重ねた布の縫いを開始する前には、ユーザが押さえ上げレバー2を通常縫いの操作位置である第1操作位置P1へ戻すため、ミシンの起動後、送り歯35は、後述する動きにより送りモードに自動的に復帰する。
【0026】
また通常縫いを行う場合には、ユーザは、押さえ上げレバー2を操作させて第2操作位置P2,第3操作位置P3から第1操作位置P1に切り替える。これによりリンク機構5が前述と逆方向に作動し、元操作位置に復帰する。この場合、リターンバネ4が矢印W1方向へ付勢させる付勢力により、下側ロッド64が矢印E11方向に移動すると共に、スライダ30が矢印W1方向に自動的に復帰し、送り歯35は沈下モードから送りモードに自動的に切り替えられる。よって通常縫いを良好に行うことができる。
【0027】
以上説明したように本実施形態によれば、ユーザによる押さえ上げレバー2の操作と、布送り用の送り歯35を針板11の上面よりも下方に沈下させる沈下モードとさせる操作とが、リンク機構5(機械的機構)により機械的に連動している。従って、刺繍を行うとき等において、準備動作として、ユーザが押さえ上げレバー2を第3操作位置P3に設定するか第3操作位置P3付近まで操作すれば、布送り用の送り歯35を送りモードから沈下モードに自動的に切り替えることができる。故に、準備操作として、ユーザは、送り歯35を送りモードから沈下モードに切り替える切替操作を忘れることが確実に抑えられる。よって、送り歯35の切替忘れに起因する刺繍枠と送り歯35との干渉が確実に抑えられる。
【0028】
更に本実施形態によれば、厚肉の布、重ねた布等を針板11の上面にセットさせるときには、ユーザが押さえ上げレバー2を第3操作位置P3に設定させれば、送り歯35を針板11の上面よりも下方に沈下させる沈下モードに自動的に設定できる。このため、押さえ棒13の下端部に取り付けてられている布押さえと送り歯35との間の隙間を拡大でき、厚肉の布、重ねた布等を針板11にセットさせる作業性を向上できる。
【0029】
更に本実施形態によれば、リンク機構5は押さえ上げレバー2と送り歯35とを機械的に連結されている機構であるため、ミシンの電源が投入されていないときであっても、リンク機構5は押さえ上げレバー2の操作に機械的に連動して作動でき、従って、送り歯35を送りモードから沈下モードに自動的に切り替えることができる。
【0030】
前述したように本実施形態によれば、通常縫い時には、ユーザは、押さえ上げレバー2を操作させて第1操作位置P1に設定するが、リターンバネ4の付勢力によりスライダ30が矢印W1方向に自動的に復帰するため、送り歯35も沈下モードから自動的に送りモードに切り替えられる。但し、リンク機構5の上側ロッド51、上側仲介腕61、中間ロッド62、下側仲介腕63、下側ロッド64の形状精度および組み付け精度を、これらの遊びがないように高めれば、上側ロッド51、上側仲介腕61、中間ロッド62、下側仲介腕63、下側ロッド64の機械的な連動性を高めることができる。この場合、ユーザが手動で押さえ上げレバー2を第3操作位置P3または第2操作位置P2から第1操作位置P1に復帰させたとき、リンク機構5の上側ロッド51、上側仲介腕61、中間ロッド62、下側仲介腕63、下側ロッド64の連動により、スライダ30を矢印W1方向に移動させ、送り歯35を送りモードに復帰させることができる。従って、スライダ30を矢印W1方向に復帰させるためのリターンバネ4を廃止させたり、簡素化させたりできる。なお、図1から理解できるように、上側ロッド51は上軸17にそってミシン本体1に配置されている。下側ロッド64は下軸19にそってミシン本体1に配置されている。
【0031】
(実施形態2)
図5は実施形態2を示す。本実施形態は実施形態1と基本的には同様の構成および同様の作用効果を有する。以下、相違する部分を中心として説明する。押さえ上げレバー2は、通常縫い時に維持される第1操作位置P1(通常縫いモード)と、上糸が縫いつけられている布を移動させるために上糸を緩める第2操作位置P2と、フリーモーション刺繍等の刺繍を行う第3操作位置P3(刺繍モード)とにユーザ操作により切り替え可能である。図5に示すように、下側仲介腕63はL形状をなしており、第2回動軸72を中心として矢印E80,E90方向に沿って回動可能にミシン本体1のミシン枠10に設けられており、第2ピン632をもつ腕部634と、下向きの第2係合溝635をもつ腕部636とをもつ。中間ロッド62は縦方向(高さ方向)に沿って延びており、一端部62e(上端部)は上側仲介腕61の第1係合溝613に遊嵌状態で係合していると共に、他端部62f(下端部)は下側仲介腕63の第2係合溝635に遊嵌状態で係合しており、下側仲介腕63を吊持可能としている。下側仲介腕63に連動して、下側ロッド64は、これの長さ方向(矢印E10,E11方向)に沿って横方向に沿って移動可能とされている。
