説明

ミスト発生装置

【課題】装置の利便性を維持しつつ、装置の衛生状態を確保することができるミスト発生装置を提供する。
【解決手段】水を貯留可能な貯留タンクと、水をミスト化する沸騰室28を有する大径ミスト発生機構33と、貯留タンクから沸騰室28に向けて水を供給する給水経路30とを備え、給水経路30は、貯留タンク側から沸騰室28側に向けて上り勾配となる部分を有していない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体からミストを生成するミスト発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ミスト発生装置は、液体をヒータにて沸騰させて気化させたミストを人体の顔などに向けて放出することにより、肌に潤いを与えるなどの美容効果やスキンケアを目的とした装置として用いられている(例えば、特許文献1)。この特許文献1に記載のミスト発生装置では、貯水タンクから供給路を介して沸騰室に供給された水をヒータの熱によって沸騰させてミストを発生させるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−17293号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載のミスト発生装置では、貯水タンク側から供給路内への水の流入口が供給路内から沸騰室側への水の流出口よりも低い位置に配置されているため、貯水タンクと沸騰室とを接続する供給路内に水が滞留することがあった。そして、このように滞留した水が長期間に亘って放置されると、供給路内においてカビや雑菌が発生することにより、装置の衛生状態を悪化させる虞があった。そこで、特許文献1に記載のミスト発生装置では、装置の使用後には、供給路内に滞留した水を排水させるというメンテナンス動作を行う必要があったため、装置の利便性を低下させてしまうという問題があった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、装置の利便性を維持しつつ、装置の衛生状態を確保することができるミスト発生装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のミスト発生装置は、液体を貯留可能な貯留タンクと、前記液体をミスト化するミスト室を有するミスト発生部と、前記貯留タンクから前記ミスト室に向けて前記液体を供給する液体供給流路とを備え、前記液体供給流路は、前記貯留タンク側から前記ミスト室側に向けて上り勾配となる部分を有していないことを特徴とする。
【0007】
また、本発明のミスト発生装置において、前記ミスト発生部には、当該ミスト発生部が生成したミストを通過させるためのミスト経路が前記液体供給流路とは別に接続され、当該液体供給流路は前記ミスト経路よりも前記ミストを通過させるとした場合における圧力損失が大きいことを特徴とする。
【0008】
また、本発明のミスト発生装置において、前記液体供給流路は、その最小流路断面積部分の流路断面積が前記ミスト経路における最小流路断面積部分の流路断面積よりも小さいことを特徴とする。
【0009】
また、本発明のミスト発生装置において、前記液体供給流路は、前記液体が前記最小流路断面積部分を通過する際の表面張力よりも大きな液頭圧を前記液体に作用させるように、前記貯留タンク側から前記液体供給流路内への前記液体の流入口と当該液体供給流路の前記最小流路断面積部分との間に高低差を設けたことを特徴とする。
【0010】
また、本発明のミスト発生装置において、前記ミスト発生部は、前記ミスト室内の前記液体を加熱して沸騰させることによりミスト化する構成とされ、前記貯留タンクの下面には、当該貯留タンクの内部に貯留した前記液体を前記液体供給流路に供給する液体供給口が設けられると共に、当該液体供給口を囲繞するように環状凸部が前記貯留タンクの下面から下方に突出するように設けられることを特徴とする。
【0011】
また、本発明のミスト発生装置において、前記ミスト発生部は、前記ミスト室内の前記液体を加熱して沸騰させるミスト室加熱手段を備え、当該ミスト室加熱手段は、前記液体に対する加熱部の上下方向の中央寄りの部位に、当該加熱部の温度を計測する温度センサが配設されることを特徴とする。
【0012】
また、本発明のミスト発生装置は、前記ミスト発生部が生成したミストを通過させるためのミスト経路の途中位置から分岐して前記液体供給流路に接続される分岐流路を更に備えることを特徴とする。
【0013】
また、本発明のミスト発生装置は、前記分岐流路内を流動する前記液体を加熱する分岐流路加熱手段を更に備えることを特徴とする。
また、本発明のミスト発生装置は、前記液体供給流路の途中位置に設けられ、前記貯留タンク側から前記ミスト室側に向けて前記液体を加圧供給する加圧ポンプを更に備えることを特徴とする。
【0014】
また、本発明のミスト発生装置において、前記加圧ポンプは、前記貯留タンクの下方に配設されることを特徴とする。
また、本発明のミスト発生装置において、前記ミスト室には、当該ミスト室内にベンチュリ効果により流速を増加させた気体を導入する気体導入部が接続され、当該気体導入部の中途に対して前記液体供給流路における前記ミスト室側の端部は接続されていることを特徴とする。
【0015】
また、本発明のミスト発生装置は、前記液体を装置内から排出させる液体排出機構を更に備えることを特徴とする。
また、本発明のミスト発生装置において、前記液体排出機構は、前記液体供給流路における前記ミスト室側の端部に対して接続される排液流路を備えることを特徴とする。
【0016】
また、本発明のミスト発生装置において、前記液体排出機構は、前記液体を吸収可能な吸収材と、前記吸収材を、前記ミスト室に対して挿入させる挿入位置と前記ミスト室から退避させる退避位置との間で変位可能な変位機構とを備えることを特徴とする。
【0017】
また、本発明のミスト発生装置において、前記液体排出機構は、前記吸収材に対して気体を送風する送風機構を備えることを特徴とする。
また、本発明のミスト発生装置は、前記吸収材を加熱する吸収材加熱手段を更に備えることを特徴とする。
【0018】
また、本発明のミスト発生装置において、前記液体排出機構は、前記液体供給流路内に気流を生成させる気流生成手段を備えることを特徴とする。
また、本発明のミスト発生装置において、前記液体排出機構は、前記液体供給流路の内面を加熱する液体供給流路加熱手段を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、装置の利便性を維持しつつ、装置の衛生状態を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】美容器の正面図。
【図2】図1の2−2線矢視断面図。
【図3】図2の3−3線矢視断面図。
【図4】ヒータ及び温度センサの正面図。
【図5】図2の5−5線矢視断面図。
【図6】送風ファン及び空気誘導部の分解斜視図。
【図7】図2における要部拡大図。
【図8】第2の実施形態の美容器の正断面図。
【図9】第3の実施形態の美容器の横断面図。
【図10】第4の実施形態の美容器の正断面図。
【図11】第5の実施形態の美容器の正断面図。
【図12】第6の実施形態の美容器の正断面図。
【図13】第6の実施形態の美容器のメンテナンス状態での正断面図。
【図14】図12の14−14線矢視断面図。
【図15】第7の実施形態の美容器の正断面図。
【図16】第8の実施形態の美容器の正断面図。
【図17】別の実施形態の美容器の横断面図。
【図18】別の実施形態の美容器の正断面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(第1の実施形態)
以下、本発明を具体化した第1の実施形態を図1〜図7に従って説明する。なお、以下における本明細書中の説明において、「前後方向」、「左右方向」、「上下方向」をいう場合には、図中における矢印に示す方向を示すものとする。
【0022】
図1に示すように、本実施形態の美容器(ミスト発生装置)10は、脚部11の上部に固定された全体が略球状の筐体12を有している。筐体12の内部には、美容器10を構成する各種の機構部品が収容されると共に、その筐体12の前面には、正面視円形の凹部12aが形成されている。
【0023】
