説明

ミミズ粉末あるいは抽出物を利用したバイオマス糖化技術

【課題】バイオマス糖化を簡便かつ低コストにて実現すること。
【解決手段】アカミミズ(Lumbricus rubellus)の粉末またはその抽出物を含有しているセルロース糖化用組成物を提供する。また、アカミミズ(Lumbricus rubellus)から精製したセルラーゼ酵素、および当該酵素を含有しているセルロース糖化用組成物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオマス糖化を簡便かつ低コストにて実現する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、脱石油エネルギーが盛んに提唱されている。特に、世界的な石油資源の高騰によって、新エネルギー技術の開発は急を要する。新エネルギー技術として、セルロース系バイオマスからのバイオエタノール生産が世界的に注目されている。
【0003】
バイオマスからのエタノール製造は、主に、バイオマスから単糖を生成する糖化工程、および生成した単糖を用いてエタノール発酵するエタノール生成工程の2つの工程から構成される。セルロースの糖化効率が低いと、エタノール発酵の全体収率は低減する。よって、バイオマスの効率的な糖化技術が望まれている。
【0004】
糸状菌Tricoderma reesei(T. reesei)はセルラーゼ分泌能力が高く、T. reesei由来のセルラーゼは、他の菌が産生するセルラーゼと比較して良好な活性を示す(非特許文献1参照)。このため、本酵素を用いたセルロース系バイオマスの酵素糖化が盛んに研究されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−72985号公報(平成20(2008)年4月3日公開)
【特許文献2】特開2009−28037号公報(平成21(2009)年2月12日公開)
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Ng, T. K. and Zeikus, J. G. 1981. Comparison of Extracellular Cellulase Activities of Clostridium thermocellum LQRI and Trichoderma reesei QM9414. Appl. Environ, Microbiol. 42: 231-240.
【非特許文献2】Aira, M., Monroy, F., and Domienguez, J. 2007. Earthworms strongly modify microbial biomass and activity triggering enzymatic activities during vermicomposting independently of the application rates of pig slurry. Sci. Total Environ. 385: 252-61.
【非特許文献3】Nakajima, N., Mihara, H., and Sumi, H. 1993. Characterization of potent fibrinolytic enzymes in earthworm, Lumbricus rubellus. Biosci. Biotechnol. Biochem. 57: 1726-1730.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記生産プロセスにおけるセルロースの糖化に費やす酵素のコストが問題となっている。酵素活性が優れている観点からT. reeseiの産生するセルラーゼの研究が盛んに行われているが、実用化という点ではまだまだ課題が多い。
【0008】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、バイオマス糖化を簡便かつ低コストにて実現する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
ミミズは、地龍ともいわれ、古くから解熱、鎮痛に効く漢方として親しまれている。また、ゴミの量を低減させるために、シマミミズと混合することによって生ゴミをコンポスト化することは、以前から行われている(非特許文献2等参照)。このように、ミミズは我々の生活に深く関わっている。
【0010】
上述したように、シマミミズには生ゴミの加水分解能力があることが示唆されているが、糖化能力を検討した研究は知られていない。
【0011】
近年、血栓分解酵素であるルンブルキナーゼがアカミミズLumbricus rubellus(L. rubellus)から見出され(非特許文献3参照)、その機能が注目されている。本発明者らは、アカミミズの機能をより詳細に検討した結果、アカミミズ粉末の粗抽出液にセルラーゼ活性が存在することを初めて見出し、そのセルラーゼ活性画分を精製することに成功した。そして、このアカミミズ由来のセルラーゼ活性画分を用いれば、バイオマスを直接糖化し得ることを確認し、新たなバイオマス糖化技術としての本発明を完成するに至った。
【0012】
