説明

ミストサウナ装置

【課題】浴室をミストサウナ状態にするミストサウナ装置において、浴室の壁面付近の温度に関わらず浴室がミストサウナ状態となるまでの時間を短縮し、効率的にミスト運転を起動するミストサウナ装置を提供することを目的とする。
【解決手段】入力された信号により浴室の壁面の温度を推定する壁面温度推定手段12と、壁面温度推定手段12の推定した浴室の壁面温度によってミスト噴射手段5を動作させる浴室の温度の閾値を決定するミスト噴射閾値設定手段13を備えた構成にしたことにより、浴室の壁面付近の温度に応じてミスト噴射開始のタイミングを変えることによって、浴室がミストサウナ状態となるまでの時間を短縮し、効率的にミスト運転を起動するミストサウナ装置を得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室内を高温高湿なミストサウナ状態とするミストサウナ装置におけるミスト運転起動の制御に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のミストサウナ装置は、ミスト運転起動時、浴室温度が所定の温度以上となるまでは暖房運転のみを行い、浴室温度が所定の温度以上となったときにミスト噴射を開始するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
以下、そのミストサウナ装置について図9を参照しながら説明する。
【0004】
図9に示すように、浴室101の天井部102に設置されたミストサウナ装置本体103の内部に送風手段としての循環ファン104と、加熱手段105とを備え、浴室101内の空気をミストサウナ装置本体103内に吸い込み口106から取り込み、加熱手段105により暖められた空気が循環ファン104を介して吹き出し口107から吹き出される構成であり、また、ミストサウナ装置本体103の下部にはミストの噴射により浴室101内を加湿し、ミストサウナ状態とするためのミスト噴射手段108が備えられ、循環ファン104、加熱手段105、ミスト噴射手段108を組み合わせて駆動する制御手段109を備えている。ミスト運転の起動や終了は、運転操作手段110により操作可能である。
【0005】
ここで、ミスト運転起動時には、浴室温度が低い場合に冷たいミストが噴射されないように、浴室温度検知手段111により浴室温度を検知し、浴室温度が所定の温度に満たない場合はミスト噴射手段108によるミストの噴射は行わず、加熱手段105と循環ファン104を駆動させる暖房運転を行い、浴室温度が所定の温度以上となったときに、ミスト噴射手段108の駆動を開始するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4276597号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このような従来のミストサウナ装置においては、ミストサウナ運転起動時、ミストサウナ装置本体に取り付けたセンサによって浴室内の温度を検知し、ミスト噴射開始のタイミングを決定しているが、本体に取り付けたセンサの検知温度が同じ場合でも浴室の壁面や床付近の温度によって、ミスト噴射後の浴室温度の変化に違いが生じる。従来のミストサウナ装置では、浴室の壁面や床付近の温度を考慮してミスト噴射開始のタイミングを制御していないため、浴室内の温度条件によってはミストサウナ運転の起動が効率的でない場合があるという課題を有していた。
【0008】
そこで本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、ミスト運転起動時に、浴室の壁面付近の温度に応じてミスト噴射開始のタイミングを変えることにより、浴室がミストサウナ状態となるまでの時間を短縮するミストサウナ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そして、この目的を達成するために、本発明は、浴室内の空気を循環するための循環風路内に設けた循環ファンおよび加熱手段と、温水および冷水を浴室空間に噴射するミスト噴射手段と、浴室の温度を検知する浴室温度検知手段と、噴射する温水および