筐体12の凹部12a内において美容器10の使用者と対向することになる面部位には、マイクロサイズのミスト(以下、「大径ミスト」と示す)が放出される大径ミスト放出口13が設けられている。本実施形態において、大径ミストは、液体としての水を沸騰させて発生させた比較的高温(本実施形態では約40℃)の温ミストとされている。大径ミスト放出口13の周囲には、大径ミスト放出口13から放出される大径ミストの進行方向をガイドすると共に、使用者が誤って大径ミスト放出口13に触れないようにする略ラッパ状に形成されたカバー13aが設けられている。また、カバー13aの周辺には、カバー13aを筐体12に対して上下方向及び左右方向に回動可能な角度調整部材12bが、はめ込まれるように配設されている。これにより、大径ミスト放出口13は、角度調整部材12bが使用者により回動操作されることによって、大径ミストを放出させる方向を調整可能となっている。
【0024】
また、筐体12の凹部12a内において美容器10の使用者と対向することになる面部位のうちで大径ミスト放出口13の下方となる位置には、大径ミストよりも小さい帯電微粒子液体としてのナノサイズのミスト(以下、「小径ミスト」と示す)が放出される小径ミスト放出口14が設けられている。本実施形態において、小径ミストは、おおよそ1〜数十nmの大きさのミストとされているとともに、大径ミストよりも温度が低くなっている。
【0025】
また、筐体12の凹部12a内において小径ミスト放出口14の下方となる位置には、芳香(香り)を上方に向けて放出する芳香放出口15が形成されている。この芳香放出口15は、その芳香放出口15から放出される芳香(香り)が、小径ミスト放出口14から放出される小径ミストと交わるように、大径ミスト放出口13及び小径ミスト放出口14よりも前方(使用者側)に形成されている。なお、本実施形態において、芳香は、所定の芳香剤の揮発させることで発生するようになっている。
【0026】
筐体12の頂上部には、使用者が美容器10を動作させる際に操作する押しボタン式の電源スイッチ16が配設されている。電源スイッチ16は、美容器10のオンオフ操作を行うものである。また、図2に示すように、電源スイッチ16の後方には、規定量(約60ml)の水を貯留する貯留タンク17が筐体12の内部に収容された状態で配置されている。具体的に説明すると、貯留タンク17は、筐体12の上方に開口するように配設されたタンクホルダ18に対し、上下(垂直)方向に挿入及び取出し可能に収納されている。また、筐体12の左右両側面には、美容器10を持ち運びするための取手19が取着されている。
【0027】
次に、貯留タンク17から供給される水を加熱して大径ミストを発生させる機構について説明する。
図2に示すように、本実施形態の貯留タンク17は、内部に水を貯留可能な下向きに開口するタンク本体20と、当該タンク本体20の下端開口を閉塞する蓋となるキャップ21とから構成されている。キャップ21は、その全体が有底略円筒状をなすと共に、円盤状をなす底部21aの略中央となる部位に液体供給口としての開口部22が開口形成されている。開口部22の周囲には、この開口部22を全周に亘って連続的に囲繞するように、円環状をなす環状凸部としての給水リブ23が突出形成されている。なお、この給水リブ23の外径寸法は、底部21a(キャップ21)の外径寸法よりも小さくなるように設定されている。
【0028】
また、貯留タンク17が着脱されるタンクホルダ18の下端部には、連結部材24の一端が接続されている。連結部材24は、タンクホルダ18に対する接続部の鉛直下方に位置する部位が側面視で略直角に屈曲すると共に、当該屈曲した部位から前方に向けて略水平に延びる筒状をなすように形成されている。そして、連結部材24の他端には、中空状をなす給水パイプ25がはめ込むようにして接続されている。
【0029】
給水パイプ25は、耐熱性を備えた弾性材料(例えば、シリコンゴムやフッ素ゴム)によって構成されている。そして、給水パイプ25は、連結部材24に対する接続部を基端として前方に向けて略水平に延びると共に、当該接続部の近傍となる部位から左方(図2では奥手方向)に向けて略直角に屈曲した筒状をなすように形成されている。また、図3に示すように、給水パイプ25の先端は、上下方向に延びる有底略円筒状に形成された貯留部26の下端部に接続されている。
【0030】
なお、給水パイプ25は、貯留タンク17に接続される側の端部の方が、貯留部26に接続される側の端部よりも僅かに高い位置となるように配置されている。すなわち、給水パイプ25は、貯留タンク17側から貯留部26側に向けて僅かに下り勾配となるように配置されている。換言すると、給水パイプ25には貯留タンク17側(上流側)から貯留部26側(下流側)に向けて上り勾配となる部分が設けられていない。そのため、貯留タンク17から連結部材24を介して給水パイプ25内に流入される水は、給水パイプ25内を重力に従って下方に流下した後、貯留部26に向けて流出されるようになっている。
【0031】
また、筐体12内において貯留部26の側方となる位置には、貯留タンク17から供給された水をヒータ27で加熱して沸騰させるためのミスト室としての沸騰室28が設けられている。そして、この沸騰室28の下端部に対して円筒状の連通部29の先端が接続されると共に、その基端が貯留部26の底部に接続されることにより、貯留部26と沸騰室28とが連通されている。すなわち、本実施形態では、連結部材24、給水パイプ25、及び連通部29は、貯留タンク17から沸騰室28に向けて水を供給する液体供給流路としての給水経路30をなしている。そして、給水パイプ25を介して貯留部26に供給された比較的低温の水は、貯留部26内に貯留されている水と混合された後、連通部29を介して沸騰室28に供給されるようになっている。なお、連通部29は、当該連通部29の延設方向の全域に亘って流路断面積が一定となるように構成されている。また、連通部29は、給水経路30において流路断面積が最小となる最小流路断面積部分となっている。
【0032】
沸騰室28は、その内部空間が上下方向を長手方向とすると共に前後方向を短手方向とし且つ左右方向を厚さ方向とする薄い略直方体形状をなし、その上下方向に沿う左側の内壁面は沸騰室28の左側に上下方向に沿って立設されたミスト室加熱手段としての薄い平板状のヒータ27の右側面である加熱面27a(加熱部)で構成されている。ヒータ27は、例えば、PTC(Positive Temperature coefficient)素子からなる。そして、連通部29を介して沸騰室28に供給された水は、沸騰室28内でヒータ27により加熱されることにより大径ミスト化されるようになっている。また、ヒータ27には、温度センサ32が設けられている(図4に示す)。そして、本実施形態では、沸騰室28、ヒータ27、及び温度センサ32によって、供給される水を沸騰させて大径ミストを発生させるミスト発生部としての大径ミスト発生機構33が構成されている。
【0033】
なお、図4に示すように、温度センサ32は、温度の検出部位となる受熱部32aが略円環状をなすように構成されると共に、ヒータ27における加熱面27aとは反対側の左側面である裏面27bには、ボルト及びボルト孔(図示略)からなる複数(本実施形態では6つ)の固定部34が設けられている。そして、温度センサ32の受熱部32aは、ヒータ27における複数の固定部34のうち、上下方向の中央に位置する固定部34によってヒータ27に対して固定されている。そのため、温度センサ32は、ヒータ27の裏面27bにおける上下方向の略中央となる部位に対して受熱部32aを接触させるようになっている。
【0034】
また、図3に示すように、沸騰室28の上端部の側方には、筒状に形成された分岐流路としての還流水路35が右方に向けて略水平に延びるように分岐して形成されている。そして、還流水路35は、前述した貯留部26の上端部の側面に対して当該貯留部26内に連通するように接続されている。また、還流水路35の水路内底部における貯留部26側の端部には、平板状をなすリブ35aが上方に突出するように形成されている。そして、本実施形態では、貯留部26、沸騰室28が上下方向に沿うように平行に配置される一方で、連通部29及び還流水路35が左右方向に沿うように平行に配置されている。すなわち、本実施形態では、貯留部26、連通部29、沸騰室28、及び還流水路35によって、四角環状をなす管路が構成されている。
【0035】
図2及び図5に示すように、沸騰室28の上方には、当該沸騰室28にて発生された大径ミストを誘導する略円筒状のミスト誘導筒36の一端が接続されている。また、ミスト誘導筒36の他端には、大径ミストを前方に向けて誘導する吐出パイプ37の一端が接続されている。吐出パイプ37の他端には、蛇腹部材38の一端が接続されると共に、蛇腹部材38の他端は、角度調整部材12bの内面に密着するように固定されている。蛇腹部材38は、例えば、シリコンゴム等の軟質材料によって形成されている。なお、角度調整部材12bに形成された大径ミスト放出口13は、蛇腹部材38の内側に配置されるようになっている。そして、本実施形態では、ミスト誘導筒36、吐出パイプ37、及び蛇腹部材38によって、大径ミスト発生機構33にて発生した大径ミストを通過させるミスト経路39が構成されている。