本発明に係るセルロース糖化用組成物は、アカミミズの乾燥粉末またはその抽出物を含有していることを特徴としている。抽出に用いられる溶媒は、種々の操作における利便性の観点から水性溶媒であることが好ましいが、有機溶媒であってもよい。
【0013】
特許文献1には、シマミミズによるコンポスト化に重要なアミラーゼを精製したことが記載されている。しかし、アミラーゼはデンプンを加水分解する酵素であり、セルロースを基質とすることができない。また、本発明に係るセルロース分解は、特許文献1に記載のデンプン分解と作用面および機能面で何ら関連せず、全く別の技術といえる。
【0014】
上述したように、アカミミズについては、血栓分解酵素の研究が進んでおり、当業者は、このようなアカミミズからセルラーゼ活性画分を取得し得ることを全く予期していなかった。特許文献2には、シマミミズに含まれるセルラーゼを検討し、その性状を確認しているが糖化能力を検討したものではない。また、従来よりアカミミズを用いている技術は血栓分解であり、従来よりシマミミズを用いている技術は生ゴミのコンポスト化である。当業者は、特定の技術分野で得られた知見を、全く関連しない技術分野に利用するということを容易になし得ない。
【0015】
本発明に係るセルロース糖化用組成物は、セルロース系バイオマスを直接糖化するために用いられることがより好ましい。
【0016】
本発明に係るセルロース糖化用キットは、アカミミズの乾燥粉末またはその抽出物を備えていることを特徴としている。
【0017】
本発明に係るセルロース糖化方法は、セルロース含有物質を、アカミミズの乾燥粉末またはその抽出物とともにインキュベートする工程を包含することを特徴としている。本発明に係るセルロース糖化方法において、上記セルロース含有物質はセルロース系バイオマスであることが好ましい。
【0018】
さらに、本発明者らは、アカミミズの乾燥粉末またはその抽出物に含まれる、バイオマス糖化に関与すると考えられる酵素を精製し、その諸性質を同定することにより、本発明を完成するに至った。
【0019】
本発明に係るセルロース糖化酵素は、アカミミズに由来し、推定分子量が53.3kDaであり、至適pHが6.0であり、かつ至適温度が45℃であることを特徴としている。また、本発明に係るセルロース糖化酵素は、リケナン、オートスペルトキシラン、β−グルカン、またはこれらの任意の混合物を含んでいるセルロース含有物質(好ましくはセルロース系バイオマス)に対して用いられることが好ましい。
【0020】
本発明に係るセルロース糖化酵素は、アカミミズに由来し、推定分子量が57.5kDaであり、至適pHが5.5であり、かつ至適温度が40℃であることを特徴としている。また、本発明に係るセルロース糖化酵素は、ラミナラン、リケナン、β−グルカン、β−1,3−グルカン、またはこれらの任意の混合物を含んでいるセルロース含有物質(好ましくはセルロース系バイオマス)に対して用いられることが好ましい。
【0021】
特許文献2には、シマミミズに含まれるセルラーゼを検討し、その性状を確認しているが糖化能力を検討したものではない。しかも、カラムクロマトグラフィーによって分画された酵素の性状は、本発明の酵素と特許文献2記載の酵素との間において明らかに異なる。
【0022】
本発明に係るセルロース糖化用組成物は、上記酵素を含有していることを特徴としている。また、本発明に係るセルロース糖化用キットは、上記酵素を備えていることを特徴としている。
【0023】
本発明に係るセルロース糖化方法は、セルロース含有物質を、上記酵素とともにインキュベートする工程を包含することを特徴としている。本発明に係る方法において、上記セルロース含有物質がセルロース系バイオマスであることが好ましい。
【発明の効果】
【0024】
本発明を用いれば、バイオマス糖化を簡便かつ低コストにて実現することができる。さらに、各種バイオマスを直接糖化し得る本発明を用いれば、通常複数の工程を必要とするバイオマス糖化を簡便に遂行することができる。なおさらに、本発明を用いれば、比較的穏やかな条件下でバイオマス分解を実現することができる。特に、バイオマスとして赤フスマを用いた場合には、有用な酵素として公知であるT. reeseiセルラーゼ溶液よりも優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】Lumbricus rubellusから抽出した粗酵素溶液に含まれるセルラーゼの性状を示す図である。
【図2】Lumbricus rubellusから抽出した粗酵素溶液を用いたCongo red染色の結果を示す図である。
【図3】Lumbricus rubellusから抽出した粗酵素溶液を用いたアゾ色素系プレートアッセイの結果を示す図である。
【図4】Lumbricus rubellusから抽出した粗酵素溶液を用いて各種バイオマスの糖化試験を行った結果を示す図である。
【図5】Lumbricus rubellusから抽出した粗酵素溶液の陰イオン交換カラムクロマトグラフィーの結果を示す図である。
【図6】Lumbricus rubellusから精製した酵素(CMC IおよびII)についてのSDS−PAGEの結果を示す図である。
【図7】Lumbricus rubellusから精製した酵素(CMC I)についての性状を示す図である。(a)は各酵素の至適温度を示し、(b)は各酵素の至適pHを示す。