冷水の温度を検知する水温検知手段と、前記浴室温度検知手段の検知した温度と前記水温検知手段の検知した温度によって前記循環ファンと前記加熱手段と前記ミスト噴射手段の動作を制御する制御手段とを備えたミストサウナ装置であって、前記制御手段は、入力された信号により浴室の壁面の温度を推定する壁面温度推定手段と、前記壁面温度推定手段の推定した浴室の壁面温度によって前記ミスト噴射手段を動作させる浴室の温度の閾値を決定するミスト噴射閾値設定手段を備え、運転起動時に、前記水温検知手段の検知温度が所定の値以上となり、かつ前記浴室温度検知手段の検知温度が前記閾値を超えたときに、前記ミスト噴射手段による噴射を開始させる構成としたものであり、これにより所期の目的を達成するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、循環ファンと加熱手段とミスト噴射手段の動作を制御する制御手段は、入力された信号により浴室の壁面の温度を推定する壁面温度推定手段と、前記壁面温度推定手段の推定した浴室の壁面温度によって前記ミスト噴射手段を動作させる浴室の温度の閾値を決定するミスト噴射閾値設定手段を備え、運転起動時に、前記水温検知手段の検知温度が所定の値以上となり、かつ前記浴室温度検知手段の検知温度が前記閾値を超えたときに、前記ミスト噴射手段による噴射を開始させる構成としたことにより、運転起動時に、浴室の壁面付近の温度に応じてミスト噴射開始のタイミングを変えることができ、浴室がミストサウナ状態となるまでの時間を短縮できるので、効率的にミスト運転を起動できるという効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態1のミストサウナ装置の構成を示す概略図
【図2】同実施の形態1の構成を示すブロック図
【図3】同実施の形態1におけるミスト噴射閾値の決定方法を示す図
【図4】本発明の実施の形態2のミストサウナ装置の構成を示すブロック図
【図5】同実施の形態2におけるミスト噴射閾値の決定方法を示す図
【図6】同実施の形態2における壁面温度の決定方法を示す図
【図7】本発明の実施の形態3のミストサウナ装置の構成を示すブロック図
【図8】同実施の形態3におけるミスト噴射閾値の決定方法を示す図
【図9】従来のミストサウナ装置の構成を示す概略図
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の請求項1記載のミストサウナ装置は、浴室内の空気を循環するための循環風路内に設けた循環ファンおよび加熱手段と、温水および冷水を浴室空間に噴射するミスト噴射手段と、浴室の温度を検知する浴室温度検知手段と、噴射する温水および冷水の温度を検知する水温検知手段と、前記浴室温度検知手段の検知した温度と前記水温検知手段の検知した温度によって前記循環ファンと前記加熱手段と前記ミスト噴射手段の動作を制御する制御手段とを備えたミストサウナ装置であって、前記制御手段は、入力された信号により浴室の壁面の温度を推定する壁面温度推定手段と、前記壁面温度推定手段の推定した浴室の壁面温度によって前記ミスト噴射手段を動作させる浴室の温度の閾値を決定するミスト噴射閾値設定手段を備え、運転起動時に、前記水温検知手段の検知温度が所定の値以上となり、かつ前記浴室温度検知手段の検知温度が前記閾値を超えたときに、前記ミスト噴射手段による噴射を開始させることを特徴とするものである。これにより、運転起動時に、ミスト噴射閾値設定手段は、壁面温度推定手段が推定した浴室の壁面の温度に応じて、ミスト噴霧手段を動作させる浴室の温度の閾値を決定し、制御手段は水温検知手段の検知温度が所定の値以上となり、かつ浴室温度検知手断の検知した浴室の温度が前記閾値を超えたときにミストを噴射することとなり、推定された浴室壁面の温度によってミスト噴射開始のタイミングを変えることができるので、浴室がミストサウナ状態となるまでの時間を短縮でき、効率的にミスト運転を起動できるという効果を奏する。
【0013】