【0036】
次に、発生させた大径ミスト、小径ミスト、及び芳香を各放出口13,14,15から放出させるための流動性のある空気を供給する機構について説明する。
図2及び図5に示すように、筐体12の内部における下方寄りの位置であって且つ当該筐体12における前後方向の略中央となる位置には遠心式の送風ファン40が配設されている。送風ファン40は、筐体12の底面に形成された図示しない吸気口から空気を吸入した後、吸入した空気を上方に向けて送出するようになっている。
【0037】
図6に示すように、送風ファン40を収容するファンケース41は、前側に位置するベース部材42に取り付けられた送風ファン40を後方側から覆うように、平面視で略U字状をなす蓋部材43をベース部材42に対して組み付けることにより枠体状をなすように構成されている。そして、ファンケース41において送風ファン40の空気の送出口44が開口される側の端部(図5,図6では上端部)には、送風ファン40から送出される空気を誘導する空気誘導パイプ45の一端が接続されている。空気誘導パイプ45は、略四角筒状をなすと共に、当該空気誘導パイプ45の内部は、送風ファン40の空気の送出口44に対して上下方向で対向する空間域が仕切り壁46によって前後に仕切られている。そして、本実施形態では、この仕切り壁46によって仕切られた前後2つの空間域のうち、後側に位置する相対的に広い開口の空間域が主空気流路47を構成する一方で、前側に位置する相対的に狭い開口の空間域が副空気流路48を構成している。
【0038】
また、ファンケース41には、ベース部材42において送風ファン40の空気の送出口44における右方寄りの端部に対して上下方向で対向する位置に、副空気流路48よりも狭い開口で給気口49aを構成した空気管路49が形成されている。この空気管路49は、送風ファン40の空気の送出口44から送出された空気を、給気口49aを通じて取り込んだ後、取り込んだ空気を前方に向けて誘導するようになっている。
【0039】
また、図2に示すように、ベース部材42の上端部には空気管路49の排気部49bが設けられると共に、当該排気部49bには送風パイプ50の一端が接続されている。送風パイプ50は、ベース部材42側から前方に向けて略水平に延出されると共に、その途中位置から前方斜め下方に向けて屈曲するように構成されている。そして、送風パイプ50は、空気管路49を通じて送出される空気を前方に誘導するようになっている。また、送風パイプ50において空気管路49の排気部49bが接続される側とは反対側の自由端側は、ホルダ機構51に対して接続されている。
【0040】
ホルダ機構51には、前方斜め上方に向かって延びる円筒状のホルダ部52が設けられている。ホルダ部52の内側には、芳香剤を貯留する受皿54が収容されている。この受皿54の上面には、芳香剤を貯留する凹部が上方に開口するように形成されている。なお、ホルダ部52における送風パイプ50に対する接続部には、送風口52aが受皿54の凹部の開口に対して斜め上方に対向するように形成されている。そして、送風パイプ50から送風口52aを通じてホルダ部52内に流入した空気は、受皿54の凹部の開口に向けて斜め上方から吹き付けられる。その結果、受皿54の上方に揮発して滞留した芳香剤は、芳香放出口15を通じて放出されるようになっている。
【0041】
また、空気誘導パイプ45においてファンケース41が接続される側とは反対側の自由端側は、ミスト経路39を構成する吐出パイプ37の内側に配設されている。そして、空気誘導パイプ45の主空気流路47は、大径ミストが通過されるミスト経路39の内側に配設されている。すなわち、ミスト経路39は、空気誘導パイプ45の主空気流路47を囲繞するように配置されている。そのため、大径ミストより低温の空気が通過される主空気流路47(空気誘導パイプ45)により、ミスト経路39内の大径ミストが冷却されるようになっている。また、主空気流路47とミスト経路39との温度差により、空気誘導パイプ45の外面(ミスト経路39側)に結露が発生することとなる。そして、空気誘導パイプ45の外面に結露した水は、ミスト経路39を通じて沸騰室28側に還流されるようになっている。
【0042】
なお、図2に示すように、空気誘導パイプ45の自由端側に開口する空気吐出口45aは、大径ミスト放出口13から円筒状に立設されたミストガイド12cの内側に臨むように配置されている。そして、ミストガイド12cの内面と空気誘導パイプ45の自由端側の外面との間には、微小な隙間からなる微小導入口S1(図7参照)が形成されている。また、空気誘導パイプ45において、ファンケース41に接続される側(一端側)の前方側面には取付孔55が形成されると共に、当該取付孔55には、小径ミストを発生させる小径ミスト発生部としての静電霧化機構56が挿入されている。
【0043】
図7に示すように、静電霧化機構56には、針状に形成された放電電極57が配設されると共に、当該放電電極57と対向する位置には、中央に空気が通過可能な通風孔58が設けられた略平板状の対向電極59が配設されている。そして、放電電極57と対向電極59との間には、高電圧が印加されるようになっている。また、放電電極57と対向電極59との間の空間域には、副空気流路48が連通している。また、空気誘導パイプ45側に配設された放電電極57には、ペルチェユニット(ペルチェ素子)60の冷却面が接触するように配置されている。そして、放電電極57は、ペルチェユニット60によって強制的に冷却されるようになっている。一方、ペルチェユニット60の冷却面と反対側の放熱面は、主空気流路47内に配置されている。また、ペルチェユニット60の放熱面には、金属(例えば、アルミニウムや銅)からなる放熱フィン61が取着されている。放熱フィン61は、主空気流路47の内部に露出するように配置されている。そのため、ペルチェユニット60の放熱面からの放熱は、主空気流路47を通過する空気によって放熱フィン61が空冷されることにより促進されるようになっている。
【0044】
そして、上記の静電霧化機構56では、放電電極57がペルチェユニット60によって冷却されることにより、放電電極57の表面に結露が生じる。そして、放電電極57と対向電極59との間に高電圧が印加されることによって、放電電極57の表面に結露した水にレイリー分裂を起こさせて静電霧化させることにより、小径ミストが発生されるようになっている。このように発生された小径ミストの大きさは、おおよそ1〜数十nmであり、人体の角質層表面の隙間から浸透することにより、人体の皮膚に潤いとハリを与えることが知られている。
【0045】
静電霧化機構56は、空気誘導パイプ45に取着されるホルダ機構62によって保持されている。ホルダ機構62には、前方(小径ミスト放出口14)に向かって延びる円筒状のホルダ部63が設けられている。ホルダ部63の内側には、静電霧化機構56で発生された小径ミストを小径ミスト放出口14に誘導する略円筒状の小径ミストパイプ64が配設されている。小径ミストパイプ64は、一端が静電霧化機構56に接続されると共に、他端が小径ミスト放出口14に接続されている。そのため、静電霧化機構56で発生された小径ミストは、副空気流路48を通過される空気と両電極57,59の間で混合されると共に、小径ミストパイプ64を通過して小径ミスト放出口14から放出されるようになっている。
【0046】
次に、本実施形態の美容器10の作用について、特に、貯留タンク17から沸騰室28に供給された水が大径ミストとして放出される際の作用に着目して以下説明する。
さて、貯留タンク17がタンクホルダ18に対して装着されると、タンク本体20の内部がキャップ21の開口部22を介してタンクホルダ18の内部に対して連通した状態となる。すると、タンクホルダ18の内部の空気がキャップ21の開口部22を通じてタンク本体20の内部に流入する。そして、タンク本体20の内部に流入した空気と同体積の水が、タンク本体20からキャップ21の開口部22を介してタンクホルダ18に対して流出する。また、タンクホルダ18に流出した水は、連結部材24及び給水パイプ25を通じて貯留部26に流入した後、貯留部26から連通部29を通じて沸騰室28に供給される。
【0047】
ここで、タンクホルダ18に流出した水の水面がキャップ21の底部21aに設けられた給水リブ23の下端部の高さまで到達したとする。すると、タンク本体20から流出した水は、キャップ21の開口部22を閉塞するように、水の表面張力に従って扁平な略円錐台形状をなした状態で給水リブ23の下端部によって保持される。その結果、タンク本体20の内部に新たに空気が流入しなくなるため、タンク本体20からの水の流出が停止する。