【図8】Lumbricus rubellusから調製した粗酵素溶液を赤フスマに作用された際の、生成還元糖量の経時変化を測定した結果を示す図である。
【図9】T. reeseiから調製した分泌酵素溶液を赤フスマに作用された際の、生成還元糖量の経時変化を測定した結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
〔1.アカミミズの乾燥粉末またはその抽出物〕
本発明は、セルロース糖化用組成物およびキットを提供する。本発明に係るセルロース糖化用組成物は、アカミミズの乾燥粉末またはその抽出物を含有していることを特徴としている。また、本発明に係るセルロース糖化用キットは、アカミミズの乾燥粉末またはその抽出物を備えていることを特徴としている。
【0027】
本明細書中で使用される場合、用語「組成物」は複数の含有成分を単一組成物中に含有する態様が意図される。また、本明細書中で使用される場合、用語「キット」は、単一物質(キット)中に複数の含有成分を別々の容器内に備えている態様であってもよい。すなわち、本発明に係る組成物は、セルロース糖化反応に用いられる反応液や他の成分などをさらに含んでいる形態であり、本発明に係るキットは、セルロース糖化反応に用いられる反応液や他の成分などを別々に備えている形態である。
【0028】
本発明に利用されるアカミミズは、養殖ミミズであっても天然ミミズであってもよい。なお、血栓溶解活性を有するセリンプロテアーゼを含有していることがよく知られているアカミミズからの抽出物が優れたセルラーゼ活性を有していることは全く知られていない。アカミミズの乾燥粉末は当該分野において周知の種々の方法を用いて得られればよく、例えば、アカミミズの乾燥粉末を得るために、アカミミズを水中に浸けることによって消化管内の糞土を吐出させ、続いて、ホモジナイザー、ミキサー、ブレンダーなどを用いて破砕した後に凍結乾燥する手順が採用され得る。
【0029】
アカミミズの乾燥粉末から抽出物を得るための溶媒(抽出溶剤)は、種々の操作における利便性の観点から水性溶媒であることが好ましいが、有機溶媒であってもよい。本明細書中において使用される場合、「水性溶媒」は、弱酸性〜弱アルカリ性のpH(好ましくはpH5.0〜7.5、より好ましくはpH5.0〜7.0)にて緩衝作用を示す緩衝液(例えば、例えば、リン酸緩衝液、トリス/塩酸緩衝液、トリス/酢酸緩衝液、炭酸緩衝液、ホウ酸緩衝液、酢酸緩衝液、HEPES緩衝液など)が最も好ましいが、水であっても、水溶性物質(例えば、有機酸類、無機酸類など)を含んでいる水溶液であってもよい。
【0030】
抽出工程は、破砕したアカミミズ(アカミミズ乾燥粉末)に含まれている活性成分が水性溶媒中に抽出されれば特に限定されない。得られた抽出物はさらなる精製工程に供されてもよく、一般的な酵素精製に用いられる硫安沈殿、種々のクロマトグラフィー(例えば、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、ゲル濾過など)、電気泳動などの精製手段が単独または組み合わせて適宜用いられ得る。
【0031】
なお、実施例にて後述するように、本発明に係るセルロース糖化用組成物中に含まれる活性成分の一部は、推定分子量41.7kDa、至適温度50℃かつ至適pH7.0を有するエンドグルカナーゼである。従来技術では希硫酸を用いたセルロース糖化が行われているが、中性付近下にて安定に作用する本発明を用いれば、製造プラントを酸によって腐食させることなく単糖を生成させることができる。また、一般に高温環境下で酵素は失活するため、反応液の温度を下げた後に酵素反応を行う必要がある。70℃にて酵素活性を保持している本発明を用いれば、高温状態であっても酵素反応を開始することができるので、総作業時間を大いに短縮し得る。
【0032】
アカミミズの乾燥粉末の抽出物を例に挙げて本発明を説明したが、本発明は抽出物に限定されず、アカミミズの乾燥粉末もまた好適に利用され得る。特に、活性成分の抽出工程をセルロース糖化の工程と近似する環境にて行う場合には、セルロースをアカミミズの乾燥粉末とともにインキュベートすればよいことを、本明細書を読んだ当業者は容易に理解する。すなわち、アカミミズの乾燥粉末を含有している組成物、またはアカミミズの乾燥粉末を備えているキットもまた、セルロース糖化用に好適に用いられるので、本発明の範囲内に含まれる。もちろん、良好なセルラーゼ活性を示すT. reesei由来のセルラーゼとともに用いられてもよい。
【0033】
本発明はまた、セルロース糖化方法を提供する。本発明に係るセルロース糖化方法は、セルロース含有物質を、アカミミズの乾燥粉末またはその抽出物とともにインキュベートする工程を包含することを特徴としている。セルロース含有物質としては特に限定されないが、セルロースを主成分とするセルロース系バイオマスであることが好ましく、古紙、段ボールなどのセルロース系材料や、食品製造の際に大量に発生する副産物(例えば、ビートパルプ、小麦ふすま、廃菌床、脱脂大豆、脱脂糠など)、農林業廃棄物(例えば、稲わら、スギ、おがくず)、非農耕地に生育する雑草などが挙げられる。なお、リグニンおよびセルロースを主成分とする木質系バイオマスを用いる場合は、必要に応じて、予め脱リグニン処理を行ってもよい。