【0032】
図5に示すように、コイルバネで形成されたリターンバネ4が設けられている。リターンバネ4の付勢力により、スライダ30は常時、矢印W10方向に付勢されており、従って、送り歯35は針板11の上面から突出できる送りモードとされている。従って、矢印W10方向は、送り歯35を針板11の上面から突出させる送りモードに送り歯35を切り替える方向を意味する。矢印W20方向は、送り歯35を送りモードから沈下モードに送り歯35を切り替える方向を意味する。
【0033】
本実施形態においても、送り歯35を沈下モードとさせるように、ユーザにより押さえ上げレバー2が第3操作位置P3に回動されると、実施形態1と同様に、中間ロッド62は矢印E6方向に持ち上げられるため、下側仲介腕63は第2回動軸72を中心として矢印E80方向に回動し、下側ロッド64を矢印E11方向に押し込む。これによりリターンバネ4の付勢力に抗してスライダ30は矢印W20方向に移動し、送り歯35は送りモードから針板11の上面から沈下して沈下モードとされる。このように第3操作位置P3において送り歯35が針板11よりも沈下すれば、刺繍時において刺繍枠と送り歯35との干渉が抑制される。更に、厚い布や重ねた布を針板11に沿って容易に通す通し性が良好に確保される。ユーザが手動で押さえ上げレバー2を第1操作位置P1に戻せば、リンク機構5が逆動するため、更にリターンバネ4の付勢力が作用するため、送り歯35を送りモード2に復帰できる。
【0034】
(実施形態3)
図6は実施形態3を示す。本実施形態は実施形態1および2と基本的には同様の構成および同様の作用効果を有する。図6に示すように、押さえ上げレバー2は、通常縫い時に維持される第1操作位置P1と、上糸を緩める第2操作位置P2と、フリーモーション刺繍等の刺繍を行う第3操作位置P3とにユーザ操作により切り替え可能である。押さえ上げレバー2には主ピン20が設けられており、主ピン20は主回動軸70と操作部22との間に設けられており、上側ロッド51の一端部51eの取付孔55Bに枢支されており、主ピン20は押さえ上げレバー2と共に縦方向に沿って回動可能とされている。
【0035】
ここで、押さえ上げレバー2の回動角度が第1操作位置P1から角度B1上方に回動すると、押さえ上げレバー2は主回動軸70を中心として回動して第1操作位置P1から第2操作位置P2となる。そして、押さえ上げレバー2の回動角度が第1操作位置P1から角度C1回動すると、押さえ上げレバー2は第2操作位置P2を経て第3操作位置P3となる。このように押さえ上げレバー2の回動操作が進行すると、押さえ上げレバー2は主回動軸70を中心として回動して、第1操作位置P1→第2操作位置P2→第3操作位置P3の順に変移する。
【0036】
図6の状態(a)として示すように、通常縫いを行う第1操作位置P1では、押さえ上げレバー2はほぼ鉛直状態とされている。この場合、上側ロッド51の一端部51eは持ち上げられず、且つ、送り歯35は、針板11の上面よりも上方に突出する送りモードとされ、針板11の上面上の布(被縫製物)を布送り方向に送り可能とされている。第2操作位置P2では、図6の状態(b)として示すように、押さえ上げレバー2は、ほぼ鉛直状態から傾斜状態に変移されている。このように押さえ上げレバー2が第1操作位置P1から第2操作位置P2に回動するとき、図6の状態(b)として示すように、押さえ上げレバー2の主ピン20は、主回動軸70を中心として回動半径R1で上向きに回動するため、主ピン20に連結されている上側ロッド51の一端部51eは持ち上げ始められる。すなわち、第2操作位置P2では、押さえ上げレバー2の上向きの回動操作に基づいて、押さえ上げレバー2は、矢印X1方向および矢印Y1方向の合成方向である矢印WA方向(斜め上方向)に、上側ロッド51を持ち上げ始める。この場合、図6の状態(b)に示すように、上側ロッド51の一端部51eは、矢印X1方向に向けて距離B2’分移動される。この場合、実施形態1と同様に、前記したリンク機構5の作動によりスライダ30を矢印W1方向(図2参照)に向けて移動させて送り歯沈下方向に移動させることができる。