また、請求項2記載のミストサウナ装置は、ミスト噴射閾値設定手段は、壁面温度推測手段で推測した温度が高ければ高いほど設定する閾値を下げ、低ければ低いほど設定する閾値を上げることを特徴とするものである。これにより、壁面付近の温度が低く、ミスト噴射後の浴室温度が上がりにくい場合には噴射を遅らせ、壁面付近の温度が高く、ミスト噴射後の浴室温度が上がりやすい場合には噴射を早めることができ、効率的にミスト運転を起動できるという効果を奏する。
【0014】
また、請求項3記載のミストサウナ装置は、ミストサウナ装置の運転や停止を操作する運転操作手段として浴室の壁面に浴室リモコンを設置し、前記浴室リモコンに備え、浴室の壁面の温度を検知する温度センサから壁面温度推定手段への信号を入力することを特徴とするものである。これにより、温度センサにより壁面付近の温度を検知し、壁面温度推定手段は壁面の温度をより正確に推定し、ミスト噴射閾値設定手段によって閾値を設定することができるため、効率的にミスト運転を起動できるという効果を奏する。
【0015】
また、請求項4記載のミストサウナ装置は、制御手段に季節を判別する季節判別手段を備え、壁面温度推定手段は前記季節判別手段から信号を受けて前記季節判別手段で判別した季節をもとに壁面の温度を推定することを特徴とするものである。これにより、壁面温度推定手段は、入力された季節判別手段の信号により壁面の温度を推定して、ミスト噴射閾値設定手段によって閾値を設定することとなるので、ミスト噴射開始のタイミングを季節によって決定することができ、効率的にミスト運転を起動できるという効果を奏する。
【0016】
また、請求項5記載のミストサウナ装置は、ミストサウナ装置本体に設置し、天井裏の温度を検知する周囲温センサを有し、前記周囲温センサの検知温度により季節を判別する季節判別手段を備えたことを特徴とするものである。これにより、季節判別手段は、ミストサウナ装置本体に設置した周囲温センサが検知した天井裏の温度から季節を判別することができ、壁面温度推定手段は、季節判別手段から入力された信号により壁面の温度を推定して、ミスト噴射閾値設定手段によって閾値を設定することとなるので、季節によってミスト噴射開始のタイミングを決定することができ、効率的にミスト運転を起動できるという効果を奏する。
【0017】
また、請求項6記載のミストサウナ装置は、運転操作手段として浴室の壁面に浴室リモコンを設置し、前記浴室リモコンに備えたカレンダーの日付情報によって季節を判別する季節判別手段を備えたことを特徴とするものである。これにより、カレンダーの日付を合わせておくことで、季節判別手段はカレンダーの日付情報によって季節の判別を行うこととなり、壁面温度推定手段は、季節判別手段から入力された信号により壁面の温度を推定して、ミスト噴射閾値設定手段によって閾値を設定することとなるので、季節によってミスト噴射開始のタイミングを決定することができ、効率的にミスト運転を起動できるという効果を奏する。
【0018】
また、請求項7記載のミストサウナ装置は、制御手段は前回ミスト運転終了時からの経過時間を測定する経過時間測定手段を備え、壁面温度推定手段は、経過時間測定手段から得た経過時間と季節判別手段による季節の判別結果を用いて壁面温度を推定することを特徴とするものである。これにより、壁面温度推測手段は、温度設定手段によりユーザが体感温度に応じて設定した温度をもとに壁面温度を推測し、ミスト噴射閾値設定手段によって閾値を設定することとなるので、ミスト噴射開始のタイミングを変えることができ、効率的にミスト運転を起動できるという効果を奏する。
【0019】
また、請求項8記載のミストサウナ装置は、ユーザが体感温度に応じて、運転操作手段として設けた浴室リモコンによって入浴時の温度を設定する温度設定手段を備え、設定した温度に応じて壁面温度を推測する壁面温度推測手段を備えたことを特徴とするものである。これにより、壁面温度推測手段は、温度設定手段によりユーザが体感温度に応じて設定した温度をもとに壁面温度を推測し、ミスト噴射閾値設定手段によって閾値を設定することとなるので、ミスト噴射開始のタイミングを変えることができ、効率的にミスト運転を起動できるという効果を奏する。
【0020】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0021】
(実施の形態1)