【0048】
また、沸騰室28側においては、沸騰室28に供給された水がヒータ27によって加熱及び沸騰されて大径ミストを発生すると、沸騰室28内における水の水面が次第に下降する。一方、貯留タンク17側においては、給水リブ23の下端部が水の表面張力によって水を保持した状態を維持する。すると、沸騰室28側の水の水面の方が、貯留タンク17側の水の水面よりも低くなるため、貯留タンク17側から沸騰室28側に向けて水頭圧が作用するようになる。そして、この水頭圧が水の表面張力よりも大きくなった時点で、貯留タンク17側の水の水面が給水リブ23の下端部から離間するように下降するようになる。その結果、キャップ21の開口部22が開放された状態となるため、タンク本体20の内部に新たに空気が流入することにより、タンク本体20からの水の流出が再開される。
【0049】
なお、タンク本体20から流出した水は、キャップ21の底部21aに設けられた給水リブ23の下端部によって再び保持される。この場合、貯留タンク17側における水位の釣り合い位置は、給水リブ23を設けない場合よりも下方に位置する。また、給水リブ23は、キャップ21の底部21aよりも小径となるように構成されている。そのため、給水リブ23内における水の水位が水の表面張力によって上昇し易くなるため、貯留タンク17側における水位の釣り合いがより迅速に確保される。そのため、貯留タンク17側における水位の釣り合いが確保されるまでの間にタンク本体20から流出される水の体積は、キャップ21の底部21aに給水リブ23を設けない場合と比較して少量となる。その結果、貯留タンク17から貯留部26に向けて供給される水の流量が減少する。したがって、温度が低下した水が貯留部26から連通部29を通じて沸騰室28に供給されることにより、沸騰室28内の水の温度が急激に低下することが抑制される。
【0050】
そして、沸騰室28にて発生された大径ミストは、ミスト経路39を通過して蛇腹部材38の内部まで誘導される。(図5において矢印M1に示す)。一方、送風ファン40から送出された空気は、主空気流路47内を通過させられると共に空気吐出口45aから吐出(噴出)される(図7において矢印A1に示す)。この場合、空気吐出口45aから吐出される空気の流れによってベンチュリ効果が発生することにより、空気吐出口45aの周囲に形成された微小導入口S1に負圧が生じる。そして、蛇腹部材38の内部(ミスト経路39)に誘導された大径ミストは、微小導入口S1に生じた負圧によって強制的に吸い出される(図7において矢印M2で示す)と共に、空気吐出口45aから吐出される空気と混合される。そして、空気と混合された大径ミストは、大径ミスト放出口13から筐体12(美容器10)の外部へ放出される。
【0051】
ところで、貯留タンク17から沸騰室28に向けての給水経路30を構成する連結部材24、給水パイプ25、及び連通部29は、貯留タンク17側から沸騰室28側に向けて上り勾配となる部分を有していない。そのため、貯留タンク17から流出された水は、連結部材24、給水パイプ25、及び連通部29を重力に従って沸騰室28側に向けて流動する。したがって、沸騰室28内の水が揮発して沸騰室28内の水がほぼ枯渇した状態において、連結部材24、給水パイプ25、及び連通部29の途中位置に水が残留することはほとんどない。
【0052】
なお、給水リブ23の下端部と連通部29との間には、貯留タンク17から流出した水が連通部29を通過する際に、水の表面張力よりも大きな水頭圧を水に作用させる高低差(30mm)が設定されている。そのため、貯留タンク17と連通部29との間の水頭差によって貯留タンク17側から沸騰室28側に加圧供給される水が、連通部29の途中位置に生じた気泡を沸騰室28側に押し出すようになっている。
【0053】
また、沸騰室28内の水が揮発して沸騰室28内の水の水面が連通部29の上部よりも降下すると、連通部29の内部には、沸騰室28にて発生した大径ミストを通過させ得る空間域が形成される。すると、沸騰室28にて発生した大径ミストが、連通部29を通じて貯留部26側に逆流すると共に当該貯留部26側から給水パイプ25及び連結部材24を通じて貯留タンク17側に逆流することがあり得る。
【0054】
この点、本実施形態では、連通部29が、給水経路30において流路断面積が最小となる最小流路断面積部分となっている。そして、連通部29の流路断面積は、ミスト誘導筒36において流路断面積が最小となる部位(最小流路断面積部分)よりも流路断面積が狭小となっている。そのため、沸騰室28にて発生した大径ミストは、連通部29を通過する際に受ける圧力損失の方が、ミスト誘導筒36を通過する際に受ける圧力損失よりも大きくなる。その結果、連通部29の内部に大径ミストを通過させ得る空間域が形成されたとしても、こうした大径ミストは、連通部29を通じて貯留部26側に逆流することはほとんどなくミスト誘導筒36を通じて吐出パイプ37に誘導される。また、連通部29の流路断面積が狭小となるように構成されることにより、貯留タンク17側から低温の水が供給されて温度が低い状態にある貯留部26内の水が連通部29を通じて沸騰室28に流入することが規制される。
【0055】
また、主空気流路47とミスト経路39との温度差によって空気誘導パイプ45の外面(ミスト経路39側)に結露した水は、吐出パイプ37の内面及びミスト誘導筒36の内面に沿うように垂下しつつ沸騰室28側に還流される。そして、沸騰室28側に還流される水は、沸騰室28の上端部の側方に連通する還流水路35に流入する。そのため、沸騰室28側に還流した水が沸騰室28の上方側の開口を閉塞することが回避される。
【0056】
なお、本実施形態では、還流水路35の底部における貯留部26側の端部にリブ35aが形成されている。そして、還流水路35の水路内底面に沿うように流動する水は、リブ35aの上面を乗り越えることで貯留部26内に流動した後、貯留部26内に貯留されている水と混合される。そのため、空気誘導パイプ45の外面に多量の水が結露することにより、ミスト経路39を通じて沸騰室28側に多量の水が還流したとしても、こうした多量の水が還流水路35を通じて貯留部26内の水に対して一度に混合されることはない。
【0057】
また、本実施形態では、貯留部26の上端部は還流水路35を介してミスト経路39に連通している。そのため、貯留タンク17から貯留部26に供給される水が気泡を含有した場合であっても、こうした気泡は貯留部26に貯留された水の水面から貯留部26の上端部に放出された後、還流水路35を通じてミスト経路39に排出される。
【0058】
したがって、本実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)貯留タンク17から給水経路30に水が流入すると、流入した水は給水経路30が上り勾配となる部分を有していないので重力に従って給水経路30内を沸騰室28に向けて流動する。そして、沸騰室28内の水が空の状態になると、貯留タンク17から沸騰室28に至る給水経路30の途中位置に水が残存することはほとんどない。したがって、使用者に対して給水経路30からの排水処理の手間をかけることを低減できる。すなわち、装置の利便性を維持しつつ、装置の衛生状態を維持することができる。
【0059】
(2)貯留タンク17から沸騰室28に至る給水経路30に水を残留させない場合であっても、沸騰室28にて生成された大径ミストには、ミスト経路39を流動する場合と比較して、給水経路30を流動する際に大きな圧力損失が作用する。そのため、こうした大径ミストが給水経路30を介して貯留タンク17側に逆流することを抑制できる。
【0060】
(3)給水経路30において流路断面積が最小となる連通部29は、ミスト経路39において流路断面積が最小となる部位よりも流路断面積が小さい。そのため、沸騰室28にて生成された大径ミストが、ミスト経路39を流動する場合よりも給水経路30を流動する際に大きな圧力損失を受ける構成を簡易に実現することができる。
【0061】
(4)貯留タンク17と連通部29との間の高低差に基づき、貯留タンク17から流出した水が連通部29を通過する際の表面張力よりも大きな水頭圧(液頭圧)を水(液体)に作用させるように、貯留タンク17から連通部29に向けて水が加圧供給される。そのため、連通部29の途中位置に気泡が残留することを抑制できる。
【0062】