【0037】
上記したように押さえ上げレバー2をユーザが更に上方に回動させると、図6の状態(c)として示すように、押さえ上げレバー2は第3操作位置P3となる。このような第3操作位置P3では、図6の状態(c)として示すように、押さえ上げレバー2はほぼ横方向に沿って指向しており、上側ロッド51の持ち上げを完了させる。このとき、上側ロッド51は距離C2’分矢印X1方向に移動する。すなわち、押さえ上げレバー2に連動して、上側ロッド51は、矢印X1方向および矢印Y1方向の合成方向である矢印WA方向に持ち上げられる。このような第3操作位置P3では、実施形態1と同様に、リンク機構5の作動により、送り歯35は、針板11の上面よりも下方に退避する沈下モードに維持される。この沈下モードでは、送り歯35は針板11の上面よりも上方に突出せず、下方に退避しているため、刺繍枠等を針板11の上方で動作させたとしても、刺繍枠と送り歯35との干渉が防止される。なお、刺繍に限らず、厚肉の布、重ねた布等を縫製するときにも、ユーザは、押さえ上げレバー2を持ち上げ操作させて押さえ棒13の下端の布押さえ等が邪魔にならないように、第3操作位置P3に回動させることがある。
【0038】
また本実施形態においても、通常縫いを行う場合には、ユーザは、押さえ上げレバー2を操作させて第1操作位置P1に設定するが、実施形態1と同様に、リターンバネ4の付勢力によりスライダ30が矢印W10方向(図5参照)に自動的に復帰するため、送り歯35も沈下モードから送りモードに自動的に切り替えられ、通常縫いを良好に行うことができる。
【0039】
以上説明したように本実施形態によれば、前述した実施形態と同様に、ユーザによる押さえ上げレバー2の操作と、布送り用の送り歯35を針板11の上面よりも下方に沈下させる沈下モードとさせる操作とが、リンク機構5により機械的に連動している。従って、刺繍を行うとき等のように、縫いの準備動作として、押さえ上げレバー2をユーザが第3操作位置P3に設定させれば、布送り用の送り歯35を送りモードから沈下モードに自動的に設定させることができる。故に、ユーザが送り歯35を送りモードから沈下モードに切り替える切替操作を忘れたことに起因する不具合が確実に抑えられる。よって、送り歯35の切替忘れに起因する刺繍枠と送り歯35との干渉が確実に抑えられる。
【0040】
(実施形態4)
図7は実施形態4を示す。本実施形態は実施形態1〜3と基本的には同様の構成および同様の作用効果を有する。図7に示すように、押さえ上げレバー2は、通常縫い時に維持される第1操作位置P1と、縫い途中において布を移動させるために上糸を緩める第2操作位置P2とに切り替え可能である。第1操作位置P1では、リターンバネ4の付勢力により、送り歯35は針板11の上面よりも上方に突出する送りモードとされ、針板11の上面上の布(被縫製物)を送り可能とされている。ここで、図7の状態(b)として示すように、押さえ上げレバー2の回動角度が第1操作位置P1から角度B1上方に回動すると、押さえ上げレバー2は第1操作位置P1から第2操作位置P2となる。第2操作位置P2では、図7の状態(b)として示すように、押さえ上げレバー2はほぼ鉛直状態から傾斜状態に変移されている。このように押さえ上げレバー2が第1操作位置P1から第2操作位置P2に移行するとき、図7の状態(b)として示すように、押さえ上げレバー2は上側ロッド51を斜め上方(矢印WA方向)に持ち上げる。すなわち、第2操作位置P2では、押さえ上げレバー2の回動操作に基づいて、上側ロッド51は、矢印X1方向および矢印Y1方向の合成方向である矢印WA方向に持ち上げられる。この場合、リターンバネ4の付勢力に抗して、スライダ30は、送り歯35を沈下させる方向に移動し、従って送り歯35は針板11の上面よりも沈下される沈下モードとされる。また本実施形態においても、通常縫いを行う場合には、ユーザは、押さえ上げレバー2を操作させて第1操作位置P1に設定するが、リターンバネ4の付勢力によりスライダ30が自動的に復帰するため、送り歯35も沈下モードから送りモードに自動的に切り替えられ、通常縫いを良好に行うことができる。
【0041】