図1に示すように、浴室1の天井部に設置されたミストサウナ装置本体2は、浴室1の空気を循環する循環風路内に設けた循環ファン3と、この循環ファン3で循環する空気を暖める加熱手段4と、ミストを噴射して浴室空間を加湿するミスト噴射手段5を備えている。循環ファン3は、クロスフローファンやシロッコファンなどである。加熱手段4は、給湯装置などを介して温水の循環供給を受ける熱交換器を利用するもの、あるいは、PTCヒータなどのヒータで構成する。ミスト噴射手段5は水道や給湯装置などにより供給された冷水または温水を、噴射ノズルなどにより微細化して浴室内に噴射する構成のものである。ミスト噴射手段5の手前には、噴射する冷水または温水の温度を検知する水温検知手段6を設けている。ミストサウナ装置本体2の下面には、浴室1へ開口して浴室1の空気を吸いこむ吸い込み口7と、浴室1へ空気を吹き出す吹き出し口8を備えている。吸い込み口7付近には、浴室の温度を検知するサーミスタなどの浴室温度検知手段9が設けられ、また、ミストサウナ装置本体2には、これら循環ファン3、加熱手段4、ミスト噴射手段5を組み合わせて駆動する制御手段10を備えている。ミスト運転の起動や終了は、浴室リモコンなどの運転操作手段11により操作可能である。
【0022】
図2は、本発明実施の形態1におけるミストサウナ装置の構成を表すブロック図である。制御手段10は、入力された信号により浴室の壁面の温度を推定する壁面温度推定手段12と、壁面温度推定手段12の推定した浴室の壁面温度によってミスト噴射手段5を動作させる浴室の温度の閾値を決定するミスト噴射閾値設定手段13を備えている。運転操作手段11として浴室内の壁面に設けた浴室リモコンには、壁面の温度を検知する温度センサ14が設けられ、壁面温度推定手段12では、温度センサの検知内容を入力信号として壁面温度を推定する。運転起動時、制御手段10は水温検知手段6の検知温度が所定の値以上となり、かつ浴室温度検知手段9の検知温度が前記閾値を超えたときに、ミスト噴射手段5による噴射を開始させる。
【0023】
このようなミストサウナ装置において、ミスト噴射後の浴室の空気は湿度が非常に高くなり、浴室内の温度分布が一様になりやすい。そのため、浴室温度検知手段9の検知する温度が等しくても、壁面や床付近の空気の温度によって、その後の温度変化に違いが生じる。すなわち、浴室の壁面や床付近の温度が高い場合と低い場合では、低い場合の方が壁面付近の冷たい空気と混ざり合って浴室全体の温度が下がる傾向があり、ミスト噴射後の浴室内の温度は上がりにくくなる。従来のミストサウナ装置においては、運転起動時に浴室温度検知手段9によって検知した浴室温度がある閾値以上になったときに、ミスト噴射手段5による噴射を開始する構成となっており、この閾値は浴室の壁面の温度によらず一定であったため、浴室内が高温高湿のミストサウナ状態となるまでに時間がかかり、運転の起動が効率的でない場合があった。
【0024】
そこで、本実施の形態のように壁面温度推定手段12を設け、壁面温度推定手段12で推定した壁面温度に応じて、ミスト噴射閾値設定手段13によってミスト噴射を開始する浴室温度の閾値を変更することが有効である。
【0025】
このような構成とすることにより、壁面付近の温度に関わらずミストサウナ状態となるまでの時間を短縮でき、効率的に運転を起動できる。以下、その詳細な流れについて説明する。
【0026】
浴室リモコンなどの運転操作手段11によって運転開始の命令を受けたミストサウナ装置本体2は、まず加熱手段4を駆動する。加熱手段4の駆動を開始してから一定時間(例えば20秒)後に、循環ファン3を駆動する。このとき、循環ファン3のファン速は通常運転中のファン速よりも小さい値からスタートし、徐々に風量を上げるようにする。循環ファン3の駆動を開始後、浴室温度検知手段9は、一定時間(例えば20秒)ごとに浴室の温度を検知する。また、運転開始時に、浴室リモコンに設けた温度センサ14により、浴室の壁面温度を検知する。壁面温度推定手段12では、温度センサ14からの信号をもとに壁面の温度を推定する。ミスト噴射閾値設定手段13では、図3に示すように、壁面温度推定手段12で推定した壁面温度をもとに、壁面温度が高ければ高いほどミスト噴射を開始する浴室温度の閾値が下がり、低ければ低いほど閾値が上がるように、閾値を決定する。
