説明

ミックス型可搬型物品のためのメモリ管理方法

本発明は関連するホスト装置への接続手段がガルバニック接触および遠隔接続手段の両方を含むことにより、任意には同時に生じるいわゆる接触動作モードおよびいわゆる非接触動作モードを定めるミックス型可搬型物品のためのメモリ管理方法に関し、該方法はメモリブロック削除要求の場合にはメモリブロック削除を延期する工程と、可搬型物品が非接触モードで動作しているときに限り、削除されるメモリブロック属性を前記メモリブロックに割り当てる工程と、続いて、接触動作モードに切り換わったときに、削除されるメモリブロック属性を有するメモリブロックの全部または一部の削除を生じさせる工程とを含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、「ミックス」型可搬型物品すなわち、その関連するホストデバイスへの接続手段がガルバニック接触および遠隔接続用のアンテナの両方を含む該物品におけるメモリを管理する方法に関する。知られている方法では、特に(クレジットカード、携帯電話で使用されるSIMカード、等などの)スマートカードから構成され得るそのような物品は情報処理手段および関連する不揮発性メモリを含む。本発明は不揮発性メモリが以下の特徴を有するメモリセクションを含んでいる場合に関する:
−メモリの書き込み動作が事前にメモリを消去することを必要とするが、動作は急速には実行されない。
−消去動作は時間がかかり、大量の電気を必要とする。
【0002】
本発明は特に「フラッシュ」型メモリに関する。
【背景技術】
【0003】
ミックス型スマートカードなどの可搬型物品の「非接触」モードには、特に以下の固有の制限がある;
−カードとそのホストデバイス間の処理速度は速くなければならない。
−カードで利用可能な電気エネルギーの高さは低い。
【0004】
このような制限とフラッシュメモリの特性を比較すると、このメモリはその消去速度ではなく、その書き込み速度に関してミックス型カードに適していることがわかる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の目的はミックス型可搬型物品にこのタイプのメモリを装備するように、フラッシュメモリの消去を管理する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、「非接触」モードはメモリの読込み/書込み動作のみに用いられ、消去動作は「接触」モードだけのために予約されるが、この2つのモードが同時に起動されるような場合を除く。「接触」モードはこの消去に必要な大量の電気エネルギーを長時間にわたって供給することができるので、われわれはこれは満足できる解決策であることを理解した。
【0007】
さらに正確に言うと、本発明は、関連するホストデバイスへの接続手段がガルバニック接触および遠隔接続用手段の両方を含むことにより、場合によっては同時に生じる「接触」動作モードおよび「非接触」動作モードを定める「ミックス」型可搬型物品におけるメモリを管理する方法に関し、以下の工程を含むことを特徴とする:
−メモリブロックを消去する要求中に、可搬型物品が「非接触」モードにある場合に限り、消去を延期し、このメモリブロックに「消去すべきメモリブロック」属性を割り当てる工程;次に、
−「接触」モードが起動された後、「消去すべきメモリブロック」属性を有するメモリブロックの全部または一部の消去をトリガする。
【0008】
有利には、本発明は所与のメモリブロックに書き込む要求の間に以下に存する工程を含む:
−メモリブロックが既にデータアイテムを格納している場合、および可搬型物品が「非接触」モードにある場合に限り、このメモリブロックの書込みを取り消す。
−ブランクなメモリブロックを見付け、このブロックに書込みを行う。
【0009】
有利には、本方法は可搬型物品が「非接触」モードにある場合に限り、前記所与のメモリブロックに「消去すべきメモリブロック」属性を割り当てることに存する付加的な工程を含む。
【0010】
本発明の他の詳細および利点は実装の例の記載を読めば明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
この実施例では、可搬型物品は「非接触」モードのみの場合に、「アクティブテーブル」および「消去テーブル」という2つのテーブルが定められるフラッシュメモリが実装されたスマートカードである。アクティブテーブルはすべての有用なメモリブロックの、すなわち、第1にはすなわち事前に消去を要求しなくても即時書き込みが可能であるメモリブロック(したがって、データを格納するためにまだ使用されていないブランクなブロックまたはデータ格納後に消去されたブロック)、第2には保持されるデータを現在格納しているメモリブロックのアドレスを含んでいる。消去テーブルは消去されるすべてのメモリブロックの、すなわち、データが既に書き込まれたメモリブロックのアドレスを含んでいる。
【0012】
「非接触」モード中にカードで実行されているあるアプリケーションが新しいデータアイテムを書き込もうとするとき、そのアプリケーションは書込み動作に使用可能なメモリブロックを探す。つまり、本発明のカードオペレーティングシステムは、アプリケーションが利用可能なメモリブロックのアドレスを選択し、かつこのアプリケーションに属するものとしてそれをリストするアクティブテーブルにそのアプリケーションを導くように設計されている。次に、このアプリケーションはデータアイテムをこのメモリブロックに書き込む。