【0034】
本発明に係るセルロース糖化方法を実行するには、上述した組成物またはキットを用いればよいことを、本明細書を読んだ当業者は容易に理解する。上述したように、本発明におけるセルロース糖化の活性成分は、推定分子量41.7kDa、至適温度50℃かつ至適pH7.0を有するエンドグルカナーゼであるので、インキュベート工程は30〜50℃の温度範囲および5.0〜7.5のpH範囲にて行われることが好ましいが、インキュベートに用いられる温度およびpHは、上記範囲内に限定されない。
【0035】
〔2.精製セルラーゼタンパク質〕
本発明は、アカミミズから精製したセルラーゼタンパク質を提供する。第1の実施形態において、本発明に係るタンパク質は、アカミミズに由来する、推定分子量が53.3kDaのタンパク質である。また、本実施形態に係るタンパク質の至適pHは6.0であり、至適温度が45℃である。本実施形態に係るタンパク質を用いれば、セルロース含有物質を糖化することができる。本実施形態に係るタンパク質の基質として好ましいセルロース含有物質としては、セルロース系バイオマスが挙げられ、より好ましくは、リケナン、オートスペルトキシラン、β−グルカン、またはこれらの任意の混合物を含んでいるバイオマスであり得る。
【0036】
第2の実施形態において、本発明に係るタンパク質は、アカミミズに由来する、推定分子量が57.5kDaのタンパク質である。また、本実施形態に係るタンパク質の至適pHは5.5であり、至適温度が40℃である。本実施形態に係るタンパク質を用いれば、セルロース含有物質を糖化することができる。好ましいセルロース含有物質としては、セルロース系バイオマスが挙げられ、より好ましくは、ラミナラン、リケナン、β−グルカン、β−1,3−グルカン、またはこれらの任意の混合物を含んでいるバイオマスであり得る。後述する実施例にしめすように、本実施形態に係るタンパク質のN末端アミノ酸配列は、「(A/S)ELWISTGDELXQLV」(配列番号1または2)と同定されている。
【0037】
本発明はさらに、セルロース糖化用組成物およびキットを提供する。本発明に係るセルロース糖化用組成物は、上記タンパク質を含有していることを特徴としている。本発明に係るセルロース糖化用組成物は、T. reesei由来のセルラーゼをさらに含有してもよい。また、本発明に係るセルロース糖化用キットは、上記タンパク質を備えていることを特徴としており、T. reesei由来のセルラーゼをさらに備えていてもよい。上述したように、本発明に係る組成物は、セルロース糖化反応に用いられる反応液や他の成分などをさらに含んでいる形態であり、本発明に係るキットは、セルロース糖化反応に用いられる反応液や他の成分などを別々に備えている形態である。
【0038】
本発明はまた、セルロース糖化方法を提供する。本発明に係るセルロース糖化方法は、セルロース含有物質を、上記タンパク質とともにインキュベートする工程を包含することを特徴としている。本発明が適用されるべきセルロース含有物質は、上記「アカミミズの乾燥粉末またはその抽出物」の項にて挙げたものであり得、好ましくは、上記タンパク質の基質として好ましいものであり得る。
【0039】
本発明に係るセルロース糖化方法を実行するには、上述した組成物またはキットを用いればよいことを、本明細書を読んだ当業者は容易に理解する。すなわち、アカミミズから精製したセルラーゼタンパク質をT. reesei由来のセルラーゼとともに用いる態様もまた本発明の範囲内である。なお、インキュベート工程において採用されるべき温度範囲およびpH範囲は、上記タンパク質の至適温度および至適pHを参照して行われることが好ましい。
【0040】
本発明は、以下の実施例によってさらに詳細に説明されるが、これに限定されるべきではない。また、本明細書中に記載された学術文献および特許文献の全てが、本明細書中において参考として援用される。
【実施例】
【0041】
〔実施例1:粗酵素溶液〕
〔粗酵素溶液の抽出〕
粗酵素溶液の抽出に用いたLumbricus rubellus(L. rubellus)凍結乾燥粉末を、ワキ製薬株式会社より供与頂いた。L. rubellus凍結乾燥粉末75gを、1mM DTTを含む50mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH8.0)750mLに添加して、混合物を4℃で20時間攪拌した。その混合液を4℃で、12,000×gにて60分間遠心分離し、上清を回収した。沈殿画分に上記緩衝液350mLをさらに加え、混合物を4℃で24時間攪拌した。その混合液を上記の条件にて遠心分離し、上清を回収した。回収した各上清を混合し、上記の条件にて遠心分離をさらに3回行い、その上清を粗酵素溶液とした。
【0042】
〔硫酸アンモニウム分画〕
得られた粗酵素溶液に最終濃度25%の硫酸アンモニウムを添加した。その溶液を4℃で12,000×gにて60分間遠心分離し、上清を回収した。得られた溶液に最終濃度60%の硫酸アンモニウムを添加した。その溶液を同じ条件で遠心分離し、沈殿を回収した。回収した沈殿を、1mM DTTを含む25mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH8.0)100mLに溶解した。