【0027】
同時に、水温検知手段6によって噴射前の冷水または温水の温度を検知しておく。制御手段10では、水温検知手段6によって検知された水温が一定の温度(例えば温水ミストの場合は50度)以上となり、かつ浴室温度検知手段9によって検知された浴室温度がミスト噴射閾値設定手段13によって設定したミスト噴射の閾値以上の値となったときに、ミスト噴射手段5によって冷水または温水を微細化して浴室内に噴射することにより、ミスト運転を開始する。
【0028】
以上のように、推定した壁面温度によってミスト噴射の閾値を変えることにより、壁面の温度が低く、ミスト噴射後の浴室内の温度が上がりにくい場合にはミスト噴射のタイミングを遅らせ、壁面の温度が高く、ミスト噴射後の浴室内の温度が上がりやすい場合にはミスト噴射のタイミングを早めることができ、浴室の壁面温度に関わらず、効率的にミストサウナ装置を起動できる。
【0029】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2について図4を参照しながら説明する。なお、図4(a)、(b)において、図2と同様の構成要素については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。図4(a)、(b)に示すように、実施の形態2のミストサウナ装置の構成は、実施の形態1のミストサウナ装置の構成に対して、制御手段10内に季節判別手段15をさらに設け、壁面温度推定手段12への入力として、季節判別手段15からの信号を用いる構成となる。季節判別手段15では判別した季節を示す信号を壁面温度推定手段12へ入力することにより、壁面温度推定手段12では判別された季節をもとに浴室の壁面温度を推定する。このような構成によれば、壁面の温度を直接検知する必要がなく、季節を判別することによって季節ごとに壁面温度を推定してミスト噴射手段5を動作させる浴室の温度の閾値を決定することでミスト噴射開始のタイミングを変えることができ、効率的な運転の起動ができる。
【0030】
図4(a)は、季節判別手段15における季節の判別方法として、天井裏の温度を検知する周囲温センサ16を設け、周囲温センサ16によって検知した温度をもとに季節を判別するものである。図4(b)は、季節判別手段15における季節の判別方法として、運転操作手段11として設けた浴室リモコンに、カレンダー機能を搭載し、カレンダーの日付によって季節を判別するものである。
【0031】
図4(a)において、周囲温センサ16は、空調されない天井裏の温度を検知するものであるため、外気の温度に近い値が検知できる。例えば、周囲温センサ16の検知温度が10℃未満の場合を「冬季」、25℃以上の場合を「夏季」、10℃以上25℃未満の場合を「中間期」と判別するように決めておき、運転開始時に、季節判別手段15では、周囲温センサ16の値によって季節を判別する。また、壁面温度推定手段12では、季節判別手段15の判別結果に基づいて、壁面の温度を「冬季」、「中間期」、「夏季」、に対応する3段階で推定する。図5は、「冬季」、「中間期」、「夏季」に対応する壁面の温度をそれぞれWTw[℃]、WTs[℃]、WTm[℃]としたとき、実施の形態1で説明した図3をもとに、季節の判別結果に応じて壁面温度推定手段12で推定した壁面温度からミスト噴射閾値設定手段13によって閾値を設定する方法を示したものである。図5において、例えば、季節判別手段15によって「冬季」と判別された場合、ミスト噴射閾値設定手段13によって設定される閾値は、Tc[℃]となり、季節判別手段15によって「夏季」と判別された場合、ミスト噴射閾値設定手段13によって設定される閾値は、Ta[℃]となる。このように、壁面の温度が低い冬季では、ミスト噴射開始の閾値を上げ、壁面の温度が高い夏季では、ミスト噴射開始の閾値を下げることができる。
【0032】