(5)キャップ21の底部21aに給水リブ23が設けられていない場合に比して、貯留タンク17から沸騰室28に供給される水の流量を減少させることができるため、沸騰室28における水の温度が急激に低下することが抑制される。したがって、沸騰室28におけるミストの発生量の変動を抑制できると共に、沸騰室28において水の沸騰する音が断続的に生じることを抑制できる。
【0063】
(6)温度センサ32の受熱部32aがヒータ27の加熱面27aの高さ方向の上方寄りの部位に配設された場合、沸騰室28内の水の水面が下降すると、ヒータ27の加熱面27aは、温度センサ32の受熱部32aによって温度が計測される部位が水に対して非接触の状態となる。そのため、この部位では、ヒータ27の加熱面27aの温度の方が沸騰室28内の水の温度よりも高い状態となるため、温度センサ32が沸騰室28内における水の温度を正確に計測することが困難となる。一方、温度センサ32の受熱部32aがヒータ27の加熱面27aの高さ方向の下方寄りの部位に配設された場合、沸騰室28内の水は、温度センサ32の受熱部32aによって温度が計測される部位では、貯留タンク17から新たに水が供給された場合に水の温度が変化し易くなる。そのため、温度センサ32が沸騰室28内における水の温度を正確に計測することが困難となる。この点、本実施形態の温度センサ32の受熱部32aは、ヒータ27の加熱面27aの高さ方向の略中央となる部位に配設されている。そのため、本実施形態では、上記した双方の課題を解決することができる。したがって、沸騰室28内における水の温度を温度センサ32によって正確に計測することにより、沸騰室28におけるミストの発生量を精密に制御することができる。
【0064】
(7)沸騰室28にて生成された大径ミストがミスト経路39の途中位置で結露した場合であっても、結露した水は還流水路35を通じて給水経路30に還流される。そのため、結露した水が沸騰室28の上方側の開口を閉塞することが抑制される。そのため、結露した水によって沸騰室28が閉塞された状態で、沸騰室28から大径ミストが更に発生した場合のように、沸騰室28の内圧が高まって大径ミストが貯留タンク17側に逆流することを抑制できる。また、沸騰室28の内圧が高まることを回避することによって、大径ミストがミスト経路39を通じて大径ミスト放出口13から急激に噴出することを抑制できる。
【0065】
(8)還流水路35の水路内底部における貯留部26側の端部にリブ35aが形成されている。そのため、ミスト経路39を通じて沸騰室28側に多量の水が還流したとしても、こうした多量の水が還流水路35を通じて貯留部26内の水に対して一度に混合されることはない。その結果、貯留部26内における水の温度が急激に低下することを抑制できる。したがって、温度が低下した水が貯留部26から連通部29を通じて沸騰室28に供給されることにより、沸騰室28内の水の温度が急激に低下することを抑制できる。
【0066】
(9)貯留タンク17から連結部材24及び給水パイプ25を通じて貯留部26に供給される水が気泡を含有した場合であっても、こうした気泡は貯留部26に貯留された水の水面から貯留部26の上端部に放出された後、還流水路35を通じてミスト経路39に排出される。そのため、貯留タンク17から供給される水が気泡を含有したとしても、こうした気泡が連通部29に進入して滞留することを回避できる。したがって、貯留部26から沸騰室28への連通部29を通じた水の供給を阻害することを抑制できる。
【0067】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について図8に基づき説明する。なお、第2の実施形態は、還流水路35を流動する水をヒータ27によって加熱させる点が第1の実施形態と異なる。したがって、以下の説明においては、第1の実施形態と相違する構成について主に説明するものとし、第1の実施形態と同一又は相当する構成については同一符号を付して重複説明を省略するものとする。
【0068】
さて、図8に示すように、大径ミスト発生機構33は、平板状のヒータ27が沸騰室28の右側の内壁面を構成するように沸騰室28の右側に立設されると共に、そのヒータ27の裏面27bの近傍位置に貯留部26が配置されている。また、沸騰室28の上端部と貯留部26の上端部との間は、ヒータ27の加熱面27a及び裏面27bに近接した位置を通るように設けられた還流水路35によって連通している。また、沸騰室28の下端部には、ヒータ27の加熱面27a及び裏面27bに近接した位置を通るように設けられた連通部29が接続されている。
【0069】
そして、本実施形態では、空気誘導パイプ45の外面に結露して沸騰室28内に還流された水は、還流水路35を流動した後、貯留部26内に貯留されている水と混合される。この場合、還流水路35は、ヒータ27の加熱面27a及び裏面27bから伝播される熱によって加熱された状態にある。そのため、還流水路35内を流動する水は、貯留部26内に貯留されている水と混合される前段階で予備的に加熱される。すなわち、本実施形態のヒータ27は、ミスト経路39から分岐した還流水路35を加熱することにより、当該還流水路35内を流動する水を加熱する分岐流路加熱手段としても機能する。
【0070】
また、貯留部26内に貯留されている水は、連通部29を流動した後に沸騰室28内に貯留されている水と混合される。この場合、連通部29は、ヒータ27の加熱面27a及び裏面27bから伝播される熱によって加熱された状態にある。そのため、連通部29内を流動する水は、沸騰室28内に貯留されている水と混合される前段階で予備的に加熱される。
【0071】
したがって、本実施形態によれば、上記第1の実施形態の効果(1)〜(9)に加えて以下に示す効果を得ることができる。
(10)還流水路35を通じて給水経路30に還流される水は、ヒータ27によって予備的に加熱される。そのため、こうした水が沸騰室28に流入した場合であっても、沸騰室28に貯留された水の温度を低下させることが抑制される。したがって、沸騰室28における大径ミストの発生量の変動を抑制できると共に、沸騰室28において水が沸騰する音が断続的に生じることを抑制できる。
【0072】
(11)連通部29を通じて沸騰室28に供給される水は、ヒータ27によって予備的に加熱される。そのため、こうした水が沸騰室28に流入した場合であっても、沸騰室28に貯留された水の温度を低下させることが更に抑制される。したがって、沸騰室28における大径ミストの発生量の変動をより確実に抑制できると共に、沸騰室28において水が沸騰する音が断続的に生じることをより確実に抑制できる。
【0073】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について図9に基づき説明する。なお、第3の実施形態は、給水経路30内の水を加圧する加圧ポンプ65を更に備える点が第1の実施形態と異なる。したがって、以下の説明においては、第1の実施形態と相違する構成について主に説明するものとし、第1の実施形態と同一又は相当する構成については同一符号を付して重複説明を省略するものとする。
【0074】
さて、図9に示すように、貯留タンク17と給水パイプ25とを連結する連結部材24の内部には、スクリュー型の加圧ポンプ65が搭載されている。この加圧ポンプ65は、前後方向に延びる回転軸を中心として回転駆動することによって、連結部材24内の水を貯留タンク17側から給水パイプ25側に向けて前方に押し出すようになっている。
【0075】
そして、本実施形態では、貯留タンク17から流出された水は、加圧ポンプ65によって加圧されることにより、給水経路30を通じて沸騰室28に向けて流動する。この場合、貯留タンク17から沸騰室28への水の流動圧は加圧ポンプ65によって増強される。そのため、給水経路30の途中位置に気泡が生じた場合であっても、こうした気泡は、加圧ポンプ65が加圧供給する水によって沸騰室28側に押し出される。
【0076】
また、本実施形態では、加圧ポンプ65は、貯留タンク17のキャップ21の開口部22に対して下方に離間した位置に配置されている。そして、貯留タンク17側の水面は、加圧ポンプ65よりも上方に位置するように設計されている。そのため、貯留タンク17から流出する水が気泡を含有する場合であっても、こうした気泡は水よりも比重が軽いため、貯留タンク17側の水面Wから放出される。
【0077】
したがって、本実施形態によれば、上記第1の実施形態の効果(1)〜(9)に加えて以下に示す効果を得ることができる。
(12)加圧ポンプ65は、給水経路30内の水を貯留タンク17側から沸騰室28側に向けて加圧供給する。そのため、給水経路30の途中位置に気泡が生じた場合であっても、こうした気泡は、加圧ポンプ65によって加圧供給される水と共に沸騰室28側に押し出される。したがって、給水経路30の途中位置に気泡が滞留することを抑制できる。