以上説明したように本実施形態においても、ユーザによる押さえ上げレバー2の操作と、布送り用の送り歯35を針板11の上面よりも下方に沈下させる沈下モードとさせる操作とが、リンク機構5により機械的に連動している。従って、縫いの準備動作として、押さえ上げレバー2をユーザが第1操作位置P1から第2操作位置P2に設定させれば、布送り用の送り歯35を送りモードから沈下モードに自動的に設定させることができる。故に、ユーザは、送り歯35を送りモードから沈下モードに切り替える切替操作を忘れることが確実に抑えられる。よって、送り歯35の切替忘れに起因する刺繍枠と送り歯35との干渉が確実に抑えられる。送り歯35が沈下モードに切り替えられれば、針板11上の布を移動させるあたり、布と送り歯35との干渉が回避され、布の送り作業の改善に有利である。
【0042】
(その他)
上記した実施形態1では、リンク機構5は、横方向に沿って延びる上側ロッド51と、上側仲介腕61と、縦方向に沿って延びる中間ロッド62、下側仲介腕63と、横方向に延びる下側ロッド64とを有する。これに限らず、リンク機構の構造、ロッドの数および仲介腕の数は、上記に限定されるものではない。押さえ上げレバー2は第1操作位置P1では鉛直方向に沿っており、第3操作位置P3では水平方向に沿っているが、これに限定されるものではなく、第1操作位置P1、第2操作位置P2、第3操作位置P3において傾斜していても良い。リターンバネ4はコイルバネに限らず、板バネ、発泡体などでも良い。ミシンは刺繍モードを有するミシンでも良いし、刺繍モードを有しないミシンでも良い。本発明は上記し且つ図面に示した実施形態のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施できる。
【符号の説明】
【0043】
1はミシン本体、10はミシン枠、11は針板、2は押さえ上げレバー、20は主ピン、22は操作部、3は送り装置、30はスライダ、35は送り歯、4はリターンバネ、5はリンク機構、51は上側ロッド、52はカム部、53はカム面、54は退避操作位置、55は主カム孔、61は上側仲介腕、62は中間ロッド、63は下側仲介腕、64は下側ロッドを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
針板をもつミシン本体と、
前記ミシン本体に設けられた通常縫い時において前記針板の上面よりも上方に突出して布を送るための送りモードに維持される送り歯と、
前記ミシン本体に設けられ、布を押さえる押さえ棒を昇降させるためにユーザにより複数の操作位置に手動切替操作可能な押さえ上げレバーと、
前記ミシン本体において前記押さえ上げレバーと前記送り歯との間に設けられ、通常縫い操作位置以外の操作位置への前記押さえ上げレバーの手動切替操作に伴い機械的に連動させて前記送り歯を前記針板の上面よりも下方に沈下させる沈下モードに維持させるリンク機構とを具備するミシン。
【請求項2】
請求項1において、前記押さえ上げレバーは、前記通常縫い時に維持される第1操作位置と、上糸を緩める第2操作位置と、刺繍を行う第3操作位置とに切り替え可能であり、
前記押さえ上げレバーは、前記第1操作位置または前記第2操作位置から第3操作位置に切り替わるとき、前記押さえ上げレバーの操作に伴い前記リンク機構を機械的に連動させて前記送り歯を前記針板の上面よりも下方に沈下させる沈下モードとさせるミシン。
【請求項3】
請求項1において、前記押さえ上げレバーは、前記通常縫い時に維持される第1操作位置と、上糸を緩める第2操作位置とに切り替え可能であり、
前記押さえ上げレバーは、前記第1操作位置から前記第2操作位置に切り替わるとき、前記押さえ上げレバーの操作に伴い前記リンク機構を機械的に連動させて前記送り歯を前記針板の上面よりも下方に沈下させる沈下モードとさせるミシン。
【請求項4】
請求項1〜3のうちのいずれか一項において、前記送り歯を前記針板の上面よりも上方に突出させる送りモードに付勢させる付勢力を発揮するリターンバネが設けられており、前記押さえ上げレバーの操作に伴い前記リンク機構は前記リターンバネの付勢力に抗して前記送り歯を前記沈下モードとさせるミシン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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