図4(b)は、図4(a)と同様の流れで、季節判別手段15からの信号をもとに壁面温度推定手段12で壁面の温度を推定し、その値からミスト噴射閾値設定手段13でミスト噴射閾値を設定するものであるが、季節判別手段15への入力として、周囲温センサ16の代わりに、運転操作手段11である浴室リモコンに備えたカレンダーの日付情報17を用いる。このとき、季節判別手段15では、例えば、12月から2月を「冬季」、6月から8月を「夏季」、3月から5月または9月から11月を「中間期」と判別するように決めておき、運転開始時に、浴室リモコンよりその日の日付を示す日付情報17を取得し、得られた日付情報17をもとに季節を判別する。
【0033】
また、図4(a)、(b)において、制御手段10内に、前回ミスト運転終了時からの経過時間を測定する経過時間測定手段18を備え、前回ミスト運転終了からの時間が所定の時間以内に再度運転が開始された場合、壁面温度推定手段12では、経過時間測定手段18で測定した経過時間と季節判別手段15による季節の判別結果を用いて壁面温度を推定する。前回の運転終了から所定の時間が経過し、前回運転による壁面温度の上昇の影響が十分小さくなった場合、壁面温度推定手段12で推定する壁面温度は、季節判別手段15の判別した季節ごとに一意となる。図6は、「冬季」、「中間期」、「夏季」のそれぞれに対して、運転終了からの経過時間と壁面温度の関係を示す図である。例えば、運転開始時に、季節判別手段15の判別結果が「冬季」であり、経過時間測定手段18の計測結果が前回運転終了からt分後であった場合、壁面温度推定手段12において推定される壁面温度はα[℃]となる。
【0034】
以上のように、季節を判別し、判別した結果を用いてミスト噴射のタイミングを変更することによって、効率的に運転を起動できる。
【0035】
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3について図7を参照しながら説明する。なお、図7において、図2と同様の構成要素については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。図7に示すように、実施の形態3のミストサウナ装置の構成は、実施の形態1のミストサウナ装置の構成に対して、ユーザが体感温度に応じて入浴時の温度を設定する温度設定手段19を設け、壁面温度推定手段12へ信号を入力するものとして、温度センサ14に代えて温度設定手段19を用いる構成とする。温度設定手段19は、運転操作手段11として設けた浴室リモコンに備え、ユーザは体感温度に応じて入浴時の温度を設定する。このような構成によれば、壁面の温度を直接検知しなくとも、壁面の温度と相関のあるユーザの体感温度を用いることにより、体感温度に応じてミスト噴射開始のタイミングを変えることができるため、効率的な運転の起動ができる。
【0036】
図7の構成において、温度設定手段19によって設定する温度は、例えば、「温度1」から「温度5」まで5段階で設定できるようにし、設定した温度に応じて壁面温度推定手段12で壁面の温度を5段階で推定する。ユーザは、運転開始時にその日の体感温度を、最も寒い段階を「温度1」、最も暑い段階を「温度5」として5段階で評価し、温度設定手段19によって入力する。図8は、ユーザが温度設定手段19によって設定した「温度1」、「温度2」、「温度3」、「温度4」、「温度5」に対応する壁面の温度をそれぞれWT1[℃]、WT2[℃]、WT3[℃]、WT4[℃]、WT5[℃]としたとき、実施の形態1で説明した図3をもとに、温度設定手段19による設定温度に応じて壁面温度推定手段12で推定した壁面温度からミスト噴射閾値設定手段13によって閾値を設定する方法を示したものである。図8において、例えば、温度設定手段19による設定温度が「温度1」であった場合、ミスト噴射閾値設定手段13によって設定される閾値は、T1[℃]となる。このように、ユーザの体感温度が低く、壁面温度も低いと推定される場合にはミスト噴射開始の閾値を上げ、ユーザの体感温度が高く、壁面温度も高いと推定される場合にはミスト噴射開始の閾値を下げることができる。
【0037】
以上のように、ユーザが体感温度に応じて入力した設定温度を用いてミスト噴射のタイミングを変更することによって、効率的に運転を起動できる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明にかかるミストサウナ装置は、浴室の壁面温度を可能とするものであるので、電気式や温水式に関わらず、ミストサウナ装置全般に有用である。