【0013】
しかしそのアプリケーションが「非接触」モード中に、既に書き込まれたデータアイテムを更新しようとするとき、本発明のカードオペレーティングシステムは、該カードオペレーティングシステムが、従来の機能に従ってこのデータアイテムの現在値を格納するメモリブロックに向けてではなく書込み動作に利用可能な新しいメモリブロックに向けて、再度アクティブテーブルにアプリケーションを導くように設計されている。本発明のカードオペレーティングシステムはアプリケーションがこのデータアイテムの現在値を保持する必要がない場合には、次にこのデータアイテムの現在値を格納するメモリブロックのアドレスをアクティブテーブルから消去テーブルに移動するように設計されている。つまり、この動作はこのメモリブロックを後で再使用できるようにする。
【0014】
最後に、本オペレーティングシステムは、「非接触」モード中、アプリケーションがデータアイテムを消去しようとするとき、該システムが消去機能を禁止し、この動作を該データアイテムを格納するメモリブロックのアドレスをアクティブテーブルから消去テーブルに移動させるように設計されている。
【0015】
本オペレーティングシステムは、「接触」モードが起動された後、消去テーブルにリストされたメモリブロックの全部または一部を消去するように設計されている。この動作は「接触」モード中の種々の時間において実行され得る。特に、「接触」モード初期化段階中には系統的に、カードが非動作の時(例えば、カードがカードと協働する端末において実行されている処理の結果を待っている時)には任意の時間に、実行され得る。
【0016】
したがって、消去テーブルにリストされたメモリブロックを消去するか否かの決定は状況および要件に左右されよう。
【0017】
この消去手順は一般に次の工程を含む:
−消去テーブルの内容を読み込む工程。
−消去テーブルにリストされたメモリブロックの全部または一部の消去をトリガする工程。
−必要に応じて、消去テーブルの内容を更新する工程。
【0018】
消去テーブルを更新するか否かの決定も状況および要件に左右される。
【0019】
「接触」モード中に消去要求が作られると、このモードはこの動作に対する特別な制限がないので、その要求は通常通り実行されるか、「非接触」モードで使用されるように実行される。
【0020】
本発明は可搬型物品が関連するホストデバイスへの遠隔接続用の手段を備えているあらゆる場合に適用される。すなわち、このような手段が無線リンクアンテナから成る上記の場合だけでなく、光学的リンクまたは磁気的リンクなどの可能性のある他のあらゆる場合にも適用される。
【0021】
本発明は「接触」モードまたは「非接触」モードの動作周波数に関する推測を行わず、可搬型物品(例えば、非接触SIMカード)が同時に両モードで使用される場合に適用可能である。このような場合、本オペレーティングシステムはエネルギーが「接触」モードを介して利用可能であることを検出することができ、「非接触」モードで実行されるデータ交換手順中に直ちにメモリを消去することを決定することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
関連するホストデバイスへの接続手段がガルバニック接触および遠隔接続用手段の両方を含むことにより、場合によっては同時に生じる「接触」動作モードおよび「非接触」動作モードを定める「ミックス」型可搬型物品におけるメモリを管理する方法であって、
メモリブロックを消去する要求中に、前記可搬型物品が「非接触」モードにある場合に限り、消去を延期し、かつこのメモリブロックに「消去すべきメモリブロック」属性を割り当てる工程と、次に、「接触」モードが起動されたとき、「消去すべきメモリブロック」属性を有するメモリブロックの全部または一部の消去をトリガする工程とを含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
所与のメモリブロックに書き込む要求の間に、このメモリブロックが既にデータアイテムを格納している場合、および前記可搬型物品が「非接触」モードにある場合に限り、このメモリブロックの書込みを取り消す工程と、ブランクなメモリブロックを見付け、このブロックに書込みを行う工程とを含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記可搬型物品が「非接触」モードにある場合に限り、前記所与のメモリブロックに「消去すべきメモリブロック」属性を割り当てることに存する工程を含む請求項2に記載の方法。

【公表番号】特表2007−516493(P2007−516493A)
【公表日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−518399(P2006−518399)
【出願日】平成16年7月12日(2004.7.12)
【国際出願番号】PCT/IB2004/002253
【国際公開番号】WO2005/006245
【国際公開日】平成17年1月20日(2005.1.20)
【出願人】(504326572)アクサルト・エス・アー (31)
【Fターム(参考)】