【0043】
〔カラムクロマトグラフィー〕
カラムクロマトグラフィーを全て、AKTAprime plus(GEヘルスケア バイオサイエンス)を用いて4℃で行った。上記で得られた粗酵素溶液の硫酸アンモニウム画分を、1mM DTTを含む25mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH8.0)(A緩衝液)を用いて透析した。この溶液を、A緩衝液によってあらかじめ平衡化した弱陰イオン交換カラムDEAE−TOYOPEARL 650M(東ソー株式会社)にアプライした。同じ緩衝液によってカラムを洗浄した後、吸着したタンパク質を、0.5M NaClを含むA緩衝液を用いて直線濃度勾配法で溶出し、後述の方法により確認したセルラーゼ活性を有する画分を分取した。
【0044】
〔ゲルろ過カラムクロマトグラフィー〕
上記で得られた活性画分をフィルターで濃縮し、0.1M NaCl、1mM DTTを含む25mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH8.0)で予め平衡化したゲルろ過カラムTOYOPEARL HW−55Sに供した。吸着したタンパク質を同じ緩衝液で溶出した。
【0045】
〔酵素活性測定〕
1.25% carboxymethylcellulose(CMC)を基質として用いて、セルラーゼ活性の測定を行った。測定すべき画分を適当に希釈し、100μLを、1.25% CMCを含む25mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH8.0)400μLに加え、40℃で15分間インキュベートした。遊離した還元糖量を、Somogyi−Nelson法によって測定した。酵素反応後、反応液にSomogyi銅試薬500μLを加え15分間煮沸した後、5分間水浴中に放置した。これにネルソン呈色試薬500μLを加えた後、蒸留水1mLを加え、1,000×gにて15分間遠心分離し、回収した上清の吸光度を波長520nmにて測定した。1分間あたり1μmolのグルコースに相当する還元糖量を遊離する酵素量を1Uと規定した。
【0046】
〔Congo redプレートアッセイ〕
最終濃度が各々0.1%基質(CMC、リケナン、ラミナラン、キシログルカン、オートスペルトキシラン、PSC)、0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH8.0)、2%Agarとなるようにプレートを作製した。このプレートに各酵素溶液を滴下し、40℃で2時間反応させた後、1M Tris−HCl(pH7.5)でプレートを洗浄し、congo red染色液を添加し、30分間放置した。次いで、1M NaClでプレートを洗浄し、5%酢酸溶液を添加し、ハロの大きさを測定した。
【0047】
〔アゾ色素系プレートアッセイ〕
最終濃度が各々0.1%基質(アミロース、バーリーβ―グルカン、プロテイン、マンナン、1,3β−グルカン、ガラクタン、アラビナン)、0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH8.0)、2%Agarとなるようにプレートを作製した。このプレートに各酵素溶液を滴下し、40℃で24時間反応させた(呈色反応)。
【0048】
〔バイオマス糖化試験〕
50ccの広口瓶に、バイオマス(赤フスマ、スギ、廃菌床)各0.1gを、1mMアジ化ナトリウムを含む50mMリン酸緩衝液(pH8.0)11.7mLとともに加えたものを、バイオマス試料として予め調整した。フィルター滅菌した3.3mLの粗酵素溶液を、バイオマス試料に添加し、40℃で24時間反応させた。反応後、反応液を適量回収し、遠心分離した後の上清に含まれる生成還元糖量をSomogyi−Nelson法によって定量した。
【0049】
〔タンパク質量測定〕
タンパク質量を、Bradford法によって測定した。具体的には、Bio−Rad社のBio−Rad protein assay試薬を用い、Model 680XRマイクロプレートリーダー(Bio−Rad社)を使用し、波長595nmで定量した。検量線の作成には、ウシ血清アルブミン(BSA)を用いた。
【0050】
〔結果〕
〔1.粗酵素を用いた諸性質の検討〕
〔1.1.至適温度の検討〕
CMCを基質として用いて、粗酵素溶液中に含まれるセルラーゼの至適温度について検討した。その結果、酵素の至適温度は50℃付近であることが示された(図1(a))。粗酵素溶液を種々の温度で反応させたときの活性を測定した。温度が高くなるにつれて酵素の安定性は徐々に低下することが示されたが、70℃付近においても20%程度の活性を保っていた(図1(b))。種々のpHに調整した粗酵素溶液を40℃で反応させたときの活性を測定した。その結果、至適pHはpH7.0付近であることが示された(図1(c))。種々のpHに調整した粗酵素溶液を、pH7.0、40℃にて反応させたときの活性と比較した。その結果、酸性領域での安定性はよくなかったが、アルカリ領域では比較的安定であることが示された(図1(d))。
【0051】
〔2.Congo red染色法によるプレートアッセイ結果〕