【符号の説明】
【0039】
1 浴室
2 ミストサウナ装置本体
3 循環ファン
4 加熱手段
5 ミスト噴射手段
6 水温検知手段
7 吸い込み口
8 吹き出し口
9 浴室温度検知手段
10 制御手段
11 運転操作手段
12 壁面温度推定手段
13 ミスト噴射閾値設定手段
14 温度センサ
15 季節判別手段
16 周囲温センサ
17 日付情報
18 経過時間測定手段
19 温度設定手段
101 浴室
102 天井部
103 ミストサウナ装置本体
104 循環ファン
105 加熱手段
106 吸い込み口
107 吹き出し口
108 ミスト噴射手段
109 制御手段
110 運転操作手段
111 浴室温度検知手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴室内の空気を循環するための循環風路内に設けた循環ファンおよび加熱手段と、温水および冷水を浴室空間に噴射するミスト噴射手段と、浴室の温度を検知する浴室温度検知手段と、噴射する温水および冷水の温度を検知する水温検知手段と、前記浴室温度検知手段の検知した温度と前記水温検知手段の検知した温度によって前記循環ファンと前記加熱手段と前記ミスト噴射手段の動作を制御する制御手段とを備えたミストサウナ装置であって、前記制御手段は、入力された信号により浴室の壁面の温度を推定する壁面温度推定手段と、前記壁面温度推定手段の推定した浴室の壁面温度によって前記ミスト噴射手段を動作させる浴室の温度の閾値を決定するミスト噴射閾値設定手段を備え、運転起動時に、前記水温検知手段の検知温度が所定の値以上となり、かつ前記浴室温度検知手段の検知温度が前記閾値を超えたときに、前記ミスト噴射手段による噴射を開始させることを特徴とするミストサウナ装置。
【請求項2】
ミスト噴射閾値設定手段は、壁面温度推測手段で推測した温度が高ければ高いほど設定する閾値を下げ、低ければ低いほど設定する閾値を上げることを特徴とする請求項1記載のミストサウナ装置。
【請求項3】
ミストサウナ装置の運転や停止を操作する運転操作手段として浴室の壁面に浴室リモコンを設置し、前記浴室リモコンに備え、浴室の壁面の温度を検知する温度センサから壁面温度推定手段への信号を入力することを特徴とする請求項2記載のミストサウナ装置。
【請求項4】
制御手段に季節を判別する季節判別手段を備え、壁面温度推定手段は前記季節判別手段から信号を受けて前記季節判別手段で判別した季節をもとに壁面の温度を推定することを特徴とする請求項2記載のミストサウナ装置。
【請求項5】
ミストサウナ装置本体に設置し、天井裏の温度を検知する周囲温センサを有し、前記周囲温センサの検知温度により季節を判別する季節判別手段を備えたことを特徴とする請求項4記載のミストサウナ装置。
【請求項6】
運転操作手段として浴室の壁面に浴室リモコンを設置し、前記浴室リモコンに備えたカレンダーの日付情報によって季節を判別する季節判別手段を備えたことを特徴とする請求項4記載のミストサウナ装置。
【請求項7】
制御手段は前回ミスト運転終了時からの経過時間を測定する経過時間測定手段を備え、壁面温度推定手段は、経過時間測定手段から得た経過時間と季節判別手段による季節の判別結果を用いて壁面温度を推定することを特徴とする請求項5または6記載のミストサウナ装置。
【請求項8】
ユーザが体感温度に応じて、運転操作手段として設けた浴室リモコンによって入浴時の温度を設定する温度設定手段を備え、設定した温度に応じて壁面温度を推測する壁面温度推測手段を備えたことを特徴とする請求項2記載のミストサウナ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−220060(P2012−220060A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−84281(P2011−84281)
【出願日】平成23年4月6日(2011.4.6)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】