【0078】
(13)加圧ポンプ65は、貯留タンク17のキャップ21の開口部22に対して下方に離間した位置に配置されている。そのため、貯留タンク17から流出した水に含有する気泡が、加圧ポンプ65によって給水経路30内に押し出されることが回避される。したがって、給水経路30の途中位置に気泡が滞留することをより確実に抑制できる。
【0079】
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態について図10に基づき説明する。なお、第4の実施形態は、ベンチュリ効果により流速を増加させた空気を沸騰室28内に導入する気体導入機構66を備える点が第1の実施形態と異なる。したがって、以下の説明においては、第1の実施形態と相違する構成について主に説明するものとし、第1の実施形態と同一又は相当する構成については同一符号を付して重複説明を省略するものとする。
【0080】
さて、図10に示すように、気体導入部としての気体導入機構66は、連通部29内及び沸騰室28内を連通させる連通流路67が内部に形成された流路形成部材68と、当該流路形成部材68の連通流路67に空気を導入する空気導入管69とを備えている。流路形成部材68に形成された連通流路67は、沸騰室28側から略T字状をなすように二手に分岐して構成されている。そして、分岐した連通流路67のうち、鉛直上方に向けて延びる一方側の連通流路には連通部29における下流側端部(沸騰室28側の端部)が接続されるのに対し、右方に向けて略水平に延びる他方側の連通流路には空気導入管69の一端側が接続されている。また、空気導入管69の他端側は、送風ファン40から送出される空気を芳香放出口15側に導出する空気管路49の途中位置に接続されている。なお、流路形成部材68に形成された連通流路67の流路断面積は連通部29の流路断面積よりも狭小となるように設計されている。
【0081】
そして、本実施形態では、送風ファン40から空気管路49を通じて芳香放出口15に放出される空気の一部が、空気導入管69を通じて流路形成部材68の連通流路67に導入される。すると、狭小な連通流路67を流動する空気の流れによってベンチュリ効果が発生することにより連通流路67内には負圧が生じる。その結果、貯留部26内に貯留された水は、連通流路67内に生じた負圧によって連通部29を介して沸騰室28側に強制的に吸い出される。なお、沸騰室28に吸い出される水は、空気導入管69から導入される空気と連通流路67内で混合されることによって小径の液滴の形態をなすように沸騰室28に向けて噴霧される。
【0082】
したがって、本実施形態によれば、上記第1の実施形態(1)〜(9)に加えて以下に示す効果を得ることができる。
(14)貯留部26内に貯留された水は、連通流路67内に生じる負圧によって沸騰室28側に吸い出される。そのため、貯留部26と沸騰室28とを連通する連通流路67の途中位置に流路断面積が狭小な部位を有する場合であっても、貯留部26内に貯留された水を沸騰室28に向けて安定して供給することができる。
【0083】
(15)沸騰室28に吸い出される水は、空気導入管69を通じて供給される空気と混合されることによって、小径の液滴の形態をなすように沸騰室28に向けて噴霧されるため、沸騰室28における水のミスト化を促進することができる。
【0084】
(16)送風ファン40から空気導入管69を通じて芳香放出口15に放出される空気の一部を用いて連通流路67内に負圧を発生させている。そのため、連通流路67内に負圧を発生させるためのファンを別途専用に設けることが不要となる。
【0085】
(第5の実施形態)
次に、本発明の第5の実施形態について図11に基づき説明する。なお、第5の実施形態は、給水経路30から水を排出させる液体排出機構70を更に備える点が第1の実施形態と異なる。したがって、以下の説明においては、第1の実施形態と相違する構成について主に説明するものとし、第1の実施形態と同一又は相当する構成については同一符号を付して重複説明を省略するものとする。
【0086】
さて、図11に示すように、液体排出機構70は、連通部29における下流側端部(沸騰室28側の端部)の底部に接続されると共に連通部29の底部から鉛直下方に向けて延びる排液流路としての排水管71と、当該排水管71の途中位置に設けられると共に排水管71の流路を開閉する開閉弁72とを備えている。
【0087】
そして、本実施形態では、開閉弁72を閉弁させると、排水管71は開閉弁72によって液密状に封止された状態となる。その結果、連通部29から排水管71を通じて水が排水されることはないため、貯留タンク17から給水経路30を介して沸騰室28に水を供給することが可能となる。
【0088】
一方、開閉弁72を開弁させると、連通部29内の水は排水管71を通じて水が排水されるようになる。ここで、連通部29における排水管71との接続部は、給水経路30における最下点に位置する。そのため、給水経路30内に残存する水は、連通部29における排水管71との接続部に到達するまで給水経路30内を重力に従って流下した後、排水管71を通じて給水経路30から排出される。
【0089】
したがって、本実施形態によれば、上記第1の実施形態(1)〜(9)に加えて以下に示す効果を得ることができる。
(17)液体排出機構70が給水経路30内に残存する水を排出させることにより、装置の衛生状態を信頼性よく確保することができる。
【0090】
(18)給水経路30内に滞留する水は、給水経路30における最下点に位置する連通部29の下流端まで給水経路30内を流下した後、排水管71を通じて給水経路30から排出される。そのため、給水経路30内に残存する水を給水経路30から容易に排出することができる。
【0091】
(第6の実施形態)
次に、本発明の第6の実施形態を図12〜図14に基づき説明する。なお、第6の実施形態は、沸騰室28内に残存した水を吸収材73によって吸収して排出させる液体排出機構74を更に備える点が第1の実施形態と異なる。したがって、以下の説明においては、第1の実施形態と相違する構成について主に説明するものとし、第1の実施形態と同一又は相当する構成については同一符号を付して重複説明を省略するものとする。
【0092】
さて、図12に示すように、液体排出機構74は、金属性のワイヤ(図示略)が芯体として設けられた長尺状をなす吸収材73を備えている。吸収材73の長手方向の一端側は、貯留部26、連通部29、沸騰室28、及び還流水路35から構成される四角環状の流路によって囲繞される空間域75の内面に対して固定されている。そして、吸収材73は、この空間域75内に図示しない折り畳み機構(変位機構)によって折り畳まれた状態で収容されている。
【0093】
なお、吸収材73は、沸騰室28を間に挟んでヒータ27に対して近接した位置に配置されている。そして、本実施形態では、ヒータ27は、空間域75に収容された吸収材73を加熱する吸収材加熱手段としても機能する。また、沸騰室28と空間域75とを仕切る仕切り壁76には、沸騰室28と空間域75との連通状態を切り替え可能に開閉する開閉機構77が設けられている。さらに、空間域75の内面には、送風口を吸収材73に対して前後方向に対向させるようにして送風機構としての送風ファン78が固定されている(図14参照)。
【0094】
そして、本実施形態では、図13に示すように、開閉機構77が開放された状態で、折り畳み機構による吸収材73の折り畳み状態が解除されると、吸収材73の長手方向の他端側が開閉機構77を通じて沸騰室28内に展開された状態で挿入される。そして、沸騰室28に挿入された吸収材73は、沸騰室28内に残存した水を吸収して沸騰室28から排出させる。
【0095】
また、水を吸収した吸収材73は、折り畳み機構によって折り畳まれることにより、開閉機構77を通じて空間域75に退避する。そして、開閉機構77が閉塞されると、沸騰室28及び空間域75は開閉機構77によって気密状に隔離される。そのため、液密状の吸収材73から水が揮発したとしても、揮発した水蒸気が開閉機構77を通じて沸騰室28内に流入することが抑制される。
【0096】
なお、水を吸収した吸収材73には、送風ファン78の送風口から空気が送風されることにより、吸収材73からの水の揮発が促進されるようになっている。そして、吸収材73から揮発した水蒸気を含有した空気は、図示しない排気口を通じて装置の外部に排出されるようになっている。また、水を吸収した吸収材73には、ヒータ27から放出される熱が仕切り壁76を介して伝播することにより、吸収材73からの水の揮発が促進されるようになっている。
【0097】