Congo red染色の結果を図2に示した。ハロの有無により各基質に対する酵素活性を検討した。その結果、CMC、リケナン、ラミナラン、キシログルカン、オートスペルトキシランを含む培地でハロを確認することができた。このことにより、粗酵素溶液中にβ−1,4エンドグルカナーゼ、β−1,4エンドキシラナーゼの存在が示唆された。
【0052】
〔3.アゾ色素系プレートアッセイ結果〕
アゾ色素系プレートアッセイの結果を図3に示した。酵素が培地中の基質を分解するとアゾ色素が可溶化し青く呈色するため、この呈色を確認することにより各基質に対する酵素活性の有無を検討した。アミロース、バーリーβ−グルカン、プロテイン、マンナン、1,3−β−グルカンで呈色を確認することができた。このことにより、粗酵素溶液中にアミラーゼ、β−1,4エンドグルカナーゼ、プロテアーゼ、β−1,4エンドマンナナーゼの存在が示唆された。
【0053】
〔4.バイオマス糖化試験〕
粗酵素溶液を用いて各種バイオマス(赤フスマ、スギ、廃菌床)の糖化試験を行った。Somogyi−Nelson法を用いて生成還元糖量の経時変化を測定した(図4)。aは赤フスマの生成還元糖量、bはスギの生成還元糖量、cは廃菌床の生成還元糖量を示す。その結果、赤フスマに対して効率よく酵素が作用していることが明らかとなった。
【0054】
〔5.酵素精製〕
各種クロマトグラフィーを用いて、CMC分解活性を指標に酵素精製を試みた。その結果、ゲルろ過クロマトグラフィー及びSDS−PAGEの結果により、目的酵素は推定分子量41.7kDaのモノマーであることが示唆された。
【0055】
以上のように、L. rubellusには推定分子量が約45kDaのエンドグルカナーゼが存在することが示された。また、それ以外にβ−1,4エンドグルカナーゼ、β−1,4エンドキシラナーゼ、アミラーゼ、プロテアーゼ、β−1,4エンドマンナナーゼなどの存在も示唆された。さらに、粗酵素溶液は各種バイオマスを直接糖化した。このことにより、粗酵素溶液を用いた新規バイオマス糖化技術が提案可能であり、産業への応用が大いに期待される。
【0056】
〔実施例2:酵素の精製〕
〔粗酵素溶液の抽出〕
粗酵素溶液の抽出に用いたLumbricus rubellus(L. rubellus)凍結乾燥粉末を、ワキ製薬株式会社より供与頂いた。L. rubellus凍結乾燥粉末75gを、1mM DTTを含む50mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)750mLに添加して、混合物を4℃で24時間攪拌した。その混合液を、12,000×gにて4℃で30分間遠心分離し、上清を回収した。核酸を除去するために、上清に最終濃度2%のストレプトマイシン硫酸塩を添加し、4℃で30分間攪拌した後に12,000×gにて30分間遠心分離し、回収した上清を粗酵素溶液とした。
【0057】
〔硫酸アンモニウム分画〕
得られた粗酵素溶液に最終濃度20%となるように硫酸アンモニウムを添加した。その溶液を4℃で19,000×gにて30分間遠心分離した後、回収した上清に最終濃度60%となるように硫酸アンモニウムを添加した。この溶液を同一条件にて再度遠心分離した後に、沈殿を回収した。回収した沈殿を、1mM DTTを含む25mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)100mLに溶解した。
【0058】
〔陰イオンカラムクロマトグラフィー〕
上述した手順に従って、弱陰イオン交換カラムDEAE−TOYOPEARL 650M(東ソー株式会社)を用いたカラムクロマトグラフィーを行い、セルラーゼ活性を有する画分を分取した。
【0059】
〔マルチモーダル弱陽イオン交換カラムクロマトグラフィー〕
得られた画分をフィルターで濃縮し、1mM DTTを含む50mM酢酸緩衝液(pH4.5)で透析した後、同じ緩衝液で予め平衡化したCapto MMCカラムにアプライした。同じ緩衝液でカラムを洗浄した後、吸着したタンパク質を、1mM DTT及び1M NaClを含む50mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)で直線濃度勾配法にて溶出した。
【0060】
〔ハイドロキシアパタイトカラムクロマトグラフィー〕
得られた画分をフィルターで濃縮し、1mM DTTを含む1mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)で透析した後、同じ緩衝液で予め平衡化したBio−Scale Mini CHT Type Iにアプライした。同じ緩衝液でカラムを洗浄した後、吸着したタンパク質を1mM DTTを含む100mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)で直線濃度勾配法で溶出した。なお、本操作はCMC Iについてのみ行った。CMC IIについては本工程を省き、ゲルろ過カラムによる精製を引き続いて行った。
【0061】
〔ゲルろ過カラムクロマトグラフィー〕
得られた画分をフィルターで濃縮し、0.1M NaCl、1mM DTTを含む25mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)で予め平衡化したゲルろ過カラムTOYOPEARL HW−55Sに供した。吸着したタンパク質を同じ緩衝液で溶出した。
