説明

ミスト噴霧装置

【課題】 本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、使用感を損なう事なく、小さな設置スペースで、広範囲にミストを噴霧させることができ、ランニングコストも悪化させる事のないミスト噴霧装置を提供することを目的とするものである。
【解決手段】本発明は、複数のノズルを備えたミスト装置において、前記ノズルが、噴霧されるミストの拡散角度を異ならせた2種以上のノズルであるミスト装置である。また、前記のミスト装置において、ノズルが垂直方向に配列され、上方に配置したノズルが、下方に配置したノズルよりも拡散角度の狭いミスト装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミスト噴霧装置に関する。
【背景技術】
【0002】
浴室内に設置されるミスト噴霧装置として、上向きのノズルとこれよりも粒径の大きなミストを下向きに噴射するミストノズルに温水を供給し、これらのミストノズルから浴室内及び床に向けて温水ミストを噴出させ、これにより浴室内と洗い場の床を加温し、又、ミストノズルの向きを自由に変更して効果的に暖房できるようにしたものが知られている(特許文献1)。
【0003】
さらに、複数のノズルを長尺扞状体にその軸芯方向に並ぶ列状に配置して装備し、浴室内の上下方向での均一なサウナ効果を得るようにしたものが開示されている(特許文献2)。
【特許文献1】特開平10−185223号公報
【特許文献2】特公平6−59301号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示すような従来技術では、下向きに噴射される粒径の大きなミストは、その拡散される範囲が狭くなってしまうことから、床面に向けて噴射されるミストを広い範囲に拡散させることが困難であり、このため床面を広い範囲に亘って加温することは困難なものであった。
【0005】
特許文献2に示すような従来技術では、多くのノズルを要することから、その分コストがかかる。また、長尺であることから設置スペースを要する。
【0006】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、使用感を損なう事なく、小さな設置スペースで、広範囲にミストを噴霧させることができ、ランニングコストも悪化させる事のないミスト噴霧装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1) 本発明は、複数のノズルを備えたミスト装置において、前記ノズルが噴霧されるミストの拡散角度を異ならせた2種以上のノズルであるミスト噴霧装置である。
(2) 項(1)において、ノズルが垂直方向に配列され、上方に配置したノズルが、下方に配置したノズルよりも拡散角度の狭いミスト噴霧装置である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、複数のノズルを備え、夫々のノズルのミスト拡散角度が異なるため、前方と左右方向の広範囲にミストを噴霧させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明に係るミスト噴霧装置は、熱源機から供給される温水をノズルからミスト状にして噴霧するものである。このミスト噴霧装置の一例としては、図1に示すように、ノズルヘッド1、ノズル1aおよびノズル1b、ノズルヘッド1を支持する支持体2、支持体2を浴室壁5などに固定させるための固定部3、温水配管4を備えたものがある。
【0010】
ノズルの数は複数であればよく、ノズルの数が多いほど広範囲に均一にミストを噴霧し易くなるが、ノズルを取り付けるノズルヘッド1が大きくなって設置スペースを要すること、ノズルのコストがかかること、使用する湯量が増加しランニングコストがかかることから、好ましくない。このため、省スペース、省コストでかつ十分に広範囲にミストを噴霧可能とするため、2〜4個とするのが好ましい。このようにノズル数を少なくすると、ノズルヘッドを小型化でき、設置スペースが小さくてもよいため、設置の際の制限が少なく、入浴や清掃時の邪魔になり難い。
【0011】
ノズルを取り付けるノズルヘッド1は、大きさや形状は問わないが、十分に広範囲にミストを噴霧できる最小限の数のノズルが取付可能な程度の長さとする。これにより、省スペースで設置場所の制限が小さく、入浴・清掃の際に邪魔にならないようにすることができる。また、噴霧方向を変えたり、メンテナンスする際に、片手で容易に握ることができる程度の太さとしたり、あるいは、手で容易に操作できる形状とすることが好ましい。
【0012】
ノズルヘッド1の支持体2への取り付けは、ノズルヘッド1が支持できれば特に限定するものではないが、本発明に係るミスト噴霧装置は浴室内の比較的高所に取り付けられることが多いことから、噴霧方向を変えたり、メンテナンスする際に下側から操作できるように、支持体2の下側に取り付けるのが好ましい。
さらに、上記のようにノズルヘッド1を支持体2の下側に取り付けて、長手方向を浴室床面に対して垂直方向とした場合、ノズルヘッド1が、上部の支持体2に対して水平方向に回転可能となるように、支持体2に取り付けてもよい。これによって、ノズルヘッド1に取り付けたノズル1a、ノズル1bからのミストの噴霧方向を水平方向について可変とすることができる。
【0013】
支持体2の浴室内への取り付け箇所と方向は、ミストが浴室内の広範囲に噴霧できれば、浴室内の天井、浴室壁の何れでもまたどの方向に取り付けてもよいが、図1に示す構成であれば、浴室壁5にノズルヘッド1の長手方向が浴室床面に対して垂直方向になるように取り付けるのが好ましい。これにより、ミストの噴霧方向が略水平となり、浴室内の広範囲に噴霧し易くすることができる。
【0014】