したがって、本実施形態によれば、上記第1の実施形態の効果(1)〜(9)に加えて以下に示す効果を得ることができる。
(19)液体排出機構74は、吸収材73を沸騰室28に挿入させることにより、沸騰室28内に残存した水を沸騰室28から排出させる。そのため、装置の衛生状態を信頼性よく確保することができる。
【0098】
(20)開閉機構77は、沸騰室28及び空間域75を気密状に隔離する。そのため、水を吸収した吸収材73を空間域75に収容した場合であっても、吸収材73から揮発した水蒸気が開閉機構77を通じて沸騰室28に流入することが回避される。したがって、沸騰室28内に水が残存することがより確実に回避されるため、装置の衛生状態を更に信頼性よく確保できる。
【0099】
(21)送風ファン78は、水を吸収した吸収材73に対して空気を送風することにより、吸収材73からの水の揮発を促進させる。そして、吸収材73が揮発した水蒸気を含む空気は、空間域75から排気口を通じて装置の外部に排出される。そのため、水を吸収した吸収材73を空間域75の内部に収容する場合であっても、空間域75内の水蒸気圧が過大となって空間域75の内面に水滴が付着することが回避されるため、装置の衛生状態を信頼性よく確保できる。
【0100】
(22)ヒータ27は、吸収材73に対して近接した位置に配置されている。そのため、ヒータ27から放出される熱は、水を吸収した吸収材73に対して効率よく伝播されることにより、吸収材73からの水の揮発を更に促進することができる。
【0101】
(第7の実施形態)
次に、本発明の第7の実施形態を図15に基づき説明する。なお、第7の実施形態は、給水経路30内に気流を生成させる気流生成機構79を更に備える点が第1の実施形態と異なる。したがって、以下の説明においては、第1の実施形態と相違する構成について主に説明するものとし、第1の実施形態と同一又は相当する構成については同一符号を付して重複説明を省略するものとする。
【0102】
さて、図15に示すように、気流生成手段としての気流生成機構79は、貯留部26内に空気を導入する空気導入管80と、当該空気導入管80の途中位置に設けられると共に空気導入管80の流路を開閉する開閉弁81とを備えている。空気導入管80は、一端側が貯留部26の底部に接続されるのに対して、他端側が送風ファン40から送出される空気を芳香放出口15側に導出する空気管路49の途中位置に接続されている。
【0103】
そして、本実施形態では、沸騰室28内の水が揮発して沸騰室28内の水がほぼ枯渇した状態において開閉弁81が開弁されると、送風ファン40から空気管路49を通じて芳香放出口15に放出される空気の一部が、空気導入管80を通じて貯留部26に導入される。すると、貯留部26に連通する給水パイプ25、連通部29、及び沸騰室28には、空気導入管80から導入される空気の流れによって気流が生成される。その結果、貯留部26、給水パイプ25、連通部29、及び沸騰室28に水滴が残存した場合であっても、こうした水滴の近傍に浮遊する飽和水蒸気層は気流の流れに乗って装置の外部に放出されるため、装置内に残存した水滴の蒸発が促進される。
【0104】
したがって、本実施形態によれば、上記第1の実施形態の効果(1)〜(9)に加えて以下に示す効果を得ることができる。
(23)気流生成機構79が装置内に気流を生成することにより、装置内に残存した水の蒸発を促進することができる。そのため、装置の衛生状態を信頼性よく確保することができる。
【0105】
(24)送風ファン40から空気管路49を通じて芳香放出口15に放出される空気の一部を用いて装置内に気流を生成させている。そのため、装置内に気流を生成させるためのファンを別途専用に設けることが不要となる。
【0106】
(第8の実施形態)
次に、本発明の第8の実施形態を図16に基づき説明する。なお、第8の実施形態は、ヒータ27が発生する熱を給水経路30の内面に伝播させる伝熱体82を更に備える点が第1の実施形態と異なる。したがって、以下の説明においては、第1の実施形態と相違する構成について主に説明するものとし、第1の実施形態と同一又は相当する構成については同一符号を付して重複説明を省略するものとする。
【0107】
さて、図16に示すように、伝熱体82は、当該伝熱体82の長手方向の一端側がヒータ27の加熱面27aの略全域に対して熱伝導可能に面接触するように構成されている。そして、伝熱体82は、連通部29、貯留部26の下端部、及び給水パイプ25の下流側部位に対して、各々の部位の内面に非接触な態様で略直線状に延びるように挿通されている。そして、本実施形態では、伝熱体82は、給水経路30を構成する連通部29及び給水パイプ25の内面を加熱する液体供給流路加熱手段として機能する。なお、伝熱体82は、熱伝導性の高いアルミニウム、銅、窒化アルミニウム等の金属材料から構成されている。
【0108】
そして、本実施形態では、ヒータ27の加熱面27aから伝熱体82に対して熱が伝播されると、貯留タンク17側から給水パイプ25を通じて貯留部26に供給される水は、貯留部26に貯留されている水と混合される前段階で伝熱体82によって予備的に加熱される。また同様に、貯留部26内に貯留されている水は、連通部29を通じて沸騰室28に貯留されている水と混合される前段階で伝熱体82によって予備的に加熱される。
【0109】
また、沸騰室28内の水が揮発して沸騰室28内の水がほぼ枯渇した状態において、連通部29、貯留部26の下端部、及び給水パイプ25の下流側部位に水が残存した場合であっても、こうした水は、伝熱体82から伝播される熱によって蒸発が促進される。
【0110】
したがって、本実施形態によれば、上記第1の実施形態の効果(1)〜(9)に加えて以下に示す効果を得ることができる。
(25)貯留タンク17側から供給される水は、沸騰室28内の水と混合される前段階で伝熱体82によって予備的に加熱される。そのため、こうした水が沸騰室28に流入した場合であっても、沸騰室28に貯留された水の温度を低下させることが抑制される。したがって、沸騰室28における大径ミストの発生量の変動を抑制できると共に、沸騰室28において水が沸騰する音が断続的に生じることを抑制できる。
【0111】
(26)伝熱体82が給水経路30の内面を加熱することにより、給水経路30に残存した水の蒸発が促進される。そのため、装置の衛生状態を信頼性よく確保することができる。
【0112】
(27)伝熱体82は、ヒータ27の加熱面27aにおいて生じる熱を給水経路30の内面に伝播させている。そのため、給水経路30の内面を加熱させるためのヒータを別途専用に設けることが不要となる。
【0113】
なお、上記実施形態は、以下のような別の実施形態に変更してもよい。
・上記各実施形態において、図17に示すように、給水パイプ25の上流側部位を貯留タンク17側から貯留部26側に向けて下り勾配をなすように構成してもよい。
【0114】
・上記各実施形態において、図18に示すように、連通部29は、沸騰室28側となる下流側部位29aが貯留部26側となる上流側部位29bよりも小径となるように構成してもよい。
【0115】
・上記第8の実施形態において、ヒータ27とは別部材構成のヒータを給水経路30の外壁面に接触させるように設けると共に、当該ヒータによって給水経路30の内面を加熱するようにしてもよい。
【0116】
・上記第7の実施形態において、空気導入管80を主空気流路47や副空気流路48の途中位置に接続させるようにしてもよい。また、送風ファン40とは別部材構成の送風ファンを装置内に設けると共に、当該送風ファンから空気導入管80を通じて貯留部26内に空気を導入するようにしてもよい。
【0117】
・上記第7の実施形態において、空気導入管80の途中位置に吸湿フィルターを介在させるようにしてもよい。
・上記第6の実施形態において、送風ファン78の内部にヒータを設けると共に、当該送風ファン78の送風口から吸収材73に向けて温風を送風することにより、吸収材73の乾燥を促進させるようにしてもよい。
【0118】
・上記第6の実施形態において、送風ファン78の代わりに排気ファンを設け、当該排気ファンによって空間域75内の空気を装置の外部に向けて排気させることにより、吸収材73の乾燥を促進させるようにしてもよい。
【0119】
・上記第5の実施形態において、排水管71は、沸騰室28の底部に接続されるようにしてもよい。
・上記第4の実施形態において、空気導入管69を主空気流路47や副空気流路48の途中位置に接続させるようにしてもよい。また、送風ファン40とは別部材構成の送風ファンを装置内に設けると共に、当該送風ファンから空気導入管69を通じて流路形成部材68の連通流路67に空気を導入するようにしてもよい。
【0120】