【0062】
〔酵素活性測定〕
CMCaseの活性を,上述したCMCを基質として用いたセルラーゼ活性の測定の手順に従って測定した。また、β―グルコシダーゼ(BGL)活性あるいはセロビオハイドロラーゼ(CBH)活性を、以下の手順に従って測定した。酵素溶液1μLに25mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)4μLを添加し、45μLの基質溶液(BGL活性:4−Methylumbelliferyl β−D−glucopyranoside(4MU−G)を25mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)に溶解させたもの(最終濃度が0.5mM)、CBH活性:4−Methylumbelliferyl β−D−cellobioside(4MU−G2)を25mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)に溶解させたもの(最終濃度が0.5mM))をさらに添加した。この混合溶液を40℃で30分間インキュベートした後に、150mM Glycine−NaOH緩衝液(pH10)を添加した溶液を360nmで励起し、460nmで測定した。1分間あたり1μmolの4−Methylumbelliferoneを生成する酵素量を1Uと規定した。また検量線の作製には4−Methylumbelliferoneを用いた。
【0063】
〔Congo redプレートアッセイ〕
最終濃度が各々0.1%基質(CMC、ラミナラン、リケナン、オートスペルトキシラン、バーチウッドキシラン、キシログルカン)、0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)、2%Agarとなるようにプレートを作製した。このプレートに各酵素溶液を滴下し、40℃で2時間反応させた後、1M Tris−HCl(pH7.5)でプレートを洗浄し、congo red染色液を添加し、30分間放置した。次いで、1M NaClでプレートを洗浄し、5%酢酸溶液を添加し、ハロの大きさを測定した。
【0064】
〔アゾ色素系プレートアッセイ〕
最終濃度が各々0.1%基質(β―グルカン、アミロース、マンナン、1,3β−グルカン、ガラクタン、アラビナン、キシラン、プロテイン)、0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)、2%Agarとなるようにプレートを作製した。このプレートに各酵素溶液を滴下し、40℃で24時間反応させた(呈色反応)。
【0065】
〔合成基質プレートアッセイ〕
最終濃度が各々0.5mMの4MU−Gまたは4MU−G2、0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)、2%Agarとなるようにプレートを作製した。このプレートに各酵素溶液を滴下し、40℃で2時間反応させ、365nmの紫外線を照射しハロの大きさを測定した。
【0066】
〔N末端アミノ酸配列解析〕
精製したCMC IIをSDS−PAGEに供した後にPVDFメンブレンに転写し、目的のタンパク質バンドについて、アミノ酸配列決定機を用いてN末端アミノ酸配列を解析した。
【0067】
〔タンパク質量測定〕
タンパク質量を、Bradford法によって測定した。具体的には、Bio−Rad protein assay試薬(Bio−Rad社)を用い、Model 680XRマイクロプレートリーダー(Bio−Rad社)を使用し、波長595nmで定量した。検量線の作成には、ウシ血清アルブミン(BSA)を用いた。
【0068】
〔結果〕
〔1.陰イオンカラムクロマトグラフィー〕
陰イオンカラムクロマトグラフィーの溶出結果を図5に示す。CMCaseの活性画分として、CMC IとCMC IIの2つの画分が得られた。またBGLの活性画分も2つ得られた(図5)。CMCaseはエンドグルカナーゼ(EG)活性を有していることから、本結果より、本粗酵素中には少なくとも2種のEG、1種のBGLが存在することが示唆された。
【0069】
〔2.精製CMC IおよびIIの性状〕
CMC IおよびIIを各種クロマトグラフィーにて精製し、その性状を検討した。CMC IおよびIIの精製結果を表1に示す。
【0070】
【表1】

【0071】
CMC Iは、ゲルろ過クロマトグラフィーの結果より分子量48.7kDa、SDS−PAGEの結果より分子量53.3kDa(図6)を示したことから、モノマーであることが示唆された。また、酵素の至適温度は45℃付近(図7(a))であり、至適pHは6.0付近(図7(b))であることが示された。
【0072】
また、CMC IIは、ゲルろ過クロマトグラフィーの結果より分子量58.9kDa、SDS−PAGEの結果より分子量57.5kDa(図6)を示したことから、モノマーであることが示唆された。また、酵素の至適温度は40℃付近(図7(a))であり、至適pHは5.5付近(図7(b))であることが示された。
【0073】
〔3.プレートアッセイ結果〕