また、支持体2の浴室壁5への取り付け位置は、ミストが浴室内の広範囲に噴霧できれば特に限定するものではないが、ノズルヘッド1に取り付けた下側のノズル1bの中心の高さが、浴室床面から1800mm以上であることが好ましい。これにより、略水平方法に噴霧されたミストが浴室床面に落下するまでの距離を稼ぐことができ、ミストが浴室内の広範囲まで拡散し易くなる。
【0015】
ノズルヘッド1に取り付けるノズル1aとノズル1bの配置は、広範囲にミストを噴霧可能であれば、垂直方向、水平方向、斜め方向の何れでもよいが、垂直方向に配置するのが好ましい。これにより、複数のノズルから噴霧されるミストの水平方向の均一性を向上することができる。
【0016】
ノズル1a、ノズル1bともに、噴霧されるミストの粒径は100〜150μmが好ましく、この粒径の範囲であればノズル1a、ノズル1bとも噴霧されるミストの粒径は同じでも異なってもよい。これにより、入浴者がミスト使用感を損なわないようにすることができる。また、両ノズルの粒径は同じとするのが好ましい。これにより、ミスト使用者に粒径の違いによる違和感を感じさせないようにすることができる。
【0017】
ノズル1aとノズル1bから噴霧されるミストの拡散角度θは50°〜90°が好ましい。また、ノズル1aとノズル1bから噴霧されるミストの拡散角度θは、各ノズルが、噴霧されるミストの拡散角度を異ならせた2種以上のノズルとする。ミストの拡散角度θが狭いノズルは、ミストをより前方へ噴霧できるが、左右方向への噴霧は制限される。一方、ミストの拡散角度θが広いノズルは、ミストをより左右方向へ噴霧できるが、前方噴霧は制限される。ミストの拡散角度θが狭いノズルとミストの拡散角度θが広いノズルを組み合わせることによって、前方と左右方向の広範囲に噴霧することができる。
なお、ノズル1aのミスト拡散角度は、ノズル1bのミスト拡散角度よりも狭いほうが好ましい。拡散角度が広いほうのノズルが上方に設置されると、ミストはより前方には飛ばず落下して、下方に設置された狭いほうのノズルから噴霧されたより前方に飛ぼうとしているミストに干渉して、広範囲に噴霧出来づらくなるためである。このため、上方にミスト拡散角度の狭いノズルを、下方にミスト拡散角度の広いノズルを配置すると、夫々のノズルから噴霧されたミスト同士の干渉を避けることができ、さらに広範囲にミストを噴霧させることができる。
【0018】
ミスト拡散角度を変えるノズル構造の一例としては、図2に示すように、ノズル1aとノズル1bのノズル先端の穴までの絞込み角度を、それぞれθa/2、θb/2のように変えることにより実現できる。このように、ノズル先端形状を変えたものを使用することで、ノズル1aとノズル1bのミスト拡散角度を、異ならせることができる。
【実施例】
【0019】
以下、本発明の実施例について図面を用いて説明する。
図1は、本発明の実施例であるミスト噴霧装置の断面図である。本実施例では、ノズルヘッド1は、ノズル1aおよびノズル1bの2個のノズル、これらのノズルを取り付けた筒状のノズルヘッド1、ノズルヘッド1を水平方向に回転可能に支持する支持体2、支持体2を浴室壁5などに固定させるための固定部3、温水配管4を備えている。
筒状のノズルヘッド1の長さ7は81mmで、支持体2を含めても140mmであり、ノズルヘッド1の直径9はφ60mmとした。このノズルヘッド1は、浴室内の壁のどの位置でもシャワーや水栓等と干渉し難く、取付位置の選択は容易であった。また、入浴や清掃の際に邪魔になることはなかった。
噴霧装置に取り付けたノズル1aとノズル1bの配置は、筒状のノズルヘッド1の長さ方向に対して垂直とした。また、ノズル1aとノズル1bの中心間の距離6は、30mmとした。
ノズル1aからのミストの拡散角度θaは60°、ノズル1bからのミストの拡散角度θbは80°に設定した。
図1に示す例で、ミストが噴霧されるまでの温水の流れを説明する。熱源機(図示せず)から供給された温水(矢印で示す)は、温水配管4を通り、浴室壁5を貫通して、さらに固定部3およびノズルヘッド1の内部を通り、ノズル1a、ノズル1bから噴霧される。ミスト粒径は、100〜150μmで、ミスト噴霧量は両方のノズルの合計値で、約1リットル/分であった。この例では、浴室の大きさは1.25坪(1620サイズ)、ノズルヘッド1を浴室のカウンター側のほぼ中央、ノズル1bまでの高さを浴室床から1800mmのところに設置した。ノズルの向きは、浴室壁面に対し直角、浴室床面に対し平行に取り付けた(図示略)。ミストの噴霧状態は、浴室床面、浴槽底面の全面にまんべんなく噴霧されており、使用者がどの位置に座っても良好な使用感を得られることが確認できた。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施例であるミスト噴射装置の断面図である。
【図2】本発明に用いるノズル構造の一例である。
【符号の説明】
【0021】
1…ノズルヘッド、1a…ノズル、1b…ノズル、2…支持体、3…固定部、4…温水配管、5…浴室壁、θa…ノズル1aのミスト拡散角、θb…ノズル1bのミスト拡散角、6…ノズル中心間距離、7…ノズルヘッドの長さ、8…支持体の長さ、9…ノズルヘッドの直径、θa/2…ノズル1aの絞り込み角度、θb/2…ノズル1bの絞り込み角度





【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のノズルを備えたミスト装置において、前記ノズルが、噴霧されるミストの拡散角度を異ならせた2種以上のノズルであるミスト噴霧装置。
【請求項2】
請求項1において、ノズルが垂直方向に配列され、上方に配置したノズルが、下方に配置したノズルよりも拡散角度の狭いミスト噴霧装置。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−38184(P2007−38184A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−227906(P2005−227906)
【出願日】平成17年8月5日(2005.8.5)
【出願人】(301050924)株式会社日立ハウステック (234)
【Fターム(参考)】