・上記第3の実施形態において、貯留タンク17内に空気を圧送する加圧ポンプを装置内に設けると共に、当該加圧ポンプによって貯留タンク17から沸騰室28に向けて水を加圧供給するようにしてもよい。
【0121】
・上記第3の実施形態において、加圧ポンプ65は、スクリュー型の加圧ポンプに限定されず、例えば、遠心ポンプやギアポンプを採用してもよい。
・上記各実施形態において、温度センサ32は、ヒータ27において加熱面27aとは反対側の裏面27bにおける上方寄りの部位や下方寄りの部位に対して受熱部32aを接触させるようにしてもよい。また、温度センサ32は、ヒータ27の加熱面27aに対して受熱部32aを接触させるように設けてもよい。また、温度センサ32は、沸騰室28内に貯留されている水に対して受熱部32aを接触させるように設けてもよい。
【0122】
・上記各実施形態において、連通部29の途中位置に、貯留部26と沸騰室28とを仕切る仕切り壁を設けると共に、当該仕切り壁に対して貯留部26と沸騰室28とを連通させる微小な連通孔を設ける構成としてもよい。この場合、仕切り壁に設けられた連通孔が、給水経路30において流路断面積が最小となる最小流路断面積部分となる。
【0123】
・上記各実施形態において、連通部29の内面に凹凸形状を形成することにより、沸騰室28にて発生した大径ミストが連通部29を通過する際に受ける圧力損失を増大させるようにしてもよい。
【0124】
・上記各実施形態において、給水パイプ25は、貯留タンク17側の端部と貯留部26側の端部とが略同一の高さとなるように設けてもよい。
・上記各実施形態において、各放出口13,14,15に空気を送風する送風ファン40は遠心ファンに限定されず、例えば、軸流ファンやシロッコファンを採用してもよい。
【0125】
・上記各実施形態において、給水パイプ25は、プラスチックや金属等の剛性材料によって構成してもよい。
・上記各実施形態において、ヒータ27により大径ミストを発生させる大径ミスト発生機構33に代えて、超音波振動にて水をミスト化する装置や静電霧化装置を用いてミスト化する装置等を用い、温ミストを発生させるようにしてもよい。
【0126】
・上記各実施形態において、本発明を美容器10に具体化したが、加湿器などに具体化してもよい。
【符号の説明】
【0127】
10…ミスト発生装置としての美容器、17…貯留タンク、22…液体供給口としての開口部、23…環状凸部としての給水リブ、27…ミスト室加熱手段、分岐流路加熱手段、及び吸収材加熱手段としてのヒータ27a…加熱部としての加熱面、28…ミスト室としての沸騰室、30…液体供給流路としての給水経路、32…温度センサ、33…ミスト発生部としての大径ミスト発生機構、35…分岐流路としての還流水路、39…ミスト経路、65…加圧ポンプ、66…気体導入部としての気体導入機構、70…液体排出機構、71…排液流路としての排水管、73…吸収材、74…液体排出機構、78…送風機構としての送風ファン、79…気流生成手段としての気流生成機構、83…液体供給流路加熱手段としての伝熱体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を貯留可能な貯留タンクと、
前記液体をミスト化するミスト室を有するミスト発生部と、
前記貯留タンクから前記ミスト室に向けて前記液体を供給する液体供給流路と
を備え、
前記液体供給流路は、前記貯留タンク側から前記ミスト室側に向けて上り勾配となる部分を有していないことを特徴とするミスト発生装置。
【請求項2】
請求項1に記載のミスト発生装置において、
前記ミスト発生部には、当該ミスト発生部が生成したミストを通過させるためのミスト経路が前記液体供給流路とは別に接続され、当該液体供給流路は前記ミスト経路よりも前記ミストを通過させるとした場合における圧力損失が大きいことを特徴とするミスト発生装置。
【請求項3】
請求項2に記載のミスト発生装置において、
前記液体供給流路は、その最小流路断面積部分の流路断面積が前記ミスト経路における最小流路断面積部分の流路断面積よりも小さいことを特徴とするミスト発生装置。
【請求項4】
請求項3に記載のミスト発生装置において、
前記液体供給流路は、前記液体が前記最小流路断面積部分を通過する際の表面張力よりも大きな液頭圧を前記液体に作用させるように、前記貯留タンク側から前記液体供給流路内への前記液体の流入口と当該液体供給流路の前記最小流路断面積部分との間に高低差を設けたことを特徴とするミスト発生装置。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のうち何れか一項に記載のミスト発生装置において、
前記ミスト発生部は、前記ミスト室内の前記液体を加熱して沸騰させることによりミスト化する構成とされ、
前記貯留タンクの下面には、当該貯留タンクの内部に貯留した前記液体を前記液体供給流路に供給する液体供給口が設けられると共に、当該液体供給口を囲繞するように環状凸部が前記貯留タンクの下面から下方に突出するように設けられることを特徴とするミスト発生装置。
【請求項6】
請求項5に記載のミスト発生装置において、
前記ミスト発生部は、前記ミスト室内の前記液体を加熱して沸騰させるミスト室加熱手段を備え、
当該ミスト室加熱手段は、前記液体に対する加熱部の上下方向の中央寄りの部位に、当該加熱部の温度を計測する温度センサが配設されることを特徴とするミスト発生装置。
【請求項7】
請求項1〜請求項6のうち何れか一項に記載のミスト発生装置において、
前記ミスト発生部が生成したミストを通過させるためのミスト経路の途中位置から分岐して前記液体供給流路に接続される分岐流路を更に備えることを特徴とするミスト発生装置。
【請求項8】
請求項7に記載のミスト発生装置において、
前記分岐流路内を流動する前記液体を加熱する分岐流路加熱手段を更に備えることを特徴とするミスト発生装置。
【請求項9】
請求項1〜請求項8のうち何れか一項に記載のミスト発生装置において、
前記液体供給流路の途中位置に設けられ、前記貯留タンク側から前記ミスト室側に向けて前記液体を加圧供給する加圧ポンプを更に備えることを特徴とするミスト発生装置。
【請求項10】
請求項9に記載のミスト発生装置において、
前記加圧ポンプは、前記貯留タンクの下方に配設されることを特徴とするミスト発生装置。
【請求項11】
請求項1〜請求項10のうち何れか一項に記載のミスト発生装置において、
前記ミスト室には、当該ミスト室内にベンチュリ効果により流速を増加させた気体を導入する気体導入部が接続され、当該気体導入部の中途に対して前記液体供給流路における前記ミスト室側の端部は接続されていることを特徴とするミスト発生装置。
【請求項12】
請求項1〜請求項11のうち何れか一項に記載のミスト発生装置において、
前記液体を装置内から排出させる液体排出機構を更に備えることを特徴とするミスト発生装置。
【請求項13】
請求項12に記載のミスト発生装置において、
前記液体排出機構は、前記液体供給流路における前記ミスト室側の端部に対して接続される排液流路を備えることを特徴とするミスト発生装置。
【請求項14】
請求項12又は請求項13に記載のミスト発生装置において、
前記液体排出機構は、
前記液体を吸収可能な吸収材と、
前記吸収材を、前記ミスト室に対して挿入させる挿入位置と前記ミスト室から退避させる退避位置との間で変位可能な変位機構と
を備えることを特徴とするミスト発生装置。
【請求項15】
請求項14に記載のミスト発生装置において、
前記液体排出機構は、前記吸収材に対して気体を送風する送風機構を備えることを特徴とするミスト発生装置。
【請求項16】
請求項14又は請求項15に記載のミスト発生装置において、
前記吸収材を加熱する吸収材加熱手段を更に備えることを特徴とするミスト発生装置。
【請求項17】
請求項12〜請求項16のうち何れか一項に記載のミスト発生装置において、
前記液体排出機構は、前記液体供給流路内に気流を生成させる気流生成手段を備えることを特徴とするミスト発生装置。
【請求項18】
請求項12〜請求項17のうち何れか一項に記載のミスト発生装置において、
前記液体排出機構は、前記液体供給流路の内面を加熱する液体供給流路加熱手段を備えることを特徴とするミスト発生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2011−239821(P2011−239821A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−112193(P2010−112193)
【出願日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】