プレートアッセイの結果,CMC Iは、4MU−G、CMC、リケナン、オートスペルトキシラン、β−グルカンに対して活性を示した。CMC IIは、CMC、ラミナラン、リケナン、β−グルカン、β−1,3−グルカンに対して活性を示した。
【0074】
〔4.N末端アミノ酸配列解析結果〕
CMC IIのN末端アミノ酸配列解析を行った結果、(A/S)ELWISTGDELXQLV(配列番号1または2)であることがわかった。この配列をBLASTにて検索したが、関連すると思われる配列は全くヒットしなかった。
【0075】
L. rubellusに存在するセルラーゼの精製タンパク質の分子量は、50〜60kDaであった。これは、粗精製段階での推定分子量よりも若干高かったが、これは実験誤差の範囲内であるといえる。また、得られた精製タンパク質は至適pHが弱酸性〜中性付近であり、かつ至適温度が30〜50℃であり、穏やかな条件下で各種バイオマスを直接糖化した。このことにより、精製タンパク質を用いた新規バイオマス糖化技術が提案可能であり、産業への応用が大いに期待される。
【0076】
〔実施例3:バイオマス糖化試験〕
50ccの広口瓶に、バイオマス(赤フスマ)1.0gを、3mMアジ化ナトリウムを含む50mMリン酸緩衝液(pH7.0)とともに加えたものを、バイオマス試料として予め調整した。フィルター滅菌した30U当量のCMCase活性を有する粗酵素溶液を、バイオマス試料に添加し、30〜50℃で48時間振とうしながら反応させた。反応後、反応液を適量回収し、10分間煮沸し,酵素を失活させた後,遠心分離した後の上清に含まれる生成還元糖量をSomogyi−Nelson法によって定量した。
【0077】
Somogyi−Nelson法を用いて生成還元糖量の経時変化を測定した結果を図8に示す。図に示すように、上記粗酵素溶液は、50℃で最も効率よく還元糖を生成させることが明らかとなった。また、上記粗酵素溶液による生成還元糖量は、T. reeseiに由来する分泌酵素を用いて同様の試験を行った場合の50℃での生成還元糖量を上回っていた(図9)。
【0078】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0079】
粗酵素溶液が各種バイオマスを直接糖化し、バイオマスとして赤フスマを用いた場合には特に、有用な酵素として公知であるT. reeseiセルラーゼ溶液による効果を上回る結果を示したこと、および精製された酵素が比較的穏やかな条件下で作用することから、より簡便なバイオマス糖化が実現し得、新規バイオマス糖化技術により産業への応用が期待される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アカミミズ(Lumbricus rubellus)の乾燥粉末またはその抽出物を含有している、セルロース糖化用組成物。
【請求項2】
アカミミズ(Lumbricus rubellus)の乾燥粉末またはその抽出物を備えている、セルロース糖化用キット。
【請求項3】
セルロース含有物質を、アカミミズ(Lumbricus rubellus)の乾燥粉末またはその抽出物とともにインキュベートする工程を包含する、セルロース糖化方法。
【請求項4】
上記セルロース含有物質がセルロース系バイオマスである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
推定分子量が53.3kDaであり、至適pHが6.0であり、かつ至適温度が45℃である、アカミミズ(Lumbricus rubellus)由来のセルロース糖化酵素。
【請求項6】
推定分子量が57.5kDaであり、至適pHが5.5であり、かつ至適温度が40℃である、アカミミズ(Lumbricus rubellus)由来のセルロース糖化酵素。
【請求項7】
請求項5または6の酵素を含有している、セルロース糖化用組成物。
【請求項8】
請求項5または6の酵素を備えている、セルロース糖化用キット。
【請求項9】
セルロース含有物質を、請求項5または6の酵素とともにインキュベートする工程を包含する、セルロース糖化方法。
【請求項10】
上記セルロース含有物質がセルロース系バイオマスである、請求項9に記載の方法。

【図1】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図2】
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【図3】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−83274(P2011−83274A)
【公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−60703(P2010−60703)
【出願日】平成22年3月17日(2010.3.17)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 「第61回日本生物工学会大会講演要旨集」 発行日 平成21年8月25日 発行所 社団法人日本生物工学会
【出願人】(501020028)ワキ製薬株式会社 (1)
【出願人】(504237050)独立行政法人国立高等専門学校機構 (656)
【Fターム(参考)】